JP2698725B2 - 自己伸長性太細糸の製造方法及び異収縮混繊糸の製造方法 - Google Patents

自己伸長性太細糸の製造方法及び異収縮混繊糸の製造方法

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JP2698725B2
JP2698725B2 JP4083237A JP8323792A JP2698725B2 JP 2698725 B2 JP2698725 B2 JP 2698725B2 JP 4083237 A JP4083237 A JP 4083237A JP 8323792 A JP8323792 A JP 8323792A JP 2698725 B2 JP2698725 B2 JP 2698725B2
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松美 田中
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、長手方向に沿って繊
維の結晶に配向むらがある合成繊維太細糸に自己伸長性
が付与されてなる自己伸長性太細糸の製造方法及び上記
の自己伸長性太細糸を用いた異収縮混繊糸の製造方法に
関するものであり、特に、布帛を製造して熱処理等の処
理を施すことにより、自己伸長性太細糸が伸びて、充分
な嵩高性を示すと共に、この自己伸長性太細糸が表面に
現れて、従来にない風合いや感触を持つ布帛が得られる
ようにした点に特徴を持つものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、未延伸状態で紡糸された未延
伸糸を自然延伸倍率以下で延伸させることにより、長手
方向に沿って繊維の結晶に配向むらが生じ、延伸された
糸に太い繊維部分と細い繊維部分とが発生した合成繊維
太細糸が得られるということが知られていた。
【0003】そして、このようにして得られた合成繊維
太細糸を染色した場合、結晶の配向が低い太い繊維部分
が濃く染色される一方、結晶の配向が進んだ細い繊維部
分が薄く染色されて、染色に濃淡が生じるため、この合
成繊維太細糸を用いて布帛を製造し、その後、この布帛
を染色して濃淡の染色むらがある霜降り状の布帛を得る
ことが行われていた。
【0004】また、従来においては、収縮性の異なる糸
を混繊,交絡させて異収縮混繊糸を製造することが行わ
れていた。
【0005】そして、このように製造された異収縮混繊
糸に熱処理等の処理を施すと、この異収縮混繊糸を構成
する糸間において収縮差が発現するため、このような異
収縮混繊糸を用いて布帛を製造し、その後、この布帛に
熱処理等の処理を施して、布帛に膨らみ感を付与するこ
とが行われていた。
【0006】ここで、このような異収縮混繊糸として、
従来においては、延伸工程において熱処理条件を異なら
せて熱収縮率が異なる2種類の糸を製造し、このように
熱収縮率が異なる2種類の糸を合撚して巻き取った異収
縮混繊糸や、高速紡糸法によって得られた高収縮性の糸
と通常の方法で得られた低収縮性の糸とを混繊させた異
収縮混繊糸等が一般に用いられていた。
【0007】しかし、上記のような異収縮混繊糸におい
ては、熱処理等の処理を施した際における各糸間の収縮
率の差が少なく、このため、このような異収縮混繊糸を
用いて布帛を製造し、この布帛に熱処理等の処理を施し
たとしても、充分な膨らみ感を持つ布帛が得られなかっ
た。
【0008】そこで、従来においては、特開平2−53
926号公報に示されるように、自己伸長性を有するフ
ィラメントと収縮性を有するフィラメントとを合撚させ
て巻き取った異収縮混繊糸が開発された。
【0009】ここで、このような異収縮混繊糸に熱処理
等の処理を施した場合、自己伸長性を有するフィラメン
トが伸張する一方、収縮性を有するフィラメントが収縮
するため、両者の収縮率の差が大きくなり、この異収縮
混繊糸を用いて布帛を製造した後、この布帛に熱処理等
の処理を施すと、自己伸長性を有するフィラメントが浮
き上がって充分な膨らみ感を持つ布帛が得られるように
なった。
【0010】しかし、このように自己伸長性を有するフ
ィラメントと収縮性を有するフィラメントを合撚させた
異収縮混繊糸を用いて布帛を製造し、この布帛に熱処理
等の処理を施した場合であっても、布帛における風合い
や染色した場合における染色状態等は、従来の異収縮混
繊糸を用いて製造した布帛と大きな変化はなく、新たな
布帛を提供するという意味では満足できるものではなか
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来の布
帛とは非常に異なった風合いや染色状態になった布帛を
得るために、新たな糸を開発することを課題とするもの
である。
【0012】この発明においては、布帛に熱処理等の処
理を施した場合に、充分な膨らみ感を持つと共に、従来
の布帛にない風合いを有し、またこの布帛を染色した場
合にも、従来の布帛とは非常に異なった染色状態の布帛
が得られる糸を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明における自己伸
長性太細糸の製造方法においては、上記のような課題を
解決するため、未延伸状態で紡糸された合成繊維糸を1
0〜60℃の低温下において1.1〜1.6倍の低延伸
倍率で延伸させて繊維の結晶に配向むらがある合成繊維
太細糸を製造し、この合成繊維太細糸を60℃以下の温
度で1.5〜2.5倍延伸させた後、この合成繊維太細
糸をリラックス状態で熱処理して自己伸長性を付与する
ようにしたのである。
【0014】ここで、上記の合成繊維太細糸における結
晶の配向むらは、シック部において複屈折率(Δn)が
20〜50×10-3、シン部において複屈折率が90〜
120×10-3程度が好ましい。
【0015】また、上記の長手方向に沿って繊維の結晶
に配向むらがある合成繊維太細糸を製造するにあたって
は、一般に、1000〜1600m/minの低速で紡
糸させた未延伸糸を用い、この未延伸糸に対して、ガラ
ス転移点以下の温度である10〜60℃、好ましくは、
30〜55℃の低温下において、1.1〜1.6倍程度
の低延伸を行い、繊維の結晶むらに配向がある合成繊維
太細糸を得るようにする。
【0016】なお、合成繊維太細糸を得る方法は、特に
上記のような方法に限定されるものでなく、紡糸させる
際の紡糸ドラフトを低くして、低延伸倍率で延伸させて
上記の合成繊維太細糸を製造するようにしてもよい。
【0017】また、上記のようにして得られた合成繊維
太細糸に対して自己伸長性を付与するにあたっては、上
記のように60℃以下の温度、好ましくは30〜50℃
の温度で、上記の合成繊維太細糸に対して1.5〜2.
5倍程度の中程度の延伸を行い、その後、このように延
伸された合成繊維太細糸をリラックス状態で熱処理させ
るようにする。なお、延伸された合成繊維太細糸を熱処
理するにあたっては、一般に200〜280℃の高温下
で熱処理させることが好ましい。
【0018】また、この発明においては、上記のように
して製造された自己伸長性を有する自己伸長性太細糸と
高収縮性の糸とを混繊,交絡させて異収縮混繊糸を製造
するようにした。
【0019】ここで、上記の自己伸長性太細糸と混繊,
交絡させる高収縮性の糸としては、この異収縮混繊糸に
熱処理等の処理を施した際に、上記の自己伸長性太細糸
と充分な収縮差を示し、異収縮混繊糸が充分な嵩高性を
持つようにするため、一般にその熱収縮率が10%以上
の収縮性を示す糸を用いるようにする。
【0020】
【作用】この発明における自己伸長性太細糸の製造方法
においては、上記のように長手方向に沿って繊維の結晶
に配向むらがある合成繊維太細糸を延伸させた後、リラ
ックス状態で熱処理して自己伸長性を付与するようにし
たため、この自己伸長性太細糸に熱処理等の処理を施す
と、この自己伸長性太細糸が伸びるようになる。
【0021】また、この自己伸長性太細糸と高収縮性の
糸とを混繊,交絡させて異収縮混繊糸を製造した場合に
おいて、この異収縮混繊糸に熱処理等の処理を施すと、
上記の自己伸長性太細糸が伸びる一方、上記の高収縮性
の糸が大きく収縮して、上記の自己伸長性太細糸が大き
く浮き上がり、異収縮混繊糸が充分な嵩高性を示すよう
になる。
【0022】そして、このような異収縮混繊糸を用いて
布帛を製造し、この布帛に熱処理等の処理を施すと、上
記のように自己伸長性太細糸が伸びる一方、上記の高収
縮性の糸が大きく収縮して、自己伸長性太細糸が大きく
浮き上がり、充分な嵩高性を示す布帛が得られるように
なる。
【0023】また、この布帛を染色すると、上記の自己
伸長性太細糸において結晶の配向が悪い太い繊維部分が
濃く染色される一方、結晶の配向が進んでいる細い繊維
部分は薄く染色され、この自己伸長性太細糸に濃淡の染
色差が生じるようになる。
【0024】さらに、熱処理等の処理と染色とが組み合
わされると、太い繊維部分と細い繊維部分とで濃淡の染
色差がある自己伸長性太細糸が大きく浮き上がり、従来
にはない風合いを有すると共に、従来の布帛とは非常に
異なった染色状態の布帛が得られるようになる。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例について具体的に説
明すると共に、比較例を挙げ、この発明の実施例に係る
糸が優れていることを明らかにする。
【0026】(実施例1) この実施例においては、固有粘度[η]が0.640の
ポリエチレンテレフタレート(セミダル)を溶融し、こ
れを紡糸温度293℃で36個の紡糸孔を通して紡糸さ
せ、このように紡糸された糸を引取速度1470m/m
inで引き取って巻き取り、75デニール/36フィラ
メントの未延伸状態のマルチフィラメント糸を得た。な
お、上記の固有粘度[η]は、フェノールとテトラクロ
ルエタンとが6:4になった混合溶媒中において20℃
で測定した。
【0027】次に、図1に示すように、上記のようにし
て巻き取った未延伸状態にあるマルチフィラメント糸1
を、周速416m/minで回転する第1の供給ローラ
11によって引き出し、このように引き出されたマルチ
フィラメント糸1を周速420m/minで回転する第
2の供給ローラ12に導き、温度45℃でこの第2の供
給ローラ12を通した後、このマルチフィラメント糸1
がヒータ14と接触しないようにして、このマルチフィ
ラメント糸1を温度135℃のヒータ14によって加熱
し、周速596m/minで回転するドローローラ15
に導いて1.43倍に延伸させた後、これを巻き取るよ
うにした。
【0028】このようにして未延伸状態にあるマルチフ
ィラメント糸1に延伸処理を行うと、繊維の結晶に配向
むらが生じ、太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成
繊維太細糸1aが得られた。
【0029】次いで、上記のように延伸処理されて巻き
取られた太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成繊維
太細糸1aを、図2に示すように、周速416m/mi
nで回転する第1の供給ローラ11によって引き出した
後、この合成繊維太細糸1aを周速832m/minで
回転する第3の供給ローラ13に導いて、この合成繊維
太細糸1aを2.00倍延伸させた後、このように延伸
された合成繊維太細糸1aがヒータ14と接触しないよ
うにして、この合成繊維太細糸1aを温度265℃のヒ
ータ14によって加熱し、周速624m/min(リラ
ックス率0.75)で回転するドローローラ15に導い
て、上記合成繊維太細糸1aをリラックス状態で熱処理
して自己伸長性を付与し、このように自己伸長性が付与
された自己伸長性太細糸1bを巻き取るようにした。
【0030】なお、このようにして得た自己伸長性太細
糸1bを160℃で乾熱処理した場合、この自己伸長性
太細糸1bは4.7%伸長した。
【0031】(実施例2) この実施例においては、上記実施例1の場合と同様にし
て得た未延伸状態のマルチフィラメント糸1を用いるよ
うにした。
【0032】そして、この実施例においては、上記の未
延伸状態のマルチフィラメント糸1を、図1に示すよう
に、周速416m/minで回転する第1の供給ローラ
11によって引き出し、このように引き出されたマルチ
フィラメント糸1を周速420m/minで回転する第
2の供給ローラ12に導き、温度45℃でこの第2の供
給ローラ12を通した後、このマルチフィラメント糸1
がヒータ14と接触しないようにして、このマルチフィ
ラメント糸1を温度135℃のヒータ14によって加熱
し、周速832m/minで回転するドローローラ15
に導いて2.00倍に延伸させた後、これを巻き取るよ
うにし、繊維の結晶に配向むらが生じて太い繊維部分と
細い繊維部分とを持つ合成繊維太細糸1aを得た。
【0033】次いで、上記のように延伸処理されて巻き
取られた太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成繊維
太細糸1aを、図2に示すように、周速416m/mi
nで回転する第1の供給ローラ11によって引き出した
後、この合成繊維太細糸1aを周速603m/minで
回転する第3の供給ローラ13に導いて、この合成繊維
太細糸1aを1.45倍に延伸させた後、このように延
伸された合成繊維太細糸1aがヒータ14に接触させな
いようにして、この合成繊維太細糸1aを温度265℃
のヒータ14に接触させないようにして加熱し、周速4
52m/min(リラックス率0.75)で回転するド
ローローラ15に導いて、上記合成繊維太細糸1aをリ
ラックス状態で熱処理して自己伸長性を付与し、このよ
うに自己伸長性が付与された自己伸長性太細糸1bを巻
き取るようにした。
【0034】なお、このようにして得た自己伸長性太細
糸1bを160℃で乾熱処理した場合、この自己伸長性
太細糸1bは3.3%伸長した。
【0035】(実施例3) この実施例においても、上記実施例1の場合と同様にし
て得た未延伸状態のマルチフィラメント糸1を用いるよ
うにした。
【0036】そして、この実施例においては、上記の未
延伸状態のマルチフィラメント糸1を、図1に示すよう
に、周速416m/minで回転する第1の供給ローラ
11によって引き出し、このように引き出されたマルチ
フィラメント糸1を周速420m/minで回転する第
2の供給ローラ12に導き、温度45℃でこの第2の供
給ローラ12を通した後、このマルチフィラメント糸1
がヒータ14に接触しないようにして、このマルチフィ
ラメント糸1を温度135℃のヒータ14によって加熱
し、周速1019m/minで回転するドローローラ1
5に導いて2.45倍に延伸させた後、これを巻き取る
ようにし、繊維の結晶に配向むらが生じて太い繊維部分
と細い繊維部分とを持つ合成繊維太細糸1aを得た。
【0037】次いで、上記のように延伸処理されて巻き
取られた太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成繊維
太細糸1aを、図2に示すように、周速416m/mi
nで回転する第1の供給ローラ11によって引き出した
後、この合成繊維太細糸1aを周速437m/minで
回転する第3の供給ローラ13に導いて、この合成繊維
太細糸1aを1.05倍に延伸させた後、このように延
伸された合成繊維太細糸1aがヒータ14と接触しない
ようにして、この合成繊維太細糸1aを温度265℃の
ヒータ14によって加熱し、周速334m/min(リ
ラックス率0.764)で回転するドローローラ15に
導いて、上記合成繊維太細糸1aをリラックス状態で熱
処理して自己伸長性を付与し、このように自己伸長性が
付与された自己伸長性太細糸1bを巻き取るようにし
た。
【0038】なお、このようにして得た自己伸長性太細
糸1bを160℃で乾熱処理した場合、この自己伸長性
太細糸1bは2.7%伸長した。
【0039】(比較例1) この比較例においては、上記の各実施例において用いた
のと同じポリエチレンテレフタレート(セミダル)を用
い、これを溶融させて紡糸温度293℃で48個の紡糸
孔を通して紡糸させ、このように紡糸されたものを引取
速度1480m/minで引き取って巻き取り、90デ
ニール/48フィラメントの未延伸状態のマルチフィラ
メント糸を得た。
【0040】そして、図3に示すように、上記のように
巻き取られた未延伸状態のマルチフィラメント糸1を、
周速1080m/minで回転する第1の供給ローラ2
1によって引き出し、このように引き出されたマルチフ
ィラメント糸1を温度111℃のヒータ23に接触させ
て加熱し、その後、このマルチフィラメント糸1を周速
2646m/minで回転する第2の供給ローラ22に
導き、温度66℃でこの第2の供給ローラ22を通し、
上記のマルチフィラメント糸1を2.45倍延伸させ
て、これを巻き取り、繊維の結晶に配向むらが生じて太
い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成繊維太細糸1a
を得た。
【0041】なお、このようにして得られた合成繊維太
細糸1aを160℃で乾熱処理した場合、この合成繊維
太細糸1aは5.0%収縮した。
【0042】(実施例4) この実施例においては、自己伸長性太細糸と高収縮性の
糸とを混繊,交絡させて異収縮混繊糸を製造する方法に
ついて説明する。
【0043】ここで、この実施例においては、上記実施
例1の場合と同様にして、未延伸状態にあるマルチフィ
ラメント糸1を延伸処理して製造した太い繊維部分と細
い繊維部分とを持つ合成繊維太細糸1aを用いる一方、
高収縮性の糸2としては、ポリエチレンテレフタレート
にイソフタル酸を8.0モル%共重合させた変性ポリエ
ステル(セミダル)を用い、これを常法により紡糸させ
て得た50デニール/24フィラメントの変性ポリエス
テルマルチフィラメント糸2を用いるようにした。
【0044】なお、この変性ポリエステルマルチフィラ
メント糸2は160℃で乾熱処理した場合、30.6%
収縮した。
【0045】そして、上記の合成繊維太細糸1aに自己
伸長性を付与するため、図4に示すように、この合成繊
維太細糸1aを上記実施例1の場合と同様に、周速41
6m/minで回転する第1の供給ローラ11によって
引き出した後、この合成繊維太細糸1aを周速832m
/minで回転する第3の供給ローラ13に導いて、こ
の合成繊維太細糸1aを2.00倍延伸させた後、この
ように延伸された合成繊維太細糸1aがヒータ14に接
触しないようにして、この合成繊維太細糸1aを温度2
65℃のヒータ14によって加熱し、その後、周速62
4m/min(リラックス率0.75)で回転するドロ
ーローラ15に導いて、上記合成繊維太細糸1aをリラ
ックス状態で熱処理し、上記実施例1と同様の自己伸長
性太細糸1bを得た。
【0046】次いで、このようにして自己伸長性が付与
された自己伸長性太細糸1bと、前記の高収縮性の変性
ポリエステルマルチフィラメント糸2とを合糸させて交
絡装置16に導き、この交絡装置16において、自己伸
長性太細糸1bと高収縮性の変性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸2とを交絡させた後、これを巻き取って異
収縮混繊糸3を得た。
【0047】ここで、このようにして得た異収縮混繊糸
3を乾熱処理した場合、上記の自己伸長性が付与された
自己伸長性太細糸1bが4.7%伸張する一方、上記の
高収縮性の変性ポリエステルマルチフィラメント糸2が
30.6%収縮し、両者の収縮差が35.3%になって
いた。
【0048】また、この実施例4の異収縮混繊糸3に上
記のようにして熱処理すると、この異収縮混繊糸3は、
図5に示すように、上記の太い繊維部分と細い繊維部分
とを持つ自己伸長性太細糸1bが高収縮性の変性ポリエ
ステルマルチフィラメント糸2から大きく浮き上がった
状態になった。
【0049】(比較例2) この比較例においては、上記の比較例1において得た合
成繊維太細糸1aに自己伸長性を付与することなく、こ
の合成繊維太細糸1aを上記実施例4において使用した
高収縮性の変性ポリエステルマルチフィラメント糸2と
合糸させて上記の交絡装置16に導き、この交絡装置1
6において、上記合成繊維太細糸1aと変性ポリエステ
ルマルチフィラメント糸2とを交絡させた後、これを巻
き取って異収縮混繊糸を得た。
【0050】なお、このようにして得た異収縮混繊糸を
乾熱処理した場合、上記の合成繊維太細糸1aが伸張せ
ずに収縮するため、図5に示す実施例4の異収縮混繊糸
3のように、太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ自己
伸長性太細糸1bが高収縮性の変性ポリエステルマルチ
フィラメント糸2より大きく浮き上がるということはな
かった。
【0051】また、上記実施例4の異収縮混繊糸3を用
いて布帛を製造し、この布帛に熱処理を施すと、上記の
ように自己伸長性太細糸1bが伸びる一方、上記の高収
縮性の変性ポリエステルマルチフィラメント糸2が大き
く収縮して、布帛の表面において、太い繊維部分と細い
繊維部分とを持つ自己伸長性太細糸1bが大きく浮き上
がり、充分な嵩高性を示すと共に、従来の布帛とは非常
に異なった風合いを持つ布帛が得られた。
【0052】さらに、この布帛を染色すると、上記の自
己伸長性太細糸1bにおいて結晶の配向が充分に行われ
ていない太い繊維部分が濃く染色される一方、結晶の配
向が進んでいる細い繊維部分は薄く染色され、この自己
伸長性太細糸1bに濃淡の染色差が生じ、従来の布帛と
は非常に異なった染色状態を持つ布帛が得られた。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明における
自己伸長性太細糸の製造方法においては、長手方向に沿
って繊維の結晶に配向むらがある合成繊維太細糸を延伸
させた後、リラックス状態で熱処理して自己伸長性を付
与するようにしたため、この自己伸長性太細糸に熱処理
等の処理を施すと、この自己伸長性太細糸自体が伸びる
ようになった。
【0054】また、この発明における異収縮混繊糸の製
造方法においては、上記の自己伸長性太細糸と高収縮性
の糸とを混繊,交絡させて異収縮混繊糸を製造するよう
にしたため、この異収縮混繊糸に熱処理等の処理を施す
と、上記の自己伸長性太細糸が伸びる一方、上記の高収
縮性の糸が大きく収縮して、上記の自己伸長性太細糸が
大きく浮き上がり、異収縮混繊糸が充分な嵩高性を示す
ようになった。
【0055】さらに、このようにして製造された異収縮
混繊糸を用いて布帛を製造し、この布帛に熱処理等の処
理を施すと、自己伸長性太細糸が伸びる一方、高収縮性
の糸が大きく収縮して、自己伸長性太細糸が高収縮性の
糸から大きく浮き上がり、充分な嵩高性を示す布帛が得
られ、またこの布帛を染色すると、上記自己伸長性太細
糸において結晶の配向が悪い太い繊維部分が濃く染色さ
れる一方、結晶の配向が進んでいる細い繊維部分は薄く
染色され、この自己伸長性太細糸に濃淡の染色差が生じ
るようになった。
【0056】加えて、上記の布帛に対して熱処理等の処
理と染色とが組み合わせて行われると、太い繊維部分と
細い繊維部分とで濃淡の染色差がある自己伸長性太細糸
が大きく浮き上がり、従来にはない風合いを有すると共
に、従来の布帛とは非常に異なった染色状態の布帛が得
られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例において、未延伸状態にある
マルチフィラメント糸を繊維の結晶に配向むらが生じる
ように延伸させて、太い繊維部分と細い繊維部分とを持
つ合成繊維太細糸を製造する状態を示した概略説明図で
ある。
【図2】図1において得られた合成繊維太細糸を延伸さ
せた後、リラックス状態で熱処理して自己伸長性太細糸
を製造する状態を示した概略説明図である。
【図3】比較例1において、未延伸状態にあるマルチフ
ィラメント糸を繊維の結晶に配向むらが生じるように延
伸させて、太い繊維部分と細い繊維部分とを持つ合成繊
維太細糸を製造する状態を示した概略説明図である。
【図4】実施例4において、合成繊維太細糸に自己伸長
性を付与すると共に、この自己伸長性太細糸と高収縮性
の変性ポリエステルマルチフィラメント糸とを混繊,交
絡させて異収縮混繊糸を製造する状態を示した概略説明
図である。
【図5】実施例4において得られた異収縮混繊糸に熱処
理を行った後の各糸の状態を示した部分拡大説明図であ
る。
【符号の説明】
1 未延伸状態にある糸 1a 合成繊維太細糸 1b 自己伸長性太細糸 2 高収縮性の糸 3 異収縮混繊糸

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未延伸状態で紡糸された合成繊維糸を1
    0〜60℃の低温下において1.1〜1.6倍の低延伸
    倍率で延伸させて繊維の結晶に配向むらがある合成繊維
    太細糸を製造し、この合成繊維太細糸を60℃以下の温
    度で1.5〜2.5倍延伸させた後、この合成繊維太細
    糸をリラックス状態で熱処理して自己伸長性を付与する
    ことを特徴とする自己伸長性合成繊維太細糸の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 未延伸状態で紡糸された合成繊維糸を3
    0〜50℃の低温下において1.1〜1.6倍の低延伸
    倍率で延伸させて繊維の結晶に配向むらがある合成繊維
    太細糸を製造し、この合成繊維太細糸を30〜50℃の
    温度で1.5〜2.5倍延伸させた後、この合成繊維太
    細糸をリラックス状態で200〜280℃の温度で熱処
    理して自己伸長性を付与することを特徴とする自己伸長
    性合成繊維太細糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載した自己伸長性合
    成繊維太細糸の製造方法によって得られた自己伸長性合
    成繊維太細糸と、高収縮性の糸とを混繊,交絡させるこ
    とを特徴とする異収縮混繊糸の製造方法。
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