JP2720927B2 - Yb50単結晶体の製造方法 - Google Patents

Yb50単結晶体の製造方法

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JP2720927B2
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田中高穂
石沢芳夫
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KAGAKU GIJUTSUCHO MUKIZAISHITSU KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】この発明は、YB50(五十ホ
ウ化イットリウム)の単結晶体の製造方法に関するもの
である。さらに詳しくは、この発明は、分光素子、熱電
素子等として有用なYB50の単結晶体の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】YB50は1700℃で溶融す
ることなく分解してしまうため、YB50単結晶体を融液
から製造することは困難であるとされている。そこで、
従来より、YB50単結晶体の製造法としては、ホウ化コ
バルト、ホウ化ニッケル等の融剤にYB50を溶解し、一
定温度に暫く保ち、徐冷固化させた後、濃塩酸により融
剤であるホウ化コバルト、ホウ化ニッケル等を溶解除去
するフラックス法が用いられてきた。
【0003】しかしながら、この従来の方法では、一般
に数mm程度の小さな結晶しか得ることができず、しか
もこのフラックス法においては、融剤の成分であるコバ
ルト、ニッケル等が不純物として多量に結晶体中に取り
込まれる等の問題点があった。この発明は、以上通りの
事情を鑑みてなされたものであり、従来法の欠点を解消
し、YB50の安定温度領域を高め、フローティングゾー
ン法によって、融液から結晶を析出して育成することに
より、大型のYB50単結晶体を製造することのできる、
新しい方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、YB50の多結晶棒の一部分を加
熱して溶融帯を形成し、この溶融帯を移動させてYB50
の単結晶体を製造するフローティングゾーン法による単
結晶体の製造方法において、溶融帯の組成がYB50の固
相と平衡共存が可能なイットリウム、ボロンおよびシリ
コンからなる液相組成とすることで、大型の結晶体を育
成することを特徴とするYB50の単結晶体の製造方法を
提供する。
【0005】この発明においては、上記の通り、フロー
ティングゾーン法によって、溶融帯の組成をYB50の固
相と平衡共存するイットリウム(Y)、ボロン(B)、
シリコン(Si)からなる液相組成にすることによっ
て、大型の結晶体を育成する。このようなこの発明の方
法は、以下の通りの経緯で完成されたものである。すな
わち、まず、YB50は1700℃まで安定に存在する
が、その温度を越えると固相のまま分解し、安定には存
在しえない。一方、YB50に近い組成を有する液相にお
いて融点が最も低いものとしては、その組成がおおよそ
〔B〕/〔Y〕=40であり、融解温度は約2000℃
である。したがって、YB50がイットリウムとボロンの
みからなる液相と平衡共存することはあり得ない。これ
はYB50をフローティングゾーン法のような溶融法を用
いてその結晶体を製造することは不可能であることを示
している。
【0006】そこで、この発明の発明者らは、この問題
点を解決すべく、さらに研究を行った結果、YB50に第
3の元素を添加することで、その安定存在温度領域を高
めるとともに、融液の温度を下げ、両者の平衡共存が可
能であることを究明した。これは、タングステンカーバ
イド結晶体の製造において、ボロンの添加によって同様
の条件を満たし、結晶体の製造を可能にした手法を参考
にしたものである。
【0007】まず理論的考察として、YB50の結晶構造
におけるボロンの格子構造が基本的にホウ化炭素、ホウ
化ケイ素と類似しており、これらの化合物が分解するこ
となく融解し、化合物と融液は平衡共存できることか
ら、YB50への炭素またはケイ素の添加が先に予測した
ような効果を与えることが期待された。そこで、適当量
の炭素またはシリコンを添加したYB50をアークメルト
法により融解し、その生成物を粉末X線回折法で分析し
た。この方法では試料全量を融解し、急冷したその生成
物を調べることになることから、YB50が安定化され、
分解することなく融液と平衡共存できるとき初めて生成
物として検出されることになる。その結果、炭素の添加
はYB50の分解を引き起こし、YB4 とB4 Cが生成さ
れただけであったが、シリコンの添加は期待したように
YB50相の生成を示した。これらの結果から、シリコン
の添加がYB50相を安定化させ、融液との平衡共存を可
能にする効果があることが判明した。これを基にYB50
にシリコンを添加した組成の多結晶原料棒を作成し、フ
ローティングゾーン法による融帯通過を行ったところ、
ゾーンパス初期段階にYB50結晶体の生成を認め、フロ
ーティングゾーン法によりYB50単結晶体の製造が可能
なことを確認した。
【0008】
【発明の実施の形態】以上の通りのことから、この発明
においては、YB50を安定化させるためシリコン(S
i)を加えて、フローティングゾーン法によってYB50
単結晶体を製造する。この場合、YB50単結晶の育成の
ための溶融帯の組成を、YB50の固相と平衡共存する
Y、BおよびSiからなる液相組成とする。この液相組
成のモル比は、Y:B:Siが、1:(25〜55):
(0.5〜10)、より好ましくは、1:(35〜5
5):(2〜7)とする。
【0009】このような液相組成は、原料の多結晶棒の
組成を予めY,BおよびSiの比として制御しておくこ
とで所定のものとすることができる。すなわち、たとえ
ば、YB50Six (x=1〜5)の組成とする。融帯と
なる部分に原料チップとして、この範囲の組成のものを
配置してもよい。育成にあたっては溶融帯の組成が変化
するとYB50相の成長ができず、代わりにYB66相が成
長するか、もしくはYB50相と共にシリコンの析出も起
こるようなことが起こるので、原料棒の直径を一定に
し、一定の割合で溶融帯に供給し、育成中常に溶融帯の
体積が一定に保たれることで組成が変化しないようにす
ることが望ましい。
【0010】なお、育成されたYB50単結晶では、シリ
コンはホウ素を一部置換し、YB50の結晶構造を保った
まま、YB50構造の骨格をなすホウ素格子の中に入って
いることが考えられる。しかし、たとえシリコンが含ま
れていても基本的にはYB50であることに相違はない。
なぜならば、このシリコンの含まれる濃度は低く、しか
もホウ素とシリコンとの価電子との差はわずかに1個に
すぎず、純粋なYB50と性質は相違ないと言ってよいか
らである。
【0011】そしてまた、フローティングゾーン法とし
て従来より知られている手法や装置手段がこの発明の方
法においても適宜に採用される。以下、実施例を示して
さらに詳しくYB50単結晶体の製造方法について説明す
る。
【0012】
【実施例】YB50Si1.5 なる組成の多結晶原料棒を用
い、融帯となる部分にはYB50Si3 なる組成の原料チ
ップを用いた。そして、種結晶にはYB66を用いた。す
なわち、通常のフローティングゾーン法の配置、すなわ
ち、下方結晶育成軸にYB66種結晶を配置し、その頂部
にYB50Si3 チップを乗せ、一方上方原料供給軸にY
50Si1.5 多結晶原料棒を配置した。結晶合成炉はキ
セノンランプ集光加熱炉を用いた。
【0013】まず融帯を生成するためにYB50Si3
ップを融解し、これに上方よりYB50Si1.5 原料棒を
接触させ、融帯を生成した。その後、上下軸を相互に反
対方向に30rpmで回転させながら、育成速度15m
m/hで融帯を下方に移動させ単結晶の育成を行った。
育成した結晶は、直径約6mm、長さ約30mmであっ
た。融帯通過後に得られた棒を切断し、その切断面の顕
微鏡観察および粉砕後、粉末X線回折測定を行った。図
1は、育成したYB50単結晶の断面顕微鏡写真を示した
ものである。周辺部に多少方位の異なる結晶粒もある
が、ほぼ全体が単結晶になっていることがわかる。そし
てこの写真から明らかなように異なる相の出現は認めら
れず、YB50単一相であることがわかる。
【0014】また図2は、X線回折結果を示したもの
で、ここに観測されている全てのピークはYB50からの
回折線として同定できる。すなわちYB50相が育成され
たことを示すと同時に異相の出現はない。このようにい
ずれの測定においても生成物はYB50の単一相であるこ
とを示した。また化学分析を行った結果、結晶体の組成
はYB47.5Si1.2 であり、余剰の化合をしていないシ
リコンは観察されなかった。これからシリコンはホウ素
格子に組み込まれていることが明らかになり、結晶体の
なかに介在物として存在するのではないことが明らかに
なった。
【0015】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したと
おり、従来フローティングゾーン法では不可能とされて
いたYB50の単結晶体の育成を可能にし、良質、大型の
単結晶体を極めて容易に製造できる優れた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】育成されたYB50単結晶の断面を示した図面に
代わる顕微鏡写真である。
【図2】育成されたYB50単結晶のX線回折パターンを
示した図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 YB50多結晶棒の一部分を加熱して溶融
    帯を形成し、この溶融帯を移動させてYB50の単結晶体
    を製造するフローティングゾーン法による単結晶体の製
    造方法において、溶融帯の組成をYB50の固相と平衡共
    存するイットリウム、ボロンおよびシリコンからなる液
    相組成とすることで、大型の結晶体を育成することを特
    徴とするYB50単結晶体の製造方法。
  2. 【請求項2】 イットリウム、ボロンおよびシリコンか
    らなる液相組成がモル比で、Y:B:Si=1:(25
    〜55):(0.5〜10)である請求項1の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 YB50多結晶棒の組成比として、イット
    リウムに対するボロン及びシリコンの割合を予め調整す
    る請求項1または2のYB50単結晶体の製造方法。
JP7278368A 1995-10-02 1995-10-02 Yb50単結晶体の製造方法 Expired - Lifetime JP2720927B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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第39回人工結晶討論会講演要旨集,1994年9月30日,1A01

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