JP2726506B2 - 無停電電源システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、無停電電源装置の出力短絡電流及び内部直
流側短絡電流を高速遮断するためのサイリスタ遮断器を
具備した無停電電源システムに関する。

（従来の技術） 第４図はインバータ装置の並列システムを示すもので
ある。（本図では無停電電源装置を例にて説明する。）
第４図のシステムにおいては、常時所定の位相基準信号
に同期して運転するインバータ装置100は、無停電電源
装置として使用されるもので交流入力電源113が正常時
は、交流入力用遮断器115を介して交流を直流に電力変
換する順変換器117を出力から直流を交流に電力変換す
る逆変換器119を通して、定電圧定周波数の交流電力を
負荷へ供給する。

更に、各インバータ装置119の出力を並列母線103に接
続する交流出力用遮断器121、前記インバータ装置100の
内部故障発生時に並列母線103から故障したインバータ
装置を高速に切離すための交流サイリスタ遮断器120を
具備している。なお、停電等の交流入力電源113の異常
時は直流入力用遮断器116を通して、直流電源114を逆変
換器119に接続するため直ちに直流サイリスタスイッチ1
18をONさせ負荷給電を継続する。

第５図は従来の交流サイリスタ遮断器120の詳細を示
すものである。但し図中１点破線内は第１相と同じであ
るので省略する。ダイオード１と主サイリスタ２とで構
成され本図中に示していないが並列投入制御回路からの
信号により点弧する。前記主サイリスタ２を消弧するた
めに転流補助サイリスタ３は転流コンデンサ４に蓄えら
れた電荷を転流リアクトル10を通して放電するものであ
り、前記転流コンデンサ４は充電回路５により逆流防止
ダイオード６を通して所定の電圧まで充電される。ダイ
オード１と主サイリスタ２を通して流れる電流を検出す
る、CT（または変流器）７からの信号を過電流検出路８
に入力し、所定の設定値以上の過電流が流れると遮断器
制御回路９に遮断信号を送り転流補助サイリスタ３を点
弧すると同時に主サイリスタ２の点弧信号をブロックし
転流コンデンサ４のエネルギーにて主サイリスタ２を強
制消弧させる。

又、外部遮断指令11により過電流以外の故障でも遮断
することができる。

例えば、第４図において各インバータ装置100〜102が
常時所定の位相基準信号に同期して並列運転を行い負荷
に電力を供給している状態において、図には示していな
い並列制御回路の異常動作によりインバータ装置100の
出力電圧位相が他のインバータ装置101〜102の出力電圧
位相より進んだ場合インバータ装置100と他の健全なイ
ンバータ装置101,102間に横流が発生する。出力電圧位
相の変化が急激であるならば流れる横流も立ち上りの早
い電流となる。尚インバータ装置100は一般的に過負荷
耐量が変圧器等に比較すると低く、又、流し込まれる他
のインバータ装置101,102を保護するため、このような
場合においても前記横流による過電流を検出して遮断制
御を回路９へ遮断信号を与えることにより前述と同様な
転流補助回路の動作により主サイリスタ２を消弧させ
て、異常の発生しているインバータ装置100を並列母線1
03より高速に解列し、他の健全なインバータ装置101,10
2により負荷給電を継続する。

（発明が解決しようとする課題） 第５図の交流サイリスタ遮断器において、常時主サイ
リスタ２は導通状態にあり転流コンデンサ４は、遮断動
作に備え、常時充電されている。万一転流用コンデンサ
４、充電回路５の不良により転流用コンデンサ４が充電
不足又は充電されていなかった場合、並列制御回路異常
第の不具合時、故障機を解列するために遮断制御回路９
より転流用サイリスタ３へ点弧信号を与え、主サイリス
タ２を消弧するに十分なエネルギーがなく強制消弧不能
となる。これにより健全なインバータ装置101,102も横
流による過電流にて故障停止し、負荷に給電継続するこ
とができなくなる。すなわち、本来の高速遮断器として
の機能を失い、システム全体をダウンさせてしまうこと
になる。

本発明は、上記の問題に鑑みなされたもので、転流コ
ンデンサや充電回路不良による転流補助回路異常を常時
監視し、異常の際の補修のための警報を出して、万一の
インバータ装置故障等に際し、遮断不能によるシステム
停止を未然に防いで確実に遮断できるようにしたサイリ
スタ遮断器を具備した無停電電源システムを提供するこ
とを目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本発明の無停電電源システ
ムにおけるサイリスタ遮断器内転流コンデンサの不良
や、充電回路の不良による転流補助回路不良を検出すべ
く転流コンデンサ充電電圧を常時監視する充電電圧の異
常の有無を判別する遮断機能判別手段を設けたものであ
る。

（作用） 転流コンデンサは充電回路により本来所定の電圧まで
充電されているが、この充電電圧が主サイリスタ強制消
弧可能な所定の電圧よりも低下している場合に、補修の
ための警報を出すとともに異常が発生した装置を停止さ
せる又は強制遮断しないで主サイリスタの点弧信号をブ
ロックするのみで通常OFFすることにより、転流補助回
路動作不良による事故電流の遮断失敗を未然に防止する
ことができる。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例を示すものである。ここで
第５図のものと同一の回路部分ないし回路要素は同一の
符号で示されている。第１図装置の特徴は、転流コンデ
ンサ４の充電状態を監視する充電電圧モニタ20が付加さ
れており、充電電圧が主サイリスタ２を強制消弧するに
十分な電圧よりも低下した場合には転流回路異常警報器
21により補修のための警報を出す。

他の構成部分は第５図のものと同一である。第２図は
充電電圧モニタの一実施例を示すものである。

第２図において、転流回路内転流コンデンサ４の電圧
と検出回路とを電気的に絶縁するフォトカプラ201、前
記フォトカプラ201の１次側の電流を制限する抵抗202、
２次側の電流を制限する抵抗203前記フォトカプラ201の
出力に表われる電圧値を基準の電圧値と比較し出力する
比較器204三相分の前記比較器204の出力を論理和する論
理回路205、警報回路を駆動する警報駆動回路206より構
成される。

第１図のサイリスタ遮断器において主サイリスタ２が
点弧ている（遮断器とにON状態にある）時、充電回路５
により転流コンデンサ４をある一定の電圧で充電してい
るとする。前記転流コンデンサ４が充電されている状態
において第２図のフォトカプラ201の１次側に電流が流
れ、絶縁された信号として２次側にも電流が流れる。比
較器204の入力にはフォトカプラ201の２次側トランジス
タのＶCEの電圧（ほとんどOV）と基準の電圧とを比較し
出力として論理レベルで“0"を出力する。サイリスタ遮
断器の他の相も同じく論理レベルで“0"を出力するので
論理和回路205の出力も論理レベル“0"であり警報駆動
回路206は動作せず、転流回路異常警報器21は警報を出
さない。

次に例えば、充電回路５が不良となり転流コンデンサ
４が十分に充電されない場合、転流コンデンサ４の電圧
が所定の電圧以下になると第２図フォトカプラ201の２
次側トランジスタ出力ＶCEの電圧が増加し、比較器204
の基準電圧より高くなり、比較器204の出力は論理レベ
ルで“1"を出力する。更に論理和回路205の出力も論理
レベル“1"となり、警報駆動開路206を動作させる。つ
まり第１図中転流開路異常警報器21にて警報を出すと同
時に停止指令22を出力し、例えば第４図中該当する号機
のインバータ装置100を停止するか又は第１図中の遮断
器制御回路９に充電電圧モニタ20からの信号にて主サイ
リスタ２の点弧信号をブロックすることにより遮断器12
0をOFF状態とする。

このようにして常時転流コンデンサ４の充電電圧を監
視することにより異常をチェックして、転流補助回路動
作不良による遮断失敗を未然に防ぐことができる。

上述の実施例においては無停電電源装置として使用さ
れるインバータ装置を例にとり説明したが他の電源装置
でも同様の効果がえられる。又充電電圧モニタの実施例
は電子回路による構成で説明したが、一般の電圧リレー
やADコンバータやマイクロプロセッサ等によるディジタ
ル式の検出器としてもよい。

また、本発明によるサイリスタ遮断器はインバータ装
置出力部以外にも単独の装置として使用できる。第３図
は複数台の電源装置を並列運転し、その並列出力母線に
複数の負荷を接続した分岐回路毎にサイリスタ遮断装置
を設けて、前記負荷No.1負荷が短絡事故を発生した場
合、その短絡電流により各電源装置が過電流により故障
停止するのを防ぐため前記短絡事故を起したNo.1負荷の
みをNo.1サイリスタ遮断装置で高速遮断し、健全な負荷
に給電を継続する目的の負荷選択遮断用サイリスタ遮断
装置として使用した場合も本発明の効果により高信頼、
高速の遮断装置として適用できる。

又、サイリスタ遮断装置主回路のダイオード１をサイ
リスタに置き換えても同様の効果がえられる。

更に交流遮断装置以外の使用例として直流サイリスタ
遮断装置として使用した場合も同様の効果がえられる。
例えば第４図における直流サイリスタスイッチ118をサ
イリスタによる直流遮断器としたならば、直流運転中、
１台のインバータ装置の内部短絡発生時直流遮断器を動
作させて、共通の直流電源の過電流を防止でき、このよ
うなシステムに有効である。

［発明の効果］ 以上詳述したように本発明によれば電源装置の入力系
統及び負荷の保護を含めたシステム全体を保護するサイ
リスタ遮断器を具備した無停電電源システムにおいて、
転流補助回路動作不良による遮断失敗を未然に防いでシ
ステム全体への影響を防止でき、信頼性の高い、高速遮
断にてシステム保護ができる無停電電源システムが提供
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すブロック図、第２図は
充電電圧モニタの一実施例を示す回路図、第３図は負荷
選択遮断用電源装置並列システムの一実施例を示すブロ
ック図、第４図はインバータ装置出力部にサイリスタ遮
断装置が使用されている場所を示す一実施例のブロック
図、第５図は従来のサイリスタ遮断器のブロック図であ
る。 １…サイリスタ、２…高速サイリスタ、３…転流用サイ
リスタ、４…転流用コンデンサ、５…充電回路、６…逆
流防止ダイオード、７…電流検出器、８…過電流検出回
路、９…遮断器制御回路、10…遮断器動作表示器、11…
外部遮断指令、20…充電電圧モニタ、21…転流回路異常
表示器、201…フォトカプラ、202…限流抵抗−１、203
…限流抵抗−２、204…比較器、205…論理和回路、206
…表示駆動回路、100〜102…電源装置、103…並列母
線、104〜106…配線用遮断器、107〜109…交流サイリス
タ遮断装置、110〜112…負荷、113…交流入力電源、114
…直流入力電源、115…交流入力用遮断器、116…直流入
力用遮断器、117…順変換器、118…直流サイリスタスイ
ッチ、119…逆変換器、120…交流サイリスタ遮断装置、
121…交流出力用遮断器。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】主サイリスタと、該主サイリスタを強制消
   弧するための転流コンデンサ、転流リアクトル、転流補
   助サイリスタ、充電回路から成り、蓄電池により無停電
   化された交流電源装置の出力に設けられ、出力短絡電流
   を高速遮断するサイリスタ遮断器を具備した無停電電源
   システムにおいて、前記転流コンデンサの充電電圧の異
   常の有無を判別する遮断機能判別手段を設け、該遮断機
   能判別手段により遮断不能と判別された際には、前記遮
   断器の遮断動作を回避するように保護することを特徴と
   する無停電電源システム。
2. 【請求項２】主サイリスタと、該主サイリスタを強制消
   弧するための転流コンデンサ、転流リアクトル、転流補
   助サイリスタ、充電回路から成り、蓄電池により無停電
   化された交流電源装置の直流入力に設けられ、該交流電
   源装置の内部直流側短絡電流を高速遮断するサイリスタ
   遮断器を具備した無停電電源システムにおいて、前記転
   流コンデンサの充電電圧の異常の有無を判別する遮断機
   能判別手段を設け、該遮断機能判別手段により遮断不能
   と判別された際には前記遮断器の遮断動作を回避するよ
   うに保護することを特徴とする無停電電源システム。