JP2724668B2

JP2724668B2 - 刷版配送装置

Info

Publication number: JP2724668B2
Application number: JP5238009A
Authority: JP
Inventors: 昌利新村; 保夫渋谷; 徹樋口
Original assignee: Tokyo Kikai Seisakusho Co Ltd
Current assignee: Tokyo Kikai Seisakusho Co Ltd
Priority date: 1993-09-24
Filing date: 1993-09-24
Publication date: 1998-03-09
Anticipated expiration: 2013-03-09
Also published as: JPH0789050A; US5440985A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、複数の印刷部を高さ
方向に積み重ねた印刷機で使用する刷版を、各当該印刷
部の近傍に配送し待機させる刷版配送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】刷版を印刷機にむけて配送する装置につ
いては、例えば特開昭５９−１６５６５９号公報及び特
開昭６０−５２３４３号公報に示されるものが公知であ
る。これら公報に示される装置は、製版室から印刷機近
傍に至る搬送装置を設け、製版された刷版を印刷機近傍
まで搬送するものである。

【０００３】他方、特開平３−１８４８４９号公報によ
って、印刷部を高さ方向に積み重ねた印刷機の各印刷部
の版胴に刷版を供給する装置が示されている。この装置
は、鉛直のガイドの軸線の方向に往復可能かつ前記軸線
を中心に旋回可能な、操作ヘッドを有するロボットアー
ムによって、鉛直のガイドの左右両側の各印刷部の版胴
に対して刷版を供給するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、以上記載し
た公知の装置には、次のような解決すべき課題があっ
た。即ち、特開昭５９−１６５６５９号公報及び特開昭
６０−５２３４３号公報に示される装置は、刷版を、同
一フロアレベルに並設した印刷機の近傍まで搬送するも
のであるので、印刷部を高さ方向に積み重ねた印刷機の
上方の印刷部に対する刷版の配送を考慮しておらず、こ
れを行うことができなかった。従って、上方の印刷部に
装着する刷版は、作業者の手によって運びあげられてお
り、上方フロアーと下方フロアーとの間の昇降移動労力
が甚だ無駄であり、かつ刷版を携えての階段の昇り降り
は労働安全面で若干の問題を有していたので、作業能率
向上の面及び労働安全性の面から、その改善が強く望ま
れていた。

【０００５】また、特開平３−１８４８４９号公報に示
される装置は、上記作業者の労務をなくし、作業能率向
上の面及び労働安全性の面において改善をはかり得る長
所を有するものの、その機構が比較的精密かつ複雑で、
しかも比較的精確な作動制御を要するため、甚だ高価で
あり、かつメンテナンス頻度も高くなりがちで、ランニ
ングコストが嵩むものであった。

【０００６】この発明は、このような公知装置の短所を
改善するとともに長所を採り入れ、作業能率の向上性や
労働安全性を適宜に維持するとともに、製造原価及びラ
ンニングコストを比較的低く抑えた、印刷部を高さ方向
に積み重ねた印刷機用の刷版配送装置を提供しようとす
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明に係る刷版配送装置は、印刷機を高さ方向
に積み重ねた印刷機において、印刷機の高さ方向に設け
たキャリア支柱と、このキャリア支柱に昇降可能に設け
ると共に、刷版を係合支持するキャリアとからなり、か
つ、このキャリアを、最下段を除く各印刷部に対応して
キャリア支柱の近傍に定めた刷版の引取位置と、この各
引取位置の下方に定めた刷版の係合位置のそれぞれの位
置で停止可能にした上下搬送手段と、各引取位置に近接
して設けられ、当該引取位置に停止したキャリアが係合
支持する刷版に対向する位置と所定の待機位置にわたっ
て変位可能で、かつ刷版と対向する位置で刷版を引き取
って支持する引取手段とを有する構成となっている。そ
してこの構成において、最下段を除く各印刷部と、これ
ら各印刷部に対応する引取位置との間に、各引取位置に
て引取手段にて引き取った刷版と係合してこれを仮保持
する仮保持手段を設けた構成となっている。また、前記
引取手段が仮保持手段を兼ねるべく設けられている。ま
た、複数の印刷部を高さ方向に積み重ねた印刷機におい
て、印刷機の高さ方向に設けたキャリア支柱と、このキ
ャリア支柱に昇降可能に設けると共に、刷版を係合支持
するキャリアとからなり、かつ、このキャリアを、最下
段を除く各印刷部に対応してキャリア支柱の近傍に定め
た刷版の引取位置と、この各引取位置の下方に定めた刷
版の係合位置のそれぞれの位置で停止可能にした上下搬
送手段と、各引取位置に近接して設けられ、当該引取位
置に停止したキャリアが係合支持する刷版に対向する位
置と所定の待機位置にわたって変位可能で、かつ刷版と
対向する位置で刷版を引き取って支持する引取手段と、
各引取手段毎に、当該引取手段に隣接して設けられ、引
取手段にて引き取った刷版を各印刷部のフロアー面と略
平行に移動する移動手段とを有する構成となっている。
そして、この構成において、移動手段が刷版を版胴の軸
線と平行に移動するように設け、また、移動手段の移動
方向下流側に隣接させて、移動手段によって移動された
刷版と係合してこれを仮保持する仮保持手段を設けた構
成となっている。

【０００８】

【作用】係合位置の近傍に運ばれた刷版は、適宜の
手段によって、係合位置にあるキャリアに係合される。
刷版を係合されたキャリアは、当該刷版が使用される印
刷部を指示する信号によって作動する駆動手段の作動に
従って印刷機の高さ方向に移動され、当該刷版が使用さ
れる印刷部に対応して設けられた引取手段による引取位
置で停止させられる。この引取位置において、前記キャ
リアと引取手段とが互いに連携して作動し、引取手段が
キャリアから刷版を引き取る。引き取られた刷版は、引
き取られた状態で、又は左右移動手段によってフロアー
と平行に移動された状態でそのまま仮保持され、又は他
の仮保持部材に引き渡されて仮保持させられる。刷版を
引き取られたキャリアは、係合位置に戻される。

【０００９】

【実施例】次にこの発明の実施例を図面に基づいて
説明する。図１においてＰＭはこの発明を適用しようと
する印刷機を示すもので、この印刷機ＰＭは複数組（４
組）の印刷部Ｐ₁，Ｐ₂，Ｐ₃，Ｐ₄が積み重ね配置さ
れている。そして図示しないが、この印刷部Ｐ₂及びＰ
₄に対応させて、版胴の長手方向にそった作業用のフロ
アーが設けられている。また最下段の印刷部Ｐ₁に対応
する下段フロアＦ₁と、下から３段目の印刷部Ｐ₃に対
応する上段フロアＦ₂が設けてあり、この上段フロアＦ
₂の縁には手すり２が設けてある。

【００１０】上記下段フロアＦ₁には、上段フロアＦ₂
の上記手すり２より外側にはキャリア支柱３が、各印刷
部Ｐ₁〜Ｐ₄の各段にわたる高さに立設されており、こ
のキャリア支柱３に上下搬送手段Ａが設けられている。
すなわち、キャリア支柱３の内側には図３に示すよう
に、昇降体４がコロ５を介して昇降自在に設けられてお
り、この昇降体４はキャリア支柱３に沿って延設したチ
ェーン６に連結されており、このチェーン６はキャリア
支柱３の上端部に設けた駆動手段（モーター）７にて駆
動されるようになっている。

【００１１】キャリア支柱３の一面には長手方向にわた
るスリット８が設けてあり、このスリット８に上記昇降
体４に取りつけたブラケット９が印刷機の版胴の長手方
向と略９０度の方向へ向けて突出されている。そしてこ
のブラケット９にはキャリア１０が、前記姿勢から印刷
機の版胴の長手方向と平行になる姿勢（以下「連携姿
勢」とする）までの略９０度にわたって回動自在にその
一端部が枢支されている。このキャリア１０の基部の側
面には回動用突部材１１が突設されている。キャリア１
０はこれの枢支部に設けたばね１２にて付勢され、この
ばね１２とストッパー１２ａとによって常時印刷機の版
胴の長手方向と略９０度の方向を向いた姿勢（以下「通
常姿勢」とする）を維持されている。

【００１２】キャリア支柱３の外側面で、２段目と４段
目の印刷部Ｐ₂，Ｐ₄の高さに対応する引取位置である
２段位置１０２及び４段位置１０４には図１では図示し
てないが図３に示すようにキャリア回動用駆動手段（エ
アーシリンダー）１３が取りつけられており、このキャ
リア回動用駆動手段１３の作動部材１３ａは、キャリア
１０がこの２段位置１０２及び４段位置１０４に移動し
てきたときに、このキャリア１０の回動用突部材１１に
係合するようにヨーク状になっている。

【００１３】キャリア１０の上縁は断面くさび状になっ
ていると共に複数個の切欠部１４が設けてある。このキ
ャリア１０が下段フロアＦ₁に対応した係合位置１０１
にあり、かつ通常姿勢状態で刷版ＰＬの上端部が引っか
けられるようになっている（図１）。

【００１４】上記２段位置１０２及び４段位置１０４に
はそれぞれ同一構成の刷版引取装置１５，１５が印刷部
Ｐ₂，Ｐ₄の版胴の長手方向と平行に設けてある。そし
てこの刷版引取装置１５は、印刷部Ｐ₂，Ｐ₄からキャ
リア支柱３に向けて張り出し固定された引取キャリアビ
ーム１６と、この引取キャリアビーム１６に沿って設け
られたエンドレスのチェーン１７と、このチェーン１７
を駆動する駆動手段１８と、チェーン１７に、引取キャ
リアビーム１６の外側へ露出部を有して取付けられると
共に、その露出部に刷版引取部材（例えば図示しない減
圧装置に接続された吸盤部材）１９が設けられた引取キ
ャリア２０を具備しており、さらに上記引取キャリアビ
ーム１６には、印刷機ＰＭ側へ刷版ＰＬを仮保持する仮
保持部材２１と、印刷部と平行になる姿勢に回動した状
態のキャリア１０と上記仮保持部材２１との間に位置す
る支持レール２２とからなっている。

【００１５】上記仮保持部材２１は図１では引取キャリ
アビーム１６に１つ取付けられた構成となっているが、
例えば図５に示すように、複数（２個）の仮保持部材２
１ａ，２１ｂを前後方向に重複させて設け、駆動手段２
３によって支持レール２２の端部と連係する位置に仮保
持部材２１ａ，２１ｂを切換配置できる構成としてもよ
い。これの重複数は適宜でよい。

【００１６】上段フロアＦ₂を有する３段目の印刷部Ｐ
₃の高さに対応する引取位置である３段位置１０３には
上記したように手すり２が設けてあるため、キャリア１
０はこの手すり２が邪魔になって回動することができな
い。このためキャリア１０が通常姿勢の状態で、このキ
ャリア１０に支持された刷版ＰＬを３段位置１０３の印
刷部Ｐ₃へ引取られるように、他の刷版引取装置２４
が、キャリア１０の位置より印刷機側に印刷部Ｐ₃の版
胴の長手方向と直角になるように設けてある。

【００１７】この他の刷版引取装置２４は基本的には上
記刷版引取装置１５と同じであって、ブラケット２５を
介してキャリア支柱３に取付けられた引取キャリアビー
ム２６と、この引取キャリアビーム２６に沿って設けら
れたエンドレスのチェーン２７、このチェーン２７を駆
動するチェーン駆動手段２８、及びチェーン２７に、引
取キャリアビーム２６の外側への露出部を有して取付け
られると共に、その露出部に刷版引取部材（例えば図示
しない減圧装置に接続された吸盤部材）２９が設けられ
た引取キャリア３０を具備しており、さらに上記ブラケ
ット２５には、この位置での引取キャリアビーム２６と
平行に、刷版ＰＬを仮保持する仮保持部材３１が設けて
ある。

【００１８】仮保持部材３１は、上記刷版引取装置１５
の場合と同様に重複して設け、中継部材３２との連係位
置に、切換配置できる構成としてもよい。上記中継部材
３２は通常姿勢のキャリア１０に保持された刷版ＰＬを
引取る位置と引取キャリアビーム２６に刷版ＰＬを引き
渡す位置との間を駆動手段３３（図示の実施例では中間
停止機構付エアーシリンダー）の作動によって平行移動
するようにして設けられている。中継部材３２は上記キ
ャリア１０の切欠部１４と対応すると共に、刷版ＰＬを
引取る熊手状突出部３４が設けてある。

【００１９】なおこの他の刷版引取装置２４では、これ
の刷版引取部材２９に代えて、中継部材３２を駆動手段
３３と共に、引取キャリア３０に適宜な手段で取り付
け、キャリア１０から引取った刷版ＰＬを、中継部材３
２から仮保持部材３１に直接引き渡す機構（図示せず）
としてもよく、この機構としたときは、仮保持部材３１
と中継部材３２との少なくとも一方が上下に変位可能
に、かつ仮保持部材３１に中継部材３２の熊手状突出部
３４と対応する切欠部を設け、仮保持部材３１と中継部
材３２との刷版ＰＬの受け渡しのときに両者が干渉しな
い機構（図示せず）とする。

【００２０】またこの他の刷版引取装置２４は、図６に
示すように、中継部材３２及び駆動手段３３のみで構成
し、キャリア１０から引き取った刷版ＰＬを中継部材３
２がそのまま保持するようにしてもよい。

【００２１】なお、図１に示した上記実施例において、
上段フロアＦ₂を有する３段目の印刷部Ｐ₃において
も、手すり２をキャリア１０の回動に邪魔にならない構
成にすることにより、この段の刷版引取装置の構成を２
段目と４段目のものと同一の構成としてもよい。

【００２２】一方図２は他例を示すもので、図１に示し
たものと同様の上下搬送手段Ａを設け、最下段の係合位
置１０１及び２段以上の各段位置１０２，１０３，１０
４において上下搬送手段Ａのキャリア１０を略９０度変
位させて刷版ＰＬを各刷版引取装置１５にて引き取るよ
うにした例を示す。この実施例では各刷版引取装置１５
によって引き取った刷版ＰＬを各段の版胴の近傍の刷版
装着位置まで移動させ得るようになっている。この構成
によれば、自動刷版装着装置ＡＰと連携作動させること
も可能である。

【００２３】上記各実施例では、上下搬送手段Ａのキャ
リア１０が、片持ち状態で支持され、かつその支持部材
には昇降用のチェーン６が連結され、刷版ＰＬを刷版引
取装置１５，あるいは他の刷版引取装置２４に引き渡し
た後は、駆動手段７の逆作動により、その都度係合位置
１０１に戻される機構であるが、図８にこの上下搬送手
段の他の実施例を示す。

【００２４】この他の実施例の上下搬送手段Ｂは、２本
のキャリア支柱４０ａ，４０ｂと、このキャリア支柱４
０ａ，４０ｂのそれぞれに沿って設けられたチェーン４
１ａ，４１ｂと、この両チェーン４１ａ，４１ｂを同期
作動させる駆動手段４２、及び一端を一方のチェーン４
１ａに、他端を他方のチェーン４１ｂに、両キャリア支
柱４０ａ，４０ｂに直角となるように取付けられ、かつ
適宜の間隔で設けられた複数のキャリア４３とを具備し
ており、図１に示した実施例における他の刷版引取装置
２４もしくはこれと類似する刷版引取手段と連携可能な
機構となっている。

【００２５】チェーン４１ａ，４１ｂは常に一定の方向
に変位し、刷版ＰＬを刷版引取装置に引き渡したキャリ
ア４３は、上下のスプロケットホィール４４ａ，４４ａ
及び４４ｂ，４４ｂを巡って変位するチェーン４１ａ，
４１ｂに従って順次刷版係合位置である係合位置１０１
へ戻されるようになっている。

【００２６】なおこの実施例における上下搬送手段Ｂの
場合、刷版引取装置において、刷版ＰＬを仮保持する仮
保持部材を、一方のキャリア支柱４０ａ側及び他方のキ
ャリア支柱４０ｂのそれぞれに設け、上下搬送手段Ｂの
左右に対応する版胴への刷版ＰＬを搬送仮保持すること
が可能である。

【００２７】さらに、キャリア４３には複数の切欠部４
５が設けられる一方、このキャリア４３には図９に示す
ように、適宜な線材を屈曲形成した部材としてもよく、
またキャリア４３とチェーン４１ａ，４１ｂとの取付け
は、キャリア４３の長手方向に平行な軸線によって回動
可能であるように取付けてもよい。

【００２８】またさらに、刷版引き渡しのときにキャリ
ア４３が降下しない上下搬送装置Ｂと連携作動する他の
刷版引取装置２４の中継手段３２は図示しない駆動手段
（例えばエアーシリンダー）によって上下方向に変位可
能になっている。

【００２９】以上の構成における作動は次のように行な
われる。刷版配送装置の起動信号により、図示しない制
御手段が立ちあがる。適宜の手段、例えば作業者の手作
業によって、上下搬送手段Ａ又はＢの、係合位置１０１
にあるキャリア１０又は４３に刷版ＰＬが係合される。

【００３０】続いて、キャリア１０又は４３によって刷
版ＰＬが配送される引取位置である各段位置１０２又は
１０３又は１０４が指定され、制御手段を介して制御信
号が出力される。各段位置１０２又は１０３又は１０４
の指定は、作業者のスイッチによる指定、あるいは、例
えば刷版ＰＬの裏面に付された文字又は符記号（バーコ
ード等）を適宜の読取手段（図示せず）に読み取らせる
ことによって行なう。上記制御信号は、上記指定された
各段位置１０２又は１０３又に１０４における刷版ＰＬ
の引き取り、又は引き取りと左右移動の作動を順次行わ
せるための所定のセンサー群（図示せず）を有効にする
と共に、上下搬送手段Ａ又はＢの駆動手段７又は４２を
作動させる。

【００３１】図２に示す実施例では、上記作動における
説明中、各段位置１０２又は１０３又は１０４とあるの
を、係合位置１０１又は各段位置１０２又は１０３又は
１０４とする。

【００３２】以下の作動については、まず図１，図２に
示す実施例における上下搬送手段Ａの場合について説明
し、後に図８に示す上下搬送手段Ｂの場合について説明
する。上下搬送手段Ａである場合において、図１に示す
実施例において、２段位置１０２又は４段位置１０４が
指定されているときは、キャリア１０が２段位置１０２
又は４段位置１０４の刷版引取装置１５における仮保持
部材２１及び支持レール２２と同一レベルに達すると、
適宜のセンサー信号によって駆動手段７が停止され、キ
ャリア１０が２点鎖線で示す位置で停止される。この各
位置１０２又は１０４にキャリア１０が位置すると、キ
ャリア支柱３の各位置１０２又は１０４に設けたキャリ
ア回動用駆動手段１３の先端に設けた作動部材１３ａ
に、このキャリア１０の基部に設けた回動用突起材１１
が係合される。

【００３３】続いて、キャリア回動用駆動手段１３が伸
長作動し、これにより、キャリア１０が略９０度にわた
って回動して連携姿勢になる。この角変位によってキャ
リア１０は刷版引取装置１５の仮保持部材２１、支持レ
ール２２と一直線状になる。

【００３４】次に、この角変位を検出したセンサー信号
によって駆動手段１８が作動し、待機状態にある引取キ
ャリア２０が、引取キャリアビーム１６にそってキャリ
ア１０側に移動し、刷版ＰＬの背後の所定位置に達す
る。引取キャリア２０が所定位置に達すると、そのセン
サー信号によって駆動手段１８が停止するとともに、刷
版引取部材１９である吸盤部材が、刷版ＰＬを吸着保持
する。

【００３５】吸着保持が完了すると、そのセンサー信号
によって駆動手段１８が上記とは逆作動し、引取キャリ
ア２０が刷版ＰＬを仮保持部材２１まで搬送する。引取
キャリア２０が刷版ＰＬを仮保持部材２１まで搬送する
と、そのセンサー信号によって刷版引取部材１９が刷版
ＰＬを解放して仮保持部材２１に仮保持させ、引取キャ
リア２０はその位置に待機する。また、上下搬送手段Ａ
の駆動手段１３及び７が上記と逆作動し、キャリア１０
が略９０度角変位されて２点鎖線で示す通常姿勢に戻さ
れた後、さらに係合位置１０１に戻される。キャリア１
０が係合位置１０１に戻ったセンサー信号によって駆動
手段７が停止される。

【００３６】仮保持部材が重複形態であるときは、上記
刷版ＰＬを解放したセンサー信号によって駆動手段２３
（図５参照）が作動し、仮保持部材が切換配置され、上
記作動が繰り返されて、切換配置された仮保持部材に刷
版ＰＬが仮保持される。

【００３７】図２に示される実施例では、係合位置１０
１及び２段〜４段位置１０２，１０３，１０４のいずれ
の位置が指定されたときでも、上記と同様の作動が行な
われる。

【００３８】図１に示す実施例における上下搬送手段Ａ
である場合において、３段位置１０３が指定されている
ときは、制御信号によって駆動手段７が作動すると同時
に他の刷版引取装置２４の駆動手段３３がロッド伸長作
動して、中継部材３２を、キャリア１０の上下移動領域
を越えた所定位置に移動変位させる。

【００３９】キャリア１０が３段位置１０３の所定位
置、即ち刷版ＰＬを中継部材３２に引き渡す所定位置に
達すると、そのセンサー信号によって駆動手段７が停止
され、キャリア１０が実線で示す通常姿勢で停止され
る。続いて駆動手段３３のロッドが中間位置まで退縮し
て、中継部材３２をキャリア１０と整合する位置に移動
変位させる。このとき、中継部材３２の複数の熊手状突
出部３４がキャリア１０の各切欠部１４に収まる（図７
参照）。

【００４０】駆動手段３３の中間位置までの退縮が完了
すると、そのセンサー信号によって駆動手段７が逆作動
し、キャリア１０は、中継部材３２に刷版ＰＬを引き渡
し、係合位置１０１に戻される。またキャリア１０が所
定距離だけ下降すると、そのセンサー信号によって駆動
手段３３のロッドが完全に退縮して、中継部材３２を仮
保持部材３１と整列する位置に移動変位する。

【００４１】駆動手段３３の完全な退縮が完了すると、
そのセンサー信号によって駆動手段２８が作動し、待機
状態にある引取キャリア３０が、引取キャリアビーム２
６にそって中継部材３２側に移動し、刷版引取部材２９
である吸盤部材を、刷版ＰＬの背後の所定位置に達せし
める。刷版引取部材２９が所定位置に達すると、そのセ
ンサー信号によって駆動手段２８が停止するとともに、
刷版引取部材２９が、刷版ＰＬを吸着保持する。

【００４２】吸着保持が完了すると、そのセンサー信号
によって駆動手段２８が逆作動し、引取キャリア３０が
刷版ＰＬを仮保持部材３１まで搬送する。引取キャリア
３０が刷版ＰＬを仮保持部材３１まで搬送すると、その
センサー信号によって駆動手段２８が停止するととも
に、刷版引取部材２９が刷版ＰＬを解放して仮保持部材
３１に仮保持させ、引取キャリア３０はその位置に待機
する。

【００４３】中継部材３２が引取キャリア３０によって
移動させられ、中継部材３２から仮保持部材３１に刷版
ＰＬを直接引き渡す機構では、上記駆動手段３３の２次
退縮が完了したセンサー信号によって、図示しない駆動
手段によって中継部材３２が仮保持部材３１をかわせる
位置まで上方に変位させられ、この変位を検出したセン
サー信号によって駆動手段２８を逆作動させ、中継部材
３２によって刷版ＰＬを仮保持部材３１側の所定位置、
即ち、中継部材３２と仮保持部材３１とが整合する位置
まで搬送する。中継部材３２が刷版ＰＬを所定位置まで
搬送すると、そのセンサー信号によって駆動手段２６が
停止するとともに、上記図示しない駆動手段が作動し
て、中継部材３２を下方に変位させ、中継部材３２の熊
手状突出部３４を仮保持部材３１の切欠部（図示せず）
に収め、刷版ＰＬを中継部材３２から仮保持部材３１に
引き渡す。

【００４４】刷版ＰＬを仮保持部材３１に引き渡した中
継部材３２は、仮保持部材３１の適宜な変位を待って、
又は仮保持部材３１から刷版ＰＬが移動されるのを待っ
て、駆動手段２８を作動させ、待機位置（図１に示す位
置）に戻される。仮保持部材が重複形態であるときは、
上記刷版ＰＬを仮保持部材３１に引き渡したセンサー信
号によって、図示しない作動手段が作動し、仮保持部材
３１が切換配置され、上記作動が繰り返されて、切換配
置された仮保持部材３１に刷版ＰＬが留保される。

【００４５】次に図８に示す上下搬送手段Ｂである場合
の作動について説明する。上下搬送手段Ｂである場合
は、図１に示す実施例の他の刷版引取装置２４もしくは
これと類似した刷版引取装置と連携する。従って、いず
れの段の位置１０２，１０３，１０４にも、他の刷版引
取装置２４もしくはこれと類似した刷版引取装置が設け
られ、いずれの段位置１０２，１０３，１０４において
も、同じ作動が行われる。そこで説明上、仮に３段位置
１０３が指定された状態で説明する。

【００４６】上記制御手段を介して出力される制御信号
によって駆動手段４２が作動すると同時に他の刷版引取
装置２４の駆動手段３３がロッド伸長作動して、中継部
材３２を、キャリア４３の上下移動領域を越えた所定位
置に移動変位させる。キャリア４３が３段位置１０３の
所定位置、即ち刷版ＰＬを中継部材３２に引き渡す所定
位置に達すると、そのセンサー信号によって駆動手段４
２が停止され、キャリア４３が前記所定位置で停止され
る。

【００４７】続いて駆動手段３３のロッドが中間位置ま
で退縮して、中継部材３２をキャリア４３と整合する位
置に移動変位させる。このとき、中継部材３２の複数の
熊手状突出部３４がキャリア４３の各切欠部４５に収ま
る。駆動手段３３の中間位置までの退縮が完了すると、
そのセンサー信号によって図示しない駆動手段が作動し
て中継部材３２をキャリア４３をかわせる位置まで上方
に変位される。

【００４８】続いて、この変位完了のセンサー信号によ
って駆動手段３３のロッドが完全に退縮し、中継部材３
２を仮保持部材３１と整列できる位置に移動変位すると
ともに、駆動手段４２が作動し、後続のキャリア４３を
係合位置１０１に位置させる。駆動手段３３の完全な退
縮が完了すると、そのセンサー信号によって上記図示し
ない駆動手段が逆作動し、中継部材３２を仮保持部材３
１と同じレベルに下げ、両者を整列させる。

【００４９】この整列が完了すると、そのセンサー信号
によって駆動手段２８が作動し、待機状態にある引取キ
ャリア３０が、引取キャリアビーム２６にそって中継部
材３２側に移動し、刷版引取部材２９である吸盤部材
を、刷版ＰＬの背後の所定位置に達せしめる。刷版引取
部材２９が所定位置に達すると、そのセンサー信号によ
って駆動手段２８が停止するとともに、刷版引取部材２
９が刷版ＰＬを吸着保持する。

【００５０】吸着保持が完了すると、そのセンサー信号
によって駆動手段２８が逆作動し、引取キャリア３０が
刷版ＰＬを仮保持部材３１まで搬送する。引取キャリア
３０が刷版ＰＬを仮保持部材３１まで搬送すると、その
センサー信号によって駆動手段２８が停止するととも
に、刷版引取部材２９が刷版ＰＬを解放して仮保持部材
３１に仮保持させ、引取キャリア３０はその位置に待機
する。

【００５１】他の刷版引取装置２４において、中継部材
３２が引取キャリア３０によって移動させられ、中継部
材３２から仮保持部材３１に刷版ＰＬを直接引き渡す機
構である場合も、上下搬送手段Ｂと連携作動し得るもの
であり、その動作は、当該技術分野を理解する者であれ
ば、前記説明から容易に理解できるものと考える。

【００５２】上記各作動により、係合位置１０１にてキ
ャリア１０、４３に係合した刷版ＰＬは上下搬送手段
Ａ，Ｂにより所定の段位置１０２，１０３，１０４に搬
送され、この各位置に設けられた刷版引取装置１５又は
他の刷版引取装置２４のそれぞれの仮保持部材２１，３
１に仮保持される。この状態で、作業者が各段に設けた
フロアにて、この仮保持された刷版ＰＬを持って各印刷
部Ｐ₁，Ｐ₂，Ｐ₃，Ｐ₄の版胴に装着する。あるいは
自動刷版着脱装置ＡＰにて自動的にこの刷版ＰＬを装着
する。

【００５３】なお、上記作動において、仮保持手段２１
又は３１が刷版ＰＬを仮保持している状態の各段位置１
０２又は１０３又は１０４を指定して刷版ＰＬの配送を
しようとした場合には、図示しない何らかの手段で警報
を出力する。

【００５４】この発明は、以上記載の実施例に限定され
るものではなく、作動制御は、シーケンサーを併用し
て、又はシーケンサーのみによって行なうようにした
り、ＣＰＵによるプログラムによって行なうようにする
等、様々な態様によって良い。要は、特許請求の範囲を
逸脱しない設計上の改変を含むものである。

【００５５】

【発明の効果】この発明によれば、複数の印刷部を高さ
方向に積み重ねた印刷機において、この各印刷部に刷版
を配送するための刷版配送装置が、印刷機の高さ方向に
設けたキャリア支柱と、このキャリア支柱に昇降可能に
設けると共に、刷版を係合するキャリアとからなり、か
つ、このキャリアを、最下段を除く各印刷部に対応して
キャリア支柱の近傍に定めた刷版の引取位置と、この各
引取位置の下方に定めた刷版の係合位置のそれぞれの位
置で停止可能にした上下搬送手段と、各引取位置に近接
して設けられ、当該引取位置に停止したキャリアが係合
支持する刷版に対向する位置と所定の待機位置にわたっ
て変位可能で、かつ刷版と対向する位置で刷版を引き取
って支持する引取手段とを有する構成になっていること
により、高さ方向に積み重ねた各印刷部に対し、従来の
ものに比較して極めて簡便な機構で刷版を配送でき、こ
れにより、この高さ方向に積み重ねた各印刷部への刷版
の配送作業の能率を向上することができる。また、前記
上下搬送手段のキャリアは、最下段を除く各印刷部に対
応してキャリア支柱の近傍に定められた刷版の引取位置
と、この各引取位置の下方に定めた刷版の係合位置のそ
れぞれの位置で停止可能にしてキャリア支柱に昇降可能
に設けられていることにより、係合位置でキャリアに係
合支持された刷版は各印刷部のうちの所定の印刷部に対
応する位置に正確に上昇することができ、しかも、この
刷版は引取手段にて引き取られることにより、高い位置
にある印刷部への刷版の配送が安全に行われ、作業者の
労働安全性を向上することができる。また、前記構成の
この本発明に係る刷版配送装置は、機構が簡単であると
共に、複数な作動を行う部分がないことにより、装置の
製造コストを低くでき、また不具合の発生を少なくで
き、さらにメンテナンス等のランニングコストも低くお
さえることができ、ユーザーの経済的負担を軽減するこ
とができる。さらにこの発明によれば、最下段を除く各
印刷部と、これらに対応する引取位置との間に、各引取
位置にて引取手段にて引き取った刷版と係合してこれを
仮保持する仮保持手段を設けたことにより、最下段を除
く各印刷部の引取位置に引き取られた刷版は、引き取り
状態から版胴への装着への間に仮保持手段にて一時待機
することができ、版胴への刷版の装着をスムーズに行う
ことができる。そしてさらにこの発明によれば、各引取
手段にて引き取られた刷版は各印刷部のフロアー面と略
平行に移動するので、引き取られた刷版が不用意に脱落
することを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の概略構成を示す斜視図であ
る。

【図２】この発明の他の実施例の概略構成を示す斜視図
である。

【図３】図１に示す実施例におけるキャリアの角変位機
構を示す横断面図である。

【図４】図３のａ−ａ線に沿う断面図である。

【図５】図１に示す実施例において仮保持部材を重複さ
せた場合の機構を示す側面図である。

【図６】図１に示す実施例における他の刷版引取装置の
他の実施例を示す斜視図である。

【図７】図１に示す実施例におけるキャリアと中継部材
との間の刷版の受け渡し状態を示す斜視図である。

【図８】図１に示す実施例とは異なる上下搬送手段の概
略構成を示す斜視図である。

【図９】図８に示す実施例での上下搬送手段に適用し得
る他のキャリアを示す正面図である。

【符号の説明】

２…手すり、３，４０ａ，４０ｂ…キャリア支柱、４…
昇降体、５…コロ、６，１７，２７，４１ａ，４１ｂ…
チェーン、７，１８，２３，２８，３３，４２…駆動手
段、８…スリット、９，２５…ブラケット、１０，４３
…キャリア、１１…回動用突部材、１２…ばね、１２ａ
…ストッパー、１３…キャリア回動用駆動手段、１３ａ
…作動部材、１４，４５…切欠部、１５…刷版引取装
置、１６，２６…引取キャリアビーム、１９，２９…刷
版引取部材、２０，３０…引取キャリア、２１，２１
ａ，２１ｂ，３１…仮保持部材、２２…支持レール、２
４…他の刷版引取装置、３２…中継部材、３４…熊手状
突出部、４４ａ，４４ｂ…スプケロットホィール、１０
１…係合位置、１０２，１０３，１０４…２段，３段，
４段位置（引取位置）、Ａ，Ｂ…上下搬送手段、ＰＭ…
印刷機、ＡＰ…自動刷版着脱装置、Ｐ₁，Ｐ₂，Ｐ₃，
Ｐ₄…印刷部、ＰＬ…刷版、Ｆ₁，Ｆ₂…下段，上段フ
ロア。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】複数の印刷部を高さ方向に積み重ねた印
刷機において、印刷機の高さ方向に設けたキャリア支柱と、このキャリ
ア支柱に昇降可能に設けると共に、刷版を係合支持する
キャリアとからなり、かつ、このキャリアを、最下段を
除く各印刷部に対応してキャリア支柱の近傍に定めた刷
版の引取位置と、この各引取位置の下方に定めた刷版の
係合位置のそれぞれの位置で停止可能にした上下搬送手
段と、各引取位置に近接して設けられ、当該引取位置に停止し
たキャリアが係合支持する刷版に対向する位置と所定の
待機位置にわたって変位可能で、かつ刷版と対向する位
置で刷版を引き取って支持する引取手段と、を有することを特徴とする刷版配送装置。
【請求項２】最下段を除く各印刷部と、これら各印刷
部に対応する引取位置との間に、各引取位置にて引取手
段にて引き取った刷版と係合してこれを仮保持する仮保
持手段を設けたことを特徴とする請求項１記載の刷版配
送装置。
【請求項３】引取手段が仮保持手段を兼ねるべく設け
られたことを特徴とする請求項２記載の刷版配送装置。
【請求項４】複数の印刷部を高さ方向に積み重ねた印
刷機において、印刷機の高さ方向に設けたキャリア支柱と、このキャリ
ア支柱に昇降可能に設けると共に、刷版を係合支持する
キャリアとからなり、かつ、このキャリアを、最下段を
除く各印刷部に対応してキャリア支柱の近傍に定めた刷
版の引取位置と、この各引取位置の下方に定めた刷版の
係合位置のそれぞれの位置で停止可能にした上下搬送手
段と、各引取位置に近接して設けられ、当該引取位置に停止し
たキャリアが係合支持する刷版に対向する位置と所定の
待機位置にわたって変位可能で、かつ刷版と対向する位
置で刷版を引き取って支持する引取手段と、各引取手段毎に、当該引取手段に隣接して設けられ、引
取手段にて引き取った刷版を各印刷部のフロアー面と略
平行に移動する移動手段とを有することを特徴とする刷
版配送装置。
【請求項５】移動手段が刷版を版胴の軸線と平行に移
動するよう設けられたことを特徴とする請求項４記載の
刷版配送装置。
【請求項６】移動手段の移動方向下流側に隣接させ
て、移動手段によって移動された刷版と係合してこれを
仮保持する仮保持手段を設けたことを特徴とする請求項
４または５記載の刷版配送装置。