JP2002302793A - コンダクターロール及びその製造方法 - Google Patents

コンダクターロール及びその製造方法

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JP2002302793A JP2001109465A JP2001109465A JP2002302793A JP 2002302793 A JP2002302793 A JP 2002302793A JP 2001109465 A JP2001109465 A JP 2001109465A JP 2001109465 A JP2001109465 A JP 2001109465A JP 2002302793 A JP2002302793 A JP 2002302793A
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blasting
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Toshihiro Maruhashi
俊洋 丸橋
Takuo Ota
拓男 太田
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Satosen Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Satosen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐食性、グリップ性、耐摩耗性を発揮
することができるコンダクターロール及びその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 連続めっき鋼板製造工程中の電解処理工
程において使用されるコンダクターロールであって、ロ
ール本体表面のブラスト処理面に施したクロムめっき皮
膜1aと、このクロムめっき皮膜1aに形成されたブラ
スト処理面に施したクロムめっき皮膜1bとよりなる多
層クロムめっき皮膜を表面に備えたコンダクターロール
と、ロール本体1の表面に第1のブラスト処理を施して
粗面したうえこれに第1のクロムめっき皮膜1aを形成
し、次いで、この第1のクロムめっき皮膜1aの表面に
第2のブラスト処理を施したうえ第2のクロムめっき皮
膜1bを形成するコンダクターロールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続めっき鋼板製
造ラインの電気めっき及び電解処理工程、具体的には、
すずめっき鋼板製造ラインにおけるすずめっき工程及び
電解処理工程、クロムめっき鋼板製造ラインにおけるク
ロムめっき工程及び電解処理工程等に使用されるコンダ
クターロール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、すずめっき鋼板やクロムめっ
き鋼板等の連続めっき鋼板は、供給側ロールから排出さ
れた未処理鋼板が脱脂工程、酸洗工程、電気めっき工
程、更に工程によっては電解クロメートの各処理及びそ
れらに関わる水洗工程を経て製造されている(以下、電
気めっき工程及び電解クロメート工程を含むめっき後の
電解処理に係わる工程を、電解工程と称する)。
【0003】これら連続めっき鋼板の製品としての品質
は、下地鋼板に影響されることは勿論のこと、前処理工
程、電解工程における処理状態に大きく影響される。特
に、電解工程における電圧及び電流は、これらの工程で
使用する液組成、析出金属の電気化学的性質、極間距
離、析出速度、単位時間当りの処理面積等の種々の条件
により決定される。また電解工程では、高速で走行する
鋼板を短時間で処理する必要があるため、高電流密度及
び高電圧処理となり、このためにロールと鋼板との間で
アークスポットが発生することが多く、このアークスポ
ットが鋼板の品質の低下を招く大きな原因となってい
る。
【0004】このアークスポットを防止する方法として
は、局部的に高電流となるのを防止することが有効な手
段であることから、コンダクターロールの表面粗度を上
げて多くの凸部を形成し、特定箇所に電流集中が生じな
いように対策が採られてきた。このように表面粗度を上
げることにより、コンダクターロール表面の電流分布が
均一化され、アークスポットの発生減少及びグリップ力
の向上に大きく貢献している。即ち、アークスポットの
減少は、アークにより生じていた製品のアーク痕が無く
なる、グリップ力の向上は鋼板のスリップあるいは蛇行
が減少するために品質の向上に寄与する。また、対ロー
ルもアーク及び鋼板のスリップの減少、あるいは蛇行の
減少により、従来よりロール表面の損傷が無くなりメン
テナンスの面でも有利に作用している。
【0005】しかしながらその反面、表面粗度を高める
ことによりめっき液の汲み出し量が増え、これがコスト
要因のみならず、環境負荷を大きくする要因となるもの
であった。また、表面粗化手段としては、ブラスト法が
コスト面、多様な条件での処理が可能なため多く利用さ
れているが、ブラスト法による表面粗化の場合、その凹
凸が激しくアークスポットの減少には対処できるもの
の、ロールの耐熱性、耐食性、耐摩耗性等の諸性質を上
げるために行われるロールへのめっきには適したもので
はなかった。
【0006】特殊な場合を除いて、ロールは長寿命化あ
るいはその工程での特性を十分に引き出すため、その基
体に何らかの表面処理を施すことが一般的に行われてい
る。特に、めっきは用途に応じて様々な皮膜が開発され
ていることから、めっきを施す場合が多い。無電解めっ
き或いは電気めっきを問わず、めっきは被めっき面にめ
っき液が確実に接触し、且つ、めっきの進行に従って低
下する金属濃度、或いは基体界面の状態を常にめっきに
最適な条件に維持する必要がある。そのためには基体表
面に十分なめっき液の補給が出来なければならないが、
凹凸が激しいと、特に凹部界面への十分なめっき液の補
給ができなくなり、凹部が無めっき状態あるいはめっき
皮膜の極端な薄膜化等の不均一なめっきとなる。また、
電気めっきを行う場合には、めっき液の補給のみなら
ず、電気の流れを考慮する必要がある。即ち、被めっき
面の凸部分にめっき電流が集中するため、めっきは厚く
形成する傾向にあり、凹部は無めっき状態あるいは凸部
に比べめっき膜厚が非常に薄い状態、著しい場合には無
めっきとなる。この様な場合には、めっき液に曝される
金属種がめっきが析出した部分と無めっき部分とでは異
なることになり、ロールの損傷速度をより速める原因と
もなっていた。
【0007】更に、電解工程で使用する化学物質は、環
境負荷の大きな物質が使用されることが多いことから、
最近ではより環境負荷の小さい方法が求められている。
しかしながら、従来のブラスト処理方法では鋼板に付着
した処理液がロール表面の凹凸間に進入し汲出される液
量が多く、環境及びコスト管理上の改善が求められてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来の問題点を解決して、優れた耐食性、グリップ性、
耐摩耗性を発揮することができ、また、めっき処理液の
汲み出し量の大幅な低減も図ることができるコンダクタ
ーロール及びその製造方法を提供することを目的として
完成されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、連続めっき鋼板製造工程中の電
解処理工程において使用する表面にクロムめっき皮膜が
形成されたコンダクターロールであって、前記したクロ
ムめっき皮膜が、ロール本体に形成されているブラスト
処理面に施したクロムめっき皮膜と、このクロムめっき
皮膜に形成したブラスト処理面に施したクロムめっき皮
膜とを有する多層クロムめっき皮膜であることを特徴と
するコンダクターロールと、連続めっき鋼板製造工程中
の電解処理工程において使用されるコンダクターロール
の製造方法であって、ロール本体の表面に第1のブラス
ト処理を施して粗面としたうえこれに第1のクロムめっ
き皮膜を形成し、次いで、この第1のクロムめっき皮膜
の表面に第2のブラスト処理を施したうえ第2のクロム
めっき皮膜を形成することを特徴とするコンダクターロ
ールの製造方法である。
【0010】また、前記したコンダクターロールの製造
方法においては、第1のクロムめっき皮膜の形成後に施
す第2のブラスト処理により、第1のクロムめっき皮膜
の封孔処理が同時に行なわれるようにすることが好まし
く、これを請求項3に係る発明とする。さらに、前記し
た第1のブラスト処理は、粒径の異なる同種のブラスト
材で二回以上行なうか、第1のブラスト処理が、粒径の
異なる異種のブラスト材で二回以上行なうことによって
好ましい効果が期待でき、これらを請求項4および請求
項5の発明とし、このように二回以上のブラスト処理を
行なう場合に使用するブラスト材は、後のブラスト処理
に使用するブラスト材の粒径を先のブラスト処理に使用
するブラスト材よりも小さい粒径のブラスト材を用いる
ことが好ましく、これを請求項6の発明とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しつつ本発明
の好ましい実施の形態を示す。本発明においては、図1
に示されるように、ロール本体1の表面に第1のブラス
ト処理を施した後、この第1のブラスト処理により形成
される粗面に第1のクロムめっき皮膜1aを形成する。
そして、さらにこの第1のクロムめっき皮膜1aの表面
に第2のブラスト処理を施した後、第2のクロムめっき
皮膜1bを形成してロール本体表面に形成されたクロム
めっき皮膜をロール本体1に形成されているブラスト処
理面に施したクロムめっき皮膜1aと、このクロムめっ
き皮膜1aに形成したブラスト処理面に施したクロムめ
っき皮膜1bとよりなる多層クロムめっき皮膜としてあ
る。なお、図示例ではクロムめっき皮膜1a、1bの2
層としているが、外側のクロムめっき皮膜の表面に更に
ブラスト処理を施した後、クロムめっき皮膜を形成する
ようにして3層以上のクロムめっき皮膜としてもよいこ
とは勿論である。
【0012】本発明は発明者が研究を重ねた結果、ロー
ル表面をブラスト処理するに当たり、少なくとも二種類
の条件でブラストをすることにより、表面粗度は同一に
もかかわらず、付き回りの悪いとされるクロムめっきが
ロール表面の凹部の底辺まで十分に回ることを見出した
ことによる。更に、クロムめっき単層より2層のクロム
めっきとし、下層のクロムめっき皮膜硬度を外層のクロ
ムめっき皮膜硬度より軟質とするとともに、第1層目を
被着後にブラスト処理をすることにより、先のクロムめ
っき皮膜の有する微細クラックをつぶし、新たな第2層
目のクロム皮膜を被着することによってより優れた耐食
性、グリップ性、耐摩耗性を奏し、更にはめっき処理液
の汲み出し量の大幅な低減が図れることを見出したこと
による。
【0013】なお、ロール本体1の素材としては、鋼板
の張力によりロールが歪を生じない大きな剛性を有する
もの、あるいはその様な対策を可能とする素材であれば
特に限定されない。例えば、銅及びその合金、ステンレ
ス鋼、炭素鋼、その他クロム、ニッケル、モリブデンあ
るいはマンガン等を含有する鋼、あるいは表面を導体化
処理した炭素繊維強化プラスチック等がある。
【0014】次に、上記のようなコンダクターロールを
生産する手順につき説明する。前提として、対象ロール
が再使用である場合は、機械研磨、化学的研磨あるいは
電解研磨等の表面研磨方法のいずれか一種以上の方法で
ロール表面に残余しているめっき皮膜の除去あるいは腐
食により生じた凹凸の除去を行っておく。先ず、第1の
ブラスト処理によりロール本体の表面に凹凸を付与する
が、この際に使用するブラスト材としては、金属、セラ
ミック系の使用が可能であり、これら一種または二種以
上を使用する。金属系ブラスト材としては、スチールシ
ョット、スチールグリッド、スチールカットワイヤー、
スチールビーズ、ステンレスカットワイヤー、ステンレ
スビーズ等がある。また、セラミック系ブラスト材とし
てはアルミナ(アランダム)、炭化ケイ素、珪砂、ガラ
スビーズ等があり、ロール表面素材、硬度及び凹部深さ
等の諸条件により任意に選択・組み合わせることができ
る。
【0015】二種類以上のブラスト材を使用する場合に
は、最初に硬くかつ粒径の大きいブラスト材を使用し、
後段は前段よりも柔らかくかつ小さな粒径のブラスト材
を使用するのがよい。ブラスト処理を二段で行う場合の
ブラスト材の硬度を変える例としては、一段目に珪砂
を、二段目にガラスビーズあるいはスチールカットワイ
ヤー等を用いるとするブラスト材の組み合わせが例示で
きる。また、粒径としては12番で示されるブラスト材
を一段目で使用し、二段目では54番で示されるブラス
ト材を使用する等が例示できる。これら硬度の異なるブ
ラスト材の組み合わせや粒径の組み合わせは、加工する
素材、作成する凹凸の条件によって適宜決めることがで
きる。
【0016】次に、第1のブラスト処理により表面に凹
凸を形成した後、第1のクロムめっき皮膜1aを形成す
る(図2参照)。前処理は素材に応じた公知の方法で行
えば良く、例えばステンレスロールの場合には、浸漬脱
脂、電解脱脂、電解エッチング、ストライクめっき、ク
ロムめっきの順で行えばよい。ここで使用するクロムめ
っき液は、特に限定されないが、例示すれば無水クロム
酸250g/l、硫酸2.5g/lを標準組成とするサージ
ェント浴と一般に呼称されているクロムめっき液、けい
ふっ化物浴、多価スルホン酸あるいは有機酸を含有する
クロムめっき液等が使用できる。
【0017】クロムめっき条件としては、使用するめっ
き液に適した条件で行えばよく、標準組成のサージェン
ト浴では、めっき温度が50〜60℃、電流密度が10
〜30A/dm2 の条件が例示できるが、これに限定され
るものではない。めっき厚は、20〜100μm の範囲
が良いが、表面粗度の維持や次に説明する第2のクロム
めっき厚を考慮し決めればよい。
【0018】次に、第2のブラスト処理であるが、この
ブラスト処理は、第1のクロムめっき皮膜1aの表面の
粗化と同時にこの第1のクロムめっき皮膜1aの表面近
傍の析出粒子を緻密にすることを目的としている。従っ
て、この段階でのブラスト材及びブラスト条件は、先に
作成した粗面を壊さない様な材質及び条件を選択する必
要がある(図3参照)。
【0019】次に、第2のブラスト処理を施した後、再
度のクロムめっきを施すが、この時に使用可能なクロム
めっき液は、第1と同じクロムめっき液組成を使用して
も、また異なったクロムめっき組成を使用しても差し支
えはない。しかし、めっき皮膜硬度は第二層よりも第1
層が軟質であることが好ましく、第1のクロムめっき皮
膜の硬度(ビッカース硬度)は700〜1000、より
好ましくは800〜900の範囲で、第2のクロムめっ
き皮膜の硬度は900〜1100、より好ましくは10
00〜1100の範囲である。また、クラック形態は、
第1のクラック形態よりもより細かく、且つ、微細であ
ることが望ましい。また、この第2のクロムめっき皮膜
1bの厚みは40〜70μm の範囲が好ましいが、この
範囲外であっても差し支えはない(図4参照)。
【0020】最後に、ロール表面を研磨することで表層
部のピークカットを行い緻密な平滑面とする(図5参
照)。本発明ロールのRaで表される表面粗度は、第2
のクロムめっき皮膜形成後で4〜14、好ましくは6〜
12、より好ましくは8〜12が良い。Raが4より小
さくなると、めっき処理液の汲み出し量は少なく環境へ
の配慮では優れているものの、ロール寿命としては短命
となり、一方、Raが14より大きくなると、ロール寿
命は長期に渡るものの、めっき処理液の汲み出し量が多
く廃液量の増加によるコスト増加の要因となるからであ
る。
【0021】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について説明
する。 〔実施例1〕SUS316L材で製作されたロールを本
発明に従って処理をした。ブラスト処理前にロール表面
を研磨した後、24番のアランダム及び60番ガラスで
二段粗化し粗面を形成した。得られた表面粗度はRa1
2であった。次に、通常のクロムめっき工程に従い、か
ぶり止めを設け、脱脂、電解工程を経て、無水クロム酸
250g/l、硫酸2.5g/lよりなるめっき液を使用
し、公知のめっき条件で50μm の第1のクロムめっき
皮膜を形成した。更に、該第1のクロムめっき皮膜に、
150番のアルミナをショットブラストすることにより
クロムめっき皮膜を粗化すると同時にクラックを封孔
し、その後に市販の高速クロムめっき浴(商品名:「ヒ
ーフ」)を使用して、めっき温度60℃、電流密度30
A/dm2 の条件下で40μm の第2のクロムめっき皮膜
を着膜して多層クロムめっき皮膜とした。本実施例の第
1のクロムめっき皮膜のビッカース硬度は850で、第
2のクロムめっき皮膜のビッカース硬度は1100であ
った。このようにして得られたロールをクロムめっき鋼
板製造ラインの電解クロメート工程で使用したところ、
12ヶ月後の検査でも表面粗度は6であり、更に継続使
用可能なことが確認できた。
【0022】〔実施例2〕SUS316L材で製作され
たロールを本発明に従って処理をした。ブラスト処理前
にロール表面を研磨した後、24番のアランダム及び8
0番アランダムで二段粗化し粗面を形成した。本実施例
の第1のクロムめっき皮膜のビッカース硬度は850
で、第2のクロムめっき皮膜のビッカース硬度は105
0であった。また、この表面粗度はRa12であった。
次に公知の通常のクロムめっき工程に従い、かぶり止め
を設け、脱脂、電解工程を経て、無水クロム酸250g/
l、硫酸2.5g/lよりなるめっき液を使用し、公知の
めっき条件で50μm の第1のクロムめっき皮膜を形成
した。当該クロムめっき層に、150番のアルミナをシ
ョットブラストすることによりクロムめっき皮膜のクラ
ックを封孔した後、市販の高速クロムめっき浴(商品
名:「ヒーフ」)を使用し、めっき温度60℃、電流密
度30A/dm2 の条件下で40μm の第2のクロムめっ
き皮膜を着膜して多層クロムめっき皮膜とした。このロ
ールをすずめっき工程で使用したところ、12ヶ月経過
後の検査でも表面粗度は7であり、更に継続使用が可能
であると判断された。
【0023】〔従来例との比較〕従来法で製造したロー
ルと本発明によるロールとをクロムめっき鋼板製造ライ
ンで使用し、その寿命を調べた。なおロールの使用条件
はほぼ同一である。本発明によるロールは実施例1に記
載したロールである。従来法で製造したロールとは、S
US316L材のロール表面を研磨後、30番または4
0番アルミナをブラスト圧5〜6kg/cm2 で表面に凹凸
を形成した後、無水クロム酸250g/l、硫酸2.5g/
lよりなるめっき液を使用し、公知のめっき条件で90
μmのクロムめっき層を設けた。このロールのRaで表
される表面粗度は12であった。両ロールをクロムめっ
き鋼板製造ラインの電解クロメート処理に使用した。ロ
ールの寿命はRaで判断し、測定は月1回、使用限度を
Ra=3とした。その結果は、図1に示すとおりであ
り、本発明のロールの寿命が大幅に長くなることが確認
できた。
【0024】また、従来ロールと本発明ロールの液の汲
み出し量を比較した。なお、従来ロールは前記の比較例
に記載の方法で、本発明ロールは実施例1の方法により
製造されたロールである。ロールの表面状態は月1回観
察し、その結果、更に1ヶ月の使用が可能と判断された
場合には継続して使用した。試験期間18ヶ月のロール
使用本数及びその間のめっき処理液汲み出し量の比較を
表1に示すが、本発明ロールは1本で継続使用が可能で
あり、またその間の薬品汲み出し量は、従来ロールの7
5%であることが確認できた。
【0025】
【表1】
【0026】二段ブラスト処理の効果を確認するため、
40×100mmのSUS304板を使用し、ブラスト処
理を一段の場合と二段処理の場合のめっき性を調べた。
めっきは実施例1に記載の方法で約20μm のクロムめ
っきを着膜し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察、凸
部と凹部、各5箇所のめっき厚を測定した。その結果を
表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示されるように、二段のブラスト処
理を行ったものは、凸部と凹部のめっき厚差異は小さ
く、一段処理の系の凹部には、走査型電子顕微鏡による
断面観察ではめっきの着膜が確認できなかった箇所も有
った。また、表面粗度(Ra)が12μmから8μmに
低下(−4μmの低下)するまでの時間を使用時間比と
し測定した結果、従来ロールの使用時間比を1とする
と、本発明のロールは従来品に比べて3倍以上の使用が
できることが確認できた(図6参照)。
【0029】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
は、優れた耐食性、グリップ性、耐摩耗性を発揮するこ
とができ、まためっき処理液の汲み出し量の大幅な低減
も図ることができるものである。よって本発明は従来の
問題点を一掃したコンダクターロール及びその製造方法
として、産業の発展に寄与するところは極めて大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の生産工程を示す要部の断面図である。
【図3】本発明の生産工程を示す要部の断面図である。
【図4】本発明の生産工程を示す要部の断面図である。
【図5】本発明の生産工程を示す要部の断面図である。
【図6】本発明のロールと従来ロールの使用時間比を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 ロール本体 1a 第1のクロムめっき層 1b 第2のクロムめっき層
フロントページの続き (72)発明者 太田 拓男 大阪府大阪市西成区玉出西2丁目20番65号 株式会社サトーセン内 Fターム(参考) 4K024 AA02 AB02 AB03 BA02 BA04 BA09 BB28 DA01 DA05 DB07 GA01 GA03 GA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続めっき鋼板製造工程中の電解処理工
    程において使用する表面にクロムめっき皮膜が形成され
    たコンダクターロールであって、前記したクロムめっき
    皮膜が、ロール本体に形成されているブラスト処理面に
    施したクロムめっき皮膜と、このクロムめっき皮膜に形
    成したブラスト処理面に施したクロムめっき皮膜とを有
    する多層クロムめっき皮膜であることを特徴とするコン
    ダクターロール。
  2. 【請求項2】 連続めっき鋼板製造工程中の電解処理工
    程において使用されるコンダクターロールの製造方法で
    あって、ロール本体の表面に第1のブラスト処理を施し
    て粗面としたうえこれに第1のクロムめっき皮膜を形成
    し、次いで、この第1のクロムめっき皮膜の表面に第2
    のブラスト処理を施したうえ第2のクロムめっき皮膜を
    形成することを特徴とするコンダクターロールの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 第1のクロムめっき皮膜の形成後に施す
    第2のブラスト処理により、第1のクロムめっき皮膜の
    封孔処理が同時に行なわれるようにした請求項2に記載
    のコンダクターロールの製造方法。
  4. 【請求項4】 第1のブラスト処理が、粒径の異なる同
    種のブラスト材で二回以上行われる請求項2または3に
    記載のコンダクターロールの製造方法。
  5. 【請求項5】 第1のブラスト処理が、粒径の異なる異
    種のブラスト材で二回以上行われる請求項2または3に
    記載のコンダクターロールの製造方法。
  6. 【請求項6】 二回以上のブラスト処理のうち、後のブ
    ラスト処理に使用するブラスト材として、先のブラスト
    処理に使用するブラスト材よりも小さい粒径のブラスト
    材を用いるようにした請求項4または5に記載のコンダ
    クターロールの製造方法。
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