JP2714199B2 - 乗客コンベア - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、エスカレータ，電動道路等の乗客コンベア
に係り、特に搭乗中の乗客に対する安全性を考慮した乗
客コンベアに関する。

〔従来の技術〕

従来の乗客コンベアは、実公昭52−37590号公報に記
載のように、踏段の踏面上に適宜な形状をした透光部を
設け、この踏段が出没する乗降口の最寄り部に、この踏
段の下側から照明光を発する投光機を横長に備えて前記
投光部から上向きに発行することによって、弱視者など
のへ乗込み位置の報知，乗降タイミングの視認に寄与で
きるようになっていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来の技術は、乗客が真下の足元を見た場合にし
か照明光を視認できないものであるが、乗降口の乗降床
上で真下を見た場合は、階段上の正しい乗込み位置を知
らせる効果がある。しかし、踏段上に乗客が乗り移った
後では、照明光の効果は皆無となる。

そのため、乗客コンベアでは、乗降床から水平に連な
っている踏段の境界部上に足を乗せた場合、次に生じる
曲線路での隣接踏段の段差によりバランスを崩して転倒
する例が多く、また、乗降床に降りるに際し、踏段上に
乗った乗客が乗降床に気付かずに足先が乗降床に接して
転倒することがある。

さらに、上記従来の技術は、踏段の幅方向に沿って長
い投光機を用いているので、これらを踏段移動方向に多
数本並べて設置しなければならず、それらの設置や配線
が複雑になる問題がある。

本発明の目的は、簡単な構成で、曲線路における乗客
の転倒と、乗降床から踏段への乗降時の乗客の転倒事故
を低減できる乗客コンベアを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記目的を達成するために、上部及び下部乗
降床間を無端状に連結されて移動する複数の踏段を、曲
線路を有する経路で移動させるように構成し、前記踏段
の下方に踏段に光を照射する照明装置を備えた乗客コン
ベアにおいて、前記照明装置を、前記乗降床から前記曲
線路を含む区間に亘たる長さの曲線状ランプとし、かつ
前記踏段のライザ表面に光反射材を設けたのである。

さらに、前記曲線状ランプの近傍に、光を前記踏段側
に反射させる反射体を設置したのである。

〔作用〕

上記構成のうち、乗降床から曲線路を含む区間に亘た
る長さの曲線状ランプを配設したことにより、その区間
で乗客は上向きの発光に縁取られて移動する踏段を確認
することができ、さらに、上昇運転時に乗降床付近から
数個先の踏段を見た時にはライザによる反射光により踏
段相互間に段差が生じていることが視認できる。その結
果、乗客は踏段への乗込みの際の搭乗位置を容易に確認
でき、しかも、隣接踏段の境界部に跨って乗ることを避
けることができる。また、踏段が移動して乗降床に接近
した場合には、踏段相互間の境界部すき間からの上向き
の発光が乗降床先端部で次々に消えるので、乗降床の存
在を確認しやすくなり、足先が乗降床先端部に接触して
転倒することはなくなる。加えて、踏段の移動方向に沿
って長い曲線状ランプは、従来において、照明装置を踏
段移動方向に数多く並べて設置する場合に比べて、二，
三本設置すればよいので、これらの設置や配線は簡単に
なる。

このほか、上記構成のうち、踏段のライザ表面に光反
射材を設けたことにより、上向きの発光による隣接踏段
間の段差をより鮮明に認識させることができる。

さらに、上記構成のうち、曲線状ランプの近傍に、光
を踏段側に反射させる反射体を設置したことにより、数
少ないランプによる発光効果を上げることができる。

〔実施例〕

以下本発明による乗客コンベアの一実施例を第１図及
び第２図に示すエスカレータに沿って説明する。

エスカレータ１は、無端状に連結された複数の踏段２
を有し、これら踏段２は、下部乗降口に設置された下部
乗降床の下から下部水平路，凹曲線路（いずれも図示省
略），中間の傾斜路A,凸曲線路B,上部水平路Ｃの経路を
経て上部乗降口に設置された上部乗降床５の下に至るよ
うに循環移動されている。

このような踏段２の両側には、前記踏段２と同期して
移動されるハンドレール３を案内支持する欄干４が設置
されている。

下部乗降床も同じ構成であるが、上部乗降床５は踏段
２に接近する先端部に櫛板６が設けられている。

以上の構成部品は上下階床に跨って設置された本体枠
７に支持されてエスカレータが構成されている。

上記構成において、乗客が搭乗する往路側に踏段２と
帰路側の踏段2Aとの間には、上部乗降床５の下から凸曲
線路Ｂを含み傾斜路Ａに至る区間に照明装置10を設置し
ている。この照明装置10は、前記区間にかけて一体に形
成された曲線状ランプ８と、この曲線状ランプ８の下と
両側を被い往路側の踏段２に向かって開口する断面コ字
状の反射体９とで構成されている。

曲線状ランプ８は、エスカレータの型式にもよるが、
踏段２の幅方向に２〜３本、多くても数本並設し、夫々
に反射体９を備えている。

また、踏段２のライザ2bの表面には、光反射材、例え
ば反射性を有する塗料を塗布している。

上記のように構成したので、運転中に曲線状ランプ８
を点灯させることにより、上部乗降床５及び下部乗降床
の下側から現われ、あるいは入り込む踏段２と踏段２の
間、即ち、隣接踏段２の踏面2aの境界部Ｄのすき間から
光線Ｅが上向きに発光して踏面2aを縁取る。そのため、
乗降床から踏段２に乗り移ろうとする乗客は、乗込みタ
イミングをとって光線Ｅで縁取られた踏面2aの中央部に
乗ることができ、隣接踏面2aに跨って乗ることを避ける
ことができる。したがって、踏段２が曲線路に至って隣
接踏段２との間に段差が生じても、段差に足をとられて
転倒することはなくなる。

乗客が降りるときも、乗降床の櫛体６で光に縁取られ
た踏段２が次々と乗降床下に潜り込むので、乗客は乗降
床をはっきりと認識でき、容易に降りることができる。

さらに、上昇運転時に、傾斜路Ａに乗客がいて前方の
凸曲線路Ｂを見たときには、境界部Ｄのすき間から漏れ
る光線Ｆが踏段２のライザ2bの表面に反射するので、乗
客は移動進路が変化して乗降床が近いことを認識するこ
とができる。しかも、ライザ2bの表面には光反射材が設
けられているので、光線Ｆによる反射は鮮明となり、乗
客の認識を容易にすることができる。

この光による現象は、下部乗降床でも同様であり、下
部乗降床の下側から現われた踏段２は光によって縁取ら
れ、凹曲線路での踏段２はライザ2bの表面が反射するの
で、正しい乗込み位置と移動方向が変化することを認識
することができる。

ところで、曲線状ランプ８の色調は、踏段２とは異な
る例えば緑色や黄色などがよく、この色調の差によって
より鮮明に認識できる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、簡単な構成で、曲線路における乗客
の転倒と、乗降床から踏段への乗降時の乗客の転倒事故
を低減できる乗客コンベアを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の乗客コンベアの一実施例を示す側面
図、第２図は第１図のII−II線に沿う断面斜視図であ
る。 １…エスカレータ、２…踏段、５…上部乗降床、８…曲
線状ランプ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部及び下部乗降床間を無端状に連結され
   て移動する複数の踏段を、曲線路を有する経路で移動さ
   せるように構成し、前記踏段の下方に踏段に光を照射す
   る照明装置を備えた乗客コンベアにおいて、前記照明装
   置を、前記乗降床から前記曲線路を含む区間に亘たる長
   さの曲線状ランプとし、かつ前記踏段のライザ表面に光
   反射材を設けたことを特徴とする乗客コンベア。
2. 【請求項２】前記曲線状ランプの近傍に、光を前記踏段
   側に反射させる反射体を設置したことを特徴とする請求
   項１記載の乗客コンベア。