JP2665716B2 - 椅子用角度調整具及びこれを用いた椅子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、背凭れ体を座体に角度
調整可能に支持する椅子用角度調整具、及びこの調整具
を用いた椅子に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に背凭れ体を座体に対して揺動自由
に支持する椅子は、例えば特開昭６１−３７１１７号公
報に示されているように、前記背凭れ体を座体に角度調
整具を介して揺動自由に支持しているのであり、また前
記角度調整具は、座体に固定する前記金具本体と、背凭
れ体に固定する揺動体とを備え、前記金具本体の相対向
する対向壁間に、ピニオンを有する前記揺動体を揺動自
由に支持して、金具本体の低壁と揺動体との間に、前記
ピニオンと噛合するラックを移動自由に配設して、該ラ
ックの移動で前記移動体を金具本体に対して揺動させる
ように成すと共に、前記ラックに噛合して該ラックの移
動を阻止するロック体と、該ロック体を前記ラックと噛
合する方向に付勢させるスプリングと、前記ロック体の
前記ラックに対する係合を解除する操作レバーとを前記
金具本体に組付けている。

【０００３】斯くして以上の座椅子にあっては、前記金
具本体の側部に配設した前記操作レバーの操作により、
前記ロック体とラックとの噛合を解除して、前記背凭れ
体を前記座体に対して揺動自由とし、背凭れ体の座体に
対する傾斜角度を調整するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで以上の椅子に
あっては、前記操作レバーの配置位置が前記金具本体の
側部、即ち座体の側部に限定されることから、操作の自
由度が得られず、操作レバーを握る手が、座体の置かれ
る床面に当たって該操作レバーの操作が行い難いと云う
不具合があるし、また背凭れ体と座体との側部に肘掛け
を組付けた場合には、該肘掛けが邪魔となって、操作レ
バーの操作が行い難いと云う不具合もある。

【０００５】本発明は以上の実情に鑑みて開発したもの
であって、目的とするところは、所望の位置で自由に背
凭れ体の角度調整操作が可能である角度調整金具及びこ
の角度調整金具を用いた椅子を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして本発明は、一端
部に複数個の角度調整歯を有し、他端部が座体及び背凭
れ体の一方に固定される調整具本体と、前記角度調整歯
に係合して背凭れ荷重を担持する移動可能なロック体
と、一端部が前記調整具本体に枢支され、他端部が座体
及び背凭れ体の他方に固定されて前記ロック体を保持す
る支持体と、前記ロック体を移動操作する操作手段とを
備えた椅子用角度調整具において、前記操作手段は、一
端部が前記ロック体に連結された連動体と、該連動体の
他端部に連結された操作具とを備え、前記支持体は、背
凭れ荷重のロック体への作用方向に対向する二つの対向
壁部を有し、これら対向壁部の内側には前記ロック体を
移動自由に保持した保持内面を、外側には嵌合外面を夫
々有する保持体と、前記嵌合外面に面接触して保持体を
持着する持着部とを備えていることを特徴とする。

【０００７】また以上の角度調整具を用いた椅子におい
て、角度調整具の連動体９を、座体１と背凭れ体２との
少なくとも一方の表皮内方に内装するようにしてもよい
し、また前記連動体９を、アウタ筒９２を備えた可撓性
を有する操作ケーブルから構成してもよい。

【０００８】

【作用】本発明によれば、前記操作具の取付位置が、前
記調整具本体の近傍に限定されることなく、前記連動体
の配設により、操作具の操作性の良い場所に自由に配置
することができる。また、背凭れ荷重を担持するロック
体は、背凭れ荷重のロック体への作用方向に対向する二
つの保持内面間に保持され、さらに各保持内面を有する
対向壁部の嵌合外面は、持着部に面接触して持着される
から、背凭れ荷重を、ロック体、対向壁部及びその嵌合
外面に面接触する持着部により担持することができる。

【０００９】また前記連動体として可撓性を有する操作
ケーブルを用いることで、前記操作具の取付位置の自由
度がより一層高まる。

【００１０】

【実施例】図３に示す椅子は、主として畳や床の上に載
せて用いる所謂座椅子であって、座体１を構成するコ字
状の座フレーム１０と、背凭れ体２を構成するコ字状の
背凭れフレーム２０と、前記座フレーム１０の幅方向一
側後端と前記背凭れフレーム２０の幅方向一側下端とを
連結して、該背凭れフレーム２０を座フレーム１０に対
し揺動自由に支持する角度調整具３と、前記座フレーム
１０の幅方向他側後端に前記背凭れフレーム２０の幅方
向他側下端を枢着する支持金具３０と、座フレーム１０
及び背凭れフレーム２０の両側部に組付ける肘掛け４と
を備えている。

【００１１】前記座体１及び背凭れ体２は、前記角度調
整具３及び支持金具３０を介して連結した座フレーム１
０及び背凭れフレーム２０全体を発泡ウレタン等のクッ
ション材Ｃで被覆した上で、このクッション材Ｃを布地
から成る表皮Ｒで包むようにしている。

【００１２】前記角度調整具３は、基本的には、角度調
整歯としてのピニオン５１をもち、前記背凭れ体２に固
定される調整具本体５と、前記ピニオン５１に係合して
前記背凭れ体２の座体１に対する角度を設定保持する係
合部６１をもち、前記座体１に、前記ピニオン５１に係
合する係合位置と、係合離脱する離脱位置とに移動可能
に設けられて背凭れ荷重を担持するロック体６と、この
ロック体６を前記座体１に移動可能に支持する支持体７
と、このロック体６に対し離れた位置に設けられ、前記
ロック体６を移動操作する操作具としての操作レバー８
と、この操作レバー８の操作を前記ロック体６に伝え、
該ロック体６を係合位置から離脱位置に移動させる連動
体としての可撓性を有する操作ケーブル９とを備えてい
る。

【００１３】図に示す調整具本体５は、その長さ方向一
端側に枢軸５０を回転不能に挿通する六角形の角孔５２
を形成すると共に、該角孔５２を半径中心とする外周に
前記ピニオン５１を一体形成し、且つ長さ方向他端側に
前記座フレーム１０の取付部５３を設けている。

【００１４】前記支持体７は、所定間隔開けて対向する
一対の側壁７１・７２と、これら側壁７１・７２の後端
を連結する後壁７３と、前記側壁７２・７２における下
部前端間を覆う前壁７４とを備え、前記側壁７１・７２
の下部に前記枢軸５０を回転可能に挿通支持する透孔７
５を形成すると共に、前記前壁７４に、前記操作ケーブ
ル９の挿通孔７６を形成しているのであって、この支持
体７は、前記調整具本体５を前記側壁７１・７２間に介
装して、前記枢軸５０を前記透孔７５乃至前記角孔５２
に挿通することで、該枢軸５０を介して前記支持体７を
前記調整具本体５に対し展開若しくは折畳自由に支持
し、また前記側壁７１・７２の一端には、前記背凭れフ
レーム２０の取付部７７を設けている。

【００１５】また、前記ロック体６は、その一側面に前
記ピニオン５１と噛合する複数の歯から成る係合部６１
を形成すると共に、他側面に凹所６２を、また中央に長
孔６３をそれぞれ形成し、前記凹所６２と長孔６３との
間に、前記操作ケーブル９を構成するインナワイヤ９１
のガイド溝６４を形成している。

【００１６】一方、前記操作レバー８は、前記肘掛け４
に固定する固定ブラケット８１と、該固定ブラケット８
１に揺動自由に支持したレバー本体８２とを備え、また
前記操作ケーブル９は、インナワイヤ９１と、このイン
ナワイヤ９１を案内するアウタ筒９２とから成る。

【００１７】また前記肘掛け４は、肘掛けプレート４１
と、この肘掛けプレート４１を保持する保持杆４２と、
支持杆４３とから成り、前記保持杆４２の長さ方向一端
部に前記肘掛けプレート４１を固定して、該保持杆４２
の長さ方向他端部を、前記背凭れフレーム２０の途中に
固着したねじ筒２１に揺動自由に枢着する一方、前記支
持杆４３の上端部を前記保持杆４２の長さ方向途中に枢
着し、且つその下端部を、前記座フレーム１０の途中に
固着したねじ筒１１に揺動自由に枢着している。

【００１８】尚、前記支持金具３０は、前記座フレーム
１０の後端に固定する第１支持ブラケット３０ａと、前
記背凭れフレーム２０の下端に固定して、前記第１支持
ブラケット３０ａに対し揺動自由に支持した第２支持ブ
ラケット３０ｂとから成る。

【００１９】しかして図に示す実施例では、前記背凭れ
荷重のロック体６への作用方向に相対向する二つの対向
壁部６５ａ・６５ｂ及びこれら対向壁部６５ａ・６５ｂ
の長さ方向一端を連結する連結壁部６５ｃを有し、前記
対向壁部６５ａ・６５ｂの内側には前記ロック体６を移
動自由に保持した保持内面を、外側には嵌合外面を夫々
有するコ字形の保持体６５を形成して、該保持体６５を
介して前記ロック体６と該ロック体６を前記ピニオン５
１と係合する方向に付勢させるスプリング６０とを前記
支持体７内に組付けているのであって、具体的には前記
操作ケーブル９のインナワイヤ９１の端部に前記スプリ
ング６０を遊挿すると共に、該インナワイヤ９１の端部
に設けたタイコ９３を前記ロック体６の長孔６３に挿入
係止した上で、前記保持体６５の対向壁部６５ａ・６５
ｂ間に、前記スプリング６０とロック体６と、インナワ
イヤ９１の端部とを組み込み、しかる後、前記操作ケー
ブル９の他端側を前記挿通孔７６に挿通すると共に、前
記支持体７の後壁７３及び前壁７４に、前記保持体６５
における各対向壁部６５ａ・６５ｂの嵌合外面に面接触
して保持体６５を持着する持着部７３ａ・７４ａを設け
て、これら持着部７３ａ・７４ａ間に保持体６５を介装
して持着するのである。

【００２０】そして前記調整具本体５を前記支持体７の
側壁７１・７２間に介装して、前記枢軸５０を前記透孔
７５から前記角孔５２に挿通することで、該枢軸５０を
介して前記支持体７を前記調整具本体５に対し展開若し
くは折畳自由に支持すると共に、前記ロック体６の係合
部６１を前記ピニオン５１に噛合させるのである。ま
た、別途形成した渦巻ばね７７を前記側壁５２の外側に
配置して、該渦巻ばね７７の一端を、前記側壁７２の外
方に突出している前記枢軸５０の突出端部に、また他端
を前記側壁７２の一部を切り起こして形成した係止片７
２ａにそれぞれ係止し、該渦巻ばね７７のばね力によ
り、前記支持体７を前記調整具本体５に対し折畳方向
（図１において矢印Ｘ方向）に付勢させるように成す一
方、前記枢軸５０の突出端に、前記渦巻ばね７７のカバ
ープレート７８を取付けるのである。

【００２１】一方、前記操作レバー８は、その固定ブラ
ケット８１を、前記肘掛け４を構成する保持杆４２に固
定する一方、前記挿通孔７６から突出する操作ケーブル
９を、前記クッション材Ｃ内を通して、前記支持杆４３
の前記背凭れフレーム２０に対する枢着部近くで前記表
皮Ｒの外方に貫通させて、インナワイヤ９１の他端側を
前記操作レバー８のレバー本体８２に係止するのであ
る。

【００２２】尚、前記アウタ筒９２の長さ方向両端は、
前記保持体６５の連結壁部６５ｃと前記操作レバー８の
固定ブラケット８１に保持している。

【００２３】次に以上の椅子の作動を説明する。

【００２４】通常、前記ロック体６は、前記スプリング
６０のばね力により前記調整具本体５側に付勢して、前
記係合部６１が前記ピニオン５１に噛合しているので、
前記ロック体６をスライド可能に支持している前記支持
体７は、前記調整具本体５に対して揺動することがな
く、従って、前記座椅子の背凭れ体２は座体１に対して
所定の角度に保持される。

【００２５】しかして前記背凭れ体２を前記座体１に対
して例えば更に起立させたい場合には、前記操作レバー
８のレバー本体８２を操作することで、前記操作ケーブ
ル９を介して前記ロック体６を前記スプリング６０に抗
して前記調整具本体５から遠去かる方向に移動させ、前
記係合部６１とピニオン５１との噛合を解除すると共に
背凭れ体２に凭れ掛けていた上半身を所望の位置まで起
こせばよいのであって、これに伴い、前記支持体７が前
記渦巻ばね７７のばね力によって図１において矢印Ｘ方
向に揺動して、前記背凭れ体２が上半身の動きに追随す
るので、前記背凭れ体２が背中に当接した時点で、前記
レバー本体８２の操作を解除して、再度前記ロック体６
の係合部６１を前記ピニオン５１に噛合させれば、前記
背凭れ体２が所望位置に起立した状態でロックされるこ
ととなる。

【００２６】以上のごとく本発明によれば、前記操作レ
バー８が肘掛け４に設けられているので、該操作レバー
８の操作が行い易いし、また前記ロック体６と前記操作
レバー８とを連動連結する連動体が可撓性を有する操作
ケーブル９から構成されているので、前記操作レバー８
の取付位置が自由で、例えば、前記肘掛け４の支持杆４
３に取付けることも出来る。

【００２７】以上要するに前記操作レバー８の取付位置
が、前記角度調整金具３の側部に限定されることなく、
所望の位置に持ってくることが可能である。

【００２８】以上の実施例では、前記ロック体６と前記
操作レバー８とを連動連結する連動体として、可撓性を
有する操作ケーブル９を用いたが、これに限定されるこ
となく、例えばロッドを用いてもよい。

【００２９】また以上の実施例では、前記操作レバー８
を肘掛け４に取付けたが、これに限定されるものではな
く、例えば前記座体１あるいは背凭れ体２の所望の部位
に取付けることも出来る。

【００３０】また以上の実施例では、前記角度調整歯と
してピニオン５１を用いると共に、前記ロック体６の係
合部６１として、前記ピニオン５１に噛合する係合歯か
ら構成したが、これに限定されるものではなく、前記角
度調整歯としてラチェット歯を、また前記ロック体６と
してラチェット爪をそれぞれ採用して、該ラチェット爪
を前記支持体７に揺動自由に支持するようにしてもよ
い。

【００３１】また、以上の実施例では、前記調整具本体
５を前記座フレーム１０に、また前記支持体７を前記背
凭れフレーム２０にそれぞれ組付けるようにしたが、前
記調整具本体５を前記背凭れフレーム２０に、また前記
支持体７を前記座フレーム１０にそれぞれ組付けるよう
にしてもよい。

【００３２】また以上の実施例では、前記ロック体６を
前記背凭れフレーム２０に支持する支持体７を別途形成
したが、前記背凭れフレーム２０に一体形成してもよ
い。

【００３３】

【発明の効果】以上のごとく請求項１記載にかかる角度
調整具を用いた場合には、前記操作具の取付位置が、前
記調整具本体の近傍に限定されることなく、前記連動体
を介して前記操作具の操作性の良い場所に自由に配置す
ることが出来る。しかも、背凭れ荷重を担持するロック
体は、背凭れ荷重のロック体への作用方向に対向する二
つの対向壁部の保持内面間に保持され、さらに各対向壁
部の嵌合外面は、持着部に面接触して持着されるから、
背凭れ荷重を、ロック体、対向壁部及びその嵌合外面に
面接触する持着部により担持することができる。 従っ
て、背凭れ荷重が大きい場合であっても、前記保持体に
おける対向壁部の変形を長期間に亘って有効に防止で
き、耐久性を高めることができるのであり、しかも、ロ
ック体を長期間に亘って円滑に移動させることができ、
操作具の操作による角度調整を長期間に亘って容易に行
うことができる。

【００３４】また以上の角度調整具を用いた椅子におい
て、角度調整具の連動体９を、座体１と背凭れ体２との
少なくとも一方の表皮内方に内装することにより、椅子
の美観を損なうことなく前記操作具８を操作性の良い場
所に配置することが出来る。

【００３５】また前記連動体９を、アウタ筒９２を備え
た可撓性を有する操作ケーブルから構成することによ
り、前記操作具の取付位置の自由度がより一層高くな
り、しかも前記操作具８によるロック体６の操作がスム
ーズに行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる椅子用角度調整具を採用した椅
子の要部の断面図。

【図２】前記椅子の要部の一部切欠側面図。

【図３】前記椅子の一部切欠側面図。

【図４】前記椅子の一部を省略して示す正面図。

【図５】図１におけるＹーＹ線断面図。

【符号の説明】

１ 座体 ２ 背凭れ体 ５ 調整具本体 ５１ ピニオン（角度調整面） ６ ロック体 ６１ 係合部 ８ 操作レバー（操作具） ９ 操作ケーブル（連動体） ９２ アウタ筒

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端部に複数個の角度調整歯を有し、他
   端部が座体及び背凭れ体の一方に固定される調整具本体
   と、前記角度調整歯に係合して背凭れ荷重を担持する移
   動可能なロック体と、一端部が前記調整具本体に枢支さ
   れ、他端部が座体及び背凭れ体の他方に固定されて前記
   ロック体を保持する支持体と、前記ロック体を移動操作
   する操作手段とを備えた椅子用角度調整具において、前
   記操作手段は、一端部が前記ロック体に連結された連動
   体と、該連動体の他端部に連結された操作具とを備え、
   前記支持体は、背凭れ荷重のロック体への作用方向に対
   向する二つの対向壁部を有し、これら対向壁部の内側に
   は前記ロック体を移動自由に保持した保持内面を、外側
   には嵌合外面を夫々有する保持体と、前記嵌合外面に面
   接触して保持体を持着する持着部とを備えていることを
   特徴とする椅子用角度調整具。
2. 【請求項２】 表皮を有する背凭れ体が表皮を有する座
   体に角度調整可能に支持された椅子において、請求項１
   記載の角度調整具における連動体が、背凭れ体及び座体
   の少なくとも一方の表皮内方に内装されていることを特
   徴とする椅子。
3. 【請求項３】 前記連動体は、インナーワイヤ及び該イ
   ンナーワイヤを案内する可撓性のアウタ筒を備えた操作
   ケーブルからなる請求項２記載の椅子。