JP2668306B2 - 車輌用前照灯の反射鏡 - Google Patents

車輌用前照灯の反射鏡

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JP2668306B2
JP2668306B2 JP4047650A JP4765092A JP2668306B2 JP 2668306 B2 JP2668306 B2 JP 2668306B2 JP 4047650 A JP4047650 A JP 4047650A JP 4765092 A JP4765092 A JP 4765092A JP 2668306 B2 JP2668306 B2 JP 2668306B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明車輌用前照灯の反射鏡は、
遮光部材を設けることなく反射面の全面を有効に使って
すれ違いビームに特有のカットラインを形成するととも
に、グレアを低減した配光パターンを得ることができる
ようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】近時における自動車設計の傾向は新たな
ヘッドランプの模索への機運を促しており、高速、高燃
費に対する要求に合致するように車体形状が流線形状に
近づけられるのに伴って、車両の前端が水平線に近づく
方向に傾斜し、この影響を受けてヘッドランプのアウタ
ーレンズも同様に傾斜されるようになってきている。
【0003】その結果、ヘッドランプはその鉛直方向の
有効幅が小さくなる傾向にある。自動車用前照灯におい
て、配光規格に適合するすれ違いビーム配光を得る上で
最も基本的な構成は、回転放物面状をした反射鏡の焦点
近傍にコイル状のフィラメントをその中心軸が反射鏡の
光軸に沿うような配置(所謂C8タイプのフィラメント
配置)とするとともにフィラメントの下方にシェードを
配置し、さらに反射鏡の前方に配光制御用のアウターレ
ンズを配置したものである。
【0004】この場合、カットラインは、シェードによ
って光が部分的に遮られることによって、投影像におけ
る対抗車線側の水平線上方と、所定の角度をもって傾斜
した境界線の上方とに影の部分を形成することによって
得られる。
【0005】ところで、アウターレンズには配光制御の
主役たる多数のレンズステップが形成されるが、アウタ
ーレンズの傾斜がきつくなると、これまでのようなレン
ズステップのみに頼った配光制御には限界があり、その
結果として2つ問題が生じることになる。
【0006】即ち、傾斜したアウターレンズは一般にす
れ違いビームの照射時において湾曲した配光パターンを
生み出し、その結果路肩での視認性の悪化をもたらすと
いう問題がその一つであり、アウターレンズが鉛直軸に
関してなす角、所謂スラント角が大きくなってくるとア
ウターレンズに形成される広拡散レンズステップによる
光の垂れ現象(配光パターンの左右両端部が垂れる現
象)が顕著になる。
【0007】また、二番目の問題は、反射鏡の幅が細く
なるにつれて光束の減少が引き起こされることであり、
結果として遠方での視認性が不充分になってしまうこと
である。
【0008】そこで、上記の制約を克服するためにプロ
ジェクタ型ランプが用いられるようになってきており、
このプロジェクタ型ランプにあっては、楕円反射鏡の第
2焦点位置の近傍にシェードが配置されており、シェー
ドの像が凸レンズによって投影される結果として鮮明な
カットラインが得られるように構成されている。
【0009】しかしながら、上記のヘッドランプ装置に
あっては、いずれもカットラインを形成するためにシェ
ードを用いているため、カットオフ比が高い反面、フィ
ラメントから出射される光の多くがシェードによって遮
られるので、光束の利用率が低いという問題がある。
【0010】そこで、これを解決するためにこれまでア
ウターレンズに課せられた配光制御機能を反射鏡に転嫁
させるという傾向が近時強くなっている。
【0011】配光制御機能を有する反射鏡が好ましいと
されることについては、低ボンネット化への対応という
観点からも支持される。
【0012】即ち、バンパーからボンネット先端迄の高
さがあまり高くない車体形状に対しては、上下幅の狭い
前照灯が好ましいが、この場合にもやはり光束の利用率
が問題となる。つまり、シェードによってカットライン
を形成する方法では光束を有効に利用することができ
ず、よって、シェードを用いることは好ましくない。
【0013】このように、反射鏡の全反射面を用い、し
かも反射鏡の形状のみによりカットラインを形成すると
いう考え方が生まれてくることになり、シェードのない
バルブ(例えば、#9005、#9006やH−1バル
ブ)を用い、反射鏡が配光制御の主流を占めるヘッドラ
ンプ装置が、スラント型で、かつ幅の細いヘッドランプ
の候補として浮かび上がってくる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でシェードのないバルブを用いたヘッドランプ装置では
その反射鏡のみによって、鮮明なカットラインの形成と
配光パターンの中心光度の確保を、グレアを伴うことな
く実現することができなかったという問題がある。
【0015】シェードを用いることなく鮮明なカットラ
インを形成する簡単な方法は、図24に示すように、放
物面反射鏡aの上半部bと下半部cとを前後にずらし、
上半部bの焦点Fbをフィラメントdの後ろ側に位置さ
せ、下半部cの焦点Fcをフィラメントdの前側に位置
させることである。尚、図面ではx軸を光軸に選び、z
軸を鉛直軸に選んでいる。
【0016】図25は反射鏡aの上半部bによる投影像
eと下半部cによる投影像fとを合成して示すものであ
る。尚、図中、「H−H」は水平線を、「V−V」は鉛
直線をそれぞれ示している。
【0017】このような反射鏡aにあっては、上半部b
と下半部cとの間に不連続な段差が生じてしまうという
欠点があり、成形精度やエッジ部での反射層の不均一に
起因してカットラインgの上方によってグレア(図25
に斜線部で示す。)が生じてしまうという不都合があ
る。
【0018】このように、反射鏡の形状についてこれま
で知られている基本形状の組合せでは、上記した課題の
解決には困難が伴うため新たな設計思想に基づく数学的
な反射曲面が望まれていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記し
た課題を解決するために、反射面の基本面として次のよ
うな曲面を採用する。
【0020】基本面の特徴は、先ず、光軸を含む水平面
に対して一般に所定の角度をもって傾斜された平面内に
基準放物線を有し、該基準放物線の頂点と焦点とを通る
光軸上であって頂点に関して焦点と異なる点に基準点を
有することであり、さらに、基準点から発したと仮定し
た光が基準放物線を水平面に投影した放物線上の任意の
点で反射されたときの反射光の光線ベクトルに平行な光
軸を有し、かつ反射点を通り基準点を焦点とする仮想的
な回転放物面を、上記光線ベクトルを含み鉛直軸に平行
な平面で切ったときの交線の集合体として反射面が形成
されていること、である。
【0021】即ち、仮想的な回転放物面は、基準放物線
の焦点からある距離をおいて偏位した基準点を焦点と
し、該焦点から光が発したと仮定したときに基準放物線
の水平面への正射影上の反射点で反射した光の光線ベク
トルに平行な光軸を有し、かつ、反射点を含むような放
物面である。
【0022】また、仮想平面は、上記反射点を通り反射
光の光線ベクトルを含んで、しかも鉛直線に平行な平面
である。
【0023】これら仮想的な放物面と平面との交線の集
まりが本発明に係る基本面を形成する。
【0024】ここで、反射面を3つの反射領域群に区分
けする。
【0025】これらの反射領域群は、その形状について
以下の特徴を有する。
【0026】先ず、第1の反射領域群あるいは反射領域
は、光軸を含む水平面に近接し、回転放物面に近似した
曲面形状を為している。
【0027】また、第2の反射領域群は、上記基本面に
関して基準放物線を含む平面が水平面に対してカットラ
イン角をもって傾斜した面に規定された曲面形状をな
し、そのうち光軸を含む水平面より上側に位置する領域
についてその基準点が基準放物線の焦点位置より頂点寄
りの光軸上に位置し、光軸を含む水平面より下側に位置
する領域についてその基準点が基準放物線の焦点に関し
て頂点から遠い側の光軸側に位置する。
【0028】そして、第3の反射領域群は、上記基本面
に関して基準放物線を含む平面が光軸を含む水平面に規
定された曲面形状をなし、そのうち光軸を含む水平面よ
り上側に位置する領域についてその基準点が基準放物線
の焦点位置より頂点寄りの光軸上に位置し、光軸を含む
水平面より下側に位置する領域についてその基準点が基
準放物線の焦点に関して頂点から遠い側の光軸上に位置
する。
【0029】このような反射面に対してフィラメントが
反射鏡の光軸に沿って配置されるとともに、第2及び第
3の反射領域群に係る基準点のうち点間距離が最大の点
によって区分される光軸上の範囲内に、フィラメントの
光軸への正射影が位置される。
【0030】
【作用】本発明に係る基本面において、基準放物線の焦
点と、それから偏位した基準点との間において、両点を
通る光軸に沿ってフィラメントを配置し、基準放物線の
水平面への正射影上の点毎に想定される仮想的な回転放
物面と仮想平面との交線上の任意の点によるフィラメン
トの投影像を遠方のスクリーン上に映し出したとする
と、投影像は交線に応じた水平線上の点(但し、基準放
物線の頂点に対応するスクリーン上の点は除く)を回転
中心とし、水平線の下方でかつ水平線に近接した配置と
なる。
【0031】そして、本発明に係る反射面を光軸に関し
て上記のように3種類の反射領域群から構成した場合、
第1の反射領域群(あるいは反射領域)によって得られ
るフィラメント像によって水平線に対して傾斜したカッ
トラインの原型が形成され、また、光軸を含む鉛直面に
関して片側に位置しかつ少なくとも第2、第3の反射領
域群に属する領域の協同作用によって水平カットライン
の原型が形成される。さらに、水平線の直下における限
定された領域にフィラメント像を集めることができるの
で、光度分布に関して明るさの中心領域を容易に作り出
すことができる。
【0032】従って、本発明によれば、反射面を連続的
な曲面として形成することによってグレアの問題を解消
するとともに、シェードを用いることなく反射面の全面
を有効に使い、その配光制御機能のみによって鮮明なカ
ットラインの生成に寄与する投影パターンの原型を作り
出すことができ、配光制御に係るアウターレンズの負担
を軽減し、スラント角を大きくすることが可能となる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明車輌用前照灯の反射鏡の詳細
を図示した実施例に従って説明する。
【0034】反射面の具体的な形状について説明する前
に、反射面上の任意の点によって投影される全てのフィ
ラメント像がカットラインの下方に位置されなければな
らないという基本原理から議論を始めて、反射面の特徴
についてその概要を説明する。
【0035】先ず、本発明における基本的な考え方を説
明するために、反射面上の場所の変化に対するフィラメ
ントの投影像の変化が従来の回転放物面状をした反射面
を使った場合とどのように相違するかを両者の対比によ
り明らかにする。
【0036】図1は反射面1を光軸(これをx軸に選ぶ
と、このx軸は紙面に垂直な方向に延びている。)方向
から眺めたときの概略的な正面図であり、x軸に直交し
かつ水平方向に延びる軸がy軸に選ばれ、x軸に垂直で
かつ鉛直方向に延びる軸がz軸に選ばれている。そし
て、この直交座標系の原点Oが電球取付孔2の中心に位
置している。
【0037】図において、線分OC及びx軸を含む平面
とy軸との間になす角θはカットライン角に相当してお
り、この平面(但し、y<0)とx−y平面(但し、y
>0)とによって反射面1を上下に2つの反射領域3、
4に分けて考える。
【0038】そして、上側の反射領域3は図2に示す点
F(原点Oからx軸の正方向に距離fだけ離れた点)を
焦点とする回転放物面の一部をなす形状とされている。
【0039】また、下側の反射領域4は、回転放物面鏡
の場合には勿論回転放物面の一部をなす形状とされ、本
発明に係る基本面の場合には回転放物面に基づいた稍複
雑な形状をしている。
【0040】先ず、回転放物面鏡に関するフィラメント
5の投影像の変化について説明する。
【0041】この場合、C−8構造とされたフィラメン
ト5は図2に示すように点Fと点D(点Fからx軸の正
方向に距離dだけ偏位した点)との間に位置されてい
る。
【0042】尚、フィラメント5の方位を便宜上明確に
するために、「フィラメント5について、その端部のう
ち点F側の端部を円錐状に尖った形状とし、点D側の端
部を平坦面とする鉛筆形状を仮定する。」という約束を
設ける。
【0043】そして、図1において1点鎖線で示す四角
形状の領域6を考え、その右側(つまり、y>0)の領
域において原点O寄りに位置し、かつy座標が一定の面
と反射面1との交線7上に5つの代表点を考え、これら
の点によるにフィラメント像が反射面1の遠方に配置さ
れたスクリーン上にどのように映し出されるかについて
説明する。
【0044】尚、交線7上の代表点については、z座標
の大きいものから順に点P1、P2、P3、P4、P5
とし、点P1と点P2が領域3に属し、点P3がy軸上
に位置し点P4と点P5が領域4に属するものとし、点
P1と点P5、点P2と点P4はそのz座標の符号が反
対で絶対値が互いに等しいものとする。
【0045】図3は反射面1が単一の回転放物面状をな
している場合に、上記の点P1、P2、P3、P4、P
5によって遠方のスクリーン上に投影されるフィラメン
ト像の配置を概略的に示すものである。
【0046】図3におけるI(X)は( )内に示す代
表点Xによるフィラメント像を示しており、フィラメン
ト像の大きさに違いはあっても、いずれの場合も水平線
H−Hと鉛直線V−Vとの交点HVを回転中心としてフ
ィラメント像が配置される傾向が認められる。つまり、
代表点が上からP1→P2→P3→P4→P5と変化す
るにつれてフィラメント像の方は矢印Cに示すようにそ
の尖った方の端部が常に点HVの方を向いた状態で水平
線H−Hの下方から点HVを中心に反時計回りに回転し
て行く。
【0047】即ち、領域4が領域3と同様に放物面状を
なし、かつその焦点が共に点Fにあるならば、スクリー
ン上の像は、図4に示すように中心HVを基準として放
射状に延びる一連のフィラメント像によって構成される
ことになる。
【0048】反射鏡の領域4に属する点によって投影さ
れるフィラメント像は、水平線H−Hの上側に位置する
ため、前述したように放物面反射鏡を用いたヘッドラン
プ装置では、フィラメント5の下方にシェードを設ける
ことによってこの不要な部分を除去し、図5に示すよう
な投影パターンを作り出している。
【0049】ところで、領域4による配光パターンへの
寄与をシェード等によって遮断しないとしたら、領域4
に属する点によって投影されるフィラメント像がカット
ラインの下側に配置されるように下方にずらすための工
夫を要する。
【0050】つまり、領域4の点P4やP5によって投
影されるフィラメント像が、図6に示すように、点HV
からある距離だけ離間した水平線H−H上の点RCを中
心として折り返し状に回転するならば、領域4の面形状
はフィラメント像をカットラインの下側に配置させると
いう要求を満たす。
【0051】尚、図6は、反射領域3の形状が回転放物
面状をなし、反射領域4の形状が本発明に係る曲面を用
いて構成されている場合において、フィラメント像の配
置を概略的に示すものであり、交線7上の各代表点によ
るフィラメント像を例示するものである。
【0052】図6において、J(X)は( )内に示す
各代表点Xに対応するフィラメント像の配置を示してお
り、代表点P1、P2、P3によるフィラメント像は領
域3が半截した回転放物面状をしていることから明らか
なように、点HVを中心とした回転の変化をみせるが、
代表点P4、P5によるフィラメント像は水平線H−H
上の点RCを回転中心とした配置となる。
【0053】即ち、代表点が上からP1→P2→P3と
下がるにつれて、フィラメント像の方は水平線H−Hの
下方から点HVを中心として反時計回りに回転した後水
平線H−H上に位置し、その後代表点がさらにP4→P
5へと下ると矢印Mに示すように点RCを中心にして反
時計回りで、しかも水平線H−Hの下側で回転するとい
う変化をみせ、フィラメント像の平坦な端部が常に点R
Cの方を向くようにして水平線H−Hの直下に位置す
る。
【0054】尚、この例では交線7を特定した上で反射
領域4に属する各代表点によってフィラメント像が点R
Cを回転中心として変化する様子を説明したが、別の交
線を選べば、該交線に対応する水平線H−H上の別の回
転中心が存在する。
【0055】次に、このようなフィラメント像の配置に
関する特徴をもった曲面の方程式をいかに見出すかにつ
いて考察する。
【0056】図7に示すように、水平なx−y平面上に
位置し、点Fを焦点とする放物線8について考える。
【0057】フィラメント5の後端近傍の点Fから出た
光9は、放物線8上の点P3で反射した後、光軸(つま
り、x軸)に平行な方向に出射される。
【0058】また、フィラメントの前端近傍の点Dから
出た光は点P3で反射した後、遠方に配置されたスクリ
ーンSCN上の点RCに向けて出射され、光軸と交差す
る光線10(つまり、ベクトルP3_RCを方向ベクト
ルとする光線)となる。
【0059】今、別の放物線11を考える。この放物線
11はベクトルP3_RCに平行な光軸を有し、点Dを
焦点とするものであり、図では点P3において放物線1
1に対して傾斜している。
【0060】この放物線11をその光軸回りに回転する
ことによって回転放物面を得ることができるが、ベクト
ルP3_RCを含みx−y平面に直交する平面でこの回
転放物面を切断することによって得られる放物線を放物
線12と定義する。
【0061】点P3を放物線8に沿って動かすことによ
って放物線12の集合体としての曲面が生成される。
【0062】この曲面は点Fと点Dとに焦点をもち、こ
れを上記反射領域4に用いたときに鮮明な水平カットラ
インを得ることができるものである。
【0063】即ち、図7において、スクリーンSCN上
にフィラメント像が映し出される途中段階において面1
3上に写し出される像に関しては、点P3による像14
が水平線に対して平行になり、点P5による像15が水
平線に対してある角度をなし、点Dから発した後点P3
で反射した光10と、点Dから発した後放物線12上の
別の点P5で反射した光16とが平行になる。
【0064】このようにフィラメント像14、15の平
坦な端部に関する光が平行となるように交線8の形状が
規定されているため、これらの平行光が遠方で一致する
点RCを回転中心としてフィラメント像17、18(我
々の記法によれば、それぞれJ(P3)、J(P5)に
相当する。)が配置されることになる。
【0065】これによって、図6に示したように反射領
域4によるフィラメント像を、水平線H−H上に位置す
る点(但し、点HVを除く)を回転中心として常に水平
線H−Hの直下に集めて配置させるという当初の目的が
達成される。
【0066】尚、フィラメント像17を厳密に水平線H
−H下に配置するにはフィラメント5を光軸の稍上方に
偏位させる必要がある。
【0067】あとに残る作業は、求める反射面を数式に
よって定量的に表現することと、そしてこのような反射
面を実際の反射鏡に応用することであり、以下、この順
に説明を行う。
【0068】先ず、理解を容易にするために、すれ違い
ビームに特有のカットラインについては考慮の対象から
意識的に除外し、反射面1が半截の回転放物面状をした
反射領域3と、これから求めようとする下側の反射領域
4の2つの領域から構成されているとする単純化された
モデルについて説明する。
【0069】この場合、反射領域4に用いられる反射面
の形状については次の2つの条件a)、b)が課せられ
る。
【0070】a)連続性の条件・・・反射領域3との境
界(つまり、x−y平面での断面)における形状が一致
すること。
【0071】b)フィラメント像の配置条件・・・反射
領域4によるフィラメント像が水平線H−H以下で、か
つできる限り水平線H−Hの近傍に配置されること。
【0072】即ち、前者の条件a)は反射領域3と反射
領域4との間に不連続性があると、これに起因してグレ
アが発生してしまうので、これを防止するのに必要な条
件であり、また、後者の条件b)は反射領域4からの反
射光をシェード等によって遮ることなく配光パターンに
寄与する光として有効に利用するために必要な条件であ
る。
【0073】ところで、条件b)については図7で説明
した状況をもう少し詳しく分析してみると次のように表
現することができる。
【0074】即ち、水平線H−H上において点HV以外
の点を回転中心としてフィラメント像が配置されるとい
うことは、点Dからの光が放物線8上の点で反射した後
の光が平行であること、そして、この関係が任意の交線
毎に成り立っているということと等価である。
【0075】この事情を図8に示す。
【0076】図中の点Pはx−y平面内の放物線8上に
位置する任意の点を示しており、点Fから発した光が点
Pにおいて反射したとするとその反射光19はx軸に平
行に直進する(進行方向をベクトルPSで示す)。
【0077】また、点Dから発した後点Pにおいて反射
した光20は反射の法則に従って光19より小さな反射
角をもって反射し、光19に対してある角度(これを
「α」と記す)をもって直進する(進行方向をベクトル
PMで示す。)。
【0078】ところで、今、点Dを焦点とし、点Pを通
り光線ベクトルPMに平行な光軸を有する仮想的な回転
放物面21(2点鎖線で示す)を考え、光線ベクトルP
Mを含み、かつ、z軸に平行な平面(これを「π1」と
記す。)で放物面21を切ったときの断面形状(つま
り、放物面21と平面π1との交線22)について考え
る。
【0079】この断面形状(破線で示す。)が放物線状
をしていることは勿論であるが、点Dから発した後、こ
の交線22上の任意の点で反射した光が互いに平行であ
るという関係が成立するという事情に関して図7で示し
た状況に合致している。
【0080】このように放物線8上の任意の点P毎に対
応した仮想放物面と、該仮想放物面の光軸に平行で、し
かも点Pを通るz軸に平行な面との交線の集合が求める
反射面となる。
【0081】以下では、この曲面について[表1]に示
すパラメータを用いた媒介変数表示による表現形式に求
める。
【0082】
【表1】
【0083】図9はz=0で切断したx−y平面であ
り、放物線8上の任意の点Pはパラメータqを用いてP
(q2 /f、−2q、0)で表わすことができる(x=
2/fとy=−2qの2式からqを消去すればy2=4
fxという放物線の式が得られる)。尚、図9乃至図1
1における各座標点の定義を[表2]に示す。
【0084】
【表2】
【0085】図10、図11は求める反射面の式を得る
上での幾何学的関係を説明するための概略的な斜視図で
あり、図10及び図11における「線」や「面」の定義
を[表3]に示す。
【0086】
【表3】
【0087】さて、反射面の式を導出するためには光線
ベクトルPMに平行なベクトルEPを求め、点Pにおけ
る前述した仮想放物面21と平面π1との交線上の点B
の座標をそのz座標がパラメータhで表わされる場合に
ついて求めれば良い。
【0088】ベクトルEPを求めるにあたっては、点E
の座標を知ることが先決であり、このためには、次の幾
何学的な関係を利用する。
【0089】即ち、図9において点Fから発した後点P
で反射した光についての反射角をφ(つまり点Pでの法
線方向をnとすると∠FPnに等しい)とすると、直線
JPがx軸に平行であること、点Nが線分JFの中点で
あること、そして、直線F´Jが放物線8の準線であ
り、線分FPの長さと線分JPの長さとが等しいという
放物線の幾何学的性質に着目すると、菱形PFP´Jは
線分FJと線分PP´によって4つの合同な三角形ΔN
FP、ΔNJP、ΔNJP´、ΔNFP´に分割される
ことである。
【0090】これによって、点Pにおける放物線8の接
線PN(あるいはPP´)に関して点Dに対称な点Eの
座標は点Jと点P´を通る直線23と、点Dを通りベク
トルNFに平行な直線24との交点の座標として求める
ことができる。
【0091】点P及び点Eの座標からベクトルEPが求
まるので、次にベクトルEPに平行な光軸をもつ仮想放
物面21と平面π1との交線22上の点Bの座標を求め
る作業に移る。
【0092】ここでは仮想放物面21の表現式をあから
さまに求めることなく(仮想放物面はあくまで思考過程
において利用する面であり、その形状を具体的に式で表
現することにはあまり意味がない。)、点Bの座標値を
算出する。
【0093】今、図10に示すように点Eからz軸に平
行な方向にhだけ偏位した点Hを考え、点Hと放物線2
2上の点B(z=h)を通る直線25について考え
る。
【0094】放物線22は仮想放物面21を平面π1で
切ったときの交線であり、よって点Bから準線EHに垂
した垂線の足H迄の距離と、点Bと仮想放物面21の焦
点Dとの距離は等しいはずである(これは回転放物面の
幾何学的性質による)。
【0095】即ち、線分HBの長さと線分BDの長さが
等しい二等辺三角形HBD上の頂点が求める点Bである
から、図11に示すように点Bの座標を求めるためには
線分HDの中点Fを通りベクトルHDに垂直な平面π
3と、直線25との交点の座標を計算すれば良いことに
なる。
【0096】点Fは線分HDの中点であることから容
易に求められられ、そして、ベクトルHDは点H及び点
Dの座標から求まる。
【0097】よって、平面π3は点Fを通り、ベクト
ルHDを法線ベクトルとする平面の式によって表わさ
れ、また、直線25は点Pからz軸に平行な方向にhだ
け離れた点Uを通りベクトルEPを方向ベクトルとす
る直線の式よって表されるので、両式を連立させてx、
yについて解き、パラメータQへの置き換えを行なって
整理すると最終的に点Bの座標が[数1]式に示すよう
に求められる。
【0098】
【数1】
【0099】尚、この[数1]式の導出過程での式につ
いては、説明の煩雑化をさけるためにあえて割愛した
が、上記の説明を頼りに根気良く計算すれば代数幾何の
初等的な知識のみで得ることができる。
【0100】上記[数1]式が望んでいた反射面の式で
あるが、この式において、試みにd=0とおいてみる
と、x=q^2/f+h^2/4f、y=−2qが
直ちに得られ、h→z、x→x、y→yという置き
換えを行なうと共にパラメータqを消去すると、結局回
転放物面の表現式が得られる。
【0101】即ち、[数1]式は回転放物面をd=0と
いう特殊な場合として含んでいることが判る。尚、前述
した連続性の条件a)が満たされていることは[数1]
式においてh=0とおけば放物線8の式に一致すること
から容易に確かめることができる。
【0102】ところで、これ迄の議論ではカットライン
の形成についてはこれに触れることなく説明を行なって
きたが、以下ではすれ違いビームに特有のカットライン
を考慮した反射面について具体的な設計指針を与えるこ
とにする。
【0103】最初に容易に思いつくのは、図12に示す
ように反射面1について3つに領域分けを行うことであ
る。即ち、x軸を中心としてy軸における正の軸を起点
とし、x軸の正方向から負方向に向って眺めたときに反
時計回りに増加する弧度法(y軸との間になす角を
「β」と記す。)を用いて、反射面1を3つの領域
、4、4に分けて考える。
【0104】カットライン角θが15°の場合におい
て、領域3は0°から195°の角度範囲を占める放
物面状の領域であり、領域4は光軸に関してカットラ
イン角をもって[数1]式の曲面を回転したもので19
5°から277.5°の角度範囲を占めている。
【0105】残る領域4は[数1]式の曲面を回転さ
せずにそのまま用いており、277.5°から360°
の角度範囲を占めている。
【0106】このような反射鏡の特徴を挙げると以下の
ようになる。
【0107】1.配光パターンは3つにグループ化され
たフィラメント像からなり、その各々は異なる回転中心
のまわりに配置される。即ち、領域3に関するフィラメ
ント像は点HVの回りに回転し、領域4に関するフィ
ラメント像は15°カットライン上の点の回りに回転
し、領域4に関するフィラメント像は水平カットライ
ン上の点の回りに回転する。
【0108】2.領域4と4との交線は変曲点の集
合であり、これによって両者の境界に沿ってフィラメン
ト像の不連続なシフトが生ずる。
【0109】この反射鏡においてグレアを低減するに
は、ある範囲に亘って光を拡散しなければならないが、
単にアウターレンズによって光を水平方向に拡散させる
と配光パターンにおいて対抗車線側に位置する水平カッ
トラインの下側の領域が相対的に暗くなるという結果を
もたらす。
【0110】これを正すには、反射面に次のような修正
を要する。
【0111】その一は「領域3と4との境界を下向
きに越えたときにフィラメント像が水平線の下側に位置
するように大幅に移動しなければならない。」ことであ
る。
【0112】図13は反射面とy=一定の平面との交線
26上の代表点を示すものであり、上から順に点P_
1、P_2、P_3、P_4、P_5、P_6とする
と、点P_1、点P_2、点P_3は領域3に属し、
点P_4、P_5、P_6は領域4に属している。そ
して、点P_3と点P_4は境界線OCを挟んで直ぐ近
傍に位置している。
【0113】図14はこれらの代表点によるフィラメン
ト像の配置を概略的に示したものであり、J(X)は代
表点Xによるフィラメント像を表わしている。代表点が
点P_1→点P_2→点P_3と下がるにつれてそのフ
ィラメント像は点HVを回転中心にして時計回りに移動
し、境界線OCを超えて点P_5に移動するとそのフィ
ラメント像J(P_4)は急に下がって水平線H−Hの
直下に位置する。
【0114】修正のその2は、図14に示すように「反
射鏡の領域4によって投影されるフィラメント像に関
する回動中心が、点RUから水平線H−Hへの垂線の足
である点RLに位置すること。」である。
【0115】即ち、図14において点P_4、P_5、
P_6によるフィラメント像J(P_4)、J(P_
5)、J(P_6)が水平線H−H上の点RLを回転中
心として配置されるように反射面の形状を規定すること
である。
【0116】このように修正された反射面の方程式を得
るためには、前述した放物線8を、水平線からカットラ
イン角θの角度をもって光軸回りに回転させたものを基
準として[数1]式の導出過程と同様の手順を踏めば良
い。
【0117】図15及び図16は反射面の表現式を求め
るにあたっての作業段階での説明図であり、図中の点
F、D、F´の意味については[表2]で説明した通り
である。また、平面π0はx軸を含みx−y平面に対し
てカットライン角θだけ傾いた平面であり、該平面π0
上において点Fを焦点とする放物線27上の点が点P
である。
【0118】そして、平面π0上においてy軸に対して
θの角度をなす軸をΘ軸に選び、Θ軸上の点Nと原点
Oとの距離がパラメータqに選ばれている点が図9との
相違点である。つまり、図9ではx−y平面上の放物線
8を基準としたのに対し、図15では平面π0上の放物
線27をx−y平面に正射影したものを基準としてい
る。よって、[表2]に示した各点のうち考えている平
面の違いを除いて同様の意味をもつものについてはこれ
を表わす記号の右上に「 」を付して用いることにす
る。
【0119】各点の定義を[表4]にまとめて示す。
【0120】
【表4】
【0121】反射面の式は平面π0上の各点をx−y平
面上に正射影した点に基づいて、前に[数1]式を求め
た手順と同様の手順で求めることができる。つまり、焦
点Dを有し点P を通りベクトルE に平行
な光線を有する仮想的な回転放物面を、ベクトルE
を含みz軸に平行な平面π1で切ったときの断
面形状、即ち放物線状をした交線28上の点Bの座標
を、回転放物面に関する幾何学的性質を利用して直線H
と平面π3(点F においてベクトルH
を法線ベクトルとする平面)との交点として求めれば良
い。
【0122】その場合、点N と原点Oとの距離をr
とするとr=qcosθとなること、また、直線F´J
が放物線27の準線であり、放物線の幾何学的性質か
ら線分FPの長さと線分Jの長さが等しいこと
に注意しすると、直線Pに関して点Dと対称な点
として点Eの座標が求まる。
【0123】よって、点E や点Hの座標が判か
り、線分HDの中点F の座標が求められるので、
平面π3は点F においてベクトルHDを法線ベ
クトルとする平面であることからこれをパラメータQを
用いて表わすことができる。
【0124】また、直線Hは点Uにおいてベクト
ルE を方向ベクトルとする直線の式で表わさ
れるので、平面π3の式と直線Hの式とを連立
させて解き(計算の詳細については割愛する)、x
→x、y →y、z →zへの置き換えを行なって
整理すると最終的に反射面の式[数2]が求められる。
【0125】
【数2】
【0126】尚、この[数2]式が[数1]式を普遍化
したものになっていることはθ=0とおいてみれば明か
である。
【0127】さて、実際の反射鏡への適用にあたって
は、このような曲面を基本面として図17に示すように
6つの反射領域29A、29B、29C、29D、29
E、29Fに区分する。
【0128】図中、θは反射領域29Aの中心角、θ
は反射領域29Dの中心角を示している。
【0129】また、図18に示すように、フィラメント
5はその中心軸が光軸より稍上方に変位した状態で配置
され、3つの焦点E、F、Dは原点Oに近いほうからこ
の順序で光軸上に配置されている。
【0130】「d」は焦点EとFとのx座標の差、
「d」は焦点DとFとのx座標の差をそれぞれ表して
おり、これらの正負についてはx軸に関する正負と一致
するように選ばれているので、dは負の値、dは正
の値となる。
【0131】尚、図18では、焦点距離f=25.0
(mm)、d=−3.8(mm)、d=3.8(m
m)、d−d=7.6(mm)に選ばれており、フ
ィラメント5はその直径が1mm、長さ5mmの円柱状
をなし、その中心が点Cである。
【0132】各点の座標を[表5]にまとめて示す。
【0133】
【表5】
【0134】0゜からθ゜の角度範囲を占める領域2
9Aや180゜から180゜+θ゜の角度範囲を占め
る領域29Dはともに、点Fを焦点とする回転放物面状
を為している。
【0135】また、90゜から180゜の角度範囲を占
める領域29Cや270゜から360゜の角度範囲を占
める領域29Fは、[数2]式においてθ=0とおくこ
とによって光軸回りの回転操作を伴わない特殊な曲面と
されており、領域29Cについてはd=d(<0)、
領域29Fについてはd=d(>0)とされている。
【0136】そして、θ゜から90゜の角度範囲を占
める領域29Bは、[数2]式においてθ=θとして
光軸回りの回転操作が施された曲面とされ、d=d
(<0)となっている。
【0137】180゜+θ゜から270゜の角度範囲
を占める領域29Eは、[数2]式においてθ=θ
して光軸回りの回転操作が施された曲面とされ、d=d
(>0)となっている。
【0138】以上の領域の曲面形状を決定するパラメー
タを表形式にして[表6]に示す。
【0139】
【表6】
【0140】図19は、上記の反射面によるフィラメン
ト像の合成パターン30を概略的に示すものであり、テ
トラポットの側面形状に似た形の範囲31は、他の部分
に比べて相対的に明るい場所である。
【0141】尚、反射領域のうち領域29Aと領域29
Dによる投影パターンが、最終的に傾斜したカットライ
ンとなるパターンの形成に寄与し、領域29A、29
B、29D、29Fによる投影パターンが、最終的に水
平カットラインの形成に寄与する。
【0142】ところで、図19に示すパターンは最終的
な配光パターンの元になるものであり、これにさらに水
平方向への拡がりを持たせる必要があるが、反射鏡の前
方に設けられるアウターレンズの傾きが顕著になるにつ
れて、アウターレンズに対して水平拡散作用の大きなレ
ンズステップを形成することができないので、拡散作用
を反射鏡に転嫁する必要性が生じてくる。
【0143】そこで、波状のパターンを表す一組の方程
式と、上記した反射面に係る一連の方程式とを組み合わ
せることによって、反射面を滑らかに波打たせて反射鏡
の作用だけで光を拡散させる。
【0144】そのために下記に示す関数を定義する。
【0145】
【数3】
【0146】パラメータs、Wを用いた正規分布型(あ
るいはガウス型)関数Aten(s,W)において、パ
ラメータWは減衰の度合を規定するものであり、この関
数の表わす形状を図20に示す。
【0147】そして、[数4]式に示すような、パラメ
ータλを用いた周期関数WAVE(s,λ)を考える。
【0148】
【数4】
【0149】パラメータλは余弦波の波長、つまり、波
の間隔を表わしており、関数の表わす形状を図21に示
す。尚、この例では、周期関数としてcos関数を用い
ているが、必要に応じて各種の周期関数を用いても良
い。
【0150】さて、これらの関数を掛け合わせると、図
22に示すような減衰的な周期関数Dampが得られる
ので、この関数を基本として、先の領域29A乃至29
Fについての曲面方程式毎に下表7に定義する関数Da
mpを付加すると、反射面には波状の凹凸がつけられ
る。
【0151】
【表7】
【0152】尚、Hは波の最大振幅を表すパラメータ、
δはその値が1に近い程円形波に近づくことを示すパラ
メータであり、Hについては焦点距離fの約50分の1
程度が目安となり、この値が大きすぎるとカットライン
が不明瞭となる。よって拡散の度合いを調整する際には
波長λの値を適宜に変えてみる方が好ましい。
【0153】また、θとθについては、そのいずれ
かをカットライン角に等しい値とすればよく、例えば、
θ=0゜、θ=15゜として領域29Aを不要にし
てもよい。
【0154】これらのパラメータや既に説明した各種の
パラメータの値をコンピューターシュミレーション上で
可変することによって、フィラメント像の全体的な配置
が配光基準にとって適正なものとなるように試行を繰り
返すことによって反射面の光学設計が行われる。
【0155】尚、関数Dampにあっては領域29Aと
29Bとの境界や、領域29Dと29Eとの境界におい
て波形状に折れ曲がりが生じるが、金型加工上の精度限
界が幸いして鋭く尖ったところがなくなる。
【0156】図23は、最終的に得られる配光パターン
32を概略的に示したものであり、反射鏡の中央部によ
って得られる大きなフィラメント像が水平方向において
広角に拡散され、反射鏡の周縁部によって得られる小さ
なフィラメント像が配光パターンの中央の領域33に集
められて最大の明るさをもった部分が形成されるという
傾向が認められる。
【0157】このような反射鏡の前方に配置されるアウ
ターレンズは、必要最小限のレンズステップを設けるだ
けで済み、場合によっては、全く素通しのレンズとする
ことも可能である。
【0158】最後に本発明の基本反射面に関する曲面パ
ラメータ(f、d、d、θ、θ等)の特質を箇
条書きでまとめると下記のようになる。 (1)fが反射面の全領域に対して等しいならば、反射
面は連続的である。 (2)θの値が不連続に変化する領域間の境界には変曲
が生じる。 (3)d=0の領域は放物面状の形状となる。 (4)領域の如何なる焦点も光軸上に配置されるととも
に、光軸を含む水平面に関して上側に位置する領域の焦
点は焦点Fに関して頂点O寄り(d<0)に位置し、
下側に位置する領域の焦点は焦点Fに関して反頂点側
(d>0)に位置する。尚、フィラメントは、その中
心軸が必ずしも光軸に沿って配置される必要はないが、
フィラメントの光軸への正射影が、最も離隔した焦点間
の範囲内に配置することを要する。 (5)光軸を含む水平面に近接する放物面状の領域は、
正面からみて頂点Oを中心とした角度範囲θ、θ
占めるが、これらの角は少なくとも一方をカットライン
角に規定すれば良い。
【0159】このような曲面パラメータの選定により、
上記の特質に従ってその配光制御機能が光軸回りに区分
けされた反射面を得ることができる。
【0160】また、この反射面によって得られる投影パ
ターンを、反射面のみの作用によって拡散するためは、
反射面に波状のパターンを合成する。
【0161】その際のパラメータはH、W、λ、δ等で
あるが、波の振幅Hがカットラインの明瞭さに関して過
敏であるため、拡散の度合いを調整する際には波長λの
方が制御しやすい。
【0162】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、本発明によれば、反射面を光軸に関して上記のよう
に3種類の反射領域群から構成し、第1の反射領域群
(あるいは反射領域)によって得られるフィラメント像
によって水平線に対して傾斜したカットラインの原型を
形成し、光軸を含む鉛直面に関して片側に位置し、かつ
少なくとも第2、第3の反射領域群に属する領域の協同
作用によって水平カットラインの原型を形成することが
できるだけでなく、さらに、水平線の直下における限定
された領域にフィラメント像を積極的に集めることがで
きるので、光度分布に関する明るさの中心領域を作り出
すことが容易となる。
【0163】よって、反射面を連続的な曲面として形成
することでグレアの問題に煩わされることなくシェード
を必要としない反射面を得ることができ、反射面のもつ
配光制御作用のみによって、鮮明なカットラインの生成
に寄与する投影パターンの原型を作り出すことができ
る。
【0164】そして、反射面に対して水平方向の拡散作
用を付与する手段として、反射面の表現式に対して正規
分布型関数と周期関数との積によって与えられる減衰的
な周期関数を加え合わせて反射面の全面を波立たせるこ
とによって、反射面の作用だけで水平方向に光を拡散さ
せることができる。
【0165】このようにして、配光制御に関してアウタ
ーレンズの依存度を減らし、スラント角が大きな灯具に
適した反射鏡を設計することができる。
【0166】尚、前記した実施例では、正面形状が円形
をした反射鏡について主に説明したが、角形の反射鏡に
適用する等、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおける実
施の態様はすべて本発明の技術的範囲の中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射面の概略的な正面図である。
【図2】フィラメントの配置を示す略線図である。
【図3】反射面が回転放物面状をなす場合において、図
1の交線7上の代表点によって投影されるフィラメント
像の配置を示す図である。
【図4】放物面反射鏡による投影されるフィラメント像
の放射状配置を示す図である。
【図5】シェードによって図4のフィラメント像が部分
的にマスクされることによってカットラインが形成され
る様子を示すフィラメント像の配置図である。
【図6】反射面の上半面が回転放物面状をなし、下半面
が本発明の基本面形状を有する場合において、図1の交
線7上の代表点によって投影されるフィラメント像の配
置図である。
【図7】本発明の基本面に関する光路図である。
【図8】本発明の基本面について説明するための概略的
な斜視図である。
【図9】本発明の基本面について表現式の導出過程を示
すx−y平面図である。
【図10】本発明の基本面について表現式の導出過程を
示す斜視図である。
【図11】二等辺三角形ΔHBDと平面π3、π1との
幾何学的関係を示す概略斜視図である。
【図12】カットラインの形成が可能な反射面について
その思考過程で容易に考えられる反射面の構成を示す正
面図である。
【図13】反射面の交線上における代表点を示す正面図
である。
【図14】図13の各代表点によるフィラメント像の配
置を示す図である。
【図15】光軸に係る回転を考慮した本発明の基本反射
面について表現式を求める作業段階での説明図(π0面
から水平面への正射影を主に示す。)である。
【図16】光軸に係る回転を考慮した本発明の基本反射
面について表現式を求める作業段階での説明図(水平面
への正射影に基づく反射面上の点Bの求め方を主に示
す。)である。
【図17】本発明に係る反射面の構成を示す正面図であ
る。
【図18】フィラメントと焦点との位置関係を示す概略
図である。
【図19】図17の反射面によって得られる投影パター
ンを概略的に示す図である。
【図20】正規分布型関数Aten(s,W)を概略的
に示すグラフ図である。
【図21】周期関数WAVE(s,λ)を概略的に示す
グラフ図である。
【図22】減衰周期関数Damp(s,λ)を概略的に
示すグラフ図である。
【図23】配光パターンの概要を示す図である。
【図24】回転放物面を2分割して各反射面の焦点位置
をずらした反射鏡の構成を示す概略図である。
【図25】図24の反射鏡による投影パターンを概略的
に示す図である。
【符号の説明】
1 反射面 x 光軸 5 フィラメント π0 傾斜された平面 27 基準放物線 O 頂点 F 焦点 D 基準点 P 反射点 π1 平面 28 交線 29A、29D 第1の反射領域群 29B、29E 第2の反射領域群 29C、29F 第3の反射領域群 D 29E、29Fについての基準点 E 29B、29Cについての基準点

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すれ違いビームを形成し得る車輌用前照
    灯の反射鏡の基本面が、光軸 を含む水平面に対して一般に所定の角度をもって傾
    斜された平面内に基準放物線を有し、該基準放物線の頂
    点と焦点とを通る光軸上であって頂点に関して焦点と異
    なる点に基準点を有しており、 該基準点 から発したと仮定した光が基準放物線を水平面
    に投影した放物線上の任意の点で反射されたときの反射
    光の光線ベクトルに平行な光軸を有し、該反射点を通り
    基準点を焦点とする仮想的な回転放物面を、上記光線ベ
    クトルを含み鉛直軸に平行な平面で切ったときの交線の
    集合体として曲面が形成されるようにした車輌用前照灯
    の反射鏡であって、(イ) 反射面が3つの反射領域群に区分けされること、(ロ) 第1の反射領域群あるいは反射領域は、光軸を含
    む水平面に近接し、回転放物面に近似した曲面形状を為
    していること、(ハ) 第2の反射領域群は、上記基本面に関して基準放
    物線を含む平面が水平面に対してカットライン角をもっ
    て傾斜した面に規定された曲面形状をなし、そのうち光
    軸を含む水平面より上側に位置する領域についてその基
    準点が基準放物線の焦点位置より頂点寄りの光軸上に位
    置し、光軸を含む水平面より下側に位置する領域につい
    てその基準点が基準放物線の焦点に関して頂点から遠い
    側の光軸側に位置すること、(ニ) 第3の反射領域群は、上記基本面形状に関して基
    準放物線を含む平面が光軸を含む水平面に規定された曲
    面形状をなし、そのうち光軸を含む水平面より上側に位
    置する領域についてその基準点が基準放物線の焦点位置
    より頂点寄りの光軸上に位置し、光軸を含む水平面より
    下側に位置する領域についてその基準点が基準放物線の
    焦点に関して頂点から遠い側の光軸上に位置すること、(ホ) フィラメントが反射鏡の光軸に沿って配置される
    とともに、第2及び第3の反射領域群に係る基準点のう
    ち点間距離が最大の点によって区分される光軸上の範囲
    内に、フィラメントの光軸への正射影が位置されるこ
    と、 を特徴とする車輌用前照灯の反射鏡。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した車輌用前照灯の反射
    鏡において、その反射面の表現式に対して正規分布型関
    数と周期関数の積からなる関数を反射領域群毎に加え合
    わせることによって、反射面の光軸に平行な方向から見
    たときに反射面の中心部に近いところ程起伏の差が大き
    くして水平方向への光の拡散作用を高めた波状の反射面
    を形成したことを特徴とする車輌用前照灯の反射鏡。
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