JP2707407B2 - 骨マトリックス合成促進剤 - Google Patents

骨マトリックス合成促進剤

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JP2707407B2
JP2707407B2 JP6049764A JP4976494A JP2707407B2 JP 2707407 B2 JP2707407 B2 JP 2707407B2 JP 6049764 A JP6049764 A JP 6049764A JP 4976494 A JP4976494 A JP 4976494A JP 2707407 B2 JP2707407 B2 JP 2707407B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱ショックタンパク質
(heat shock protein;略称はHS
P)を有効成分として含有する骨マトリックス合成促進
剤に関する。本発明による骨マトリックス合成促進剤に
よれば、特に骨芽細胞からのコラーゲンの合成を促進す
ることにより、骨マトリックス産生の低下の病態を示す
病気、例えば骨粗鬆症の患者の生理学的状態を有効に改
善し、骨粗鬆症などの骨マトリックス産生の低下の病態
を示す病気を効果的に治療することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、細胞外マトリックス産生の低下の
病態を示す病気が大きな問題となっている。ここで言う
細胞外マトリックス産生の低下の病態を示す病気とは、
例えば骨組織における骨粗鬆症を含む。骨組織は、生化
学的には、有機成分であるマトリックスと、無機質(ミ
ネラル)であるカルシウム−リンの骨塩(大部分はハイ
ドロキシアパタイト)とから構成されている。骨マトリ
ックスの約90%はコラーゲンからなる。
【0003】コラーゲンは生体の全タンパク質の約25
〜30%を占め、分子量約30万、長さ約280nm、
直径約1.5nmのロープ状の分子であり、特殊な螺旋
構造を有している。その構成アミノ酸は、約30%がグ
リシン、約20%がプロリン又はハイドロキシプロリン
である。骨のコラーゲンは、大部分がI型コラーゲン
で、骨組織の中で最も多いタンパク質である。
【0004】骨組織は、一生を通じて絶え間なく改変
(リモデリング)を続け、骨芽細胞による骨形成と破骨
細胞による骨吸収により改変されている。骨形成の基本
は、まず骨の細胞が出現し、次いで、コラーゲンなど、
骨のマトリックス形成が起こり、最後にミネラルが沈着
する、という順序で進行する。骨吸収過程はこの逆であ
り、その繰り返しがリモデリングである。骨形成過程に
おいて骨芽細胞はコラーゲンを主成分とするマトリック
スを産生し、そのホールゾーンにおける石灰化が骨形成
の中心的現象であると考えられている。そして骨芽細胞
により産生されたコラーゲンは架橋結合が導入されるこ
とにより石灰化マトリックスとして機能的に完成する。
【0005】コラーゲンが骨の形成に必須の役割を演じ
ていることは、プロコラーゲン遺伝子の異常に基づくコ
ラーゲン合成の異常により生ずる骨形成不全症が存在し
(Biochem.J.,229巻,287頁,198
5年)、その骨はもろくて骨折を起こしやすいこと、ま
た骨の形成に重要な働きをするホルモンであり、その欠
乏が閉経後骨粗鬆症の主要な原因である、エストロゲン
のリセプターが骨芽細胞に存在し、エストロゲンにより
骨芽細胞の増殖やコラーゲン合成が促進されること(E
rnst M,Schmid Ch,Froesch
ER:Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,85巻:2307−2310頁,1988年)、な
どからも明らかである。
【0006】加齢における骨組織の変化は、成長期、成
熟期及び老齢期に大きく分けることができる。成熟期に
おいても、破骨細胞群による骨吸収と骨芽細胞群による
骨形成が絶えず繰り返され、その動的平衡の維持により
骨量及び形態が保たれている。しかしながら、骨形成よ
りも骨吸収が上回る状態になると骨の量は減少する。閉
経や老化とともに全身性にこのような状態になるのが退
行期骨粗鬆症である。
【0007】骨粗鬆症とは、全身又は局所での単位体積
当たりの骨組織に占める骨量の低下として定義され、骨
に穴がいっぱいできて、その構造が粗くなり、脆くなっ
た状態である。骨粗鬆症においては、骨のミネラルとマ
トリックスがともに量的に減少する。骨粗鬆症化状態
は、老化に伴って程度の差こそあれ存在しているが、疼
痛、変形又は骨折などが生じてきた際に、はじめて病的
状態として治療の対象になる。女性の場合は閉経後骨粗
鬆症が、男性の場合は70歳以降に発症する老人性骨粗
鬆症が問題となっている。
【0008】その治療の目的は、第一に骨折発生予防の
ための骨量維持あるいは増加をはかることであり、第二
に腰背部痛などの除痛である。現在、骨粗鬆症の治療又
は予防の指針としては、大別して2つの方向性が考えら
れている。すなわち、骨吸収の抑制による骨量減少の防
止、及び、骨形成の促進による骨量の増加である。骨吸
収抑制剤としては、カルシウム製剤、エストロゲン、カ
ルシトニン又はイブリフラボンを挙げることができ、骨
活性化又は骨形成促進剤としては活性型ビタミンD3
挙げることができる。しかしながら、骨吸収の抑制は、
骨改変の抑制、すなわち、力学的負荷に対する骨の適合
反応の抑制を伴うことが危惧され、骨折率を低下させる
ことができるかどうかは疑わしい。一方、骨形成の促進
による骨量増加はこの点でより望ましい治療方向と考え
られるが、骨形成を促進する手段(治療薬)は少ない。
【0009】このように、骨粗鬆症の診断ならびにそれ
らに基づく治療は、徐々に改善されてはいるものの、い
まだ根本的な治療法に到達していない。日本における退
行期骨粗鬆症の患者数は、現在でも既に約500万人に
のぼり、代謝性骨疾患のなかで最も多く見られる疾患で
あり、今後の高齢化社会の到来とともにさらにその発生
頻度が増加すると予測される。骨粗鬆症はそれによって
もたらされる骨の脆弱性により、わずかな外傷で脊椎圧
迫骨折、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨外科
頸骨折をおこし、日常生活動作の障害や歩行能力の喪失
をきたしやすくなる。特に大腿骨近位部骨折は寝たきり
老人となる原因ともなり、生命予後に直接影響しうる。
骨粗鬆症を原因として発症する大腿骨頸部骨折患者数
は、全国で現在、年間4〜5万人発生していると考えら
れているが、老人の増加に伴い、今後30年間で患者数
が3倍以上になるものと予想されている。従って、骨形
成を促進する優れた新しい治療法の出現が望まれてい
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、骨粗
鬆症などでは骨形成の著しく減少した病態が主病変であ
り、骨形成においてはコラーゲン生合成が必須の役割を
演じている。そして、骨形成過程においてコラーゲンを
主成分とするマトリックスを産生する中心的役割を担っ
ているのは骨芽細胞である。従って、骨芽細胞における
コラーゲンの生合成を促進させれば骨マトリックスの形
成が促進され、骨粗鬆症などの骨マトリックス産生の低
下の病態を示す病気は改善されることになる。
【0011】本発明者は、意外にも、熱ショックタンパ
ク質(HSP:ストレスタンパク質ともいう)が、骨芽
細胞におけるプロコラーゲンの合成を特異的に促進する
ことを見出した。本発明はこうした知見に基づくもので
あり、骨粗鬆症などの骨マトリックス産生の低下の病態
を示す病気の患者の生理学的状態を有効に改善し、骨粗
鬆症などの骨マトリックス産生の低下の病態を示す病気
を効果的に治療することのできる骨マトリックス合成促
進剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、熱
ショックタンパク質(HSP)を含有することを特徴と
する、骨マトリックス合成促進剤に関する。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。H
SPは、高温条件又は他のストレスをかけたときに細胞
から産生されるタンパク質群の総称である。本発明で
は、任意のHSPを用いることができるが、例えば、哺
乳類(例えば、ヒト、ラット、マウスなど)由来のHS
Pが、免疫性の点で好ましい。また、分子量50キロダ
ルトン以下の低分子HSP、例えば、分子量5〜50キ
ロダルトンの低分子HSPを用いるのが好ましく、特に
はHSP47を用いるのが好ましい。HSP47は、永
田などによって1986年に発見されたタンパク質であ
り、分子量47キロダルトンの塩基性タンパク質(pI
=9.0)である。なお、分子量が5〜50キロダルト
ンの範囲内の低分子HSPは、調製法が容易なので好ま
しい。
【0014】本発明の骨マトリックス合成促進剤は、有
効成分としてのHSPの他に、製剤上許容することので
きる担体、例えば賦形剤、結合剤、保存剤、安定化剤及
び/又は着香料などを含有させて、慣用の調製方法によ
って製剤化することができる。
【0015】本発明の骨マトリックス合成促進剤の投与
方法は、経口及び非経口的のいずれの方法によってもよ
い。非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内な
ど)、直腸投与などが例示される。これらのなかで、注
射による投与が最も好適である。投与剤形は、当業界で
公知の任意の剤形とすることができ、例えば経口投与用
としては粉末、顆粒、錠剤又はカプセル剤などが、非経
口投与用としては注射剤又は坐薬などがそれぞれ例示さ
れる。これらのなかで注射剤が最も好適に用いられる。
前記の投与以外にも、骨芽細胞へHSP遺伝子を導入
し、HSPの発現を促進させることによっても、同様の
効果を得ることができる。
【0016】例えば注射剤の調製においては、有効成分
としてのHSPの他に、例えば生理食塩水、滅菌水リン
ゲル液などの水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステルなど
の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウムなどの等張
化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化
剤などを任意に用いることができる。具体的に一例を示
すと、HSP47(10mg)とマンニトール(50m
g)とを蒸留水に溶解して10mlとし、常法で除菌し
た後、溶液2mlづつを注射用小瓶に分注し、又はその
まま凍結乾燥して注射剤とする。使用に際して、生理食
塩水で希釈して注射液とすることができる。
【0017】本発明の骨マトリックス合成促進剤は、H
SPを製剤中に一般に0.01〜90重量%、好ましく
は0.1〜60重量%の割合で含有することができる。
また、本発明の骨マトリックス合成促進剤の投与量は、
患者の年齢、症状の程度などにより異なり、有効量であ
る限り特に限定されないが、通常、成人につき1日当た
り、HSP47量として、0.01〜3000mg、好
ましくは0.1〜500mg程度である。そして、本発
明の骨マトリックス合成促進剤は、1日数回、例えば1
〜4回程度に分けて投与することができる。なお、HS
P、特にHSP47に毒性は認められない。
【0018】
【作用】上記したように、HSP(特にHSP47)に
は、骨芽細胞のプロコラーゲン合成を特異的に促進する
作用があるので、HSPを投与すると骨芽細胞でのコラ
ーゲン生合成が特異的に増加し、骨マトリックスの形成
が促進される。その結果、骨形成も促進されることにな
る。従って、HSPは、コラーゲンの減少を伴う骨マト
リックス産生低下の病態を示す病気、例えば骨粗鬆症な
どの予防及び治療に使用することができ、高度に成立し
た骨粗鬆症などの骨疾患も治療することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。骨芽細胞において、プロリンのタンパク質への取り
込み活性が、コラーゲン合成に比例することが知られて
いるので、以下の実施例においてタンパク質の合成は、
プロリンの取り込み活性を測定することにより評価し
た。
【0020】調製例1:HSP47の精製 1日齢のC57BLマウスを屠殺し、頭部と内臓を除去
した後、0.25Mスクロース、5mM−EDTA、2
mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、2mM−
N−エチルマレイミド(Sigma Chemical
Co.)、1μg/mlロイペプチン(Boehri
nger Mannheim Biochemical
s)、及び1μg/mlペプスタチンA(Boehri
ngerMannheim Biochemical
s)を含む10mMトリス−HCl(pH7.5)45
0ml中で、4℃にて3分間、最高速度でホモジナイザ
ー(Polytron)でホモジナイズした。
【0021】続いて、以下の操作も全て4℃で行った。
得られたホモジネートを遠心分離(15分間;4200
g)した。粗膜画分を得るために、上清溶液を超遠心分
離(1時間;150000g)した。得られたペレット
を、1%オクチルフェノキシポリエトキシエタノール
(Nonidet P−40)、50mMトリス−HC
l(pH8.0)、0.15M−NaClと5mM−E
DTA、2mMフェニルメチルスルホニルフルオライ
ド、2mM−N−エチルマレイミド、1μg/mlロイ
ペプチン及び1μg/mlペプスタチンAを含む抽出バ
ッファー125mlに再懸濁し、ホモジナイザー(Do
unce)で処理し、得られたホモジネートを1時間、
静かに攪拌した。抽出液を超遠心分離(1時間;150
000g)し、膜抽出液として上清溶液を得た。
【0022】膜抽出液をgelatin−Sephar
ose 4B(PharmaciaFine Chem
icals)と30〜40(v/v)%懸濁液となるよ
う混合した。混合液を4℃で16時間、十分に攪拌し
た。その膜抽出液を含むgelatin−Sephar
ose懸濁液を2.5cm直径のカラムに詰め込み、1
0ベッド・ボリュームの、40mMオクチル−β−D−
グルコピラノシド(Sigma Chemical C
o.)、0.4M−NaCl、5mM−EDTA、2m
Mフェニルメチルスルホニルフルオライド、2mM−N
−エチルマレイミド、1μg/mlロイペプチン及び1
μg/mlペプスタチンAを含む50mMトリス−HC
l(pH8.0)で洗浄した。HSP47は、gela
tin−Sepharose 4Bカラムより、40m
Mオクチル−β−D−グルコピラノシド、0.15M−
NaCl、5mM−EDTA、2mMフェニルメチルス
ルホニルフルオライド、1μg/mlロイペプチン及び
1μg/mlペプスタチンAを含む50mMトリス−H
Clを用いて、pHを6.3に下げることにより溶出し
た。さらに、プレパラティブSDS/PAGEにより精
製した。47キロダルトンのバンドは染料(Cooma
ssie brilliant blue)で染色して
切り取り、電気泳動で溶出し、0.1(w/v)%SD
Sを含む蒸留水で透析した。
【0023】調製例2 調製例1にて製造したHSP47を、以下のようにして
ラット骨芽肉腫由来骨芽細胞様細胞株UMR−106細
胞へ細胞内導入し、UMR−106細胞内におけるコラ
ーゲン産生量を測定した。(1)UMR−106細胞の培養 UMR−106細胞(大日本製薬)を75cm2 フラス
コに約1.0×104/cm2 の密度で播種した。UM
R−106細胞を37℃でCO2 インキュベータ中で、
10%牛胎児血清(FBS;Sera−Lab)、1
4.3mM−NaHCO3 、1.2mMグルタミン(日
水製薬)、100U/mlペニシリン(GIBCO)及
び0.1mg/mlストレプトマイシン(GIBCO)
を含むダルベッコ変性イーグル(DME)とF−12の
混合(DME/F−12,1:1)培地で細胞を、コン
フルエントになるまで培養した。その後、1.0%ウシ
血清アルブミン(BSA;生化学工業)を含む血清不含
培地に交換して24時間培養し、細胞を収集した。
【0024】(2)UMR−106細胞内へのHSP4
7の注入 赤血球ゴースト法による細胞融合にて、UMR−106
細胞内へHSP47を注入した。すなわち、ヒト赤血球
をK+ 溶液(160mM−KCl及び20mMトリシン
−NaOHバッファー;pH7.4)で3回洗浄した。
チトクロームc(200μg)、HSP47(0.5m
g)及び35%(v/v)赤血球K+ 溶液との混合液
0.5mlを、4℃で1時間、40mM−KClと10
mMトリシン−NaOHバッファー(pH7.4)との
溶液250mlに対して透析した。2.2M−KClと
20mM−MgCl2 とを含む溶液を0.05倍当量加
え、ゴースト懸濁液を37℃で30分間インキュベート
した。この段階で、ゴーストを4℃で一晩、放置した。
【0025】HSP47内包赤血球ゴーストをK+ 溶液
で3回洗浄し、UMR−106細胞と融合した。すなわ
ち、Na+ 溶液(160mM−NaCl及び20mMト
リシン−NaOHバッファー;pH7.4)6.0ml
中のUMR−106細胞2×107 個に、0.08mM
−La(NO33 を加え、続いて1.5×109 個の
HSP47内包赤血球ゴーストを加えた。センダイウイ
ルスは400HAU/mlの濃度まで加え、0℃で5分
間静置し、続いて37℃で45分間、静かに振盪しなが
らインキュベートした。細胞を培地と共に遠心(5分
間;150g)し、融合した細胞からゴーストを除去し
た。この融合細胞、ならびにコントロールとしてHSP
47を注入していないUMR−106細胞を用い、以下
の薬理試験例にて、DNA合成量、コラーゲン合成量及
び非コラーゲン性タンパク質合成量を測定した。
【0026】薬理試験例 (1)DNA合成量の測定 DNA合成は〔3 H〕チミジンの2時間取り込み量で測
定した。1.0%BSAを含む血清不含培地中で、〔メ
チル−3 H〕−チミジン(1μCi/ml)及び非標識
のチミジン(5μM)を加え、融合細胞及びコントロー
ル細胞をインキュベートした。2時間インキュベーショ
ンした後、培地を除去し、氷冷したリン緩衝生理食塩水
(PBS)で3回細胞層を洗い、細胞を集めた。冷やし
たトリクロロ酢酸でDNAを沈殿させた(最終濃度:1
0%)。そして、沈殿物を0.2N−NaOHで溶解
し、放射能活性を測定した。
【0027】(2)コラーゲン合成量、及び非コラーゲ
ン性タンパク質合成量の測定 細胞を〔3 H〕プロリン存在下で2時間培養し、タンパ
ク質合成量を測定した。コラーゲンは、以下に述べるよ
うに、バクテリアコラゲナーゼ法により測定した。コラ
ーゲン合成の割合(%)は、コラーゲンが他のタンパク
質より5.4倍のイミノ酸を含むことによる補正を行っ
た。1.0%BSA、80μg/ml−β−アミノプロ
ピオニトリル及び100μg/mlアスコルビン酸とを
含む血清不含培地中で、L−〔2,3−3 H〕プロリン
及び非標識プロリンをそれぞれ最終濃度が3μCi/m
l及び1μMとなるように培地に加えて、融合細胞及び
コントロール細胞を2時間インキュベーションした。そ
の後、細胞及び培養液を氷で冷やしながら超音波処理し
た。超音波処理液に、10%トリクロロ酢酸を加えて沈
殿させ、その沈殿物を3回、10%トリクロロ酢酸で洗
った。
【0028】乾燥した沈殿物を0.1N−NaOHに
2.5mg/mlとなるように溶かし、時々振盪しなが
ら37℃で5分間、暖めた。0℃に冷却した後、この基
質溶液0.2mlを反応混合液〔N−エチルマレイミド
(1.25μモル)、CaCl2 (0.25μモル)、
及びセファデックスGカラムで精製したコラゲナーゼ
(26μg)からなる〕0.5mlと混合し、60μモ
ルのヘぺス(Hepes)バッファー(pH7.2)を
加えた。過剰のNaOHを0.08N−HCl(0.2
ml)で中和した。
【0029】37℃で振盪しながら90分間、インキュ
ベートした。反応は0.5%タンニン酸を含む10%ト
リクロロ酢酸0.5mlを加えることにより停止した。
0℃にて5分間静置し、4℃で遠心分離(5分間;40
0g)した。上清をカウント用バイアルに移した。沈殿
物を5%トリクロロ酢酸−0.25%タンニン酸0.5
mlに懸濁し、遠心分離した。得られた上清を上記の上
清と併せた。上清、及びアルカリに溶かした沈殿物を、
それぞれコラゲナーゼにより分解されるタンパク質(C
DP)すなわちコラーゲン、及びコラゲナーゼにより分
解されないタンパク質(NCP)すなわち非コラーゲン
性タンパク質として、放射能活性を測定した。放射能活
性の測定は、試料を液体シンチレーション計数用試薬
(AQUASOL−2;DuPont Cat.♯NE
F−952)5mlに溶かし、液体シンチレーションカ
ウンター(Beckman LS 3800)で計測し
た。結果を表1及び表2に示す。
【0030】
【表1】 UMR−106細胞でのDNA合成活性に対するHSP47注入の影響 3 H〕チミジン取り込み量 UMR−106細胞 (cpm/104 cells) 正常対照細胞 61.0 HSP47注入細胞 57.9
【0031】
【表2】UMR−106細胞でのコラーゲン合成活性・
非コラーゲン性 タンパク質合成活性に対するHSP47注入の影響 CDP NCP コラーゲン合成 UMR−106細胞 (cpm/104cells) (cpm/104cells) % 正常対照細胞 4.23 19.2 3.92 HSP47注入細胞 9.52 18.9 8.53
【0032】表1及び表2から明らかなように、UMR
−106細胞内へHSP47を注入したところ、DNA
及び非コラーゲン性タンパク質のいずれもがコントロー
ル細胞と比べてほとんどその含有量が変わらず、合成が
促進されなかったにもかかわらず、コラーゲンについて
はその含有量がコントロール細胞に比べて約2〜3倍と
なった。これらの実験は、HSP47を骨芽細胞に注入
してやることによって得られた結果であるが、このこと
は骨芽細胞がHSP47によりコラーゲンの産生を高め
ることを証明するものであり、HSP47が骨マトリッ
クス合成の促進に有効であることを示すものである。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によるHS
Pを有効成分として含有する骨マトリックス合成促進剤
は、骨粗鬆症などの骨疾患に罹患した骨芽細胞中にみら
れるコラーゲン合成減少を改善する作用を有する。従っ
て、本発明による骨マトリックス合成促進剤を投与する
ことにより骨粗鬆症などの骨マトリックス産生の低下の
病態を示す病気の患者の生理学的状態を有効に改善し、
骨粗鬆症などの骨マトリックス産生の低下の病態を示す
病気を効果的に治療することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特表 平4−502920(JP,A) 特表 平5−507908(JP,A) The Journal of Bi ological Chemistr y,Vol.265,No.2(1990)P. 992−999 化学と生物,Vol.28,No.10 (1990)P.626−627 生体の科学,Vol.39,No.4 (1988)P.270−274

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱ショックタンパク質(HSP)を含有
    することを特徴とする、骨マトリックス合成促進剤。
  2. 【請求項2】 熱ショックタンパク質(HSP)が分子
    量50キロダルトン以下の低分子HSPファミリーであ
    る、請求項1記載の骨マトリックス合成促進剤。
  3. 【請求項3】 熱ショックタンパク質(HSP)がHS
    P47である、請求項1記載の骨マトリックス合成促進
    剤。
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