JP2666581B2 - レーダ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は目標の位置及び情報を
測定するためのレーダ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１０は従来のレーダ装置の構成を示す
ものであり、図において、１は電波を送受信するための
アンテナ素子、２は送信信号及び送信位相を出力する送
信機、３は移相器５からの受信信号を中間周波数信号に
変換する受信機、４は送受信を切換える送受切換器、５
は送受信ビームを任意方向に形成するためにアンテナ素
子に必要な位相を設定する移相器、６は送信機２に送信
位相情報を出力し、また上記受信機３からの信号を合成
して、送信方向を同一方向に１本のビームを形成するた
めの信号処理器、７は上記信号処理器６によって得られ
るアンテナビームを用いて目標を追尾することが可能な
目標情報処理器である。

【０００３】次に動作について説明する。信号処理器６
にて、送信方向に合った送信位相を計算し送信機２に出
力する。この状態で送信すると、目標が存在する場合、
送信方向と同じ方向から電波が返ってくるので、送信方
向へ受信ビームを指向させるように信号処理器６にて信
号処理を行なう。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のレーダ装置は以
上のように構成されており、信号処理器６では１本のア
ンテナビームの情報しか得られることができず、目標を
追尾する際には、それぞれ送信方向を変化させた送信パ
ルスを複数送信し、これらをそれぞれ受信しなければな
らず、追尾するための情報を得るために時間がかかる。
複数目標追尾となると更に時間を必要とするという問題
があった。

【０００５】この発明は、このような問題点を解決する
ためになされたものであり、短時間で複数の目標を効率
よく追尾できるレーダ装置を得ることを目的としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明におけるレーダ
装置は、１式あたり１本の狭受信ビームを形成する４式
の信号処理器を装備し、これらにより４本のアンテナビ
ームを形成し、１パルス繰返し時間内における一定時間
毎に目標の存在方向に対応して受信ビームの指向方向ま
たは形状を変更して、複数の目標それぞれに対する方位
・高低の両方についての角度誤差を検出し、１パルス繰
返し時間内における複数目標追尾を可能にしたものであ
る。

【０００７】また、各受信機からの信号を合成して受信
ビームを同時に複数本形成する信号処理器とこの信号処
理器によって形成された受信ビーム複数本分をカバーす
る空間に広ビームを送信するように送信機を制御する機
能を付加したものである。

【０００８】この発明におけるレーダ装置は、各受信機
からの信号を合成する際に１パルス繰返し時間内におけ
る一定時間毎の時分割で目標の存在方向に対応した受信
ビームを形成する信号処理器を装備し、時分割データを
保持するメモリを加え、メモリ内のデータを処理するこ
とで、１パルス繰返し時間内における複数目標追尾を可
能にしたものである。

【０００９】また、受信インタバルを取ることなく連続
的に電波を複数方向に送信し、複数個のパルスを送信し
た後に受信のためのインタバルを取る様な制御機能を付
加したものである。

【００１０】

【作用】この発明は、アンテナからのマイクロ波信号を
中間周波数信号に変換する各受信機からの信号を合成し
て１式あたり１本の狭受信ビームを形成する４式の信号
処理器により得られる４本の狭受信ビームを用いて、１
パルス繰返し時間内の一定時間毎の時分割で目標の存在
方向に対応して受信ビームを形成することにより、それ
ぞれの目標に対する方位・高低の両方についての角度誤
差を目標情報器により得る。

【００１１】またこの発明は、アンテナからのマイクロ
波信号を中間周波数信号にする各受信機からの信号を合
成する際に１パルス繰返し時間内における一定時間毎の
時分割で目標の存在方向に対応した複数目標それぞれの
方位および高低の差信号と和信号を信号処理器により得
る。

【００１２】受信ビームを同時に複数本形成する信号処
理器と形成された受信ビーム複数本分をカバーする空間
に広ビームを送信する機能を付加することで、捜索時の
目標検出までの時間を短縮する。

【００１３】さらに、この発明は、受信インタバルを取
ることなく連続的に電波を複数方向に送信し、その後に
受信のインタバルを取ることによって、パルス繰返し時
間当りに複数目標に電波を照射することが可能になる。

【００１４】

【実施例】実施例１ 図１はこの発明の実施例１を示すものであり、１〜４は
上記従来装置と全く同一のものである。８は受信機３か
らの信号を合成して１式当り１本の狭受信ビームを形成
する信号処理器、９は送信ビームを送信するために送信
機を制御する送信制御器、１０は４式の信号処理器８に
よって得られる４本の狭受信ビームを用いて、方位・高
低の両方についての角度誤差を検出し、目標を追尾する
ことが可能な目標情報処理器、１９は受信機３からの信
号を一時的に格納する第１のメモリである。

【００１５】以上のように構成されたレーダ装置におい
ては、受信機３からの信号をメモリ１９に格納し、その
情報を４式の信号処理器８それぞれにて信号処理し４本
の狭ビームを形成する。そしてこの情報を用いて目標情
報処理器１０においてモノパルス追尾することが可能に
なる。従来の移相器付きのレーダ装置と異なり各受信機
３からの信号を用いて信号処理器８の処理により任意方
向に受信ビームを形成することが可能なため、１パルス
繰返し時間内に複数目標の追尾が可能になる。

【００１６】図７（ａ），（ｂ）に目標追尾の概念を示
す。目標情報処理器１０においてモノパルス追尾するた
めに図７（ａ）に示す４本のビーム形成が必要となる。
図７（ｂ）に示すように各信号処理器８においてそれぞ
れのビームを１パルス繰返し時間内の一定時間で形成す
る。この時のビーム方向は目標１に対してとなる。次の
一定時間において４式の信号処理器８のデータを用いて
目標１を追尾する。これと同時に、４式の信号処理器８
ではメモリ内のデータを用いて目標１とは異なった方向
に存在する目標２の方向の受信ビームを形成し目標情報
を得る。そして次の一定時間において目標２の追尾を行
う。一定時間毎に目標方向に受信ビームの指向方向を変
化させ、以上の処理を複数回繰返すことで１パルス繰返
し時間内において複数目標の追尾が可能となる。

【００１７】実施例２ 図２はこの発明の実施例２を示すものであり、１〜４，
９および１９は図１に示す実施例を同一のものである。
第１のメモリ１９内のデータを合成して、１パルス繰返
し時間内において、時分割で方位および高低の差信号と
和信号を得ることが可能な信号処理器、１２は信号処理
器１１によって１パルス繰返し時間内の一定時間毎の時
分割で処理されたデータを保持する第２のメモリ、１３
は第２のメモリ１２内にあるデータを処理することによ
って目標を追尾することが可能な目標情報処理器であ
る。

【００１８】以上のように構成されたレーダ装置におい
ては、受信機３からの信号を第１のメモリ１９に格納
し、その情報を用いて信号処理器１１にて一定時間間隔
の時分割で目標方向へ受信ビームを指向させ、併せてビ
ーム形状を変化させることにより目標追尾に必要な方位
・高低の差信号と和信号を得る。そして、目標情報処理
器１３においてモノパルス追尾することが可能になる。
図１に示す実施例１と同様に各受信機３からの信号を用
いて信号処理器１１の処理により一定時間毎に任意方向
の受信ビームを形成することが可能なため、１パルス繰
返し時間内に複数目標の追尾が可能になる。

【００１９】図８（ａ），（ｂ）に目標追尾の概念を示
す。目標情報処理器１３においてモノパルス追尾するた
めに図８（ａ）に示す３本のビーム形成が必要となる。
図８（ｂ）に示すように信号処理器１１において目標１
に対する和信号を１パルス繰返し時間内の一定時間で求
め、次の一定時間にその情報を第２のメモリ１２へ格納
するとともに第１のメモリ１９のデータを用いて高低
（ＥＬ方向）の差信号を求める。次の一定時間でこの情
報を第２のメモリ１２へ格納するとともに第１のメモリ
のデータを用いて方位（Ａｚ方向）の差信号を求める。
次の一定時間でこの情報を第２のメモリ１２へ格納し、
第２のメモリ１２内のデータを目標情報処理１３により
処理することで追尾を行うとともに目標１とは異なった
方向に存在する目標２に対する和信号を求める。以上の
処理を複数回繰返すことで１パルス繰返し時間内におい
て複数目標の追尾が可能となる。

【００２０】実施例３ 図３はこの発明の実施例３を示すものであり、１〜４，
８および１９は図１に示す実施例と同一のものである。
１４は受信機３からの信号を合成して受信ビームを同時
に複数本形成するマルチビーム信号処理器、１５は上記
マルチビーム信号処理器１４によって形成された受信ビ
ーム複数本分をカバーする空間に広ビームを送信するよ
うに送信機２を制御することも可能な送信制御器、１６
は上記マルチビーム信号処理器１４の情報を処理するこ
とで目標を検出し、更に４式の信号処理器８によって得
られる４本の狭ビームを用いて１パルス繰返し時間内の
一定時間毎の時分割で目標それぞれの方向に対して方位
・高低の両方についての角度誤差を検出し、１パルス繰
返し時間内において複数目標を追尾することが可能な目
標情報処理器である。

【００２１】以上のように図３に示す実施例のレーダ装
置においては、第１のメモリ１９に格納された情報を用
いてマルチビーム信号処理器１４により、同時に複数本
の受信ビームを形成する。したがって、従来のレーダ装
置では目標を捜索する際には受信ビームをスキャンさせ
ていたが、受信ビームをスキャンさせることなく広範囲
を同時に捜索することが可能になる。

【００２２】実施例４ 図４はこの発明の実施例４を示すものであり、１〜４，
１１，１２，１４，１５および１９はそれぞれ図１，図
２および図３に示す実施例と同一のものである。１７は
マルチビーム信号処理器１４の情報を処理することで目
標を検出し、更に第２のメモリ１２内の１パルス繰返し
時間内の一定時間毎の時分割で目標の方向に対して方位
・高低の差信号および和信号の情報を処理することによ
り、１パルス繰返し時間内において複数目標を追尾する
ことが可能な目標情報処理器である。マルチビーム信号
処理器１４において同時に複数本の受信ビームを形成す
ることにより、目標の検出時に受信ビームをスキャンす
ることなく広範囲を同時に捜索することが可能になるこ
とは言うまでもない。

【００２３】実施例５ 図５はこの発明の実施例５を示すものであり、１〜４，
８，１０および１９は図１に示す実施例と同一のもので
ある。１８は受信インタバルを取ることなく連続的に電
波を複数方向に送信し、複数個のパルスを送信した後に
受信のためのインタバルをとるような制御を行なう送信
制御器である。

【００２４】以上のように構成されたレーダ装置におい
ては、送信制御器１８により受信インタバルを取ること
なく連続的に電波を複数方向に送信し、複数個のパルス
を送信した後に受信のためのインタバルをとるような制
御を行なうことによって１パルス繰返し時間内に確実に
複数目標に対して電波を照射することが可能になる。

【００２５】図９（ａ），（ｂ）に送信方法の概念を示
す。図９（ａ）は従来のレーダ装置の送信方法であり、
１パルス繰返し時間内においては１回の送信しか行なわ
ず、送信後すぐに受信インタバルを取っている。この発
明においては、図９（ｂ）に示すように、受信インタバ
ルを取ることなく連続的に電波を複数方向に送信し、複
数個のパルスを送信した後に受信インタバルをとるよう
にしている。受信信号の処理は図１に示す実施例と同じ
である。

【００２６】実施例６ 図６はこの発明の実施例６を示すものであり、１〜４，
１１〜１３，１８および１９は図２および図５に示す実
施例と同一のものである。受信インタバルを取ることな
く連続的に電波を複数方向に送信し、複数個のパルスを
送信した後に受信インタバルをとるような制御を行なう
ことにより、１パルス繰返し時間内に確実に複数目標に
対して電波を照射することが可能になる。受信信号の処
理は図２に示す実施例と同じである。

【００２７】

【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２８】１式あたり１本の狭受信ビームを形成する
４式の信号処理器を備え、１パルス繰返し時間内の一定
時間毎の時分割で目標の存在方向に対応した方位・高低
の角度誤差を検出することで、パルス繰返し時間内にお
いて複数目標を追尾することが可能になる。

【００２９】１パルス繰返し時間内において受信機から
のデータを一定時間毎の時分割で処理することにより追
尾に必要な目標の存在方向の方位および高低の差信号と
和信号を得ることが可能な信号処理器を備えることで、
小規模なハードウェア構成でパルス繰返し時間内におい
て複数目標を追尾することが可能になる。

【００３０】以上２つの効果で述べた処理を１パルス繰
返し時間内で複数回繰返すことにより、同時に複数の目
標を追尾することが可能になる。

【００３１】同時に複数本の受信ビームを形成するマル
チビーム信号処理器と上記マルチビーム信号処理器によ
って形成された受信ビーム複数本分をカバーする空間に
広ビームを送信する様に送信機を制御する送信制御器を
備えることで、捜索時の目標検出までの時間を大幅に短
縮することが可能になる。

【００３２】また受信インタバルを取ることなく連続的
に電波を複数方向に送信し、その後に受信インタバルを
とるような制御をする送信制御器を備えることでパルス
繰返し時間当りに複数目標に電波を照射することが可能
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１を示すブロック図である。

【図２】この発明の実施例２を示すブロック図である。

【図３】この発明の実施例３を示すブロック図である。

【図４】この発明の実施例４を示すブロック図である。

【図５】この発明の実施例５を示すブロック図である。

【図６】この発明の実施例６を示すブロック図である。

【図７】この発明の実施例１における目標追尾の概念図
であり、図７（ａ）は追尾のために必要なビームを示し
た図、図７（ｂ）は信号処理器の動作詳細を示した図で
ある。

【図８】この発明の実施例２における目標追尾の概念図
であり、図８（ａ）は追尾のために必要なビームを示し
た図、図８（ｂ）は信号処理器の動作詳細を示した図で
ある。

【図９】この発明の実施例５および実施例６における送
信方法の概念図であり、図９（ａ）は従来のレーダ装置
の送信方法を示した図、図９（ｂ）はこの発明における
送信方法を示した図である。

【図１０】従来のレーダ装置を示すブロック図である。

【符号の説明】

１ アンテナ素子 ２ 送信機 ３ 受信機 ４ 送受切換器 ５ 移相器 ６ 信号処理器 ７ 目標情報処理器 ８ 信号処理器 ９ 送信制御器 １０ 目標情報処理器 １１ 信号処理器 １２ 第２のメモリ １３ 目標情報処理器 １４ マルチビーム信号処理器 １５ 送信制御器 １６ 目標情報処理器 １７ 目標情報処理器 １８ 送信制御器 １９ 第１のメモリ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−2688（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−206782（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−165088（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−162286（ＪＰ，Ａ)

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電波を送受信するための複数のアンテナ
   素子と、上記アンテナ素子へ送信信号を出力する複数の
   送信機と、上記アンテナ素子からのマイクロ波信号を中
   間周波数信号に変換する複数の受信機を、上記各受信機
   からの信号を一時的に保持するメモリと、上記メモリ内
   のデータを合成して１式当り１本の狭受信ビームを形成
   する４式の信号処理器と、送信ビームを送信するために
   上記送信機を制御する送信制御器と、上記４式信号処理
   器によって得られる４本の狭受信ビームを用いて、１パ
   ルス繰返し時間内における一定時間毎に目標の存在方向
   に対応して受信ビームを変化させて複数の目標に対する
   方位、高低の両方についての角度誤差を検出し、１パル
   ス繰返し時間内における目標を追尾する目標情報処理器
   とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
2. 【請求項２】 電波を送受信するための複数のアンテナ
   素子と、上記アンテナ素子へ送信信号を出力する複数の
   送信機と、上記アンテナ素子からのマイクロ波信号を中
   間周波数信号に変換する複数の受信機と、上記各受信機
   からの信号を一時的に保持する第１のメモリと、上記第
   １のメモリ内のデータを合成して、１パルス繰返し時間
   内において時分割で目標の存在方向に対応して受信ビー
   ムを変化させることにより、目標追尾に必要な方位及び
   高低の差信号と和信号を得ることが可能な信号処理器
   と、上記信号処理器が出力する時分割データを保持する
   ための第２のメモリと、狭ビームとなる送信ビームを送
   信するために上記送信機を制御する送信制御器と、上記
   第２のメモリ内のデータを処理することにより１パルス
   繰返し時間内における複数の目標を追尾することが可能
   な目標情報処理器とを備えたことを特徴とするレーダ装
   置。
3. 【請求項３】 各受信機からの信号を合成して受信ビー
   ムを同時に複数本形成するマルチビーム信号処理器と、
   上記マルチビーム信号処理器によって形成された受信ビ
   ーム複数本分をカバーする空間に広ビームを送信するよ
   うに伝送機を制御する機能を送信制御器に付加し、更に
   上記マルチビーム信号処理器からの情報を処理すること
   で目標を検出する機能を目標情報処理器に付加したこと
   を特徴とする請求項１又は請求項２記載のレーダ装置。
4. 【請求項４】 送信制御器は受信インタバルを取ること
   なく連続的に電波を複数方向に送信し、複数個のパルス
   を送信した後に、受信のためのインタバルを取るような
   制御を行うことを特徴とする請求項１又は請求項２記載
   のレーダ装置。