JP2731886B2 - シングルイオン注入装置及び方法 - Google Patents

シングルイオン注入装置及び方法

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JP2731886B2 JP5123621A JP12362193A JP2731886B2 JP 2731886 B2 JP2731886 B2 JP 2731886B2 JP 5123621 A JP5123621 A JP 5123621A JP 12362193 A JP12362193 A JP 12362193A JP 2731886 B2 JP2731886 B2 JP 2731886B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は集束イオンビーム(FI
B)もしくはイオンマイクロプローブによるマイクロイ
オンビーム(MIB)を利用したイオン注入装置に関
し、特に狙った部位に所定の照準精度でイオン1個もし
くは制御された所定数イオンを精度良く注入するシング
ルイオンもしくは制御された所定数イオン注入が可能な
シングルイオン注入装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】0.1 μm以下の寸法をもつ次世代の絶縁
ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET)や、微細
化のさらに延長線上に位置する量子化機能素子などの極
微構造デバイスにおいては、不純物濃度、キャリア密
度、表面及び界面準位などが、数えられる程度に減少す
るので、それらのゆらぎは電気的特性における甚大なゆ
らぎとなって現れてくる。従って、極微構造を実現する
ためには、加工技術におけるきわめて高精度の制御性が
要求されるが、加工による損傷の発生や隠れた不純物の
効果など、制御性を著しく損なう要因が数多く潜在す
る。極微構造デバイスは、これらの要因を文字通り、一
つずつつぶして行くことによって初めて実現するので、
極微構造の加工プロセスの素過程や極微構造の物性制御
に関する根本的な解明が課題となっている。
【0003】 極微構造の物性制御に関する従来技術を以
下に説明する。
【0004】 界面制御 金属/半導体界面は、過去数十年にわたり研究されてき
た固体物理における中心的なテーマのひとつである。し
かし、その構造と性質には未だ不明な点が多く、ショッ
トキー障壁(Schottky Barrier:SB) の形成機構を例をと
っても多数のモデルが提案されており、今のところ定説
は無い状況である。とりわけ、デバイスから信号を取り
出すオーミックコンタクトについては、デバイスシミュ
レーションに用いる実験式すら得られていない。その理
由は、界面がバルクの中に埋もれた領域であり、その特
性を直接測定することが非常に困難なためである。これ
に加えて、従来界面の評価に用いられてきた分析手段で
は、界面の形成に伴う化学反応、欠陥形成、相互拡散等
による不均一な界面に対して、平均化された情報しか得
られないことによる。つまり、金属/半導体界面の特性
を完全に理解するためには、直接的に、しかも高い空間
分解能をもって界面の評価が可能な分析手段の存在が不
可欠であった。
【0005】 1988年にJPLのKaiserとBellが開発した
弾道電子放射顕微鏡(Ballistic-Electron-Emission Mic
roscope : BEEM) は、走査型トンネル顕微鏡(Scanning
Tunneling Microscope : STM) を改造し、界面の評価に
応用したものである[W.J.Kaiserand L.D.Bell, Phys.
Rev. Lett.,60,1406(1988)]。金属薄膜/半導体系界面
において、STMのチップ−金属間のトンネル電流を構
成する電子の中で金属表面に達した電子の一部が、金属
膜中をBallisticに伝導し金属/半導体界面に
達することを利用したもので、電圧−電流特性から2n
m以内の領域のショットキー障壁(SBH)を測定する
ことが可能である。すなわち、金属/半導体界面の物理
現象を解明するための強力な評価手段となり得るが、国
内においてBEEMの研究はほとんど行われていない。
本発明者は、STMにハードウェア的な変更を加え、国
内で初めてBEEMを製作し、BEEMによるPt/n
−Si(100)界面のショットキー障壁高さ(SB
H)の測定、SBHのミクロスコピックな空間分布に関
する検討を開始している。本発明のシングルイオン注入
装置及びシングルイオン注入方法では、BEEMの持つ
高い空間分解能を最大限に生かし、シングルイオン注入
による界面操作の効果をBEEMにより観察すること
で、界面反応の原子的素過程を明らかにすることができ
る。
【0006】 SiO2 /Si系界面は、MOSFETの
最も重要な構成要素として、従来から極めて活発に研究
が行われている。最近では、次世代MOSFET用極薄
ゲート酸化膜形成に関して、酸化前のSiの表面状態、
自然酸化膜の形成過程[M.Morita, T.Ohmi,E.Hasegawa,
M.Kawakami and M.Ohwada, J. Appl. Phys.,68(1990)1
272 , T.Yasaka, K.Kanda, K.Sawara, S.Miyazaki and
M.Hirose, Jpn. J. Appl. Phys.,30(1991)3567]、極薄
酸化膜形成プロセスなどに関する研究が、X線光電子分
光法、赤外吸収法、熱脱離分光法などを用いて盛んに行
われている。MOSFETの極微化にともない離散量と
なる界面準位による電気的特性のゆらぎについては、そ
の可能性が指摘されているほか、従来、いわゆる電信雑
音と呼ばれてきたトラップによる電子の捕獲、放出を実
測した例[M.Schulz and A.Karmann, Physica Scripta,
T35,(1991)273 ]がある。界面準位を意図的に導入し
て、極微構造におけるゆらぎの顕在化を実証した例はな
い。
【0007】 本発明者は、SiO2 /Si系界面に関し
ては従来、超高分解能電子顕微鏡、及び界面構造モデル
による歪エネルギー計算を用いて、主として界面の原子
配列に関する知見の集積に努力してきたが[H.Akatsu a
nd I,Ohdomari, J. Non-Crist. Solid.,89(1987)239 ,
H.Akatsu and I.Ohdomari, J. Appl. Phys.,62(1987)37
51]、界面の原子的尺度での凹凸と界面準位密度との間
には必ずしも強い相関は無いことを見出したことによ
り、現在は、界面準位密度が、界面における水素など制
御の対象外だった要因によってより強く支配されている
のではないか、との疑いを抱くに至っている[H.Fukud
a, M.Yasuda, T.Iwabuchi, S.Kaneko,T.Ueno and I.Ohd
omari, J. Appl. Phys.,72(1992)1906 ]。本発明のシ
ングルイオン注入装置及びシングルイオン注入方法にお
いてシングルイオン注入により、既知の密度の界面準位
を導入し、その後の水素雰囲気熱処理などによる挙動を
明らかにすることができる。
【0008】 不純物制御 不純物制御については、薄膜結晶成長時にシート状の不
純物層を形成(デルタドーピング)し、電気的ならびに
光学的性質改善に成功した例が多数報告されている(例
えば、Schubert[E.F Schubert, J. Vac. Sci.
Technol.,A8(1990)2980])が、これは本質的には成長
方向の不純物分布の制御であり、微小構造体中の不純物
原子数の制御を試みた例はない。
【0009】 画面方向のサイズが十分小さく(〜100
nmのオーダ)、進行方向は散乱の起こらない程度の長
さを持つ一次元細線構造での電気伝導は、Landau
er[R.Landauer, IBM J. Res. & Dev. 1,(1957)22
3],Buttiker[M.Buttiker,Phys. Rev. Let
t.,57(1986)1761]をはじめとして、数多くの理論的研
究がなされている。最近では、量子運動方程式を使って
この様な系の不純物による化学ポテンシャル及び静電ポ
テンシャルの変化をシミュレーションするという興味深
い研究もMcLennanらによって行われた[M.J.McLennan,
Y.Lee and S.Datta,Phys. Rev.B43(1991)13846]。
【0010】 実際に量子細線を形成し、量子サイズ効果
を確認した研究例は数多くある。国内でみると、FIB
により誘起される欠陥を利用して二次元ガス中に細線を
作った生駒ら[T.Hiramoto, K.Hirakawa, Y.Iye and T.
Ikoma, Appl.Phys. Lett.,51(1987)1620]や、FIBに
よるドーピング効果を利用し細線を形成した平山ら[Y.
Hirayama, T.Saku and Y.Hirokoshi, Phys. Rev.B39(19
89)5535 ]などが、コンダクタンスの量子化などの現象
を観測している。量子化ドーピングは、本発明のシング
ルイオン注入装置及びシングルイオン注入方法を実現す
ることによって本願発明者が今回初めて提案した概念で
ある。
【0011】 デバイス制御 半導体材料及びデバイスへの粒子線(イオン)照射効果
に関する研究は、20年ほど前から主として米国で続けら
れてきたが、これらは宇宙空間や原子力施設等、特殊な
条件下でのデバイスの使用を目的としたものである。し
かし、1979年にMay らによって、デバイスのパッケージ
材に含まれる極微量の放射性元素から放出されるα粒子
により、通常環境下で使用されるデバイスにおいてもソ
フトエラー(1個の高エネルギーイオン入射によって発
生するデバイスの誤動作)が発生することが報告された
[T.C.May and M.H.Woods, IEEE Trans. Electron Devi
ces ED-26(1979)2]。また、デバイス寸法を縮小するほ
ど、この問題がより深刻化することが判明し、その後各
半導体メーカーにおいて、ソフトエラー対策に関する研
究が盛んに行われるようになった。
【0012】 従来、デバイスに対するイオン照射効果の
評価は、放射性同位元素または加速器より射出されるイ
オンをデバイス全体にランダムに照射し誤動作の頻度を
統計的に処理することにより行われてきた[N.Shiono,
Y.Sakagawa, M.Sekiguchi, K.Sato,I.Sugai, T.Hattori
and Y.Hirao, IEEE Trans. Nucl. Sci.NS-33(1986)163
2 ]。しかしこの方法は、イオンが試料上に入射した位
置の特定が不可能であるという本質的な欠点があった。
【0013】 微細化された集積回路へのイオン照射効果
を直接的に評価するためには、μmオーダの分解能でデ
バイスにイオン照射を行う技術が必要である。1992年、
Horn,Doyleらによって、μmオーダに集束した高エネル
ギーイオンビームを利用したデバイスへのイオン照射効
果の評価法が報告された[K.M.Horn, B.L.Doyle andF.
W.Sexton, IEEE Trans.Nucl. Sci. NS-39(1992)7]。こ
の方法では、イオン照射位置を特定することには成功し
たが、ビームを集束したことによる高密度のイオン照射
が、半導体材料の照射損傷、デバイスの恒久的劣化を引
き起こしてしまうという点で過渡応答の評価にはほど遠
いものであった。
【0014】 本発明者らはシングルイオンマイクロプロ
ーブを用いて、現在VLSIへのシングルイオン照射効
果の照射部位依存性の評価を行った[K.Noritake, T.Ma
tsukawa, M.Koh, K.Hara, M,Goto and I.Ohdomari, Jp
n. J. Appl .Phys.31(1992)L771]。これは、市販の
VLSIにイオンを1個ずつ位置を変えて照射し、その
効果を評価した世界で最初の試みである。図3に示すよ
うに2μm角の部位毎のソフトエラーの起こり方を測定
することに成功している[K.Noritake, T.Matsukawa,
M.Koh, K.Hara, M.Goto and I.Ohdomari, Jpn. J. App
l. Phys.31(1992)L771]。
【0015】 以上現在までに、デバイスへシングルイオ
ンを照射して誤動作を誘起する新しい評価法の開発に成
功するに至っているが、本発明の目的であるデバイスの
過渡応答現象の直接的理解、及びその耐性強化の為の指
針獲得、を達成するためには、Heだけでなく様々なL
ET(イオンが単位飛程において失うエネルギー)のイ
オンを照射してその効果を調べる必要がある。すでに開
発を行ったシングルイオンマイクロプローブに新たなイ
オン源を増設することにより、この目的は達成可能であ
る。
【0016】 0.1 μm以下に縮小される次世代の極微構
造デバイスについて過渡現象に関する基礎的な知見を得
るためには、10nmオーダの照準精度を持ったシステ
ムの導入が不可欠である。この目的のために、すでに開
発されたイオンマイクロプローブ(IMP)の代わりに
50nm以下のプローブ径を持ったFIB装置を利用
し、これにシングルイオンマイクロプローブ開発で得た
シングルイオン抽出及び照準技術を導入すれば、極めて
高精度のシングルイオン注入装置を実現することができ
る。
【0017】 点欠陥の挙動の解明に関する従来技術を以
下に説明する。
【0018】 半導体とりわけSi中の結晶欠陥に関する
研究については、電子スピン共鳴や電気的測定を中心と
する研究が、1960年代末に発明されたイオン注入法が半
導体製造技術として定着した1980年代まで極めて活発に
行われていたが、欠陥は規模が小さくなるほど不安定で
あるため、格子間原子、単空格子点、あるいは複空格子
点などの点欠陥の挙動を実験的に明らかにする研究は、
今だに未解決のまま残されている。一方、計算物理の立
場では、規模が小さいほど扱い易いため、1984年にはCa
r らによりSi中の格子間原子のBourgoin機構
に関する理論的計算の結果が発表され[R.Car, P.J.Kel
ly. A.Oshiyama and S.T.Pantelides,Phys. Rev. Let
t.,52(1984)1814 ]、以後最近のSi中のドーパントの
拡散に及ぼす圧力の効果[O.Sugimoto and A.Oshiyama,
Materials Science Forum, 83-87(1992)469]に至るま
で多くの結果が発表されている。
【0019】 本件出願人は既にイオンマイクロプローブ
を利用したイオン照射装置を開発し、特に狙った部位に
イオン1個もしくは制御された所定数イオンを精度良く
照射するシングルイオンもしくは制御された所定数イオ
ン照射が可能なイオン照射装置及び方法を特願平4−8
4904号に開示している。その概要を以下に述べる。
図4は上記先行技術によるイオン照射装置の原理構成図
である。
【0020】 先行技術では、イオンマイクロプローブ
と、前記イオンマイクロプローブより発生されたマイク
ロイオンビーム40と、前記マイクロイオンビーム40
を偏向する偏向板(41)と、前記偏向板(41)によ
り前記マイクロイオンビーム40を偏向する電界制御
(ビームチョッパ)回路(42)と、前記偏向されたマ
イクロイオンビームから所定数のイオンを抽出するため
のマイクロスリット(43)と、前記イオンを照射する
試料(44)を装着する試料保持機構と、前記試料(4
4)表面をリアルタイムに観察するSEM機構を含み前
記試料(44)表面に照射されたイオンによって発生さ
れる2次電子を検出する検出系とからなる前記イオン照
射装置において、前記マイクロイオンビーム40の偏向
方向が前記マイクロスリット(43)に対して瞬間的に
反転されチョップされることにより前記マイクロスリッ
ト(43)から所定数のイオンを抽出することを特徴と
するイオン照射装置としての構成、或いは、上記装置に
おいて、1個〜任意数の制御されたイオンを抽出して前
記試料(44)表面に照射する方法としての構成を有す
る。
【0021】 上記装置の動作方法としては、(1)マイ
クロイオンビーム40を一方向に偏向させ、マイクロス
リット43でビームを遮っておく工程と、(2)マイク
ロイオンビーム40の偏向方向を瞬間的に反転させる工
程と、(3)ターゲットチェンバー45内の試料44よ
り放出される二次電子46を二次電子増倍管47で検出
し、シングルイオンが抽出照射されたことを確認する工
程から成り立っている。
【0022】 先行技術の発明によるイオン照射装置及び
方法の特徴は制御性良く1個〜任意数のイオンを抽出す
るというイオン生成技術にある。従来公知のビームマイ
クロ化技術及び照準技術と組み合わせることによって初
めて実現されるものであるが、重要な構成要素は、単一
イオンを抽出するためのマイクロイオンビームの偏向の
チョッピングとスリット幅とマイクロイオンビーム電流
及びビーム径にある。本願発明者は上記構成要素を適切
に選ぶための実験を繰り返すことによって制御性良く単
一イオンを抽出する条件を見出した。単一イオンを制御
性良く抽出する方法が見出されたことと同時に、任意数
のイオンを制御性良く抽出することも可能となった。
【0023】 従来単一イオンもしくは任意数のイオンを
制御性良く抽出するという装置及び方法は提案されてい
なかったが、発明者らはこの方法を実験的に見出し、確
認した。この単一イオンもしくは任意数イオンの制御性
の良い生成技術は従来公知の技術ではなく、また従来技
術を組み合わせることによっても容易には得ることので
きない技術である。
【0024】 装置構成全体としては従来公知のビームマ
イクロ化技術によるイオンマイクロプローブ及び狙った
部位にイオン流を照射する照準技術と組み合わせること
によって、単一イオンもしくは任意数のイオンを制御性
良く抽出し、かつ狙った部位に上記単一イオンもしくは
任意数のイオンを精度良く照射するイオン照射装置及び
方法が確立されたものである。
【0025】 先行技術によるイオン照射装置及び方法に
よれば、1個の集積回路の各部位に任意のエネルギーで
イオンを1個だけを照射することができるため、その時
の現象(CMOSのラッチアップ、DRAMのソフトエ
ラーなど)を人為的に起こし、その部位の放射線耐性を
評価するのに適用することができる。
【0026】 また、狙った場所に精度良くイオン1個を
照射できるため半導体デバイスの放射線耐性を各部位ご
とに測定でき、誤動作を起こし易い場所を特定すること
ができる。
【0027】 大規模集積回路や細胞など、微細な構造を
もつ標的の、任意の場所に、単一の高エネルギーイオン
を照射することができる。また、宇宙空間や地上など、
実際の使用環境の中で、自然現象として散発的に発生す
る高エネルギーイオンによる集積回路の誤動作を、人為
的に起こさせることが可能になった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本件出願人は上記シン
グルイオン照射装置及び方法によって得られた技術を更
に発展させて、シングルイオン注入装置及び方法を開発
した。
【0029】 従って、本発明の目的の1つは、スポット
径50nm程度以下、加速エネルギー〜100keV
の集束イオンビーム(FIB)を利用した相対的に低エ
ネルギーシングルイオン注入装置及び方法を提供する
ことにある。
【0030】 本発明の別の目的の1つは、既に開発され
たシングルイオンマイクロプローブをドーパントイオン
注入及び高LETイオン照射に利用するために、Csス
パッタイオン源を増設した、相対的に高エネルギー
ングルイオン注入装置及び方法を提供することにある。
【0031】 本願明細書において使用する“単一(シン
グル)イオン”という用語は以下に定義されるものであ
る。即ち、本発明で単一イオンとは、従来公知の集束イ
オンビーム(FIB)もしくはイオンマイクロプローブ
を使用して生成されたマイクロイオンビーム(MIB)
において、単一イオン生成用スリット直前まではイオン
流(ion stream)であり、上記スリットを通過後所定の時
間間隔内では単一イオンとなるものをいう。また本願明
細書中で使用する技術用語を以下に定義する。
【0032】 マイクロイオンビーム(MIB)と集束イ
オンビーム(FIB)はどちらもイオンビームを集束し
たものであるが、若干の表現の違いであり、2つの違い
は次表の通りである。
【0033】
【表1】 マイクロイオンビームと集束イオンビームの比較 ┌─────────┬─────────┬──────────────┐ │ │ M I B │ F I B │ ├─────────┼─────────┼──────────────┤ │ イオン粒子 │ 軽イオン │ 重イオン │ │ 加速エネルギー │ 高(〜MeV) │ 低〜中(〜数100keV)│ │ ビーム径 │ 〜1μm │ 数10nm │ │ ビーム平行性 │ 平行 │ 非平行 │ │ 用 途 │ 分析 │ 微細表面加工、イオン注入 │ └─────────┴─────────┴──────────────┘
【0034】 本発明は集束イオンビーム(FIB)もし
くはマイクロイオンビーム(MIB)を用いて、シング
ルイオンをビームチップの技術により抽出するシングル
イオン注入装置及び方法に関する。
【0035】 集束イオンビームは相対的に低エネルギー
イオン注入に対応し、マイクロイオンビームは相対的
高エネルギーイオン注入に対応する。
【0036】 シングルイオン注入法(Single Ion Implan
tation ; SII)とはドーパント原子をイオン化し、1個
ずつ固体に打ち込むことをいう。加速エネルギーは、イ
オンマイクロプローブを用いる場合1〜4.5 MeV、集
束イオンビームシステムを用いる場合は〜100ke
Vである。
【0037】 イオンマイクロプローブ(Ion Micro Prob
e ; IMP )とは静電型加速器から出射されるイオンビー
ムを1μmφ程度にコリメートして、ラザフォード後方
散乱法(RBS)、粒子線励起X線分光(PIXE)、
などを行う装置をいう。
【0038】 集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam
System ; FIB)とはサブミクロン以下の寸法に集束され
たイオンビームを用いて、イオン注入、極微パターン形
成、局部的な化学反応誘起、などを行う装置をいう。
【0039】 量子ドーピング(Quantum Doping) とは
極微構造に、ドーパント原子を1個ずつ数えながら添加
する意味に用いているが本願発明において初めて明確化
された技術である。
【0040】 トリミングとは一般的な意味は刈り込みで
あるが、ここでは、FIBにより10nmオーダの寸法
のパターンを形成する意味に用いている。
【0041】 STM(Scanning Tunneling Microscope
)とは走査型トンネル顕微鏡である。
【0042】 BEEM(Ballistic-Electron-Emission
Microscope)とは弾道電子放射顕微鏡であり、STMを
改良して、pAオーダの電流計測を可能にし、ショット
キー障壁の2次元分布測定、などに用いる。
【0043】 ミキシングとは固体に入射されたイオン
は、飛程付近で固体を構成する原子を多数変位させるの
で、これを利用して積層界面を構成する2層を混合する
ことをいう。イオンの数が少なければミキシングされた
領域は局在する。
【0044】 陽電子消滅とは電子の反粒子である陽電子
が電子と衝突して対消滅を起こし、γ線を放出する現象
をいう。結晶の空格子点に捕獲された電子と選択的に衝
突するので、空格子点の検出に利用される。
【0045】 従来のイオン注入法においても、固体の同
じ場所に同時に2個以上のイオンが入射することは確率
的にありえないが、イオン銃を振り回すことによって1
箇所に1個ずつのイオンを周期的に入射させることにG
SIのFischer が成功している[B.E.Fischer, Nucl. I
nstr. & Merth., B54(1991)401]。本願発明者は、1986
年より高エネルギーイオンビームをコリメートし、微小
部の分析に応用する研究に着手し、3MeVHeイオン
ビームを1.7 ×1.9 μm2 に集束することに成功してい
る(イオンマイクロプローブ技術)。また、イオン照射
を行う前に目標部位に照射損傷を全く与えない照準方法
を開発した[I.Ohdomari, M.Sugimori,M.Koh, K.Norita
ke, M.Ishikawa, H.Shimizu, R.Tanaka, T.Kamiya and
N.Utsunomiya, Nucl. Instr. & Meth. B54(1991)71
]。その後、図4の原理を用いてイオンビームから1
個のイオンを抽出、照射する技術を開発し、実際に1個
のイオンの抽出が可能であることを確認している。この
技術をイオンマイクロプローブ技術、照準技術と統合す
ることにより、μmオーダの微小部位にHeイオンを文
字通り1個ずつ照射することに成功している。現在、シ
ングルイオン照射が行えるのは、世界で本願発明者のグ
ループのみであり、FIBの導入或いはMIBに対する
イオン源の改良によってシングルイオン注入を行うこと
が本発明の特徴である。
【0046】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明においては以下の構成を採用している。即ち、
【0047】本発明は、集束イオンビーム(FIB)装
置の標準的な構成要素に対して、シングルイオン注入用
の構成要素を加えたシングルイオン注入装置であって、
前記シングルイオン注入用の構成要素としては、 シング
ルイオン照射用液体金属イオン源(16)と、 前記シン
グルイオン照射用液体金属イオン源(16)に結合して
配置した加速器(17)と、 前記加速器(17)に結合
して配置したコンデンサレンズ(18)と、 前記コンデ
ンサレンズ(18)に結合して配置した静電型円筒プリ
ズム(19)と、 前記静電型円筒プリズム(19)に対
して質量分析器(9)内に組み込んだ形で配置したビー
ムチョップ用静電偏向板(20)と、 前記質量分析器
(9)の下側に集束イオンビームラインを介して配置し
たシングルイオン抽出用アパーチャ(21)とから構成
され、 前記標準的な構成要素としては、 試料トリミング
用液体金属イオン源(6)と、 前記試料トリミング用液
体金属イオン源(6)に結合して配置した加速器(7)
と、 前記加速器(6)に結合して配置したコンデンサレ
ンズ(8)と、 前記コンデンサレンズ(8)に対して前
記静電型円筒プリズム(19)を介して配置された前記
質量分析器(9)と、 前記ビームチョップ用静電偏向板
(20)を内蔵した前記質量分析器(9)に対して、前
記シングルイオン注入用アパーチャ(21)を介して配
置された静電型対物レンズ(10)と、 前記静電型対物
レンズ(10)に対して結合して配置されたアパーチャ
(11)と、 前記アパーチャ(11)に対して結合して
配置された走査偏向用電極(12)と、 前記試料(1
3)を保持する試料ステージ(14)と、 前記抽出され
たシングルイオンを検出する2次電子検出器(15)と
から構成され、 前記シングルイオン照射用液体金属イオ
ン源(16)に結合して配置された前記加速器(17)
によって加速された集束イオンビームから、前記ビーム
チョップ用静電偏向板(20)及びシングルイオン抽出
用アパーチャ(21)を介してビームチョップにより抽
出されたシングルイオン(48)は、前記アパーチャ
(11)及び前記走査偏向用電極(12)を介して前記
試料(13)に対してイオン注入されることを特徴とす
るシングルイオン注入装置としての構成を有する。
【0048】或いはまた、シングルイオン注入用の構成
要素として、更にシングルイオン入射によって発生した
一光子検出用ストリークカメラを具備することを特徴と
する低エネルギーシングルイオン注入装置としての構成
を有する。
【0049】或いはまた、RFイオン源(23)と、
sスパッタイオン源(33)と、 前記RFイオン源(2
3)及び前記Csスパッタイオン源(33)に対して分
析電磁石(34)を介して接続されたインジェクタ(2
4)と、 前記インジェクタ(24)に対して接続された
加速器(25)と、 前記加速器(25)に対して分析電
磁石(26)を介して接続されたマイクロイオンビーム
ライン(27)と、 前記マイクロイオンビームライン
(27)に接続された精密四重極磁気レンズ(29)
と、 前記精密四重極磁気レンズ(29)に接続されたS
EM付ターゲットチェンバー(30)と、 更に前記加速
器(25)に対して前記分析電磁石(26)を介して接
続された組成分析用ビームライン(28)と、 前記組成
分析用ビームライン(28)に対して接続されたRBS
チェンバー(31)と、 前記RBSチェンバー(31)
に対して接続されたPIXE用チェンバー(32)とか
ら構成されたイオンマイクロプローブにおいて、前記加
速器(25)によって加速されたマイクロイオンビーム
(MIB)をビームチョップしてシングルイオンを抽出
するとともに所定の加速エネルギーにて前記SEM付タ
ーゲットチェンバー(30)内に配置された試料表面に
対して前記抽出されたシングルイオンをイオン注入する
ことを特徴とするシングルイオン注入装置としての構成
を有する。
【0050】或いはまた、水素のイオン、Heのイオ
ン、酸素のイオン、Siのイオン又は半導体のドーパン
トとなる原子のイオンから選択される一のイオンを1個
ずつ取り出すシングルイオン抽出工程と、 試料の極微小
領域を的にして絞り、前記抽出されたシングルイオンが
注入されるべき領域に照準する照準工程と、 前記1個ず
つ抽出されたシングルイオンを前記照準された試料の極
微小領域に所定の加速エネルギーで打ち込むシングルイ
オン注入工程とから構成され、 前記シングルイオン抽出
工程により1個ずつ抽出されたシングルイオンを前記照
準工程により試料の極微小領域を的にして照準するとと
もに、前記シングルイオン注入工程によってシングルイ
オン注入を行なうことを特徴とするシングルイオン注入
方法としての構成を有する。
【0051】
【作用】本発明のシングルイオン注入装置及びシングル
イオン注入方法においては、極微構造の物性制御の手段
として、水素のイオン、Heのイオン、酸素のイオン
Siのイオン又は半導体のドーパントとなる原子イオン
から選択される一のイオンを1個ずつ取り出し(シング
ルイオン抽出)、試料の極微小領域を的(ターゲット)
にして照準し、シングルイオン注入を行なう。シングル
イオン注入装置としては、静電加速器を改良してマイク
ロイオンビーム(MIB)をビームチョップしてシング
ルイオン抽出する相対的に高エネルギーシングルイ
オン注入装置(1〜4.5 MeV)と、集束イオンビーム
(FIB)を改良してシングルイオン注入を可能とした
相対的に低エネルギーシングルイオン注入装置(
100keV)を利用する。照準の精度としては、前者
は1.5 μmφ、後者は20nmφである。
【0052】
【実施例】本発明のシングルイオン注入装置及びその方
法は以下の3つの要素技術、即ち、(1)イオンビーム
集束技術、(2)照導技術及び(3)シングルイオン抽
出技術を組み合わせることによって実現されている。
【0053】 (1)イオンビーム集束技術 低エネルギーシングルイオン注入装置としては、スポッ
ト径50nm程度以下、加速エネルギー〜100ke
Vの集束イオンビーム装置(FIB)を導入する。ただ
し、Si,Ga,B,P,As,Sb等様々なイオン種
を用いるため、E×B質量分析器9が必須であり、さら
にシングルイオン照射用のイオン源には中性粒子による
試料損傷を避けるために、イオン軌道を静電型円筒プリ
ズム19によって偏向するレイアウトを採用する。これ
によって試料トリミング用液体金属イオン源6との共存
が可能となり、試料の加工及びシングルイオン注入の両
作業を容易に行うことが可能となる。高エネルギーシン
グルイオン注入装置では、すでに開発されたシングルイ
オンマイクロプローブを、ドーパントイオン注入及び高
LETイオン照射に利用するために、Csスパッタイオ
ン源33を増設した。
【0054】 (2)照準技術 シングルイオンの入射位置を特定するためには、試料表
面の高分解能観察が必要である。低エネルギーシングル
イオン注入装置ではSEMを用いず、イオンビーム走査
によって得られる2次電子像を利用する。照準は、先行
技術(特願平4−84904号)において開示された高
エネルギー(1〜4.5 MeV)のシングルイオン照射装
置ですでに明示された方法、すなわち試料上の標準点と
入射位置の相対座標測定及び高精度ゴニオメータによる
位置決め、を低エネルギーシングルイオン注入装置及び
その方法においても応用する。また、高い照準精度を得
るためには振動対策が必要であり、特に10nmオーダ
の照***度を目指す低エネルギーシングルイオン注入装
置においては、装置全体を防振台上に乗せている。
【0055】 (3)シングルイオン抽出技術 すでに高エネルギーのシングルイオン照射装置(特願平
4−84904号)において開示された、ビームチョッ
プによるシングルイオン抽出法を、低エネルギーシング
ルイオン注入装置及び方法においても採用する。この
際、集束イオンビーム装置(FIB)に組み込まれてい
るビームブランキング用の偏向板をビームチョップ用静
電偏向板20として利用して、ビームチョップを行う。
【0056】 図1は本発明の第1の実施例としての相対
的に低エネルギーシングルイオン注入装置の原理的構
成図であり、図2はその具体的構成図である。図1にお
いて、1は第1の真空槽、2は試料準備室としての第2
真空槽、3はシングルイオン注入用集束イオンビーム
装置(FIB)、4は走査型トンネル顕微鏡(STM)
である。
【0057】 第1、第2の真空槽1,2は、ともに同じ
性能のものを使用するが、第2の真空槽2には比較的ガ
ス放出の多いシングルイオン注入用集束イオンビーム装
置(FIB)3、走査型トンネル顕微鏡(STM)4が
付加されているため、Si基板表面の清浄化、清浄表面
の評価には、専ら第1の真空槽1を使用し、その他、走
査型トンネル顕微鏡(STM)による表面観察、量子細
線構造のトリミング、シングルイオン注入には、第2の
真空槽2を使用する。
【0058】尚、第1及び第2の真空槽1,2の真空度
は必ずしも超高真空或いは極高真空レベルである必要は
ない。STM等必要なもののみをUHV又はXHV級の
真空度を保つ独立の構成とし、FIBsystem等は普通の
高真空としても充分である。もちろんUHV又はXHV
であってもよい。
【0059】 図2は図1のシングルイオン注入用集束イ
オンビーム装置(FIB)よりシングルイオン48を抽
出する部分の構成を具体的に示しており、集束イオンビ
ーム装置(FIB)の標準的な構成要素に対して、シン
グルイオン注入用の構成要素を新たに加えた構成となっ
ている。以下具体的に説明する。標準的な構成要素とし
ては、試料トリミング用液体金属イオン源6と、加速器
7と、コンデンサレンズ8と、質量分析器9と、静電型
対物レンズ10と、アパーチャ11と、走査偏向用電極
12と、試料13と、試料ステージ14と及び二次電子
検出器15が含まれている。これらの標準的な構成要素
に対して、新たに本発明においてはシングルイオン注入
のための構成として、シングルイオン照射用液体金属イ
オン源16と加速器17と、コンデンサレンズ18
と、静電型円筒プリズム19と、ビームチョップ用静電
偏向板20と、シングルイオン抽出用アパーチャ21
と、抽出されたシングルイオン48とを具備している。
尚、必ずしも必要ではないが一光子検出用ストリークカ
メラ22を更に具備していてもよい。
【0060】 試料トリミング時、及び2次電子像取得時
には、標準的構成の集束イオンビーム装置(FIB)を
使用する。即ち、試料トリミング用液体金属イオン源6
で発生したイオンビームは、加速器7を通して所望のエ
ネルギーまで加速され、コンデンサレンズ8によって集
束を受ける。その後、質量分析器9により所望の質量
数、価数のイオンが選択され、最終的に試料に照射され
試料表面の原子をスパッタする。
【0061】 シングルイオン注入時には、標準的構成に
加え、新たに付加されたシングルイオン照射用液体金属
イオン源16を使用する。シングルイオン照射用液体金
属イオン源16、加速器17、コンデンサレンズ18
は、試料トリミング時と同様にイオンビームを加速、集
束させる働きがあるが、その後イオンビームは静電型円
筒プリズム19によってその軌道が偏向される。この静
電型円筒プリズム19の作用によって、質量分析器
は除去することができず、レンズの集束作用も受けない
電気的中性粒子が、シングルイオン注入時に試料に到達
するのを防ぐことができる。このようにして、電気的中
性粒子を取り除かれたイオンビームから、質量分析器9
によって所望の質量数、価数のイオンビームを選択して
取り出す。さらにこのイオンビームより、ビームチョッ
プ用静電偏向板20、シングルイオン抽出用アパーチャ
21によってシングルイオン48を抽出し、試料の希望
する部位に照射する。
【0062】 抽出されたシングルイオン48の試料への
入射は、2次電子検出器15によって検出される。また
シングルイオン入射に伴う発光現象を一光子検出用スト
リークカメラ22によって検出することもできる。
【0063】 図3は本発明の第2の実施例としての相対
的に高エネルギー(1〜4.5MeV)シングルイオ
ン注入装置の模式的ブロック構成図である。図3におい
ては従来技術において説明した装置、即ち、イオンマイ
クロプローブより得られたマイクロイオンビーム(MI
B)をビームチョップすることによりシングルイオンを
抽出する点に特徴を有するシングルイオン照射装置を利
用している。即ち、図3に図示した模式的ブロック構成
図においては従来技術におけるシングルイオン照射装置
の構成要素に対して、新たにドーパントイオン注入及び
高LET(イオンが単位飛程において失うエネルギー)
イオン照射に利用するためにCsスパッタイオン源33
を具備している。図3において、従来のイオンマイクロ
プローブを利用した(MIB)シングルイオン照射装置
はRFイオン源23と、インジェクタ24と、加速器2
5と分析電磁石26とマイクロイオンビームライン27
に対しては精密四重極磁気レンズ29とSEM付ターゲ
ットチェンバー30、組成分析用ビームライン28に対
してはRBS用チェンバー31とPIXE用チェンバー
32とを具備している。本発明の高エネルギーシングル
イオン注入装置においては上記従来構成に対して、更に
Csスパッタイオン源33及び分析電磁石34を具備す
ることによって、ドーパントイオン注入及び高LETイ
オン照射を実現している。Heだけでなく様々なLET
(イオンが単位飛程において失うエネルギー)のシング
ルイオン注入を行なうために、従来のシングルイオンマ
イクロプローブに新たなイオン源を増設することによ
り、この目的は達成される。
【0064】 RFイオン源23は、主にH,Heガスを
イオン化するために設計されており、低LETのシング
ルイオン照射時、及びRBS,PIXEの分析時に使用
される。一方、Csスパッタイオン源33は、固体をイ
オン化することができ、RFイオン源23では得られな
いドーパントイオン、高LETイオンを発生させること
ができる。従って、シングルイオン注入、高LETイオ
ン照射時においては、Csスパッタイオン源33を使用
する。分析電磁石34は、これら2つのイオン源のうち
の1つを選択する働きの他に、イオン源より引き出され
たビームから所望のイオン種のみ選び出すのに使用され
る。分析電磁石34を出たイオンビームは、インジェク
タ24中の静電レンズにより集束され、加速器25に注
入される。加速器25によって加速されたイオンは様々
な価数に応じたエネルギーを持っており、再び分析電磁
石26により、所望の価数、エネルギーを選択する。こ
の分析電磁石26はまた、組成分析用ビームライン28
とマイクロイオンビームライン27を切り換える働きも
有する。組成分析用ビームライン28は、H,Heイオ
ンを用いたRBS,PIXE分析に使用される。マイク
ロイオンビームライン27は、シングルイオン抽出のた
めの機能を持ち、シングルイオン(ドーパント)注入、
シングルイオン照射時に使用される。マイクロイオンビ
ームライン27において抽出されたシングルイオンは、
精密四重極磁気レンズ29によって、SEM付ターゲッ
トチェンバー30内の試料上の一点に、ミクロンオーダ
の精度で照射される。このSEM付ターゲットチェンバ
ー30に取り付けられているSEMを使用し、イオン照
射位置を高精度に決定することができる。
【0065】 0.1 μm以下に縮小される極微構造デバイ
スについて過渡現象に関する基礎的データを得るために
は10nmオーダの照準精度を持った装置の導入が不可
欠であるが、この目的のためには、上述の如く50nm
以下のプローブ径を持ったFIB装置を利用し、これに
シングルイオンマイクロプローブで得たシングルイオン
抽出及び高精度ゴニオメータ等による照準技術を導入す
ることによって極めて高精度の低エネルギーシングルイ
オン注入装置を実現することができた。
【0066】 従来のイオン注入法または熱拡散法によっ
て不純物をドープする場合、不純物は半導体中にランダ
ムに分布するので、その存在確率はポアソン分布を用い
て示すことができる。微小体積を考え、その中の平均の
不純物数をλ個とすると、n個の不純物が存在する確率
【0067】
【数1】
【0068】となる。また、この時のゆらぎδは
【0069】
【数2】
【0070】と定義され、微小体積中に存在し得る不純
物原子数の平均値の二乗根に反比例する。従って、不純
物濃度の低下、あるいは系の体積の縮小化に伴い、その
系にふくまれる不純物の平均値は小さくなり、ゆらぎは
その二乗根に反比例しながら増加することになる。本発
明のシングルイオン注入法の場合、微小構造体には常に
一定数の不純物原子がドープされるので、本質的にゆら
ぎは生じない。面積50nm×50nm、長さ100n
mの極微抵抗体にドーピングを行う場合のドーパント数
のゆらぎを、従来法とシングルイオン注入法による場合
を比較して下の表2にまとめた。
【0071】
【表2】 シングルイオン注入法と従来法の比較 ┌───────┬────────┬─────────────────┐ │ドーパント密度│極微抵抗体中の │ ドーパント数のゆらぎ(%) │ │ │ ├────────┬────────┤ │(原子/cm3) │平均ドーパント数│ 従来法 │SII(本発明)│ ├───────┼────────┼────────┼────────┤ │ 1×1016 │ 2.5 │ 63.2 │ 20(注) │ │ 1×1017 │ 25 │ 20 │ 0 │ │ 1×1018 │ 250 │ 6.3 │ 0 │ └───────┴────────┴────────┴────────┘ (注)平均2.5個の場合、シングルイオン注入法では
2個あるいは3個を打つことになり、平均からの偏差は
0.5個となる。
【0072】 本発明のシングルイオン注入装置及びその
方法を用いて極微構造の物性制御を行なう具体的方法を
以下に述べる。
【0073】 (1)表面構造 表面における酸素の蓄積量を人為的に制御するため
に、10-12 Torrの極高真空中での表面評価を行う。本
発明者の現有している極高真空槽には、反射高速電子線
回析法のための電子銃が装備されており、表面を動的に
観察することが可能となってる。この方法によって、真
空雰囲気から吸着する酸素の量を減少させることができ
る。
【0074】 Si(111)表面の1×1→7×7
構造相転移温度が実験条件の改善と共に、次第に低下し
てきた事実をふまえて、この構造相転移を極高真空中に
おいて再評価し、低温相である7×7構造の核生成と酸
素の関係を把握することができる。
【0075】 超高真空中で清浄化過程を得たSi基
板に、相対的に低エネルギーシングルイオン注入装置
を用いて酸素イオンを照射し、7×7超構造を誘起す
る。その際、酸素イオンの入射エネルギー、数、基板温
度、基板表面の形状(ステップ密度、欠陥の有無等)な
どを常に観察し、表面構造相転移との相関を高温用ST
M及びRHEEDを用いて調べた。
【0076】 相対的に低エネルギーシングルイオ
ン注入装置を用いて、阻止電場によりイオンを物質表面
に軟着陸させ、金属核の形成を試みた。イオンをどれだ
け低速にできるかが重要なファクタである。
【0077】 形成された核を、同チャンバー内に取
り付けられたSTMを用いて観測する。主として、イオ
ンの吸着サイト、核の原子配列について情報を得ること
ができる。
【0078】 理論的なアプローチとして、核形成の
メカニズムを分子軌道法により解析した。すなわち、核
形成のためにどの程度の活性化エネルギーが必要か、ま
た表面を破壊せずに核が作成可能か、他の2次的な化合
物が生成しないか、実際にできた構造が熱的に安定構造
となるかなどを判断した。
【0079】 STMで観測される像は、表面の局所
的な電子状態を反映しているだけなので、実際の原子の
存在を直接的には観測できない。そこで、分子軌道から
STM像の理論的な解釈を行うことが望ましい。
【0080】 (2)界面制御 本発明のシングルイオン注入装置及びその方法を用
いて、金属/半導体界面に、任意の個数のイオンを高い
位置精度を持って入射させ、BEEMによる電流−電圧
特性の測定ならびにショットキー障壁特性の評価を行っ
た。イオンの入射が原子変位あるいはミキシングによっ
て界面の原子配列を変化させると仮定すると、イオンの
飛程に沿って、イオンの個数に比例する再結合中心ある
いは低障壁層が出現する。
【0081】2 等の各種雰囲気での熱処理による
変化を同様の方法によって評価し、界面特性を支配する
要因を定量的に知ることができる。
【0082】 微細MOSFET構造のゲート酸化膜
/Si界面にシングルイオン注入を行い、MOSFET
特性に及ぼすイオン照射の効果を定量的に明らかにする
ことができる。
【0083】 の試料にH2 等の各種雰囲気で熱処
理を施し、MOSFET特性に及ぼす熱処理の効果か
ら、界面準位の挙動に関するデータを得ることができ
る。
【0084】 (3)不純物制御 SIMOX−Si基板(高濃度酸素イオン注入及び
熱処理により埋込みSiO2 を形成し、表面に数nm〜
数100nmの薄い単結晶Si層を残す基板)をFIB
によってトリミングし、極微抵抗体構造を形成する。抵
抗体の寸法は、スケーリングによって比抵抗以外は一定
となるように各種準備し、比抵抗をシングルイオン注入
によって制御する。
【0085】 従来のイオン注入法によってドーピン
グを行った同種の抵抗体構造を準備し、両構造の抵抗値
及び雑音電圧の計測を行って、本発明のシングルイオン
注入の手法による場合、抵抗値のゆらぎ及び雑音が著し
く低減される。
【0086】 (4)デバイス制御 通常の環境で使用されているレベルのデバイスに対
し、相対的に高エネルギーシングルイオン注入装置を
用いて、様々な位置へのイオン照射効果を評価した。こ
れにより、デバイス中でイオン入射による過渡現象が発
生し易い領域を特定することができる。
【0087】 より高いLETのイオンを用いて同様
の評価を行い、ソフトエラー等の過渡現象を比較的観測
しにくい部位においても、照射効果を評価した。
【0088】 、の結果を、デバイス構造と併せ
て考察することにより、過渡現象に対する耐性強化のた
めの指針を得ることができる。
【0089】 相対的に低エネルギーのシングルイオ
ン注入装置を利用して、0.1 μm以下の極微構造デバイ
スの照射効果を評価する。な、このターゲットとなる
デバイスは、同じFIB装置でドーパントを打ち込むこ
とにより製作した。デバイスの製作とイオン照射効果評
価を同一のFIB装置を利用して行うことにより、シン
グルイオン照射位置を正確に決定することができる。
【0090】 本発明は、全体として、電子工学、材料化
学、固体物理、量子化学、放射線物理及びデバイス物理
に及んでおり、新しい学際的学術分野の発展に大きく貢
献できる発明である。
【0091】 本発明によって、核形成制御が実現される
ため、電子のトンネル効果を利用したシングルエレクト
ロントランジスタ(SET)を構成する際に、トンネル
接合を通り抜けた単電子が捕獲される絶縁体中の数10
nm径の浮遊ゲートを作成するための第一段階の工程が
完成する。
【0092】 シングルイオンの入射により生じる界面反
応の原子的素過程が解明されるため、極微界面制御を行
う上での重要な知識が得られる。
【0093】 量子化ドーピングは、従来連続量と考えら
れていた不純物濃度が極微構造においては離散量になる
という指摘を、シングルイオン注入という手法により初
めて実証するものであり、デバイス物理におけるスケー
リングの限界の議論に実証的な裏付けを与えるものであ
る。
【0094】 1個のシングルイオンによるデバイス動作
の過渡応答は、従来ランダム照射後の統計的処理という
手法に頼らざるを得なかったデバイスの動作テストを、
デバイスの個々の部位毎に、任意のバイアス条件下で行
えるという点で画期的である。
【0095】
【発明の効果】本発明のシングルイオン注入装置及び方
法によれば、相対的に低エネルギー(keV〜100
keV)のシングルイオンを抽出し、かつ20nmφの
照準精度でシングルイオン注入することができ、或いは
また相対的に高エネルギー(1〜4.5MeV)のシン
グルイオンを抽出し、1.5 μmφの照準精度でシングル
イオン注入することができる。
【0096】 本発明のシングルイオン注入装置及び方法
によれば、極微細構造の物性制御として表面制御、界面
制御、不純物制御、デバイス制御を行なうことができ
る。更にまた、陽電子消滅法或いは一光子検出と組み合
わせることによって、シングルイオン注入照射損傷に伴
なう点欠陥の挙動を解明することができるのはもちろん
である。
【0097】 本発明では、極微構造の物性制御の手段と
して、イオンを1個ずつ抽出して、試料の極微小部に注
入するシングルイオン注入法(Single Ion Implantatio
n, SII)を実現した。本発明によれば、極微構造デバイ
スの構成要素である表面、界面、及び数10〜数100
nmの寸法の極微構造体ならびにこれらを集積した構造
のデバイスに対するシングルイオン注入を行なうことが
できる。加える操作とその効果の因果関係の理解が必要
であるが、1個のイオンの注入は、最も単純な究極の操
作であり、他の凡ゆる物性制御手段に比べて、最も容易
である。
【0098】 (1)表面制御 本発明のシングルイオン注入装置及び方法によれば極高
真空中(10-12Torr)でSi(111)面に酸素イオン
を照射することにより7×7超構造の形成を制御するこ
とができる。
【0099】 第二に、核形成制御、即ち固体表面上の任
意の場所へ、特定の原子からなる成長核を自由に形成す
ることができる。固体表面に人工的に核を植え付けるこ
とができると、その物質を選択化学堆積法等の方法を用
いて島成長させることにより、極めて微細な物資領域を
2次元もしくは3次元的に形成することが出来る。核形
成制御は、主としてFIBを改良してシングルイオンを
抽出した低エネルギーシングルイオン注入装置におい
て、さらに阻止電場を印加してイオンを固体表面に軟着
陸させることにより行うことができる。
【0100】 (2)界面制御 本発明のシングルイオン注入装置によれば金属/半導体
及びSiO2 /Siの2種類の界面について、シングル
イオン注入を行い、界面準位の発生及び局所ミキシング
制御することができる。金属半導体界面においては、再
結合電流や低障壁相の出現などショットキー障壁特性に
不均一を生じることになるので、これらを、高い空間分
解能(2nm)を持つ界面分析装置である弾道電子放射
顕微鏡(Ballistic-Electron-Emission Microscope : B
EEM)を利用する。SiO2 /Si界面については、界面
準位発生の効果が支配的であり、極微MOSFET構造
における電気的特性のゆらぎを制御することができる。
【0101】 (3)不純物制御 従来の拡散あるいはイオン注入法による不純物ドーピン
グでは、ドーパントの個数及び位置は本質的にランダム
に分布し、これが極微構造デバイスの特性のゆらぎをも
たらす最大の原因であるので、本発明によるシングルイ
オン注入装置及びその方法によれば極微の抵抗体構造に
量子化ドーピング、すなわち、ドーパントイオンを所定
の数だけイオン注入し、不純物原子数のゆらぎに起因す
る特性のゆらぎを完全に解消することができる。
【0102】 (4)デバイス制御 ソフトエラーに代表されるデバイスの過渡応答現象は、
デバイスを縮小化するほど顕著になり、デバイス縮小化
を行う上で大きな妨げとなる。本発明によるシングルイ
オン注入装置及びその方法では、デバイスの任意の微小
部位にイオンを1個ずつ照射し、過渡応答のイオン種、
イオンの個数、エネルギー依存性等を精度良く測定する
ことができる。
【0103】 シングルイオン注入によって固体中に発生
する照射損傷は、シングルイオン注入というよく定義さ
れた操作が誘起する効果を妨げる要因となるので、点欠
陥の挙動を陽電子消滅法によって直接的に、また照射中
の再結合過程を一光子検出によって間接的に、それぞれ
計測してもよい。極微構造試料作成に用いるFIBも高
度の照射損傷をもたらすので、加工手段としての適性を
評価するという観点から、同上の手段により点欠陥の挙
動を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての相対的に低エネ
ルギーシングルイオン注入装置の原理的構成図
【図2】本発明の第1の実施例としての相対的に低エネ
ルギーシングルイオン注入装置の具体的構成図
【図3】本発明の第2の実施例としての相対的に高エネ
ルギーシングルイオン注入装置のブロック図
【図4】先行技術によるイオン照射装置の原理構成図
【符号の説明】
真空槽真空槽(試料準備室) 3 シングルイオン注入用集束イオンビーム装置(FI
B) 4 走査型トンネル顕微鏡(STM) 5 ストリークカメラ(一光子検出用) 6 試料トリミング用液体金属イオン源 7 加速器 8 コンデンサレンズ 9 質量分析器 10 静電型対物レンズ 11 アパーチャ 12 走査偏向用電極 13 試料 14 試料ステージ 15 二次電子検出器 16 シングルイオン照射用液体金属イオン源 17 加速器 18 コンデンサレンズ 19 静電型円筒プリズム 20 ビームチョップ用静電偏向板 21 シングルイオン抽出用アパーチャ 22 一光子検出用ストリークカメラ 23 RFイオン源 24 インジェクタ 25 加速器 26 分析電磁石 27 マイクロイオンビームライン 28 組成分析用ビームライン 29 精密四重極磁気レンズ 30 SEM付ターゲットチェンバー 31 RBS用チェンバー 32 PIXE用チェンバー 33 Csスパッタイオン源 34 分析電磁石 40 マイクロイオンビーム 41 偏向板 42 ビームチョッパ回路 43 マイクロスリット 44 試料 45 ターゲットチェンバー 46 二次電子 47 二次電子倍増管 48 抽出されたシングルイオン

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集束イオンビーム(FIB)装置の標準
    的な構成要素に対して、シングルイオン注入用の構成要
    素を加えたシングルイオン注入装置であって、 前記シングルイオン注入用の構成要素としては、 シングルイオン照射用液体金属イオン源(16)と、 前記シングルイオン照射用液体金属イオン源(16)に
    結合して配置した加速器(17)と、 前記加速器(17)に結合して配置したコンデンサレン
    ズ(18)と、 前記コンデンサレンズ(18)に結合して配置した静電
    型円筒プリズム(19)と、 前記静電型円筒プリズム(19)に対して質量分析器
    (9)内に組み込んだ形で配置したビームチョップ用静
    電偏向板(20)と、 前記質量分析器(9)の下側に集束イオンビームライン
    を介して配置したシングルイオン抽出用アパーチャ(2
    1)とから構成され、 前記標準的な構成要素としては、 試料トリミング用液体金属イオン源(6)と、 前記試料トリミング用液体金属イオン源(6)に結合し
    て配置した加速器(7)と、 前記加速器(6)に結合して配置したコンデンサレンズ
    (8)と、 前記コンデンサレンズ(8)に対して前記静電型円筒プ
    リズム(19)を介して配置された前記質量分析器
    (9)と、 前記ビームチョップ用静電偏向板(20)を内蔵した前
    記質量分析器(9)に対して、前記シングルイオン注入
    用アパーチャ(21)を介して配置された静電型対物レ
    ンズ(10)と、 前記静電型対物レンズ(10)に対して結合して配置さ
    れたアパーチャ(11)と、 前記アパーチャ(11)に対して結合して配置された走
    査偏向用電極(12)と、 前記試料(13)を保持する試料ステージ(14)と、 前記抽出されたシングルイオンを検出する2次電子検出
    器(15)とから構成され、 前記シングルイオン照射用液体金属イオン源(16)に
    結合して配置された前記加速器(17)によって加速さ
    れた集束イオンビームから、前記ビームチョップ用静電
    偏向板(20)及びシングルイオン抽出用アパーチャ
    (21)を介してビームチョップにより抽出されたシン
    グルイオン(48)は、前記アパーチャ(11)及び前
    記走査偏向用電極(12)を介して前記試料(13)に
    対してイオン注入されることを特徴とするシングルイオ
    ン注入装置。
  2. 【請求項2】 シングルイオン注入用の構成要素とし
    て、更にシングルイオン入射によって発生した一光子検
    出用ストリークカメラを具備することを特徴とする請求
    項1記載のシングルイオン注入装置。
  3. 【請求項3】 RFイオン源(23)と、 Csスパッタイオン源(33)と、 前記RFイオン源(23)及び前記Csスパッタイオン
    源(33)に対して分析電磁石(34)を介して接続さ
    れたインジェクタ(24)と、 前記インジェクタ(24)に対して接続された加速器
    (25)と、 前記加速器(25)に対して分析電磁石(26)を介し
    て接続されたマイクロイオンビームライン(27)と、 前記マイクロイオンビームライン(27)に接続された
    精密四重極磁気レンズ(29)と、 前記精密四重極磁気レンズ(29)に接続されたSEM
    付ターゲットチェンバー(30)と、 更に前記加速器(25)に対して前記分析電磁石(2
    6)を介して接続された組成分析用ビームライン(2
    8)と、 前記組成分析用ビームライン(28)に対して接続され
    たRBSチェンバー(31)と、 前記RBSチェンバー(31)に対して接続されたPI
    XE用チェンバー(32)とから構成されたイオンマイ
    クロプローブにおいて、 前記加速器(25)によって加速されたマイクロイオン
    ビーム(MIB)をビームチョップしてシングルイオン
    を抽出するとともに所定の加速エネルギーにて前記SE
    M付ターゲットチェンバー(30)内に配置された試料
    表面に対して前記抽出されたシングルイオンをイオン注
    入することを特徴とするシングルイオン注入装置。
  4. 【請求項4】 水素のイオン、Heのイオン、酸素のイ
    オン、Siのイオン又は半導体のドーパントとなる原子
    のイオンから選択される一のイオンを1個ずつ取り出す
    シングルイオン抽出工程と、 試料の極微小領域を的にして絞り、前記抽出されたシン
    グルイオンが注入されるべき領域に照準する照準工程
    と、 前記1個ずつ抽出されたシングルイオンを前記照準され
    た試料の極微小領域に所定の加速エネルギーで打ち込む
    シングルイオン注入工程とから構成され、 前記シングルイオン抽出工程により1個ずつ抽出された
    シングルイオンを前記照準工程により試料の極微小領域
    を的にして照準するとともに、前記シングルイオン注入
    工程によってシングルイオン注入を行なうことを特徴と
    するシングルイオン注入方法。
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