JP2736891B2 - 人工関節を骨に取付けるためのスリーブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 背景技術 1.発明の分野 本発明は人工関節の分野に関し、殊に人工関節を骨に
取付けるための装置に関する。 2.従来技術の説明 PCT公告番号第WO85/03426号「補綴を骨に取付けるた
めの装置」において、次の特徴を有する、人工関節を骨
に取付けるための様々なスリーブが記載される： １）スリーブの外面が患者の硬骨の内面に適合するよう
な輪郭を有する； ２）スリーブの外面が隔置されて外方に延在する複数の
肩を有し、その目的は軟骨から硬骨に応力が伝達される
のと同様の態様で補綴から硬骨に応力を伝達することで
ある。 本発明は前記PCT公告に開示されるスリーブの効用を
高めることを目的とする。個々の患者の硬骨の輪郭に近
似する、前記PCT公告に開示する型式のスリーブを与え
ることは可能であるが、この型式のスリーブは規則的な
幾何学形状を有せず、従って骨を切削し仕上げるための
標準の、又は特殊の外科器具を用いて、そのようなスリ
ーブを受承するように患者の骨を調製することが困難で
あることが、外科医に判っている。 上記の技術水準にかんがみ、下記のような外面を有す
る、人工関節を骨に取付けるためのスリーブを与えるこ
とが本発明の一目的である。すなわち、このスリーブ
は： １）患者間に解剖学的差違があるにもかかわらず、様々
な患者の硬骨の内面にほぼ一致するような輪郭を有す
る、 ２）スリーブを受承するように患者の骨の腔を精密にに
また容易に外科医が調製し得るような輪郭を有する、 ３）骨に喰い込むことができ、及び／又は骨の内部生長
を助長し、軟骨から硬骨に応力が伝達される態様にほぼ
一致する態様で患者の骨に応力を伝達する、隔置されて
外方に延在する複数の段丘を含む。 より一般的には、患者の骨の中に形成される腔の形状
と共に補綴の形状を患者の硬骨の形状が画成した、前記
PCT公告の行き方に比して、本発明の行き方は、患者の
骨の中に容易に、正確かつ再現自在に形成されることが
でき、概して硬骨の形状に近似し、補綴の形状に正確に
一致する腔を骨に形成することによって患者の骨を補綴
に合せる、補綴の形状を与えることである。 前記目的を達成するために、本発明は、硬骨の輪郭に
近似すると同時に、外科医により患者の骨に容易に喰い
込ませることのできる補綴の全体形状を与える、という
２重の目標を満たすような特定の形状を段丘の外縁の周
囲が有している段丘付き外面を有する、骨内植込みのた
めのスリーブを与える。 殊に、関節の運動表面に最も近い段丘は第１組の周囲
を有しているのに対し、運動表面から遠い段丘は第２組
の周囲を有する。周囲の全てはスリーブの縦軸線にほぼ
垂直な平面内にある。 第１組の周囲は１個の円の一部分と、１個の楕円の一
部分から成る。円部分の中心はスリーブの縦軸線上にあ
る。円の半径は関節運動表面に近づくにつれて大きくな
るので、円の包絡面は円錐である。実際に、円錐の頂角
は例えば６゜が適当であると判っている。 各段丘に等しい長軸と短軸を有する、つまり等形状の
楕円が用いられるが、各段丘に使用される楕円の部分は
関節運動表面に近づくにつれて増し、やがて半楕円が用
いられる。そのあとは、関節運動表面により近い全ての
段丘に半楕円が用いられ、楕円の長軸に平行で短軸の端
にて楕円に正接する２本の直鎖によって半楕円が周囲の
円部分に接続される。随意的に、製造過程を助けるため
に、楕円部分と円部分の継目、又は２本の直線と円部分
の継目の、何れか該当する個所を、周囲の円部分に滑ら
かに移行するように適当な半径の円の部分によって丸め
ることもできる。 全ての楕円の長軸は共通の平面内にあり、長軸の全て
はスリーブの縦軸線に垂直である。各段丘に用いられる
楕円の部分は楕円の頂点を含んでいる。異なる段丘にお
ける頂点は、患者の骨を仕上げるのに用いられる器具に
よって決定される（下記参照）。所定の角度にてスリー
ブの縦軸線に交差する直線の上にある。 第２組の周囲はスリーブの縦軸線上に中心を有する円
から成る。円の半径は関節運動表面に近づくにつれて増
加して、第２組の周囲の円が第１組の周囲の円部分と同
じ円錐上にあるようになっている。 第１組の周囲から第２組の周囲への移行は、第１組の
周囲の円部分によって画成される円錐に、楕円の頂点を
通る直線が最初に交差する高さにて生ずる。或る用途で
は、比較的短いスリーブが望ましいかも知れず、この場
合、第１組の周囲のみが使用され、第１組から第２組の
周囲への移行は生じない。 以下に述べるように、前記形状の周囲を用いることに
より、実際に直面する硬骨の形状にほぼ一致する全体形
状を容易に補綴に与えることができる。外科医にスリー
ブの系列を供給することによりこの一致をさらに高める
ことができる（下記参照）。 さらに、外科医は補綴を受承するように患者の骨を容
易に調製することができる。具体的には、第２組の周囲
と第１組の周囲の円部分とを受承する腔は従来の円錐リ
ーマーを用いて患者の骨に形成されることができ、第１
組の周囲の楕円部と共に、これら楕円部分と円部分の継
目を受承するための、円錐腔につながる追加の腔は第６
図に示す器具を用いて形成されることができる（下記参
照）。一般に２つの腔ともに、補綴よりも幾分小さく作
られるので、補綴は植込まれた時に患者の骨にきっちり
はまり込む。 ２つの腔の組合せは、実質的に完全にスリーブの外形
に一致する全体腔を生ずる。この完全な一致は、ひいて
は、患者の骨へのスリーブの丈夫な所期機械的固定を生
じ、又骨の内部生長を促がすようにスリーブと骨の間の
密着を生ずる。 これら後者の局面に関連して、本発明の或る実施例に
おいて、段丘の外縁が骨に食い込む能力を高めるよう
に、スリーブの外面に、段丘の間に切込みを付ける。こ
の喰い込みは、患者の骨に形成される腔の中にスリーブ
が押し込まれる過程で生ずる。この喰い込みは段丘の間
の領域に骨片を発生させ、これがさらにこの区域への骨
の内部生長を高める。 本発明の他の実施例に関連して、補綴の外面に、骨の
内部生長をさらに高めるための多孔質皮膜を施すことが
できる（第２図参照）。 本明細書に取り入れられてその一部を構成する添付図
面は本発明の望ましい実施例を図解し、記載すると共に
本発明の原理を説明するのに役立つ。 図面の簡単な説明 第１図は、本発明に従って構成され、患者の大腿骨に
植込まれたスリーブを用いる大腿骨補綴術を示し、大腿
骨の軟・硬骨部分と補綴の関係を図解するために大腿骨
を断面で示す前面図、 第２図は本発明のスリーブの外面を通る断面図の拡大
図、 第３図は本発明のスリーブの斜視図、 第４図は直線リーマーによる患者の大腿骨の穴明けを
図解する部分断面前面図、 第５図は円錐リーマーによる患者の大腿骨の穴明けを
図解する部分断面前面図、 第６図は本発明のスリーブの突出部のために患者の大
腿骨に腔を切削するのに適した器具の斜視図、 第７図は第６図の器具を用いる患者の大腿骨の切削を
図解する部分断面前面図、 第８図は異なる突出部を有するスリーブの一系列を略
図で示す前面図、 第９図は患者の大腿骨へのスリーブの植込みを図解す
る部分断面前面図、 第10図は本発明に従って構成されたスリーブを受承す
るために仕上げられた患者の大腿骨の腔であって、２本
の中心線が第５図及び第７図に示す円錐リーマー及びカ
ッターの中心線に一致する腔の斜視図、 第11図は第10図の11−11線にそう断面図、 第12図および第13図はスリーブの突出部を構成するの
に楕円輪郭を用いることの重要性の略図、 第14図は直線円筒と組合せて突出部を用いる、本発明
の代替実施例の斜視図である。 望ましい実施例の説明 幾つかの図を通じて等しい、又は相当する部品を表す
のに等しい参照番号が用いられている図面を参照する。
第１図において、本発明により構成されるスリーブ（1
3）を使用する人工股関節の大腿骨要素（10）が示され
る。スリーブ（13）はスリーブの縦軸線（36）上に中心
を有する円錐部（６）と、縦軸線からずれて外方に延在
する突出部（８）とを含む。 軟骨の内方骨髄（58）を取巻く硬骨の外殻（56）を有
する患者の大腿骨（54）の中に大腿骨要素（10）が植込
まれる。関節の運動は球部（14）の回りに生ずる。球部
は頚部（16）に接続され、頚部は軸部（18）に接続され
る。 軸部（18）とスリーブ（13）は軸部の外面（20）とス
リーブの内面（22）にある補合する固定用傾斜部によっ
て組合う。その上、軸部にはピン（24）が設けられ、ピ
ンは傾斜部の完全固定係合の前に、軸部がスリーブの中
で回転しないようにスリーブにあるみぞ（26）に組合
う。製造過程による僅かな誤差があっても固定用傾斜部
が完全係合するように、スリーブと頚部の称呼寸法は、
頚部（16）の下面とスリーブ（13）の上面の間に約0.06
0in（1.52mm）の隙間が生ずるように決められている。
同様に、ピン（24）はみぞ（26）の底面から称呼寸法0.
060in（1.52mm）だけ隔置される。 スリーブ（13）の外面はそれぞれ外縁（30）と内縁
（32）を有する複数の段丘（テラス）（28）を含む（第
２図参照）。段丘間の垂直間隔は約0.5〜3.0mm程度であ
ることが望ましい。段丘の深さは約0.2〜1.5mm程度であ
ることが望ましい。第３図に示すように、外縁（30）の
周囲はスリーブの縦軸線（36）にほぼ直角な平面内にあ
る。 スリーブ（13）の上方部分において、外縁（30）の周
囲は縦軸線（36）上に中心を有する円形部分（34）と、
頂点（52）を含む楕円形部分（38）とを含む。円形部分
（34）の半径はスリーブの上面から下方に行くに従って
減少し、この部分の円錐頂角は前記のように約６゜であ
る。同様に、軸線（36）から頂点（52）までの距離もス
リーブの上面から下方に行くに従って減少する。しかし
楕円形部分（38）は全てが１個の共通の楕円の部分であ
るという意味で同形である。 第３図に示すように、頂点（52）は所定の角度にて軸
線（36）に交差する１本の共通の直線上にある。スリー
ブの全体形状が実際に出会う硬骨の解剖学的形状にほぼ
一致するようにこの角度が選ばれている。例えば、大腿
骨補綴では、約32゜の角度が所要の適合を得るのに適し
ていると判った。もちろん、他の角度を用いることがで
きる。後述するように、直鎖（60）と軸線（36）との角
度は器具（66）の軸（62）とカッター（64）との角度で
もある（第６図参照）。 さらに第３図に示すように、最上部の周囲は楕円の短
軸（40）の両端（68,70）の間に延在する完全な半楕円
を含む。半楕円は直線部分（42,44）により周囲の円形
部分（34）に接続される。これら直鎖部分は点（68,7
0）にて楕円に正接しているので、楕円の長軸に平行で
ある。長軸は軸線（36）に直交する直線上にある。前記
のように、直線部分（42,44）と円形部分（34）との接
続部は製造に便利なように個所（48,50）に示すように
丸味を付けられる。 最上部の周囲よりも下方の周囲について頂点（52）と
直線（60）上に保つために、より短い直線部分（42,4
4）を先ず使用し、つぎに完全半楕円よりも小さい部分
を用いる。これらの、より小さい周囲にも丸味を付けた
継目（48,50）を用いることができる。 スリーブ（13）の下方部分において、外縁（30）の周
囲は円形であって、スリーブの下面に向って進むに従っ
てその円形の半径が減少して、これらの周囲の外縁は上
方部の周囲の部分（34）と同じ円錐上にくるようになっ
ている。上方周囲と下方周囲の間の移行は、上方周囲の
部分（34）により画成される円錐と直線（60）との交点
にて生ずる。この交点は第３図に個所（72）にて示され
る。 ここで、スリーブ（13）を植込む過程に移る。第４図
に示されるように、軸部（18）を受承する直線孔が直線
リーマー（74）を用いて患者の大腿骨（54）に形成され
る。次に第５図に示すように、スリーブ（13）の円錐部
分（６）を受承するための円錐腔が円錐リーマー（76）
を用いて形成される。直線リーマー（74）により形成さ
れた直線孔に円錐腔を整合させるためのパイロット軸
（78）をこのリーマーが含んでいる。円錐腔はスリーブ
（13）の円形部分と等しい円錐頂角、例えば６゜を有す
る。腔はスリーブよりも、例えば約0.5mmだけ、小さく
されて、植込まれた時にスリーブが腔の中にぴったりと
はまり込むようにされる。 次に、第６図に示す器具（66）を用いて、スリーブ
（13）の突出部（８）を受承するための腔が形成され
る。器具（66）は直線リーマー（74）により形成された
直線孔に器具を整合させるためのパイロット軸（62）を
含む。この器具はまた腔を切削するためのカッター（6
4）と切削を行いながら器具を操作し安定させるための
ハンドル（80）とを含む。カッター（64）は刃を回転さ
せるための適当な動力源、例えば気圧動力源に接続する
ための継手（82）を含む。第７図に示すように、カッタ
ー（64）がけづめ状突起（86）として知られる硬質の領
域に達してスリーブ（13）の部分（８）のための適当な
床又は座を調製し終ったとして外科医が満足するまで、
器具（66）が下方に（矢印84の方に）進められる。 大腿骨内に形成される仕上がり腔が大腿骨の硬骨の内
面にほぼ一致するように円錐リーマー（76）及びカッタ
ー（64）の寸法が決められる。この一致は第11図に良く
見られる。図示のように、腔（88）は硬骨（56）の内側
輪郭に近似し、腔と硬質の間の最大の隔離は大腿骨の大
転子（90）の領域に生ずる。明らかに、生理学的及び解
剖学的な理由で、スリーブから大腿骨への主要な応力の
伝達は大転子（90）ではなく、けづめ状突起（86）の領
域にあることが望ましいので、大転子の領域において患
者の硬骨から腔、従ってスリーブ、が幾らか大きく離れ
ていることが許される。 実際には、様々なサイズの大腿骨がスリーブ（13）を
受承するように調製されることができるように、円錐リ
ーマー（76）と切削（66）の数セットが外科医に供給さ
れる。器具（66）に適合するサイズのスリーブのセット
も与えられる。 例えば、最大径が約17mmから2mm増しで25mmまでの円
錐リーマーのセットを、切削径が約8mmから2mm増しで18
mmまでの切削器具の対応するセットと組合せると、実際
に直面する大多数の大腿骨を調製するのに適当である。
これらの器具に対応するスリーブの適当なセットは、円
形部分（34）の最大径が約17mmから2mm増しで25mmまで
で、楕円部分（38）の長軸がライン（60）と縦軸線（3
6）の角度を32゜として約9mmから約2.3mm増しで21mmま
で、短軸が約8mmから2mm増しで18mmまでてあり、スリー
ブ高さが20〜50mmの範囲であることができる。もちろ
ん、リーマー、切削器具及びスリーブの他のセットも使
用することができ、これは本開示にかんがみて当業者に
容易に判ることである。 カッター（64）の直径及びカッター（64）と軸（62）
のなす角度は、スリーブ（13）の段丘（28）の外縁（3
0）の周囲の楕円部分の長軸と短軸を決める。具体的に
は、スリーブの突出部がカッター（64）により形成され
た腔に正確に適合するためには、短軸はカッター径に等
しく、他方、長軸はカッター径をカッター（64）と軸
（62）のなす角のコサイン（余弦）で除したものに等し
い。実際には、楕円部分（38）の長軸と短軸は少し、例
えば0.5mm程度、大きくしてしまりばめを保証する。 完全な自然骨におけるけづめ状突起は高い応力を受け
る。骨は負荷のかかる個所で活力を維持し、負荷のかか
らない個所で萎縮するから、スリーブ（13）からひづめ
状突起に負荷を伝達することが大切である。よって、ス
リーブの形状と器具（66）により形成された腔の形状と
の間に幾何学的適合を得るために、段丘（28）の外周の
部分（38）に楕円を用いることが重要である。具体的に
は、この輪郭のありふれた選択である円形は、補綴と腔
の間に著しい不都合を生ずる。この重要性は第12図及び
第13図に図解される。図示のように、楕円輪郭を用いる
補綴（92）は骨（96）の腔（94）を満たすのに対し、円
形輪郭を用いる補綴（100）はその外縁と腔の内面との
間にかなりの隙間（98）を残す。 次に植込み過程に戻って、患者の骨が円錐リーマー
（76）で仕上げられ、器具（66）で切削され終ると、外
科医はスリーブ（13）を植込む態勢ができる。補綴スリ
ーブと個々の大腿骨の腔との適合をさらに良くするため
に、突出部（８）が縦軸線（36）から延在する長さが相
互に異なるスリーブの系列、例えば５個のスリーブ、を
外科医に与えることが望ましい。（系列の全構成品が腔
を調製するのに用いる円錐リーマー（76）とカッター
（64）のサイズに対応して等しい基本寸法を有するこ
と、つまり円錐頂角が等しく、楕円部（38）の長軸と短
軸が等しく、円形部（34）の最大サイズが等しく、スリ
ーブの全高が等しいこと、に注目されたい）。 そのような系列が第８図に略図で示され、文字Ａ、Ｃ
及びＥは、スリーブの縦軸線から漸進的に離れるライン
（60）を有する３個のスリーブを表わす。縦軸線（36）
から遠いライン（60）を有するスリーブには、より長い
直線部分（42,44）を用いることによって、スリーブ間
の相違が得られる。系列内の構成品から選択されること
により、外科医はけづめ状突起の領域における充分な量
の硬質に達するのに必要であった器具（66）の下降運動
の量の差を補償することができる。 患者にとって適正なスリーブが選択されたならば、器
具（102）を用いて、植込みが行われる（第９図参
照）。この器具は、直線リーマー（74）によって形成さ
れた直線孔に受承されるパイロット軸（104）と、スリ
ーブ（13）のみぞ（26）に受承されるピン（106）と、
スリーブの上面に接触するフランジ（108）と、を含
む。この器具を用いてスリーブ（13）が調製された。腔
内に推進される。 所定位置に進むにつれて、腔よりも僅かに大きいスリ
ーブは腔に喰込み、そのため、補綴と骨の境界面につぶ
れた骨と骨片を生ずる。切削とつぶれはかど（110,11
2）（第11図参照）にも生じる。ここではスリーブ（1
3）の丸めたかど（48,50）が調製された腔に正確に一致
しないからである。器具（66）の構造上、第７図に番号
（87）により示される領域でも少量の骨が腔内に突き出
ることがある。この少量の骨はスリーブ（13）が完全に
腔内におさまるにつれて容易につぶされる。前記位置に
おける切削及びつぶれによる骨の残渣の発生は補綴と骨
の境界面における骨の内部生長の過程を促がすので、貴
重である。 スリーブが骨を切削する能力を高めるために、段丘
（28）の間のスリーブ（13）の外面に切込みを入れるこ
とが望ましい。具体的には、各段丘（28）の内縁（32）
をその下方隣りの段丘の外縁（30）よりもスリーブ縦軸
線に近付けて、外面を形成する。 また第２図に示すように、骨の内部生長をさらに高め
るために、スリーブ（13）を形成するのに用いられるも
のと同じ金属、例えば、６％のアルミニウムと４％のバ
ナジウムを含むチタン合金、又は化学的に純粋なチタン
（ASTM規格No.F136−79とNo.F67−83参照）のような外
科医学的に植込み可能の合金、から成る小さな球体（11
4）を用いて多孔質被膜を施すことができる。単一層の
球体を用いることにより（第２図参照）、スリーブの外
面を段付けし、切込むことにより生ずる利点をぎせいに
することなく、骨の内部生長の利点を得ることができ
る。 本発明のスリーブはコンピュータ制御の工作機械によ
り形成されることができる。代りに、そのような工作機
械を用いてマスターを製作することができ、このマスタ
ーから鋳型を作ることができ、この鋳型を用いて仕上り
部品を鋳造することができる。スリーブの多孔質被膜
は、球体とスリーブを融合するように被膜スリーブを加
熱するなどの標準技法を用いて、施こすことができる。 本発明の特定の実施例を記載し図解したけれども、本
発明の精神と範囲を逸脱することなく改造をなし得るこ
とは当然である。例えば、スリーブ（13）の円錐部分
（６）の代りに直線円筒（116）を用いた改造スリーブ
（113）が第14図に示される。このスリーブでは、突出
部（８）の楕円部分（38）のみが段付けされているが、
望ましければ、スリーブの残りの部分も切込みにより段
付けすることができるであろう。 大腿骨の補綴に関連して本発明を説明したけれども、
上記と同じ線にそって、肩や膝の関節のような他の人工
関節にも適用可能である。後者の場合、患者の脛骨への
植込みのために、スリーブの両側から延在する２個の突
出部をスリーブに形成させることができる。本開示にか
んがみ、他の改造及び適用が当業者によって考えられる
であろう。 符合の説明 ６ スリーブ13の円錐部（細長い部分） 10 大腿骨要素 13,113 スリーブ 14 球部（関節運動表面） 28 段丘 30 段丘の外縁 32 段丘の内縁 36 縦軸線 40 楕円短軸 42,44 直線部分（直線） 54 大腿骨 68,70 点（楕円短軸の両端） 114 金属球 116 スリーブ113の円筒部（細長い部分）

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．関節運動表面を有する人工関節の要素を骨に取り付
   けるためのスリーブであって、このスリーブを骨に埋め
   込んだときに、前記関節運動表面へ向かう第一の端部と
   前記関節運動表面から離れる第二の端部との間に延在す
   る縦軸線を有する本体を備え、この本体は、 前記縦軸線上に中心が位置する円形状横断面を有し、第
   一の端部と第二の端部との間に延在する細長い部分と、 前記細長い部分から延出し、複数の段丘を含む外面を有
   する突出部であって、少なくとも部分的に楕円形状の横
   断面を有し、この楕円形状横断面の水平中心を通る軸線
   が前記縦軸線から分岐している突出部とを備えること
   と、 前記少なくとも部分的に楕円形状の横断面の幾つかは半
   楕円を含み、この半楕円は楕円の焦点の一つだけを含む
   と共に、その横断面の周囲は二本の直線を含み、この二
   本の直線は楕円長軸に平行であり、且つ楕円短軸の両端
   にて前記半楕円に正接し、前記楕円短軸は、前記細長い
   部分の前記円形横断面の半径よりも、この横断面と同じ
   高さ位置において短いことからなるスリーブ。 ２．前記細長い部分が円筒形である請求項１記載のスリ
   ーブ。 ３．前記細長い部分が円錐形である請求項１記載のスリ
   ーブ。 ４．前記細長い部分の外面も段丘を有する請求項１乃至
   ３の何れか一項に記載のスリーブ。 ５．前記段丘の間の前記本体の外面に切り込みが付けら
   れている請求項１または４に記載のスリーブ。 ６．隣り合わせの段丘の或る組の間の前記本体の外面
   は、第一の端に近い方の段丘の内縁の周囲が、第二の端
   に近い方の段丘の外縁の周囲よりも前記縦軸線に近く位
   置にいるように切り込みが付けられている請求項５記載
   のスリーブ。 ７．前記関節が人工股関節であり、前記スリーブが前記
   関節の大腿骨要素を大腿骨に取り付け、前記段丘の外縁
   の周囲が大腿骨の硬骨の内面にほぼ一致する請求項１乃
   至６の何れか一項に記載のスリーブ。 ８．前記本体の外面の一部分が実質的に単一層の金属球
   で被覆されている請求項１乃至７の何れか一項に記載の
   スリーブ。