JP2697586B2 - コールタールの改質プロセス - Google Patents

コールタールの改質プロセス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コールタールの改質プ
ロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コークス炉で石炭乾留時に発生す
る600〜800℃のコークス炉ガスに含まれるコール
タール成分は、コークス炉上昇管部において大量の安水
フラッシングにより約80℃に冷却され、安水中で凝縮
した後、大量の安水およびコークス炉ガス等と共にドラ
イメイン配管を通ってタールデカンターに集められる。
タールデカンターでガス・液分離され、ガスラインに同
伴されるナフタリンおよびベンゾール類はデカンター後
のガスラインに設置された吸収塔において回収される。
デカンター内のコールタールは安水または石炭乾留時に
発生した水分、コークス炉ガスに同伴された石炭中の固
形分等と重力分離されタールタンクに回収される。安水
は一部リサイクルされ余剰分は水処理設備において処理
される。
【0003】製鉄所コークス炉で発生するコールタール
の約七割は沸点300℃程度以上の重質留分で、その内
の約半分は中ピッチと呼ばれる高沸点留分であるが、コ
ールタールはその発生プロセスにおいて、現状ではなん
ら特別の軽質化改質等の操作を受けていない。
【0004】このようなコールタールの重質留分を低分
子化して軽質化する改質方法が長年研究されている。こ
れらの研究の一つとして、例えば、水素化触媒を使用
し、圧力50〜150atm、温度約400 〜450 ℃の高温高圧の
反応条件下でコールタールを水素化加熱分解する方法等
によるコールタールの水素化分解に関する研究が数多く
報告されている(例えば、Fuel,vol.68,No.2,p.161-167
(1989),Fuel Process Technology,vol.20,No.1/3,P.24
9-256(1988) )。
【0005】また、コールタールを熱分解のみによって
低分子化して軽質化する方法も数多く研究されている。
例えば、コークス炉ガスの顕熱を利用してコールタール
を直接熱分解する方法(特開昭52-148506 号公報)が提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
コールタールの水素化分解方法では、コールタール中の
重質留分を軽質化するために、高温高圧の過酷な反応条
件下で、コールタール中の重質な高分子化合物を熱分解
して低分子化した後に、冷却されたときに互いに縮合し
て再び重質化するのを防止するために、水素添加して安
定な水素化低分子化合物とする必要がある。このような
プロセスは、製鉄所コークス炉プロセスの中で経済的な
実用プロセスとはなりえない。
【0007】また、高温高圧条件下での反応により、コ
ールタールの重質留分の軽質化が起こるのと同時に、コ
ールタールの軽質留分の一部でガス化が起こる。このた
め、コールタールの軽質留分の損失が生じる問題があ
る。
【0008】一方、後者のコールタールを直接熱分解す
る方法では、コールタールの重質留分が熱分解されて軽
質化されるのが、熱分解されたコールタールの重質留分
の一部は、再び縮合して重質化するため、コールタール
の改質を十分に達成できない。また、前者と同様に、コ
ールタールの軽質留分が熱分解過程で一部ガス化され、
コールタールの軽質留分の損失が生じる。
【0009】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、軽質留分に富んだコールタールを、比較的低圧
な条件下で経済的に得ることができると共に、改質され
たコールタールのうちの一部を発生したコールタールの
改質にリサイクルすることができるコールタールの改質
プロセスを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、コークス炉、
前記コークス炉で発生した直後のコークス炉ガスに水添
タールを噴霧する水添タール噴霧部、および、コールタ
ールを水添して前記水添タールとする水添処理装置を具
備し、前記コークス炉ガス中に含まれる石炭中の石炭高
分子構造体が熱分解することにより発生するコールター
ルの低分子ラジカルを、前記水添タールにより供与され
る水素原子と反応させて前記低分子ラジカルを水素化安
定化し、軽質留分に富んだ改質コールタールを得ると共
に、前記水添処理装置により、前記改質コールタールの
一部を水添して前記水添タールとし、前記水添タール噴
霧部により前記コークス炉ガスに前記水添タールを噴霧
し、前記石炭から発生した直後のコールタールの水素化
安定化に利用することを特徴とするコールタールの改質
プロセスを提供する。
【0011】以下、本発明のコールタールの改質プロセ
スをさらに詳細に説明する。コールタール、石炭液化油
あるいは石油系重質油の重質の程度を計る指標に重質油
中の炭素原子数に対する水素原子数の比がある。例え
ば、ナフタレン分子を例にとればその化学式はC108
であるので、炭素原子数に対する水素原子数の比H/C
は8/10=0.8であり、アントラセン分子(化学式
1410)ではH/Cは10/14=0.714であ
る。コークスの原料石炭では、炭種によって異なるもの
のH/Cは約0.65〜0.8である。コークス炉内に
おける石炭乾留プロセスにおいて、石炭中の水素分はコ
ークス炉発生ガス中の水素分あるいはコールタールの有
機化合物中の水素分などとしてほぼ全量原料石炭から放
出される。コークス炉の操業データとして、挿入石炭1
トンに対して発生するコークス炉ガスは300から40
0Nm3 程度であり、コールタールの発生量は挿入石炭
に対して約3〜5重量%である。コークス工場の操業デ
ータから計算すると、コークス炉を出た直後のコークス
炉発生ガス中に含まれる水素ガスが大量であるため、コ
ールタールに含有される水素量は少なく、コールタール
の平均のH/Cの値は原料石炭のH/C値0.6〜0.
8とほぼ同じである。すなわち、コールタールの多くの
部分が重質であるのはこの低いH/Cに起因する。従っ
て、発生するコールタールに水素原子を添加してH/C
を高くすれば、コールタールを軽質安定化させることが
可能となる。
【0012】製鉄所コークス炉において、石炭から放出
された直後の石炭乾留ガスの中には、石炭中の揮発分の
他に、石炭高分子構造体が熱分解して発生するコールタ
ールの低分子ラジカルが存在する。石炭高分子構造体と
は、Wiserの石炭モデル構造に示されるように、構
造単位である縮合した芳香族環を中心とした構造がメチ
レンやエーテル等により互いに結合しているものをい
う。この石炭高分子構造体が乾留時の高温(例えば、4
00〜1000℃)で熱分解されてガス状の低分子ラジ
カルが発生する。この低分子ラジカルは温度が低下する
と互いに縮合して高分子化し、コールタールの硬質留分
となる。すなわち、例えば、製鉄所コークス炉において
は、約700〜800℃のような高温で、炉から発生す
るコールタールの低分子ラジカルを含んだコークス炉ガ
スに大量の水を噴霧し、発生コークス炉ガスを瞬時に約
80℃の低温まで冷却する。この冷却工程において、低
分子ラジカルは水分中に凝集し、一部のラジカル同士が
縮合して高分子化する。これは凝集過程の水素が不足し
た状態で水素原子でラジカルが低分子のまま安定化する
ものの他に、ラジカル同士が縮合して高分子化すること
で安定化するからである。
【0013】そこで、本発明では、上述の石炭乾留ガス
が石炭から放出された直後、すなわち、高温で低分子ラ
ジカルが縮合する前の状態で、水添タール噴霧部で、コ
ークス炉ガスに水添タールを噴霧して接触させる。水添
タールは、コールタールに比べて水素原子を多く含有
し、水素供与能力を有する。このため、低分子ラジカル
は、高温雰囲気中で水素原子と反応して水素化される。
水素化された低分子ラジカルは、低分子化合物となって
安定化し、この後、冷却されても互いに縮合することが
ないので最終的に得られるコールタールは軽質分に富ん
だ所望の品質を有する。
【0014】また、本発明のコールタールの改質プロセ
スでは、上述のようにして得られた軽質留分に富んだコ
ールタール(以下、改質コールタールという)の一部
を、水添処理により水添して水添タールとして、上述の
低分子ラジカルの水素化安定化に再利用する。
【0015】
【作用】本発明のコールタールの改質プロセスは、コー
クス炉で発生した直後のコークス炉ガスに水添タール噴
霧部で水添タールを噴霧し、コークス炉ガスの中の低分
子ラジカルを、乾留処理時の顕熱による高温条件下で、
水添タールにより供与される水素原子と反応させて水素
化して安定化させることにより、低分子ラジカルが冷却
されて互いに縮合してコールタールの重質留分となるの
を阻止する。また、コールタールを発生期のガス状態で
反応を行わせるので、重質留分が多いコールタールを高
圧高温条件下で熱分解する工程が不要であるため、コー
ルタールの軽質留分が分解されてガス化することがな
い。また、得られた改質コールタールを水添処理装置で
水添して水添タールとし、低分子ラジカルの水素化安定
化に利用するので、水添タールの性状が安定している。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図1は、本発明のコールタールの改質プロ
セスの一例を示す概略図である。図中11は、コークス
炉である。コークス炉11の塔頂部には、内部で発生し
たコークス炉ガスを導出する上昇管部12が接続されて
いる。この上昇管部12には、配管13を介して安水タ
ンク14に接続されている。上昇管部12の下流端部
は、ドライメイン配管15に接続されている。ドライメ
イン配管15の下流端部は、タールデンカンター16に
接続されている。タールデカンター16には、後述の改
質コールタールを排出するための配管17が接続されて
いる。配管17の途中には、配管18が分岐して接続さ
れている。配管18の下流端部は、タール水添プラント
19に接続されている。タール水添プラント19の排出
側には、配管20が接続され、その下流端部は、上昇管
部12に接続されている。
【0017】一方、タールデカンター16のガスの排出
側には、配管21が接続されている。配管21の下流端
部は、ガス処理プロセス22に接続されている。ガス処
理プロセス22の排出側は、配管23を介してガスホル
ダー24に接続されている。配管23には、圧力スイン
グ式ガス分離プラント(PSA)25とガスをやり取り
する配管26,27がそれぞれ分岐して接続されてい
る。PSA25の水素ガスの排出側は、配管28を介し
てタール水添プラント19に接続されている。
【0018】タールデカンター16には、さらに、配管
29が接続され、その下流端部は安水タンク14に接続
されている。このような構成からなるコールタールの改
質プロセス10において、次のようにしてコールタール
の改質が行われる。
【0019】まず、コークス炉11で発生した直後のコ
ークス炉ガスは、650〜700℃であって、石炭中の
揮発分、および、石炭高分子構造体の一部が熱分解を受
けて発生するガス状のコ−ルタールの低分子ラジカルを
含む。この発生した直後のコークス炉ガスに、上昇管部
12で、80〜250℃、好ましくは80〜150℃の
水添タール20を噴霧する。これにより、コークス炉ガ
スの顕熱を利用して、350〜600℃、好ましくは4
00〜500℃の高温の雰囲気において、ガス状で発生
した低分子ラジカルが水添タールからの水素引き抜き反
応により、低分子のままで水素化安定化されて、改質コ
ールタールとなる。
【0020】その後、上昇管部12において安水タンク
14から配管13を経て、コークス炉ガスに安水を噴霧
し、コークス炉ガス、得られた改質コールタール、噴霧
した水添タールを約80℃に冷却した後、安水と共にド
ライメイン配管15を通してタールデカンター16に送
る。タールデカンター16では、ガス・液分離が行わ
れ、改質コールタール、安水、Cガスに分離される。
【0021】改質コールタールは、配管17を経てタ−
ルタンク(図示せず)に回収されるが、その一部は、配
管18を介して、タール水添プラント19に送られる。
タール水添プラント19では、改質コールタールを水添
し、水添タールとし、配管20を経て上昇管部12に送
り、上述のコークス炉11から発生した直後のコークス
炉ガスに噴霧する水添タールとしてリサイクルされる。
【0022】タール水添プラント19での水添は、コー
ルタールを水素化分解軽質化する程過酷である必要はな
く、反応圧力50気圧以下、好ましくは15〜40気
圧、反応温度350〜450℃、好ましくは380〜4
20℃のマイルドな水添で良い。水添された水添タール
は、全量リサイクルしても構わないし、特定の蒸留留
分、例えば、沸点200〜400℃の留分を分離してそ
の留分をリサイクルしても良い。
【0023】一方、安水は配管29を経て安水タンク1
4に送液された後、リサイクルされるが、一部は、コー
クス炉11から発生する水分として排水処理される。コ
ールタールおよび安水が分離された後のコークス炉ガス
(Cガス)は、配管21を経てガス処理プロセス22に
送られ、ここでナフタリン吸収、脱硫、アンモニア吸
収、ベンゾール吸収等のガス処理を受けた後、配管23
によりガスホルダー24に回収される。しかし、Cガス
の一部は配管26を介して圧力スイング式ガス分離プラ
ント(PSA)25に送られて水素製造に使われる。P
SA25で製造された水素は、配管28を通ってタール
水添プラント19に送られ、コールタールの水添に使用
される。PSA25の排ガスは、配管27で配管23に
戻される。
【0024】以下、上述のコールタールの改質プロセス
10における、コールタールの改質の効果を確認するた
めに、図2に示すモデル30での水添コールの噴霧によ
るタールの改質を試験した。
【0025】まず、石炭を乾留炉31に装填し、加熱装
置32を乾留炉31の炉壁温度1000℃になるように温度
コントロールしながら、石炭の乾留を行う。これによ
り、石炭から乾留ガスが発生する。この乾留ガスの量は
石炭1kg当たり約 0.3から0.4 Nm3 であり、コール
タールの発生量は石炭に対して約3〜5重%である。こ
の石炭乾留ガスは、石炭中の揮発分、および、石炭高分
子構造体の一部が熱分解を受けて発生するガス状のコ−
ルタールの低分子ラジカルを含む。この石炭乾留ガスを
配管33を経て液ガス混合器34に導入する。
【0026】一方、タンク35には80℃に保温された
水添タールが貯蔵されている。この水添タールをポンプ
37で配管36を経由して液ガス混合器34に送液す
る。水添タールの量は、乾留時に石炭から発生するコー
ルタールの量の2倍量とした。
【0027】液ガス混合器34では、400 〜600 ℃、好
ましくは400 〜500 ℃の器内温度において、水添タール
が石炭乾留ガスに霧状で噴霧される。噴霧される水添タ
ールの量は、乾留時に石炭から発生するコールタールの
量の1 〜5 倍量、好ましくは1 〜3 倍量である。液ガス
混合器34において、ガス状で発生した低分子ラジカル
は水添タールからの水素引き抜き反応により、低分子の
ままで水素化安定化されて、改質コールタールとなる。
【0028】これらのガス状の低分子化合物および水添
タールを、配管38を経由して熱交換器39に導入し、
ここで80℃まで冷却する。この後、気液分離器40に送
液して、ここで液体となった軽質のコールタールおよび
水添タールとを、ガス成分とに分離する。コールタール
および水添タールは、配管42を経由して系外に排出し
て回収する。
【0029】一方、気液分離器40で分離されたガス成
分は、配管41を経由して熱交換器43に導入してさら
に25℃に冷却する、次いで、気液分離器44で、軽質
な液体成分と、水素、メタン等のガス成分とに分離す
る。この後、ガス成分は、配管45を経由して、一方、
軽質な液体成分は配管46を通して、系外に排出させ
る。
【0030】なお、上述の実施例で使用した水添タール
は、軽質化を実施しなかった時に得られたコールタール
をオートクレーブを用いて水添して得られた油を用い
た。オートクレーブでの水添条件は、市販のニッケル触
媒を用いて、反応圧力 30atm、反応温度 390℃、反応温
度保持時間60分である。得られた水添タールのうち、沸
点 200〜400 ℃の留分のみを、噴霧した水添タールとし
て使用した。
【0031】図3に、上述の実施例において、水添ター
ルの噴霧を行なわず、軽質化を実施しなかった時に得ら
れたコールタール、すなわち配管42でサンプリングさ
れたものの蒸留曲線を示す。
【0032】一方、図4に、本実施例で水添タールを噴
霧して軽質化を行なった場合に得られたコールタールの
蒸留曲線を示す。図4の蒸留曲線は、配管42でサンプ
リングされた軽質化された発生コールタールと噴霧され
た水添タールの混合物から、噴霧した水添タールに相当
する蒸留留分を差し引きしたものであり、図3に示した
未軽質化処理のコールタール蒸留曲線と比較することに
より本発明の有効性を計ることが可能である。
【0033】図3および図4の蒸留曲線を比較すると明
らかなように、上述の本実施例のコールタールの改質方
法によって、 300℃以下のコールタールの軽質留分は、
全コールタールの重量に対して約30%から約45%に増加
し、コールタールの軽質化が達成されたことが確認され
た。
【0034】また、下記の表1に、未軽質化処理の発生
コールタール (A)、噴霧した水添タール (B)、軽質化さ
れた発生コールタールと噴霧された水添タールの混合物
(C)、軽質化された発生コールタールと噴霧された水添
タールの混合物から、噴霧した水添タールに相当する蒸
留留分を差し引きしたもの(D) の沸点留分毎の重量をま
とめて示す。なお、表1中の各重量は、発生したコール
タールの重量を100 グラムとしたときの値である。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、軽質化された発
生コールタールと噴霧された水添タールの混合物から、
噴霧した水添タールに相当する蒸留留分を差し引きした
もの(D) では、未軽質化処理の発生コールタール (A)に
比べて、 300℃以下のコールタールの軽質留分が、いず
れも増加していた。
【0037】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明のコールター
ルの改質プロセスは、コークス炉で発生した直後の比較
的低分子なラジカル状態の有機化合物に水添タールを噴
霧して、この低分子ラジカルが縮合して重質化する前に
石炭乾留ガスの高温雰囲気で、水添タールの水素原子に
より、この低分子ラジカルを低分子のまま水素化安定化
する。これにより、特別に過酷な高温高圧状態を提供す
ることなく、軽質なコールタールを得ることができる。
また、コールタールを再加熱する必要が無いので、コー
ルタール中の軽質留分が再加熱によって熱分解してガス
化により損失することがない。さらに、得られた改質コ
ールタールの一部を水添処理装置で水添して、水添ター
ルとし、これをリサイクルしてコークス炉ガスに噴霧し
ているので、別途水添タールを用意する必要がない。こ
れらの結果、重質留分の少なく、軽質留分に富んだコー
ルタールを経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコールタールの改質プロセスの一例を
示す概略図。
【図2】本発明のコールタールの改質プロセスの効果を
確認する試験で使用した処理モデルを示す概略図。
【図3】比較例として、水添タールの噴霧を行なわず、
本発明のコールタールの改質方法による軽質化を実施し
なかった得られたコールタールの蒸留曲線を示す特性
図。
【図4】本発明のコールタールの改質方法により得られ
たコールタールの蒸留曲線を示す特性図。
【符号の説明】
10…コールタール改質プロセス、11…コークス炉、
12…上昇管部、13,17,18,20,21,2
3,26,27,28,29…配管、14…安水タン
ク、15…ドライメイン配管、16…タールデカンタ
ー、19…タール水添プラント、22…ガス処理プロセ
ス、24…ガスホルダー、25…PSA。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コークス炉、前記コークス炉で発生した
    直後のコークス炉ガスに水添タールを噴霧する水添ター
    ル噴霧部、および、コールタールを水添して前記水添タ
    ールとする水添処理装置を具備し、 前記コークス炉ガス中に含まれる石炭中の石炭高分子構
    造体が熱分解することにより発生するコールタールの低
    分子ラジカルを、前記水添タールにより供与される水素
    原子と反応させて前記低分子ラジカルを水素化安定化
    し、軽質留分に富んだ改質コールタールを得ると共に、
    前記水添処理装置により、前記改質コールタールの一部
    を水添して前記水添タールとし、前記水添タール噴霧部
    により前記コークス炉ガスに前記水添タールを噴霧し、
    前記石炭から発生した直後のコールタールの水素化安定
    化に利用することを特徴とするコールタールの改質プロ
    セス。
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