JP2664700B2 - コンテナの連結具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、互に積み重ねられたコンテナを連結する
ためのコンテナ連結具に関するものである。

〔従来の技術〕

多数のコンテナを複数段積み重ねて船舶輸送すること
は普通に行なわれているが、上記コンテナを単に積み重
ねると、船舶の揺れによって荷くずれする危険があるた
め、通常、上下のコンテナを連結具で連結して荷くずれ
の防止を図るようにしている。

上記連結具の従来技術として、上側コンテナの下面隅
部に設けた係合孔に対して上部が着脱自在に形成された
連結具本体の下面に、下側コンテナの上面隅部に形成さ
れた係合孔に対して挿入可能な挿入軸部を設け、この挿
入軸部を上記係合孔に挿入したのち、その下面に設けら
れた係合体を回動し、挿入軸部の両側面から外側に突出
する係合体の両端部を係合孔の下側開口部の周囲に係合
させるようにしたものがある。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上記連結具においては、係合体の上面に設
けた軸を連結具本体に形成した挿入孔に挿入し、その軸
に連結したレバーしたレバーを連結具本体の側面で開口
する左右方向に長いレバー挿入孔に挿通し、上記レバー
の操作により係合体を回動させる構成であるため、上下
コンテナの連結に際してレバーを必らず回転させる必要
がある。このため、コンテナの連結作業に非常に手間が
かかるという不都合がある。

また、コンテナの輸送時の揺れや振動によって、係合
状態の係合体が、非係合位置に回動するおそれがあり、
連結の信頼性が低いという不都合もある。

そこで、この発明は、上記の不都合を解消し、上側コ
ンテナの係合孔に上部を取付けた状態において、下側コ
ンテナの係合孔に下部を落し込む簡単な作業により、上
下のコンテナを互に連結することができるようにした連
結作業の容易なコンテナ連結具を提供することを目的と
している。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この発明においては、
連結具本体の上下部に両側面の長さと両端面間の長さが
異なる挿入軸部を設け、各挿入軸部を貫通して回転自在
に支持された軸の上端および下端に、各挿入軸部の外周
面内に収納可能な大きさの上部係合体および下部係合体
を設け、上記軸の回転操作用のレバーを連結具本体に形
成されたレバー挿入孔に挿入して左右方向に揺動自在に
支持し、上記レバーがレバー挿入孔の一端に当接する位
置を上部係合体のロック解除位置とし、かつレバー挿入
孔の他端に当接する位置を両係合体のロック位置とした
コンテナの連結具において、前記下部係合体のロック回
転方向の後行側角部が下部挿入軸部の外周面より突出す
る位置をロック解除位置とし、そのロック解除位置で下
部係合体を回り止めし、その下部係合体にロック位置に
向けての回転力が付与されたとき上記回り止めが解除さ
れる回り止め機構を設け、上記下部係合体のロック回転
方向の後行側角部における両側面の上下部に相反する方
向に傾斜するテーパ面を設け、上記下部係合体がロック
位置に向けて回転する方向に前記軸に回転力を付与する
スプリングを設けた構成を採用している。

〔作用〕

多段に積み重ねるコンテナの連結に際しては、連結具
本体の上部をクレーン等で吊下げられた上側コンテナの
下面隅部の係合孔に取付けたのち、そのコンテナを予め
載置された下側コンテナ上に下降して下側コンテナの係
合孔に係合体を落し込むのである。その落し込みによ
り、上記係合孔の内周と係合体下部のテーパ面との衝合
により係合体にロック方向への回転力が付与し、その回
転力により、回り止めが解除され、スプリングの弾力に
より係合体がロック方向に回転して、係合体の長さ方向
の両端部が係合孔の下面周囲部に係合する。

〔実施例〕

以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図に示すように、連結具本体１の上
面および下面は平面とされ、その上面に上部挿入軸部２
が形成され、また、下面には下部挿入軸部３が設けられ
ている。

上部挿入軸部２および下部挿入軸部３は、その両側が
平坦な案内面４とされ、また両端が弧状面５とされて、
第９図および第10図に示すコンテナ30のコーナ金具31に
設けられた係合孔32の形状の対応し、両側の案内面４間
の長さは、両端の弧状面５間の長さより短くなってい
る。

上部係合体８および下部係合体９は、軸７の中途に設
けたレバー10によって回動され、そのレバー10は、連結
具本体１の側面で開口する左右方向に長いレバー挿入孔
11に挿通されている。このレバー10を回動してレバー挿
入孔11の一端に当接させると、上部係合体８は、上部挿
入軸部２の外周面に納まる状態に保持される。このと
き、下部係合体９は、第７図に示すように、両側面の回
転方向前部が下部挿入軸部３の案内面４から外側に突出
する状態に保持される。

また、レバー挿入孔11の他端にレバー10を当接させる
と、第８図に示すように、上部係合体８および下部係合
体９の両端部がそれぞれ対向する挿入軸部２、３の両側
面から外側に突出する状態に保持される。この状態がロ
ック状態である。

上記下部挿入軸部３と下部係合体９の対向部間には、
その係合体９のロック回転方向の後行側角部が下部挿入
軸部３の両側面から外側に少し突出する状態（第４図参
照）で下部係合体９がロック方向に回転するのを防止す
る回り止め機構20か設けられている。また、その回り止
め機構20が作動する方向、すなわち下部係合体９がロッ
ク位置に向けて回転する方向に前記回転軸７に回転力を
付与するスプリング12が連結具本体１の内部に組込まれ
ている。

前記回り止め機構20は、第５図に示すように、下部挿
入軸部３の下面にピン孔21を形成し、このピン孔21に先
端を丸めた係合ピン22と、この係合ピン22を下方に押し
出すスプリング23とを組込み、一方下部係合体９の上面
には係合ピン22の嵌る係合凹部24を形成し、この係合凹
部24と係合ピン22の係合によって下部係合体９を回り止
めしている。ここで、係合凹部24と係合ピン22の係合力
は、スプリング12が軸７をロック方向に回転させる力よ
り強くなっており、その係合状態において、下部係合体
９にロック方向への回転力が付与されると、回り止め機
構20の回り止めには解除されるようになっている。

なお、回り止め機構20の構成および組込み位置は実施
例に限定されるものではない。例えばスプリングによっ
て押される係合ピンの先端の球形部をレバー10に係合さ
せるようにしてもよく、あるいは、軸７の外周面に突起
を設け、その突起に上記係合ピンを係合させるようにし
てもよい。

前記下部係合部９のロック回転方向の後行側角部にお
ける下部には、第５図および第６図に示すように、テー
パ面13が設けられ、また、両側面の上部に、ロック位置
に向けての回転方向後部にテーパ面14が設けられてい
る。

なお、下部係合体９の両側上部に全体に亘ってテーパ
面14を設けてもよい。

実施例で示す連結具は上記の構造から成り、上下のコ
ンテナの連結に際しては、クレーン等で吊下げられたコ
ンテナの下面隅部の係合孔に連結具本体の上部を取付
け、そのコンテナを降下させて下部挿入軸部３を下側コ
ンテナの上面隅部に形成された係合孔に落し込むのであ
る。

上側コンテナに対する連結具本体１の取付けに際して
は、レバー10を回動して第７図に示すように、レバー挿
入孔11の一端にレバー10を当接せしめ、上部係合体８を
上部挿入軸部２の上端外周内に納まる状態において、第
９図に示す上側コンテナ30の下面の係合孔32に上部挿入
軸部２を差し込み、コンテナ30下面に連結具本体１の上
面を当接させた状態でレバー10の押圧を解除するのであ
る。

そのレバー10の押圧解除により、スプリング12の弾力
によって軸７が回転され、第５図に示すように、係合ピ
ン22の先端が係合凹部24の端部に係合すると、レバー10
が停止する。このとき、第１図に示すように、レバー10
と共に回転する上部係合体８の角部ａが、上側挿入軸部
２の案内面４から突出し、上記対角部ａがコンテナ係合
孔32の上部開口の周囲部に係合する。その係合によっ
て、連結具本体１は取付け状態に保持される。

また、第４図に示すように、下部係合体９の両側面に
おけるロック回転方向の後部ｂは、下部挿入軸部３の案
内面４から外側に突出する状態に保持される。

上記のような状態において、上側コンテナ30を下降
し、下部係合体９を下側コンテナ30の上面隅部の係合孔
32に落し込むと、係合孔32の内周と下部テーパ面13の係
合により下部係合体９にロック位置に向けての回転力が
付与され、その回転力により、回り止め機構20の回り止
めが解除される。このため、下部係合体９が係合孔32を
通過する位置まで下降すると、スプリング12の弾力によ
り、下部係合体９はロック位置に向けて回転し、第８図
に示すように、レバー10がレバー挿入孔111の他端に当
接すると停止する。

下部係合体９の回動により、その下部係合体９の両端
部は、下部挿入軸部３の案内面４より外側に突出するた
め、第10図に示すように、下部係合体９の両端部がコン
テナ係合孔32の下部開口の周囲部に係合し、この結果、
上下コンテナ30が互に連結される。

なお、下部係合体９のロック方向への回転時、上部係
合体８も同方向に回転するが、この場合、上部係合体８
は、上側コンテナ30の係合孔32の周囲部に深く係合し、
係合が解除されることはない。

コンテナ30、30の連結解除に際しては、レバー10をレ
バー挿入孔11の一端に向けて回動し、回り止め機構20が
作動すると、レバー10の回動を停止し、その状態で上側
コンテナ30を引上げるようにする。

上記のように、回り止め機構20が作動する状態では、
第５図に示すように、下部係合体９の両側面におけるロ
ック回転方向の後部が下部挿入軸部３の案内面４から突
出する状態に保持され、その状態で上側コンテナ30を引
上げることにより、上部テーパ面14が係合孔32の内周に
当接する。その当接状態から上側のコンテナ30をさらに
引上げることにより、係合孔32の内周と上部テーパ面14
の係合によって下部係合体９はロック位置に向けて回動
し、回り止めが解除される。このため、下部係合体９が
係合孔32から抜け出すと、下部係合体９はスプリング12
の回転によりロック位置に向けて回転する。

上下コンテナ30、30の連結の解除後は、レバー10をレ
バー挿入孔11の一端に当接するまで回動し、上部係合体
８を上部挿入軸部２の上面外周内に納まる状態にして連
結具本体１を引き下げる。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、上側コンテナの下
面隅部に連結具本体を取付けたのち、その上側コンテナ
を下降して下側コンテナの係合孔に下部係合体および下
部挿入軸部を落し込むことによりコンテナ係合孔の内周
と下部係合体のテーパ面の係合により下部係合体が回転
して回り止めが解除され、スプリングの弾力で下部係合
体が回動してその両端部が下側コンテナの係合孔の開口
周囲部に係合するため、上下のコンテナをきわめて簡単
に連結することができる。

また、上記係合体を上側コンテナの係合孔に係合して
上側コンテナに連結具本体を取付けると、下部係合体は
回り止め機構の作用によってロック解除位置に保持され
るため、下部コンテナの係合孔に下部挿入軸部を落し込
む作用により、下部係合体は係合孔に確実に係合するこ
とになる。このため、上下のコンテナを確実に連結する
ことができると共に、下部係合体はスプリングによって
ロック状態に保持されるため、連結の信頼性がきわめて
高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係る連結具の一実施例を示す斜視
図、第２図は同上の横断平面図、第３図は第２図のIII
−III線に沿った断面図、第４図は第３図のIV−IV線に
沿った断面図、第５図は、第４図のＶ−Ｖ線に沿った断
面図、第６図は同上の下部係合体の斜視図、第７図およ
び第８図は同上の作動状態を示す横断面図、第９図およ
び第10図はコンテナの連結を段階的に示す正面図であ
る。 １……連結具本体、２……上部挿入軸部、３……下部挿
入軸部、 ８……上部係合体、９……下部係合体、10……レバー、 11……レバー挿入孔、12……スプリング、13、14……テ
ーパ面、 20……回り止め機構。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】連結具本体の上下部に両側面の長さと両端
   面間の長さが異なる挿入軸部を設け、各挿入軸部を貫通
   して回転自在に支持された軸の上端および下端に、各挿
   入軸部の外周面内に収納可能な大きさの上部係合体およ
   び下部係合体を設け、上記軸の回転操作用のレバーを連
   結具本体に形成されたレバー挿入孔に挿入して左右方向
   に揺動自在に支持し、上記レバーがレバー挿入孔の一端
   に当接する位置を上部係合体のロック解除位置とし、か
   つレバー挿入孔の他端に当接する位置を両係合体のロッ
   ク位置としたコンテナの連結具において、前記下部係合
   体のロック回転方向の後行側角部が下部挿入軸部の外周
   面より突出する位置をロック解除位置とし、そのロック
   解除位置で下部係合体を回り止めし、その下部係合体に
   ロック位置に向けての回転力が付与されたとき上記回り
   止めが解除される回り止め機構を設け、上記下部係合体
   のロック回転方向の後行側角部における両側面の上下部
   に相反する方向に傾斜するテーパ面を設け、上記下部係
   合体がロック位置に向けて回転する方向に前記軸に回転
   力を付与するスプリングを設けたことを特徴とするコン
   テナの連結具。