JP2658659B2 - 超音波プローブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡等にガイドされ
て、体腔等の内部に挿入されて、超音波検査を行うため
の超音波プローブに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】超音波プローブは、超音波信号の送受信
を行う超音波振動子を有し、この超音波振動子から超音
波パルスを体内に入射して、その反射エコー信号を受信
して超音波信号処理部に伝送し、この超音波信号処理部
で所定の信号処理を行って、モニタ装置に超音波画像を
可視化表示するようにしたものである。そして、近年に
おいては、内視鏡における鉗子その他の処置具を挿通さ
せるための処置具挿通チャンネル等のガイド手段を介し
て体腔内における所定の観察位置にまで導いて、体腔管
や体腔壁から体内組織に向けて超音波パルスを入射し、
その反射エコーを受信するように構成したものも開発さ
れている。

【０００３】この種の超音波検査装置としては、処置具
挿通チャンネル内に挿通可能な可撓性コードの先端に単
板の超音波振動子を装着することにより構成される。こ
こで、超音波振動子の走査方式としては、それを直線的
に移動させながら走査するリニア走査方式と、超音波振
動子を回転させながら走査を行うラジアル走査方式とが
ある。ラジアル走査方式の場合は当然として、リニア走
査方式による場合であっても、超音波振動子の向きを調
整するために、超音波振動子は適宜回転させることがで
きるように構成されている。従って、可撓性コードは、
滑りの良い部材からなる可撓性スリーブ内に回転伝達部
材として、例えば２重または３重の多重コイルばねを挿
通させたフレキシブルな構造のもので、多重コイルばね
の先端に超音波振動子を連結することにより、この多重
コイルばねを軸回りに回転させると、超音波振動子はこ
れに追従して回転することになる。さらに、この超音波
振動子に接続される信号ケーブルは多重コイルばね内に
挿通されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、超音波プロ
ーブは、前述したように細径で、しかもフレキシブルな
構造のものであることから、それを繰り返し用いると、
曲がり癖が付いてしまうことになる。特に、この超音波
プローブを処置具挿通チャンネルに挿通させて、超音波
振動子を装着した先端部を非突出状態にして、内視鏡の
挿入部を体内に挿入し、アングル部を繰り返し湾曲操作
すると、可撓性コードの先端部近傍に容易に曲がり癖が
付いてしまうことになる。また、超音波プローブを収納
する際には、それを螺旋状に巻回することによって、コ
ンパクトに収納するようにしているが、この収納時にお
いても、可撓性コードに曲がり癖が付くことにもなる。

【０００５】而して、このように曲がり癖の付いた、特
に超音波振動子と連結した先端部分に曲がり癖の付いた
超音波プローブを内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通
させて、その超音波振動子を所定長さ突出させたとき
に、真直ぐ延出させることができなくなる。特に、リニ
ア走査を行う場合には、この走査範囲以上の長さ分突出
させる必要があることから、曲がり癖が大きいと、超音
波振動子を所期の位置で走査させることができなくなる
といった問題点がある。

【０００６】本発明は以上のような従来技術の欠点や問
題点を解消するものであって、その目的とするところ
は、内視鏡の挿入部から超音波プローブを突出させたと
きに、必ずそれを真直ぐに延出させることができるよう
にした超音波プローブを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、可撓性スリーブ内に回転伝達部材を
挿通させた可撓性コードと、回転伝達部材の先端に装着
した超音波振動子とを有し、前記可撓性スリーブまたは
回転伝達部材の先端部近傍に、体温乃至それに近い温度
で真直ぐな状態に変態する形状記憶部材からなる直線化
部材を設ける構成としたことをその特徴とするものであ
る。

【０００８】

【作用】このように構成することによって、たとえ超音
波プローブにおける可撓性コードの先端部近傍の部位に
曲げ癖が付いていたとしても、それを内視鏡の挿入部か
ら所定長さ突出させて、この超音波プローブが体温また
はその近傍の温度となったときに、直線化部材により真
直ぐな状態となる。また、この直線化部材は可撓性コー
ドの先端部近傍位置にのみ設けられており、しかも挿入
部内に位置している状態では、この直線化部材は柔軟性
を持つことになり、従って挿入部の体腔内への挿入操作
時やアングル操作時等における抵抗が増大する不都合は
ない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図１において、１は超音波プローブ
を示し、この超音波プローブ１は軟性部材からなる可撓
性コード２の先端に先端硬質部３を装着し、この先端硬
質部３に単板振動子からなる超音波振動子４を装着して
なるものである。先端硬質部３は、可撓性コード２に対
して相対回転可能となっており、この先端硬質部３に装
着した超音波振動子４の送受信面4aは先端硬質部３の一
側に形成した開口に臨んでいる。そして、超音波振動子
４をラジアル方向に走査させることによって、この走査
範囲における体内組織の断層に関するラジアル超音波画
像を取得することができる構成となっている。

【００１０】超音波プローブ１は、図２に示したよう
に、内視鏡Ｓの鉗子チャンネルＣを介して挿通されるよ
うになっており、この鉗子チャンネルＣ内に挿通可能な
細径のものであって、このために、可撓性コード２はフ
ッ素樹脂等のように滑りの良い軟性チューブ材からなる
可撓性のスリーブ2a内に２重または３重からなる多重コ
イルばね2bを挿通したコントロールケーブルとなってい
る。従って、この可撓性コード２は、超音波振動子４を
装着した先端硬質部３を遠隔操作によって回転動作させ
る機能を有する。また、この可撓性コード２の多重コイ
ルばね2b内には、同軸ケーブルからなる超音波信号の送
受信線５が挿通されている。さらに、多重コイルばね2b
の先端部分は先端硬質部３に固定され、この多重コイル
ばね2bにより超音波振動子４の回転操作の推力の伝達を
行わせる構成となっている。なお、この超音波振動子４
の回転時には、送受信線５も多重コイルばね2bと一体的
に回転せしめられる。

【００１１】超音波プローブ１の基端部には、超音波振
動子４をラジアル走査させるためのモータ及び回転位置
検出用のエンコーダを備えた操作ユニット６への接続部
７が設けられている。この接続部７は多重コイルばね2b
の基端部が連結された連結筒体８を有し、この連結筒体
８内には電極ピン９が設けられ、この電極ピン９及び連
結筒体８によって送受信線５を操作ユニット６に接続す
る電気コネクタとしての機能が発揮される。また、スリ
ーブ2aの基端側の部分には、比較的剛性の部材からなる
外套管2cが嵌合されており、この外套管2cは操作ユニッ
ト６に設けた係合部10にスライド変位可能に係合され
て、この係合部10への係合位置からループを描くように
して連結筒体８により操作ユニット６に着脱可能に接続
されている。この超音波プローブ１は、リニア走査を行
うためのものであって、このために、操作ユニット６に
は、指掛け部11ａを有する操作杆11が押し引き操作可能
に装着されており、この操作杆11の指掛け部11ａを手指
で押し引き操作すると、超音波プローブ１は図２に矢印
で示した方向に変位するようになっている。また、連結
筒体10には手指で回動操作することができる回動操作部
12が装着されており、この回動操作部12を適宜回動させ
ることによって、超音波振動子４の回転方向の位置を調
整することができるようになっている。

【００１２】ここで、図３に示したように、内視鏡Ｓの
挿入部Ｉはアングル操作を行うことによって、その先端
部分がかなり大きな角度で湾曲されるが、このようにア
ングル操作を行った状態で超音波プローブ１を挿通する
と、超音波プローブ１の先端部分に曲がり癖が付くこと
になる。また、この超音波プローブ１を使用しない時に
あっては、螺旋状に巻回して収納することになるが、こ
の場合にも超音波プローブ１に曲がり癖を生じさせるこ
とになる。このように、超音波プローブ１の先端部分に
曲がり癖が付いていると、同図に仮想線で示したよう
に、挿入部Ｉから出て、自由になった部分が曲がってし
まい、所期の方向，位置に超音波振動子４を導出できな
くなり、しかも直線方向に走査させることもできなくな
る。そこで、超音波プローブ１における内視鏡Ｓの挿入
部Ｉから突出した部分に直進性を持たせるために、可撓
性コード２を構成するスリーブ2aにおける先端部から挿
入部Ｉ内に僅かに入り込んだ位置までの部位には、図４
及び図５からも明らかなように、ロッド状の形状記憶合
金からなる直線化部材13が複数本（例えば６本）埋設さ
れている。この直線化部材13は体温より僅かに低い温
度、例えば３５℃の温度状態で予め記憶されている真直
ぐな状態に変態し、それ以下の温度では任意の方向に曲
げられる軟性となる性質を持っている。

【００１３】而して、この超音波プローブ１をその直線
化部材13の変態温度以下に保持しておくことによって、
超音波プローブ１を内視鏡Ｓ内に挿入する際には、この
直線化部材13は軟性状態となり、挿入経路に沿って曲げ
られている挿入部Ｉの処置具挿通チャンネルＣ内に挿通
させるのに格別支障を来すことはない。また、超音波プ
ローブ１を挿通させた状態でアングル操作する際にも、
この直線化部材13によりアングル操作に対して大きな抵
抗となることはない。従って、変態温度以下に保たれて
いる限りは、曲がった状態にある挿入部Ｉの処置具挿通
チャンネルＣ内に超音波プローブ１を挿入する操作も、
また超音波プローブ１を処置具挿通チャンネルＣ内に挿
通した状態で、アングル操作等のような挿入部Ｉの操作
の操作性が損なわれることはない。

【００１４】そこで、超音波プローブ１を挿入部Ｉの先
端から所定長さ突出させて、回動操作部12を操作するこ
とによって、超音波振動子４の方向性を調整して、この
超音波振動子４を走査原点位置に配置する。そこで、操
作ユニット６における操作杆11の指掛け部11ａを操作し
て、この操作杆11を押し引きすると、超音波プローブ１
がその軸線方向に変位することになり、この間に超音波
振動子４から所定の距離間隔毎に体内に向けて超音波パ
ルスを入射すると、体内組織の断層部分から反射エコー
が受信される。そして、この反射エコー信号を超音波振
動子４により受信して、この超音波受信信号を送受信線
５を介して超音波観測装置Ｔの超音波信号処理部Ｐに伝
送し、この超音波信号処理部Ｐで所定の信号処理を行う
ことによって、モニタ装置Ｍに超音波画像として可視化
表示される。

【００１５】而して、前述したように超音波プローブ１
を円滑に、しかも確実に目的とする位置及び方向に沿う
ようにリニア走査するに当っては、この超音波プローブ
１における挿入部Ｉからの突出部分が真直ぐに延出され
ているのが好ましい。ここで、超音波プローブ１におけ
る可撓性コード２の先端部分には、そのスリーブ2aに形
状記憶合金からなる直線化部材13が埋設されており、し
かもこの直線化部材13は３５℃で直線状態に変態するこ
とになるから、この部位を挿入部Ｉの先端から導出され
ると、体温により、また体腔内を照明する照明光の熱に
より迅速かつ確実に直線状態となる。この結果、たとえ
繰り返し用いられて、曲がり癖が付いていたとしても、
超音波プローブ１のうち、この直線化部材13が埋設され
ている挿入部Ｉからの突出部分が直線状態となって、超
音波プローブ１を確実に所定の位置に配置することがで
き、かつその走査を行わせたときに、確実に直線方向に
変位させることができる。しかも、この直線化部材13
は、リニア走査を行うに当って、最も突出した位置にあ
るときに、挿入部Ｉの先端部内に僅かに入り込んだ位置
となる長さを持た、アングル部内では可撓性を保持して
いるので、超音波プローブ１を突出させた状態でアング
ル部を湾曲操作することも可能であり、これによって、
超音波振動子４による走査位置を微調整することもでき
る。

【００１６】なお、前述した実施例においては、可撓性
コードのスリーブ2a内に形状記憶合金からなる直線化部
材13を埋設するように構成したが、多重コイルばね2bの
先端部分を形状記憶合金で形成してもよく、またスリー
ブ2aの先端部分を形状記憶樹脂により形成してもよい。
また、形状記憶合金の変態温度としては、体温乃至それ
に近い温度で変態するようになっておればよく、前述し
た３５℃に限定されるものではない。さらに、超音波プ
ローブの走査方式としては、リニア走査方式に限らず、
ラジアル走査を行うようにした超音波プローブであって
も、内視鏡の挿入部から突出させたときに、超音波振動
子を走査すべき位置に配置するために、また走査時にお
ける可撓性コードの振れ防止のために、この突出部分を
直線化させるようにするのが好ましい。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、可撓性
コードの先端部近傍に、体温乃至それに近い温度以下で
は柔軟性を有し、この温度で真直ぐな状態に変態する形
状記憶部材からなる直線化部材を設ける構成としたの
で、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されるときに
は、この直線化部材は柔軟な状態に保持されて、この処
置具挿通チャンネルへの挿入操作や、超音波プローブを
挿入した状態でのアングル操作に支障を来すことがな
く、また超音波プローブを挿入部から突出させたときに
は、たとえこの超音波プローブの先端部分に曲がり癖が
付いていたとしても、確実に真直ぐな状態に矯正され
て、超音波振動子を正確に位置決めすることができ、か
つ所定の方向に走査させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す超音波プローブの
断面図である。

【図２】超音波検査システムの全体構成図である。

【図３】超音波プローブの作動説明図である。

【図４】超音波プローブの先端部分の拡大断面図であ
る。

【図５】図４のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１ 超音波プローブ ２ 可撓性コード 2a スリーブ 2b 多重コイルばね ４ 超音波振動子 ６ 操作ユニット ７ 接続部 13 直線化部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 可撓性スリーブ内に回転伝達部材を挿通
   させた可撓性コードと、回転伝達部材の先端に装着した
   超音波振動子とを有し、前記可撓性コードの先端部近傍
   に、体温乃至それに近い温度以下では柔軟性を有し、こ
   の温度で真直ぐな状態に変態する形状記憶部材からなる
   直線化部材を設ける構成としたことを特徴とする超音波
   プローブ。