JP2689684B2 - 焼付硬化性を有する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
焼付硬化性を有する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法Info
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Description
り用高強度冷延鋼板の製造方法に関する。
目的として自動車用鋼板の高強度化の要求がますます高
まっている。
降伏応力、引張強さ以外に、良好なプレス成形形、スポ
ット溶接性、疲労特性、塗装耐食性等がある。
化、細粒化強化、部分再結晶による強化、変態組織によ
る強化、加工強化などがある。
るが、その程度は強化機構によって異なる。
化性を有し、しかも良好なプレス成形性を兼備する鋼板
が望まれている。
点伸び、高伸び、高r値などの特性が要求されるため、
非時効性が望まれる。すなわち、プレス成形時には軟質
で良好な成形性を有し、その後の塗装焼付時に降伏強度
が上昇する特性(焼付硬化性)が必要とされる。
としては、C:0.005〜0.003%、Mn:0.04〜0.5%、P:0.03
%以下の軟鋼材で、NとCの原子比(48/14[N%]+4
8/12[C%])以上のTi添加により、添加するNbを固溶
Nbとして存在させて作用させることにより伸び、異方性
の良好な鋼板を得る方法(特開昭61−113724号公報)、
あるいは、C:0.005%以下で、N、SをTiで固定し、残
りのTiおよび添加するNbでCを固定し、深絞り性の良好
な鋼板を得る方法(特開昭61−276927号公報)等が知ら
れている。しかしながら、これらの方法はいずれも深絞
り性の改善を主眼にし、焼付硬化性を得ることを目的と
はしていない。
ては、特公昭63−4899号公報が、C含有量0.0005〜0.01
5%、S+N含有量0.005%以下のTi添加またはTi、Nb添
加鋼について、また、特開昭61−276931号公報が、C含
有量0.005%以下のTi、Nb複合添加鋼についてそれぞれ
開示している。
加量または焼なまし時の冷却速度を制御することによ
り、鋼中の固溶C量を適切ならしめて、材質の劣化を生
じさせることなく焼付硬化能を付与したものである。し
かし、このようにTi、Nb添加量を制御して固溶Cを残存
させようとすると、その添加量の変化により鋼中の固溶
C量が変化し、鋼板の性質が著しく変化する。すなわ
ち、Ti、Nbの添加量が不足した場合、時効劣化し易く、
降伏点伸び、伸び、r値などの成形性劣化につながり、
逆に添加量が過剰となると、焼付硬化性が失われてしま
う。
劣化後の降伏点伸び、伸び、r値等の劣化を防いで、こ
れらの相反する特性を両立させるためには、鋼中の固溶
C量を厳格に制御する必要がある。しかし、鋼中の固溶
C量の正確な制御は実際上著しく困難であり、大幅な製
造コストの上昇は避けられな。
炭・窒化物形成元素の添加量制限による不利を回避すべ
く、簡便な手段でもって鋼中のC含有量を効果的に制御
することにより、安定した焼付硬化性を有し、同時に深
絞り性の良好な冷延鋼板を製造する方法を提供すること
である。
として、その時効性を検討していた際に、鋼中のトータ
ルC含有量を0.001〜0.0035wt%という特定の範囲に制
御すると、安定した焼付硬化性を有し、かつ、良好な時
効性を示す鋼板が得られることを見い出し、既に特許出
願(特願平1−18450)している。
件での調質圧延を実施することによって、特に自動車用
外装材として適した性質、すなわち時効前の降伏点伸び
が常に零になることを見いし、この発明を完成した。
%])以下、 残部Feおよび付随不純物、 から成る組成を有する鋼、 または、重量%で、 C:0.001〜0.003%、 Si:0.25%以下、Mn:0.1〜1.0%、 P:0.035〜0.1%、S:0.004〜0.015%、 Al:0.01〜0.1%、 N:0.001〜0.003%、 Nb:0.02以下、かつ(93/12[Cwt%])以下、 Ti:0.005%以上、かつ、(48/32[Swt%]+48/14[Nwt
%])以下、 残部Feおよび付随不純物、 から成る組成を有する鋼を用い、仕上げ温度880℃以上
で熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行った後、再結晶
温度以上、Ar3点以下の連続焼鈍を行い、ついで伸び率
1.6%以上で、かつ、調質圧延張力が7.0kg/mm2以下の調
質圧延を実施する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法で
ある。
のように限定した理由を詳述する。
「%」と記載する)未満では、時効性、絞り性には有利
であるが、焼付硬化性が不十分である。一方、0.0030%
を超すと焼付硬化性は有利となるが、時効性劣化による
降伏点伸びの発生、降伏点上昇、絞り性劣化となり、良
好なプレス成形性が得られない。また、安定した焼付硬
化性を得るために鋼中の固溶C量を制御すべく、Ti添加
量の厳しい管理が必要である。しかし、実際の製造では
Ti添加量の変動は避けられず、焼付硬化性、時効性等の
特性値が変動する。
とした。
と合金溶融めっきを行う場合、めっき金属の密着性が劣
化し、熱間圧延時のスケール剥離性も悪化するので、0.
25%以下とした。好ましくは0.05%以下である。
0.10%以上必要である。一方、Mnは強度を上げるに有効
な元素であるが、1.0%を超えると二次加工性を劣化さ
せると共に、合金コストが高くなる。したがって、0.1
〜1.0%とした。
素であり、高強度鋼板を得るのに必要なため、下限を0.
035%とした。一方、過剰の添加は耐二次加工脆性に好
ましくない。したがって、その上限を0.1%とした。
ため、少ないほど材質は向上するので0.003%以下とし
た。また、TiN、TiSによる固溶Cの制御の観点から下限
を0.0010%とした。
を超えるとTiS、MnS等の析出物が増加し、伸び、絞り性
が劣化するため、0.015%以下とした。また、上記Nの
範囲が0.0010〜0.003%であるため、Nが下限値に近い
場合、添加したTiがTiNになっても、Tiが余剰となり、
このTiがCと結合してTiCとなり、固溶Cが低下するの
で、焼付硬化量が低下する。そこでSを添加することに
よりTiSとなし、TiCとなるTiをSと反応させることによ
って固溶Cの制御を可能とした。以上の理由によりSの
下限を0.004%とした。
%未満ではTi添加時の安定性(Ti歩留が悪く、表面疵の
発生が大となるため)が得られず、0.1%を超えるとAl2
O3などの介在物が増加し、プレス成形性を劣化させる。
したがって0.01〜0.1%とした。
安定した析出物とするために添加する。
容し、TiをNおよびSを固定するに要する量、すなわち
(48/32[S%]+48/14[N%])以上を添加している
ため、Ti添加量の変動により、鍋中の固溶Cが変化す
る。そのため、焼付硬化性、時効性等鋼板性質が変化し
易い。
に要する量、すなわち(48/32[S%]+48/14[N
%])以下とすると共に、最も重要な鋼中の固溶Cをト
ータルC含有量で0.001〜0.003%に制御するため、安定
した焼付硬化性と良好な時効性が得られる。
焼付硬化性、時効性の変化あるいは表面疵発生を防止す
べく、安定な析出物とするためには、0.005%以上、好
ましくは48/14[N%]以上のTi添加が必要である。
[S%]+48/14[N%])以下とする。
加鋼にNbを複合添加すると、焼付硬化性が失われること
なく、良好な伸び、r値が得られる。しかし、0.02%あ
るいは(93/12[C%])を超える多量添加を行う場
合、連続焼鈍時に焼付硬化性を確保するための適正固溶
C量が得られない。
た鋼板を連続焼鈍したのち、調質圧延によって製品とす
る。
織が残存するため、連続焼鈍後の特性とくにr値を劣化
させ、不均一変形による平坦不良が発生し易い。したが
って、仕上温度は、880℃以上とした。好ましくは900℃
以上である。巻取り温度は特に制限しないが、要すれば
600〜720℃で行うのが好ましい。また、冷間圧延は特に
制限はなく、通常圧下率である50〜95%程度で行えばよ
い。
処理を行う。この連続焼鈍処理は、強度、調整、プレス
成形性付与を目的に行うものであって、特性の高位安定
化から焼鈍温度は830〜850℃程度が好ましい。
連続焼鈍であっても、この発明の範囲に含まれるのは言
うまでもない。
降伏点伸び(YPE)が常に零でなくてはならない。
とによりYPEは零となる。ただしその調質圧延条件であ
るが、伸び率1.6%以上が必要であり、かつ、張力を7.0
kg/mm2以下にし、圧延荷重を十分にかけることが必要で
ある。
る。
有量はそのままで、炭素含有量を0.0005wt%から0.0042
wt%の範囲で変化させた鋼(TS≧35kgf/mm2)を転炉に
て溶製し、真空脱ガス処理したのち、連続鋳造によりス
ラブとした。このスラブを加熱温度1250℃、仕上げ温度
930℃で熱間圧延を行い、次いで圧下率80%の冷間圧延
を行って板厚0.8mmの冷延板とした。この冷延板を焼鈍
温度820℃の条件下で連続焼鈍を行った。
化性(BH量)および常温時効性との関連を試験した。な
お、試験はすべてJIS5号試験片を用いて測定を行った。
試験片は圧延方向に沿って切出したものである。
(降伏点伸び)値は50℃×120Hr保持の常温時効を行っ
た後の特性である。これは30℃、1ケ月の時効相当のシ
ミュレーションである。なお、BH量は第3図にグラフで
測定要領およびその定義を示すように2%予歪後、170
℃、20min保持後測定したものである。これはプレス成
形および塗装後焼付けのシミュレーションである。
wt%および0.0042wt%のものについて、連続焼鈍温度を
760〜840℃に変化させて引張強さ(TS)を前記と同様の
試験片を用いて試験した。なお、引張強さ値は、50℃×
120Hr保持の常温時効を行った後の特性である。これは3
0℃、1ケ月の時効相当のシミュレーションである。そ
の結果を第2図に示す。
ppmのときに、従来相反すると考えられてきたのとは反
対に、高強度鋼にあっても前述の両特性が満足する程度
に改善されるのである。
含有量制御により、引張強さの安定性も改善されるので
ある。
の炭素含有量が0.001〜0.003%で、常温時効後の降伏点
伸びが0%の鋼板について、圧延条件、すなわち伸び率
を0.5〜2.0%の範囲で変化せしめた場合、および伸び率
を1.65〜1.75の範囲に固定し、張力を5〜10kg/mm2に変
化せしめて調質圧延を実施し、時効前の降伏点伸び(YP
E)を測定した。その結果を第4図および第5図に示
す。
た。試験片は圧延方向に沿って切出したものである。
%で、常温時効後の降伏点伸びが0%の鋼板であって
も、調質圧延時の伸び率が1.6%以下の場合は、時効前
の降伏点伸びが0%とならず、自動車用外装材として不
適当である。
g/mm2以下でなければ、時効前の降伏点伸びが0%とな
らず、自動車用外装材としては不適当である。
ないと考えられていたプレス成形時には軟質で良好な成
形性を有し、その後の塗装焼付け時には時効硬化により
降伏強度が上昇する優れた焼付硬化性を示し、自動車用
外装材として優れた高強度冷延鋼板を得ることができる
ので、この発明の価値は大きい。
すグラフ、第2図は鋼中炭素量および連続焼鈍温度と引
張り強さとの相関を示すグラフ、第3図はBH量の定義を
説明するグラフ、第4図は調質圧延伸び率と時効前YPE
との相関を示すグラフ、第5図は調質圧延時の張力と時
効前YPEとの相関を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、 C:0.001〜0.003%、 Si:0.25%以下、Mn:0.1〜1.0%、 P:0.035〜0.1%、S:0.004〜0.015%、 Al:0.01〜0.1%、 N:0.001〜0.003%、 Ti:0.005%以上、かつ、(48/32[S wt%]+48/14[N
wt%])以下、 残部Feおよび付随不純物、 から成る組成を有する鋼、 または、重量%で、 C:0.001〜0.003%、 Si:0.25%以下、Mn:0.1〜1.0%、 P:0.035〜0.1%、S:0.004〜0.015%、 Al:0.01〜0.1%、 N:0.001〜0.003%、 Nb:0.02%以下、かつ(93/12[C wt%])以下、 Ti:0.005%以上、かつ、(48/32[S wt%]+48/14[N
wt%])以下、 残部Feおよび付随不純物、 から成る組成を有する鋼を用い、仕上温度880℃以上で
熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行った後、再結晶温
度以上、Ar3点以下の連続焼鈍を行ったのち、伸び率1.6
%以上で、かつ、張力7.0kg/mm2以下の調質圧延を実施
することを特徴とする焼付硬化性を有する深絞り用高強
度冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10580690A JP2689684B2 (ja) | 1990-04-20 | 1990-04-20 | 焼付硬化性を有する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10580690A JP2689684B2 (ja) | 1990-04-20 | 1990-04-20 | 焼付硬化性を有する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH042729A JPH042729A (ja) | 1992-01-07 |
JP2689684B2 true JP2689684B2 (ja) | 1997-12-10 |
Family
ID=14417356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10580690A Expired - Lifetime JP2689684B2 (ja) | 1990-04-20 | 1990-04-20 | 焼付硬化性を有する深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2689684B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5853903A (en) * | 1996-05-07 | 1998-12-29 | Nkk Corporation | Steel sheet for excellent panel appearance and dent resistance after panel-forming |
KR100470640B1 (ko) * | 2000-11-24 | 2005-03-07 | 주식회사 포스코 | 고강도 소부경화형 냉연강판 및 그 제조방법 |
-
1990
- 1990-04-20 JP JP10580690A patent/JP2689684B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH042729A (ja) | 1992-01-07 |
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