JP2656936B2 - 工具アダプタ着脱固定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の背景］ （技術分野） 本発明は、一般的には工具クランプ装置に関し、とく
には回転工具アダプタを工具クランプブロックに迅速か
つ確実にクランプするための改良装置に関する。

（従来技術の説明） 工作機械工業において、とくに自動化機械において
は、単一加工部品に特殊機械加工を実施するために種々
の工作機械を使用することが必要になる。加工工具の頻
繁な交換は加工作業の手待ち時間をかなり増大し、した
がって生産時間の損失を招く結果となる。

工具クランプブロックまたはスピンドル内での工具ホ
ルダの交換は通常手作業で行われ、時間がかかり、面倒
であり、かつやや不正確であるので、交換後にある程度
の調整が必要となる。もし交換作業を自動的または半自
動的にするためには、工具ホルダ機構には機械的強度が
必要なので、とくに工具ホルダの取外しのことも考慮し
て通常は油圧の原理に基づく複雑かつ強力な交換機構を
必要とすることになる。

従来技術において、工具アダプタをクランプブロック
に装着することを目的とした種々の型の工具クランプ装
置が開発されてきた。しかしながらこれらの装置は工具
交換による工作機械の手待ち時間を著しく減少するほど
効果的ではなく、さらに構造が複雑で製作費が高い。

したがって、複雑な装置に依存せず、手動制御にも高
精能な自動化工具方式にも使用可能な迅速着脱装置を有
することが好ましい。

［発明の概要］ 工具ホルダシャンク上に直接的な軸方向引張りを提供
し、取扱いが容易であり、構造が簡単でかつ比較的安価
な工具ホルダ用の新規で改良型のクランプ手段を提供す
ることが本発明の目的である。

最小の力でかつ最小の固定および解放の機構運動で作
業が可能な簡易化クランプ装置を提供することが本発明
の他の目的である。

この目的のために、中に回転工具アダプタを受入れる
ように設計された通常の工具クランプブロックの孔内に
配置されたクランプ装置が提供４される。

クランプ装置は、円筒形部材の周囲に偏心溝またはら
せん溝を形成した円筒形部材を含む。クランプ装置は、
通常のクランプブロック内に設けられた円筒形孔（第１
の孔）内に装着される。円筒形孔は、中に回転工具アダ
プタを受入れるように設計された空洞（第２の孔）に隣
接しかつそれに全体的に垂直である。

本発明により工具アダプタを工具クランプブロック内
に装着するために、クランプ装置は工具ブロックの円筒
形孔内に挿入され、出発位置すなわち装填位置にセット
される。次に工具アダプタは、工具アダプタの挿入端部
として固定された保持ノブが円筒形部材の偏心溝にはい
り込みそれと係合する点まで工具ブロックの空洞内に挿
入される。次に円筒形部材は工具ブロックの円筒形孔内
で回転されて保持ノブを工具アダプタと共にその軸方向
すなわちクランプ装置の中心方向内方へ移動し、これに
より工具アダプタを工具クランプブロックの空洞内にく
さび状に装着する。

切削工具アダプタの交換が必要なときは、クランプ装
置は逆方向に出発位置まで回転されて工具アダプタをそ
の軸方向反対方向に移動させる。次に工具アダプタは手
動または自動にてクランプブロックから取外され、交換
アダプタが工具クランプブロック内に挿入され、固定手
順が再び繰返される。

（実施例の説明） 以下に本発明の実施例を図により詳細に説明する。本
発明は、当業者であれば本発明の精神と範囲内で修正お
よび変更が可能であることは理解すべきである。

まず第１図には、第１の孔の中に回転工具アダプタ16
を受入れるように設計された工具クランプブロック14の
第２の孔12内に配置されたクランプ装置10の好ましい実
施例が示されている。

クランプ装置10は、軸20と外面22とを有する全体に円
筒形の部材18を含む。クランプ装置10の表面22内に、工
具アダプタ16を受入れるのに十分な深さと高さとを有す
る偏心溝24が設けられる。

偏心溝24の詳細は、とくに円筒形部材18の縦断面図で
ある第２図内に示されている。図示のように、偏心溝24
は、内壁26と、一対の対向側壁28と、一対の対向肩部30
と、および一対の対向外リング32と、を含む。前記肩部
30の各々は、頂面34と、頂面34から外リング32へ伸長す
る基本的に垂直な壁と、前記頂面34から前記側壁28へ下
方且つ外方へ伸長するテーパ壁38と、を含む。内壁26の
反対側で内壁と同一広がりを有する溝24への開口40は、
外面22内に設けられる。テーパ壁38の角αは工具アダプ
タ16上に使用される特定の保持ノブ36に応じて約０゜か
ら90゜まで変化可能である。円筒形部材18を貫通して伸
長する潤滑導管39を受入れるために、円筒形部材18の一
端に継手が設けられる。

再び第１図を参照すると、保持ノブ36は通常型であ
り、工具アダプタ16の一端にねじ込まれる。保持ノブ36
は、肩部42と、首部44と、円錐形把握面46と、および先
端48と、を含む。円錐形把握面46は、首部44から先端48
へ下方且つ外方へ、偏心溝24のテーパ壁38の角αに対応
する角αの範囲のテーパを有する。角αは、約０゜ない
し約90゜の範囲でよく、約10゜ないし45゜が好ましい。
円錐面46と偏心溝24のテーパ壁38との角係合は、工具ア
ダプタを工具クランプブロック14内に引込んで装着する
ためのへクランプ装置10と工具アダプタ16との間の面接
触を提供する。

点線で示すように、保持ノブ36を中に挿入した状態の
溝24を描いたクランプ装置10の断面図である第３図に偏
心溝24のカム係合の詳細が示される。図示のように、溝
24はクランプ装置10の周囲で、装填領域50とカムまたは
らせん領域52との２つの分離領域内に構成される。装填
領域50は、クランプ装置10の外面22の「１」の点から、
らせん領域52の出発点「３」まで伸長する。装填領域50
は本質的な平坦領域51を含みかつ保持ノブがクランプ装
置10と結合するための手段を提供する。工具アダプタ16
を工具クランプブロック14内に挿入するときに、偏心溝
24内に保持ノブ36を挿入しやすいように、装填領域50が
工具アダプタ16の軸方向にほぼ垂直とさるようにクラン
プ装置10は孔12内に配置される。

溝24のらせん領域52はクランプ装置10の軸20のまわり
の円弧内に伸長する。領域52の円弧角θは、約30゜ない
し360゜、好ましくは30゜ないし180゜の範囲に伸長す
る。選択される真の角は、クランプ装置10の回転角あた
りの工具アダプタ16の工具ブロック内への軸方向所要前
進量により異なる。工具アダプタ16の工具クランプブロ
ック14内への選択軸方向前進率が工具アダプタのハード
固定またはソフト固定のいずれかを形成し、これにより
工具アダプタの保持力と緩み抵抗との両方を制御する。

好ましい実施例においては、らせん領域52は一定比率
ですなわち固定らせんにより、半径方向すなわちクラン
プ装置10の軸20に向かって前進する。たとえば、もし選
択された軸方向前進量が回転角１゜につき0.0005″なら
ば、クランプ装置10を180゜回転すると、アダプタの合
計前進量は0.09″となる。前進率は一般に、回転角１゜
につき約0.0001″ないし0.005″に選択される。

代替実施例においては、らせん領域52は可変らせん角
を形成するような方法で周囲に伸長する。これは、円筒
形部材18の直径より小さい直径を有するが部材18の直径
に一点で接する円の円周に追従することにより達成され
る。したがって、それぞれの中心線すなわち軸は一定量
だけずれている。この実施例におけるらせん領域52は、
より小さい直径の円の周囲のまわりを前進する。しかし
ながら、工具アダプタ16が工具クランプブロック14の内
部に引込まれるときの最大円弧角は、この実施例では18
0゜に制限される。

再び第３図を参照すると、保持ノブ36は溝24内に引込
まれたところが示されている。図示のように、保持ノブ
36の円錐形把握面46は溝24のテーパ壁38と連結する。外
リング32は、クランプ装置10が回転されて保持ノブ36が
装置10の中心方向に引込まれるときに保持ノブの肩部42
のための必要間隙を与える。溝24の対向側壁28は、保持
ノブ36の先端48と偏心溝24の内壁26との間の間隙を形成
するように十分な深さがなければならない。

再び第１図を参照すると、クランプ装置10を工具クラ
ンプ14の孔12内でシールするためのＯリングを収容する
ために、円筒形部材18の周囲に頂部溝および下部溝54が
設けられる。ブロック14内に配置されたばね負荷セット
ねじ（図示なし）と係合するための第３の溝56が円筒形
部材内に設けられる。装填領域50が工具アダプタ16の軸
にほぼ垂直となるようにセットねじと係合してクランプ
装置10を位置決めするために、溝56内に孔58を配置する
のが有利である。溝56、孔58およびセットねじを設ける
ことにより、装置10は装填位置すなわち出発位置にのみ
保持されよう。

第４図は手動または自動のいずれかでクランプ装置10
を回転するためのいくつかの代替手段を示したクランプ
装置10の平面図である。具体的には、たとえばスパナレ
ンチのようなピン駆動部材を受入れるために、円筒形部
材18の周囲に空洞60を設けてもよい。その代替法とし
て、適当な駆動部材を使用して回転できるように円筒形
部材18の頂部内で軸方向に、ボルトヘッド62または凹部
を設けてもよい。

クランプ装置10の作動は、それぞれ解放位置と固定位
置とにある装置を示す第１図および第３図を見ればよく
理解されよう。まず第１図を参照すると、工具クランプ
ブロック14内の孔12内で解放位置にあるクランプ装置10
が示されている。クランプ装置10は、偏心溝24の装填領
域50が工具ブロック14内に配置されたテーパ工具アダプ
タ16の保持ノブ36にほぼ垂直となるように配置される。

工具アダプタ16を工具ブロック14内に装着するため
に、アダプタ16がブロック14内の空洞内に挿入され、保
持ノブ36は偏心溝24の装填領域50にはいり込む。クラン
プ装置10の回転手段60内に適当な工具（図示なし）が挿
入され、装置10にトルクが負荷される。装置10を時計方
向に回転すると、保持ノブはらせん領域52内にはいり、
これにより保持ノブ36は連続的に装置10の中心方向に引
込まれて、アダプタ16はその軸方向に工具クランプブロ
ック14の空洞内へ移動する。装置10が回転されると工具
アダプタ16はブロック14内に連続的に引込まれ、その結
果アダプタは工具クランプブロック14の空洞内にくさび
状に係合する。

溝24の内壁26と保持ノブ36の先端48との間に間隙が保
持されることに注目することが重要である。さらに、保
持ノブの首部44と溝24の肩部30の対向頂面34との間に間
隙が保持される。組立状態すなわち固定状態において
は、保持ノブ36の円錐形把握面46は溝24のテーパ壁38と
係合する。

最後に、工具アダプタの取外しは、クランプ装置10を
反対方向に回転して、工具アダプタ16に対しクランプ装
置の中心から離れる方向の軸方向運動を与えることによ
り行われる。保持ノブ36が装填領域50に再びはいり込ん
だときに、先端48は平坦領域51と係合し、平坦領域は工
具アダプタ16に対しその軸方向にわずかな運動を与え
る。少し「叩く」ことにより、工具アダプタ16の外面は
本質的に空洞の内面から解放され、これによりアダプタ
の工具クランプブロック14からの取外しが容易に行なえ
る。

ここでは本発明の好ましい実施例と思われるものにつ
いて説明したけれども、広い意味の本発明は記載の実施
例に限定されず、したがって本発明の原理から逸脱する
ことなくまたその主要な利点を犠牲にすることなく添付
の特許請求の範囲の中での逸脱は可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の好ましい実施例を使用したところの
斜視図で、回転工具アダプタを受入れるように設計され
た通常の工具クランプブロック内に組込まれたクランプ
装置を示す。 第２図は第１図のクランプ装置の線II−IIによる断面
図； 第３図は第１図のクランプ装置の線III−IIIによる断面
図；および 第４図は第１図のクランプ装置の平面図である。 10……クランプ装置、12……第１の孔 14……工具クランプブロック 16……工具アダプタ、18……円筒形部材 20……軸、24……偏心溝（らせん溝） 26〜38……係合手段、36……保持ノブ 50……装填領域、51……平坦領域 52……らせん領域、60、62……回転手段

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工具クランプブロックと、円筒形部材と、
   該円筒形部材を回転する手段とを有し、工具クランプブ
   ロックは、円筒形部材を受け入れる第１の孔と、挿入端
   部を有する工具アダプタを取付け位置に受け入れる第２
   の孔とを有し、円筒形部材は、全体が円筒形で前記挿入
   端部と係合する偏心溝を軸のまわりに有し、前記工具ア
   ダプタが取付け位置にあるときに前記工具アダプタの挿
   入端部は前記円筒形部材の方に向くようになっている工
   具アダプタ着脱固定装置において、 前記偏心溝が、前記円筒形部材の周囲に形成され、前記
   工具アダプタの挿入端部を掴むように対向した肩部を有
   し、前記円筒形部材の外表面に前記偏心溝の開口が設け
   られ、前記挿入端部が前記偏心溝に入ることができるよ
   うに装填領域が前記開口に設けられていることを特徴と
   する工具アダプタ着脱固定装置。
2. 【請求項２】円筒形部材が第１の孔に回転可能に受け入
   れられ、該第１の孔が第２の孔に対し隣接し且つ直交し
   ていることを特徴とする請求項１記載の工具アダプタ着
   脱固定装置。
3. 【請求項３】偏心溝が装填領域とらせん領域を含む２つ
   の領域からなることを特徴とする請求項１または２記載
   の工具アダプタ着脱固定装置。
4. 【請求項４】らせん領域が30度〜360度の円弧角を含
   み、該円弧角にわたり偏心溝が円筒形部材の軸に向かっ
   て半径方向に前進することを特徴とする請求項１〜３の
   いずれかに記載の工具アダプタ着脱固定装置。
5. 【請求項５】工具アダプタの挿入端部が保持ノブに形成
   され、該保持ノブを受け入れる平坦領域を装填領域が有
   することを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の
   工具アダプタ着脱固定装置。
6. 【請求項６】偏心溝が一定の割合で円筒形部材の軸に向
   かって半径方向に前進することを特徴とする請求項１〜
   ５のいずれかに記載の工具アダプタ着脱固定装置。
7. 【請求項７】らせん領域の円弧角が30度〜260度である
   ことを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の工具
   アダプタ着脱固定装置。
8. 【請求項８】大体円筒形になっていて、軸のまわりに偏
   心溝を有する円筒形部材であって、該円筒形部材は、工
   具アダプタを取付け位置に受け入れる第２の孔を有する
   工具クランプブロックの第１の孔に取り付けられるよう
   になっていて、工具アダプタの取付け位置で円筒形部材
   の方に向けられる工具アダプタの挿入端部と前記偏心溝
   とが協働し、さらに円筒形部材を工具クランプブロック
   内で回転させる手段を有し、さらに、前記偏心溝が前記
   円筒形部材の周囲に形成され、前記工具アダプタの挿入
   端部を掴むように対向した肩部を有し、前記円筒形部材
   の外表面に前記偏心溝の開口が設けられ、前記挿入端部
   が前記偏心溝に入ることができるように装填領域が前記
   開口に設けられていることを特徴とする円筒形部材。
9. 【請求項９】偏心溝が装填領域とらせん領域を含む２つ
   の領域からなることを特徴とする請求項８記載の円筒形
   部材。
10. 【請求項１０】偏心溝が一定の割合で円筒形部材の軸に
    向かって半径方向に前進することを特徴とする請求項８
    または９記載の円筒形部材。