JP2659402B2 - 金属製二重壁容器の製造方法 - Google Patents
金属製二重壁容器の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は表面にほうろう層を形成し、かつ内容器と
外容器との間に空間部を設けた、保温および保冷性に優
れた金属製二重壁容器の製造方法に関する。
外容器との間に空間部を設けた、保温および保冷性に優
れた金属製二重壁容器の製造方法に関する。
［従来技術とその課題］ 従来、この種の金属製二重壁容器の製造方法として
は、実開昭54−95481号公報に記載されたステンレス製
コーヒーカップによるものが既に知られている。
は、実開昭54−95481号公報に記載されたステンレス製
コーヒーカップによるものが既に知られている。
このステンレス製コーヒーカップは、台盤に外容器の
下端を固着し、この外容器の内側に別体の内容器を嵌合
するとともに、上記内外容器の上縁を溶着して一体化し
て製造されたものであり、内外容器間に空気層空間部を
設けたことにより保温および保冷性に優れた特性を示す
ものである。
下端を固着し、この外容器の内側に別体の内容器を嵌合
するとともに、上記内外容器の上縁を溶着して一体化し
て製造されたものであり、内外容器間に空気層空間部を
設けたことにより保温および保冷性に優れた特性を示す
ものである。
しかしながらこのような金属製コーヒーカップは、質
感の点で高級感があるが、陶器等に比べて一種の冷たさ
を持ち、金属臭を感じ、飲み物の味が変わる印象を与え
る等の趣向的な面での好みにそぐわないということがあ
った。
感の点で高級感があるが、陶器等に比べて一種の冷たさ
を持ち、金属臭を感じ、飲み物の味が変わる印象を与え
る等の趣向的な面での好みにそぐわないということがあ
った。
このような不都合に対して金属製二重壁容器の表面に
ほうろう層を形成することが提案されているが、ほうろ
う層の焼成温度が800〜850℃と高温であるために、上記
のような金属製二重壁製造容器にあっては、内容器と外
容器間の空間部中の空気が熱膨張し加圧状態となり、そ
の結果、容器形状が膨れ、さらには破裂を引き起こして
しまうばかりでなく、空間部内面の金属表面が焼成時に
酸化され、劣化するという不都合があった。また焼成時
に形状の膨れや破裂を防ぐために内容器と外容器の肉厚
を大きくした場合には、重量が大きくなるとともに、熱
伝導が大きくなるので保温および保冷性が低下するとい
う不都合があった。
ほうろう層を形成することが提案されているが、ほうろ
う層の焼成温度が800〜850℃と高温であるために、上記
のような金属製二重壁製造容器にあっては、内容器と外
容器間の空間部中の空気が熱膨張し加圧状態となり、そ
の結果、容器形状が膨れ、さらには破裂を引き起こして
しまうばかりでなく、空間部内面の金属表面が焼成時に
酸化され、劣化するという不都合があった。また焼成時
に形状の膨れや破裂を防ぐために内容器と外容器の肉厚
を大きくした場合には、重量が大きくなるとともに、熱
伝導が大きくなるので保温および保冷性が低下するとい
う不都合があった。
この発明は上記課題に鑑みてなされたもので、保温お
よび保冷性に優れ、かつ容器形状変化や破裂を起こすこ
となく、外表面にほうろう層が形成された金属製二重壁
容器を製造する方法を提供することを目的とする。
よび保冷性に優れ、かつ容器形状変化や破裂を起こすこ
となく、外表面にほうろう層が形成された金属製二重壁
容器を製造する方法を提供することを目的とする。
［課題を解決するための手段］ 本発明の請求項１に係る発明は、金属製の内容器と外
容器とを、各容器の間に形成される空間部に通じる開口
部を設けて一体化して金属製二重壁容器を形成し、この
容器の外表面に施釉し、上記内容器と外容器との間に形
成された空間部内を上記開口部より排気しつつ焼成して
ほうろう層を形成するとともに、開口部を封止すること
を特徴とする金属製二重壁容器の製造方法である。
容器とを、各容器の間に形成される空間部に通じる開口
部を設けて一体化して金属製二重壁容器を形成し、この
容器の外表面に施釉し、上記内容器と外容器との間に形
成された空間部内を上記開口部より排気しつつ焼成して
ほうろう層を形成するとともに、開口部を封止すること
を特徴とする金属製二重壁容器の製造方法である。
また請求項２に係る発明は、金属製の内容器と外容器
とを一体化し、内容器と外容器との間に形成された空間
部内を排気して10-1Torr以下として封止して金属製真空
二重壁容器を形成し、この容器の外表面に施釉したの
ち、焼成してほうろう層を形成することを特徴とする金
属製二重壁容器の製造方法である。
とを一体化し、内容器と外容器との間に形成された空間
部内を排気して10-1Torr以下として封止して金属製真空
二重壁容器を形成し、この容器の外表面に施釉したの
ち、焼成してほうろう層を形成することを特徴とする金
属製二重壁容器の製造方法である。
［作用］ 本発明の金属製二重壁容器の製造方法は、金属製の内
容器と外容器とを、各容器の間に形成される空間部に通
じる開口部を設けて一体化して金属製二重壁容器を形成
し、この容器の外表面に施釉し、上記内容器と外容器と
の間に形成された空間部内を上記開口部より排気しつつ
焼成してほうろう層を形成するとともに、開口部を封止
することにより、或いは金属製の内容器と外容器とを一
体化し、内容器と外容器との間に形成された空間部内を
排気して10-1Torr以下として封止して金属製真空二重壁
容器を形成し、この容器の外表面に施釉したのち、焼成
してほうろう層を形成することにより、焼成時には内外
容器間の空間部内が減圧状態となっていて、空間部内面
の金属の酸化が防止され、また容器形状の変化や破裂が
起こらない。
容器と外容器とを、各容器の間に形成される空間部に通
じる開口部を設けて一体化して金属製二重壁容器を形成
し、この容器の外表面に施釉し、上記内容器と外容器と
の間に形成された空間部内を上記開口部より排気しつつ
焼成してほうろう層を形成するとともに、開口部を封止
することにより、或いは金属製の内容器と外容器とを一
体化し、内容器と外容器との間に形成された空間部内を
排気して10-1Torr以下として封止して金属製真空二重壁
容器を形成し、この容器の外表面に施釉したのち、焼成
してほうろう層を形成することにより、焼成時には内外
容器間の空間部内が減圧状態となっていて、空間部内面
の金属の酸化が防止され、また容器形状の変化や破裂が
起こらない。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
（実施例１） 第１図はこの発明の請求項１記載の製造方法によって
製造された金属製二重壁容器１の一例を示したものであ
る。この金属製二重壁容器１は、外容器２と内容器３の
それぞれの上縁部2aおよび3aを互いに突き合わせた状態
で接合し、外容器２と内容器３との間に空間部４が、外
表面にはほうろう層５がそれぞれ形成されてなるもので
あって、さらに上記空間部４にはゲッター材10が溶着さ
れ、外容器２の底部には開口部６が形成されている。こ
の開口部６には排気パイプ８がろう材７により接続さ
れ、排気パイプ８には封止部材９が嵌合されている。
製造された金属製二重壁容器１の一例を示したものであ
る。この金属製二重壁容器１は、外容器２と内容器３の
それぞれの上縁部2aおよび3aを互いに突き合わせた状態
で接合し、外容器２と内容器３との間に空間部４が、外
表面にはほうろう層５がそれぞれ形成されてなるもので
あって、さらに上記空間部４にはゲッター材10が溶着さ
れ、外容器２の底部には開口部６が形成されている。こ
の開口部６には排気パイプ８がろう材７により接続さ
れ、排気パイプ８には封止部材９が嵌合されている。
第１図に示したような金属製二重壁容器１を製造する
には、まず第２図に示したように、鉄、ステンレス鋼、
アルミニウム等の金属板材から、その上縁部2aが内側に
折曲され、かつその底部には円形の開口部６が形成さ
れ、内表面にゲッター材10が溶着された有底筒状の外容
器２と、この外容器２よりも小さな径を有し、その上縁
部3aが外側に折曲された有底筒状体からなる内容器３と
をそれぞれ製造する。上記ゲッター材10はほうろう層５
を焼成する際に、空間部４内の残留ガス成分、たとえば
金属中から放出される水素等を吸着するためのものであ
って、水素等のガスと反応性の高いチタン等を主成分と
する合金等からなる。ついで外容器２を内容器３とを、
外容器上縁部2aと内容器上縁部3aを互いに突き合わした
状態で互いに溶接等によって接合し、外容器２と内容器
３との間に生じた空間部４が設けられた金属製二重壁容
器11を製造する。さらに外容器２の開口部６には、ろう
材７によって銅等からなる排気パイプ８を接続する。こ
のろう材７は後述するほうろう層５の焼成温度800〜900
℃より高い融点を有する材料であり、たとえばJISに定
められるニッケル系または銅系等のろう材である。
には、まず第２図に示したように、鉄、ステンレス鋼、
アルミニウム等の金属板材から、その上縁部2aが内側に
折曲され、かつその底部には円形の開口部６が形成さ
れ、内表面にゲッター材10が溶着された有底筒状の外容
器２と、この外容器２よりも小さな径を有し、その上縁
部3aが外側に折曲された有底筒状体からなる内容器３と
をそれぞれ製造する。上記ゲッター材10はほうろう層５
を焼成する際に、空間部４内の残留ガス成分、たとえば
金属中から放出される水素等を吸着するためのものであ
って、水素等のガスと反応性の高いチタン等を主成分と
する合金等からなる。ついで外容器２を内容器３とを、
外容器上縁部2aと内容器上縁部3aを互いに突き合わした
状態で互いに溶接等によって接合し、外容器２と内容器
３との間に生じた空間部４が設けられた金属製二重壁容
器11を製造する。さらに外容器２の開口部６には、ろう
材７によって銅等からなる排気パイプ８を接続する。こ
のろう材７は後述するほうろう層５の焼成温度800〜900
℃より高い融点を有する材料であり、たとえばJISに定
められるニッケル系または銅系等のろう材である。
次にこの金属製二重壁容器11の外表面に、スリップ層
Ｓを施釉する。この施釉は、たとえば排気パイプ８を把
持して、SiO2等のほうろうフリットが溶媒中に分散、懸
濁されてなるスリップが満たされた槽内に、その上縁部
を下にして金属製二重壁容器11を浸漬するなどの方法を
利用することができる。第３図はこのようにして金属製
二重壁容器11の外表面にスリップ層Ｓが塗布されたとこ
ろを示したものである。なお、ここでいう金属製二重壁
容器11の外表面とは、金属製二重壁容器11の外気にさら
される部分を指し、外容器２と内容器３との間に生じた
空間部４の内表面と対比して用いたものである。
Ｓを施釉する。この施釉は、たとえば排気パイプ８を把
持して、SiO2等のほうろうフリットが溶媒中に分散、懸
濁されてなるスリップが満たされた槽内に、その上縁部
を下にして金属製二重壁容器11を浸漬するなどの方法を
利用することができる。第３図はこのようにして金属製
二重壁容器11の外表面にスリップ層Ｓが塗布されたとこ
ろを示したものである。なお、ここでいう金属製二重壁
容器11の外表面とは、金属製二重壁容器11の外気にさら
される部分を指し、外容器２と内容器３との間に生じた
空間部４の内表面と対比して用いたものである。
ついでスリップ層Ｓが施釉された金属製二重壁容器11
を、たとえば第４図に示したような加熱炉12内で加熱し
て、スリップ層Ｓを焼成してほうろう層５を形成する。
このとき排気パイプ８はアダプタ13と排気管14とを介し
て、図示しない真空ポンプ等の排気装置に接続して、加
熱炉12の昇温に伴い空間部４内を真空排気して減圧状態
にする。加熱温度は、スリップ層Ｓが焼成されてほうろ
う層５となる800〜900℃程度とする。このような高温に
すると、空間部４の金属表面の脱ガス処理とゲッター材
10の活性化処理とほうろう層５の焼成処理とを同時に行
うことができる。また排気パイプ８を外容器２に接続し
ているろう材７の融点は前述のように焼成温度よりも高
くしてあるので、ろう材７が溶融して排気パイプ８が外
容器２より離脱することはない。このようにして排気パ
イプ８から空間部４内を排気しつつ、金属製二重壁容器
11を加熱してほうろう層５を焼成すると、空間部４内は
減圧状態となっているので、内部ガスの膨張により容器
形状が膨張、破損することを防止することができるとと
もに、金属製二重壁容器11の内表面の金属表面が酸化さ
れることがなく、容器の劣化を防止することができる。
を、たとえば第４図に示したような加熱炉12内で加熱し
て、スリップ層Ｓを焼成してほうろう層５を形成する。
このとき排気パイプ８はアダプタ13と排気管14とを介し
て、図示しない真空ポンプ等の排気装置に接続して、加
熱炉12の昇温に伴い空間部４内を真空排気して減圧状態
にする。加熱温度は、スリップ層Ｓが焼成されてほうろ
う層５となる800〜900℃程度とする。このような高温に
すると、空間部４の金属表面の脱ガス処理とゲッター材
10の活性化処理とほうろう層５の焼成処理とを同時に行
うことができる。また排気パイプ８を外容器２に接続し
ているろう材７の融点は前述のように焼成温度よりも高
くしてあるので、ろう材７が溶融して排気パイプ８が外
容器２より離脱することはない。このようにして排気パ
イプ８から空間部４内を排気しつつ、金属製二重壁容器
11を加熱してほうろう層５を焼成すると、空間部４内は
減圧状態となっているので、内部ガスの膨張により容器
形状が膨張、破損することを防止することができるとと
もに、金属製二重壁容器11の内表面の金属表面が酸化さ
れることがなく、容器の劣化を防止することができる。
この外表面にほうろう層５が形成された金属製二重壁
容器11を冷却したのち、外容器２に接続された排気パイ
プ８を油圧カッタ等により圧切して空間部４を減圧状態
に封止する。さらに外容器２の底部と同形の封止材９を
嵌合して目的の金属製二重壁容器１を得る。この封止材
９には金属、プラスチック、ゴムのほか、塗装もしくは
ほうろう層が形成された金属等を用いることができる。
容器11を冷却したのち、外容器２に接続された排気パイ
プ８を油圧カッタ等により圧切して空間部４を減圧状態
に封止する。さらに外容器２の底部と同形の封止材９を
嵌合して目的の金属製二重壁容器１を得る。この封止材
９には金属、プラスチック、ゴムのほか、塗装もしくは
ほうろう層が形成された金属等を用いることができる。
なおこの例では、開口部６を外容器２の底部に設けた
が、開口部６の形成場所はこの例に限られるものではな
く、外容器２の胴部に形成してもよい。
が、開口部６の形成場所はこの例に限られるものではな
く、外容器２の胴部に形成してもよい。
このような製造方法によれば、開口部６より空間部４
内を排気しつつ外表面のほうろう層５を焼成したので、
空間部４の内部圧力が高くなることがないので、形状変
化や破損等がなく、美観に優れた金属製二重壁容器１を
得ることができる。また空間部４内は減圧状態となって
いるので、金属製二重壁容器１の内表面の金属表面が酸
化等により劣化することがないとともに、空気断熱に比
べ熱伝導率が低くなるので、保温および保冷性が向上す
る。
内を排気しつつ外表面のほうろう層５を焼成したので、
空間部４の内部圧力が高くなることがないので、形状変
化や破損等がなく、美観に優れた金属製二重壁容器１を
得ることができる。また空間部４内は減圧状態となって
いるので、金属製二重壁容器１の内表面の金属表面が酸
化等により劣化することがないとともに、空気断熱に比
べ熱伝導率が低くなるので、保温および保冷性が向上す
る。
（実施例２） 次に第１図に示した金属製二重壁容器１をこの発明の
請求項２記載の製造方法に従って製造する方法を説明す
る。
請求項２記載の製造方法に従って製造する方法を説明す
る。
まず実施例１と全く同様にして、第２図に示したよう
な金属製二重壁容器11を作成する。次に外容器２の底部
に接続された排気パイプ８から空間部４内を排気したの
ち、排気パイプ８を圧切して封止する。空間部４内を排
気するには、一般に真空排気用として用いられる水流ポ
ンプや油回転ポンプ等を好適に使用することができる
が、排気した後の空間部４内の圧力を室温で少なくとも
200Torr以下とする。空間部４内の圧力は、たとえば水
流ポンプを用いれば20Torr、油回転ポンプを用いれば10
-10Torrとすることができるが、この排気工程時間を短
縮する目的で、空間部４の内部圧力が200Torrに達した
時点で直ちに封止しても良い。この工程で空間部４内の
圧力を室温で少なくとも200Torr以下とするのは、空間
部４が200Torr以下の金属製二重容器11に施釉し、ほう
ろう層５の焼成温度の800〜900℃にまで加熱したときに
空間部４の内部圧力が大気圧と等しい760Torrとなるか
らであって、このようにしておけば焼成中に容器形状の
変化を生じる恐れがないからである。第５図に加熱温度
（℃）の上昇に伴う空間部４の内部圧力（Torr）の変化
の様子を実線で示した。
な金属製二重壁容器11を作成する。次に外容器２の底部
に接続された排気パイプ８から空間部４内を排気したの
ち、排気パイプ８を圧切して封止する。空間部４内を排
気するには、一般に真空排気用として用いられる水流ポ
ンプや油回転ポンプ等を好適に使用することができる
が、排気した後の空間部４内の圧力を室温で少なくとも
200Torr以下とする。空間部４内の圧力は、たとえば水
流ポンプを用いれば20Torr、油回転ポンプを用いれば10
-10Torrとすることができるが、この排気工程時間を短
縮する目的で、空間部４の内部圧力が200Torrに達した
時点で直ちに封止しても良い。この工程で空間部４内の
圧力を室温で少なくとも200Torr以下とするのは、空間
部４が200Torr以下の金属製二重容器11に施釉し、ほう
ろう層５の焼成温度の800〜900℃にまで加熱したときに
空間部４の内部圧力が大気圧と等しい760Torrとなるか
らであって、このようにしておけば焼成中に容器形状の
変化を生じる恐れがないからである。第５図に加熱温度
（℃）の上昇に伴う空間部４の内部圧力（Torr）の変化
の様子を実線で示した。
上記工程により空間部４内が減圧状態となった金属製
二重壁容器11の外表面に第３図に示したようにスリップ
層Ｓを施釉したのち、800〜900℃で加熱してスリップ層
Ｓを焼成してほうろう層５を形成する。この後、排気パ
イプ８の封止部分を補強する目的で、実施例１と同様に
封止部材９を嵌合して、外観に膨れや破損等のない金属
製二重壁容器１を得る。
二重壁容器11の外表面に第３図に示したようにスリップ
層Ｓを施釉したのち、800〜900℃で加熱してスリップ層
Ｓを焼成してほうろう層５を形成する。この後、排気パ
イプ８の封止部分を補強する目的で、実施例１と同様に
封止部材９を嵌合して、外観に膨れや破損等のない金属
製二重壁容器１を得る。
なおこの実施例２では、金属製二重壁容器11の空間部
４内を排気した後に施軸してほうろう層５を焼成した
が、金属製二重壁容器11の外表面に施釉した後に空間部
４内を排気し、ほうろう層５を焼成しても良い。
４内を排気した後に施軸してほうろう層５を焼成した
が、金属製二重壁容器11の外表面に施釉した後に空間部
４内を排気し、ほうろう層５を焼成しても良い。
（実施例３） 第６図はこの発明の請求項２記載の金属製二重壁容器
の製造方法によって製造された金属製二重壁容器15を示
したもので、この金属製二重壁容器15が第１図に示した
金属製二重壁容器１と異なるところは、第１図の金属製
二重壁容器１では内外容器間の空間部４を真空排気する
ための開口部６を外容器２に設けて排気パイプ８より空
間部４を真空排気して減圧状態にしたのに対して、第６
図における金属製二重壁容器15は第７図に示す如く内外
容器間の空間部４に通じる開口部６を内容器３の口部と
外容器２の口部との結合部に設けたところである。
の製造方法によって製造された金属製二重壁容器15を示
したもので、この金属製二重壁容器15が第１図に示した
金属製二重壁容器１と異なるところは、第１図の金属製
二重壁容器１では内外容器間の空間部４を真空排気する
ための開口部６を外容器２に設けて排気パイプ８より空
間部４を真空排気して減圧状態にしたのに対して、第６
図における金属製二重壁容器15は第７図に示す如く内外
容器間の空間部４に通じる開口部６を内容器３の口部と
外容器２の口部との結合部に設けたところである。
この例の場合には、外容器２の上縁部2aと、内容器の
外側に折曲された上縁部3aとの間に開口部６を設けて、
該開口部６にろう材７を配して仮に内外容器を結合し、
これを真空加熱炉内にて真空加熱処理するものである。
即ち外容器２と内容器３との間に生じた空間部４の内部
圧力が室温で少なくとも200Torr以下になるようにしつ
つ、加熱炉を昇温し、上記ろう材７を溶融して外容器２
と内容器３とを溶着して空間部４内が減圧状態となった
金属製二重壁容器16を製造する。
外側に折曲された上縁部3aとの間に開口部６を設けて、
該開口部６にろう材７を配して仮に内外容器を結合し、
これを真空加熱炉内にて真空加熱処理するものである。
即ち外容器２と内容器３との間に生じた空間部４の内部
圧力が室温で少なくとも200Torr以下になるようにしつ
つ、加熱炉を昇温し、上記ろう材７を溶融して外容器２
と内容器３とを溶着して空間部４内が減圧状態となった
金属製二重壁容器16を製造する。
次にこの金属製二重容器16の表面全体に施釉し、800
〜900℃で加熱してほうろう層５を焼成する。空間部４
内は金属製二重壁容器16の製造時に減圧状態となってい
るので、ほうろう層５の焼成時に空間部４内の空気が膨
張して、金属製二重容器16の形状変化や破裂、金属製二
重壁容器16の内表面の金属の酸化を防止することができ
る。このようにして得られた金属製二重壁容器15は膨れ
や破裂等がなく、美観と保温および保冷性に優れたもの
である。
〜900℃で加熱してほうろう層５を焼成する。空間部４
内は金属製二重壁容器16の製造時に減圧状態となってい
るので、ほうろう層５の焼成時に空間部４内の空気が膨
張して、金属製二重容器16の形状変化や破裂、金属製二
重壁容器16の内表面の金属の酸化を防止することができ
る。このようにして得られた金属製二重壁容器15は膨れ
や破裂等がなく、美観と保温および保冷性に優れたもの
である。
そしてこの請求項２記載の製造方法によって製造され
た金属製二重壁容器15は、第１図の金属製二重壁容器１
の如き真空排気パイプ８を用いないので、突出部が形成
されず、容易に施釉できるばかりでなく、金属製二重壁
容器15の外表面全面にわたってほうろう層５を形成する
ことができる。
た金属製二重壁容器15は、第１図の金属製二重壁容器１
の如き真空排気パイプ８を用いないので、突出部が形成
されず、容易に施釉できるばかりでなく、金属製二重壁
容器15の外表面全面にわたってほうろう層５を形成する
ことができる。
またこの例では外容器２の上縁部2aで内容器３の上縁
部3aを保持するようにしたが、外表面にほうろう層が形
成された金属製二重壁容器15を形成する方法は、この実
施例に限られるものではなく、この他にも、たとえば第
８図に示したように、外容器２と内容器３とを一体成形
し、この底部に開口部６を設け、開口部６を金属製の封
止材17で封止したもの、第９図および第10図に示したよ
うに、平板状の台盤18上に容器形状の金属器19を載置し
たもの、第11図に示したように外容器２の胴部で内容器
３を保持したもの等を利用することができる。
部3aを保持するようにしたが、外表面にほうろう層が形
成された金属製二重壁容器15を形成する方法は、この実
施例に限られるものではなく、この他にも、たとえば第
８図に示したように、外容器２と内容器３とを一体成形
し、この底部に開口部６を設け、開口部６を金属製の封
止材17で封止したもの、第９図および第10図に示したよ
うに、平板状の台盤18上に容器形状の金属器19を載置し
たもの、第11図に示したように外容器２の胴部で内容器
３を保持したもの等を利用することができる。
［発明の効果］ 以上説明したように、この発明の請求項１記載の製造
方法は、金属製の内容器と外容器とを、各容器の間に形
成される空間部に通じる開口部を設けて一体化して金属
製二重壁容器を形成し、この容器の外表面に施釉し、上
記内容器と外容器との間に形成された空間部内を上記開
口部より排気しつつ焼成してほうろう層を形成するとと
もに、開口部を封止するものなので、ほうろう層の焼成
時に、空間部内が加圧状態とならないので、製造された
金属製二重壁容器には、形状の膨れや破損等がなく、美
観に優れたものとなる。
方法は、金属製の内容器と外容器とを、各容器の間に形
成される空間部に通じる開口部を設けて一体化して金属
製二重壁容器を形成し、この容器の外表面に施釉し、上
記内容器と外容器との間に形成された空間部内を上記開
口部より排気しつつ焼成してほうろう層を形成するとと
もに、開口部を封止するものなので、ほうろう層の焼成
時に、空間部内が加圧状態とならないので、製造された
金属製二重壁容器には、形状の膨れや破損等がなく、美
観に優れたものとなる。
また内容器および外容器の肉厚は熱処理に備えて特別
に厚くされる必要が無く、軽量かつ低コストである。
に厚くされる必要が無く、軽量かつ低コストである。
さらに空間部内が減圧状態となるので、保温および保
冷性の優れた金属製二重壁容器を製造することができる
とともに、金属製二重壁容器の内表面の金属が酸化等に
より劣化するのを防止することができる。
冷性の優れた金属製二重壁容器を製造することができる
とともに、金属製二重壁容器の内表面の金属が酸化等に
より劣化するのを防止することができる。
さらに請求項２記載の製造方法にあっては、金属製の
内容器と外容器とを一体化し、内容器と外容器との間に
形成された空間部内を排気して10-1Torr以下として封止
して金属製真空二重壁容器を形成し、この容器の外表面
に施釉したのち、焼成してほうろう層を形成するので、
金属製二重壁容器の全面にほうろう層を形成することが
できるばかりでなく、空間部内に釉薬が侵入することが
なく施釉が容易である。
内容器と外容器とを一体化し、内容器と外容器との間に
形成された空間部内を排気して10-1Torr以下として封止
して金属製真空二重壁容器を形成し、この容器の外表面
に施釉したのち、焼成してほうろう層を形成するので、
金属製二重壁容器の全面にほうろう層を形成することが
できるばかりでなく、空間部内に釉薬が侵入することが
なく施釉が容易である。
第１図はこの発明の製造方法に従って製造された金属製
二重壁容器の一実施例を示した概略断面図、第２図は第
１図に示した金属製二重壁容器を製造するのに用いられ
る金属製二重壁容器の概略断面図、第３図は第２図に示
した金属製二重壁容器に施釉したものの概略断面図、第
４図はほうろう層を焼成するために好適に使用される加
熱炉の一例を示した概略構成図、第５図は空間部の内部
圧力と温度との関係を示したグラフ、第６図はこの発明
の請求項２記載の製造方法に従って製造された金属製二
重壁容器の一実施例を示した概略断面図、第７図ないし
第11図はいずれも金属製二重壁容器を請求項２記載の製
造方法に従って製造する際に用いられる内容器と外容器
とを示した概略構成図である。 １、15……金属製二重壁容器、 ２……外容器、３……内容器、 ４……空間部、５……ほうろう層、 ６……開口部。
二重壁容器の一実施例を示した概略断面図、第２図は第
１図に示した金属製二重壁容器を製造するのに用いられ
る金属製二重壁容器の概略断面図、第３図は第２図に示
した金属製二重壁容器に施釉したものの概略断面図、第
４図はほうろう層を焼成するために好適に使用される加
熱炉の一例を示した概略構成図、第５図は空間部の内部
圧力と温度との関係を示したグラフ、第６図はこの発明
の請求項２記載の製造方法に従って製造された金属製二
重壁容器の一実施例を示した概略断面図、第７図ないし
第11図はいずれも金属製二重壁容器を請求項２記載の製
造方法に従って製造する際に用いられる内容器と外容器
とを示した概略構成図である。 １、15……金属製二重壁容器、 ２……外容器、３……内容器、 ４……空間部、５……ほうろう層、 ６……開口部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蒲地 秀史 東京都港区西新橋１丁目16番７号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 有賀 敬記 新潟県西蒲原郡吉田町大字下中野1435 株式会社日酸サーモ内 (56)参考文献 特開 昭62−132635（ＪＰ，Ａ) 実開 昭56−12034（ＪＰ，Ｕ)
Claims (2)
- 【請求項１】金属製の内容器と外容器とを、各容器の間
に形成される空間部に通じる開口部を設けて一体化して
金属製二重壁容器を形成し、この容器の外表面に施釉
し、上記内容器と外容器との間に形成された空間部内を
上記開口部より排気しつつ焼成してほうろう層を形成す
るとともに、開口部を封止することを特徴とする金属製
二重壁容器の製造方法 - 【請求項２】金属製の内容器と外容器とを一体化し、内
容器と外容器との間に形成された空間部内を排気して10
-1Torr以下として封止して金属製真空二重壁容器を形成
し、この容器の外表面に施釉したのち、焼成してほうろ
う層を形成することを特徴とする金属製二重壁容器の製
造方法
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63160307A JP2659402B2 (ja) | 1988-06-28 | 1988-06-28 | 金属製二重壁容器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63160307A JP2659402B2 (ja) | 1988-06-28 | 1988-06-28 | 金属製二重壁容器の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0211779A JPH0211779A (ja) | 1990-01-16 |
| JP2659402B2 true JP2659402B2 (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=15712128
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP63160307A Expired - Lifetime JP2659402B2 (ja) | 1988-06-28 | 1988-06-28 | 金属製二重壁容器の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2659402B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP7041826B1 (ja) | 2020-09-24 | 2022-03-25 | 浙江飛剣工貿有限公司 | 弧状底部チタンカップの製造工程 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113766993A (zh) * | 2020-01-03 | 2021-12-07 | 米伊尔控股有限责任公司 | 制造容器的方法和相关*** |
| CN115008126A (zh) * | 2022-04-23 | 2022-09-06 | 兰溪市锐兴工贸有限公司 | 一种搪瓷保暖杯的制造工艺 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5911081Y2 (ja) * | 1979-07-05 | 1984-04-05 | 武生特殊鋼材株式会社 | 琺瑯容器 |
| JPS62132635A (ja) * | 1985-12-04 | 1987-06-15 | Sanshin Kako Kk | 保温食器の製造方法 |
-
1988
- 1988-06-28 JP JP63160307A patent/JP2659402B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP7041826B1 (ja) | 2020-09-24 | 2022-03-25 | 浙江飛剣工貿有限公司 | 弧状底部チタンカップの製造工程 |
| JP2022053449A (ja) * | 2020-09-24 | 2022-04-05 | 浙江飛剣工貿有限公司 | 弧状底部チタンカップの製造工程 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0211779A (ja) | 1990-01-16 |
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