JP2720322B2 - 極低温タンク用防熱構造 - Google Patents

極低温タンク用防熱構造

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JP2720322B2
JP2720322B2 JP7061945A JP6194595A JP2720322B2 JP 2720322 B2 JP2720322 B2 JP 2720322B2 JP 7061945 A JP7061945 A JP 7061945A JP 6194595 A JP6194595 A JP 6194595A JP 2720322 B2 JP2720322 B2 JP 2720322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液化石油ガス(LP
G)、液化天然ガス(LNG)、液化水素(LH2)、
液化窒素(LN2)、液化酸素(LO2)、液化ヘリウム
(LHe)などの極低温物質を貯蔵するための主として
極低温タンクの防熱構造に関するものである。本発明の
対象とする極低温タンクは球形や円筒形など主として曲
率を有するものであるが、地上に設置されるものだけで
なく、たとえば、船舶に搭載されるものを含み、また極
低温物質を搬送するパイプなども含む。
【0002】
【従来の技術】この種の極低温用タンクでは、外気から
のタンク内への熱の侵入を防止するため、その表面を防
熱層で被覆する必要がある。この防熱層には、従来、特
公昭54−1948号公報および実公昭59−7676
号公報に記載のものがある。いずれも、硬質ポリウレタ
ンやフェノール樹脂などの合成樹脂発泡体からなる内側
防熱層部と外側防熱層部の間に網状の補強材を介装し、
前記合成樹脂の発泡時の自己接着作用もしくは接着剤で
接着して一体にした構造からなる。なお、補強材は、主
に外側防熱層部の低温割れを防止するために介装されて
いるが、補強材を省くこともできる。また、タンク本体
はステンレスやアルミニウム合金で形成され、タンク本
体の外周面上を被覆する防熱層は、タンク本体の周面に
間隔をあけて植設された多数の支持具(スタッドボルト
等)によって支持され、とくに球型タンクの場合等では
タンクの下半分で防熱層が落下するのを阻止している。
それらの支持具は、通常、タンクと同質の材料であるス
テンレスやアルミニウム合金で形成されている。
【0003】上記防熱層は、あらかじめ成型された硬質
ウレタン、フェノール樹脂などの合成樹脂発泡体からな
り、中間に網状の補強材が介装され、アルミニウム表面
層(アルミニウム表面シート材ともいう)を有する凸形
断面で定形の防熱パネルを、タンク本体の表面上に相互
に隣接して取り付け、防熱パネルの突部間の目地に合成
樹脂材を少なくとも充填又は発泡の一方を行なって連結
した構造が一般的である。
【0004】従来、防熱パネルの表面は、厚さ0.3m
m(300μm)程度のアルミニウムシートで形成され
ていた。これは、物が当たったときなどの機械的な損傷
を防止するためである。また、タンク本体の表面上に防
熱パネルを支持具を介して取り付けたとき、隣接する防
熱パネルの突部間に隙間(目地)が生じるが、この目地
は現場で合成樹脂材を少なくとも充填又は発泡の一方を
行って埋めている。また、目地の合成樹脂発泡体29上
も連結用のアルミニウムシート31で被覆しているが、
このシート厚みは0.25mm(250μm)前後で、
図6に示すように厚さ1mm程度のブチルラバーシート
30を、合成樹脂発泡体29上および周囲の防熱パネル
25のアルミニウムシート26外縁部上にかけて貼着し
たのち、前記アルミニウムシート31の両側部を、その
中間部分を目地(合成樹脂発泡体29およびブチルラバ
ーシート30)から浮かせて防熱パネル25のアルミニ
ウムシート26外縁部上のみに貼着し、さらに一定の間
隔をあけてリベット32で止めていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の防熱構造あるいは防熱パネルには、次のような
点で改良の余地がある。すなわち、 たとえばLNGをアルミニウム合金製タンクに貯蔵
するとき、外気温度を30℃とすると、タンク本体の熱
収縮率は約0.4%となるため、タンク本体の半径が2
0mの場合は半径方向に約80mm収縮する。一方、タ
ンク本体21の表面上の防熱パネル25は、表面のアル
ミニウムシート26が常温側に配設され、それ自身は熱
収縮せず、且つ剛性が高いため、熱収縮に対して追随・
圧縮変形が起こりにくいため、図7に示すように波状に
変形して目地側へ張り出し、目地の合成樹脂発泡体29
を圧縮して吸収されることになる。したがって、防熱パ
ネル25のサイズが、たとえば1m×1mの大きさ(厚
みがたとえば200mm)の場合、目地の幅を少なくと
も100mmは取る必要があるが、このように目地の幅
が広いと、現場で行われる合成樹脂材29の充填・発泡
作業に手間がかかるうえに、あらかじめ工場で製作され
る防熱パネル25と同等の品質を確保するためには、施
工上高度な技術を必要としてその分のコストが上がる。
また、充填・発泡の際に、目地枠内からはみ出して発泡
することがないようにするため、そして発泡(圧)を抑
えるために押さえ治具を使用するが、この押さえ治具も
大型化し、作業性が悪くなるので、全体の施工性が低下
する。なお、上記サイズの場合に、目地幅を100mm
よりも狭くすると、目地の合成樹脂発泡体の圧縮弾性的
限界を越えることに成りかねないので、設計的にそれ以
下に狭くはできない。
【0006】 目地部の連結用アルミニウムシートを
防熱パネルのアルミニウムシート外縁部間に跨がって取
り付ける際、ブチルラバーシート等の粘着力だけでは不
十分なためにリベット止めしているが、このリベットの
ピッチを100mmとすると、半径20mの球形タンク
の場合には1タンク当たり約20万個を越えるリベット
打ち作業が必要で、この作業に要する手間は膨大で、リ
ベット費用も多大である。また、リベットの打ち方がわ
るいと、隙間ができそこから湿気が侵入するおそれがあ
るため、作業に熟練を要する。
【0007】 防熱パネルをタンク本体の表面に取り
付けるために、タンク本体の表面に立設した多数のスタ
ッドボルト(支持具)によりワッシャーを介して締め付
け、支持しているが、それらのスタッドボルトは目地の
中央線に沿って配置されている。たとえば、図7のよう
にタンク本体21の横目地に一定の間隔をあけてスタッ
ドボルト24を配置してある場合、縦目地と交差するB
位置のスタッドボルト24は周辺構造要素的に拘束度が
小さく、タンク本体21が熱収縮したときにスタッドボ
ルト24等に作用する引張荷重は小さい。一方、防熱パ
ネル25で挟まれたA位置・C位置のスタッドボルト2
4は、自由度が一方向にだけ制限されるので拘束度が大
きく、タンク本体21が熱収縮したときに作用する引張
荷重が、B位置のスタッドボルト24の約10倍と非常
に大きくなることがある。このため、ピッチを小さくす
る必要があり、スタッドボルト24の本数が増大する。
具体例を挙げると、従来の防熱構造の場合、半径11m
のアルミニウム合金製のLNG用の球形タンクでは、ス
タッドボルトのピッチを50cmとする必要があって、
このときの総ボルト本数は1タンク当たり約3400本
になる。このように、スタッドボルトの本数が多いと、
防熱パネルの取付時にワッシャーを介してナットで締め
付ける作業に手間がかかるうえに、スタッドボルトを経
由した熱の侵入量が増えるから、防熱性能も低下する。
【0008】この発明は上述の点に鑑みなされたもので
あって、タンク本体の表面上に取り付ける防熱パネル
の突部間の目地幅を狭くして、現場での合成樹脂材の充
填・発泡作業を軽減でき、防熱層全体の信頼性を向上で
きる、リベット止めを不要にして、そのための手間と
コストを削減できる、スタッドボルト等の支持具に作
用する荷重を均一化させて、支持具の本数を大幅に減ら
して施工性と防熱性能を向上できる、極低温タンク用防
熱構造と防熱パネルを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明の防熱構造は、1)あらかじめ成型された硬
質ウレタン、フェノール樹脂などの合成樹脂発泡体から
なり、アルミニウム表面シート材を有する凸形断面で定
形の防熱パネルを、タンク本体の表面上に相互に隣接し
て配列し、前記タンク本体に植設された支持具により取
り付け、前記防熱パネルの突部間の目地に合成樹脂材を
少なくとも充填又は発泡の一方を行って連結した極低温
タンク用防熱構造において、2)前記アルミニウム表面シ
ート材を、アルミニウムフォイルの表面に合成樹脂層を
積層した二層構造にし、3)前記目地の合成樹脂発泡体上
およびその周辺の前記アルミニウム表面シート材上に跨
がって、前記アルミニウム表面シート材と同一構成のア
ルミニウム連結シート材を粘着シート材を介して全面的
に接着している。
【0010】請求項2に記載のように、1')前記合成樹
脂発泡体の中間に、網状の補強材を介装してもよい。
【0011】請求項3に記載のように、4)前記アルミニ
ウム表面シート材の表面および前記アルミニウム連結シ
ート材の表面の合成樹脂層を、それぞれポリエチレンテ
レフタレートフィルムで形成し、5)前記アルミニウムフ
ォイルの厚みを20〜100μmとし、前記ポリエチレ
ンテレフタレート層の厚みを50〜500μmとするこ
とが好ましい。とくに、アルミニウムフォイルの厚みを
25μmとし、ポリエチレンテレフタレート層の厚みを
100μmにすると一層好ましい。
【0012】請求項4記載のように、6)前記アルミニウ
ム表面シート材の前記アルミニウムフォイル内面に、不
織布を積層するとよい。
【0013】
【0014】
【0015】
【作用】上記した構成を有する本発明の防熱構造によれ
ば、防熱パネルの表面のアルミニウムフォイルが従来の
防熱パネルのアルミニウムシートに比べて非常に薄いた
め、剛性が低く、柔軟であるから、たとえばLNGのよ
うな極低温物質を貯蔵したときにタンク本体が収縮し、
スタッドボルトなどの支持具を介して各防熱パネルがタ
ンク本体の中心方向に強制的に引き寄せられるとき、各
防熱パネルが面内方向全体にわたりほぼ均等に圧縮変形
する。これにより、従来と違って、目地部の合成樹脂発
泡体に圧縮変形が集中することがないから、目地の幅を
強度面での制約を受けずに、任意に選択できる。つま
り、防熱パネルを連結するための施工に必要な最小限の
目地幅に設定すればよいから、従来の防熱構造に比べて
目地幅をかなり狭くできる。この結果、目地に充填・発
泡させる合成樹脂材の充填(注入)量がかなり減少する
から、作業性が格段に向上する。また目地幅の縮小に伴
って、現場で充填・発泡させる合成樹脂発泡体の容積が
大幅に減少するため、目地部における発泡体の割合が従
来の防熱構造に比べて減少することにより、信頼性が向
上する。
【0016】さらに、目地部に圧縮変形が集中しなくな
ることによって、目地部の変形量が小さくなるととも
に、目地部を被覆するアルミニウム連結シート材も防熱
パネルの表面シート材と同様にアルミニウムフォイルで
構成したために、剛性が低くて柔軟性に富むから、従来
のように目地部で浮かせる必要がなく、粘着シート材を
介して全面的に接着することができ、作業性が向上す
る。またアルミニウム連結シート材と粘着シート材とが
一体となったものが全面的に接着されることで、湿気の
侵入が確実に阻止され、十分な防湿機能を発揮する。さ
らに全面的な接着で、アルミニウム連結シート材がしっ
かりと接着されるから、従来と違ってリベット止めが一
切不要になり、その作業に費やしていた手間およびコス
トが全く不要になる。一方、アルミニウム表面シート材
およびアルミニウム連結シート材の主体部をアルミニウ
ムフォイルにして薄くしたが、その表面にこれよりもか
なり厚みのある合成樹脂層をコーティングやラミネーテ
ィングなどの方法で積層しているから、仮に外部から衝
撃が作用しても、機械的な損傷を表面の合成樹脂層が阻
止するとともに、表面シート材あるいは連結シート材が
下層の合成樹脂発泡体と一体となって衝撃を吸収する。
【0017】請求項2記載の防熱構造では、中間に介装
された網状の補強材が外側防熱層部の低温割れを防止す
る。
【0018】請求項3記載の防熱構造では、表面の合成
樹脂層を、それぞれポリエチレンテレフタレートフィル
ムにしたことで、衝撃等に対する機械的な損傷阻止作用
に優れている。また、アルミニウムフォイルの厚みを2
0μm以上にしたのはそれより薄くなると防湿性が保て
なくなる恐れがあるからであり、また100μm以下に
したのはそれより厚くなると、剛性が高くなって防熱パ
ネルの熱変形が均等に行われなくなるおそれがあるから
である。なお、前記ポリエチレンテレフタレート層の厚
みを50〜500μmとしたのは、50μm以下では機
械的な損傷阻止作用が十分に発揮されず、500μm以
上になると剛性が高くなって表面シート材の柔軟性が損
なわれるおそれがあるからである。
【0019】請求項4記載の防熱構造では、アルミニウ
ムフォイル内面に積層された不織布がその下層の合成樹
脂発泡体との接着性を増強する役目を果たすので、防熱
構造の信頼性が上がる。
【0020】
【0021】
【0022】
【実施例】以下、本発明の極低温タンク用防熱構造の実
施例を図面に基づいて説明する。
【0023】図1は本実施例の防熱構造を備えた極低温
用タンクの縦断面図、図2はタンク上の防熱層の一部を
拡大して示す平面図、図3(a)は図2のA−A線断面
図、図3(b)は図2のB−B線断面図、図4は図3(b)
の一部拡大断面図である。図5は防熱パネルの実施例を
示す斜視図である。
【0024】図1に示すように、タンク本体1は本例で
は半径11mの球形で曲率を有し、本例ではアルミニウ
ム合金から形成されている。タンク本体1の外周面を被
覆する防熱層2は、内側(タンク側)防熱層部2aと外
側防熱層部2bとの2層積層構造からなり、両層部2a
・2bの間に網状の補強材3を介装し、相互に防熱層を
形成する合成樹脂を発泡成形するときの発泡時自己接着
作用あるいは接着剤にて接着して一体化した構造からな
る。防熱層2は、多数の防熱パネル5(図5)をタンク
本体1の外周面上に相互に隣接し且つ防熱パネル5をタ
ンク本体1の外周面に設置していくときの施工性の面か
ら、緯線方向に互いにずれ合うように配列(千鳥配列)
し、支持具としてのスタッドボルト4にて固定すること
により構成される。
【0025】防熱パネル5は、図5に示すように定形
(本例では長辺1.2m×短辺0.9m(×厚さ;200
mm、この厚さは所要防熱性能の大小に応じて増減され
得るものである。))の凸形断面で、内側防熱層部2a
を構成する下部防熱部材5a(厚み100mm)と、外
側防熱層部2bを構成する凸状の上部防熱部材5b(厚
み100mm)との間に、上記の網状補強材3の一部を
構成する平織金網5cを一体に介装した構造からなる。
下部防熱部材5aはガラス繊維、天然繊維、化学繊維な
どで強化された硬質ウレタン樹脂発泡体、フェノール樹
脂発泡体などから選択されるが、本例ではフェノール樹
脂発泡体からなる。また、上部防熱部材5bは、硬質ウ
レタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、スチレン樹
脂発泡体などから選択されるが、本例では硬質ウレタン
樹脂発泡体からなる。
【0026】防熱パネル5の表面は、アルミニウム表面
シート材6により被覆されている。この表面シート材6
は、図4にその一部を示すように厚さ25μmのアルミ
ニウムフォイル(アルミ箔)6aを主体として、このア
ルミニウムフォイル6aの表面に、厚さ100μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルム6bをラ
ミネーティングあるいはコーティングにより一体に積層
し、アルミニウムフォイル6aの裏面(内面)に、厚さ
100μmほどの不織布6cを一体に積層した構造から
なる。本例ではアルミニウムフォイル6aの厚みを25
μmにしたが、25μmの厚みがあれば防湿性が確保さ
れることと、柔軟性を得るためには可及的に薄くするの
が望ましいこととがその数値にした理由である。しか
し、さらに上層にPETフィルム6bを積層しているこ
とから、PETフィルム6bによる防湿性も期待できる
ので、アルミニウムフォイル6aの厚みは最小限20μ
mあればよい。一方、アルミニウムフォイル6aの厚み
が厚くなり過ぎると、剛性が高くなって防熱構造表面部
全体の熱収縮強制変形が均等に行われなくなるおそれが
あるので、100μm以下に設定する必要がある。
【0027】図2・図3に示すように、タンク本体1の
外周面には、アルミニウム合金製スタッドボルト4が一
定の間隔(本例では、2本/m2)をあけて溶接等によ
り植設されており、スタッドボルト4の先端部は、防熱
パネル5の網状補強材5c上に跨がって配置された補強
材3の連結部分3bを貫通し、ワッシャー7を挿通した
うえナット8で連結部分3bを保持している。隣接する
防熱パネル5の上部防熱部材5bの間は目地(空隙)に
なっており、この目地に上部防熱部材5bと基本的には
同一種類の合成樹脂材を少なくとも充填又は発泡の一方
を行うことにより、その合成樹脂発泡体9によって目地
を埋めている。
【0028】この合成樹脂発泡体9の表面上には、図4
に示すように両側の防熱パネル5のアルミニウム表面シ
ート材6の外縁部上から、厚さがたとえば500μmの
両面接着のブチルラバーシート10を、連続して(浮か
せずに)貼着している。そして、アルミニウム連結シー
ト材11をラバーシート10上に全面的に貼着又は接着
している。このアルミニウム連結シート材11は厚さ2
5μmのアルミニウムフォイル(アルミ箔)11aを主
体として、このアルミニウムフォイル11aの表面に、
厚さ50μmほどのポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルム11bをラミネーティングあるいはコーテ
ィングにより一体に積層した構造からなる。PETフィ
ルム11bの厚みを50μmにしているのは、球面等の
曲面上への貼りつけ等の施工性を配慮して薄くしたもの
である。
【0029】上記の構成からなる防熱層2によりタンク
本体1の外周面を被覆したことを考慮し、スタッドボル
ト4を横方向の目地の中心線に沿って60cmピッチで
植設した。目地幅(常温側)は横(緯線)方向で70m
m、縦(経線)方向で30mmにそれぞれ設定した。
【0030】さて、上記実施例の防熱構造を備えたタン
クにLNGを注入、貯蔵した状態を模擬した実験と計算
による総合判断の結果、下記の要件を満たしていた。
【0031】 防湿性 機械的損傷の阻止(作業者がタンク上に乗ったが、
踏み抜きはなし) タンク本体1の熱収縮に対する防熱層2の追従性
(防熱パネル5の脱落、防熱パネル5のアルミニウム表
面シート材6の剥離および目地の合成樹脂発泡体9上の
アルミニウム連結シート材11の剥離はなし) 一方、上記実施例の防熱構造を備えたタンクは、次のよ
うな優れた効果を発揮した。
【0032】a) スタッドボルト4の本数が1タンク当
たり約2900本となり、従来の防熱構造のタンク(半
径11m)に比べて500本削減された。これにより、
防熱パネル5の取付作業が容易になり、作業時間が短縮
された。また、このときのスタッドボルト4(1本当た
り)に作用する最大引張荷重はスタッドボルトの本数が
減り、本来ならば最大引張荷重が増えるところである
が、その逆で減少し、約30%軽減された。このこと
は、スタッドボルトあるいはワッシャー近傍部の合成樹
脂発泡体9および上部防熱部材5b内部に発生する応力
を軽減させることとなり、当該部の強度面の信頼性を向
上せしめることになる。
【0033】b) 目地部の容積が断面積で、従来に比べ
て縦方向(縦目地)で40%程度に、横方向(横目地)
で80%程度にそれぞれ削減された。なお、目地の総延
長長さは1タンク当たり約3000mあるので、目地部
における合成樹脂材の充填・発泡作業の省力効果および
材料費の削減効果は極めて高い。
【0034】c) 従来、タンク(半径11m)に使用さ
れるリベットの本数は1タンク当たり約6万本であった
から、リベット止め作業が不要になることにより施工性
が大幅に向上した。
【0035】上記に本発明の極低温タンク用防熱構造の
一実施例について説明したが、本発明の防熱構造は、次
のように実施することができる。
【0036】1) タンクの形状は球形に限らず、たとえ
ば円筒形でもよい。またタンク以外にも、極低温物質の
搬送用パイプなどの防熱構造に適用できる。
【0037】2) アルミニウムフォイル6a・11aの
表面の合成樹脂層は、PETフィルムなどのポリエステ
ルフィルム以外にも、軟質で柔軟性に富み、機械的損傷
を阻止できるものであれば、とくに種類を問わない。
【0038】3) 主として極低温物質を対象とするが、
極高温物質を貯蔵する場合の断熱構造としても適用でき
る。
【0039】4) 補強材は防熱構造全体の強度確保の面
より介装する方が望ましいケースが多いが、省くことも
できる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
この発明の極低温タンク用防熱構造には、次のような優
れた効果がある。
【0041】(1) 極低温物質をタンクに貯蔵したときの
熱伸縮変形を目地部で集中的に吸収していた従来の構造
に対し、タンク本体の外表面を被覆する防熱層全体でほ
ぼ均等に吸収できるようにしたから、従来の防熱層構造
と違って各支持具に作用する熱荷重が低減される。した
がって支持具の本数を減らして材料コスト並びに施工コ
ストを削減でき、また支持具を経由して侵入する伝熱量
も低減されるから、防熱性能が向上する。
【0042】(2) 目地部の幅を大幅に狭くできるから、
目地に充填・発泡させる合成樹脂材の充填(注入)量が
減少し、作業性が格段に向上する。また、目地幅の縮小
に伴って、目地部における充填材や合成樹脂発泡体の割
合が従来に比べて減少することにより、防熱システム全
体としての信頼性が向上する。
【0043】(3) 目地部を被覆するアルミニウム連結シ
ート材を、従来のように目地の上方に浮かせる必要がな
く、粘着シート材を介して全面的に接着することができ
るから、作業性が向上する。また全面的に接着すること
で、湿気の侵入が確実に阻止され、十分な防湿機能を発
揮する。さらに全面的な接着で、アルミニウム連結シー
ト材がしっかりと接着されるから、従来と違ってリベッ
ト止めが全く不要になり、その作業に費やしていた手間
およびコストが一切不要になる。
【0044】(4) 請求項3記載の防熱構造では、外部か
らの衝撃等に対する機械的な損傷阻止作用に優れ、防湿
性が十分に保て、しかも柔軟性に富み、防熱パネルの熱
変形がほぼ均等に行われるとともに、機械的な損傷阻止
作用も十分に発揮される。
【0045】また、アルミニウム表面シート材の表面お
よびアルミニウム連結シート材の表面の合成樹脂層がア
ルミニウムフォイルの錆の発生を防止し、且つ透明なる
がゆえにアルミニウムフォイル本来の光沢や艶がそのま
ま防熱構造の美観となって現れ、商品価値を高めること
にも寄与する。
【0046】(5) 請求項4記載の防熱構造では、アルミ
ニウムフォイル内面に積層された不織布がその下層の合
成樹脂発泡体との接着性をより確実なものとするため、
剥離が起こらない。
【0047】
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる防熱構造を備えた極低
温用タンクの全体を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1の極低温用タンク上の防熱層の一部を拡大
して示す平面図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A線断面図、図3(b)は
図2のB−B線断面図である。
【図4】図3(b)の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の極低温用タンクの防熱構造に用いられ
防熱パネルの実施例を示す斜視図である。
【図6】従来の一般的な極低温用タンクの防熱構造の目
地部における断面図で、図3に対応する。
【図7】従来の一般的な極低温用タンクの防熱構造の目
地部周辺を示す平面図と、その平面図のa−a線断面図
およびb−b線断面図である。
【符号の説明】
1 タンク本体 2 防熱層 3 補強材 4 スタッドボルト(支持具) 5 防熱パネル 5c 網状補強材 6 アルミニウム表面シート材 6a・11a アルミニウムフォイル(アルミ箔) 6b・11b ポリエチレンテレフタレートフィルム 6c 不織布 7 ワッシャー 8 ナット 10 ブチルラバーシート 11 アルミニウム連結シート材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮下 圭二 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 細見 幸雄 大阪府大阪市西区京町堀1丁目8番5号 明星工業株式会社内 (72)発明者 岡本 有広 大阪府大阪市西区京町堀1丁目8番5号 明星工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−258598(JP,A) 特開 昭51−129915(JP,A) 実開 昭59−43798(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 あらかじめ成型された硬質ウレタン、フ
    ェノール樹脂などの合成樹脂発泡体からなり、アルミニ
    ウム表面シート材を有する凸形断面で定形の防熱パネル
    を、タンク本体の表面上に相互に隣接して配列し、前記
    タンク本体に植設された支持具により取り付け、前記防
    熱パネルの突部間の目地に合成樹脂材を少なくとも充填
    又は発泡の一方を行って連結した極低温タンク用防熱構
    造において、 前記アルミニウム表面シート材を、アルミニウムフォイ
    ルの表面に合成樹脂層を積層した二層構造にし、 前記目地の合成樹脂発泡体上およびその周辺の前記アル
    ミニウム表面シート材上に跨がって、前記アルミニウム
    表面シート材と同一構成のアルミニウム連結シート材を
    粘着シート材を介して全面的に接着することを特徴とす
    る極低温タンク用防熱構造。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂発泡体の中間に、網状の補
    強材を介装した請求項1記載の極低温タンク用防熱構
    造。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム表面シート材の表面お
    よび前記アルミニウム連結シート材の表面の合成樹脂層
    を、それぞれポリエチレンテレフタレートフィルムで形
    成し、 前記アルミニウムフォイルの厚みを20〜100μmと
    し、前記ポリエチレンテレフタレート層の厚みを50〜
    500μmとした請求項1又は2記載の極低温タンク用
    防熱構造。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム表面シート材の前記ア
    ルミニウムフォイル内面に、不織布を積層した請求項
    1、2又は3記載の極低温タンク用防熱構造。
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