JP2731764B2 - ぬか味噌床ならびにそれを用いたぬか味噌漬け及び魚介類の干物の製造方法 - Google Patents

ぬか味噌床ならびにそれを用いたぬか味噌漬け及び魚介類の干物の製造方法

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JP2731764B2 JP22992395A JP22992395A JP2731764B2 JP 2731764 B2 JP2731764 B2 JP 2731764B2 JP 22992395 A JP22992395 A JP 22992395A JP 22992395 A JP22992395 A JP 22992395A JP 2731764 B2 JP2731764 B2 JP 2731764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ぬか味噌床ならび
にそれを用いたぬか味噌漬け及び魚介類の干物の製造方
法に関し、特に混合微生物を使用したぬか味噌床ならび
にそれを用いたぬか味噌漬け及び魚介類の干物の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ぬか味噌漬けを製造するに
は、米ぬか10重量部、食塩2重量部及び水12重量部を混
合したぬか味噌をぬか味噌床として使用して、かぶ、大
根、きゅうり、キャベツ等を漬けている。作りはじめて
数十年、特に百年以上経ったぬか味噌床を用いて漬けた
ぬか味噌漬けは優れた美味芳香を有するため、そのよう
なぬか味噌床は非常に重宝されており、作って間もない
ぬか味噌床や、良好な味の漬物が得られないぬか味噌床
にも混ぜられる。しかしながら、百年以上経ったぬか味
噌床はほとんど現存せず、そのようなぬか味噌床を作ろ
うとしても直ぐにはできない。また、毎日かきまぜて空
気(酸素)を供給するとともに、食塩及び水分の含有量
を所定の状態に保つ必要もあるため、ぬか味噌床を長年
に渡って保ち続けるのは非常に困難である。
【0003】また、通常のぬか味噌床で漬けたぬか味噌
漬けは、漬けあがってからの日持ちが良好でなく、短期
間で酸っぱくなることが多い。このぬか味噌床では発酵
によって酸が生成するが、生成した酸はペクチンを分解
して漬物の歯ごたえを悪くしたり、野菜の有する明るい
緑色を黄褐色に変色させたりする。一方、魚介類の保存
性を高めるために、それらを素干し、煮干し、塩干しな
どにすることが一般的に行われている。素干し品には、
するめ、棒だら、身欠にしん、田造り、干しこんぶ、干
のり等があり、煮干し品には、煮干しいわし、しらす干
し、干しえび、煮干し貝柱、干しあわび等があり、塩干
し品には、塩干いわし、塩干しあじ、くさや、からす
み、すきみだら等がある。塩干しは、原料魚を塩漬けし
てから乾燥させたものであるが、近年では貯蔵性より嗜
好性が重視され、薄塩生干し品が好まれている。
【0004】世界的にも珍しい食品の一つである「くさ
や」は、一朝一夕にして成ったものではなく、微生物の
働きによってできたものであり、同じ「くさや汁」を繰
り返し用いることにより製造する。「くさや汁」はもと
もと水に塩を加えたものであるが、繰り返し魚を漬ける
ことによって魚の滲出液が混じり、それに微生物が働い
て粘稠性の液体となる。中には、百年以上にもわたって
用いられているものもある。「くさや」の日もちのよさ
は、「くさや汁」中に存在する細菌の働きによるもので
ある。
【0005】しかしながら、この「くさや」にはアンモ
ニア、多種類のイオウ化合物、揮発酸等が含まれている
ため、独特の強烈な臭いがあり、食するには抵抗を有す
る人も多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、作り
はじめて長期間経ったぬか味噌床を使用して漬けた漬物
と同様の美味芳香を有し、保存性の良好な漬物を漬ける
ことができ、また「くさや」のような臭みがなく、貯蔵
性に優れた魚介類の干物を製造することのできるぬか味
噌床、及びそのようなぬか味噌床を使用して漬物及び魚
介類の干物を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、ラクトバチルス・カセイ・サブス
ピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. cas
ei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brev
is)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus
plantarum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lac
tobacillus alimentarius)及びサッカロミセス・セレ
ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を添加したぬか味
噌床を使用すれば、優れた美味芳香を有し、保存性も良
好な漬物や魚介類の干物が得られることを見出し、本発
明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、ラクトバチルス・カセイ
・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei su
bsp. casei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacil
lusbrevis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactoba
cillus plantarum)、ラクトバチルス・アリメンタリウ
ス(Lactobacillus alimentarius)及びサッカロミセス
・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むこと
を特徴とするぬか味噌床である。
【0009】また、本発明は、ラクトバチルス・カセイ
・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei su
bsp. casei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacil
lusbrevis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactoba
cillus plantarum)、ラクトバチルス・アリメンタリウ
ス(Lactobacillus alimentarius)及びサッカロミセス
・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むぬか
味噌床を使用してぬか味噌漬けを製造することを特徴と
する漬物の製造方法である。
【0010】さらに、本発明は、ラクトバチルス・カセ
イ・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei
subsp. casei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobac
illus brevis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lact
obacillus plantarum)、ラクトバチルス・アリメンタ
リウス(Lactobacillus alimentarius)及びサッカロミ
セス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含む
ぬか味噌床を使用して漬けた魚介類を乾燥させることを
特徴とする魚介類の干物の製造方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ぬか味噌床において使用する微生物は、ラクトバチルス
・カセイ・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobacillus
casei subsp. casei)、ラクトバチルス・ブレビス(La
ctobacillus brevis)、ラクトバチルス・プランタラム
(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アリ
メンタリウス(Lactobacillus alimentarius)及びサッ
カロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
であるが、ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシーズ
・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)に属す
る微生物としては、例えば47072470−分離菌a株が挙げ
られ、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brev
is)に属する微生物としては、例えば47072470−分離菌
b株が挙げられ、ラクトバチルス・プランタラム(Lact
obacillus plantarum)に属する微生物としては、例え
ば47072470−分離菌c株が挙げられ、ラクトバチルス・
アリメンタリウス(Lactobacillusalimentarius)に属
する微生物としては、例えば47072470−分離菌d株が挙
げられる。
【0012】これら微生物47072470−分離菌a株〜d株
の菌学的性質は次の通りである。 ──────────────────────────────────── 菌学的性質 a株 b株 c株 d株 ──────────────────────────────────── 形 態 桿 菌*1 桿 菌*2 桿 菌*3 桿 菌*4 グラム染色性 + + + + 胞子 − − − − 運動性 − − − − 酸素に対する態度 通性嫌気性 通性嫌気性 通性嫌気性 通性嫌気性 カタラーゼ − − − − 生成乳酸 L DL DL L グルコースからのガス生成 − + − − グルコネイトからのガス生成 + + + + 15℃での生育 + + + + 45℃での生育 − − − − 糖の発酵性 アミグダリン + − + + アラビノース − + − − セロビオース + − + + エスクリン + − + + フラクトース + + + + ガラクトース + + + + グルコース + + + + グルコネイト + + + 微 弱 ラクトース + − + − マルトース + + + + マンニトール + +*5 + − マンノース + − + + メレチトース + − + +*5 メリビオース − + + − ラフィノース − − + − ラムノース − − − − リボース + + + + サリシン + − + + ソルビトール + − + − シュークロース + + + + トレハロース + − + + キシロース − + − − 菌体内DNAのGC含量(モル%)*6 44 44 42 39 ──────────────────────────────────── *1:図1に示す。
【0013】*2:図2に示す。 *3:図3に示す。 *4:図4に示す。 *5:非典型性状 *6:HPLC法によった。 また、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces ce
revisiae)に属する微生物としては、例えば47072470−
分離酵母株が挙げられる。この微生物47072470−分離酵
母株の菌学的性質は次の通りである。 ──────────────────────────────────── 項 目 菌学的性質 ──────────────────────────────────── 栄養細胞の形態 卵形〜楕円形 増殖形式 多極出芽 液体培養 沈殿は認めるが、皮膜の形成は認めない(25℃,3日間) 偽菌糸 未発達な偽菌糸を形成する(25℃,3日間) 子嚢胞子 1〜4個の球形〜楕円形の子嚢胞子を形成し、 子嚢は開裂しない* 発酵性 グルコース + ガラクトース + シュークロース + マルトース + ラクトース − ラフィノース + 炭素源の資化性 ガラクトース + シュークロース + マルトース + セロビオース − トレハロース − ラクトース − メリビオース − ラフィノース + メレチトース − スターチ − D-キシロース − L-アラビノース − D-リボース − L-ラムノース − エリスリトール − リビトール − D-マンニトール − クエン酸塩 − イノシトール − 窒素源の資化性 硝酸塩 − エチルアミン − カダベリン − ビタミン欠培地での生育 + 37℃での生育 + シクロヘキシミド存在下での生育 100ppm − 1000ppm − DBB の呈色 − 尿素分解 − ──────────────────────────────────── *:図5に示す。 以上の菌学的性質を有する各菌株を、バージーズ・マニ
ュアル・オブ・システマティック・バクテオロジー(Be
rgey's Manual of Systematic Bacteriology)第2巻19
86年に従って検索した結果、47072470−分離菌a株はラ
クトバチルス・カセイ・サブスピーシーズ・カセイ(La
ctobacillus casei subsp. casei)に属する菌株である
と、47072470−分離菌b株はラクトバチルス・ブレビス
(Lactobacillus brevis)に属する菌株であると、4707
2470−分離菌c株はラクトバチルス・プランタラム(La
ctobacillus plantarum)に属する菌株であると、47072
470−分離菌d株はラクトバチルス・アリメンタリウス
(Lactobacillus alimentarius)に属する菌株である
と、47072470−分離酵母株はサッカロミセス・セレビシ
エ(Saccharomyces cerevisiae)に属する菌株であると
同定された。
【0014】上記47072470−分離菌a株はFERM P-14891
として、47072470−分離菌b株はFERM P-14892として、
47072470−分離菌c株はFERM P-14893として、47072470
−分離菌d株はFERM P-14894として、47072470−分離酵
母株はFERM P-14890として、それぞれ平成7年4月12日
付で、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
寄託されている。
【0015】上記5種類の微生物の培養には、ジャガイ
モ、りんご、人参、飯米、糖、小麦粉、塩及び水を含む
培地を用いるのが好ましく、この培地を用いることによ
り5種類の微生物を一括して培養することができる。飯
米としては白米の飯米が好ましく、糖としては三温糖が
好ましく、小麦粉としては強力小麦粉が好ましい。塩と
しては海水を太陽熱で乾燥させたり、平釜等で炊いて結
晶化させた自然塩が好ましく、市販品としては、例えば
イカリ商事(株)製の「おふくろの塩」や(株)青い海製の
「沖縄の塩」等を用いることができる。水としては地下
水、雨水、井戸水等の天然水が好ましく、市販品として
は、例えばハウス食品(株)YK製の「六甲のおいしい
水」等の銘水を用いることができる。また、小麦粉は、
酸素を与えるために網目の細かいフルイ(市販品として
は、例えばピース社製の「キッチンカシェットステンレ
スフルイ」が挙げられる。)にかけたものを用いるのが
好ましい。
【0016】それらの混合比は、ジャガイモジャガイモ
45〜55重量部、りんご45〜55重量部、人参45〜55重量
部、飯米35〜45重量部、糖15〜25重量部、小麦粉40〜50
重量部、塩0.1 〜0.5 重量部及び水45〜55重量部である
のが好ましい。具体的には、各微生物一白金耳程度に対
して、例えばジャガイモ50g、りんご50g、人参50g、
白米ごはん40g、三温糖20g、強力小麦粉適量、自然塩
0.1 g及び天然水50ccを含む培地を用いることができ
る。
【0017】培養は、振とう培養又はジャーファーメン
ターを用いて通気条件下で行うことができるが、これに
限られず、例えば広口の底の深いガラスビンや、陶器の
かめ等を用い、布巾か和紙で蓋をした状態で培養するこ
ともでき、大量生産も可能である。培地のpHは5.0 〜8.
0 の範囲内が好ましく、pHの調整は常法によって行えば
よい。
【0018】上記微生物群は、5〜38℃の温度で培養可
能であり、培養時間の面からは32〜35℃の範囲内が好ま
しい。しかし、30℃を超えた常温下で培養するよりも、
冷蔵庫等を使用して一晩程度培養する方が、発酵がゆる
やかでピークに達した状態が長時間(3〜4日)続くた
め好ましい。冷蔵庫等の使用により5〜10℃で培養する
場合は、初段階で40〜43時間程度、2回目以降で10〜15
時間程度の培養時間を必要とする。32〜35℃で培養する
場合は、2〜3時間程度で足りる。
【0019】具体的な培養方法の一例としては、まずジ
ャガイモ、りんご及び人参の皮を剥き、水道水等により
流水洗浄する。これらジャガイモ、りんご及び人参は、
約1.5 cm角程度の大きさに切断するのが好ましい。次い
でジャガイモ、りんご、人参、飯米及び水を混合し、ミ
キサーで粉砕攪拌する。得られた混合物の内容物は搾ら
ずに、糖、塩及び5種類の菌体をそれぞれ添加するとと
もに、フルイにかけた小麦粉を添加し、攪拌する。この
とき、微生物の培養の面からも、混合物が粘らず、味噌
よりもやわらか目になるように小麦粉を添加して攪拌す
るのが好ましい。また、よく攪拌することにより、微生
物を均一に分散させるとともに、栄養源や酸素も均等に
分散させることができる。
【0020】このようにして培養した混合菌の培養物
は、呼吸ができるように和紙又は清潔な布巾等で蓋をし
て、冷蔵庫等で保管するのが好ましく、ビン等に詰めて
密封しないように注意する必要がある。容器が広口のビ
ンであれば、空気に接する培養物の面積を大きくするこ
とができ、酸素の供給を十分に行うことができる。本発
明のぬか味噌床は、上記5種類の微生物、即ちラクトバ
チルス・カセイ・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobac
illus casei subsp. casei)、ラクトバチルス・ブレビ
ス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・プラン
タラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス
・アリメンタリウス(Lactobacillusalimentarius)及
びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevi
siae)を含むものであって、上記培養物をぬか味噌床の
原料に添加することにより得られる。
【0021】上記培養物以外のぬか味噌床の原料として
は、通常使用される米ぬか、食塩、糖、水等を用いれば
よい。それらの混合比は、米ぬか3000重量部に対して、
上記培養物250 〜350 重量部、糖70〜130 重量部及び水
540 〜720 重量部であるのが好ましい。米ぬかは、通常
使用されるものであればよいが、うるち米の米ぬかが好
ましく、特にそれを煎ったものが好ましい。糖として
は、砂糖のような多糖類よりもぶどう糖や果糖のような
単糖類の方が発酵に適していて好ましい。水は、一旦沸
騰させて冷ましたものを用いるのが好ましい。また、好
みによっては、タカノツメ(赤唐辛子)、さんしょうの
実、にんにく、昆布等を加えてもよい。
【0022】塩分の混合比は、漬物の種類や温度等によ
っても変化するが、8〜15重量%であるのが好ましく、
特に長期保存する場合には13重量%前後であるのが好ま
しい。なお、ここでいう塩分の混合比は、漬けている最
中のぬか味噌床における塩分の濃度、即ち野菜や魚等か
ら浸出する水により希釈されて平衡に達した後の濃度を
いうものとする。塩分の濃度が8重量%未満であると、
上記5種類の微生物以外にも腐敗菌その他あらゆる雑菌
の発育が盛んになるため漬物が腐敗するおそれがあり、
15重量%を超えると、腐敗菌等の活動はほぼ停止するた
め貯蔵性は向上するが、上記5種類の微生物も発育困難
となり、美味芳香を有する漬物等が得られなくなる。8
〜15重量%の範囲内であれば、上記5種類の微生物の繁
殖によって腐敗菌等の生育を抑制するとともに漬物に美
味芳香を付与することができ、また酸敗、酪酸臭の発
生、発カビ、あるいは漬物の組織の軟化、退色、変色等
を防止することができ、貯蔵性も良好である。
【0023】ぬか味噌床を調製するには、例えば、水、
糖及び培養物を少しづつ溶かしながらぬかに混ぜ入れ
て、ぬかが全体に水分を含み、握ってみてパラける程度
になるように混ぜほぐし、均一になったら和紙や清潔な
布巾等で蓋をする。2〜3日ねかせておくと、芳醇な美
酒の香りが満ち、アルコールのいい匂いがするようにな
り、さらに発酵が進むにつれて乳味、酪味、生酥味、熟
酥味、醍醐味が美味芳香を有した発酵米ぬかが得られ
る。得られた発酵米ぬかに食塩及びさんしょうの実等を
添加し、水を適量加えれば、ぬか味噌床となる。
【0024】上記5種類の微生物は、ぬかの成分などを
分解するとともに、グルタミン酸、アミノ酸、グルコン
酸、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、コハク
酸等の有機酸、アルコール、アルデヒド等の成分を分泌
し、ぬか臭さを除去するため、これらの微生物を使用し
たぬか味噌床により得られる漬物は美味芳香を有し、醍
醐味のあるものとなる。その他の成分として、インター
フェロンをも分泌すると考えられるため、得られる漬物
は抗ガン性を有するものとなる。また、本発明のぬか味
噌床では、ぬか味噌と微生物群との一定の平衡関係が維
持され、ぬか味噌漬けの発酵を促進することができ、種
ぬか味噌床としても有用である。
【0025】本発明のぬか味噌床によれば、通常漬ける
ことができるものであればいかなるものをも漬けること
ができ、例えば野菜、根菜、薬草、魚類等の漬物を製造
することができる。本発明のぬか味噌床を使用してぬか
味噌漬けを漬けるには、通常のぬか味噌漬けと同様にし
て行えばよく、例えばかぶ、大根、きゅうりの場合なら
ば夏場1日、冬場3日漬ければよく、キャベツ、だいこ
んの葉の場合ならば夏場数時間、冬場1日漬ければよ
い。漬物には通常使用される添加物を添加してもよい
が、健康食品としての面からは無添加無着色の方が好ま
しい。
【0026】本発明のぬか味噌床によって漬けた漬物
は、何十年、あるいは百年以上もの長期間経ったぬか味
噌床による漬物と同様の美味芳香を有する他、日持ちも
良好で、通常のぬか味噌床を使用して漬けたものが4〜
5℃、24時間以内で酸っぱくなるのに対して、本発明の
ぬか味噌床を使用して漬けたものは、4〜5℃で1週間
以上酸っぱくならず、歯ごたえも良好であり、カビにく
い。魚類を漬けた場合には、魚団子やかまぼこの材料に
も利用することができる。
【0027】本発明のぬか味噌床によって漬けた魚介類
は、干物にすることができる。干物にすることのできる
魚介類としては、いかなるものであってもよいが、例え
ば、鯛、イワシ、アジ、トビ魚、フグ、ニシン、イワ
ナ、ヤマメ、むしあわび、カニ、カラスミなどが挙げら
れ、淡白なものの方が味が良くなる。魚を干物にする場
合、ぬか味噌床に漬けた後、丸干しにしてもよいし、ぬ
か味噌床に漬ける前にウロコを除去して、背開もしくは
腹開し、又はそのままの状態で洗浄し、内蔵を除去した
後、5〜10分程度水洗いして血抜きを行ってもよく、魚
の種類等に応じて適宜処理すればよい。
【0028】魚介類を本発明のぬか味噌床に漬けると、
浸透圧によって魚介類の細胞から水分が浸出するととも
に、ぬか味噌床に含まれる食塩、有機酸、アルコール、
糖、アミノ酸などの成分が細胞中に浸入する。これによ
り、魚介類には風味が付与され、また貯蔵性が高められ
る。漬ける時間は、2〜3℃の下で、10〜20時間程度が
好ましい。本発明のぬか味噌床で漬けた後は、水洗いし
て常法により乾燥させればよい。乾燥時間は48〜60時間
程度が好ましい。
【0029】このようにして得られる魚介類の干物は、
ぬかの成分により色光沢がよく、「くさや」のような臭
いがなくて良好な香りを有し、風味に優れている。ま
た、栄養価も高く、健康食品としても利用できる。さら
には、腐りにくく日持ちが良好であり、10〜30日経過し
ても油やけしない。特にからすみの場合には、すぐにカ
ビるのが通常であるが、本発明の方法により得られたか
らすみは、冷蔵庫中で2か月以上カビることなく、美味
芳香を保持する。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。 〔実施例1〕ジャガイモ、りんご及び人参の皮を剥き、
水道水により流水洗浄し、それぞれ約1.5 cm角に切断し
た。切断したジャガイモ50g、りんご50g及び人参50g
と、白米ごはん40gと、天然水50ccとを混合し、40〜50
秒間ミキサー(ナショナル社製、ジューサー・ミキサー
MJ−(32))にかけた。得られた混合物は、シェー
ルピンク色を有し、なめらかでどろっとしていた。
【0031】この混合物に、三温糖20g及び自然塩0.1
gを添加するとともに、ラクトバチルス・カセイ・サブ
スピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. c
asei)の乾燥菌体1白金耳、ラクトバチルス・ブレビス
(Lactobacillus brevis)の乾燥菌体1白金耳、ラクト
バチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)
の乾燥菌体1白金耳、ラクトバチルス・アリメンタリウ
ス(Lactobacillus alimentarius)の乾燥菌体1白金耳
及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cere
visiae)の乾燥菌体1白金耳菌体を添加し、よくかき混
ぜた。
【0032】次に、この混合物の粘度が味噌よりもやわ
らか目程度となるように、フルイ(ピース社製、キッチ
ンカシェットステンレスフルイ)にかけた強力小麦粉を
加え、攪拌混合した。得られた混合物を底の深いガラス
ビン(インスタントコーヒーの空きビン)に入れ、布巾
で蓋をした。培地のpHは5.0 〜8.0 の範囲内となるよう
に調整して、32〜35℃下で2〜3時間培養した。培養
後、得られた培養物の容積は当初の約2倍にふくれ上が
っていた。
【0033】上記工程を繰り返して得られた培養物300
gと、うるち米の米ぬか3000gと、三温糖100 gと、水
(一旦沸騰させて冷ましたもの)720 ccとを大きめの容
器でよく混合した後、和紙で蓋をして2〜3日ねかせ
た。得られた米ぬか2500gに食塩約300 gを添加すると
ともに、タカノツメ及びさんしょうの実を少量加え、攪
拌・混合し、ぬか味噌床とした。
【0034】〔実施例2〕きゅうり、大根及びナスを用
意し、約10〜15℃の下で、実施例1で得られたぬか味噌
床に約12〜24時間漬けた。このようにして漬けたぬか味
噌漬けを食したところ、百年以上もの長期間経ったぬか
味噌床による漬物と同様の美味芳香を有していた。ま
た、このぬか味噌漬けを4〜5℃で保存したところ、1
週間以上酸っぱくならず、歯ごたえも良好であった。
【0035】対照として、上記培養物を加えない、通常
のぬか味噌床を用いてぬか味噌漬けを製造した。得られ
たぬか味噌漬けは、実施例1のぬか味噌床を用いて漬け
たもの程は美味しくなく、歯ごたえもよくなかった。ま
た、4〜5℃で保存したところ、24時間以内で酸っぱく
なった。 〔実施例3〕とび魚を用意し、ウロコを除去した後、背
開もしくは腹開し、又はそのままの状態で洗浄し、内蔵
を除去した。5〜10分程度水洗いして血抜きを行った
後、約5〜10℃の下で、実施例1で得られたぬか味噌床
に10〜26時間浸漬した。その後、ぬか味噌床からとび魚
を取り出して流水で水洗いし、次いで48〜60時間天日で
乾燥させた。
【0036】このように製造したとび魚の干物を食した
ところ、「くさや」のような臭いがなく、良好な味覚を
有していた。また、このとび魚の干物を常温下で30日間
以上放置しても腐らず、油やけもせず、日持ちが良好で
あった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、作りはじめて長期間経
ったぬか味噌床を使用して漬けた漬物と同様の美味芳香
を有するとともに、良好な保存性を有する漬物、及び
「くさや」のような臭みがなく、貯蔵性に優れた魚介類
の干物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】47072470−分離菌a株の形態を示す図である。
【図2】47072470−分離菌b株の形態を示す図である。
【図3】47072470−分離菌c株の形態を示す図である。
【図4】47072470−分離菌d株の形態を示す図である。
【図5】47072470−分離酵母株の形態を示す図である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)を含むことを特徴とする
    ぬか味噌床。
  2. 【請求項2】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)がジャガイモ、りんご、
    人参、飯米、糖、小麦粉、塩及び水を含む培地を用いて
    培養した混合微生物であることを特徴とする、請求項1
    記載のぬか味噌床。
  3. 【請求項3】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)を含むぬか味噌床を使用
    してぬか味噌漬けを製造することを特徴とする漬物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)がジャガイモ、りんご、
    人参、飯米、糖、小麦粉、塩及び水を含む培地を用いて
    培養した混合微生物であることを特徴とする、請求項3
    記載の漬物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)を含むぬか味噌床を使用
    して漬けた魚介類を乾燥させることを特徴とする魚介類
    の干物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシ
    ーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、
    ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillusbrevis)、
    ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus planta
    rum)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobaci
    llus alimentarius)及びサッカロミセス・セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)がジャガイモ、りんご、
    人参、飯米、糖、小麦粉、塩及び水を含む培地を用いて
    培養した混合微生物であることを特徴とする、請求項5
    記載の魚介類の干物の製造方法。
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