JP2704842B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば鉄道車両等に乗
物用座席として用いて好適な車両用シートに関し、更に
詳細に説明すると、車室床面上に固定された脚部にベー
スフレームが支持され、該ベースフレームに回動位置を
少なくとも２個所でロック可能な回動調整機構を介して
シート本体が回動調整可能に支持され、前記シート本体
がシートクッション及びその後端側にガスシリンダとピ
ストンロッドとを有するガスロック機構を有するリクラ
イニング装置を介して前後傾動可能に立設されたシート
バックからなるシートが複数縦列配列されてなる車両用
シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】電車等の乗物座席として使用されるシー
トは、電車の進行方向に応じて、あるいは着座者の好み
や要求に応じて、シートへの着座方向を任意に選択可能
とし得る方向回動構造が採用されている。

【０００３】即ち、この種の方向転換型の車両用シート
として最も一般的には、シートクッション下部で設置床
面上に設けた支持用台座に、シートバックを立設状態で
支える揺動アームを軸支し、この揺動アームを揺動動作
させ、シートバックを、シートクッション上でシート
前、後部に位置させることにより、シートへの着座方向
を任意に転換し得るような構成となっている。然し、こ
のような構造では、シートバックの傾動角度を調整する
と言ったリクライニング機能を得ることができない。

【０００４】このため、シート本体にリクライニング機
構を付設し、シートバックをシートクッションの後端側
に傾動可能に立設させると共に、シートクッション下部
で設置床面上の支持用台座にエアシリンダや電動モータ
によってチェーン駆動される回動調整機構を設けてなる
方向転換型の車両用シートも知られている。そして、こ
のようなシートによれば、シートバックの傾動角度を調
整し、所要のリクライニング機能を発揮できると共に、
前記回動調整機構によってシート本体の向きを反転さ
せ、シートでの着座方向を変更できるものであった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな従来の方向転換型の車両用シートでは、乗客の好み
や要求に応じて、シートの着座方向を任意に選択し得る
ことから、シートの整列方向がばらばらとなっているた
め、終着駅等で電車を折り返し運転する場合には、進行
方向が変わるため人手によって各シートの着座方向を進
行方向に揃えるようにしており、このシート整列作業に
多大の労力と時間を要し、折り返し運転する場合の省人
化と時間短縮とが要請されていた。

【０００６】また、各シートの着座方向を回動調整機構
として電動モータによるチェーン駆動を採用する場合に
は、長期の使用によってチェーンに緩みを生じることか
ら自動的なシートの整列作業を行う場合にその作業を正
確に行うことができなくなるという未解決の課題があ
り、また回動調整機構としてエアシリンダを使用する場
合には、エアシリンダに加圧気体を給排する配管のとり
まわしが大変である上、部品点数が多くなるという未解
決の課題がある。

【０００７】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、各シートの着座方向を短時間で自動的に進
行方向に揃えることができる方向転換型の車両用シート
を得ることを目的としている。また、各シートの着座方
向を変更する回動調整機構を簡易小型化することができ
ると共に、各シートの自動的な整列作業を長期にわたっ
て正確に行うことができる方向転換型の車両用シートを
得ることを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の車両用シートは、車室床面上に固定された脚部にベー
スフレームが支持され、該ベースフレームに回動位置を
少なくとも２個所でロック可能な回動調整機構を介して
シート本体が回動調整可能に支持され、前記シート本体
がシートクッション及びその後端側にガスシリンダとピ
ストンロッドとを有するガスロック機構を有するリクラ
イニング装置を介して前後傾動可能に立設されたシート
バックとからなるシートが複数縦列配列されてなる車両
用シートにおいて、前記回動調整機構に設けたシート本
体を自動的に所定のロック位置に回動させる自動回動機
構と、前記回動調整機構のロック状態を解除すると同時
に前記リクライニング機構を復帰動作させるロック解除
機構と、前記シート本体のロック位置を検出するロック
位置検出手段と、該ロック位置検出手段の検出値に基づ
いて前記ロック解除機構及び自動回動機構を作動させる
ことにより各シートを一定方向に整列させる整列制御手
段とを備えたことを特徴とする。

【０００９】また、本発明の請求項２に記載の車両用シ
ートは、車室床面上に固定された脚部にベースフレーム
が支持され、該ベースフレームに回動位置を少なくとも
２個所でロック可能な回動調整機構を介してシート本体
が回動調整可能に支持され、前記シート本体がシートク
ッション及びその後端側にガスシリンダとピストンロッ
ドとを有するガスロック機構を有するリクライニング装
置を介して前後傾動可能に立設されたシートバックとか
らなるシートが複数縦列配列されてなる車両用シートに
おいて、前記回動調整機構をベースフレーム及び前記シ
ート本体のクッションフレームの何れか一方に配設した
少なくともシート本体の回動範囲に応じた円弧状歯部を
有するギヤ及び他方に配設した前記ギヤと噛合するピニ
オンギヤと、該ピニオンギヤを正逆回転駆動する電動モ
ータとで構成すると共に、前記回動調整機構のロック状
態を解除すると同時に前記リクライニング機構を復帰動
作させるロック解除機構と、該ロック解除機構を電気的
に作動させる電気的作動手段及び当該ロック解除機構を
機械的に作動させる機械的作動手段と、前記シート本体
のロック位置を個別に検出する一対のロック位置検出手
段とを備えたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明の請求項１に記載の車両用シートによれ
ば、シートクッションのロック位置即ちシートの着座方
向をロック位置検出手段で検出し、その検出結果に基づ
いて整列制御手段で、シート本体の着座方向が電車の進
行方向と異なるシートを選択すると共に、互いに干渉す
ることなく同時に回動可能なシートを検索し、一度に回
動可能なシートについてシート本体のロックを解除する
と共に、自動回動機構によってシート本体を他のロック
位置まで自動的に回動させる。このとき、ロック解除機
構によって回動機構のロック解除とリクライニング機構
の復帰動作とを行うので、シートの回動時に隣接するシ
ートとの干渉を防止できる。その後、未回動のシートが
ある場合には、これらについても同様にロックを解除し
てからシート本体を回動させて、全てのシートを電車の
進行方向に自動的に整列させる。

【００１１】本発明の請求項２に記載の車両用シートに
よれば、シートクッションのロック位置即ちシートの着
座方向を一対のロック位置検出手段で検出することがで
き、その検出結果に基づいて電動モータを駆動制御する
ことにより、シート本体を他のロック位置まで自動的に
回動させる。このとき、電気的作動手段によりロック解
除機構を作動させることによって回動調整機構のロック
解除とリクライニング機構の復帰動作とを行うことによ
り、シートの回動時に隣接するシートとの干渉を防止で
きる。また、操作者が機械的作動機構でロック解除機構
を作動させることによって、任意のシート本体を手動動
作によって他のロック位置まで回動させることができ
る。

【００１２】

【実施例】以下、本発明に係る車両用シートを図面に基
づいて説明する。図１乃至図５は本発明に係る方向転換
型の車両用シートの一実施例を示すもので、これらの図
において、全体を符号１で示すものは、電車等の乗物用
座席として用いられるベンチシート式の方向転換型シー
トである。この方向転換型シート１は、図１及び図２か
ら明らかなように、シートクッション２とその後端側に
立設される左、右シートバック３，３とからなり、電車
等のシート設置床面４上に載置して設けられている。

【００１３】更に、図中、５，５は上述したシートクッ
ション２とシートバック３，３とからなるシート本体１
０の左，右側部に設けられるアームレストで、図１から
明らかなように、略コ字状を呈する部材として構成され
ている場合を例示している。ここで、図２中、符号６は
電車等の車室壁面、７は電車等の窓部である。また、こ
の方向転換型の車両用シート１は、ベンチシートとして
周知の構造を有するが、その詳細な説明は省略する。

【００１４】さて、本発明によれば、上述したような方
向転換型の車両用シート１は、図１及び図２から明らか
な通り、設置床面４上でシート１の幅方向の一側寄りの
部分（車室壁面６側）に立設して設けられている脚部１
１に片持ち支持された状態でシート１の幅方向に向かっ
て延設されているベースフレームとしての片持ち支持杆
１２と、この支持杆１２上にシートクッション２及びシ
ートバック３，３からなるシート本体１０を回動調整可
能に支持する回動調整機構１３を備えている。

【００１５】この回動調整機構１３は、図３に示すよう
に、ベースフレームとしての片持ち支持杆１２に固定さ
れたインナーリング１３ａと、このインナーリング１３
ａの外側に回動自在に摺接してシートクッションフレー
ム１５に固定されたアウターリング１３ｂとで構成され
ている。

【００１６】インナーリング１３ａの上面に略１８０°
の範囲にわたって内周面に円弧状歯部１３ｃを有するギ
ヤ１３ｄが固着され、このギヤ１３ｄに図５に示すよう
にシートクッションフレーム１５に回転自在に支持され
たピニオンギヤ１３ｅが噛合されている。

【００１７】このピニオンギヤ１３ｅは、その枢軸１３
ｆがシートクッションフレーム１５の上方側に延長さ
れ、その上端に図４に示すようにウォームホイール１３
ｇが取付けられている。このウォームホイール１３ｇに
シートクッションフレーム１５にその軸方向を水平方向
として固定配置された電動モータ１３ｈの出力軸に装着
されたウォーム１３ｉが噛合されている。電動モータ１
３ｈを正逆転駆動することにより、ピニオンギヤ１３ｅ
が正逆転駆動されて、シートクッションフレーム１５が
ピニオンギヤ１３ｅが噛合するギヤ１３ｄに沿って時計
方向及び反時計方向に回動する。

【００１８】また、前記シートクッション２を構成する
シートクッションフレーム１５の中央部には、図４及び
図５に示すように、前記シートバック３，３を傾動動作
させる左、右リクライニング機構１６ａ，１６ｂを構成
する左、右ガスシリンダ１７ａ，１７ｂが配設され、そ
のシリンダチューブの先端部がシートクッションフレー
ム１５に回動自在に軸支されている。

【００１９】更に、これら左、右ガスシリンダ１７ａ，
１７ｂのピストンロッド先端部は、前記左、右シートバ
ック３，３を構成するシートバックフレーム１８，１８
においてシートクッションフレーム１５に固定された支
持フレーム１５ａに形成された枢支軸１９よりも下端側
に延設されているアーム部１８ａ，１８ｂに連結されて
いる。

【００２０】そして、前記左、右ガスシリンダ１７ａ，
１７ｂが適宜作動されることにより、左、右シートバッ
ク３，３がシートクッション２の後端側で適宜傾動動作
されることになる。ここで、このような左、右ガスシリ
ンダ１７ａ，１７ｂをシート１への着座者が操作するた
めの操作部である操作アーム２０，２０が、前記左、右
アームレスト５，５の先端側に設けられている。

【００２１】尚、図４中２１ａ，２１ｂは操作釦２０，
２０と連結され、その動きを対応する側の左、右ガスシ
リンダ１７ａ，１７ｂに伝えて作動させるための伝達用
ワイヤである。

【００２２】また、図５において符号２２はシート本体
１０の中央部分に配設された支持フレーム１５ａの先端
に回動可能に設けられた補助用のアームレストである。
そして、上述したシート本体１０を支持する回動調整機
構１３のロック状態を解除すると同時に前記左、右リク
ライニング機構１６ａ，１６ｂを共に復帰動作させる機
械的作動手段としての左、右操作レバー２５ａ，２５ｂ
が、図２に示す如く、左、右アームレスト５，５に付設
されている。

【００２３】ここで、上述した左、右操作レバー２５
ａ，２５ｂから引き出されている伝達用ワイヤ２６ａ，
２６ｂは、図４に示すように、途中で三分割され、前記
回動調整機構１３のロック状態を解除するために夫々反
対側のラッチ２７ｂまたは２７ａと、左、右リクライニ
ング機構１６ａ，１６ｂの傾動位置を規制するガスシリ
ンダ１７ａ，１７ｂとに操作状態を伝達するようになっ
ている。

【００２４】即ち、本実施例では、シートクッションフ
レーム１５の左、右部分に、左、右ラッチ２７ａ，２７
ｂを回動可能に設けると共に、これらのラッチ２７ａ，
２７ｂの何れかが選択的に嵌合することにより片持ち支
持杆１２上でシート本体１０をロックするストライカー
２８を、該片持ち支持杆１２上の片側（窓部７側）に設
けている。

【００２５】一方、この種のシート１を反転させるよう
に操作する場合、電車等の車両において、通路側から操
作するのが普通であり、上述したように反対側のラッチ
２７ｂまたは２７ａをロック解除し得るように構成して
いる。

【００２６】また、シートクッションフレーム１５のア
ームレスト５，５側の下面位置にラッチ２７ａ，２７ｂ
内に、夫々ストライカー２８が嵌合されたときに片持ち
支持杆１２の側面と係合してオン状態となるシート本体
１０のロック状態の回動位置を検出するロック位置検出
用リミットスイッチ３０ａ，３０ｂがその係合子を下方
に突出させて配設されている。

【００２７】更に、シートクッションフレーム１５の前
方側左右位置に、前述したリクライニング機構１６ａ，
１６ｂのガスシリンダ１７ａ，１７ｂのロック状態を解
除すると共に、回動調整機構１３のラッチ２７ａ，２７
ｂによるストライカー２８のロック状態を解除するため
に、伝達用ワイヤ２６ａ，２６ｂを作動させる電気的作
動手段としての例えば電磁ソレノイドで構成されるアク
チュエータ３１ａ，３１ｂを備えている。

【００２８】そして、各シート１の回動調整機構１３の
駆動モータ１３ｈ及びアクチュエータ３１ａ，３１ｂが
制御装置３２によって駆動制御される。この制御装置３
２は、図６に示すように、入出力インタフェース回路、
演算処理装置及び記憶装置を少なくとも備えたマイクロ
コンピュータ３３と、このマイクロコンピュータ３３の
出力側に接続された駆動モータ１３ｄを駆動するモータ
駆動回路３４と、アクチュエータ３１ａ，３１ｂを駆動
するアクチュエータ駆動回路３５とを備えている。

【００２９】マイクロコンピュータ３３には、ロック位
置検出用リミットスイッチ３０ａ，３０ｂのスイッチ信
号が入力されると共に、例えば車室の壁面に格納配置さ
れた整列方向選択スイッチ３６ａ，３６ｂのスイッチ信
号が入力され、整列方向選択スイッチ３６ａまたは３６
ｂのスイッチ信号に基づきロック位置検出スイッチ３０
ａ，３０ｂのスイッチ信号を参照してアクチュエータ３
１ａ，３１ｂ及び回動調整機構１３の駆動モータ１３ｄ
を駆動制御して各車両用シート１のシート本体１０を所
望方向に整列させる。

【００３０】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ３３の処理手順の一例を示す図７のフローチャー
トを伴って説明する。制御装置３２は、例えば整列方向
選択スイッチ３６ａ及び３６ｂの何れか一方がオン状態
となることにより、作動状態となって、図７の処理を実
行開始する。

【００３１】先ず、ステップＳ１で、整列方向選択スイ
ッチ３６ａ及び３６ｂの何れがオン状態であるかを判定
し、整列方向選択スイッチ３６ａがオン状態であるとき
には、例えば電車が下り方向となったときの座席方向Ａ
が選択されたものと判断してステップＳ２に移行する。

【００３２】このステップＳ２では、ロック位置検出用
リミットスイッチ３０ａ及び３０ｂの何れもがオフ状態
となっている車両用シート１を検索し、該当する車両用
シートに予め設定された識別番号を記憶装置の回動途中
シートを表わす回動途中シート記憶領域に格納する。

【００３３】次いで、ステップＳ３に移行して、回動途
中シート記憶領域に格納された識別番号を読出して、隣
接して回動時に互いに干渉するシートがあるか否かを判
定し、干渉するシートがない場合には直接ステップＳ４
に移行し、干渉するシートがある場合に、ステップＳ４
に移行して何れか識別番号が大きい方の識別番号を記憶
装置の干渉シート記憶領域に転記してからステップＳ５
に移行する。

【００３４】このステップＳ５では、全ての車両用シー
ト１のアクチュエータ３１ａ，３１ｂを所定時間作動さ
せる制御信号をアクチュエータ駆動回路３５に出力し
て、アクチュエータ３１ａ，３１ｂを駆動することによ
り、該当する車両用シート１のリクライニング機構１６
ａのガスシリンダ１７ａ，１７ｂのロック状態を解除し
てシートバック３，３を起立状態に復帰させる。

【００３５】次いで、ステップＳ６に移行して、該当す
る車両用シート１の駆動モータ１３ｈを正転駆動して、
シート本体１０を正転させ、次いでステップＳ７に移行
して、ロック位置検出スイッチ３４ａがオン状態となっ
たか否かを判定し、オフ状態であるときには前記ステッ
プＳ６に戻り、オン状態となったときには下り方向への
旋回が終了したものと判断してステップＳ８に移行す
る。

【００３６】このステップＳ８では、干渉シート記憶領
域に格納されている識別番号が存在するか否かを判定
し、識別番号が存在する場合には、ステップＳ９に移行
して、前述したステップＳ５〜Ｓ７と同様のＡ方向回動
処理を行ってからステップＳ１０に移行し、識別番号が
存在しない場合には、直接ステップＳ１０に移行する。

【００３７】ステップＳ１０では、ロック位置検出スイ
ッチ３０ｂがオン状態となっている車両用シート１、即
ちこれから整列させる方向とは逆方向となっている車両
用シート１を検索し、該当する車両用シート１の識別番
号を記憶装置の反転シート記憶領域に格納する。

【００３８】次いで、ステップＳ１１に移行して、反転
シート記憶領域に格納されている識別番号の内、奇数番
号を抽出して、該当する車両用シート１のアクチュエー
タ３１ａ，３１ｂを所定時間駆動する制御信号をアクチ
ュエータ駆動回路３５に出力して、回動調整機構１３の
ラッチ２７ａ，２７ｂを所定時間ロック解除状態とす
る。

【００３９】次いで、ステップＳ１２に移行して、該当
する車両シート１の駆動モータ１３ｄを正転させる制御
信号をモータ駆動回路３４に出力して、駆動モータ１３
ｄを正転させる。次いで、ステップＳ１３に移行して、
ロック位置検出用リミットスイッチ３０ａがオン状態と
なったか否かを判定し、オフ状態であるときにはステッ
プＳ１２に戻り、オン状態となったときにはステップＳ
１４に移行する。

【００４０】このステップＳ１４では、反転シート記憶
領域に格納されている識別番号の内、偶数番号を抽出し
て前記ステップＳ１１〜Ｓ１３と同様のシート反転処理
を実行してから処理を終了する。

【００４１】一方、ステップＳ１の判定結果が整列方向
選択スイッチ３６ｂがオン状態であるときには、各車両
用シート１を例えば進行方向が上り方向となる場合の整
列方向Ｂに整列させるものと判断してステップＳ２２〜
Ｓ３３に移行し、前述したステップＳ２〜Ｓ１３とは、
駆動モータ１３ｄが逆転駆動されると共に、ロック位置
検出用リミットスイッチ３０ａに代えてロック位置検出
用リミットスイッチ３０ｂがオン状態となったか否かを
判定することを除いてはステップＳ２〜Ｓ１３と同様の
処理を行って、車両用シート１を整列方向Ｂに整列させ
る。

【００４２】従って、車両用シート１をＡ及びＢの何れ
かの位置に自動的に整列させる場合に、先ず、各車両用
シート１のアクチュエータ３１ａ，３１ｂを作動状態と
して、リクライニング機構１６ａ，１６ｂのガスシリン
ダ１７ａ，１７ｂのロック状態を解放して、シートバッ
ク３，３を起立させ、且つロック状態となっていない不
安定な車両用シート１を検索して、これを電動モータ１
３ｈを駆動することにより所定方向に回動させてロック
状態とする。

【００４３】次いで、反転を必要とする車両用シート１
のみに対して、干渉を生じないように、奇数番号及び偶
数番号の順に自動的に反転駆動して、全ての車両用シー
ト１を所望の方向に整列させることができる。

【００４４】また、任意の車両用シート１をＡ及びＢの
何れかの位置に手動で回動させる場合には、通路側の操
作レバー２５ｂを操作することにより、伝達用ワイヤ２
６ｂを介してラッチ２７ａをロック解除状態とすると共
に、リクライニング機構１６ａ，１６ｂのガスシリンダ
１７ａ，１７ｂのロック状態を解放して、一対のシート
バック３，３を起立させることができ、この状態でシー
トバック３やアームレスト５を把持してシート本体１０
を反対方向に回動させることができる。

【００４５】このように、車両用シート１を自動的にま
たは手動で回動させる場合に、アクチュエータ３１ａ，
３１ｂを作動させるかまたは操作レバー２６ａ，２６ｂ
を操作したときに、必ずリクライニング機構１６ａ，１
６ｂのガスシリンダ１７ａ，１７ｂのロック状態を解放
するようにしているので、車両用シートを回動させる際
に、シートバックが隣接する車両用シートのシートバッ
クと干渉して回動が妨げられることを確実に阻止するこ
とができる。

【００４６】更に、シート本体１０に着座した着座者が
左右のアームレスト５，５の先端に形成した操作レバー
２０，２０を操作することにより、左右のリクライニン
グ機構１６ａ，１６ｂのガスシリンダ１７ａ，１７ｂの
ロック状態を解放して、シートバック３，３を任意の位
置に傾動させることができる。

【００４７】尚、上記実施例においては、回動調整機構
１３のアウターリング１３ｂに噛合するピニオンギヤ１
３ｃを駆動モータ１３ｄで駆動する場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、インナーリング
１３ａをシートクッションフレーム１５に連結すると共
に、片持ち支持杆１２内に駆動モータ１３ｄを配設し
て、インナーリング１３ａに噛合するピニオンギヤ１３
ｃを駆動するようにしてもよい。

【００４８】また、上記実施例においては、奇数及び偶
数番号のシートを個別に回動させる場合について説明し
たが、反転を必要としたシートを検索した状態で、互い
に干渉するシートを選択し、干渉するシートについての
み後から反転動作させるようにしてもよい。

【００４９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
に記載の車両用シートによれば、回動調整機構に設けた
シート本体を自動的に所定のロック位置に回動させる自
動回動機構と、前記回動調整機構のロック状態を解除す
ると同時に前記リクライニング機構を復帰動作させるロ
ック解除機構と、前記シート本体のロック位置を検出す
るロック位置検出手段と、該ロック位置検出手段の検出
値に基づいて前記ロック解除機構及び自動回動機構を作
動させることにより各シートを一定方向に整列させる整
列制御手段とを設けた構成としたので、車両用シートを
反転させるときに、リクライニング機構を復帰動作させ
て、シートバックを起立状態として反転動作させること
ができ、反転動作中に、隣接する車両用シートが干渉す
ることを確実に防止しながら、自動的に所望方向に整列
させることができるという効果が得られる。

【００５０】また、本発明の請求項２に記載の車両用シ
ートによれば、回動調整機構に設けたシート本体を自動
的に所定のロック位置に回動させるギヤ、ピニオンギヤ
及び電動モータと、前記回動調整機構のロック状態を解
除すると同時に前記リクライニング機構を復帰動作させ
るロック解除機構と、前記シート本体のロック位置を検
出するロック位置検出手段と、ロック解除機構を電気的
に作動させる電気的作動手段と、ロック解除機構を機械
的に作動させる機械的作動手段と、該ロック位置検出手
段の検出値に基づいて前記電気的作動手段及び電動モー
タを作動させることにより各シートを一定方向に整列さ
せる整列制御手段とを設けた構成としたので、車両用シ
ートを反転させるときに、リクライニング機構を復帰動
作させて、シートバックを起立状態として反転動作させ
ることができ、反転動作中に、隣接する車両用シートが
干渉することを確実に防止しながら、自動的に所望方向
に整列させることができるという効果が得られる。

【００５１】また、回動調整機構がギヤとこれに噛合す
るピニオンギヤとこれを駆動する電動モータとで構成す
るようにしているので、チェーンを使用する場合のよう
に緩みを生じることがなく長期に亘って正確な整列動作
を確保することができると共に、回動調整機構自体の構
成を簡易小型化することができるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両用シートの概略構成を説明す
るための一部を切欠した斜視図。

【図２】本発明に係る車両用シートの概略構成を説明す
るための正面図。

【図３】ベースフレームの平面図。

【図４】シートクッションフレームの平面図。

【図５】シートクッションフレームの側面図。

【図６】本発明に適用し得る制御装置の一例を示すブロ
ック図。

【図７】本発明に適用し得る制御装置の処理手順の一例
を示すフローチャート。

【符号の説明】

１ 方向転換型の車両用シート ２ シートクッション ３ シートバック １０ シート本体 １１ 脚部 １２ 片持ち支持杆 １３ 回動調整機構 １３ａ インナーリング １３ｂ アウターリング １３ｃ 円弧状歯部 １３ｄ ギヤ １３ｅ ピニオンギヤ １３ｈ 電動モータ １５ シートクッションフレーム １６ａ 左リクライニング機構 １６ｂ 右リクライニング機構 １７ａ 左ガスシリンダ １７ｂ 右ガスシリンダ ２１ａ 伝達用ワイヤ ２１ｂ 伝達用ワイヤ ２７ａ 左ラッチ ２７ｂ 右ラッチ ２８ ストライカー ３０ａ ロック位置検出用リミットスイッチ ３０ｂ ロック位置検出用リミットスイッチ ３１ａ アクチュエータ ３１ｂ アクチュエータ ３２ 制御装置 ３３ マイクロコンピュータ ３４ モータ駆動回路 ３５ アクチュエータ駆動回路 ３６ａ 整列方向選択スイッチ ３６ｂ 整列方向選択スイッチ

フロントページの続き (72)発明者 野 元 浩 東京都千代田区丸の内一丁目６番５号 東日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 星 野 昭 彦 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産 株式会社内 (72)発明者 滝 澤 裕 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産 株式会社内 (72)発明者 徳 満 修 一 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産 株式会社内 (56)参考文献 実開 平６−27298（ＪＰ，Ｕ) 実開 平６−895（ＪＰ，Ｕ) 実開 平５−60935（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室床面上に固定された脚部にベースフ
   レームが支持され、該ベースフレームに回動位置を少な
   くとも２個所でロック可能な回動調整機構を介してシー
   ト本体が回動調整可能に支持され、前記シート本体がシ
   ートクッション及びその後端側にガスシリンダとピスト
   ンロッドとを有するガスロック機構を有するリクライニ
   ング装置を介して前後傾動可能に立設されたシートバッ
   クとからなるシートが複数縦列配列されてなる車両用シ
   ートにおいて、前記回動調整機構に設けたシート本体を
   自動的に所定のロック位置に回動させる自動回動機構
   と、前記回動調整機構のロック状態を解除すると同時に
   前記リクライニング機構を復帰動作させるロック解除機
   構と、前記シート本体のロック位置を検出するロック位
   置検出手段と、該ロック位置検出手段の検出値に基づい
   て前記ロック解除機構及び自動回動機構を作動させるこ
   とにより各シートを一定方向に整列させる整列制御手段
   とを備えたことを特徴とする車両用シート。
2. 【請求項２】 車室床面上に固定された脚部にベースフ
   レームが支持され、該ベースフレームに回動位置を少な
   くとも２個所でロック可能な回動調整機構を介してシー
   ト本体が回動調整可能に支持され、前記シート本体がシ
   ートクッション及びその後端側にガスシリンダとピスト
   ンロッドとを有するガスロック機構を有するリクライニ
   ング装置を介して前後傾動可能に立設されたシートバッ
   クとからなるシートが複数縦列配列されてなる車両用シ
   ートにおいて、前記回動調整機構をベースフレーム及び
   前記シート本体のクッションフレームの何れか一方に配
   設した少なくともシート本体の回動範囲に応じた円弧状
   歯部を有するギヤ及び他方に配設した前記ギヤと噛合す
   るピニオンギヤと、該ピニオンギヤを正逆回転駆動する
   電動モータとで構成すると共に、前記回動調整機構のロ
   ック状態を解除すると同時に前記リクライニング機構を
   復帰動作させるロック解除機構と、該ロック解除機構を
   電気的に作動させる電気的作動手段及び当該ロック解除
   機構を機械的に作動させる機械的作動手段と、前記シー
   ト本体のロック位置を個別に検出する一対のロック位置
   検出手段とを備えたことを特徴とする車両用シート。
3. 【請求項３】 前記整列制御手段は、ロック解除手段を
   作動させてリクライニング機構を復帰動作させると共
   に、ロック位置検出手段でロック状態を検出していない
   車両用シートを所定方向に回動させてロック状態とする
   初期整列手段と、反転駆動する車両用シートの内、奇数
   番目の車両用シートを反転駆動する奇数番目整列手段
   と、偶数番目の車両用シートを反転駆動する偶数番目整
   列手段とを備えていることを特徴とする請求項１記載の
   車両用シート。