JP2712487B2 - 電子ビーム露光装置および電子ビーム露光方法 - Google Patents

電子ビーム露光装置および電子ビーム露光方法

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JP2712487B2
JP2712487B2 JP1036988A JP3698889A JP2712487B2 JP 2712487 B2 JP2712487 B2 JP 2712487B2 JP 1036988 A JP1036988 A JP 1036988A JP 3698889 A JP3698889 A JP 3698889A JP 2712487 B2 JP2712487 B2 JP 2712487B2
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【発明の詳細な説明】 〔目次〕 概要 産業上の利用分野 従来の技術 本発明が解決しようとしている課題 課題を解決するための手段 作用 実施例 (a)本発明に基づく電子ビーム露光装置の説明(第1
図) (b)移動するステージ内の渦電流の発生機構(第7
図,第8図) (c)本発明に基づく磁気対物レンズの説明(第3図〜
第6図) 本発明の効果 〔概要〕 本発明は、所定方向に連続して移動するステージに搭
載された被照射物に電子ビームを照射する電子ビーム露
光装置の磁気対物レンズの改良に関し、 電子ビームの収束を向上するために磁気対物レンズか
らの不要な磁束がステージ方向に漏洩するのを防止する
ことを目的とし, 前記被照射物に対向して設けられた下部ポールピース
を有する磁気対物レンズを含んで構成されている電子ビ
ーム露光装置において,この被照射物の移動方向に直交
する方向に走査される電子ビームの所定の走査空間に対
応して,この下部ポールピースにボアが開口されてお
り,このボアがこの電子ビームを通過させ,この磁気対
物レンズ内の磁束の大部分はこの下部ポールピースのこ
のボア以外の部分で阻止されこのステージに漏洩するこ
とを防止することを特徴とするものであり,この構成に
よりこの漏洩磁束により引き起こされるステージ内の渦
電流の発生を回避してこの電子ビームの良好な収束を維
持できるという効果を有する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は電子ビームリソグラフィに使用される電子露
光装置に関し,更に詳しくは,被加工物を搭載して連続
的に移動しているステージ内に発生する漏洩磁束に基づ
く渦電流の発生を回避して該電子ビームの良好な収束を
維持することができる磁気対物レンズに関する。
電子ビーム露光システムは大規模半導体装置,即ち、
LSI,の微細な回路パターンの形成方法として広く知られ
ている。LSIの集積密度が増大するに連れて,従来の光
学的リソグラフィ技術は限界に達してきて,電子ビーム
リソグラフィのような更に高精度な技術が要求されて来
た。電子ビームリソグラフィの主要な特徴はその高解像
度にある。光学的リソグラフィに固有な光回折の問題は
10乃至20Kvの電子ビームにより解消される。この電子ビ
ームの等価波長は1Å以下で紫外線の波長より遥に短い
からである。更に,そのパターン形成は総て電子計算機
電子ビーム露光装置制御され,その工程の流れも短いの
で,関連LSIの製造工程の機械化が容易て,歩留りや生
産の安定性からも量産に適している。
電子ビームリソグラフィは電子ビーム投射型と電子ビ
ーム走査型の二形式に分類されるが,本発明は後者に関
するものである。電子ビーム走査型リソグラフィーにお
いては,回路パターンは細く収束された電子ビームの,
偏向とON,OFFを電子計算機により制御されて描かれる。
電子ビームの走査機構は,電子源からの電子を断面が丸
や角の細い電子ビームに形成する電子ビーム形成手段
と,電子ビームを偏向して該電子ビームをラスタ或いは
ベクトル走査法で走査する電子ビーム偏向手段と該電子
ビーム偏向手段を制御し被加工物に載せたステージの運
動を制御して該被加工物上に所要の回路パターンを描か
せるパターン発生制御手段とから構成されている。以降
は被加工物は半導体ウエファとして記述していく。
一般に走査スパンはレンズ収差を回避するために2mm
位に限定されている。従ってウエファの全表面は多数の
区分領域に区分されており,一区分領域宛順次に露光さ
れていく.当然ウエファ,あるいは,ステージは電子ビ
ームの走査と同期して移動される。ステージは通常は水
平面内でX−Y方向に移動可能である。その移動形式に
は二種類がある。
一つはステップ.アンド.レピート方式で,本方式で
はウエファ上の方形区分領域内に電子ビームを照射して
要素パターンを描く。当該の一つの区分領域内のパター
ン形成が終了したら、ウエファが移動して次の区分領域
のパターン形成が開始される。
他の方式は連続移動ステージ方式であつて,例えば,B
ell 電話研究所の開発にかかるEBES(electron beam e
xposure system)に採用されている方式で本発明もこれ
に関するものである。本方式では電子ビームはラスタ方
式で走査され,ステージは連続的に,通常主たる走査方
向に直交した方向に移動している。本方式の利点はステ
ージの移動と電子ビームの走査が平行して同時に行わ
れ,時間が節約出来る点にある。一方,ステップ.アン
ド.レピート方式では,ステージが停止する際にステー
ジに機械振動が発生して,次段の電子ビームの走査の開
始までに機械振動の収束をまつ時間が必要となり,電子
ビーム露光の時間が長くなる。本発明者の経験ではこの
待ち時間は0.3秒に達する。今4インチのウエファに2mm
の区分領域で電子ビーム露光をすると仮定すると全待ち
時間は一ウエファ当たり520秒になり,ウエファ全体の
電子ビーム露光時間の約70%を占める。したがつて,LSI
の量産には連続移動ステージ方式の方が適していると思
われる。
〔従来の技術〕
しかし,本連続移動ステージ方式にも欠点がある。即
ち、前記の移動中のステージに磁気対物レンズ内で発生
する磁束の一部,即ち、漏洩磁束が交差すると渦電流が
発生し,その渦電流が新たに磁束を発生する結果,ウエ
ファに投射する電子ビームの収束が乱られて,回路パタ
ーンの形成の解像度が低下する。本件については後に詳
しく述べるが,本件に関連して,一般に従来の電子ビー
ム露光装置の磁気レンズシステムの磁気対物レンズがそ
の構成要素の一つであるポールピースに円形のボアを有
していることに注目すべきである。レンズの収差を抑え
るために全磁気レンズ系はその中心軸を回転対称軸とし
て設計するために、ボアの形状を円形しているのであ
る。
円形のボアは電子ビームの走査空間より遥に大きく開
口されているため,電子ビームの通過には何の支障もな
いが,この磁気対物レンズ内で発生した強力な磁束がこ
のボアを通過して移動中のステージに照射され,後述す
るように関連電子ビームの収束を乱すことになる。
更に磁気レンズ系,特に磁気対物レンズのレンズ収差
を減殺するためには電子ビームが常に磁気対物レンズの
軸上を走るように制御されていることが望ましい。ま
た、ウエハー上に電子ビームが照射される際にこの電子
ビームがウエファの表面に垂直に照射されることが望ま
しい。電子ビームがウエファ表面に垂直に照射される
と,ウエファ表面に多少の凸凹や断層状の段があつて
も,描かれた回路パターンの変形が回避できるからであ
る。
上述の二つの目的を達成するために,磁気対物レンズ
の光軸を関連電子ビームの偏向に対応して半径方向に平
行移動させる技術が,可変光軸を有する磁気対物レンズ
(VAL)として,既にインターナショナル・ビジネス機
器社(IBM)により開発されており,同社のEL3システム
に使用されている。その技術は1983.03.08付けで公告の
米国特許No.4376249に開示されている。
VLA磁気対物レンズの内部には,二組の偏向コイル
と,二組の補償偏向コイル(又は光軸シフトコイル)が
設けられており,これらのコイルは電気的に直列に接続
されていて同時に活性化される。磁気対物レンズの光軸
は前記補償コイルにより元来の光軸と平行にシフトさ
れ,二組の偏向コイルでウエファ表面に垂直方向,即
ち、磁気対物レンズの光軸と平行に二重偏向された電子
ビームが常にシフトされた磁気対物レンズの光軸上に一
致してあるように制御されている。電子ビームは常に磁
気対物レンズの光軸上にあるために,コマ収差や色収差
が効果的に排除される。
一方,ウエファはX−Y方向に移動可能なステージ上
に搭載されている。ステージが金属製の層を含む時は,
磁気対物レンズの最下部にある補償コイルから放出され
た漏洩磁束がウエファを貫通してステージに達するとス
テージ内に渦電流が発生する。前記のとおり,磁気対物
レンズの下部のポールピースは円形のボァを有するので
この漏洩磁束がステージに入射するのは避けられず,一
旦ステージが移動すれば,必ずステージ内には渦電流が
発生し,磁気対物レンズの電子ビーム収束作用を損な
う。
上述の最下部の補償コイルを除き,かつ上述の渦電流
を含む外部磁束の影響を遮断するために,IBM社よりVAIL
(Variable axis immersion lens)が開発され、1985.
10.01に米国特許No.4544846に開示されている。VAILに
はフェライト製のボァのない下部ポールピースが設けら
れており,処理されるべきウエファは下部ポールピース
の上に位置し,磁気対物レンズ内に包まれて配置されて
いる。ウエファは磁気対物レンズの磁束内に浸漬された
形となり,磁気対物レンズのポールピースは磁束を閉じ
込める磁気ケージの効果を果たしている。下部ポールピ
ースは強磁性体のフェライト製であるため磁気対物レン
ズ内の磁束は該ポールピースに垂直に入っている。その
結果磁気対物レンズに進入した電子ビームもまたポール
ピースに垂直,即ち、ウエファに垂直に投射することに
なりパターンの歪みを少なくすることが出来る。然しVA
ILの構造でもウエファを連続移動させようとすれば,忽
ち下部ポールピース内に渦電流が発生し前記の問題を起
こすので,本発明のようなステージ連続移動型の電子ビ
ーム露光装置には使用出来ない。
尚,上述のVAL及びVAILに関しては,更にH.C.Pfeiffe
rによりMICROCIRCUIT ENGINEERING.ISBN,012 345750 5,
の72-81ページに報告されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は以上に詳細に述べた従来の電子ビーム露光装
置の磁気対物レンズが有する欠点を改良することをその
課題とするものである。即ち、従来の磁気対物レンズの
下部ポールピースのボァが回転軸対称な円形に形成され
ていることにより,該磁気対物レンズの内部に発生する
磁束が該円形ボァより外部に漏洩してウエファを搭載し
たステージに交差し,該ステージが移動する際に該ステ
ージ内に渦電流が発生して電子ビームの収束を損なう有
害な磁束を新たに発生するのを防止するための磁気対物
レンズの改良である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の電子ビーム露光装置は、電子放射手段と、こ
の電子放射手段から放射される電子を収束して電子ビー
ムに成形する電子収束手段と、この電子ビームを偏向さ
せる電子ビーム偏向手段および電子ビーム補償手段を有
する磁気対物レンズと、電子ビームを照射すべき被照射
物を搭載する移動可能なステージとから構成される電子
ビーム露光装置であって、この磁気対物レンズが、磁束
を発生するコイルと、磁性材からなる上部ポールピース
と、この被照射物に対向して配設されこの磁束を誘導す
る磁性材からなる下部ポールピースからなり、この下部
ポールピースが、この電子ビームの走査空間に対応する
部位に、この電子ビームを通過させることが可能な、こ
の電子ビームの走査方向に延伸して形成されたスリット
状のボアを有するように構成する。
〔作用〕
本発明の電子ビーム露光装置においては、磁気対物レ
ンズが、磁束を発生するコイルと、磁性材からなる上部
ポールピースと、この被照射物に対向して配設されこの
磁束を誘導する磁性材からなる下部ポールピースからな
り、この下部ポールピースが、この電子ビームの走査空
間に対応する部位に、この電子ビームを通過させること
が可能な、この電子ビームの走査方向に延伸して形成さ
れたスリット状のボアを有するから、中央電子計算機に
より制御される電子ビームは下部ポールピースに対向す
る被照射物の表面を走査でき、この磁気対物レンズから
漏洩する漏洩磁束はこの下部ポールピースのボア以外の
領域で遮蔽されるので、被照射物を搭載して移動させる
ステージに発生する渦電流を減少させることができ、電
子ビームの収束妨害作用を著しく抑制することが可能と
なる。
〔実施例〕
(a)本発明に基づく電子ビーム露光装置の説明 本発明に関する電子ビーム露光装置は,その磁気対物
レンズを除いては,本発明の発明者の安田が、電子露光
システムとその操作方法と題して,1982.12.07に公告さ
れた,米国特許No.4,362,942に開示し電子ビーム露光装
置と同一である。本発明においては磁気対物レンズが改
良されている。同装置は,ステップ.アンド.レピート
方式にもステージ連続移動方式にも使用できるが,本発
明では後者に限ることとする。
第1図は本発明に基づく一実施例の電子ビーム露光装
置を示す。電子銃Gから放射された電子は三つの収束レ
ンズ4と磁気対物レンズ9とにより収束されて電子ビー
ムBに形成される。該電子ビームBは磁気対物レンズ9
を通過してX−Y方向可動のステージ11に搭載された半
導体ウエファ10の所望の位置に投射される。ステージ1
1、従ってウエファ10はX方向に連続して移動してい
る。勿論,X,Y,Z方向は互いに直交しているものとする。
中央電子計算機CPU12のパターン信号の制御下で,電
子ビームBはビームブランキング手段(図示せず)によ
りON,OFFされ,矩形アパーチュア1により切られ,偏向
板2により偏向され,更に別の矩形アパーチュア3によ
り切られて矩形電子ビームに整形される。
パターン信号に対応して上述したように整形された矩
形電子ビームBは二組の偏向コイル対8a,8bと補償コイ
ル(軸シフトコイル)8cにより二重に偏向された後,ウ
エファ10の表面上の,例えば,100ミクロン角の目標とす
る第1区分領域のセンタ点に垂直に投射される。その
後,電子ビームBは副偏向板5により偏向され数種の矩
形パターンの組み合わせよりなるパターンを作る。副偏
向板5は静電気に制御されている。番号6と7とはそれ
ぞれスティグマトールコイルと収束コイルとを示す。
第1区分領域のパターン形成完了後,電子ビームBは
隣接する第2区分領域のセンター点に移動投射され,引
き続いて中央電子計算機CPU12の制御下で該領域のパタ
ーン形成が同様な方法で行われる。このようにして,例
えば20個のY方向に配列した各区分領域のパターン形成
が完了する。即ち、幅100ミクロン,長さ2mmのリボン状
の領域のパターン形成が完了する。従って,Y方向が主走
査方向であるといえる。以降は走査方向といえば,それ
は上述の主走査方向を指すものとする。
その後,電子ビームBは第一区分領域のX方向に隣接
した新しい区分領域に戻される。このようにして,ウエ
ファ10上に,例えば,幅2mmのX方向に延伸した縞状の
領域の全領域に電子ビームBに照射される。ついで電子
ビーム投射は隣接した幅2mmの縞状領域に移動して,上
述の工程が反復して行われる。
上述の例においては、電子ビームBの走査は、Y方向
には2mmのスパンに限定され,X方向には別の狭いスパン
の100ミクロンの幅に限定される。上述の走査スパンは
Y方向に著しく長く,X方向に短いので,電子ビームBの
走査空間はY方向に延伸した細長い領域にあるというこ
とになる。電子ビームBの投射方向に垂直な上述の走査
空間の断面は,上述の例では幅2mmと100ミクロンのY方
向に延伸した細長い矩形の形をしている。
ステージ11は極めて頑丈かつ精密な機構をもち、モー
タ(図示せず)によりX−Y両方向に移動可能である。
ステージ11上に搭載されたウエファ10はパターン信号に
応じて正確且つ安定に移動出来る。一方ステージ11は連
続的にX方向に移動しているので,その上に搭載されて
いるウエファ10の移動はパターン信号による移動と連続
した移動とが重畳したものとなる。前記ステージ11上の
ウエファ10の実際の空間座標位置はレーザ干渉計17で検
知され、絶えず,中央電子計算機CPU12に帰還され、電
子ビームBの投射位置をその瞬間のパターン信号に対応
するよう連続的に修正している。他の構成要素、例え
ば,コイル6,7,メモリ13,16,レジスタ14,加算器15,コン
バータ18,サブスクラプター19,増幅器21,24は安田の米
国特許のNo.4362942に述べられているのでここでは省略
する。
(b)移動するステージ内の渦電流の発生機構先に進む
前に,前述の移動中のステージに交差する磁束でステー
ジ内に発生する渦電流の発生機構とその有害効果につい
て詳しく述べよう。
第7図は従来の電子ビーム露光装置の磁気対物レンズ
の構造を示す要部断面図である。磁気対物レンズはZ方
向に延伸する軸Aの廻りに軸対称に構成されており,上
部ポールピース101a,これに空間101cを隔てて対向して
いる下部ポールピース101b,ポールピース101a,101bを囲
み磁束を発生するコイル102,コイル102を包囲し磁束が
磁気対物レンズの外へ漏洩するのを防ぐシールド105,X
−Y方向に移動可能なステージ107,及びY方向に電子ビ
ームBを偏向するコイル104で構成されている。ステー
ジ107はステージ107を駆動する複雑な機構を有するが簡
単のために単なるプレートで表現されている。
コイル102で発生された磁束はポールピース102a,102b
を通過して磁気対物レンズ内部に放射し,空間101cの近
傍に磁気レンズを形成する。磁気対物レンズ外に漏洩す
る磁束は磁気シールド105で遮断され,内部に放射され
た磁束はポールピース102a,102bの内壁に終端する。か
くして磁束は原則的には磁気対物レンズ内に閉じ込めら
れるはずであるが,両ポールピース102a,102bには電子
ビームBを通過させるための円形のボア103a,103bが形
成されている。その結果,磁束はボァ103bを経て下方に
漏洩しステージ107と交差する。
ステージ107は,例えば,セラミックのような電気絶
縁体で形成されてはいるが,電荷が溜まるのを防止する
ためにその表面は金属の蒸着層で覆われている。その結
果,交差する磁束のためにステージ107が移動すると渦
電流が金属層に発生する。さらに,ステージ107の下部
に設けられた駆動機構は通例は金属製であるので,該機
構が動くとここにも渦電流が発生し,この渦電流が電子
ビームBの収束を妨げる有害な磁束を新たに発生させ
る。
第8図は第7図に示した従来の磁気対物レンズの部分
破断斜視図で,ステージ107,ポールピース101a,101bの
みが示されてウエファは図示されていない。電子ビーム
Bは走査しない時は中正点P0に照射されており走査動作
に入るとP1,P2の両点の間を往復して走査する。第8図
に示すように漏洩磁束111(点線で示す)は円形ボァ103
bから漏れてステージ107と交差する。前に述べた通り,
ボァ103bの形が円形であるのは電子ビームB(実線で示
す)を通過させX−Y方向に走査させるとともに,磁気
対物レンズを軸Aの廻りに回転軸対称に設計してレンズ
の収差を除去しようとする意図から採用された形式であ
る。ステージ107が矢印107aで示すようにX方向に移動
すると,ステージ107に交差する磁束が増加する部分106
aと,減少する部分106bとが発生する。かかる部分的な
磁束密度の変化は互いに反対方向に回転する渦電流112
a,112bをそれぞれ部分106a,106bに発生させる。その結
果,部分106aから部分106bに達する新たな磁束110が電
子ビームBの経路と交差しながら発生する。
この新たな磁束110の為に,電子ビームBはY方向に
偏向される。厳密にいえば,電子ビームBの偏向はY方
向のみではなく,微量ではあるがX方向にも偏向され
る。磁束110によるこれらの電子ビームBの偏向は中央
電子ビーム露光装置CPUの制御外のもので,如何なる場
合でも電子ビームBの収束を乱しウエファ(図示せず)
上に描かれる回路パターンの歪みをもたらす。本発明は
上述のステージ107内に発生する渦電流を低減せんとす
るものである。
(c)本発明に基づく磁気対物レンズの説明 第2図は本発明に基づく磁気対物レンズの要部断面図
であり,第3図は第2図に示す磁気対物レンズの下部ポ
ールピースの平面図である。第2図および第4図に示す
磁気対物レンズは、中心軸Aを中心とする回転軸対称構
造となっている。
本発明に基づく磁気対物レンズは,上部ポールピース
31a,下部ポールピース31b,コイル90,外部シールド50か
ら構成されている。更に,電子ビームBをY方向に二重
(二回)偏向するための偏向コイル対34a,34b,磁気対物
レンズのレンズ軸を平行移動させるための補償コイル34
cがポールピース31aの内部に設けられている。下部ポー
ルピース31bはステージ11に搭載されたウエファ(図示
せず)に対向している。ステージ11は従来のものと同様
に金属層で表面を被覆されたセラミック製の板であり,
駆動機構(図示せず)によりX−Y方向に移動可能であ
る。
第2図に示す磁気対物レンズの大部分の構造は第7図
に示す従来の磁気対物レンズと同一であるが,第3図の
平面図でより明らかなように,下部ポールピースに開口
されたボァの形が従来例と全く異なる。即ち、第3図に
示す本発明に基づくボァ33bは幅Wと長さLを有する細
長い矩形,あるいはスリット状,であるのに対し,第8
図に示す従来のポールピースのボァ103bは円形である。
ボァ33bの寸法,位置,及び配置方向は,ボァ33bが走査
中の電子ビームBの通過を許すと同時に,磁気対物レン
ズ内の磁束の大部分が出来る丈多く下部ポールピース31
bによつて遮られステージ11に交差しないように決めら
れる。例えば,所定の走査スパンが2mmで区分領域が100
ミクロン角の場合には,ボァ33bの上述の寸法は,L=20
〜40mm,L=4〜6mmである。スリット状のボァ33bの寸法
が走査空間のそれに比して大きいのは下部ポールピース
31bの材料として強磁性で残留磁気ヒステリシスが小さ
いが機械加工性におとるフェライトを使用しているから
である。
第4図は第2図に示す磁気対物レンズの要部一部断面
図を含む斜視図で,電子ビームBと磁気対物レンズの要
部部分との位置関係を示すものである。上方より投射さ
れた電子ビームBはコイル対34a,34bにより二重偏向さ
れ軸Aに平行にかつ軸Aよりずれて下部ポールピース31
bに投射する。磁気対物レンズはコイル90,ポールピース
31a,31bにより成形されるが,補償コイル34cにより電子
ビームBの偏向と同時にこれに連動して偏向された電子
ビームBの経路と一致するようにシフトされる。以上の
各コイルの制御は図示せれていない中央電子計算機(CP
U)で行われる。
その結果電子ビームBはスリット状のボァ33bを通過
し,磁気対物レンズの収差を受けることなく,垂直にウ
エファ(図示せず)に投射する。以上の点丈でみれば従
来のVAL,またはVAIL系の磁気対物レンズと同様な効果が
あるものといえる。
然し本発明に基づく電子ビーム露光装置においてはす
でに述べたようにステージ11はX方向に絶えず連続的に
移動しているのであるから,ステージ11に交差する磁束
に注目する必要がある。
第5図(a)及び(b)はそれぞれスリット状のボァ
33bのX方向及びY方向の部分拡大断面図であつて,磁
気対物レンズ内から放射された磁束40の分布状態を示す
ものである。磁束40の大部分は下部ポールピース31bに
遮断吸収されている。
一方,ボァ33bに投射した磁束40の中,極めて僅かな
磁束40aはスリット状ボァ33bを通過してウエファ10上に
投射し,磁束40の他のかなりの部分は,ポールピース31
bの表面に垂直なボァ33bの側壁に吸収されるのが第5図
(b)に表示されている。これは本発明に基づいて形成
されたスリット状ボァ33bの特異な機能である。
以上の記述においては第4のコイル,即ち、第2の補
償コイルがないが,第5図(a)の長手方向のボァ33b
の側壁33d上に電子ビームBの偏向方向,即ち、Y方向
偏向をさせるための補償コイルを設けることが出来る。
第6図は上述の構造を示す斜視図であって,下部ポー
ルピース31bに設けられたスリット状ボァ33bの長手方向
側壁33d上に補償コイル対35を配設した模様を示してい
る。補償コイル35は数ターンの銅線で形成されていて、
前述のように電子ビームBの偏向に同期して駆動され,
一層電子ビームBの収束を促進する。
上述の各実施例においては,電子ビームBは磁気レン
ズ系の光軸Xと一方向,例えば,Y軸方向を含む平面内で
偏向,即ち、走査動作をするものとしたが必ずしもこれ
に限らず,被走査領域がX−Y二方向に二次元的に展開
している場合でも,本発明が適用可能であることは,当
該分野に関連する当業者には明らかなことである。即
ち、下部ポールピースのボァの開口部の形を,該被走査
領域を含み,かつボァを加工技術の許す限り狭い形で形
成し,ボァを通じて電子ビームを投射すると同時に,磁
気対物レンズ内から投射する磁束を出来るだけ下部ポー
ルピースで遮断して,移動するステージ内に発生する渦
電流を減殺し電子ビームの収束を向上する,磁気対物レ
ンズの構造が形成可能である。
また,上述の各実施例においては、電子ビーム露光装
置の露光中にはステージは絶えず一方向に移動している
ステージ連続移動方式について述べたが,本発明はまた
ステージが間欠的に移動する電子ビーム露光方式にも適
用可能であることは明らかである。即ち、ステージが移
動する限り,それが連続的であろうと間欠的であろう
と,磁束がステージに交差していれば渦電流がステージ
内に発生する。本発明に基づく下部ポールピースに設け
たボァの形を採用すれば,この渦電流は効果的に減殺出
来るからである。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように,本発明に基づく電子
ビーム露光装置の磁気レンズ系に使用される磁気対物レ
ンズから,例えば,半導体ウエファのような被露光対象
物方向へ漏洩する磁束が最小限に抑制減殺されるので,
該対象物を搭載しているステージ内に該ステージの移動
に伴い発生する渦電流が著しく減少する。その結果,該
渦電流で発生される有害な中央電子計算機の制御外の磁
束が減少し、磁気レンズ系で収束されている電子ビーム
の収束度を低下させるという従来の問題が解消され,該
電子ビーム露光装置により極めて正確且つ高解像度の回
路パターンをウエファ等の半導体対象物上に容易に描く
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に基づく一実施例の電子ビーム露光装
置, 第2図は本発明に基づく磁気対物レンズの要部断面図, 第3図は第2図に示す磁気対物レンズの下部ポールピー
スの平面図, 第4図は第2図に示す磁気対物レンズの要部一部断面図
を含む斜視図, 第5図(a)及び(b)はそれぞれスリット状のボァ33
bのX方向及びY方向の部分拡大断面図, 第6図はボァ133bの側壁に設けられた補償コイルの構造
を示す斜視図, 第7図は従来の電子ビーム露光装置の磁気対物レンズの
構造を示す要部断面図, 第8図は第7図に示した従来の磁気対物レンズの部分破
断斜視図である。 図において、 8a,8b,34a,34b……偏向コイル,8c,34c,35……補償コイ
ル,10……半導体ウエファ,11,107……ステージ,31a,101
a……上部ポールピース,31b,101b……下部ポールピー
ス,33b,103b……ボァ,40,40a……磁束,50、105……外部
シールド,90,102……レンズコイル,A……磁気レンズ系
光軸,B……電子ビーム をそれぞれ示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子放射手段と、該電子放射手段から放射
    される電子を収束して電子ビームに成形する電子収束手
    段と、該電子ビームを偏向させる電子ビーム偏向手段お
    よび電子ビーム補償手段を有する磁気対物レンズと、電
    子ビームを照射すべき被照射物を搭載する移動可能なス
    テージとから構成される電子ビーム露光装置であって、 前記磁気対物レンズが、磁束を発生するコイルと、磁性
    材からなる上部ポールピースと、前記被照射物に対向し
    て配設され前記磁束を誘導する磁性材からなる下部ポー
    ルピースからなり、 該下部ポールピースが、前記電子ビームの走査空間に対
    応する部位に、前記電子ビームを通過させることが可能
    な、前記電子ビームの走査方向に延伸して形成されたス
    リット状のボアを有する ことを特徴とする電子ビーム露光装置。
  2. 【請求項2】前記電子ビームの走査方向と前記ステージ
    の移動方向が直交していることを特徴とする請求項1記
    載の電子ビーム露光装置。
  3. 【請求項3】前記下部ポールピースに設けられた前記ボ
    アの形状が、前記電子ビームの走査方向に延伸している
    矩形状であることを特徴とする請求項1記載の電子ビー
    ム露光装置。
  4. 【請求項4】前記被照射物が半導体ウエファであること
    を特徴とする請求項1記載の電子ビーム露光装置。
  5. 【請求項5】前記被照射物に対向して設けられた前記下
    部ポールピースに、前記の限定された電子ビームの走査
    空間に対応して前記電子ビームを通過させるように限定
    して開口されたボアを有し、少なくとも一方向に延伸す
    る限定された走査空間内に電子ビームを走査し、移動中
    のステージに搭載された被照射物に前記電子ビームを照
    射する電子ビーム露光装置を用いる電子ビーム露光方法
    であって、 前記ボア形成領域を除く前記下部ポールピースにより、
    前記磁気対物レンズから漏洩する不要な磁束を遮蔽する
    ことを特徴とする電子ビーム露光装置。
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