JP2665671B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2665671B2 JP63107216A JP10721688A JP2665671B2 JP 2665671 B2 JP2665671 B2 JP 2665671B2 JP 63107216 A JP63107216 A JP 63107216A JP 10721688 A JP10721688 A JP 10721688A JP 2665671 B2 JP2665671 B2 JP 2665671B2
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【発明の詳細な説明】 イ.産業上の利用分野 本発明は磁気テープ、磁気シート、磁気ディスク等の
磁気記録媒体に関するものである。
ロ.従来技術 最近、磁気テープ等の磁気記録媒体の高密度化、高S/
N化に伴い、より粒子径の小さな磁性粉が用いられるよ
うになっている。
一般に、磁気記録媒体のS/N比は、記録・再生に関係
する記録材料中の磁性粉の粒子数の平方根に比例すると
言われているため、同一重量の磁性粉を塗布した場合、
粒子径の小さい磁性粉を用いる程S/N向上に有利にな
る。また、磁性粉を微粒子化し、そのBET値を高める
と、磁性層の表面がそれだけ平滑となり、スペーシング
ロスが少なくなることから、高い電磁変換特性を得る上
で有利である。金属磁性粉を用いると、更に高密度記録
が可能であり、性能が一層向上する。
しかしながら、磁性粉を微粒子化し、そのBET値を高
めると、磁性層の表面がそれだけ平滑となり、却ってテ
ープの走行耐久性の悪化を招く。即ち、上記のような記
録媒体は記録再生時に激しく磁気ヘッドに摺接するた
め、表面の平滑化に伴う摺接面積の増大、摩擦係数の増
大により、却って走行性が劣化するのである。これによ
り、繰り返し使用時の磁性塗膜の摩耗や、塗膜中に含有
される磁性粉の脱落、脱落した磁性粉による磁気ヘッド
の目詰まり、カレンダー汚れといった好ましくない結果
を生ずる。更に、テープ走行中にテープのエッジ部が損
傷を受けるいわゆるエッジ折れも生じ易くなる。
また、例えば8mmビデオデッキなどにおいては、磁気
ヘッドのギャップ前面が露出しているため、それだけ磁
性層への摺接も激しく、問題となっている。
ハ.発明の目的 本発明の目的は、高密度記録が可能で、S/N比等の電
磁変換特性に優れ、走行耐久性に優れ、磁性粉の脱落、
磁気ヘッドの目詰まり、カレンダーロールの汚れ、エッ
ジ折れ等を防止できるような磁気記録媒体を提供するこ
とである。
ニ.発明の構成及びその作用効果 本発明は、結合剤と磁性粉とカーボンブラックとを含
有する磁性層が設けられた磁気記録媒体であって、 前記磁性粉は、その比表面積が45m2/g以上であり、 前記カーボンブラックは、その平均粒径が40mμ以
上、400mμ以下であり、 前記磁性層中の残留溶剤量が20μ/m2以下である ことを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
本発明によれば、磁性粉として比表面積が45m2/g以上
の磁性粉、特に金属磁性粉を用いるので、高密度記録が
可能であって、S/N比等に優れた媒体を提供できる。
上記において、磁性粉の比表面積は50m2/g以上とする
のが望ましいが、その上限は70m2/gとするのが望まし
い。
また、平均粒径が40mμ以上、400mμ以下であるカー
ボンブラックを磁性層に含有せしめ、かつ磁性層中の残
留溶剤量を20μ/m2以下とした点に顕著な特徴を有す
る。
即ち、磁性粉の微粒子化、金属磁性粉の採用に伴い、
不可避的に従来技術の項で述べた走行性の劣化、磁気ヘ
ッドの目詰まり、エッジ折れといった問題点が生じてく
るわけであるが、磁性層の残留溶剤量を前記範囲内とす
ることにより、磁気ヘッドと摺接する磁性層の強度が向
上する。また、磁性層に含有させるカーボンブラックの
平均粒径を上記範囲に限定することにより、高微粒子化
された金属磁性粉との関係で、媒体の走行性を向上させ
ることができる。そして、これらの相乗効果により、媒
体の走行耐久性が向上し、磁性粉の脱落、磁気ヘッドの
目詰まり、エッジ折れ等が防止できる。これにより走行
耐久性に優れ、高微粒子化された金属磁性粉に特に適合
した磁気記録媒体を提供できる。
仮に、カーボンブラックの平均粒径が上記範囲よりも
大きいと、電磁変換特性が大きく低下し、また、平均粒
径が前記範囲よりも小さいと、走行耐久性の向上に効果
があらわれない。カーボンブラックの平均粒径は更に、
40〜350mμの範囲内とするのが好ましく、その含有量は
金属磁性粉100重量部に対し0.01〜5重量部(更には0.1
〜3重量部)の範囲内とするのが好ましい。磁性層中の
残留溶剤量は更に10μ/m2以下とするのが好ましい。
本発明で使用可能な金属磁性粉としては、Fe、Ni、Co
をはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Co系、Fe
−Ni−Si系、Fe−Al−Zn系、Fe−Ni−Co系、Fe−Mn−Zn
系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−
Mn系、Fe−Co−Ni−P系、Co−Ni系、Fe、Ni、CO等を主
成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられる。な
かでも、Feが80atm%以上(更には90atm%以上)のFe系
金属磁性粉が電気特性的に優れ、耐食性及び分散性の点
で特にFe−Al、Fe−Al−Ni、Fe−Al−Zn、Fe−Al−Co、
Fe−Ni、Fe−Ni−Al、Fe−Ni−Zn、Fe−Ni−Al−Si−Z
n、Fe−Ni−Al−Si−Mnの系の金属磁性粉が好ましい。
更には、鉄−アルミニウム系(Fe−Al系、Fe−Al−Ni
系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系等)金属磁性粉が特に
好ましい。以下、鉄−アルミニウム系を単にFe−Al系と
称す。
以下にFe−Al系金属磁性粉について述べる。
上記のような金属磁性粉は、飽和磁化、保磁力が大き
く、高密度記録材料としての性質は優れている。しか
し、その反面表面活性が高いため次のような主な二つの
問題点を有する。
金属磁性粉の空気中での耐酸化安定性 金属磁性粉を空気中に放置しておくと、酸化の進行に
より磁気特性の劣化が徐々に起こる。
バインダーに対する分散性 金属磁性粉をバインダーに分散させる際、表面活性が
高いため分散性が悪く、分散させるのが困難で、極端な
場合には塗料中でバインダー用樹脂をゲル化してしま
う。
特に、近年のビデオテープの用途は、ポータブル化に
伴い多岐にわたり、その使用条件はさまざまである。従
って、ビデオテープには高い耐蝕性が要求されることに
なる。この点、Fe−Al系磁性粉は高耐蝕性を示し、かつ
分散性も良好である。このことは、磁性粉の比表面積を
大きくしても、その分散性を十分とすることができるた
めに、高密度記録の実現にとって非常に重要である。
この際、鉄原子とアルミニウム原子との含有量比(原
子数比)を(100:1)〜(100:20)とすれば、鉄原子の
含有量を充分とでき、電気特性的に優れた鉄系金属磁性
粉を提供できると共に、アルミニウム原子の含有量も充
分となり、アルミニウム原子の特性である耐蝕性を充分
発揮できる。この範囲は更に、(鉄原子:アルミニウム
原子)=(100:1)〜(100:10)の範囲内とするのが好
ましい。
また、金属磁性粉の「表面域」に存在する鉄原子とア
ルミニウム原子との存在比(鉄原子:アルミニウム原
子)を原子数比で(30:70)〜(70:30)、更に好ましく
は(40:60)〜(60:40)と特定すれば、上記表面域での
アルミニウム原子の存在比を充分にでき、アルミニウム
原子の耐蝕性を充分に発揮させることにより、高微粒子
化された金属磁性粉の酸化を抑制できる。また、高微粒
子化された金属磁性粉は凝集し易いが、かかる粒子の分
散性も向上させうる。これにより磁気記録媒体の保存
性、走行耐久性を共に一層向上させることができる。
更に、金属磁性粉の「表面域」に存在するアルミニウ
ム原子を酸素と結合している状態とすれば、磁性粉の個
々の粒子表面に存在する活性点が更に減少し、表面活性
が抑えられる。従って、金属磁性粉の耐蝕性、分散性は
更に一層向上し、媒体の保存性、走行耐久性はなお一層
向上する。
磁性層の残留溶剤量を少なくする方法としては、蒸発
速度の遅い溶剤の使用量を低下させたり、金属磁性粉の
表面活性を低下させるなどの方法がある。
金属磁性粉としては酸化鉄を水素等で還元した乾式還
元法によるものが挙げられる。
本発明の金属磁性粉は例えば以下のようにして製造で
きる。
金属磁性粉の製造法としては、α−FeOOH、γ−FeOOH
等の鉄水和物、あるいはα−Fe2O3,γ−Fe2O3,Fe3O4
の鉄酸化物を高温下にH2等で還元する。例えば第一鉄塩
化合物(例えばFeSO4,FeCl2等)にアルカリ成分(例え
ばNaOH等)を反応させた後にα−FeOOHを生成させ、こ
のα−FeOOHを高温で還元(例えばH2による)するか、
もしくはα−FeOOHをα−Fe2O3に変換したのちに高温で
還元(例えばH2による)することにより金属磁性粉をつ
くることができるが、この各種段階で必要に応じてAl化
合物を添加することができる。他のFe以外の元素の化合
物も同様である。
更に表面域のアルミニウムを酸化させるには、例えば
金属磁性粉を酸素やOH基を有する化合物が少量存在する
雰囲気下におく方法がある。「少量存在」とは極く表面
だけが酸化されるようにするためである。
ここで、上記の「平均粒径」は、電子顕微鏡で直接選
別的にカウントして測定してもよいし、レーザー光線等
を用いて粒径分布から測定してもよい。また比表面積か
ら球形として算出することもできる。また他の公知の方
法を用いることもできる。詳しくは「CARBON BLACK
年鑑1984」(カーボンブラック協会刊)や「カーボンブ
ラック便覧」(カーボンブラック協会編」、及び「新実
験化学講座第18巻」(日本化学会編、昭和52年、丸善株
式会社刊)等を参照できる。
なお、上記の比表面積はBET値で表され、単位重量あ
たりの表面積をいい、平均粒子径とは全く異なった物理
量であり、例えば平均粒子径は同一であっても、比表面
積が大きなものと、比表面積が小さいものが存在する。
比表面積の測定は、例えばまず、粉末を250℃前後で30
〜60分加熱処理しながら脱気して、該粉末に吸着させて
いるものを除去し、その後、測定装置に導入して、窒素
の初期圧力を0.5kg/m2に設定し、窒素により液体窒素温
度(−195℃)で吸着測定を行う(一般にB.E.T法と称さ
れている比表面積の測定方法。詳しくはJ.Ame.Chem.So
c.60 309(1938)を参照)。この比表面積(BET値)の
測定装置には、湯浅電池(株)ならびに湯浅アイオニク
ス(株)の共同製造による「粉粒体測定装置(カンター
ソープ)」を使用することができる。比表面積ならびに
その測定方法についての一般的な説明は「粒体の測定」
(J.M.DALLAVALLE,CLYDEORR Jr共著、弁田その他訳;産
業図書社刊)に詳しく述べられており、また「化学便
覧」(応用編、1170〜1171頁、日本化学会編、丸善
(株)昭和41年4月30日発行)にも記載されている(な
お前記「化学便覧」では、比表面積を単に表面積(m2/g
r)と記載しているが、本明細書における比表面積と同
一のものである。)。
「磁性層中の残留溶剤量」とは、支持体上に磁性塗料
を塗布・乾燥し、カレンダー工程を経て磁気媒体の元巻
を作製し、更にこの元巻をスリットし、カセットの中に
ローディングした後の、テープについての物性値であ
る。即ち、このテープ中に残留する、磁性塗料に用いた
溶剤の量である。測定法は実施例の項で後述する。
上記の「表面域」とは、「磁性粉の表面領域としてES
CA(electron spectroscopy for chemical analysis)
による分析深度(具体的には表面から内部に向かって約
100Å以下)」と定義することができる。
磁性層に含有されるカーボンブラックとしては、次の
ものが例示される。
キャボット社製として、スターリング−SO、スターリ
ング−NS、スターリング−R、スターリング−V、リー
ガル−SRF−S、三菱化成(株)製として、CF−9、#2
0B、#10B、#5B、コロンビアンカーボン社製として、
ラーベン−500、ラーベン−450、ラーベン−430、ラー
ベン−420、ラーベン−410、MT−CI、ラーベン−22、ラ
ーベン−16、ラーベン−14、電気化学社製のHS−100、
旭カーボン社製の#60H、#60U、#60、#55、#50U、
#50、#35、アサヒサーマル、HS−500などが挙げられ
る。
本発明で使用可能な結合剤としては、平均分子量が約
10000〜200000のもので、例えばウレタン樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースダイアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共
重合体、ポリエステル樹脂、各種の合成ゴム径、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フ
ェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂、高
分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマー
の混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネー
トの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリ
コール/高分子量ジオール/イソシアネートの混合物、
及びこれらの混合物等が例示される。
前記した樹脂は、−SO3M、−COOM、−PO(OM′)
(但しMは水素又はリチウム、カリウム、ナトリウム
等のアルカリ金属、M′は水素、リチウム、カリウム、
ナトリウム等のアルカリ金属又は炭化水素残基)等の親
水性極性基を含有した樹脂であるのがよい。即ち、こう
した樹脂は分子内の極性基によって、金属磁性粉とのな
じみが向上し、これによって磁性粉の分散性を更に良く
し、かつ金属磁性粉の凝集も防止して塗液安定性を一層
向上させることができ、ひいては媒体の耐久性をも向上
させうる。
使用する結合剤、特に塩化ビニル系共重合体は塩化ビ
ニルモノマー、スルホン酸もしくはリン酸のアルカリ塩
を含有した共重合性モノマー及び必要に応じ他の共重合
性モノマーを共重合することによって得ることができ
る。この共重合体はビニル合成によるものであるので合
成が容易であり、かつ共重合成分を種々選ぶことがで
き、共重合体の特性を最適に調整することができる。
上記したスルホン酸もしくはリン酸の塩の金属はアル
カリ金属(特にナトリウム、カリウム、リチウム)であ
り、特にカリウムが溶解性、反応性、収率等の点で好ま
しい。
スルホン酸塩を含有する上記の共重合性モノマーとし
ては、 CH2=CHSO3M CH2=CHCH2SO3M CH2=C(CH3)CH2SO3M CH2=CHCH2OCOCH(CH2COOR)SO3M CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2SO3M CH2=C(CH3)COOC2H4SO3M CH2=CHCOOC4H8SO3M CH2=CHCONHC(CH32CH2SO3M が挙げられる。
またリン酸塩としては、 CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−O−PO3MY1 CH2=CHCONHC(CH32CH2−O−PO3MY2 CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mPO2MX2 上記に於いてMはアルカリ金属、Rは炭素原子数1〜
20個のアルキル基、Y1はH、M又は CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−、 Y2はH、M又は CH2=CHCONHC(CH32CH2−、 X1OH又はOM、X2は CH2=CHCH2O(CH2CH2O)m−、 OH又はOMである。またnは1〜100、mは1〜100の正数
である。
また必要に応じ共重合させる共重合性モノマーとして
は、公知の重合性モノマーがあり、例えば種々のビニル
エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
種々のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エ
チレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプ
レン、ビニルエーテル、アリールエーテル、アリールエ
ステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン
酸、マレイン酸エステル等が例示される。
本発明に使用する上記結合剤は乳化重合、溶液重合、
懸濁重合、塊状重合等の重合法により重合される。いず
れの方法に於いても必要に応じて分子量調節剤、重合開
始剤、モノマーの分割添加あるいは連続添加などの公知
の技術が応用できる。
本発明において用いられる上記結合剤中の前記酸性基
の塩含有モノマー量は0.01〜30モル%であるのが好まし
い。該塩含有モノマー量が多すぎると、溶剤への溶解性
が悪くまたゲル化が起こりやすい。また塩含有モノマー
量が少なすぎると所望の特性が得られなくなる。
上記の塩化ビニル系共重合体は更に、エポキシ基又は
水酸基を含有しているのが好ましい。ところで、従来の
塩ビ系共重合体(例えばU.C.C.社製のVAGH)は以下の共
重合成分からなっていた。
:共重合ユニットを示す。
しかし、ここでCH3CO−O−の基は、硬化剤との架橋
反応には寄与しにくいものと考えられる。そこでCH3CO
に代えて、 等のエポキシ基を含有させるのが好ましい。例えば次の
ユニットをもつ共重合体が挙げられる。
(X:スルホ又はホスホ基のアルカリ金属塩を含んだモノ
マーユニット部分) 特に、少なくともウレタン樹脂を使用するのがよく、
更に塩化ビニル系共重合体、エポキシ樹脂(特にフェノ
キシ樹脂)、ポリエステル系樹脂又はニトロセルロース
樹脂(以下、他の樹脂と称する。)を併用するのがよ
い。この場合、ウレタン樹脂と他の樹脂との配合比とし
ては、他の樹脂が90〜10重量部、より好ましくは80〜20
重量部であるのが望ましい。上記配合比が90重量部を越
えると塗膜がもろくなりすぎ塗膜の耐久性が著しく劣化
し、また支持体との接着性も悪くなる。また上記配合比
が10重量部未満であると、磁性粉の粉落ちがおこり易く
なる。
更に本発明において、結合剤を含有する磁性塗料には
更にポリイソシアネート系硬化剤を添加することによ
り、耐久性を向上することができる。このようなポリイ
ソシアネート系硬化剤としては、例えばトリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキ
サンジイソシアネート等の2官能イソシアネート、コロ
ネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)、デスモジ
ュールL(バイエル社製)等の3官能イソシアネート、
または両末端にイソシアネート基を含有するウレタンプ
レポリマーなどの従来から硬化剤として使用されている
ものや、また硬化剤として使用可能であるポリイソシア
ネートであればいずれも使用できる。また、そのポリイ
ソシアネート系硬化剤の量は全結合剤量の5〜80重量部
用いる。
本発明の磁気記録媒体は、例えば第1図に示すよう
に、ポリエチレンテレフタレート等の非磁性支持体1上
に磁性層2を有し、必要があればこの磁性層2とは反対
側の面にBC層3が設けられている構成のものである。ま
た、第2図に示すように第1図の磁気記録媒体の磁性層
2上にオーバーコート層(OC層)4を設けてもよい。
また、第1図、第2図の磁気記録媒体は、磁性層2と
支持体1との間に下引き層(図示せず)を設けたもので
あってよく、或いは下引き層を設けなくてもよい。また
支持体にコロナ放電処理を施してもよい。
磁性層2には、上記した金属磁性粉、結合剤以外に
も、潤滑剤として、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを
含有せしめることができる。これにより、両者の各特長
を発揮させながら、単独使用の場合に生ずる欠陥を相殺
し、潤滑効果を向上させ、静止画像耐久性、走行安定
性、S/N比等を高めることができる。この場合、脂肪酸
の添加量は、磁性粉100重量部に対して0.2〜10重量部が
よく、0.5〜8.0重量部が更によい。この範囲を外れて脂
肪酸が少なくなると磁性粉の分散性が低下し、媒体の走
行性も低下し易く、また多くなると脂肪酸がしみ出した
り、出力低下が生じ易くなる。また、脂肪酸エステルの
添加量は、磁性粉100重量部に対して0.1〜10重量部がよ
く、0.2〜8.5重量部が更によい。この範囲を外れてエス
テルが少なくなると走行性改善の効果が乏しく、また多
くなるとエステルがしみ出したり、出力低下が生じ易く
なる。
また、上記の効果をより良好に奏するうえで、脂肪酸
と脂肪酸エステルの重量比率は脂肪酸/脂肪酸エステル
=10/90〜90/10が好ましい。なお脂肪酸には分散作用的
効果もあり、脂肪酸の使用によって別の低分子量の分散
剤の使用量を低減させ、その分だけ磁気記録媒体のヤン
グ率を向上せしめることもできると考えられる。
脂肪酸は一塩基性であっても二塩基性であってもよ
い。炭素原子数6〜30、更には12〜22の脂肪酸が好まし
い。脂肪酸を例示すると以下の通りである。
(1)カプロン酸 (2)カプリル酸 (3)カプリン酸 (4)ラウリン酸 (5)ミリスチン酸 (6)パルチミン酸 (7)ステアリン酸 (8)イソステアリン酸 (9)リノレン酸 (10)リノール酸 (11)オレイン酸 (12)エライジン酸 (13)ベヘン酸 (14)マロン酸 (15)コハク酸 (16)マレイン酸 (17)グルタル酸 (18)アジピン酸 (19)ピメリン酸 (20)アゼライン酸 (21)セバシン酸 (22)1,12−ドデカンジカルボン酸 (23)オクタンジカルボン酸 上記の脂肪酸エステルの例は次の通りである。
(1)オレイルオレート (2)オレイルステアレート (3)イソセチルステアレート (4)ジオレイルマレエート (5)ブチルステアレート (6)ブチルパルミテート (7)ブチルミリステート (8)オクチルミリステート (9)オクチルパルミテート (10)アミルステアレート (11)アミルパルミテート (12)イソブチルオレエート (13)ステアリルステアレート (14)ラウリルオレート (15)オクチルオレート (16)イソブチルオレート (17)エチルオレート (18)イソトリデシルオレート (19)2−エチルヘキシルステアレート (20)2−エチルヘキシルミリステート (21)エチルステアレート (22)2−エチルヘキシルパルミテート (23)イソプロピルパルミテート (24)イソプロピルミリステート (25)ブチルラウレート (26)セチル−2−エチルヘキサレート (27)ジオレイルアジペート (28)ジエチルアジペート (29)ジイソブチルアジペート (30)ジイソデシルアジペート また、上述した脂肪酸、脂肪酸エステル以外にも、他
の潤滑剤(例えばシリコーンオイル、カルボン酸変性、
エステル変性であってもよい)、グラファイト、フッ化
カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、脂
肪酸アミド、α−オレフィンオキサイド等)等を磁性層
に添加してよい。
また、他の非磁性研磨剤粒子も磁性層に添加可能であ
る。これは、例えばα−アルミナ、酸化クロム、酸化チ
タン、α−酸化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化
マグネシウム、窒化ホウ素等が使用される。この研磨剤
の平均粒子径は0.6μm以下が良く、0.3μm以下が更に
良い。また、モース硬度は5以上であるのが好ましい。
また、磁性層には更に、グラファイト等の帯電防止
剤、粉レシチン、リン酸エステル等の分散剤を添加する
ことができる。そして更に、カーボンブラックも併用す
ることができる。
また、バックコート層中に含有せしめる非磁性粒子
は、平均粒径を10mμ〜1000mμの範囲内とするとより好
ましい。上記範囲内であれば非磁性粒子が細かくなりす
ぎることもなく、添加効果が良好だからである。
非磁性粒子としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、炭化カルシウ
ム、酸化亜鉛、α−Fe2O3、タルク、カオリン、硫酸カ
ルシウム、窒化ホウ素、フッ化亜鉛、二酸化モリブデ
ン、炭化カルシウム、硫酸バリウム等からなるものが挙
げられる。また、その他にも有機粉末、例えばベンゾグ
アナミン系樹脂、メラミン系樹脂、フタロシアニン系顔
料等も使用可能であり、有機粉末と前記の無機粉末とも
併用することもできる。
更に、上述の非磁性粒子と共にカーボンブラックを併
用することがより好ましい。これにより媒体の走行性を
更に安定せしめ、前記した非磁性粒子の作用と相まって
媒体の耐久性を更に向上せしめることが可能である。
ホ.実施例 以下、本発明の実施例を説明する。
以下に示す成分、割合、操作順序等は、本発明の精神
から逸脱しない範囲において種々変更しうる。なお、下
記の実施例において「部」はすべて重量部である。
〔実験1〕 <ビデオテープの調整> まず、支持体である厚さ10μmのポリエチレンテレフ
タレートベースフィルム上に磁性層を次の要領で形成し
た。
即ち、所定の金属磁性粉を使用し、第4図に示す各成
分を分散させた後、この磁性塗料を1μmフィルターで
濾過し、多官能イソシアネート5部を添加し、支持体上
に2.5μmに塗布してスーパーカレンダーをかけ、第4
図に表示した各種組成を有する磁性層とした。
但し、金属磁性粉については、磁性粉中の鉄原子とア
ルミニウム原子との含有量比、表面域における存在比を
も第4図に示した。上記存在比はESCAにより、表面から
内部に向かって約100Å以下の分析深度における存在比
を測定したものである。また、上記含有量比は、X線元
素分析により測定したものである。
第3図は、磁性粉表面域におけるアルミニウム原子の
酸化状態を示すグラフである。
第3図において、縦軸はカウンターで検出されたスペ
クトル強度を表し、横軸は結合エネルギーを表す。第3
図では、スペクトル強度のピーク値に対応する結合エネ
ルギーは76.8eVであり、ハンドブックによれば、ピーク
値に対応する結合エネルギー(アルミニウム酸化物)が
76.8eVであって一致する。なお、純アルミニウムの場合
は、ピーク値に対応する結合エネルギーは72.7eVであ
る。
しかる後、次の組成のBC層用塗料を磁性層の反対側の
面に乾燥厚さ0.4μmになるように塗布した。
カーボンブラック(平均粒径50mμ) 40部 硫酸バリウム 10部 ニトロセルロース 25部 N−2301 (日本ポリウレタン製) 25部 コロネートL( 〃 ) 10部 シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 このようにして所定厚さの磁性層、BC層を有する幅広
の磁性フィルムを得、これを巻き取った。このフィルム
を8mm幅に断裁し、第4図の各ビデオテープとした(各
実施例、比較例の番号に対応する。)。但し、第4図の
第2欄以後の数値は重量部を表し、「実−」は実施例
を、「比−」は比較例を表す。
磁性層中の残留溶剤量は次のようにして測定した。試
料をサンプルびんに入れ、密閉する。次にこれを温度を
150℃まで上昇させ一定時間置く。最後にこの密閉した
びんの中のガスを採取して、ガスクロマトグラフィにて
この気化した溶剤を分析する。
<テープ性能の測定> 以上のようにして得られたテープの性能を測定した結
果を第4図に示す。但し、評価項目は次の基準に従って
測定され、表示されている。
ルミS/N: カラービデオノイズメーター「Shibasoku 925 D/1」
により測定した。ハイパスフィルターは10KHz、ローパ
スフィルターは4.2MHzで行った。VTRは8mmビデオデッキ
を使用した。
粉落ち: 40℃、80%にて200時間連続して試料テープをビデオ
デッキで走行させ、粉落ちを測定した。
◎ 非常に良好 ○ 良好 △ やや不良 × 不良 静止画像寿命: 静止画像が2dB低下するまでの時間を、分単位で示
す。値が大きい程磁気記録媒体の耐久性、耐摩耗性が高
い。
エッジ折れ: 23℃/60%の雰囲気でテープをビデオデッキで200P走
行させた後、テープを取り出し、表面を観察してエッジ
部分で折れがあるかどうかをみた。
○ なし × あり カレンダー汚れ: 温度60℃、線圧200kg/cmで20,000mカレンダー処理し
た後の金属ロール表面の汚れを目視で観察した。
○:汚れなし △:かすかに汚れあり ×:明らかに汚れあり <結論> 第4図に示す結果から、本発明に基づいて磁気テープ
を構成することによって、テープ性能が著しく向上する
ことが解る。即ち、BET値45m2/g以上の金属磁性粉を用
いること、特性範囲の平均粒径を有するカーボンブラッ
クを含有させること、磁性層中の残留溶剤量を限定する
ことは重要である。
〔実験2〕 実験1において、実施例1と同様の構成及び処方を有
するビデオテープを使用し、金属磁性粉を種々変化させ
て、以下の実験を行った。
即ち、Fe−Al系金属磁性粉において、磁性粉中のAlの
含有量比を変化せしめ、ルミS/N及び保存後の飽和磁化
の残存率を調べた結果、第5図、第6図に示すグラフを
得た。また、アルミニウム原子の含有量比は、鉄原子の
含有量を100としたときの鉄原子に対する含有量比(原
子数比)として表した。
この結果から、鉄原子とアルミニウム原子との含有量
比は(100:1)〜(100:20)の範囲内とするのがより好
ましいと言える。
また、Fe−Al系金属磁性粉において、磁性粉の表面域
におけるアルミニウム原子の存在比を変化せしめ、保存
後の飽和磁化の残存率を調べた結果、第7図に示すグラ
フを得た。但し、アルミニウム原子の存在比は、磁性粉
表面域における鉄原子及びアルミニウム原子の合計存在
量を100としたときの、アルミニウム原子の存在比(原
子数比)として表した。
この結果から、金属磁性粉の表面域に存在するアルミ
ニウム原子の存在比を原子数比で30以上とするのがより
好ましいと言える。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図は磁気記録媒体の例を示す部分拡大断面
図、 第3図は金属磁性粉の表面域におけるアルミニウム原子
の存在状態を示すグラフ、 第4図は磁性層の組成による特性変化を示す表 第5図、第6図は金属磁性粉中のアルミニウム原子の含
有量比変化に伴う特性変化を示すグラフ、 第7図は金属磁性粉の表面域におけるアルミニウム原子
の存在比変化に伴う特性変化を示すグラフ である。 なお、図面に示す符号において、 1……非磁性支持体 2……磁性層 3……バックコート層(BC層) 4……オーバーコート層(OC層) である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結合剤と磁性粉とカーボンブラックとを含
    有する磁性層が設けられた磁気記録媒体であって、 前記磁性粉は、その比表面積が45m2/g以上であり、 前記カーボンブラックは、その平均粒径が40mμ以上、4
    00mμ以下であり、 前記磁性層中の残留溶剤量が20μ/m2以下である ことを特徴とする磁気記録媒体。
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