JP2730545B2 - スクロール型電動圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、空調機、冷蔵庫等
の冷凍用のスクロール型電動圧縮機に関するものであ
る。 【０００２】 【従来の技術】密閉容器内がいわゆる「低圧形」の冷凍
用圧縮機としては、従来からレシプロ型が広く使用され
て来ているが、最近スクロール型圧縮機が低騒音低振動
型として広く注目されてきている。第３図に従来のスク
ロール型圧縮機の断面構成図を示す。 【０００３】密閉容器１の内部に圧縮機構２と、これを
支承する軸受部品１４、圧縮機構２をシャフト６を介し
て回転駆動する電動機３を軸受部品１４の下部に配設し
ている。４は電動機３の固定子で密閉容器１に固着配設
されており、５は回転子でありシャフト６が結合されて
いる。７は密閉容器１に配設された密閉絶縁端子で、電
動機３に電力を供給する。圧縮機構２は固定渦巻羽根部
品２５と、この固定渦巻羽根部品２５と噛み合って圧縮
空間２９を形成する旋回渦巻羽根部品２６と、この旋回
渦巻羽根部品２６の自転を防止する自転拘束部品２４な
どから構成される。旋回渦巻羽根部品２６の旋回軸２７
はシャフトの一端に設けられた主軸３０の偏心軸受部１
１ａに挿入されてシャフト６により旋回駆動される。旋
回渦巻羽根部品２６には冷媒気体（図示せず）の圧縮力
によって下向きの力が作用し、軸受部品１４上に設けた
スラスト軸受１２で支えられる。一方、シャフト６は軸
受部品１４に設けられた主軸受１１ｂと副軸受１４ａで
支承されている。 【０００４】密閉容器１の下方底部には潤滑油８を貯溜
する油溜め９を設け、潤滑油８がシャフト６に設けた偏
心孔１０を通って遠心力で上昇し、旋回渦巻羽根部品２
６を支承する偏心軸受部１１ａを給油し、主軸受１１ｂ
を図の矢印のように潤滑又は冷却を行い、シャフト６に
設けた油溝１３を下方に流れて軸受部品１４の副軸受１
４ａを潤滑しながら回転子５の上部へ流出し、固定子４
の上部空間へ放出されて固定子４の外縁切欠部１５を通
って再び油溜め９へ戻す構成になっている。１６は吐出
管で圧縮空間２９で圧縮された冷媒気体が密閉容器１外
へ吐出され、その後再び吸入管１７から密閉容器１内へ
入り、吸入口１８から圧縮機構２に吸入される構成にな
っている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】上記スクロール型の従
来の電動圧縮機の場合、油溜め９の潤滑油８がシャフト
６の偏心孔１０を通って旋回渦巻羽根部品２６を支承す
る偏心軸受１１ａ、その後主軸受１１ｂへ、そして副軸
受１４ａへと供給されて潤滑又は冷却した後、電動機３
の回転子５の上部へ放出される。 【０００６】従って、圧縮機構２の軸受負荷の大きな偏
心軸受部１１ａや主軸受１１ｂへの給油量がシャフト６
に設けられた偏心孔１０の距離が長いため十分確保でき
なかった。更に、放出された潤滑油８は回転子５に振り
回されてすんなりと固定子４の外縁切欠部１５を通って
油溜め９へ戻らずに、拡散されてしまい、噴霧状となっ
て吸入管１７から戻ってくるの冷媒気体と共に、吸入口
１８へ同時吸引されて圧縮機構２へ入ってしまい、吐出
管１６から圧縮された冷媒気体と共に密閉容器１外へ吐
出されてしまう。再び吸入管１７から戻ってきても、潤
滑油８は油溜め９へ戻らず、吸入口１８へ冷媒気体と共
に吸引されて、ついには油溜め９の潤滑油８が不足して
しまうという課題があった。更には冷凍サイクル中（図
示せず）を循環する潤滑油８が増加して熱交換器の伝熱
効率が低下したりする課題も有していた。 【０００７】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の手段は、密閉容器の上部に圧縮機構を設け、
この圧縮機構を固定渦巻羽根部品、旋回渦巻羽根部品、
この旋回渦巻羽根部品を前記固定渦巻羽根部品と噛み合
わせて旋回運動させる自転拘束部品、旋回渦巻羽根部品
をスラスト軸受を介して支承し密閉容器に固定される軸
受部品、旋回渦巻羽根部品を支承するシャフトの上端の
主軸に設けた偏心軸受部で構成し、圧縮機構を回転駆動
するシャフトに結合された回転子、および固定子からな
る電動機を軸受部品の下部に配設し、電動機の固定子を
密閉容器で固着配設し、密閉容器の下方底部に潤滑油を
貯溜する油溜めを設け、油溜めに吸入側の圧力が作用す
る構成とし、軸受部品にシャフトの主軸を支承する主軸
受とこの主軸受の下部でシャフトを支承する副軸受とを
設けると共に、油溜めと偏心軸受部および副軸受とを連
通する偏心孔をシャフトに設けて潤滑油を並行給油し、
この副軸受を潤滑した油も偏心軸受部へ合流給油させる
べく副軸受と偏心軸受部とを連通する細孔をシャフトの
主軸に設け、この潤滑油を主軸受に給油すべく主軸受上
部と軸受部品に設けた油排出孔と連通する油溝を主軸受
または主軸受に設けて、この油排出孔から潤滑油を排出
させることにある。 【０００８】 【０００９】 【発明の実施の形態】本発明の上記技術手段による作用
は次の通りである。 【００１０】旋回渦巻羽根部品をシャフトの偏心軸受部
に挿入し、軸受部品にシャフトを支承する主軸受と副軸
受を設けた構成において、密閉容器の底部の油溜めから
潤滑油を先ず偏心軸受部と副軸受へ並行給油し、そして
この副軸受を給油した潤滑油も偏心軸受部へ合流給油さ
せ、その後主軸受を給油してから軸受部品に設けた油排
出孔から排出する。従って、軸受負担の大きい偏心軸受
部と主軸受に副軸受を給油した潤滑油が合流して、多量
の潤滑油がシリーズ的に供給される。更に、従来のよう
に潤滑油が副軸受を給油後回転子上部へ放出されて回転
子で振り回される場合と違って、潤滑油が噴霧になった
り、拡散することが少なくなり、固定子上部に貯まる潤
滑油は固定子の外周切欠部を通って油溜めに戻り易くな
る。 【００１１】 【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照して
説明する。 【００１２】（実施例１）第１図は本発明の一実施例を
示すスクロール型の電動圧縮機であり、第２図は同じく
それの基本的な部分を示す分解斜視図である。 【００１３】密閉容器４１の内部に圧縮機構４２とこれ
を支承する軸受部品５４、圧縮機構４２をシャフト４６
を介して回転駆動する回転子４５、固定子４４からなる
電動機４３を軸受部品５４の下部に配設している。圧縮
機構４２は固定渦巻羽根部品６５、旋回渦巻羽根部品５
６をこの固定渦巻羽根部品６５と噛み合わせて旋回運動
させる自転拘束部品６４、旋回渦巻羽根部品５６をスラ
スト軸受５８を介して支承する軸受部品５４、旋回渦巻
羽根部品５６を支承するシャフト４６に設けた偏心軸受
部５７などで構成されている。軸受部品５４にはシャフ
ト４６を支承する主軸受５９と副軸受５４ａとが設けら
れている。電動機４３の固定子４４は密閉容器４１で固
着配設されており、密閉容器４１の下方底部には潤滑油
４８を貯溜する油溜め４９を設けている。４７は密封絶
縁端子４４に電力を外部から供給する。６１は圧縮機構
４２の旋回渦巻羽根部品５６と固定渦巻羽根部品６５と
で圧縮されたガスが外部へ吹出される吐出管で、吸入管
６２から再び密閉容器４１へ入り吸入孔６３から圧縮機
構４２へ吸入されるようになっている。従って、この場
合、密閉容器４１内、特に油溜め４９には吸入側の冷媒
ガス圧力が作用している。 【００１４】シャフト４６下端には油溜め４９に浸され
た吸込み管５０を設け、この吸込み管５０から潤滑油４
８を回転によって吸入し、シャフト４６に設けられた偏
心孔５１を通って、圧縮機構４２へ給油する。つまり、
偏心孔５１を通った潤滑油４８は、シャフト４６の横孔
５２へ入り込んで油溝５３へ流れて、軸受部品５４の副
軸受５４ａを潤滑して上部の細孔５５を通って圧縮機構
４２の一部品である旋回渦巻羽根部品５６の偏心軸受部
５７へ流れ込む潤滑経路と、偏心孔５１から直接潤滑油
４８が偏心軸受部５７へ流れる潤滑経路を有する。この
２つの潤滑経路は、偏心軸受部５７で合流して、潤滑油
４８は圧縮機構４２の旋回渦巻羽根部品５６のスラスト
力を支えるスラスト軸受５８の摺動部５８ａを潤滑、冷
却し、そしてシャフト４６の主軸７０に設けた油溝７２
を通って軸受部品５４の主軸受５９を潤滑してから軸受
部品５４の設けた油排出孔６０から排出される。 【００１５】従って、スクロール型電動圧縮機の摺動部
として負荷が大きく、多量の潤滑油を要する偏心軸受部
５７と主軸受５９に副軸受５４ａを給油した潤滑油４８
も合流してをシリーズ的に給油されることになる。更に
は、軸受部品５４に設けられた油排出孔６０から排出さ
れた潤滑油４８は、従来のように軸受部品５４の副軸受
５４ａを潤滑した後、電動機４３の回転子４５の上部か
ら排出されて回転子４５で振り回されて拡散される場合
と異なり、固定子４４の上部へ貯まって、固定子４４の
外周切欠部６５から下部へ垂れて油溜め４９へ戻り易く
なる。 【００１６】 【発明の効果】本発明によれば、圧縮機構部の最も負荷
の大きな偏心軸受と主軸受に可能な限り多量の潤滑油の
給油を行い、かつこの潤滑油を底部の油溜めへ安定的に
戻すことにより、信頼性の高いスクロール型電動圧縮機
を実現できる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一実施例を示すスクロール型の電動圧
縮機の断面構成図 【図２】同要部分解斜視図 【図３】従来のスクロール型の電動圧縮機の断面構成図 【符号の説明】 ４１ 密閉容器 ４２ 圧縮機構 ４３ 電動機 ４４ 固定子 ４５ 回転子 ４６ シャフト ４８ 潤滑油 ４９ 油溜め ５４ 軸受部品 ５４ａ 副軸受 ５５ 細孔 ５６ 旋回渦巻羽根部品 ５７ 偏心軸受部 ５９ 主軸受 ６０ 油排出孔 ６３ 吸入孔 ６４ 自転拘束部品 ６５ 固定渦巻羽根部品

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．密閉容器の上部に圧縮機構を設け、該圧縮機構を固
   定渦巻羽根部品、旋回渦巻羽根部品、該旋回渦巻羽根部
   品を前記固定渦巻羽根部品と噛み合わせて旋回運動させ
   る自転拘束部品、前記旋回渦巻羽根部品をスラスト軸受
   を介して支承し前記密閉容器に固定される軸受部品、前
   記旋回渦巻羽根部品を支承するシャフトの上端の主軸に
   設けた偏心軸受部で構成し、前記圧縮機構を回転駆動す
   る前記シャフトに結合された回転子、および固定子から
   なる電動機を前記軸受部品の下部に配設し、前記電動機
   の固定子を前記密閉容器で固着配設し、前記密閉容器の
   下方底部に潤滑油を貯溜する油溜めを設け、前記油溜め
   に吸入側の圧力が作用する構成とし、前記軸受部品に前
   記シャフトの主軸を支承する主軸受と該主軸受の下部で
   前記シャフトを支承する副軸受とを設けると共に、前記
   油溜めと前記偏心軸受部および前記副軸受とを連通する
   偏心孔を前記シャフトに設けて前記潤滑油を並行給油
   し、該副軸受を潤滑した油も前記偏心軸受部へ合流給油
   させるべく前記副軸受と前記偏心軸受部とを連通する細
   孔を前記シャフトの主軸に設け、該潤滑油を前記主軸受
   に給油すべく前記主軸受上部と前記軸受部品に設けた油
   排出孔と連通する油溝を前記主軸受または主軸受に設け
   て、該油排出孔から前記潤滑油を排出させてなるスクロ
   ール型電動圧縮機。