JP2707242B2 - 投射型液晶表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はライトバルブ投射型表示装置に関する。さら
に詳しくは動画表示が可能な非光軸投射表示装置に関す
る。 〔従来の技術〕 液晶ライトバルブを用いた非光軸投射型表示装置はエ
スアイディー'83ダイジェスト36頁に記載のようにレー
ザー光でアドレシングを行ない、スメクチック液晶の熱
による相変化を生じさせ、画像形成を行なうものであ
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかるに前述の従来技術では、レーザー光によるアド
レス速度が遅く、さらにスメクチック液晶の応答が遅い
ため、動画に対応した高速の表示画像書き換えができな
かった。またレーザー光による書き込みが液晶パネルの
裏面から行なわれるために、ライトバルブ自身の構成が
厚みを必要とし走査系を含むため大がかりな装置を付属
していた。 そこで本発明はこのような問題点を解決するもので、
その目的とするところは、高速な応答を示し動画表示に
対応するコンパクトな投射型液晶表示装置を提供するこ
とにある。さらに、一般的な液晶装置では、電解印可に
伴う液晶の配向転移の角度依存性により、コントラスト
最大の方向（以下、明視方向と称する）が出現する。本
発明は、この明視方向を考慮することにより、また、不
要な反射光を排除することにより、コントラストの高い
カラー表示が可能な投射型液晶表示装置を提供すること
を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の投射型液晶表示装置は、光源と、前記光源か
ら出射される光の光軸上に配置され、前記光源からの光
を異なる複数の色光に分光する第１のダイクロイック光
学素子と、前記分光された複数の色光をそれぞれ変調す
る複数の透過型液晶ライトバルブと、前記複数の透過型
液晶ライトバルブから出射される各色光の光軸上に配置
され、前記複数の色光を合成する第２のダイクロイック
光学素子と、前記第２のダイクロイック光学素子により
合成された光の画像を結像する結像光学系と、を有し、
前記複数の透過型液晶ライトバルブは、その明視方向が
前記第１及び第２のダイクロイック光学素子間に形成さ
れる各色光の光束の光路と一致するよう、各透過型液晶
ライトバルブを透過する光束の中心軸に対し所定の角度
だけ傾けて配置され、前記結像光学系は、前記各透過型
液晶ライトバルブを透過する光束の中心軸によって規定
される面に対し、各透過型液晶ライトバルブの角度と同
じ傾き角を持って交差するように配置されたことを特徴
とする。 〔作用〕 本発明の上記の構成によれば、マトリクス型ライトバ
ルブにより電気的に瞬時にアドレスが可能となり、動画
等の高速な表示切換ができる。マトリクス型ライトバル
ブはそれ自体にアドレス手段を内蔵した平面型であるた
め、ライトバルブに画像を書き込むための走査、変調等
のシステムを必要としない。このため、装置全体を小
型，軽量にまとめることができる。また透過型のライト
バルブを用いることによって、電極と液晶、液晶と基
板、基板と大気との界面に由来する不要な反射光を投射
光から排除することができる。これは高価な反射防止膜
のコーティングに比べ効果が大きく、かつ簡便に行なえ
る方法である。このようにしてコントラストが向上し、
カラー表示の際の色表現特性等も向上する。さらに入
射，出射光の分離手段も本質的に不要となる。 〔原理〕 第１図は単純マトリクス型液晶ライトバルブを用いた
非光軸投射型表示装置の側面図である。液晶ライトバル
ブ102は結像レンズ101の光軸103からその中心が外れて
いる。破線107で示されるライトバルブ中心を通る中心
線上に投射像104、照明系レンズ105、光源106が配置さ
れている。非光軸光学系の特徴は、結像レンズの光軸に
垂直にスクリーン108、ライトバルブが配置され、ライ
トバルブの中心としたライトバルブ像の中心が光軸から
平行に移動していることにある。このため理想的な結像
レンズであれば、ライトバルブ像104は収差もなく完全
なライトバルブ形状を得ることができる。 第１図に示したような非光軸投射型表示装置におい
て、単純マトリクス型液晶ライトバルブとしては、ツイ
ストしたネマチック液晶（以下、TN液晶と略称する）
を、Ｘ−Ｙストライプ電極間に挟んだ液晶パネルを用い
ることができる。このような単純マトリクス型液晶ライ
トバルブでは、透過光線の方向に対し、コントラスト表
示特性が変化する。このコントラスト最大の方向（明視
方向）は液晶分子の配向方向に依存し、ライトバルブ面
に対し特定な斜め方向にある。そこで、第１図に示した
ような非光軸投射型表示装置において、光束の中心線10
7の方向に明視方向を合われば、コントラストの高い画
像を得ることが可能となる。TN液晶の表示特性について
は応用物理44巻（1975）866頁等、多くの報告がある。
これに類似する表示特性の方向依存性は、液晶が一軸性
の光学異方性を有するために生じるもので、他の表示モ
ードにも出現する。したがって他モードの場合にも本発
明は適用できる。 単純マトリクス型液晶ライトバルブは、市販の液晶テ
レビに応用されているように動画表示に十分対応でき
る。 この非光軸光学系によって投射表示装置を構成した場
合、第２図、第３図に示すような配置が可能となる。第
２図（ａ）は壁面に天井に取付けたフロント型投射表示
装置の例、第２図（ｂ）は床面から壁面に投射した配置
例である。201は投射表示装置、108は壁面に付設したス
クリーンである。前述したように本発明の非光軸投射表
示装置は、光軸上にない壁面のスクーリンに歪みなくマ
トリクス型ライトバルブ像を結像させることができる。
第３図はリア型投射表示装置の断面図である。第３図
（ａ）は本発明の非光軸投射表示の場合、第３図（ｂ）
は通常の光軸上にライトバルブ及びスクリーンが配置さ
れた投射表示装置の場合である。光路はミラー301によ
って折り返され、光路空間を減少させている。第３図
（ａ），（ｂ）を比較すると、分かるように本発明を用
いると装置全体の奥行きを減少させることができる。 〔実施例〕 本発明の実施例として、TFT液晶ライトバルブを用い
た投射型表示装置について説明する。 第４図はその斜視図である。内部の構成を分かりやす
くするため一番手前のミラー405は取り除かれ、破線で
示されている。101は結像レンズ、104は投射像である。 構成と作用を次に説明する。406はリフレクター付の
光源であり、ここから白色光ビームが、十字状に組み合
わされた色分解用ダイクロイックミラーに入射する。こ
のダイクロイックミラーは、青反射ダイクロイックミラ
ー402と赤反射ダイクロイックミラー403から成り、第４
図の場合、赤光線が紙面方向、青光線が手前方向、緑光
線が結像レンズ方向に分解され進行する。 次に、赤と青光線はミラー405によって、180゜方向が
変えられ、赤，青に対応したTFT液晶ライトバルブ401に
入射する。 緑光線は直進し、同じようにTFT液晶ライトバルブ401
に入射する。ここでTFT液晶ライトバルブは実施例１と
同様、表示面の中心が結像光学系の光軸103から外れ、
光軸に垂直な面内で平行移動している。ここで404は
赤，青，緑光を再合成するダイクロイックプリズムであ
り、誘電体ミラーを十字状に形成したキューブプリズム
である。作用は前述のダイクロイックミラーと同様な色
光分離を行なうものである。したがって、赤と青の光ビ
ームの中心軸は、このダイクロイックプリズムによって
緑の中心軸を90゜曲げたところに位置している。このた
め、赤と青に対するTFT液晶ライトバルブは、赤、青各
々の光束の中心軸に対し緑のTFT液晶ライトバルブと同
じ光学的位置関係を持つように傾斜して配置されてい
る。TFT液晶ライトバルブは本発明実施例の場合、TN液
晶モードを用いているために前述の明視方向が出現す
る。そこでミラー，プリズム等の光学系の偏向特性と明
視方向を考慮し、TFT液晶ライトバルブの出射側偏向板
の透過軸をほぼダイクロイックプリズムの交差辺方向に
合わせた配置とした。 このようにTFT液晶ライトバルブによって形成された
像光線はダイクロイックプリズムによって合成され、結
像レンズ101によってスクリーン上に結像する。 透過型TFT液晶ライトバルブは動画表示が可能な高コ
ントラスト画像を特徴とするため、本実施例の場合、色
再現性に優れたフルカラー投射表示を得ることができ
た。さらに実際の装置構成は実施例１の第２図，第３図
に示したようにフロント型、リア型の構成が可能であ
る。 〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明の投射型液晶表示装置によ
れば、光源と、前記光源から出射される光の光軸上に配
置され、前記光源からの光を異なる複数の色光に分光す
る第１のダイクロイック光学素子と、前記分光された複
数の色光をそれぞれ変調する複数の透過型液晶ライトバ
ルブと、前記複数の透過型液晶ライトバルブから出射さ
れる各色光の光軸上に配置され、前記複数の色光を合成
する第２のダイクロイック光学素子と、前記第２のダイ
クロイック光学素子により合成された光の画像を結像す
る結像光学系と、を有し、前記複数の透過型液晶ライト
バルブは、その明視方向が前記第１及び第２のダイクロ
イック光学素子間に形成される各色光の光束の光路と一
致するよう、各透過型液晶ライトバルブを透過する光束
の中心軸に対し所定の角度だけ傾けて配置され、前記結
像光学系は、前記各透過型液晶ライトバルブを透過する
光束の中心軸によって規定される面に対し、各透過型液
晶ライトバルブの角度と同じ傾き角を持って交差するよ
うに配置されたことにより、コンパクトな投射型液晶表
示装置を得ることが可能となる。さらに、明視方向を考
慮することにより、また、不要な反射光を排除すること
により、コントラストの高いカラー表示が可能な投射型
液晶表示装置を得ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の非光軸投射型表示装置の側面図であ
る。 第２図（ａ）は本発明のフロント投射型の天井設置例の
側面図、第２図（ｂ）は本発明の床面設置例の側面図で
ある。 第３図（ａ）は本発明の非光軸リア型投射表示装置の断
面図、第３図（ｂ）は光軸上にライトバルブが設置され
た従来の装置の断面図。 第４図は本発明のカラー投射表示装置の主要構成を示す
斜視図。 101……結像レンズ 102……液晶ライトバルブ 103……光軸 104……投射像 105……照明系レンズ 106……光源 107……投射光束の中心軸 201……投射表示装置 401……アクティブマトリクス型液晶ライトバルブ 402,403……ダイクロイックミラー 404……ダイクロイックプリズム

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．光源と、 前記光源から出射される光の光軸上に配置され、前記光
   源からの光を異なる複数の色光に分光する第１のダイク
   ロイック光学素子と、 前記分光された複数の色光をそれぞれ変調する複数の透
   過型液晶ライトバルブと、 前記複数の透過型液晶ライトバルブから出射される各色
   光の光軸上に配置され、前記複数の色光を合成する第２
   のダイクロイック光学素子と、 前記第２のダイクロイック光学素子により合成された光
   の画像を結像する結像光学系と、 を有し、 前記複数の透過型液晶ライトバルブは、 その明視方向が前記第１及び第２のダイクロイック光学
   素子間に形成される各色光の光束の光路と一致するよ
   う、各透過型液晶ライトバルブを透過する光束の中心軸
   に対し所定の角度だけ傾けて配置され、 前記結像光学系は、 前記各透過型液晶ライトバルブを透過する光束の中心軸
   によって規定される面に対し、各透過型液晶ライトバル
   ブの角度と同じ傾き角を持って交差するように配置され
   たことを特徴とする投射型液晶表示装置。