JP2733207B2 - 繊維芽細胞成長因子キメラ蛋白質を含有する医薬組成物 - Google Patents

繊維芽細胞成長因子キメラ蛋白質を含有する医薬組成物

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JP2733207B2
JP2733207B2 JP7119419A JP11941995A JP2733207B2 JP 2733207 B2 JP2733207 B2 JP 2733207B2 JP 7119419 A JP7119419 A JP 7119419A JP 11941995 A JP11941995 A JP 11941995A JP 2733207 B2 JP2733207 B2 JP 2733207B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸性繊維芽細胞成長因
子(以下、FGF-1 という) 蛋白質の部分ペプチドと、塩
基性繊維芽細胞成長因子(以下、FGF-2 という) 蛋白質
の部分ペプチドとを含むキメラ蛋白質を有効成分とする
医薬組成物、詳しくは肝臓細胞増殖や神経細胞分化生存
促進に有効な医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、ヒトあるいは動物の生体に存在
する肝臓細胞増殖因子を精製品として肝臓細胞増殖因子
として用いていた。または同因子の構造を決定したの
ち、大腸菌、酵母や動物細胞などを宿主とする遺伝子組
み換え法により作成した組み換え蛋白質を同目的に用い
ていた。現在までの研究で明らかな生体に存在する肝臓
細胞増殖因子として、肝細胞増殖因子[Hepatocyte Gro
wth Factor (HGF)]、形質転換因子−α(Transforming
Growth Factor-alpha) 、上皮細胞成長因子[Epidermal
Growth Factor (EGF)]、繊維芽細胞成長因子−1[Fi
broblast Growth Factor-1 (FGF-1)、別名:酸性繊維芽
細胞成長因子 (Acidic Fibroblast Growth Factor)]、
繊維芽細胞成長因子−7[別名:ケラチノサイト成長因
子(Keratinocyte Growth Factor)]などがある。これら
のうち、ヒトFGF-1 組み換え蛋白質は多糖であるヘパリ
ンあるいはその類縁物質(以後、これらを総称してヘパ
リンという。)の存在下でのみ強い肝臓細胞増殖促進活
性を示すことが知られている。ところが、ヘパリンは他
の強力な肝臓細胞増殖因子であるHGF の活性を抑制して
しまうことから、 FGF-1とHGF の併用は、事実上不可能
であった。
【0003】一方、現在までの研究で明らかな生体に対
する神経細胞栄養因子として、神経成長因子(Nerve Gro
wth Factor) 、ノイロトロピン(Neurotropin) 、FGF-1
、繊維芽細胞成長因子−2[Fibroblast Growth Facto
r-2 (FGF-2)、別名:塩基性繊維芽細胞成長因子(Basic
Fibroblast Growth Factor)]などがある。これらのう
ち、FGF-1 は、肝臓細胞増殖促進活性と同様に、ヘパリ
ンの存在下でのみ強い神経突起伸展促進活性を示すこと
が知られている。そこで、 FGF-1の有する強力な神経突
起伸展促進活性を、ヘパリンに依存しないで発揮できる
新規な神経細胞栄養因子が望まれるところである。FGF-
1とともに、FGF ファミリーを構成するタンパク質であ
る FGF-2は、ヘパリンに結合する性質、多くの細胞に増
殖や遊走を引き起こす性質など FGF-1と共通の性質を多
く有する。ところが、 FGF-1がヘパリンの存在下で初め
てその生物活性を発揮し得るのに対し、 FGF-2はヘパリ
ン非依存性である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ヘパ
リン非依存的に肝臓細胞増殖ならびに神経細胞分化生存
促進作用を発揮しうる医薬組成物を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、 FGF-1蛋白質のヘ
パリン依存性を担う部分を FGF-2蛋白質のヘパリン非依
存性を担う部分によって置き換えたキメラ蛋白質は、ヘ
パリン非依存性でありながら、 FGF-1の有する肝臓細胞
増殖活性や神経細胞分化生存促進を保持しうることを見
出し、これを有効成分とする医薬組成物として本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明はFGF-1 蛋白質の部分ペ
プチドと、FGF-2 蛋白質の部分ペプチドとを含むキメラ
蛋白質を有効成分とする医薬組成物に関する。本発明の
医薬組成物は、肝臓細胞増殖ならびに神経細胞分化生存
促進に有効である。
【0007】本発明の医薬組成物の有効成分として含有
させるキメラ蛋白質は、 FGF-1のヘパリン依存性を担う
部分を FGF-2のヘパリン非依存性を担う部分によって置
き換えてキメラにする、すなわち FGF-1及び FGF-2をコ
ードするcDNAをカセットフォーマットで作成した後、cD
NA上でキメラを作成し、それを大腸菌、酵母、動物細胞
などの発現系を用いて発現させることにより得られる。
【0008】上記のキメラ蛋白質の基本となる FGF-1蛋
白質および FGF-2蛋白質としては、ヒト、マウス、ラッ
ト、ウシ、ウマ等の哺乳動物のFGF のいずれでもよい
が、免疫系による望ましくない反応を避ける意味から、
治療対象となる動物と同種の起源のものが好ましい。
【0009】上記のキメラ蛋白質においては、 FGF-1蛋
白質の部分ペプチドと FGF-2蛋白質の部分ペプチドは複
数個有していてもよい。好適なキメラ蛋白質の例として
は、FGF-1のアミノ酸配列(アミノ酸番号41〜83) を、
FGF-2のアミノ酸配列(アミノ酸番号44〜86) で組み換
えたもの、具体的には後記配列表配列番号1のアミノ酸
配列または配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質を挙
げることができる。別の好適なキメラ蛋白質の例として
は、 FGF-1のアミノ酸配列(アミノ酸番号62〜83) を、
FGF-2のアミノ酸配列(アミノ酸番号65〜86) で組み換
えたもの、具体的には後記配列表配列番号3のアミノ酸
配列または配列番号4のアミノ酸配列を含む蛋白質を挙
げることができる。または、上記のキメラ蛋白質は、そ
の機能を発揮する限りにおいて、そのアミノ酸配列の一
部に、付加、欠失、置換、修飾があってもよい。
【0010】以下、本発明のキメラ蛋白質の調製方法を
具体的に述べる。 (a) FGF-1 および FGF-2 cDNA 、あるいはこれらの人工
的な一部改変物について、一方のFGFcDNA より適当な制
限酵素を用いてDNA断片を切り出し、あるいはPCR
などの方法によって新規にDNA断片を作成した後、制
限酵素末端を切り出し、他方のFGFcDNA の適当な部位に
DNAリガーゼを用いて結合させればよい。この場合、
読み取り枠を合わせるためにオリゴヌクレオチドを挿入
させたり、同じ制限酵素部位を創製するために一部の塩
基配列を改変する場合がある。あるいは、(b) 一方のF
GFcDNA より適当な制限酵素を用いてDNA断片を切り
出し、これを他方のcDNAの相同部位を同じ制限酵素で切
断した部位にDNAリガーゼを用いて結合させれば良
い。すなわち、アミノ酸相同性で FGF-1と FGF-2の配列
を並べた場合に相当する位置をコードするDNA断片を
入れ換えることになる。制限酵素として、1種あるいは
2種以上の制限酵素が用いられる。PCRによる部位特
異的変異処理についての基本的な操作は発明者らの既に
発表した方法による[Imamura, T. et al.,Science 24
9, 1567-1570 (1990)]。
【0011】DNAを組み込むプラスミドとしては、宿
主内で複製保持されるものであれば、いずれも使用する
ことができるが、例えば大腸菌由来のpBR322、pUC18、
及びこれらを基に構築されたpET-3cなどを挙げることが
できる。
【0012】プラスミドに組み込む方法としては、例え
ばT.Maniatisら、Molecular Cloning, Cold Spring Har
bor Laboratory, p. 239 (1982) に記載の方法などが挙
げられる。
【0013】クローン化された遺伝子は、発現に適した
ベクター中のプロモーターの下流に連結して発現型ベク
ターを得ることができる。ベクターとしては、上記の大
腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC12、pUC1
3、pET-3)、枯草菌由来のプラスミド(pUB110、pTP5、pC
194)、酵母由来のプラスミド(pSH19、pSH15)由来のプラ
スミド、あるいはλファージなどのバクテリオファージ
やこの誘導体およびレトロウイルス、ワクシニアウイル
スなどの動物ウイルス、あるいは昆虫ウイルスなどが挙
げられる。
【0014】該遺伝子はその5'末端に翻訳開始コドンと
してのATGを有し、また3'末端には翻訳終始コドンとし
てのTAA、TGAまたはTAGを有してもよい。さらに該遺伝
子を発現させるにはその上流にプロモーターを接続す
る。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子
の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであ
ればいかなるものでもよい。
【0015】また、形質転換する宿主が大腸菌である場
合には、trp プロモーター、lac プロモーター、rec A
プロモーター、λPLプロモーター、lpp プロモーター、
T7プロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合には、
SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモータ
ーなど、宿主が酵母である場合には、PHO5プロモータ
ー、PGK プロモーター、GAP プロモーター、ADH プロモ
ーターなどが好ましい。また、宿主が動物細胞である場
合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプ
ロモーターが挙げられる。
【0016】このようにして構築されたキメラ蛋白質を
コードする塩基配列を有する組み換えDNAを含むベク
ターを用いて、該ベクターを保持する形質転換体を製造
する。
【0017】宿主としては、大腸菌[例えばBL21, BL21
(DE3), BL21(DE3)pLysS, BL21(DE3)pLysE]、枯草菌
(例えばBacillus subtilis DB105)、酵母 (例えばPichi
a pastoris, Saccharomyces cerevisiae)、動物細胞
(例えばCOS cell, CHO cell, BHKcell, NIH3T3 cell,
BALB/c3T3 cell, HUVE cell, LEII cell)、昆虫細胞な
どが挙げられる。
【0018】上記の形質転換は、それぞれの宿主につい
て一般的に行われている方法で行う。または一般的でな
くとも適用可能な方法ならばよい。例としては、宿主が
大腸菌ならばカルシウム法その他の方法により作成した
コンピータント細胞に組み換えDNAを含むベクターを
温度ショック法あるいはエレクトロポレーション法によ
り導入する。宿主が酵母であればリチウム法その他の方
法により作成したコンピータント細胞に組み換えDNA
を含むベクターを温度ショック法あるいはエレクトロポ
レーション法により導入する。宿主が動物細胞であれ
ば、増殖期等の細胞に組み換えDNAを含むベクターを
リン酸カルシウム法、リポフェクション法あるいはエレ
クトロポレーション法により導入する。
【0019】このようにして得られたキメラ蛋白質をコ
ードする塩基配列を有する組み換えDNAを含むベクタ
ーを保持する形質転換体が得られる。該形質転換体を培
地に培養することにより、キメラ蛋白質を産生させる。
【0020】形質転換体を培養する場合、培養に使用さ
れる培地としては、それぞれの宿主について一般的に用
いられているものを用いる。または一般的でなくとも適
用可能な培地ならば良い。例としては、宿主が大腸菌な
らばLB培地などを用いる。宿主が酵母であればYPD
培地などを用いる。宿主が動物細胞であれば、Dulbecc
o's MEMに動物血清を加えたものなどを用いる。培養
は、それぞれの宿主について一般的に用いられている条
件で行う。また一般的でなくとも適用可能な条件ならば
よい。例としては、宿主が大腸菌ならば約30〜37℃で、
約3〜24時間行い、必要により通気や攪拌を加えること
ができる。宿主が酵母であれば約25〜37℃で、約12時間
〜2週間行い、必要により通気や攪拌を加えることがで
きる。宿主が動物細胞であれば約32〜37℃で、5% CO2
100%湿度の条件で約24時間〜2週間行い、必要により気
相の条件を変えたり攪拌を加えることができる。
【0021】上記培養物からキメラ蛋白質を培養菌体あ
るいは細胞から抽出するに際しては、培養後、ホモジェ
ナイザー、フレンチプレス、超音波、リゾチームおよび
/または凍結融解によって菌体あるいは細胞を破壊する
ことにより菌体外に目的の蛋白質を溶出させ、可溶性の
画分からキメラ蛋白質を得る。また目的のキメラ蛋白質
が不溶性画分に含まれる場合は菌体あるいは細胞を破壊
後、遠心分離により不溶性画分を回収し、塩酸グアニジ
ンなどを含む緩衝液などによって可溶性にして回収する
方法も用いうる。このほか塩酸グアニジンなどの蛋白質
変性剤を含む緩衝液によって直接菌体あるいは細胞を破
壊し、菌体外に目的のキメラ蛋白質を溶出させる方法も
ある。
【0022】上記上澄み液からキメラ蛋白質を精製する
には、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行うこ
とができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩
析、溶媒沈殿、透析、限外濾過、ゲル濾過、SDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動、イオン交換クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高
速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動などが使用
されうる。さらに、多くのFGF キメラ蛋白質について
は、ヘパリンセファロースを担体としたアフィニティー
クロマトグラフィー法が適用できる。
【0023】このようにして得られた標品はキメラ蛋白
質の活性が損なわれない限りにおいて透析、凍結乾燥を
行い、乾燥粉末とすることもできる。さらに、担体とし
て血清アルブミンなどを添加して保存することは、標品
の容器への吸着を防ぐのに有効である。
【0024】また、精製過程、あるいは保存過程での微
量の還元剤の共存は、該標品の酸化を防ぐのに好適であ
る。還元剤としては、β−メルカプトエタノール、ジチ
オスレイトール、グルタチンなどが挙げられる。
【0025】上記のようにして得られたキメラ蛋白質
は、医薬的に許容できる溶剤、賦形剤、担体、補助剤な
どを使用し、製剤製造の常法に従って液剤、注射剤、散
剤、顆粒剤、錠剤、坐剤、腸溶剤およびカプセル剤など
の医薬組成物とする。医薬組成物中、有効成分であるキ
メラ蛋白質の含有量は、0.000001〜1.0 重量%程度とす
ればよい。該医薬組成物は、肝臓細胞増殖剤、神経細胞
分化生存促進剤として例えばヒト、マウス、ラット、ウ
サギ、イヌ、ネコ等の哺乳動物に対して非経口的にまた
は経口的に安全に投与することができる。本医薬組成物
の投与量は、剤形、投与ルート、症状等により適宜変更
しうるが、例えばヒトを含む哺乳動物に投与する場合、
当該キメラ蛋白質を1日当たり、0.01〜10mg/体重1kg
程度の範囲が例示される。
【0026】微生物の寄託 本発明のキメラ蛋白質、即ち配列番号1のアミノ酸配列
または配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質をコード
する遺伝子を組み込んだプラスミドFGF-C(1211)ALPHA/P
UC/DH5、FGF-C(1211)BETA/PUC/DH5 を含む大腸菌DH5
株は、工業技術院生命工学工業技術研究所にそれぞれ寄
託番号FERM P-14897、FERM P-14898にて、平成7年4月
14日に寄託されいる。これらのプラスミドはベクターで
はないが、当該分野の研究者はこれから容易に発現ベク
ターを構築することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
【0028】〔実施例1〕 (1) プラスミドの構築 FGF-1の一次構造を4つのカセットに分け、アミノ酸番
号にして1-40あるいは21-40 をそれぞれbeta form ある
いはalpha formの第1カセット、41-83 を第2カセッ
ト、84-118を第3カセット、119-154 を第4カセットと
してそれぞれをコードするcDNAを制限酵素で切断できる
よう、第1カセットと第2カセットの接続部に相当する
ヌクレオチド配列をBamHI 、第2カセットと第3カセッ
トの接続部に相当するヌクレオチド配列をNcoI、第3カ
セットと第4カセットの接続部に相当するヌクレオチド
配列をSphIとなるように最小限のヌクレオチド配列の変
更を設計した。この変更によってアミノ酸配列の変更は
起こっていない。それぞれのカセットをセンス鎖2本、
アンチセンス鎖2本の合成オリゴヌクレオチドをT4ポリ
ヌクレオチドキナーゼ処理により末端リン酸化し、相補
なオリゴヌクレオチド同士のアニーリングによって2本
鎖DNAを生成させた後、2本の2本鎖DNA間でのラ
イゲーション、プラスミドベクターとのライゲーション
の過程を経て構築した。それぞれの構築カセットは最終
的にpUC18 プラスミド中にクローニングした[Forough,
R. et al., Biochim. Biophys. Acta. 1090, 293-298
(1991),及びImamura et al., Biochim. Biophys. Acta,
Vol.1266, No.2, pp.124-130(1995) 参照]。FGF-2に
ついても同様にして図1に示すように、 FGF-1: FGF-2
キメラペプチドを構築できるような、 FGF-1制限酵素部
位を生成する塩基の改変をもつ合成オリゴヌクレオチド
を用い、4つのカセットで組み立てた。各カセットの構
築方法ははじめからpUC18 プラスミド中にクローニング
したことを除いて FGF-1の場合に準じた。
【0029】4つのカセットのオリゴヌクレオチド配列
を以下に示す。 カセットA (プラスミドpTI1X) オリゴヌクレオチド:5'センス AATTCCATGGCAGCCGGGAGCATCACCAGCTGCCCCTTGCCCGAGGATGG
CGGCAGCGGCGCCTTC オリゴヌクレオチド:3'センス CCGCCCGGCCACTTCAAGGACCCCAAGCGGCTGTACTGCAAAAACGGGGG
CTTCTTCCTGCGGATCCCTGCAGCC オリゴヌクレオチド:5'アンチセンス GGGCGGGAAGGCGCCGCTGCCGCCATCCTCGGGCAAGGCGGGCAGCGTGG
TGATGCTCCCGGCTGCCATGG オリゴヌクレオチド:3'アンチセンス AGCTTGGCTGCAGGGATCCGCAGGAAGAAGCCCCCGTTTTTGCAGTACAG
CCGCTTGGGGTCCTTGAAGTGGCC
【0030】カセットB (プラスミドpTI2X) オリゴヌクレオチド:5'センス AATTCGGATCCACCCCGACGGCCGAGTTGACGGGGTCCGGGAGAAGAGCG
ACCCTCACATCAAGCTACAACTTCAAGCAG オリゴヌクレオチド:3'センス AAGAGAGAGGAGTTGTGTCTATCAAAGGAGTGTGTGCTAACCGTTACCTG
GCCATGGCTGCAGCCA オリゴヌクレオチド:5'アンチセンス TCTCTTCTGCTTGAAGTTGTAGCTTGATGTGAGGGTCGCTCTTCTCCCGG
ACCCCGTCAACTCGGCCGTCGGGGTGGATCCG オリゴヌクレオチド:3'アンチセンス AGCTTGGCTGCAGCCATGGCCAGGTAACGGTTAGCACACACTCCTTTGAT
AGACACAACTCCTC
【0031】カセットC (プラスミドpTI3X) オリゴヌクレオチド:5'センス AATTCCATGGAGGAAGATGGAAGATTACTGGCTTCTAAATGTGTTACG オリゴヌクレオチド:3'センス GATGAGTGTTTCTTTTTTGAACGATTGGAATCTAATAACTACAATACTTA
CCGCTCAAGGAAGCATGCCTGCAGCCA オリゴヌクレオチド:5'アンチセンス ACTCATCCGTAACACATTTAGAAGCCAGTAATCTTCCATCTTCCTCCATG
G オリゴヌクレオチド:3'アンチセンス AGCTTGGCTGCAGGCATGCTTCCTTGAGCGGTAAGTATTGTAGTTATTAG
ATTCCAATCGTTCAAAAAAGAAAC
【0032】カセットD (プラスミドpTI4X) オリゴヌクレオチド:5'センス AATTCGCATGCCAGTTGGTATGTGGCACTGAAACGAACTGGGCAGTATAA
ACTTGGGTCCAAAACAGGTCCTGGGC オリゴヌクレオチド:3'センス AGAAAGCTATACTTTTTCTTCCAATGTCTGCTAAGAGCTGATTTTAATGG
CCAGATCTCTGCAGCCA オリゴヌクレオチド:5'アンチセンス CTTTCTGCCCAGGTCCTGTTTTGGACCCAAGTTTATACTGCCCAGTTCGT
TTCAGTGCCACATACCAACTGGCATGCG オリゴヌクレオチド:3'アンチセンス AGCTTGGCTGCAGAGATCTGGCCATTAAAATCAGCTCTTAGCAGACATTG
GAAGAAAAAGTATAG
【0033】上記の4つのカセットは以下のような手順
で結合した(図2)。プラスミドpTI23XはpTI2X の大き
い方のSspI-NcoI 断片をpTI3X の小さい方のSspI-NcoI
断片に挿入することによって構築した。プラスミドpTI1
23X はpTI1X の大きい方のSspI-BamHI断片をpTI23Xの小
さい方のSspI-BamHI断片に挿入することによって構築し
た。合成 FGF-2のオープンリーディングフレーム(ORF)
を含むプラスミドpTI60301は、pTI123X の大きい方のSs
pI-SphI 断片をpTI4X の小さい方のSspI-SphI 断片に挿
入することによって構築した。
【0034】合成 FGF-2を、5'オリゴヌクレオチドGGCA
TATGGCAGCCGGGAGCATCACCと3'オリゴヌクレオチドCCCCAG
ATCTAATCAGCTCTTAGCAGACATTGG (図3)を用いる以外
は、Imamura, T. et al., Science 249, 1567-1570 (19
90) 記載の方法に従ってポリメラーゼ鎖反応(PCR)
変異を使用し、その開始点にNdeIを導入することによっ
てpET3C 発現系[Studier, F. W. et al., Methods Enz
ymol., 185, 60-89 (1990)]にクローン化した。
【0035】PCR 産物を、NdeI-BglIIで消化し、バンド
を単離し、pET3C のNdeI-BamHIへライゲートし、プラス
ミドpTI70301を構築した。
【0036】FGF-1:FGF-2 キメラペプチドであるFGF-C
は個々にマルチステップストラテジーを用いて構築し
た。以下の各キメラペプチドFGF-C に続く括弧内の数字
は合成FGF-1(1111)または FGF-2(2222)のいずれかから
の4つのカセットの結合を示す。図3に各キメラペプチ
ドFGF-C の構造を示す。
【0037】FGF-C(2111)を発現するpTI70308は、 FGF-
1内にカセットAのNcoI-BamHI断片を含み、pTI70301と
同様な手法でpET3C にクローン化した。FGF-C(1211)を
発現するpTI70405は、 FGF-1内にカセットBのBamHI-Nc
oI断片を含む。FGF-C(1121)を発現するpTI70406は、 FG
F-1内にカセットCのNcoI-SphI 断片を含む。FGF-C(111
2)を発現するpTI70407は、 FGF-1内にカセットDのSphI
-BglII断片を含む。FGF-C(2122)を発現するpTI70302
は、 FGF-2内に FGF-1からのBamHI-NcoI断片を含む。pE
T3C内のこれらの全ての構築物はシーケンシングによっ
て意図した通りのものができていることが確認された。
【0038】また、FGF-C(1(1/2)11) を発現するpSF37
は、5'センスオリゴヌクレオチドGATCCTTCCGGATGGCACAG
TGGATGGGACAAGGGACAGGAGCGACCAGCACATTCAGCTGC、3'セン
スオリゴ A (G → A)(C → T) TGCAAGCAGAAGAGAGAGGAGT
TGTGTCTATCAAAGGAGTGTGTGCTAACCGTTACCTGGC 、5'アンチ
センス A (G → A) (C→ T) TGCAGCTGAATGTGCTGGTCGCTC
CTGTCCCTTGTCCCATCCACTGTGCCATCCGGAAG 、3'アンチセン
ス CATGGCCAGGTAACGGTTAGCACACACTCCTTTGATAGACACAACT
CCTCTCTCTTCTGCTTGCのpHBGF-1 β-pET3C[Forough, R.
et al., Biochim. Biophys. Acta,1090, 293-298 (199
1)]のBamHI-NcoI部位へのライゲーションにより作成し
た。上記のオリゴヌクレオチド中の括弧内はMnuI制限酵
素部位を導入するのに必要な塩基変化を示す。しかし、
これらの変化はアミノ酸配列に影響を与えない。
【0039】(2) FGF-1, FGF-2 及び各FGF-C の発現と
精製 FGF プロトタイプ(FGF-1, FGF-2) およびキメラ(C) 蛋
白質の精製を以下のようにして行った。すなわち、対数
増殖期培養における合成FGF-ORF のBL21(DE3)pLysS大腸
菌細胞内発現を0.5mM IPTGを用いて2時間誘導し、溶菌
バッファー内で凍結−融解し、遠心した。上清をヘパリ
ンセファロースクロマトグラフィーによって分画し、続
いて mono-S HPLC(Pharmacia) にかけた。全ての組み換
え蛋白質の純度は銀染色したドデシル硫酸ナトリウム−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動によると95% 以上であ
った。
【0040】(3) 合成DNAアッセイ 組み換えFGF のマイトジェン活性をBALB/c 3T3またはSw
iss 3T3 細胞のいずれかのDNAへの[3H]チミジンの
取り込みによって測定した。すなわち、3T3 細胞のサブ
コンフルエントな単層を0.3%(v/v) チャーコール−吸着
ウシ胎児血清を含むDMEMで飢餓させ、種々の濃度の組み
換えFGF にて処置した。15時間インキュベーション後、
細胞を2μCi/ml[3H]チミジンで4 時間標識し、トリ
クロロ酢酸不溶性放射活性を測定した。
【0041】(4) FGF キメラ蛋白質のヘパリン−セファ
ロースアフィニティー mono-S精製FGF キメラタンパク質の50mM Tris (pH7.4)
溶液をHiTrap-heparin(Pharmacia) カラムに載せ、NaCl
の同緩衝液溶液の直線濃度勾配にて溶出した。溶出画分
の215nm における吸光度をモニターし、記録した。
【0042】(5) 結果及び考察 FGF-1、 FGF-2、各キメラFGF-C について、ヘパリン存
在または不存在下でのマイトジェン活性を調べた(図
4、A〜D)。FGF-C(1121) 、及びFGF-C(1112)につい
ては、ヘパリンの存在下においても60ng/ml でマイトジ
ェン活性がなかったので、さらなる評価には不適切であ
ると判断した。これに対し、FGF-C(1211)、FGF-C (1(1/
2)11)およびFGF-C(2111) が天然型 FGF-1と固定化ヘパ
リンからの溶出プロフィールが同じであり(図5)、こ
れらのキメラ蛋白質は、 FGF-1様のヘパリン親和性を維
持していると判断された。
【0043】図4A:FGF-C (2222)と天然型 FGF-2 FGF-C (2222)は、 FGF-2蛋白配列内で3つのアミノ酸配
列置換を行った(FGF-C (2222) 86 位のリジンをグルタ
ミン酸、120 位のチロシンをヒスチジン、121位のスレ
オニンをアラニン) が、これらの置換によって天然型 F
GF-2に比べてFGF-C (2222)のマイトジェン活性が10倍減
少した。また、FGF-C (2222)も天然型FGF-2 もそのマイ
トジェン活性がヘパリンの添加に依存しなかった(3倍
以下) 。 図4B:FGF-C (2111)と天然型 FGF-1 天然型 FGF-1のマイトジェン活性は強いヘパリン依存性
を示した。FGF-C (2111)のマイトジェン活性も、天然型
FGF-1同様ヘパリン依存性であった。 図4C:FGF-C (1211) FGF-C (1211)のマイトジェン活性はヘパリン非依存性で
あった。 図4D:FGF-C (1(1/2)11) FGF-1のカセットBを FGF-2からのアミノ酸番号65から8
1までの配列で置き換えたFGF-C (1(1/2)11) を形成し
たところ、そのマイトジェン活性はヘパリン非依存性で
あった。
【0044】FGF-1のカセットBを FGF-2で置き換えた
もののマイトジェン活性がヘパリン非依存性を示したこ
とにより(図4C)、 FGF-1のカセットBがヘパリン依
存性を担うところであると判断される。さらに、 FGF-1
のカセットBのうち、 FGF-2からのアミノ酸番号65から
81までの配列で置き換えたFGF-C (1(1/2)11)のマイトジ
ェン活性もまたヘパリン非依存性であったことにより
(図4D)、 FGF-2のアミノ酸番号65から81までの残基
がヘパリン非依存性を担うところであると判断された。
【0045】〔試験例1〕 肝臓細胞増殖活性 (1) キメラ蛋白質の肝細胞DNA合成に対する影響 2μg/mlヘパリンの不存在下(A)および存在下
(B)、初代培養におけるラット肝細胞のDNA合成に
対するFGF-C (1211)、 FGF-1、またはEGF の効果を調べ
た。肝細胞の初代培養を以下のように行った。7〜9週
齢の雌のウイスター(Wistar)成熟ラットより二段階コラ
ーゲナーゼ灌流によって肝細胞を単離し、タイプI−コ
ラーゲン−被覆マルチウェルプレートに2×104 細胞/c
m2の割合で蒔いた。細胞を10% ウシ胎児血清を添加した
ウイリアム培地Eで、5%CO2 雰囲気下、37℃で培養し
た。2時間後、付着した細胞をポリペプチド成長因子を
含む同培地に流加させた。全DNA合成を2〜72時間の
DNAへの3H- チミジン取り込みによって測定した。結
果を図6に示す。各点は3重の試料の平均+/−標準偏
差 (S.D.) を表す。
【0046】(2) ポリペプチド成長因子を併用した場合
の肝細胞DNA合成に対する影響 肝細胞を図7に示すようなブロモデオキシウリジン(Br
dU) の存在下、種々の肝細胞成長因子の組み合わせを添
加した増殖培地にて培養した。細胞を固定化し、BrdUに
対して染色し、少なくとも600 細胞を各サンプルに対し
て計測した。標準指数は標識された核の割合(%) とし
た。数値は3重に行った培養の+/−標準偏差(S.D.)の
平均を表す(表1)。
【0047】
【表1】 ──────────────────────────────── 成長因子 標準指数(%) +/- S.D. ──────────────────────────────── 添加なし 5.70 +/- 1.74 FGF-C(1211) 10ng/ml 55.54 +/- 4.80 EGF 10ng/ml 57.30 +/- 3.53 HGF 10ng/ml 66.05 +/- 1.18 FGF-C(1211) 10ng/ml + EGF 10ng/ml 76.65 +/- 1.64 FGF-C(1211) 10ng/ml + HGF 10ng/ml 88.09 +/- 3.08 ────────────────────────────────
【0048】分離した初代肝細胞を本質的に上記と同様
にしてタイプI−コラーゲン−被覆ガラスカバースリッ
プに載せ、付着した肝細胞を種々の成長因子の組み合わ
せを含む培地で再流加した。DNA合成中にブロモデオ
キシウリジンを取り込んだ核を免疫染色によって可視化
した(図7)。
【0049】〔試験例2〕 (1) 神経細胞突起伸展誘導活性 PC12細胞は神経細胞突起伸展誘導活性に一般に使われて
いる細胞である。このPC12細胞をDulbecco's modified
minimum essential medium (DMEM), 10% fetalbovine s
erum (FBS), 5% horse serum の培養液で50ng/ml でポ
リLリジンコーティングしたプラスティックフラスコ中
で培養した。約30% のコンフルエントになったところで
培地中にFGF-C(1211) を10ng/ml の濃度で加えた。コン
トロールとしてFGF-C(1211) を加えない試料も同様に培
養した。培養48時間後に位相差顕微鏡写真を撮影した
(図8)。FGF-C(1211) を添加した細胞(B)は、添加
しない細胞(A)と比較して有意に神経細胞突起伸展が
認められる。
【0050】(2) 神経細胞生存維持活性 細胞を増殖因子を含む無血清DMEM培地で培養すると、24
時間後に10ng/ml のFGF を入れた培地中で細胞の生存が
確認された。
【0051】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:155 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Glu Gly Glu Ile Thr Thr Phe Thr Ala Leu Thr Glu Lys Phe 1 5 10 15 Asn Leu Pro Pro Gly Asn Tyr Lys Lys Pro Lys Leu Leu Tyr Cys Ser 20 25 30 Asn Gly Gly His Phe Leu Arg Ile His Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly 35 40 45 Val Arg Glu Lys Ser Asp Pro His Ile Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu 50 55 60 Glu Arg Gly Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu 65 70 75 80 Ala Met Glu Thr Asp Gly Leu Leu Tyr Gly Ser Gln Thr Pro Asn Glu 85 90 95 Glu Cys Leu Phe Leu Glu Arg Leu Glu Glu Asn His Tyr Asn Thr Tyr 100 105 110 Ile Ser Lys Lys His Ala Glu Lys Asn Trp Phe Val Gly Leu Lys Lys 115 120 125 Asn Gly Ser Cys Lys Arg Gly Pro Arg Thr His Tyr Gly Gln Lys Ala 130 135 140 Ile Leu Phe Leu Pro Leu Pro Val Ser Ser Asp 145 150 155
【0052】配列番号:2 配列の長さ:136 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Asn Tyr Lys Lys Pro Lys Leu Leu Tyr Cys Ser Asn Gly Gly 1 5 10 15 His Phe Leu Arg Ile His Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly Val Arg Glu 20 25 30 Lys Ser Asp Pro His Ile Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly 35 40 45 Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Glu 50 55 60 Thr Asp Gly Leu Leu Tyr Gly Ser Gln Thr Pro Asn Glu Glu Cys Leu 65 70 75 80 Phe Leu Glu Arg Leu Glu Glu Asn His Tyr Asn Thr Tyr Ile Ser Lys 85 90 95 Lys His Ala Glu Lys Asn Trp Phe Val Gly Leu Lys Lys Asn Gly Ser 100 105 110 Cys Lys Arg Gly Pro Arg Thr His Tyr Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe 115 120 125 Leu Pro Leu Pro Val Ser Ser Asp 130 135
【0053】配列番号:3 配列の長さ:155 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Glu Gly Glu Ile Thr Thr Phe Thr Ala Leu Thr Glu Lys Phe 1 5 10 15 Asn Leu Pro Pro Gly Asn Tyr Lys Lys Pro Lys Leu Leu Tyr Cys Ser 20 25 30 Asn Gly Gly His Phe Leu Arg Ile Leu Pro Asp Gly Thr Val Asp Gly 35 40 45 Thr Arg Asp Arg Ser Asp Gln His Ile Gln Leu Gln Leu Gln Ala Glu 50 55 60 Glu Arg Gly Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu 65 70 75 80 Ala Met Glu Thr Asp Gly Leu Leu Tyr Gly Ser Gln Thr Pro Asn Glu 85 90 95 Glu Cys Leu Phe Leu Glu Arg Leu Glu Glu Asn His Tyr Asn Thr Tyr 100 105 110 Ile Ser Lys Lys His Ala Glu Lys Asn Trp Phe Val Gly Leu Lys Lys 115 120 125 Asn Gly Ser Cys Lys Arg Gly Pro Arg Thr His Tyr Gly Gln Lys Ala 130 135 140 Ile Leu Phe Leu Pro Leu Pro Val Ser Ser Asp 145 150 155
【0054】配列番号:4 配列の長さ:136 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Asn Tyr Lys Lys Pro Lys Leu Leu Tyr Cys Ser Asn Gly Gly 1 5 10 15 His Phe Leu Arg Ile Leu Pro Asp Gly Thr Val Asp Gly Thr Arg Asp 20 25 30 Arg Ser Asp Gln His Ile Gln Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly 35 40 45 Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Glu 50 55 60 Thr Asp Gly Leu Leu Tyr Gly Ser Gln Thr Pro Asn Glu Glu Cys Leu 65 70 75 80 Phe Leu Glu Arg Leu Glu Glu Asn His Tyr Asn Thr Tyr Ile Ser Lys 85 90 95 Lys His Ala Glu Lys Asn Trp Phe Val Gly Leu Lys Lys Asn Gly Ser 100 105 110 Cys Lys Arg Gly Pro Arg Thr His Tyr Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe 115 120 125 Leu Pro Leu Pro Val Ser Ser Asp 130 135
【0055】
【発明の効果】本発明の医薬組成物の有効成分として含
有させるキメラ蛋白質は、肝臓細胞増殖活性を発揮する
ので、肝臓細胞の増殖が問題となったり期待されている
各種疾病の治療、例えば肝臓切除後の肝再生促進や肝機
能低下時の肝機能改善などに有効である。このキメラ蛋
白質はまた、神経細胞分化生存促進作用を発揮するので
神経細胞の分化生存機能が問題となったり期待されてい
る各種疾患の治療、例えば脳外科手術後の神経繊維回復
促進やアルツハイマー病における退縮性神経変成の予
防、治療などに有効である。さらに、 FGF-1あるいは F
GF-2が生理的あるいは病理的に作用している生体内にお
ける様々な現象、 FGF-1あるいは FGF-2が働きうる生体
内における様々な現象、及びそれらを人工的に誘導しよ
うとする場合において、それらの働きの一部または全部
を同等あるいはそれ以上に高機能な分子として代替しう
る。例として、血管新生の促進とこれにより起こる現
象、創傷の治療、筋芽細胞の分化抑制と増殖抑制による
新たな筋肉組織の形成、レンズ細胞の分化促進などが挙
げられる。このような適用において、ヘパリン非依存性
であるので、多様な生物学的過程におけるヘパリンの副
作用を避けることができ、例えば、ヘパリンにより活性
が阻害されてしまうHGF との併用が可能となって、その
効果が相乗されうる。このことは特に肝臓細胞増殖因子
としての利用の上で大きなメリットとなる。さらに、接
続部のアミノ酸を除いてヒト型あるいは特定の動物種か
ら作成されるので、それぞれの動物個体の中で基本的に
外来アミノ酸を有しないことにより免疫系によって異物
と認識されない。このことは人体あるいは動物個体に投
与した場合に抗体ができることによる不活性化から免れ
ることを意味し、医薬用途としての安全性においても価
値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト FGF-1および FGF-2のアミノ酸配列(一
文字表記)及びそれらのホモロジーを示す。
【図2】 4つのカセットフォーマットを用いたヒト F
GF-2の構築図を示す。
【図3】 各キメラペプチドFGF-C の構造を示す。白い
部分は FGF-1のカセットを表し、斜線部分は FGF-2のカ
セットを表す。
【図4】 ヒト FGF-1および FGF-2、各キメラペプチド
FGF-C について、ヘパリン存在または不存在下でのマイ
トジェン活性を示す。
【図5】 FGF-C(1211)、FGF-C(1(1/2)11)、および天然
型 FGF-1の固定化ヘパリンからの溶出プロフィールを示
す。
【図6】 ヘパリン不存在下(A)および存在下
(B)、初代培養におけるラット肝細胞のDNA合成に
対するFGF-C(1211)、 FGF-1、またはEGF の効果を示
す。
【図7】 ポリペプチド成長因子併用による肝細胞DN
A合成に対する効果(ブロモデオキシウリジンを取り込
んだ核の免疫染色写真)を示す。 A:成長因子添加なし B:FGF-C(1211) (10ng/ml) C:HGF (10ng/ml) D:HGF (10ng/ml) +FGF-C(1211) (10ng/ml) E:EGF (10ng/ml) F:EGF (10ng/ml) +FGF-C(1211) (10ng/ml)
【図8】 培養神経細胞の神経突起伸長に対するFGF-C
(1211) の効果を示す。 A:成長因子添加なし B:FGF−C(1211) (10ng/ml)
フロントページの続き (56)参考文献 特表 平6−503962(JP,A) 特開 平2−3699(JP,A) Biochimica et Bio physica Acta,Vol. 1266,No.2(1995年4月28日,特殊 法人日本化学技術情報センタ−において 1995年5月10日に受け入れ)P.124− 130

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性繊維芽細胞成長因子(FGF−1)
    蛋白質の部分ペプチドと、塩基性繊維芽細胞成長因子
    (FGF−2)蛋白質の部分ペプチドとを含むキメラ蛋
    白質を有効成分とする肝臓細胞増殖のための医薬組成
    物。
  2. 【請求項2】 キメラ蛋白質が、配列番号1のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、肝臓細胞増殖促進活性を有す
    る蛋白質である請求項1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 キメラ蛋白質が、配列番号2のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、肝臓細胞増殖促進活性を有す
    る蛋白質である請求項1記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 キメラ蛋白質が、配列番号3のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、肝臓細胞増殖促進活性を有す
    る蛋白質である請求項1記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 キメラ蛋白質が、配列番号4のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、肝臓細胞増殖促進活性を有す
    る蛋白質である請求項1記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 酸性繊維芽細胞成長因子(FGF−1)
    蛋白質の部分ペプチドと、塩基性繊維芽細胞成長因子
    (FGF−2)蛋白質の部分ペプチドとを含むキメラ蛋
    白質を有効成分とする神経細胞分化生存促進のための医
    薬組成物。
  7. 【請求項7】 キメラ蛋白質が、配列番号1のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、神経細胞分化生存促進活性を
    有する蛋白質である請求項6記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 キメラ蛋白質が、配列番号2のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、神経細胞分化生存促進活性を
    有する蛋白質である請求項6記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 キメラ蛋白質が、配列番号3のアミノ酸
    配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残基
    の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得ら
    れるアミノ酸配列を含み、神経細胞分化生存促進活性を
    有する蛋白質である請求項6記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】 キメラ蛋白質が、配列番号4のアミノ
    酸配列を含む蛋白質、又は該アミノ酸配列にアミノ酸残
    基の付加、欠失、置換もしくは修飾を施すことにより得
    られるアミノ酸配列を含み、神経細胞分化生存促進活性
    を有する蛋白質である請求項6記載の医薬組成物。
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