JP2700349B2 - 吸音照明装置 - Google Patents

吸音照明装置

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JP2700349B2
JP2700349B2 JP2096339A JP9633990A JP2700349B2 JP 2700349 B2 JP2700349 B2 JP 2700349B2 JP 2096339 A JP2096339 A JP 2096339A JP 9633990 A JP9633990 A JP 9633990A JP 2700349 B2 JP2700349 B2 JP 2700349B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、吸音効果をあわせもつ照明装置に関するも
のである。
[従来の技術] 従来の吸音効果を持つ照明装置について説明する。例
えば第20図は実開昭55−21578号公報に開示された従来
の吸音照明装置である。図において、(213)は照明器
具カバー(以下、照明カバーと略記する)、(25)は蛍
光灯、(214)は***である。この照明器具は照明カバ
ー(213)中の***(214)から漏れる光によって照明効
果を有する。この照明器具に吸音効果が生じる理由は以
下のように説明できる。照明カバー表面に設けられた小
穴中の空気が質量として、照明カバー(213)と蛍光灯
(25)の間の空気がバネとして考えられ、音響インピー
ダンスの絶対値が極小となる周波数が存在する。前記周
波数で、***の部分で粒子速度は最大となり、***の部
分の抵抗によるエネルギー損失も最大となるため、前記
周波数で吸音効果が生じる。
[発明が解決しようとする課題] 上記の様な従来の吸音照明装置では、照明カバー(21
3)として***(214)をあけた板を使って、吸音効果を
持たせているので***(214)だけでは吸音効果が低い
欠点や所定の吸音効果をもたせるための背面空気層が10
0mmまたはそれ以上になることが多いために照明装置の
厚みが大きくなる欠点、***が開いている部分と開いて
いない部分の照度分布が異なる欠点、***が開いている
部分からは直接光が漏れる欠点、***が開いているため
に照明装置としての美観を損ねる欠点、***が開いてい
る領域が広いために照明器具(蛍光灯など)が露出し、
前記照明器具を防護する照明カバーとしての機能を失う
欠点を持っていた。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、多孔質構造体を照明カバーとして用いること
により、十分な吸音性能をもち、背面空気層を相当厚く
することがなく、照度分布が一様であり、直接蛍光灯の
光が漏れることがなく、照明装置としての美観を満足さ
せ、かつ照明器具(蛍光灯など)の防護の機能を失うこ
とのない吸音照明装置を提供することを目的としてい
る。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る吸音照明装置は、照明器具と、前記照明
器具前面に配置され、長径が0.2〜3.0mmの樹脂の粒状素
材から形成され、透明または半透明で通気性を有する多
孔質構造体とを備え、前記多孔質構造体によって光を透
過または反射、拡散する照明効果をもたせ、さらに前記
多孔質構造体と前記照明器具との間に形成される背面空
気層とにより吸音部を構成したものである。
また、照明器具と、前記照明器具背面に配置された透
明または半透明な多孔質構造体とを有し、前記多孔質構
造体によって光を透過または反射、拡散する照明効果を
もたせ、さらに前記多孔質構造体とその多孔質構造体背
面に配置した反射板との間に形成された背面空気層とに
より吸音部を構成したものである。
[作用] 本発明においては、照明器具前面にある多孔質構造体
によって、従来の吸音照明装置に比べ大きな吸音力を有
し、背面空気層を厚くする必要がない。また透明または
半透明な材質を用いることによって光の透過または反
射、拡散が多孔質構造体中または表面で行なわれ、室内
照度のばらつきが減り、直接的な光の漏れ量が少なくな
る。さらに多孔質構造体が照明器具(蛍光灯など)を覆
うから照明器具保護の機能を失うことがない。
また、この発明の別の発明においては、多孔質構造体
を照明器具(蛍光灯など)の背面に配置し、さらに前記
多孔質構造体背面に配置された反射板を設けることで、
照明装置としての美観、照度分布の一様化が図られる。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例を示す側面図である。第1
図において、(1)は多孔質構造体、(22)は目地板、
(23)は止め部材、(24)は天井、(25)は蛍光灯であ
る。基本構成は従来例と同様の構造であるが、吸音カバ
ーの構造が大きく異なる。従来の吸音カバー、即ち照明
カバー(213)は***(214)が多数開いており、その小
穴(214)によって吸音を行なうが、本発明では透明ま
たは半透明な多孔質構造体(1)を吸音カバーに用いて
いる。第6図に直径6mmの***がピッチ22mmで板厚0.5mm
の板に開いている穴開き板で構成した照明カバー(背面
空気層150mm)と空孔率(すなわち比重)が厚さ方向に1
0〜25%の範囲で連続的に変化した多孔質構造体(板厚1
0mm、背面空気層30mm)によって構成された照明カバー
の吸音率の比較を示す。一般に背面空気層が厚くなれば
吸音率は増加する傾向にあるにもかかわらず、この図で
は多孔質構造体のほうが、背面空気層の厚さが薄くて、
かつ吸音性能がよいことがわかる。また室内における照
度の分布を第7図に示す。明らかに穴開き板よりも多孔
質構造体の方が照度分布が一様であり、照明装置として
良好であることを示している。
次に、第2図は、面方向に多孔質構造体の比重を変化
させた実施例であり、多孔質構造体(1)自身が照明カ
バーとして構成されている。カバー全体は多孔質構造体
(1)であり、空孔率分布が面方向に分布をもち、止め
金(26)の付近のカバーは多孔質構造体でない強度をも
った部分となって連続的に一体成形されている。こうす
ることによって多孔質構造体の吸音周波数特性を向上で
き、さらに、取り付け上の強度を持たせることができ
る。
上記第1図及び第2図に示す各実施例に使用する多孔
質構造体(1)は、厚さ方向に連続的に空孔率分布を持
せてるか、面方向にも空孔率分布を持たせて、吸音性能
上最適な空孔率分布になるようにしたもので、出願人等
により平成1年4月28日に出願された特願平1−110996
号の「多孔質構造体」で提案したものである。
以下、この多孔質構造体について説明する。
第8図(イ),(ロ)はそれぞれ多孔質構造体の一例
を示し、多孔質構造体である多層材(1)を厚さ方向に
切断した断面を模式的に示す図である。第8図(イ)に
おいて、(2)は比重の大きい層、例えば融合層で、通
気性又は非通気性のいずれでもよい。(3)は比重の小
さい多孔質層で、通常は通気性であり、空孔率は、厚さ
方向に連続的に変化している。尚、多層材(1)は、融
合層(2)と多孔質層(3)とが一体化している。
第8図(ロ)は多孔質層(3)のみからなる多層材
(1)を示しており、本発明では、この第8図(ロ)に
示す多層材(1)を用いる。
これは、融合層(2)は遮音材として作用するものな
ので、融合層(2)を持ったものを、本発明に使用する
と吸音効果がなくなるからであるが、第8図(ロ)のも
のを説明するために必要なので、第8図(イ)に示すも
のについても説明する。
次に、上記のような多層材(多孔質構造体)(1)を
構成する。層の厚さ方向もしくは層の面方向に比重を連
続的に変化させた多孔質層の製造方法及び特性について
説明する。
まず、製造方法について説明する。尚、製造方法に関
しては、出願人等より別途特許出願されているので、こ
こでは、その代表例を説明する。
多層材の製造に使用する金型は、一方の金型である凹
側金型と他方の金型である凸側金型とからなり、これら
の金型は例えばアルミニウム等の熱伝導性の良い材質で
構成されている。また、凹側金型と凸側金型は夫々ヒー
ターが設けられており、凹側金型の方が凸側金型よりも
高温にされる。
所で、上述したように本発明で使用する多層材(1)
は、第8図(ロ)に示すものであるが、説明の都合上、
融合層(2)も形成される製法を説明した後、第8図
(ロ)の多層材(1)の製造方法である製法−1につ
いて説明する。
製法 原料として、熱可塑性樹脂の粒状素材を用いて、多孔
質構造体を成形する場合について説明する。
凹側金型の壁部の温度は、凹側金型の壁部と凸側金型
の壁部によって形成される閉空間内に入れられる原料で
ある粒状素材の軟化する温度以上で熱分解温度以下、通
常150〜240℃にセットされ、凸側金型の壁部の温度は、
凹側金型の壁部の温度よりも低い温度、例えば原料とな
る粒状素材の軟化する温度付近、通常70〜180℃にセッ
トされる。ここにおいて両金型内に例えばABC(acrylo
−nitrile−butadiene−styrene resin)樹脂(軟化す
る温度80〜90℃)等の熱可塑性樹脂の粒状素材(直径0.
2〜3mm程度)を投入し、金型を加圧しながら閉じ、数10
秒〜数時間加熱する。この加熱は上述した両金型のセッ
ト温度で行なわれ、加圧力は加熱状態で1kg/cm2〜数ton
/cm2である。
すると、凹側金型の高温壁部に接触した粒状素材は溶
融し、最終的には比重の大きい層、換言すれば融合層に
なり、融合の程度により通気性から非通気性に変化す
る。凸側金型の壁部は凹側の高温壁部より低温のため、
凸側の壁部から上記融合層(2)までの粒状素材は、完
全流動までには至らないが、半流動状態で、粒状素材各
々が接触部分で溶着し、最終的には上記融合層(2)に
溶着した多孔質層(3)が形成される。この多孔質層
(3)は通常は通気性であるが、バインダーなどの素材
の混合材料によっては非通気性になる。
このようにして比重の大きい層と比重の小さい多孔質
層を一体的に同時に形成することができる。
以上のように凹側金型の壁部と凸側金型の壁部の温度
を一定温度にセットして、完全溶融、半流動状態を得る
には、実験によれば、10℃以上の温度差が望ましかっ
た。
凹側金型の壁部の温度が150℃以下になると、粒状素
材が融合しにくくなり、240℃以上になると、完全溶融
が進み過ぎて多層化が困難となる。凸側金型の壁部の温
度が70℃以下になると、粒状素材各々が接触部分で溶融
が起らず接着しにくくなり、180℃以上になると粒状素
材の溶融が進んで、多孔質層にすることが困難になる。
粒状素材の直径が0.2mm以下になると、空孔径が小さ
くなって、多層材の機能のうち吸音特性が低下する。ま
た、空孔径を大きくしようとすると、粒子間の融着度合
が少なくなり、機械的強度が低下する。直径が3mm以上
になると、断熱特性は良いが吸音特性が低下する。
金型による圧力が1kg/cm2以下になると、粒状素材各
々の融着が不安定になり、圧力が数ton/cm2以上になる
と、温度制御の精度が厳しくなって生産性が低下する。
金型による加熱時間は、数10秒以下になると溶着が不
充分になり、数時間以上になると、溶融が進み過ぎて、
融合層と多孔質層の境界が不明瞭となり、特性が悪くな
る。
金型の高温側に形成される比重の大きい融合層は、加
熱温度、加熱時間などを変えると、形成される融合層の
厚さ、通気性の度合(通気性から非通気性まで)が変化
するので、種々変化させて、希望特性の多孔質構造体を
得ることができる。
なお熱可塑性樹脂の粒状素材原料としては、代表的な
ものとして、PP(ポリプロピレン)、AS(アクリルスチ
ロール)、スチロールなどを用いることができる。又熱
可塑性樹脂の粒状素材にバインダーとして、メチルエチ
ルケトン(MEK)セルロース、ワニス、アセトンを吹付
けたり、混ぜたりすると、多層材の粒状素材各々の固着
力が増し、機械的強度が向上して、取扱い性が良くな
る。
製法−1 製法において、凹側金型の壁部の温度を150℃にセ
ットし、凸側金型の壁部の温度を100℃にセットし、ABS
樹脂として、電気化学工業株式会社製GTR−40(グレー
ド)、軟化する温度86℃の熱可塑性樹脂の粒状素材、直
径1mmの球状粒子を金型に入れ、両金型を閉じた。両壁
面間の距離は10mmであった。この状態で10分間弱経過
(つまり加熱状態を持続)させて両金型を開放した。な
お加熱状態のときの加圧力は50kg/cm2であった。このよ
うにして成形した多層材(1)は厚さが10mmで、その中
の融合層(2)はほとんどなく、多孔質(3)のみであ
った。
次に、原料として、熱硬化性樹脂の粒状素材を用いて
多層材を形成する場合について説明する。この場合も、
融合層(2)も形成される製法、多孔質層(3)のみ
形成される製法−1の順で説明する。
製法 製法と同様にして凹側金型の壁部の温度は、粒状素
材の軟化する温度以上で熱分解以下にセットされ、凸側
金型の壁部の温度は、凹側の壁部の温度よりも低い粒状
素材の軟化する温度付近にセットされる。ここにおいて
両金型内に熱硬化性樹脂、例えばフェノール、PBT(ポ
リブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレ
フタレート)などの粒状素材で直径0.2〜3mm程度の粒子
を、バインダーとなる例えばセルロース、ワニス、各種
接着剤などと混合して投入し、両金型を加圧しながら閉
じ、数分〜数時間加熱する。この加熱は上述した両金型
のセット温度で行なわれ、加圧力は加熱状態で1kg/cm2
〜数ton/cm2である。
このようにすると、凹側金型の高温壁部に接触した粒
状素材は、軟化し、バインダーで接着されて比重の大き
い層となり、軟化の程度により、通気性から非通気性に
変化する。凸側金型の壁部は凹側金型壁部より低温のた
め、凸側金型壁部から上記の比重の大きい層(2)まで
の粒状素材は、完全流動までには至らないが、半流動状
態で、粒状素材各々が接触部分でバインダーで接着され
て、最終的には、上記の比重の大きい層(2)に接着し
た多孔質層(3)が一体的に形成される。この多孔質層
(3)は通常は通気性であるが、バインダーの混合量が
多くなると、非通気性になる。
製法−1 製法において、凹側金型の壁部の温度を200℃にセ
ットし、凸側金型の壁部の温度を150℃にセットし、熱
硬化性樹脂として、フェノール樹脂(明和化成株式会社
製、MW−752(グレード)、軟化する温度190℃)で直径
1mmの粒状素材を、バインダーとなる粉末状セルロース1
5重量%と共に金型に入れ、両金型を閉じた。両壁面間
の距離は10mmであった。この状態で10分間程経過(つま
り加熱状態を持続)させて両金型を開放した。なお加熱
状態のときの加圧力は50kg/cm2であった。このようにし
て成形した多層材(1)は厚さが10mmで、その中の比重
の大きい層(2)はほとんどなく、多孔質層(3)のみ
であった。
尚、前述の製法,においては、高温側及び低温側
金型の各壁部の温度を一定に保った上で、原料を投入す
る例であるが、例えば、両金型が常温の状態で、原料を
投入し、その後金型温度を所定の温度に向って昇温させ
る過程で成形体を取り出す方法でも、同様の多層材を形
成させ得る。この場合の成形を取り出すときの高温側、
低温側金型の温度差は、実験の結果、極めてわずかな温
度差例えば2℃でも可能であった。この温度差は素材の
材質、大きさ、形状などの性状、金型の昇温速度、加圧
力などによって変わるものである。その他、凹側金型の
壁部と凸側金型の壁部とに温度差を設ける方法として、
凸側金型の壁部を、例えばPBT(ポリブチレンテレフタ
レート)樹脂、FRP(fiber reinforced placties)樹脂
等の熱伝導性の悪い材質で構成してもよい。又、両金型
を同材質で大きさを変えてもよい。要は材質と大きさに
基因する熱容量及びヒーターの発熱量の大きさの組合せ
により両金型に所望の温度差を、過渡的に又定温的に設
定すればよい。
さらに、多層材の多孔質層の比重を、多孔質層の層の
面方向に変化させようとするには、低温側の金型の温度
を上記層の面方向に沿って変化させればよい。すると低
温側の金型の中でも、より高温部に対向する多孔質層部
分は、比重が大きくなり、より低温部に対向する多孔質
層部分は比重が小さくなる。
一方、上述の製法においては、多層材が一体的に成形
できるので、金型を変えることにより、種々の形状、特
に複雑な形状の多層材にも容易に対応できる。
次に、このようにして製造された、層の厚さ方向もし
くは層の面方向に比重を連続的に変化させた多孔質層の
吸音特性について説明する。
第9図は、製法−1で成形された厚さ10mmの多孔質
構造体(ほとんど全域多孔質層)における厚さ方向の空
孔率(比重)分布例を示す図である。
図中、曲線A,Cは、空孔率が厚さ方向にほぼ一様な特
性を示し、それぞれ約25(%)、約10(%)のものであ
る。曲線Bは、空孔率が厚さ方向に分布を有し、10〜25
(%)の範囲で連続的に変化しているものである。
この種の多孔質構造体を吸音材として利用する場合に
は、その吸音特性が問題になる。第10図は第9図に示す
三種類の空孔率分布を有するサンプルにおける垂直入射
吸音率をJIS A1405「管内法による建築材料の垂直入射
吸音率の測定法」により測定した結果を示す。尚、曲線
Bの厚さ方向に空孔率分布を有するサンプルでは、空孔
率が10(%)の方を音波が入射する面とした。図から判
るように、空孔率分布を有するサンプル(曲線B)が最
も吸音率特性が良いことを確認した。
この理由は、次のように考えられる。上記のJISに規
定されている測定においては、その構成を第11図に示す
ように被測定体(多孔質体)(1)の背面は剛壁(30)
である。従って、音波(31)が多孔質体(1)内に入射
された場合、その音波(31)の粒子速度は剛壁面(30)
で零となる。粒子速度は、剛壁面(30)から離れ入射面
に近づく程大きくなり、入射面位置(32)が最大であ
る。音波が吸収される原理は、音波が多孔質体(1)内
の細い隙間の中を伝播する行程において、その壁面との
粘性効果によって音響エネルギーが熱エネルギーに変換
され消散されることによる。一方、粘性効果は、粒子速
度が大きくなるほど顕著となるので、多孔質体の入射面
の空孔率が全体の吸音特性に大きく影響する。
以上より、空孔率が小さいほど、多孔質体(1)の隙
間が細くなり粘性効果が大きくなるが、空孔率が小さく
なり過ぎるとかえって音波が多孔質体(1)内に侵入し
にくくなり吸音率は低下してくる。第9図及び第10図に
おいて、曲線Aのサンプルは空孔率が大き過ぎ、また曲
線Cのものは空孔率が小さ過ぎて最適な粘性効果が得ら
れていないと言える。曲線Bのものは、多孔質体(1)
の音波入射面(粒子速度最大位置)が最適な空孔率であ
り、かつ剛壁側へ行くほど空孔率が大きくなっているの
で音波が多孔質体(1)の深部にまで容易に入射でき、
その結果吸音特性が優れていることを示している。
次に、多孔質体の面方向に空孔率(比重)を変化させ
ることによる吸音特性の改善効果について説明する。第
12図は、三種類のサンプルの厚さ方向の空孔率の変化を
示し、曲線A→B→Cの順で空孔率が小さくなってい
る。このときの吸音特性を第13図に示す。この図より、
吸音率のピーク周波数は大きく変わることがわかる。特
に、音波入射面側の空孔率を小さくすれば(曲線Cに相
当)、低周波域の吸音率が向上する。従って、多孔質体
の面方向の空孔率に分布を持たせることにより、様々な
吸音周波数特性を得ることができる。例えば第12図のA,
B,Cのような厚さ方向に空孔率分布をもった領域が面方
向に分布すれば、その吸音周波数特性は0.8〜2.5KHzに
広いピークを持つことになり、広い周波数帯域で良好な
吸音特性を得ることができる。
上記多孔質体は厚さが10(mm)であったが、厚さを10
0(mm)にした場合の吸音特性について説明する。
第14図に三種類のサンプルの空孔率分布を示し、第15
図にそれらの垂直入射吸音率を示す。これらの図より、
厚さが100(mm)の場合は、厚さが10(mm)の場合とは
逆の特性となっていることが判る。即ち、厚さが100(m
m)の場合は、空孔率が剛壁側に向って小さくなる方
(曲線C)が吸音特性が良くなっている。この理由は、
次のように考えられる。
厚さが厚くなると音波が多孔質体内を伝播する距離が
長くなるので、伝播途中で音波が反射される量が多くな
る。吸音特性は反射量が少ない方が良くなるので、この
ためには、音波が入射する空気側の固有音響インピーダ
ンス(空気の密度と音速の積)と多孔質体の音響インピ
ーダンスとの不連続を無くすと効果的である。すなわ
ち、空気側に面する多孔質体の空孔率を大きめにしてそ
の音響インピーダンスを空気の固有音響インピーダンス
に接合させ、剛壁側に向って徐々に空孔率を小さくさせ
ていく方が、多孔質体の厚さが厚い場合には吸音特性が
良好になる。
以上のように、多孔質体の最適な空孔率分布はその厚
さによって異なってくるが、いずれにせよ連続的な変化
を与えることにより、良好な吸音特性を得ることができ
ることを確認した。
以上説明した多孔質層を形成する樹脂粒は形状が球状
のほか、円筒状、円柱状、立法体などでもよい。ひげ付
きの熱可塑性樹脂粒はひげの部分が溶融しやすいので、
原料として良好である。又多層材の軽量化を図る目的
で、例えば発泡した中空粒状素材や発泡性素材を原料と
して利用することもできる。又補強用として原料に短繊
維を混入させてもよいし、バインダーとして糸状の熱可
塑性樹脂を原料に混入させてもよい。
尚、多孔質体としての特性、特に吸音特性に対し、粒
状素材の形状や長径には、より優れた特性を有する範囲
があることを確認した。以下、説明する。
第16図は、粒状素材の形状を変えた場合の垂直入射吸
音率の特性のバラツキ(サンプル数5個での特性バラツ
キ)を示す図である。曲線Aは粒状素材が直径0.8(m
m)、長さ(1mm)の円筒形状のもの、曲線Bは直径1
(mm)の球体状のものである。尚、いずれも多孔質層の
厚さは10(mm)であり、吸音率を測定した周波数は2
(KHz)である。同図より、球体状のもの(曲線B)
は、サンプルの違いによる特性の差が少なく、極めて安
定していることが判る。この理由は、球体状の場合粒状
素材どうしの接触点が一個所となるので、成形時に粒状
素材の層状態が安定して均一になるためである。
このように、特にサンプル間で特性の安定性を要する
場合などには球体状(球体もしくは楕円体)にする方
が、より好ましい多孔質構造体を得ることができる。
また、吸音特性は、粒状素材の長径によっても異なる
ことを確認した。第17図に、粒状素材の長径と吸音率の
関係を示す。サンプルの厚さは10(mm)で、測定周波数
は2(KHz)である。粒状素材を径を小さくし過ぎた
り、大きくし過ぎたりすると、音波が多孔質体内に侵入
しにくくなったり、多孔質体の固有音響インピーダンス
が空気側の固有音響インピーダンスと整合しなくなった
りして吸音率が低下する。同図より、粒状素材の長径
は、実用的な範囲では0.2〜3.0(mm)、好ましくは1.0
〜2.0(mm)の範囲とすることにより、吸音特性を良好
にできることを確認した。
以上により多孔質構造体(1)の説明を終る。
次に、第1図及び第2図に示す実施例は多孔質層の空
孔率を層の厚さ方向に連続的に変化させて、吸音性能上
最適な比重分布を実現することによって多孔質構造体を
厚くすることなく十分な吸音性能を確保したもの。及び
多孔質体の比重を面方向に連続的に変化させて、吸音特
性上最適な騒音周波数に合わせることによって吸音周波
数特性を向上させたもの、即ち多孔質構造体の空孔率が
厚さ方向もしくは面方向のうち少なくともいずれか一方
に連続的に変化したものを示したが、変化させない均一
な多孔質構造体をもちいても、従来の吸音照明器具より
も吸音性能が向上していることは明らかであり、本発明
においては吸音効果及び照明効果、外観からその密度を
決定できる。
以上は多孔質構造体背面をすべて天井または壁とした
が、反射板などの照明器具としても明らかに同様な効果
が期待できる。
第1図及び第2図に示す実施例では、照明器具前面に
透明または半透明な硬質の多孔質構造体を配置したもの
であるが、第3図に示す実施例のように、照明器具(蛍
光灯など)(25)の背面に多孔質構造体(1)を配置
し、多孔質構造体(1)の背面に上部反射板(27)を設
け、上部反射板(27)と多孔質構造体(1)との間に背
面空気層を構成する。照明器具(蛍光灯)(25)の前面
には下部反射板(28)を設け、照明器具(25)からの光
は全て多孔質構造体(1)または上部反射板(27)によ
って反射または拡散され、照度分布はより一層一様化さ
れる。
また他の実施例では、異なる材質の粒状素材を用いる
ことで透過または反射、拡散などの効果を得、吸音効果
を持ちながら美観を向上させることができる。
また他の実施例では、蛍光または夜光塗料を含む素材
を用いる。蛍光または夜光塗料の発光、反射によって照
明効果を上げることができる。
以上のような多孔質構造体を用いた実施例として、第
4図及び第5図のようにエレベータかご内に、本発明に
よる吸音照明装置を用いた例を示す。第18図にエレベー
タかご稼働時の従来のエレベータかごと本発明による吸
音照明装置を取り付けたかご内の騒音の比較を1オクタ
ーブ分析として示す。図より、明らかに騒音が低減して
いることがわかる。この理由を以下に示す。第19図に従
来のエレベータかご内の平均吸音率と本発明を取り付け
たエレベータかご内の平均吸音率の比較を示す。第18図
より騒音の周波数は125〜500(Hz)であり、この周波数
帯での従来のエレベータかごの平均吸音率は第19図に示
すように、2%程度である。このようにエレベータかご
内には吸音性能をもつ部品はほとんどなく、また狭い空
間であるために残響効果が極めて高い。ここで本発明に
よる吸音照明装置を用いると、125〜500(Hz)での平均
吸音率は20%となり、かご内の吸音能力が増加する。吸
音能力の増加にともないエレベータかご内の残響音場が
減衰し騒音値が減少する。
[発明の効果] 本発明は、以上説明したように構成されているので、
以下に記載されるような効果を奏する。
照明器具と、前記照明器具前面に配置され、長径が0.
2〜3.0mmの樹脂の粒状素材から形成され、透明または半
透明で通気性を有する多孔質構造体とを備え、前記多孔
質構造体によって光を透過または反射、拡散する照明効
果をもたせ、さらに前記多孔質構造体と前記照明器具と
の間に形成される背面空気層とにより吸音部を構成した
ので、室内の吸音力を高め、室内騒音を低減でき、従来
の吸音照明カバーに比べ、照度分布差及び直接的な光の
漏れ量が少ない快適な室内環境をつくり出すことができ
る。
照明器具と、前記照明器具背面に配置された透明また
は半透明な多孔質構造体とを有し、前記多孔質構造体に
よって光を透過または反射、拡散する照明効果をもた
せ、さらに前記多孔質構造体とその多孔質構造体背面に
配置した反射板との間に形成された背面空気層とにより
吸音部を構成したので、室内の吸音力を高め、室内騒音
を低減でき、従来の吸音照明カバーに比べ、照度分布差
及び直接的な光の漏れ量が少ない快適な室内環境をつく
り出すことができる。また多孔質構造体背面に反射板を
配置したことにより照度分布がより一層一様化される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す縦断面図、第2図は本
発明の他の実施例を示し、照明カバーを一部だけ多孔質
構造体で構成し、多孔質構造体でない部分と一体成形し
たものの縦断面図、第3図はさらに実施例を示し、照明
器具背面に多孔質構造体を、前記多孔質構造体の背面に
反射板を設けたことを示した縦断面図、第4図及び第5
図は本発明のまた他の実施例を示し、エレベータかご内
に吸音照明装置を用いた説明図、第6図は均一多孔質構
造体(背面空気層30mm、空孔率25%)と穴開き板(背面
空気層150mm)の垂直入射吸音率を比較した線図、第7
図は第1図において多孔質構造体の位置に穴開き板を置
いたときと多孔質構造体を用いたときの床における照度
分布の違いを示した線図、第8図(イ),(ロ)は夫々
新規な多層材(多孔質構造体)の模式的断面図、第9図
は本発明に使用する多孔質構造体の第1例の厚さに対す
る空孔率を示す曲線図、第10図は第9図に空孔率曲線を
示した多孔質構造体の垂直入射吸音率の特性曲線図、第
11図は垂直入射吸音率を測定するときの構成図、第12図
は本発明に使用する多孔質構造体の第2例の厚さに対す
る空孔率を示す曲線図、第13図は第12図に空孔率曲線を
示した多孔質構造体の垂直入射吸音率の特性曲線図、第
14図は本発明に使用する多孔質構造体の第3例の厚さに
対する空孔率を示す曲線図、第15図は第14図に空孔率曲
線を示した多孔質構造体の垂直入射吸音率の特性曲線
図、第16図は多孔質層を形成する粒状素材の形状を変え
た場合の垂直入射吸音率の特性のバラツキを示す線図、
第17図は粒状素材の直径と吸音率の関係を示す特性図、
第18図は従来のエレベータかご内の騒音と本発明による
吸音照明装置を取り付けたエレベータかご内の騒音を1
オクターブ分析にして比較した線図、第19図は従来エレ
ベータと本発明による吸音照明装置を取り付けたエレベ
ータ内の吸音力を比較した線図、第20図は従来の吸音照
明装置の斜視図である。 図において、(1)は多孔質構造体、(22)は目地板、
(23)は止め部材、(24)は天井、(25)は蛍光灯、
(26)は止め金、(27)は上部反射板、(28)は下部反
射板、(29)はエレベータ天井、(210)はエレベータ
側面、(211)はエレベータ床、(212)はエレベータド
アである。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】照明器具と、前記照明器具前面に配置さ
    れ、長径が0.2〜3.0mmの樹脂の粒状素材から形成され、
    透明または半透明で通気性を有する多孔質構造体とを備
    え、前記多孔質構造体によって光を透過または反射、拡
    散する照明効果をもたせ、さらに前記多孔質構造体と前
    記照明器具との間に形成される背面空気層とにより吸音
    部を構成したことを特徴とする照明装置。
  2. 【請求項2】照明器具と、前記照明器具背面に配置され
    た透明または半透明な多孔質構造体とを備え、前記多孔
    質構造体によって光を透過または反射、拡散する照明効
    果をもたせ、さらに前記多孔質構造体とその多孔質構造
    体背面に配置した反射板との間に形成された背面空気層
    とにより吸音部を構成したことを特徴とする照明装置。
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