JP2696393B2 - チミン誘導体及びこれを含有する抗hiv剤 - Google Patents

チミン誘導体及びこれを含有する抗hiv剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は抗ウィルス活性を有する化合物に関し、更に
詳細には優れた抗ヒト免疫不全症ウィルス活性を有する
チミン誘導体及びこれを含有する抗ヒト免疫不全症ウィ
ルス剤(以下、抗HIV剤と略す)に関する。
〔従来の技術およびその課題〕
後天性免疫不全症候群〔Acquired Immune Deficiency
Syndrom;AIDS〕はヒト免疫不全症ウィルス〔Human Imm
unodeficiency Virus,以下HIVと略す;Nature,321,10(1
986)〕の感染によって引き起される重篤な免疫不全症
であり、その死亡率が非常に高いことから、かかるHIV
感染及びAIDSに対する対策は大きな社会的課題とさえな
っている。
現在臨床的に効果があると認められている抗HIV剤と
しては、逆転写酵素の阻害作用を有するアジトチミジン
(AZT)が知られているが、その臨床的効果は、尚不十
分であり、更にこれによる副作用、例えば骨髄(造血組
織)の障害や頭痛、けいれん等の神経症状等の副作用が
強いという問題が抱えている。殊にHIVは、その遺伝子
がプロウィルスとなって感染した細胞の染色体に潜り込
み遺伝病のような状態になっていることから必然的に薬
剤の長期投与が要求されており、AZTの有するかかる副
作用は、これを抗HIV剤として用いる場合の大きな障害
となっている。
また、HIV感染者が、AIDSを発症するまでには、通常
極めて長い臨床的潜伏期がありその為、感染予防対策を
たてることが非常に困難とされている。
かかる現状からHIV感染及びAIDSに対して奏効する新
しい医薬製剤の開発が斯界で待ち望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を
重ねた結果、特定のチミン−グルコサミン誘導体が強い
抗HIV作用を有し、かつ安全性が高いことを見出し、本
発明を完成した。
すなわち、本発明は次の一般式(I) 〔式中、R1はハロゲン原子または低級アルキル基を、R2
及びR3は同一でも又は異なってもよくテトラデカノイル
基またはテトラデカノイルオキシテトラデカノイル基
を、R4及びR5または同一でも又は異なってもよく水素原
子またはスルホン酸基(−SO3H)を示すが、R4とR5が同
時に水素原子となることはない〕 で表わされるチミン誘導体およびこれを有効成分として
含有することを特徴とする抗HIV剤を提供するものであ
る。
上記一般式(I)中、R1で示される低級アルキル基と
しては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられるが、特に
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基又はn−ペンチル基が好ましい。また
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子が挙げられる。
R2及びR3で示されるテトラデカノイルオキシテトラデ
カノイル基としては、3−テトラデカノイルオキシテト
ラデカノイル基が挙げられる。また、この3−テトラデ
カノイルオキシテトラデカノイル基には、光学異性体が
存在するが(R)体、(L)体およびラセミ体いずれを
も含むものである。
本発明化合物(I)は、例えば次の反応式に従い製造
される。
〔式中、R1〜R5は前記と同じ意味を有する〕 すなわち、チミン−グルコサミン誘導体(II)を硫酸
またはその誘導体と反応せしめることにより、本発明の
チミン誘導体(I)を製造することができる。
硫酸の誘導体しては、硫酸−トリエチルアミン複合体
などの硫酸−第三級アミン複合体、硫酸のピリジン塩等
が挙げられる。
反応はジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、45〜
50℃で20時間程度反応させることにより実施される。
原料であるチミン−グルコサミン誘導体(II)は例え
ば次の反応式に従い製造することができる。
〔式中、R6は低級アルキル基またはアルコキシ基を示
し、Xはハロゲン原子を示し、Acはアセチル基を示し、
R1,R2およびR3は前記と同じ意味を有する〕 以下に上記の各反応工程につて説明する。
(1) チミン誘導体(III)をシリル化することによ
り、化合物(IV)が得られる。
この反応は、チミン誘導体(III)とシリル化剤を適
当な溶媒中、−5〜50℃で撹拌することにより実施され
る。用いられる溶媒としては、例えば乾燥ベンゼン、ク
ロロホルム、塩化メチル、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン等を挙げることができる。シリル化剤としては、ト
リメチルシリルクロリド等のトリ低級アルキルシリルハ
ライド、ビストリ低級アルキルシリルアセトイミド、 などを挙げることができる。
(2) シリル化チミン誘導体(IV)にグルコサミン誘
導体(V)を反応させることにより、チミン−グルコサ
ミン誘導体(VI)が得られる。
この反応はシリル化チミン誘導体(IV)とグルコサミ
ン誘導体を適当な溶媒中、触媒の存在下に反応させるこ
とにより実施される。反応溶媒としては、ジクロロエタ
ン、クロロホルム、塩化メチレンなどが用いられ、触媒
としては四塩化スズなどが用いられる。なお、反応は、
例えば粉末状のモレキュラーシーブス4Aなどの乾燥剤の
存在下に行うのが好ましい。
尚、本工程に供するグルコサミン誘導体は(市販のも
のを用いてもよいが)一般には市販のグルコサミンを出
発物質として合成することが可能である。合成法の詳細
は、後述の実施例にて開示する。
(3) チミン−グルコサミン結合体(VI)を加水分解
することにより化合物(VII)が得られる。
この反応はエステル結合しているアセチル基を除去す
るための加水分解反応であり、自体公知の方法で行うこ
とができる。すなわち、ナトリウムアルコキシド、水酸
化アルカリ、炭酸アルカリなどの塩基の存在下に実施さ
れる。
(4) 化合物(VII)をアセタール化することにより
化合物(VIII)が得られる。
この反応は、化合物(VII)とアセトン等のアセター
ル化剤を触媒の存在下に反応せしめることにより実施さ
れる。アセタール化剤としては例えばパラトルエンスル
ホン酸、アセトン、2,2−ジメトキシプロパン、ベンズ
アルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、シ
クロヘキサンなどが、触媒としては塩化水素、濃硫酸、
五酸化リン、カチオン交換樹脂のH+型塩化亜鉛、硫酸銅
(II)などが挙げられる。
(5) 化合物(VIII)を加水分解することにより、化
合物(IX)が得られる。
この反応は通常の加水分解、例えば酸触媒加水分解、
塩基触媒加水分解、アンモノリシス、エステル交換など
の方法で行うことができるが、塩基触媒加水分解が好ま
しい。塩基触媒としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカ
リ、ナトリウムメトキシドなどが用いられる。
(6) 化合物(IX)にテトラデカン酸、テトラデカノ
イルオキシテトラデカン酸またはこれらの反応性誘導体
を反応せしめることにより、化合物(X)が得られる。
この反応においてテトラデカン酸またはテトラデカノ
イルオキシテトラデカン酸を直接用いる場合は、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルイミダ
ゾール(DI)などの脱水縮合剤を用いるのが好ましい。
また、これらの酸の反応性誘導体としては、酸ハライ
ド、酸無水物などが挙げられる。反応は、ジメチルホル
ムアミド、メチレンクロリド、アセトニトリル、テトラ
ヒドロフランなどの不活性溶媒中、ジメチルアミノピリ
ジン、2,4,6−トリメチルピリジン、トリエチルアミン
などの塩基の存在下に行うのが好ましい。反応条件とし
ては、1時間程度氷冷下反応後、室温にて20時間程度反
応させることが好ましい。
(7) 化合物(X)を脱アセタール化せしめることに
より、前記原料化合物(XI)が得られる。
この反応は、適当な酸の存在下に化合物(X)を加熱
することにより実施される。用いられる酸としては、酢
酸、塩酸、希硫酸などが挙げられる。加熱温度は還流温
度が好ましい。
斯くして得られるチミン誘導体(I)は、優れた抗HI
V作用を有し、かつ細胞毒性が弱いため安全性が高く、
抗HIV剤として有用である。
本発明の抗HIV剤は、上記チミン誘導体(I)を必須
成分とし、通常その薬理有効量と共に適当な医薬製剤担
体を配合することにより調製される。
製剤担体としては、使用形態に応じた製剤を調製する
のに通常慣用される充填剤、増量剤、保湿剤、崩壊剤、
表面活性剤等の賦形剤ないし希釈剤等のいずれもが使用
できる。製剤組成物の形態はこれが上記有効成分を効果
的に含有する状態であれば特に限定はなく、例えば、錠
剤、粉剤、顆粒剤、丸剤等の固剤や通常液剤、懸濁剤、
乳剤等の液剤であることができる。またこれを使用前に
適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品とする
こともできる。上記製剤組成物には、必要に応じて通常
の各種添加剤、例えば溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤、
保存剤、着色剤等を添加することもでき、更に他の医薬
品を組み合せ配合することもできる。
本発明の抗HIV剤は、該製剤組成物の形態に応じた適
当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はな
く、内用、外用及び注射によることができる。注射剤
は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等に投
与し得、外用剤には、坐剤等を包含される。
本発明抗HIV剤の投与量は、その製剤形態、投与方
法、使用目的及びこれを適用される患者の年齢、体重、
病状等に応じて適宜設定され、一定ではないが一般には
製剤中に含有される有効成分の量が一成人当り、経口投
与の場合0.1g〜10g程度、非経口投与の場合0.1g〜5g程
度とすることが好ましく、製剤中の有効成分量は、この
投与量に従って適宜設定される。なお、投与は必要に応
じてて1日数回に分けて行うことも可能である。
〔発明の効果〕
本発明化合物(I)は、優れた抗HIV作用を有し、か
つ細胞毒性が低いことから抗HIV剤として有用である。
従ってこれを有効成分とする本発明の抗HIV剤は、長期
投与にも適し、HIV感染の予防及びAISD並びにその関連
症候群ARCの発症予防並びに治療に極めて有用である。
〔実施例〕
以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。
参考例1 1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−クロロアセトア
ミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノースの製
造: 1N水酸化ナトリウム水溶液1中に氷冷下撹拌しなが
らD−(+)−グルコサミン塩酸塩215.1g(1.00mol)
を徐々に加え引き続きp−アニスアルデヒド123.4g(0.
91mol)を滴下し、滴下終了後室温で1時間撹拌した。
生成した結晶物を吸引濾過しこれを冷水で、引き続き、
エタノール:エーテル(1:1)で洗浄し乾燥し、白色粉
末物を239.0g,81%の収率にて得た。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
融点 177〜178℃ 実施例1 (1) ビス(トリメチルシリル)チミン(IV−1)の
製造: チミン(和光純薬社製)6.00g(0.048mol)およびト
リメチルクロロシラン(信越化学社製)12.4g(0.115mo
l)を乾燥ベンゼン100mlに溶解し、これにトリエチルア
ミン11.6g(0.115mol)を徐々に滴下した。反応後をセ
ライト(和光純薬社製)を用いて吸引濾過し、瀘液を減
圧濃縮した後グラス−チューブ−オーブン(SHIBATA社
製)で減圧蒸留(初留75℃、35mmHg;本留150℃,9〜10mm
Hg)し、目的化合物(IV−1)10.9gを得た。収率82.8
%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
沸点:98℃/2mmHg 融点:73〜74℃ (2) 1−(3,4,6−トリ−O−アセチル−2−クロ
ロアセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノ
シル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジ
ン−2,4−ジオン(VI−1)の製造: (1)で得られた化合物(IV−1)2.06g(7.5×10-3
mol)、参考例1で得られた1,3,4,6−テロラ−O−アセ
チル−2−クロロアセトアミド−2−デオキシ−β−D
−グルコピラノース2.12g(5.0×10-3mol)および粉末
状モレキュラーシーブス4H 1.50gを1,2−ジクロロエタ
ン40mlに加え、室温にて1時間撹拌した。次いでアルゴ
ン雰囲気下、氷冷し、四塩化スズ1.95g(7.5×10-3mo
l)を徐々に滴下後、氷冷下で1時間更に室温で15時間
撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:
アセトン=10.2)で反応終了を確認した後、飽和NaHCO3
水溶液を加えて1時間撹拌し、セライト(和光純薬社
製)を用いて吸引濾過した。瀘液を飽和NaHCO3で洗浄し
た後、有機層を減圧濃縮して、得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、展開溶
媒;クロロホルム:アセトン=10:2→クロロホルム:メ
タノール=10:1→5:1→3:1)で精製し、目的化合物(VI
−1)1.56gを得た。
収率63.6%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
融点:132〜135℃ 元素分析(C19H24N3O10Clとして): C H N 計算値(%) 46.59 4.94 8.58 実測値(%) 46.74 5.10 7.62 (3) 1−(2−クロロアセトアミド−2−デオキシ
−β−D−グルコピラノシル)−5−メチル−1,2,3,4
−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオン(VII−1)の
製造: (2)で得られた化合物(VI−1)2.70g(5.5×10-3
mol)を乾燥メタノール150mlに溶解し、アルゴン雰囲気
下、氷冷下に0.1Mナトリウムメトキシドのメタノール溶
液55mlを氷冷下徐々に滴下し、1時間撹拌して、更に室
温で20時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:
メタノール=3:1)で反応終了を確認した後、弱酸性イ
オン交換樹脂ICR−50(オルガノ社製)3.00gを加え1時
間撹拌した。イオン交換樹脂を濾去し、瀘液を減圧濃縮
した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(シリカゲル100g、展開溶媒;クロロホルム:メ
タノール=10:1→5:1→3:1)で精製して目的化合物(VI
I−1)1.52gを得た。収率76.0%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
融点:143〜147℃ (4) 1−(2−クロロアセトアミド−2−デオキシ
−4,6−イソプロピリデン−β−D−グルコピラノシ
ル)−5−メチル−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジ
オン(VIII−1)の製造: (3)で得られた化合物(VII−1)1.52g(4.18×10
-3と2,2−ジメトキシプロパン3.27g(3.14×10-2mol)
をDMF30mlに溶かし、p−トルエンスルホン酸0.33g(1.
94×10-3mol)を加え、室温で20時間撹拌した。薄層ク
ロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノー
ル=5:1)で反応終了を確認した後、IRA45(オルガノ社
製)2.50gを加え1時間撹拌した。反応液を自然濾過
し、瀘液を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、展開溶
媒;クロロホルム:メタノール=10:1→5:1→3:1)で精
製して目的化合物(VIII−1)118gを得た。収率77.5
%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
融点:219〜221℃ 元素分析(C16H22N3O7Cl・H2Oとして): C H N 計算値(%) 45.56 5.73 9.96 実測値(%) 45.93 5.39 10.13 (5) 1−(2−アミノ−2−デオキシ−4,6−イソ
プロピリデン−β−D−グリコピラノシル)−5−メチ
ル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオン
(IX−1)の製造: (4)で得られた化合物(VIII−1)1.18g(2.92×1
0-3mol)、チオウレア0.44g(5.84×10-3mol)、ジイソ
プロピルエチラミン0.76g(5.84×10-3mol)および粉末
状モレキュラーシーブス4A(和光純薬社製)2.0gをテト
ラヒドロフラン40ml中に加え、アルゴン雰囲気下、室温
にて3時間加熱還流した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:
メタノール=5:1)で反応終了を確認した後、セライト
(和光純薬社製)を用いて吸引濾過し、瀘液を減圧濃縮
して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル50g、展開溶媒;クロロホルム:メタ
ノール=10:1→10:2)で精製して目的化合物(IX−1)
1.07gを得た。収率85.2%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
融点:98〜102℃ (6) 1−(2−デオキシ−4,6−イソプロピリデン
−2−テトラデカナミド−3−O−テトラ−ジメチル−
β−D−グルコピラノシル)−5−メチル−1,2,3,4−
テトラ−ヒドロピリミジン−2,4−ジオン(X−1)の
製造: (5)で得られた化合物(IX−1)0.15g(4.5×10-4
mol)、テトラデカン酸0.31g(1.35×10-3mol)および
ジメチルアミノピリジン0.05g(1.35×10-3mol)をジメ
チルホルムアミド5.0mlと塩化メチレン2.0mlの混合溶媒
に溶解し、アルゴン雰囲気下、氷冷下にジシクロヘキシ
ルカルボイミド0.05g(4.5×10-4mol)を加えて1時間
撹拌し、更に室温で15時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー展開用媒;クロロホルム:ア
セトン=10:2)で反応終了を確認した後、反応液を減圧
濃縮し、酢酸エチル2mlを加えてセライトを用いて吸引
濾過を行なった。再び瀘液を減圧濃縮し、得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル20
g、展開溶媒;クロロホルム:アセトン=10:2)で精製
して目的化合物(X−1)0.12gを得た。収率35.7%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
(7) 1−(2−デオキシ−2−テトラデカナミド−
3−O−テトラデカノイル−β−D−グルコピラノシ
ル)−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン
−2,4−ジオン(II−1)の製造: (6)で得られた化合物(X−1)0.10g(1.3×10-4
mol)を酢酸:水=9:1の混液10mlに溶解し、90〜95℃に
て1時間還流した。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲル20g、展開溶
媒;クロロホルム:メタノール=10:1)で精製して目的
化合物(II−1)0.55gを得た。収率54.3%。
(8) 1−(2−デオキシ−2−テトラデカナミド−
3−O−テトラデカノイル−β−D−グルコピラノシル
−4,6−ジサルフェート)−5−メチル−1,2,3,4−テト
ラヒドロピリミジン−2,4−ジオン(I−I)の製造: (7)で得られた化合物(II−1)30mg(4.24×10-5
mol)とトリメチル硫酸アンモニウム40mg(2.87×10-4m
ol)とをジメチルホルムアミド1.5mlに溶解し、50℃に
て24時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:
メタノール=10:1)で反応終了を確認した後、減圧濃縮
し、更に残渣をメチレンクロライド1.0mlに溶解した溶
液にトリフルオロ酢酸14mg(1.26×10-4mol)を加え、
1時間撹拌した。次いで反応液を減圧濃縮して得られた
残渣をゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH2020g、展
開溶媒;クロロホルム:メタノール=1:1)で2回精製
して目的化合物(I−1)16mgを得た。収率36.0%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
IRλmaxcm-1:1710(C=0),1650(アシド),1250
(S=0),800(C−O−S) 実施例2 (1) 1−〔2−デオキシ−4,6−イソプロピリデン
−2−((R)−3−テトラ−デカノイルオキシテトラ
デカナミド)−3−O−((R)−3−テトラデカノイ
ルオキシテトラデカノイル)−β−D−グルコピラノシ
ル〕−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン
−2,4−ジオン(X−2)の製造: 実施例1の(5)で得られた化合物(IX−1)0.17g
(0.5×10-3mol)、(R)−3−テトラデカノイルオキ
シテトラデカン酸0.55g(1.2×10-3mol)およびメチル
アミノピリジン0.0610g(0.5×10-3mol)をアセトニト
リル5mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、氷冷下にジシク
ロカルボジイミド0.25g(1.2×10-3mol)を加えた。次
いで氷冷下で1時間、更に室温で15時間撹拌した。反応
液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル10mlを加えてセライ
トを用いて吸引濾過を行なった。再び瀘液を減圧濃縮
し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(シリカゲル20g、展開溶媒;クロロホルム:アセト
ン=20:1)で精製して目的化合物(X−2)50mgを得
た。収率8.3%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
(2) 1−〔2−デオキシ−2−((R)−3−テト
ラデカノイルオキシテトラデカナミド)−3−O−
((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイ
ル)−β−D−グルコピラノシル〕−5−メチル−1,2,
3,4−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオン(II−2)
の製造: (1)で得られた化合物(X−2)0.20g(1.66×10
-4mol)を酢酸:水=9:1の混液に溶解し、90〜95℃にて
1時間還流した。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲル15g、展開溶
媒;クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し目的化
合物(II−2)75mgを得た。収率38.7%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
(3) 1−〔2−デオキシ−2−((R)−3−テト
ラデカノイルオキシテトラデカナミド)−3−O−
((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイ
ル)−β−D−グルコピラノシル−4,6−ジサルフェー
ト〕−5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン
−2,4−ジオン(I−2)の製造: (2)で得られた化合物(II−2)75mg(6.5×10-5m
ol)とトリメチル硫酸アンモニウム100mg(7.2×10-4mo
l)とをジメチルホルムアミド1.5mlに溶解し、50℃にて
20時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:
メタノール=2:1)で反応終了を確認した後、減圧濃縮
し、更に残渣を塩化メチレン1.0mlに溶解させ、これに
トリフルオロ酢酸30mg(2.6×10-4mol)を塩化メチレン
1mlに溶解した溶液を加えて1時間撹拌した。次いで反
応液を減圧濃縮して得られた残渣をゲルクロマトグラフ
ィー(Sephadex LH20 20g、展開溶媒;特級クロロホル
ム:乾燥メタノール=1:1)で2回精製して目的化合物
(I−2)57mgを得た。収率66.8%。
本工程で得られた化合物の物性を以下に示す。
IRλmaxcm-1:1710(C=0),1660(アシド),1260
(S=0),810(C−O−S) 試験例1 抗HIV作用の検討: 本試験例においては、デキストラン硫酸(興和
(株))と本発明化合物(I−2)の抗HIV活性をMT−
4細胞を用いて判定する系(Nagamo.T,and Hoshino H.;
Jpn,J,Cancer Res,79,9−11,1988)で調べた。
すなわち、1×105個のMT−4細胞に被検物質を加
え、これにHIVを感染させ、5%CO2下、37℃で4日間反
応した後MT−4細胞のスメアーを作り、HIV感染の成立
の程度を間接蛍光抗体法で判定した。その結果を被験物
質を添加しなかった場合をコントロールとし、該コント
ロールとの比較として第1表に示した。
になるように加え、固定し形成された合胞体の個数(直
径が5倍以上となったもの)を数えた、その結果を第2
表に示した。
本発明化合物(I−2)は、硫酸化多糖であるデキス
トラン硫酸と比べると分子量が非常に小さい。又、本発
明化合物(I−2)は明らかな抗HIV作用が認められ、1
00μg/mlの濃度でも、MT−4細胞に対する増殖抑制・毒
性は認められなかった。
試験例 抗HIV作用の検討: 本実施例においては、アジトチミジン(AZT)と本発
明化合物(I−2)の抗HIV活性をHIV感染細胞とHIV未
感染細胞を混合培養し、形成された合胞体(Syncitiu
m)の数を計測する所謂シンシチウム アッセイ(Syncy
tium Assay)法により調べた。
即ち、1×105細胞のMolt−4細胞(J.Minowada et a
l,J.Natl Cancer Inst(J.N.C.I),49,891−895,197
2)に各被検物質を加え、これに予めHIVに感染させたMo
lt−4細胞1.5×104個を加え、これを5%CO2下、37℃
で一晩インキュベートした後ホルムアルデヒドを終濃度
5% AZTは、10μg/mlで既に細胞毒性を示し、合胞体形成
が100μg/ml程度でも認められる場合が多かった。それ
に対して、本発明化合物(I−2)は、100μg/mlの濃
度でも細胞毒性は認められなかった。しかも低濃度で有
効に合胞体の形成が抑制されており、有効性と安全性を
兼ね備えていることがわかる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式(I) 〔式中、R1はハロゲン原子または低級アルキル基を、R2
    及びR3は同一でも又は異なってもよくテトラデカノイル
    基またはテトラデカノイルオキシテトラデカノイル基
    を、R4及びR5は同一でも又は異なってもよく水素原子ま
    たはスルホン酸基を示すが、R4とR5が同時に水素原子と
    なることはない〕 で表わされるチミン誘導体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のチミン誘導体を有効成分と
    して含有することを特徴とする抗HIV剤。
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