JP2681395B2 - 複合型制振鋼板の製造法 - Google Patents

複合型制振鋼板の製造法

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JP2681395B2 JP1216067A JP21606789A JP2681395B2 JP 2681395 B2 JP2681395 B2 JP 2681395B2 JP 1216067 A JP1216067 A JP 1216067A JP 21606789 A JP21606789 A JP 21606789A JP 2681395 B2 JP2681395 B2 JP 2681395B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、重ね合わされた鋼板と鋼板とがその間にほ
ぼ均一に分布したインサートメタルとの間の拡散により
冶金学的に接合されて成る複合型制振鋼板を、それが加
工時に熱処理(焼入れ焼戻し)を受けた後も充分な接着
強度を有するように製造することの出来る複合型制振鋼
板の製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、騒音公害の問題や静粛な環境を求める要求から
制振材料に対する関心が高まり、その適用範囲も拡大し
つつある。
このような状況において、優れた耐熱性や溶接性を具
備し、また熱処理も可能で高強度部材への適用も可能な
複合型制振鋼板として、重ね合わされた鋼板と鋼板との
間にほぼ均一に分布して存在する微小な幅を有するイン
サートメタルと上記両鋼板との間の拡散による冶金学的
な接合を主たる接合要因とする接合部を形成し且つ該接
合部以外は冶金学的に接合しない状態で当接しており、
該当接面と同じ平面における接合部の切断面の合計が該
鋼板の面積に対する割合(以下、全接合部断面積の割合
と言うことがある)が0.5〜50%である複合型制振鋼板
が、本出願人によつて提案されており、優れた制振性能
を有する等ことが確かめられている(特開昭63−246235
号参照)。そしてこの複合型制振鋼板の製造法として、
鋼板と鋼板との間に微小な幅を有するインサートメタル
をほぼ均一な分布状態で挟み、鋼板間に面圧を与えた状
態で不活性ガス雰囲気下に各鋼板とインサートメタルと
の間で拡散が起こる温度で焼鈍を行う複合型制振鋼板の
製造法も上記と共に提案されており、充分な接合強度を
有する等のことが確かめられている(特開昭63−246238
号参照)。そしてこの複合型制振鋼板は熱処理が可能で
あるため、鋼板として特殊鋼を用いるとダイヤモンドカ
ツターやチツプソーなどの台金,歯車類等の制振性と同
時に強靭性をも要求される用途に適用可能である特徴を
有している。
上記の複合型制振鋼板の製造法においては、インサー
トメタルの種類として、脆い合金等を生成せず拡散によ
つて鋼板と接合し得るCu,Ni,Ag等の非鉄金属の選択が良
いとされているが特に限定されておらず、実状において
はコスト面やスクラツプ処理の面からして、鋼が最も使
い易い金属であつた。そして、その鋼の種類としては、
安価でインサートメタルの形状である薄い形状に加工し
易い軟鋼、例えば低炭素アルミキルド鋼やチタンキルド
鋼等が用いられていた。
しかし、インサートメタルとして上記の低炭素アルミ
キルド鋼やチタンキルド鋼等の軟鋼を、また鋼板として
炭素鋼や低合金鋼の特殊鋼をそれぞれ用いて得られた複
合型制振鋼板を熱処理(焼入れ焼戻し)した場合、焼入
れの条件等が過酷であると熱処理時に接合部が剥離する
という問題があつた。即ち、熱処理による熱歪みや変態
歪みによる応力がインサートメタルと鋼板の間の接合強
度より大きくなつて、接合部が剥離する現象が生じてい
た。接合部に剥離が生じると構造部材として使用出来な
いばかりでなく、制振性も大幅に失われるといつた問題
が生じた。このように従来の製造法には、得られた複合
型制振鋼板が熱処理により問題を起こす欠点があつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記従来技術の欠点を解消し、熱処理を受け
た後も充分な接合強度と制振性とを有する複合型制振鋼
板の製造を可能とさせることを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等が上記課題を解決するために行つた検討の
過程と共に本発明を説明する。
本発明者等はインサートメタルとして用いる金属の種
類や焼鈍条件を検討した。
先ず、インサートメタルに低炭素アルミキルド鋼を、
また鋼板に低合金工具鋼SKS5をそれぞれ用いた複合型制
振鋼板(以下、複合鋼板と略称することがある)を焼入
れ処理し、それによつて鋼板が剥離したものについて予
めその複合鋼板の製造過程において採取しておいた焼鈍
前後の試料及び上記剥離試料の金属組織を観察した。イ
ンサートメタルは焼鈍前において低Cのフエライト組織
であつたが、焼鈍中に鋼板よりCが拡散して焼鈍後の組
織は高Cのパーライト組織を呈していた。これを焼入れ
処理し組織を観察したところ、鋼板の方は均一なマルテ
ンサイト組織であるのに対し、インサートメタルはトル
ースタイトを含む不完全焼入れ組織であつた。これは、
インサートメタルではC含有量は高くなつたものの、焼
入れ性を高める合金元素がほとんど含有されていないた
め、焼入れ性が低く均一なマルテンサイト組織が得られ
なかつたものである。このような焼入れ処理時のインサ
ートメタルと鋼板の組織の差異が、剥離を生じせしめる
ような応力を発生させたものと推察される。
上記の知見からすると、インサートメタルも鋼板と同
一成分の鋼を用いれば良いことになる。しかし、インサ
ートメタルを高Cで焼入れ性を高める合金元素を含有さ
せた鋼とすると、高温における変形応力が増加し、イン
サートメタルと鋼板を拡散接合させるための焼鈍におい
てインサートメタルと鋼板との密着性が低下して接合強
度が低下することになる。また酸化し易い合金元素の場
合、インサートメタルと鋼板との界面に酸化物を形成し
て原子拡散の障害となり、これも接合強度低下の一因と
なる。
即ち、高温での変形応力の増加を出来るだけ抑え且つ
拡散の障害となるような酸化物生成を抑えながら焼入れ
性を高めるような鋼をインサートメタルに用いる必要が
ある。
更には、合金元素が添加されたことにより変形応力が
増加してインサートメタルと鋼板との密着性は低下する
方向にあるから、これを補うような焼鈍方法も採用する
必要がある。
本発明は以上に述べた考え方に従つて更に検討を重ね
た結果到達したものである。
本発明においても、鋼板と鋼板との間に微小な幅を有
するインサートメタルを全接合部断面積の割合が所定割
合となるようにほぼ均一な分布状態で挟み、鋼板間に面
圧を与えた状態で不活性ガス雰囲気下に各鋼板とインサ
ートメタルとの間で拡散が起こる温度で焼鈍を行う点
は、従来の複合型制振鋼板の製造法と同様である。
本発明の特徴は、鋼板として炭素鋼又は低合金鋼であ
つてC含有量が0.3〜1.0%のものを用いる点,インサー
トメタルとして重量%でC≦0.010%,Si≦0.01%,Mn≦
0.15%,P≦0.01%,S≦0.01%,0.5%≦Ni≦3.0%,Cr≦0.
2%,N≦0.010%であつてC+N≦0.012%であり、残部
がFe及び不可避的不純物から成る鋼のインサートメタル
を用いる点,及び不活性ガス雰囲気下で各鋼板とインサ
ートメタルとの間で拡散が起こる温度で行う焼鈍におい
て焼鈍温度に昇温する途中でインサートメタルとして用
いる鋼の(Ac1点−50℃)〜Ac1点の温度領域で30分以上
のステツプ加熱を行つた後にオーステナイト領域の温度
に昇温して焼鈍する点にある。
以下に、本発明における上記各限定の理由を説明す
る。
鋼板としての炭素鋼又は低合金鋼のC含有量を0.3〜
1.0%の範囲とした理由は、C含有量が0.3%未満の場合
は複合鋼板の熱処理後の製品強度が充分高くは得られな
いからであり、1.0%を超えると熱処理後の製品強度は
増大するが靭性に乏しいものとなり、実用に供し得ない
からである。
インサートメタルとして用いられる鋼の組成の限定理
由は次の通りである。
Cはインサートメタルの焼入れ性を高める元素として
有効な元素であり、鋼板と同等の含有量とするのが焼入
れ性の面からは好ましい。しかし、Cは浸入型固溶元素
であり高温におけるインサートメタルの変形応力を大き
く増大させる元素であるため、インサートメタルと鋼板
との密着性の面から出来るだけ低めることが好ましい。
また、インサートメタルと鋼板とが良好に密着すれば、
比較的容易にCは鋼板からインサートメタルに拡散し、
焼鈍前にインサートメタルのC含有量が低い場合でも焼
鈍後のインサートメタルのC濃度は鋼板のC濃度にほぼ
近いものとなる。以上のように、C含有量はインサート
メタルと鋼板との密着性を重視して設定することが望ま
しく、このためC含有量は0.010%以下とした。
Nは鋼を溶製するときに大気より混入する一種の不純
物であるが、Cと同様に微量の含有量で変形応力を増大
させる元素である。このため、Nの含有量を出来るだけ
低めることがインサートメタルと鋼板との密着性を高め
るのに有効であり、高温における変形応力を充分に低下
させるためには0.010%以下にする必要がある。
ここにおいて、CとNとは同等の影響を及ぼす元素で
あるため、どちらか一方の含有量を低下させただけでは
充分に変形応力を低めることは出来ない。このため、C
+Nの含有量は0.012%以下とする必要がある。
PとSとは変形応力を高める元素であり、且つ焼入れ
焼戻し等の熱処理後の靭性を低める元素である。このた
め出来るだけ含有量を低めることが望ましく、それぞれ
0.01%以下にする必要がある。
Siは焼入れ性を増大させる元素であるが、その含有量
に対する焼入れ性増加の程度はあまり大きくない。また
変形応力を増加させ且つ酸化し易い元素であるため焼鈍
においてインサートメタルと鋼板との界面に酸化物を形
成して拡散の障害となつて接合性を劣化させる。このた
め出来るだけ含有量を低めることが望ましく、0.01%以
下とした。
Mnはインサートメタルの焼入れ性を増大させるのに有
効な元素である。しかし一方では変形応力を増加させ、
Feに比べて酸化され易いため、インサートメタルと鋼板
との界面に酸化物を形成して拡散の障害となつて接合性
を劣化させる性質も有する元素である。このためMn含有
量は0.15%以下とした。
CrはMnと同様に焼入れ性を増加させるためのものであ
るので含有されていることが好ましいが、酸化され易い
元素であるため、0.2%以下とした。
Niは本発明法のインサートメタルとしての鋼成分とし
て重要な元素である。MnやCrに比べて、単位含有量当り
の焼入れ性増加の効果は小さいが、インサートメタルの
焼入れ性を増加させるに充分な効果を有する。一方、Mn
やCrに比べると酸化されにくい元素であり、界面への酸
化膜の形成で接合性を劣化させにくい。Niはこのような
特徴を有するため、焼鈍時のインサートメタルと鋼板の
接合性を維持しつつ、熱処理時の焼入れ性を確保して剥
離の発生を防止するのに、極めて有効な元素である。0.
5%未満では焼入れ性を確保するのに充分でなく、3.0%
を超えると焼鈍時の変形応力が高くなつてインサートメ
タルと鋼板の密着性が低下し、また3.0%を超えるほど
の焼入れ性は通常必要としないため、Ni含有量は0.5〜
3.0%とした。
鋼中に含まれる上記以外の元素については、不可避的
に含有される量とした。これは、変形応力を低めてイン
サートメタルと鋼板との密着性を高めるためには出来る
だけ含有量を低めることが望ましいためである。また、
焼入れ性を増大させる合金元素として例えばMo等を積極
的に添加しないのは、Si,Mn,Cr等と同様にこれらの元素
が酸化し易く、インサートメタルと鋼板との界面で酸化
物となり拡散の障害となつて接合性を劣化させるからで
ある。
次に焼鈍におけるステツプ加熱の限定理由を述べる。
焼鈍においてインサートメタルと鋼板との密着性を高
めるためには、インサートメタルの焼鈍温度における変
形応力を低めることが有効である。
本発明法において焼鈍の前にステツプ加熱が採られて
いるのは、上記の変形応力を低めるためである。
焼鈍の熱サイクルにおいて、室温よりオーステナイト
生成温度域に昇温すると、温度の上昇と共に変形応力が
低下していくが、フエライトからオーステナイトが生成
すると変形応力が逆に増加する現象が生じる。これはオ
ーステナイトがフエライトより強度の高い組織のためで
ある。更に高温に昇温するとオーステナイトの変形応力
は低下するから、インサートメタルの鋼板との密着性の
みを考えればこのような高温まで昇温するのが適してい
る。しかし、このような高温に加熱すると結晶粒の粗大
化による材質の劣化等が生じるため、実際的には採用出
来ない。
上記の如き現象からすると、インサートメタルの変形
応力を低くして密着性を向上させるためには、フエライ
トが生成している温度域で且つ出来るだけ高い温度で加
熱することが有効である。即ち、インサートメタルとし
て使用する鋼のAc1点からその直下の(Ac1点−50℃)ま
での温度範囲でステツプ加熱した後に、オーステナイト
温度域まで昇温させるのである。ステツプ加熱域として
(Ac1点−50℃)〜Ac1点の温度範囲を選んだのは、これ
より低温側ではフエライトの変形応力が高く、ステツプ
加熱の効果が得られないからである。また30分以上のス
テツプ加熱時間としたのは、インサートメタルの変形が
クリープ変形的な要素を持つからであり、実用的にも材
料の均熱化を図るためには30分以上の保持が必要である
からである。
なお、ここで言うインサートメタルのAc1点とは、焼
鈍前でのインサートメタルのAc1点を言う。即ち、焼鈍
中にインサートメタルには鋼板からCが拡散してインサ
ートメタルの組成は変化していくが、インサートメタル
と鋼板との密着性が問題となるのは、拡散が生じていな
い焼鈍の初期段階であるから焼鈍前のインサートメタル
のAc1点を基準にして温度を制御すればよい。
〔実施例〕
以下に実施例,比較例を挙げて、本発明法を更に具体
的に説明する。
高周波溶解炉で第1表に示す化学組成の鋼6種を溶製
してそれぞれ30kgの鋼塊とした後、熱間鍛造,熱間圧
延,冷間圧延の各工程を通して、板厚0.2mmの薄板6種
を製造した。各鋼のAc1点は第1表に示す通りであつ
た。この各薄板を切断して2.0mm角のチツプ上の薄片を
作り、これをそれぞれインサートメタルとした。第1表
に示す鋼No.のうち、IVはNiが含まれていない点で、V
は鋼No.IVの理由に加えてCが多い点で、VIはNiが含ま
れず且つCrが多い点で、それぞれ本発明において規定す
るインサートメタルの組成外のものである。
一方、転炉にて第2表に示す化学組成の低炭素鋼,炭
素工具鋼,合金炭素工具鋼の3種の鋼を溶製し、連続鋳
造にてスラブとした後、それぞれを熱間圧延,冷間圧
延,剪断の各工程を通して板厚1.0mm,幅600mm,長さ1000
mmの鋼板3種を製造した。
上記の各鋼板の表面を脱脂洗浄した後、この鋼板の上
に先に述べた鋼No.Iのインサートメタルを1m2当り約200
0個の割合でほぼ均一に分散させて散布し、この上に脱
脂洗浄した上記と同種の鋼板を重ねて一組の未接合の複
合制振鋼板積層体(以下、未接合積層体と言う)を得
た。このようにしてインサートメタルの1種につき3種
の鋼板を用いて得た3組の未接合積層体を重ねたもの
(以下これを未接合積層体団と仮称する)をインサート
メタルの種類毎に作つた。そしてこの未接合積層体団を
5%H2+95%N2の不活性ガス雰囲気下の焼鈍炉内で最上
の未接合積層体の鋼板の上に重錘を載せて面圧を付与し
ながら焼鈍することを各未接合積層体団毎に行つた。こ
のとき使用した重錘の重量は3500kgであり、また焼鈍は
次の2種の熱履歴で行つた。即ち、一つは900℃までの
約150℃/時間の昇温速度,900℃×5時間の均熱加熱,
約50℃/時間の冷却の熱履歴である(比較例1〜9)。
他の一つは、約150℃/時間の昇温速度で各インサート
メタルのAc1点から(Ac1点−50℃)までの範囲の温度ま
で昇温したら、上記温度範囲内で1時間のステツプ加熱
を行い、更に約150℃/時間の昇温速度で900℃まで昇温
させ、その後は上記と同様の焼鈍を行う熱履歴である
(実施例1〜9,比較例10〜18)。以上のような条件で面
圧を付与しながら焼鈍を行うことで、インサートメタル
と各鋼板との間の拡散接合を行つた。
上記の工程で得られた複合鋼板について、接合の程度
を評価するため第1図(イ),(ロ)に示す幅25mmのT
字型試験片を用いた引張試験法により接合強度を測定し
た。その結果を第3表に示す。
なお、接合強度の測定に際してはインサートメタル1
個当りの接合強度が測定出来るようにした。
この結果から明らかなようにインサートメタルとして
の鋼が高C材(鋼No.V)や高Cr含有材(鋼No.VI)等の
場合は、変形応力が高いことや界面の酸化物による拡散
の抑制により、低C材(鋼No.IV)や本発明法で用いた
鋼(鋼No.I〜III)の場合に比べてインサートメタルと
鋼板との接合強度が小さいことが判る。
次に上記で得られた複合鋼板から、直径500mmの円板
を切り出し、この円板を用いて熱処理(焼入れ焼戻し処
理)後の接合状態を調べた、この熱処理条件は、予め行
う加熱処理を820℃×10分とし、その後50℃の焼入れ油
中に浸漬して焼入れし、更にその後の焼戻しを500℃×
1時間のプレス焼戻しとした。
熱処理後の円板から第1図に示した試験片を採取して
接合強度を測定した。その結果も第3表に示す。この結
果から判るように、本発明法により焼鈍時にステツプ加
熱をしたもの(実施例1〜9)は、ステツプ加熱なしで
焼鈍したもの(比較例1〜9)に比べて接合強度は大き
く、特に熱処理後においても実用に耐える充分な接合強
度を保持していることが判る。またインサートメタルの
組成が本発明で規定した範囲から外れている場合(比較
例10〜18)は、焼鈍時にステツプ加熱をしても接合強度
は低く、特に熱処理時に殆んどの場合鋼板は剥離して全
く使用に耐えないことか判る。
なお、これらの実施例1〜9,比較例1〜9において得
られた複合鋼板熱処理後の制振性については、第2図に
示す装置の支柱フレーム1に制振性測定対象物2を糸3
で懸垂保持しておいて回転自在なハンマー4を水平状態
から回転落下させてその打撃音をマイクロホン5で受音
しアンプ6で音圧レベルを測定した結果も第3表に示
す。参考例1〜3として示した単一の鋼板に比べて本発
明法で得られた複合鋼板の音圧レベルは熱処理後でも著
しく低く、制振鋼板としての性能も充分に有しているこ
とが確認された。
〔発明の効果〕 以上詳述した本発明に係る複合型制振鋼板の製造法よ
れば、鋼板として及びインサートメタルとしてそれぞれ
特定組成のものを用い、且つ焼鈍に当り昇温途中で特定
温度領域でのステツプ加熱を行うことにより、焼入れ焼
戻し等の熱処理を受けた後でも充分に高い接合強度と制
振性とを保持する複合型制振鋼板を製造することが出来
るようになつた。このような本発明は、複合制振鋼板の
用途を拡大する上で極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は複合鋼板の接合強度を測定するための試験片の
形状を示す図であつて、(イ)は正面図で(ロ)は側面
図、第2図は打音の音圧レベルを測定する装置の斜視図
である。 図面中 1……支柱 2……制振性測定対象物 3……糸 4……ハンマー 5……マクイロホン 6……アンプ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板と鋼板との間に微小な幅を有するイン
    サートメタルをほぼ均一な分布状態で挟み、鋼板間に面
    圧を与えた状態で不活性ガス雰囲気下で各鋼板とインサ
    ートメタルとの間で拡散が起こる温度で焼鈍を行つて複
    合型制振鋼板を製造するに当り、鋼板として炭素鋼又は
    低合金鋼であつてC含有量が0.3〜1.0%のものを用い、
    インサートメタルとして重量%でC≦0.010%,Si≦0.01
    %,Mn≦0.15%,P≦0.01%,S≦0.01%,0.5%≦Ni≦3.0
    %,Cr≦0.2%,N≦0.010%であつて且つC+N≦0.012%
    であり、残部がFe及び不可避的不純物から成る鋼を用
    い、焼鈍において焼鈍温度に昇温する途中でインサート
    メタルとして用いる鋼の(Ac1点−50℃)〜Ac1点の温度
    領域で30分以上のステツプ加熱を行つた後、オーステナ
    イト領域の温度に昇温して焼鈍することを特徴とする複
    合型制振鋼板の製造法。
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