JP2656389B2 - 磁気記録再生装置における可動ヘッドの位置制御装置 - Google Patents

磁気記録再生装置における可動ヘッドの位置制御装置

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JP2656389B2
JP2656389B2 JP3017443A JP1744391A JP2656389B2 JP 2656389 B2 JP2656389 B2 JP 2656389B2 JP 3017443 A JP3017443 A JP 3017443A JP 1744391 A JP1744391 A JP 1744391A JP 2656389 B2 JP2656389 B2 JP 2656389B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビデオテープレコー
ダ、ディジタルオーディオテープレコーダなどのよう
に、回転ドラム内に可動ヘッドを備えた磁気記録再生装
置に関し、詳しくは可動ヘッドの位置制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のヘッド構造 図27は従来の磁気記録再生装置の主要部を示す断面
図、図28は台座を取り除いた図27の28−28線矢
視図である。
【0003】図において、(1)は固定ドラム、(2)
はこの固定ドラムに取り付けられた軸受、(3)はこの
軸受(2)に支承されて回転する回転軸、(4)はこの
回転軸(3)の一端に嵌着された台座、(5)はこの台
座(4)にネジ(6)を用いて取り付けられた回転ドラ
ム、(7)は回転ドラム(5)にネジ(8)を用いて取
り付けられたアクチュエータ、(9)は固定ドラム
(1)に取り付けられた下トランス、(10)は台座
(4)に取付けられた上トランス、(11)は回転ドラ
ム(5)に取付けられた配線板、(12)はアクチュエ
ータ(7)に制御電流を供給するための回転しない接触
子、(13)は接触子(12)と摺接するように台座
(4)の一部に設けた回転する電極、(14)は接続部
で、この電極(13)から接続部(15)及び配線板
(11)を経由してアクチュエータ(7)に電気接続す
る、(16)はアクチュエータ(7)に取り付けられて
いる磁気ヘッド(以下、「可動ヘッド」という)であ
り、接続部(17)、配線板(11)、接続部(15)
を経てアクチュエータ制御部に電気的に接続されてい
る。(18)はアクチュエータ(7)を収納するため回
転ドラム(5)の一部に設けた凹所であり、可動ヘッド
(16)の位置調整ができるようにアクチュエータ
(7)より大きく形成されている。(19)は可動ヘッ
ド(16)の位置調整のための複数の位置調整用孔、
(20)は磁気テープで、固定ドラム(1)及び回転ド
ラム(5)の外周面に巻きつけられて走行し、可動ヘッ
ド(16)と摺接する。
【0004】図29はアクチュエータ(7)の平面図、
図30は図29の30−30線矢視断面図、図31は図
29の31−31矢視側面図で、(21)は磁性材料か
らなる第1ヨーク、(22)は第1ヨーク(21)に固
着された柱状の第1永久磁石、(23)は内周の一部に
凸形状部(23b)を有していて第1ヨーク(21)に
取付けられた磁性材料からなる第2ヨーク、(24)は
第2ヨーク(23)に取付けられた磁性材料からなる第
3ヨーク、(25)は第1永久磁石(22)と同一の磁
極を対向させて第3ヨーク(24)に固着された柱状の
第2永久磁石、(26)は第2永久磁石(25)と第1
永久磁石(22)の間にあって、いずれか一方に固着さ
れた磁性材料からなるポールピース、(27)は薄板の
非磁性材料からなる板バネであって、第1ヨーク(2
1)と第2ヨーク(23)で周縁が挟持されて保持され
るとともに、その延在部(27a)が第1ヨーク(2
1)及び第2ヨーク(23)に設けられている窓(21
a)、(23a)を通って外方に突出しており、その先
端に可動ヘッド(16)が取付けられている。(28)
は薄板の非磁性材料からなる板バネで、第2ヨーク(2
3)と第3ヨーク(24)で挟持されて保持されてい
る。(29)は板バネ(27)、(28)にそれぞれ保
持されている固定部材、(30)はボビンで、内周が第
1永久磁石(22)、第2永久磁石(25)及びポール
ピース(26)の外周との間にギャップを有する位置に
おいて固定部材(29)に接着剤(32)を用いて固着
されている。(31)はこのボビン(30)に巻回され
た被覆材を有する電線からなるコイルで、第2ヨーク
(23)の凸形状部(23b)との間で形成されている
環状のギャップ(G)内に保持されている。
【0005】図32は、回転ドラム(5)に搭載されて
いる磁気ヘッドを、現行VHSフォーマットに基づいた
磁気テープ装置の場合についてみたもので、可動ヘッド
(16)は、特殊再生モード(記録されている映像情報
を早送りしたり、スロー再生したりするモード)専用の
一対の磁気ヘッドとして用いられる。(35)はビデオ
テープに長時間の映像情報を録画するため、狭いトラッ
ク幅の長時間モード用の一対のEPヘッド、(36)
は、通常の映像情報を録再用のトラック幅の広い一対の
SPビデオヘッド、(37)はオーディオ情報を録再す
るための一対のオーディオヘッド、(38)は、つなぎ
録りの時に記録トラックを1本づつ消去するためのFE
ヘッドである。
【0006】従来の制御系 図33は従来の制御系のブロック回路図、図34はこの
従来例の磁界発生装置の配設位置を示す斜視図である。
図において、(40)は可動ヘッド(16)に周波数の
異なる2つの磁界Bf1,Bf2をあたえる交流磁界発生装
置であって、この交流磁界発生装置(40)は磁気テー
プ(20)が巻き付けられていない側の回転ドラム
(5)と固定ドラム(1)の外周面に沿う位置に配設さ
れており、その位置は調整可能に構成されている。この
交流磁界発生装置(39)は回転ドラム(5)の軸方向
に2つの交流磁界発生コイル(45),(45a)が回
転軸方向に配列されており、それぞれ異なった周波数f
1 ,f2 の磁界Bf1,Bf2を発生するように構成されて
いる。(42)はf1 の成分を通過させるバンドパスフ
ィルタ、(43)はf2 の成分を通過させるバンドパス
フィルタ、(44)は差動アンプである。
【0007】図35は第2の従来例のブロック回路図で
あって(46)はコイル(45)に電流を供給するドラ
イバ、(47)は交流電圧を発生するための発振回路で
ある。(48),(49)は回転ドラム内の磁気ヘッド
との信号を受けわたしするためのロータリートランス、
(50),(51)はオーディオヘッド及びビデオヘッ
ドからの信号を増幅したり、記録電流を供給するための
録再アンプ、(52)は回転ドラム(5)内に固定され
たヘッドであるオーディオヘッド(37)から再生され
る発振コイル(45)からの電磁誘導による信号のみを
通過させるバンドパスフィルタ、(53)は可動ヘッド
(16)から再生される発振コイル(45)からの電磁
誘導による信号のみを通過させるバンドパスフィルタ、
(54)は回転ドラム(5)の1回転おきに再生される
オーディオヘッド(37)からの発振コイル(45)の
電磁誘導出力の増幅値を、ホールドするためのサンプル
ホールド回路、(55)は回転ドラム(5)の1回転お
きに再生される可動ヘッド(16)からの発振コイル
(45)の電磁誘導出力の増幅値をホールドするための
サンプルホールド回路、(56)は、サンプルホールド
回路(54),(55)の差を取るための差動アンプ、
(57)は位置固定制御ループにおける安定性を確保す
るためのローパスフィルタ等で構成されるサーボ補償回
路、(58)はアクチュエータ(7)に駆動電流を供給
するためのドライバである。
【0008】図36は、交流磁界発生コイル(45)の
断面図で、(45C)はコイル磁束を集中させるため磁
心、(45U)は交流電流を流し磁心(45C)に交流
磁束を発生させるためのコイル、(45L)はコイル
(45U)と磁界の発生の向きが逆になっているコイ
ル、(45b)はコイル(45U)及び(45L)を収
納するためのコイルホルダ、(100)は交流磁界発生
コイル(45)を固定するための取付け部材である。図
37は交流磁界発生コイル(45)の発生磁束方向を図
示したものである。
【0009】図38は、第3の従来例のブロック回路図
で、各々のヘッドの感度バラツキ等の影響を受けないよ
うに構成した2つの交流磁界発生コイル(45),(4
5a)を回転ドラム(5)の周方向に配設したもので、
(59)は第1の割算器で2つの交流磁束発生コイルか
らの固定ヘッド再生出力振幅の比を求めるためのもの、
(60)は第2の割算器で、2つの交流磁界発生コイル
(45),(45a)からの可動ヘッド(16)の再生
出力振幅の比を求めるためのものである。
【0010】アクチュエータによる磁気ヘッドの高さ調
次に、磁気ヘッドアクチュエータ(7)の動作を説明す
る。
【0011】第1永久磁石(22)はポールピース(2
6)、第2ヨーク(23)及び第1ヨーク(21)で作
る閉磁路により磁束Dを発生する。
【0012】同様に、第2永久磁石(25)はポールピ
ース(26)、第2ヨーク(23)及び第3ヨーク(2
4)で作る閉磁路により上記磁束Dと逆向きの磁束Eを
発生する。
【0013】このように発生された磁束D及び磁束Eは
ともに環状ギャップGを同一の方向に横切り、コイル
(31)に第1永久磁石(22)と第2永久磁石(2
5)の合計した磁束が横切る。
【0014】この状態で、コイル(31)に接触子(1
2)から電極(13)、接続部(15),(14)を経
て電流を流すと、コイル(31)とボビン(30)と可
動ヘッド(16)は一体となって上下方向軸方向に移動
する。
【0015】これにより、可動ヘッド(16)は磁気テ
ープ(20)の幅方向に変位し、磁気記録跡を精度よく
トレースできる。
【0016】図39は磁気ヘッドアクチュエータ(7)
の駆動電流と可動ヘッド(16)の変位量の間のヒステ
リシス特性を示し、図40はこのようなヒステリシス特
性を有する磁気ヘッドアクチュエータ(7)を用いて記
録した時の磁気テープ(20)上の記録トラックパター
ンを示している。
【0017】図39、図40から明らかなように、初期
段階で磁気ヘッドアクチュエータ(7)を調整しただけ
の場合は、図39のようなヒステリシス特性により、可
動ヘッド(16)の基準位置が変化し、記録トラックT
がαだけ重なり合う。
【0018】可動ヘッド(16)は、交流磁界発生装置
(40)の近傍を通過するたびに交流磁界発生コイル
(45),(45a)によって形成されている磁界
f1,Bf2を検出し、その磁界の強さに比例した検出信
号を出力する。バンドパスフィルタ(42)は周波数f
1 の信号成分Sを通過させ、バンドパスフィルタ(4
3)は周波数f2 の信号成分Tを通過させる。
【0019】この2つの信号成分S、Tのレベルは、図
41に示すように、可動ヘッド(16)を回転ドラム
(5)の軸方向に移動させた時、つまり可動ヘッド(1
6)の高さ位置の変化に伴って変化する。いま、この2
つの信号成分S、Tが同じレベルとなる可動ヘッド(1
6)の高さ位置をmとし、そのときの両信号成分S、T
のレベルをlとする。減算器(44)は、この2つの信
号成分S、Tを減算してその差をとり、その差分信号を
アクチュエータ(7)にフィードバックし、その差分が
零となる方向に可動ヘッド(16)を移動させる。つま
り、図41において2つの信号成分SとTが同じレベル
となるように、すなわち可動ヘッド(16)の高さ位置
がmになるように可動ヘッド(16)を移動させる。交
流磁界発生コイル(45),(45a)の位置等を変え
ることによって2つの信号成分SとTの交点lの位置を
変えることができ、可動ヘッド(16)の高さ位置mを
変えることができるので、可動ヘッド(16)の高さの
基準位置を自由に定めることができる。
【0020】なお、上記従来例では、一つの可動ヘッド
の制御について説明したが、複数の可動ヘッドを備えた
装置では、各可動ヘッドについて同様の制御動作を行う
ことによって各可動ヘッドの記録時のチャンネル間の段
差をなくすことができる。
【0021】図42に示すように、交流磁界発生コイル
(45)の2つのコイル(45U),(45L)で発生
した周波数f1 の交流磁束は、対向する部分で反発し、
上下方向に対して磁束密度の高い部分と、低い部分が形
成される。
【0022】この交流磁束は、可動ヘッド(16)や、
オーディオヘッド(37)がその交流磁界内を通過した
とき再生され、ロータリートランス(48),(49)
を介して再生アンプ(50),(51)より再生され
る。この時、発振回路(47)の発振周波数f1 は、ロ
ータリートランス(48),(49)の低周波側の周波
数特性に起因する減衰周波数限界以上で、かつ交流磁界
発生コイル(45)のインダクタンスにより駆動電流が
供給しにくくなる周波数以下の周波数に選定される。一
般的には、ロータリートランス(48),(49)の減
衰周波数限界は数10KHz〜100KHzとなってお
り、例えばコイル(45U),(45L)の巻数が数百
ターンでインダクタンスによる減衰開始周波数が1MH
zあるとすると、発振周波数f1 は、例えば、100K
Hz<f1 <1MHzの間に選定される。
【0023】図35において、磁気ヘッド(16),
(37)が交流磁界発生コイル(45)の近傍を通過す
る時に、再生アンプ(50),(51)から出力される
周波数f1 の再生信号の振幅は、例えば交流磁界発生コ
イル(45)の2つのコイル(45U),(45L)の
中間の位置が、オーディオヘッド(37)のヘッド高さ
位置もしくは可動ヘッド(16)の中立位置におけるヘ
ッド固定高さよりも高い位置に取り付けてある場合、可
動ヘッド(16)を上方向(デッキベースよりはなれる
方向)に動かすと、大きくなり、可動ヘッド(16)を
下方向に動かすと小さくなり、取付位置が上記と逆の場
合は再生信号の減衰方向も逆になる。いま、固定ヘッド
(オーディオヘッド)(37)からの再生信号として再
生アンプ(50)から出力される信号検出感度と、可動
ヘッド(16)からの再生信号として再生アンプ(5
1)から出力される信号検出感度とが等しいか、また
は、再生アンプ(50)または(51)のゲイン調整に
より等しくなるように調整されているものとする。再生
アンプ(50)と(51)の再生出力は、周波数f1
みを通過させるバンドパスフィルタ(52),(53)
を通されて不要なノイズが除去され、この2つの再生出
力レベルが最大になる値をサンプルホールド回路(5
4),(55)でサンプルホールドされるか、ピークホ
ールドされた後、そのレベル差が差動アンプ(56)で
取り出され、可動ヘッド(16)と固定ヘッド(37)
のヘッド段差が電圧の関数として取り出される。これ
を、ローパスフィルタ等の制御系位相補償回路(57)
に通した後、ドライバ(58)によってヘッド段差がな
くなる方向に制御ループが閉じられることによって記録
時においても可動ヘッド(16)と固定ヘッド(37)
との段差が生じないように保持される。
【0024】同様に、2つの可動ヘッド(16)が回転
ドラム(5)上に180deg対向に取り付けられてい
る場合、それぞれのチャンネル間のヘッド段差も、それ
ぞれのアクチュエータにおいて、上述したヘッド高さ位
置固定制御系を構成することにより実現できる。
【0025】この場合、位置固定制御ループのサーボ帯
域は、可動ヘッド(16)と固定ヘッド(37)のヘッ
ド段差や2つの可動ヘッド(16)の間の高さずれを補
正するだけであるので、それほど広くする必要はなく、
ヘッド高さや段差ずれの検出も、回転ドラム(5)の1
回転おきに行われるため、ドラム回転数が1800rp
mの場合30Hzのサンプリングによる無駄時間のた
め、制御帯域を数Hz以下に設定しないと、制御系が発
振する。そのため補償回路(57)にて、制御帯域が数
Hzで位相余裕が60deg以上確保されるように補償
回路(57)のローパスフィルタの時定数や、ゲインが
決定される。
【0026】なお、当然ではあるが、記録時におけるヘ
ッド高さ制御は、可動ヘッド(16)がドラム(1),
(5)に磁気テープ(20)が巻き付けられている側を
走行中は記録、再生アンプ(51)が記録アンプとして
働き、可動ヘッド(16)が磁気テープ(20)が巻き
付けられていない交流磁界発生コイル(45)の近傍を
走行中には再生アンプとして動作するようにしなければ
ならない。
【0027】このようにヘッド高さ位置制御系が構成さ
れているが、図35の従来例では、各ヘッド(16),
(37)から再生アンプ(50),(51)までの検出
感度が等しいか、等しく調整されなければならない。こ
れは実際には、固定ヘッド(37)と可動ヘッド(1
6)とのヘッドのターン数のちがいやヘッドコアの透磁
率のちがいや、アンプゲインのバラツキや温度特性の差
等により等しくすることができない場合が多い。
【0028】この従来例のように2つの交流磁界発生コ
イル(45),(45a)を配設して、各々の発振周波
数を変えてf1 とf2 、拡大図Aに示すように、かつ、
一方の交流磁界発生コイル(45)は、2つのコイル
(45U)と(45L)の中間高さ位置が、固定ヘッド
(37)の高さ位置より高い位置に他方の交流磁界発生
コイル(45a)内の2つのコイル(45U),(45
L)の中間高さ位置か固定ヘッド(37)の高さ位置よ
りも低い位置に固定する。この時、固定ヘッド(37)
によって再生される発振コイル(45)からの電磁誘導
による再生アンプ(50)からの周波数f1 の再生出力
と、発振コイル(45a)からの周波数f2 の再生出力
との振幅比が、可動ヘッド(16)の再生出力の振幅比
と等しくなるように可動ヘッド(16)の高さを制御す
れば、各ヘッドから再生アンプまでの周波数f1 、f2
における周波数特性に固定ヘッド系と可動ヘッド系が大
きくずれていないかぎりヘッドターン数の違いや、ヘッ
ドコアの透磁率のちがいや、アンプゲインのバラツキや
温度特性等にかかわらず、可動ヘッド(16)と固定ヘ
ッド(37)の段差をなくすることができる。そのた
め、可動ヘッド再生出力周波数f1 またはf2 のみを通
過させるバンドパスフィルタ(53)と(53a)の再
生信号振幅をサンプルホールド回路(55),(55
a)もしくはピークホールド回路により取り出し、割算
器(60)に入力して取り出した割算信号と、同様に固
定ヘッド(37)の再生出力中の周波数f1またはf2
の信号成分の振幅の比をバンドパスフィルタ(52),
(52a)、サンプルホールド回路(54),(54
a)で取り出して割算器(59)に入力して取り出した
割算信号との差を、差動アンプ(56)で取ることによ
り可動ヘッド(16)と固定ヘッド(37)との段差ず
れの方向と量を検出することができる。例えば可動ヘッ
ド(16)のヘッド高さが、固定ヘッド(37)のヘッ
ド高さよりも高い方にずれている(デッキベースより遠
ざかる方向にずれている)場合、可動ヘッド(16)の
再生信号は固定ヘッド(37)の再生信号より周波数f
1 の成分の方がf2 の成分よりも振幅が大きく再生され
る。従って、差動アンプ(56)の出力信号は負とな
り、可動ヘッド(16)を下方向に動かして段差が無く
なる位置に固定する。
【0029】以上のようにして、各ヘッド(16),
(37)間やヘッドアンプ(50),(51)間の感度
バラツキがあっても正確なヘッド高さ制御が行われるわ
けであるが、図38の従来例の場合は、精度の良い割算
器(59),(60)を必要とするので、コストアップ
になる場合がある。
【0030】図43は割算器を用いない第4の従来例の
ブロック回路図で、図において、(61)はスイッチ回
路、(62)はサンプルホールド回路(55)のホール
ドタイミングを制御するためのタイミングコントロール
回路である。
【0031】この第4の従来例は、固定ヘッド(37)
の再生アンプ(50)出力をさらに周波数f1 ,f2
みを通すバンドパスフィルタ(52),(52a)の出
力を、調整用端子で、再生信号の出力レベルを見なが
ら、周波数f1 (=150KHz)とf2 (=200K
Hz)の出力信号の振幅が等しくなるように交流磁界発
生コイル(45),(45a)の取付位置やドライバ
(46),(46a)の駆動出力電圧を調整する。この
ようにすれば、可動ヘッド(16)による再生出力の周
波数f1 とf2 の再生信号成分の振幅が等しくなるよう
に、高さ位置を制御すれば、割算器を用いずとも、可動
ヘッド(16)と固定ヘッド(37)のヘッド段差がな
くなるようら制御することができる。
【0032】可動ヘッド(16)が回転ドラム(5)に
180deg対向して2つ取り付けられているこの従来
例においては、バンドパスフィルタ(53),(53
a)の後にアナログスイッチ(61)で4つのサンプル
ホールド回路(55),(55a)に、各々のチャンネ
ルの再生信号を分配することにより対応が可能であっ
て、この時は、差動アンプ(56),(56a)、補償
回路(57),(57a)、ドライバ(58),(58
a)は、それぞれ2個ずつ必要である。このような多チ
ャンネル化に対する対応は図35,図38の従来例にお
いても同様に適用できる。制御帯域の設定については、
図35及び図38の従来例も図43の従来例と全く同じ
で、補償回路(57),(57a)にてゲイン、位相が
補償される。なお、一般に磁気ヘッドは、回転ドラム
(5)の円周の接続方向の磁束を拾うため、交流磁界発
生コイル(45),(45a)の形状が、図36のよう
な場合、図44のような再生エンベローブとして取り出
される。なお、図43の構成の場合、固定ヘッド(3
7)の再生出力は、f1 とf2 が等しくなるよう調整さ
れているため、図44(a)のようになり、可動ヘッド
系とのヘッド−ヘッドアンプ間感度がずれていても制御
後は、図44(c)のようにf1 、f2 成分のレベルが
等しくなるとヘッド段差がなくなる。
【0033】図45は第5の従来例のブロック回路図
で、一般的に微小変位計測器として用いられている差動
トランスの構成と同じように、交流磁界発生コイル(4
5)の2つのコイル(45U),(45L)の中間高さ
位置が、可動ヘッド(16)の高さと等しくなるように
配置し、可動ヘッド(16)が上下方向にずれたとき、
図46に示すように再生信号の振幅とともに位相がずれ
ることを同期検波回路(63)により検出することによ
りヘッド段差の方向とずれ量とを検出するようにしたも
のである。この場合も同期検波サンプルホールド後の処
理は、図35、図38、図43の従来例と同じである。
このように、記録時において、可動ヘッド(16)と固
定ヘッド(37)のヘッド段差が常になくなるように制
御できれば、記録専用の固定ヘッド(35),(36)
を回転ドラム(5)に取り付ける必要がなくなり、アク
チュエータ(7)に搭載された可動ヘッド(16)で例
えば映像信号の記録、再生、特再が可能になるほか、固
定ヘッド(37)との高さが調整されるため、図47に
示すように、VHSフォーマットにおけるハイファイオ
ーディオ(37)や、つなぎ取りのためのイレーズヘッ
ド(38)を、回転ドラム(5)上に配置し、EPヘッ
ド(35)、SPヘッド(36)をアクチュエータ
(7)に搭載してもよく、従来の図39に示したヘッド
配置構成に比べきわめて簡略化された構成とすることが
できる。
【0034】なお、図43の従来例では、交流磁界発生
コイル(45)の取付位置の調整や、駆動電圧レベルの
調整によって固定ヘッド(16)再生出力の周波数f1
とf2 の再生信号振幅が等しくなるようにすることが可
能である場合を示したが、取付位置の調整や、駆動電圧
レベルの調整によっては等振幅に追い込めない場合や、
温度特性、経時変化等により初期調整だけでは実用でき
ない場合がある。
【0035】図48は、第6の従来例のブロック回路図
で、交流磁界発生コイル(45),(45a)の取付位
置の調整によっては固定ヘッド(37)の再生出力の振
幅が等しくならない場合に、これを電気的に自動調整
し、再生出力の振幅が等しくなるようにする交流発生磁
界制御系を設けたブロック回路図で、図において(6
5),(65a)は、コイル(45),(45a)が発
生する交流磁界のレベルを制御するための可変ゲインア
ンプである。
【0036】この従来例は、可変ゲインコントロールア
ンプ(65),(65a)を挿入して、固定ヘッド(1
6)の再生出力のバンドパスフィルタ(52),(52
a)の出力信号振幅レベルが常に一定になるように、サ
ンプルホールド回路(54),(54a)の出力を可変
ゲインコントロールアンプ(65),(65a)のゲイ
ンコントロール入力端に入力して、固定ヘッド(16)
の再生出力のf1 及びf2 の振幅が常に一定になるよう
に制御するもので、交流磁界発生コイル(45),(4
5a)の機械的位置調整のバラツキや温度特性、経時変
化等に対しても常に振幅が一定(この場合は、固定ヘッ
ド(16)の再生出力のf1 とf2 の再生振幅が常に等
しく)制御される。
【0037】図49は第7の従来例のブロック回路図
で、図48の従来例における磁界レベル制御を一方の交
流磁界発生コイル(45a)のみの調整で行う構成とし
たもので、(66)は差動アンプである。
【0038】この従来例は、固定ヘッド(37)の再生
出力のうち周波数f1 、f2 の信号成分をバンドパスフ
ィルタ(52),(52a)で抜き出してそれぞれサン
プルホールド回路(54),(54a)でサンプルホー
ルドした値を差動アンプ(66)にて差分を取ることに
より、一方の交流磁界発生コイル(45a)の駆動電圧
レベルを、可変ゲインコントロールアンプ(65)に入
力し、他方の交流磁界発生コイル(45)からの再生出
力のレベルと、一方の交流磁界発生コイル(45a)か
らの再生出力のレベルとが、等しくなるよう制御したも
ので、図48の従来例と同様の効果が得られる。
【0039】以上のような交流磁界発生コイル(4
5),(45a)の発生磁界制御系を新たに加えたこと
により、図43に示した従来例において交流磁界発生コ
イル(45),(45a)の取付位置の調整のバラツキ
や、電磁誘導レベルの経時変化、温度特性による変化等
があっても、可動ヘッドの高さ位置制御系の追従精度を
維持することができる。
【0040】なお、図35〜図49においては、アナロ
グ回路で構成した従来例についてのべたが、再生アンプ
(50),(51)出力もしくは、バンドパスフィルタ
(52),(53)の出力をアナログ−デジタル変換
し、ディジタル回路や、マイクロコンピュータ内のソフ
トウェアによる処理で差動、サンプルホールド、補償フ
ィルタ処理等を行った後、ディジタルーアナログ変換し
てアクチュエータ(7)をドライブする構成としても良
いことは言うまでもない。
【0041】交流磁界発生手段 次に、上記のような磁界を発生させるための交流磁界発
生コイル(45)の構成について詳しく述べる。
【0042】磁束密度を場所によって急激に変化させる
ためには、まず、磁束を集中させることが必要となる。
磁束を集中させることが可能な例として、図37に示す
ようにコイルを対向させて、お互いに反発しあうような
電流を通電する方法がある。図42に示すように(2
7)コイル間の領域において磁束が集中し、さらにコイ
ル磁心から距離が離れると急激に磁束は発散するため、
磁束密度は小さくなり、位置によって磁束密度が急激に
変化するので都合が良い。ただし、ここでいう磁束密度
の変化は、その位置における磁束の本数ではなく、可動
ヘッドの移動方向すなわち回転ドラムの回転軸方向に関
して、可動ヘッドが検知できる方向の磁束の磁束密度の
変化をとしているのは前述した通りである。よって交流
磁界発生コイル(45)の磁束の方向について検討を行
う必要がある。図50は交流磁界発生コイル(45)の
磁界分布を調べるための座標面を示す模式図を示す。図
中(45U),(45L)はコイル、(45c)は軟鉄
等の軟磁性体で造られた磁心、(46)は2つのコイル
に通電するための交流電源であり、図中A面は磁心(4
5c)の中心軸Lを法線にもつ面であり、かつ、2つの
コイル(45U),(45L)の間の中心を横切る面で
ある。B面はA面と平行であり、A面から微小距離d離
れた面、C面はA面、B面と平行でありB面から微小距
離d、A面から微小距離2d離れた面である。D面は磁
心(45c)の中心軸Lと同一方向に中心軸を持つ半径
Rの円筒側面の一部である。なおD面は回転ドラム
(5)の側面を表し、D面と他の平面との交線は、可動
ヘッドの軌跡を表すものとして考える。
【0043】コイル(45U)及び(45L)には、実
際は、交流電流を通電するのであるが、ここでは原理説
明のため、直流電流を通電した場合を考えてみる。図5
1にコイル(45U)及び(45L)にお互いに極が反
発しあうように直流電流を通電した時の各平面上の磁束
をベクトル表示した模式図を示す。なお、図中の円は磁
心(45a)の断面を、X−X´の曲線は各面と曲面D
面との交線を表す。
【0044】まず、A面を見ると、磁心(45c)に近
い領域においはA面上の磁束ベクトルの大きさは大き
く、磁心(45c)から離れるにつれ、磁束がまわり込
むため、A面上の磁束ベクトルは急激に小さくなってゆ
く。
【0045】A面からdだけ離れたB面においては、磁
束がまわり込む効果のため、B面上の磁束ベクトルは磁
心(45c)からある程度離れた領域で最大となる。
【0046】C面もB面で述べた状態と同様であるが磁
束がまわり込み、C面上の磁束ベクトルは次第に零に近
づくためベクトルの絶対値はB面よりは小さくなる。
【0047】さて、先ほど述べたように、図51の各面
における曲線X−X´は可動ヘッドの軌跡を表してお
り、また、可動ヘッドが検知可能な磁束の方向は曲線X
−X´上の点の接線となる。図51中の磁束を交流磁束
とし、曲面D面を平面に展開したものが図52である。
図中の矢印はD面と各面との交線でのD面上の磁束ベク
トルを表す。交流磁束なので矢印の向きは逆転したもの
が一対となっている。
【0048】図53は、同図左側の磁束分布の場合にお
ける可動ヘッドがA面及びB面及びC面とD面との交線
を通過した場合の可動ヘッドの誘導起電力による出力波
形である。この出力波形を見てわかるように、各面にお
いてピークレベルが異なり、この例ではB面のピークレ
ベルが最大となっている。換言すれば、ピークレベルは
可動ヘッドの回転ドラムの回転軸方向の変位量に依存す
る非線形関数となっている。よって、出力波形のピーク
レベルを検知することによって、可動ヘッド自信の絶対
位置を知ることができる。
【0049】なお、可動ヘッドを位置センサとして位置
制御をかけることを考慮すると、センサ感度を高くとる
ためにヘッド高さの変化に対する、出力波形のピークレ
ベル変化率の大きい領域、図52でいえばA面とB面の
間の領域もしくはB面とC面の間の領域に可動ヘッドを
固定できるように交流磁界発生コイル(45)を取り付
ければよい。
【0050】また、いままで説明してきた磁界分布のよ
うすは、ある特定の交流電圧で交流磁界発生コイル(4
5)を駆動した場合を示したが、この磁界分布の関係は
電圧振幅値にも依存する関数となっている。そのためこ
の電圧値は、先ほどのべたヘッド高さ変化に対する出力
波形のピークレベル変化率が最大になるように調整すれ
ばよい。
【0051】また、このように交流磁界発生コイル(4
5)を、ドラムデッキ中に設けると、リニアオーディオ
ヘッドにノイズとして飛び込んだり、磁気テープの情報
を消去したりという悪影響をおよぼす恐れがある。そこ
で図54に示すように磁界発生素子の一部を軟磁性体
(45s)でつつむことによって磁気シールドをする方
法がある。図55は図54の55−55線矢視断面図
で、このようにすれば、上記のような悪影響は解消され
る。
【0052】なお、上記従来例では、交流磁気発生コイ
ル(45)の構成を磁束を集中させるために図5のよう
にした例を示したが、他に、例えばセンサ感度は落ちる
が、図56または図57に示すような構成であってもよ
い。
【0053】以上のように従来の実施例においては、例
えば図34において、磁界発生コイル(40)の機械的
取付精度が、経時的、温度的変化を考慮しても十分であ
る。すなわち、可動ヘッド(16)の位置固定許容精度
よりもコイル(40)の取付精度の方が十分小さい場合
は、磁界発生コイル(40)の取付位置により定められ
た位置に可動ヘッド高さを上記方法で定めることができ
る。
【0054】もしくは、コイル(40)の取付精度が悪
い場合でも図34のように可動ヘッドが複数個存在する
回転ドラムを用いる場合、各々の可動ヘッドの相対的高
さを等しくすることが可能である。(この場合は回転ド
ラム(5)を支持しているデッキベースからの可動ヘッ
ドの絶対高さに基づいてヘッド高さを制御することはで
きない。)またもしくは、回転ドラム上の他の固定ヘッ
ドとの高さを等しくすることも可能である。
【0055】このようにして、従来の方法においては、
磁界発生コイル(40)の取付高さもしくは、他の固定
ヘッドの絶対高さに等しい絶対高さ位置に制御するか、
もしくは、各々のヘッドの相対高さを等しくするように
制御することが可能となった。しかし、現行システム例
えばVHSフォーマットかBフォーマット等において
は、他の固定ヘッドに対し同じ高さになるよう可動ヘッ
ド高さを制御するのではなく、他の固定ヘッドの高さか
ら少しずれた高さに可動ヘッドを位置制御しなければな
らない場合がある。又他のシステム例えば8mmビデオ
や、D−1、D−2等のディジタルVTR等のシステム
においても、可動ヘッドを、デッキベースからの絶対高
さにおいて、所定の高さに制御することができれば、記
録時において、各々のテープフォーマットに基づいて正
確に記録トラックを形成することが可能となる。しか
も、コイル(40)の取付精度は、温特、経時変化を考
慮して、あまり厳密な精度を必要としない方がコイル
(40)の工作精度や調整の容易さ等を考えると、安価
にシステムが構成できるため、可動ヘッドが所定の高さ
にあるかどうか検出する手段が望まれていた。
【0056】さらに、本システムでは、ドラム1回転毎
に、決まったポイントでのヘッド高さしか検出できない
ため、装置振動や、テープのテンション変動等による、
テープヘッド間の摺動摩擦の変化により、ドラム1回転
内で可動ヘッドが動いてしまったり、機械振動を起す等
の問題があるため、可動ヘッドアクチュエータ(図2
7)のジンバルバネの剛性を上げ、機械共振を小さく抑
える等の考慮が必要であった。
【0057】
【発明が解決しようとする課題】従来の可動ヘッド位置
制御装置は、以上のように構成されているので、デッキ
ベースからの絶対高さに制御しようとすると、交流磁界
発生用コイルの取付精度がきびしくなり、又、現状のシ
ステムにおける固定ヘッドを利用すると、現行システム
における固定ヘッドと同じ高さにしか制御できない。
又、可動ヘッドアクチュエータの可動部剛性を考慮しな
いと、1回転のうち、1箇所でしかヘッド高さを検出し
ていないため、振動等により1回転内の記録トラックが
曲がってしまう等の問題があった。
【0058】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、可動ヘッドが記録時において
位置決めされるべき所定の絶対高さ(デッキベースから
のヘッド高さ)に、交流磁界発生コイルの取付精度に無
関係に制御でき、1回転内の可動ヘッドの高さずれや、
振動をも抑えて、様々なトラックフォーマットの磁気テ
ープ装置において可動ヘッドを用いて理想的な記録トラ
ックパターンを形成することができる位置制御装置を得
ることを目的とする。
【0059】
【課題を解決するための手段】発明は、回転ドラム内
に設けられたアクチュエータにより上記回転ドラムの回
転軸に平行な方向に変位可能で、テープへ記録再生する
信号録再用可動ヘッドと、上記アクチュエータに内蔵さ
れ上記アクチュエータの高さ方向の位置を検出する位置
検出器とを備え、上記アクチュエータの駆動電圧もしく
は駆動電流と、上記位置検出器の検出変位量が入力さ
れ、上記アクチュエータの機械特性である2次積分特性
を模擬するための2つの積分フィルタおよび2つのフィ
ードバックループを含む演算回路にて構成され、可動ヘ
ッドの速度についての速度推定信号を出力する速度推定
手段と、上記速度推定信号の直流成分を除去するための
直流成分除去手段と、により、上記アクチュエータに対
し速度フィードバックループを構成したことを特徴とす
る。
【0060】また、速度推定手段を構成する電気回路
が、上記回転ドラム内に構成されていることを特徴とす
る。また、位置フィードバックループと速度フィードバ
ックループの2つのフィードバックループを設け、位置
フィードバックループの制御帯域よりも速度フィードバ
ックループの制御帯域が高く、上記位置フィードバック
ループの制御帯域よりも十分に低い周波数領域におい
て、上記速度フィードバックループよりも位置フィード
バックの制御ゲインが大きくなるように、上記2つのフ
ィードバック手段の補償回路を設けたことを特徴とす
る。位置および速度のフィードバックループの演算をデ
ィジタル演算回路に行うとともに、このディジタル演算
回路は1回の巡回サイクルで2つのフィードバックルー
プのための演算を行うことを特徴とする。また、本発明
は、位置フィードバックループに積分特性を有する低域
補償手段を設けたことを特徴とする。
【0061】
【作用】本発明によれば、アクチュエータの動作を模擬
する速度推定手段を設けたため、アクチュエータの制御
をより適確なものにできる。アクチュエータの機械特性
を模擬することにより、アクチュエータ特性を加味した
好適な制御を行うことができる。
【0062】また、速度フィードバックループと位置フ
ィードバックループの特性を適正なものとするため、制
御の精度が向上する。
【0063】
【実施例】図1は、現行のVTRシステムにおいて長時
間モード用の狭トラックヘッド(35)と、広トラック
ピッチ用ヘッド(36)をジンバルバネ(27)の上に
スペーサ(72)を介して取り付けた図である。
【0064】図2は、回転ドラム(5)上に取り付けら
れた絶対高さ検出素子(73)の外観図で、(74)は
検出コイルである。
【0065】図3は、絶対位置検出回路の検出信号増幅
部の回路図で、図において(75)はハンドパスフィル
タ、(76)はスイッチング用トランジスタである。
【0066】図4は図3のスイッチング用トランジスタ
(76)の動作モードで、ドラムの1回転につき表した
ものである。
【0067】図5は、ホールセンサによるアクチュエー
タ可動部の位置検出構成例で、図において、(501)
は磁気ヘッド(112)への漏れ磁束を小さくするため
のマグネットホルダー、(502)は磁束を発生させる
マグネット、(503)はマグネット(502)の磁束
の大小を検出するホールセンサ、(504)はホールセ
ンサ(503)からの微小信号を増幅して位置信号を得
るための差動増幅器である。
【0068】図6は、図5の変形例で、図において、
(505)はマグネット、(506)はホールセンサ、
(507)はホールセンサ(506)を固定するための
基板である。
【0069】図7は、光センサによる位置検出手段をア
クチュエータに取り付けた一例で、図において、(60
1)は平行光を出射する発光部、(602)はフォトダ
イオード等で構成された2分割検知器(受光部)であ
る。図8は図7の変形例で、図において、(603)は
LED等で構成される発光素子(605)からの光を平
行光にするためのレンズ、(604)は出射窓(しぼ
り),(606)はレンズ(603)からの平行光を反
射するためのミラーである。図9は図8における光セン
サの可動部変位量の検出原理を表す図で、(607)は
2分割検知器(602)における光電流の差動をとり、
増幅するための差動増幅器である。
【0070】図10はオブザーバ(状態観測器)の伝達
関数ブロック図で、図において、(301)は可動磁気
ヘッド(112)を動かすアクチュエータ機構部の伝達
関数表現、(302)はアクチュエータのコイル抵抗、
(303)はドライブアンプのゲインである。(30
4)〜(310)は本発明の速度推定手段に相当するオ
ブザーバ(402)の伝達関数表現で、(304)はア
クチュエータモデルにおけるバネ定数を等価している部
分、(305)はアクチュエータコイル抵抗、アクチュ
エータトルク定数、ドライブアンプゲインをまとめて等
価している部分、(306)はアクチュエータの粘度定
数と可動部質量を等価している部分、(307)は積分
特性の伝達関数表現、(308)は、上記(304)〜
(307)までの状態モデルと実測との誤差が収束する
ループの安定化を図るために挿入されたオブザーバゲイ
ン、(309)はオブザーバゲイン(308)と同様な
誤差を収束させるためのオブザーバループゲイン、(3
10)は推定した速度をフィードバックするための速度
フィードバックゲインである。
【0071】図11はオブザーバによるダンピングルー
プをかけた場合と、かけない場合のアクチュエータ伝達
特性(ゲイン特性及び位相特性)の比較図である。
【0072】図11は上述のオブザーバの回路構成の一
例である。図において、(801)はアクチュエータ駆
動電圧の交流成分のみを取り出すためのコンデンサ、
(802)はオブザーバ内フィードバック信号と駆動電
圧とを加算し、増幅するための増幅器、(803)はオ
ブザーバ内のバネ定数を模擬したループをフィードバッ
クするための増幅器、(804)はオブザーバ内のアク
チュエータ粘性及び質量を模擬した伝達特性を実現する
ためのフィルタ、(805)はオブザーバ内の積分器を
構成するフィルタ、(806)は、位置情報とオブザー
バの推定位置情報との差を取り出すための比較回路、
(807)は位置情報に含まれる交流成分のみを取り出
すためのコンデンサ、(808)は推定速度情報に含ま
れる交流成分のみを出力させるためのコンデンサであ
る。
【0073】図13は、上述のアクチュエータ可動部の
位置センサ(図5〜図9)と、上述の速度推定オブザー
バ(103)を用いてダンピングループ及び位置ループ
を構成し、さらに従来例にある交流磁界発生器(45)
と、交流磁界検出回路(図3)を用いた絶対高さ検出セ
ンサ(106)の出力に基づいて従来例の図35もしく
はこれを改良した図38、図43、図45、図48にお
ける絶対高さ検出回路(105)を用いて図13の位置
制御ループの低減(直流成分)を補償するように構成し
た、本発明の実施例のブロック図である。
【0074】図14(a)は、図13のブロック図にお
けるオープンループ特性を表した図で、図14(b)
は、図13のブロック図の図14(a)とは別の補償方
式で構成された場合のオープンループ特性である。
【0075】図15は、図13のブロック図における低
域補償回路(101)のブロックの細部を表したもの
で、(a)〜(b)は、各々の細部のブロックにおける
補償フィルタの伝達特性を表したものである。
【0076】図16は図13のブロック図における位置
制御補償器(102)の細部を表したもので(a)〜
(b)は細部のブロックにおける各々の補償フィルタの
伝達特性を表したものである。
【0077】図17は、図13のブロック図における本
発明の実施例の制御系をソフトウェアによる演算によっ
て実現した場合のメインプログラムのフローを表したも
のである。
【0078】図18は、図13のブロック図における速
度推定オブザーバ(103)のソフトウェアによる演算
を表した速度推定オブザーバのサブルーチンプログラム
のフローである。図19は図13のブロック図における
位置制御補償器(102)のソフトウェアによる演算を
表した、位置制御補償器のサブルーチンプログラムのフ
ローである。
【0079】図20は、図13における絶対高さ補正ル
ープのソフトウェアによる演算を表した絶対高さ補正サ
ブルーチンプログラムのフローである。
【0080】図21は、上記ホールセンサによる位置検
出によって上記オブザーバを用いた制御システムを構成
した例で、図において、(508)はドラム内に内蔵さ
れた基板である。
【0081】図22は、光センサによるアクチュエータ
の位置検出を用いて、上述のオブザーバ回路及びドライ
バ回路を回転ドラムに内蔵しない場合の構成例を示した
もので、図において、(608)は検波回路である。
【0082】図23は、アクチュエータ及びトラッキン
グ制御システム及びオブザーバの極配置表したものであ
る。
【0083】図24は、本発明の実施例における回転ド
ラム上の磁気ヘッド及び絶対高さ検出ヘッドのヘッド配
置を表した図である。
【0084】図25は、本発明の実施例における回転ド
ラム内の信号伝送用の平盤形ロータリートランスのチャ
ンネル配置の一例を表したものである。
【0085】図26は、図24における各ヘッド及び絶
対高さ検出素子の配置によるテープとの接触期間をドラ
ム1回転に対し(2HR)のヘッドを基準に表したもの
である。
【0086】従来例におけるシステムの場合は、交流磁
界発生器(45)の取付位置が、デッキベースからの可
動ヘッド高さの絶対位置を表していた。
【0087】すなわち、従来においては、磁気ヘッドか
ら再生される2つの交流磁界発生器(45),(45
a)の出力レベルが等しくなる位置を所望の磁気ヘッド
高さとした場合、交流磁界発生器(45),(45a)
のデッキベース上での取付位置精度によって基準の絶対
高さがバラツイてしまう。また、他の固定ヘッドの高さ
を可動ヘッドの絶対高さ基準として用いることも可能で
あるが、この場合、他の固定ヘッド例えば、オーディオ
ヘッド等と同じ高さにしか制御できない。これらは、従
来例においても述べたように交流磁界発生器(45)の
発生磁界や、磁気ヘッド−ヘッドアンプの検出感度が温
度等によってバラツクため、2つの検出信号の差がゼロ
になる位置に制御するような構成とすることによって上
記バラツキの影響を除去するようにしたためである。
【0088】次に、現行のVTRにおける様々な記録フ
ォーマットに対応しテープ上にフォーマット通りの記録
パターンを形成させるためには、可動ヘッドの高さを他
の固定ヘッドに対して同じ高さに制御するのではなく、
他の固定ヘッド高さからすこしずれた高さに制御しなけ
ればならない場合も生じる。この場合まず考えられるこ
とは図1にあるように2つの磁気ヘッドの高さをスペー
サ(72)を介して取り付け、例えば、広トラックピッ
チ用ヘッド(36)で磁気記録を行う場合狭トラックピ
ッチ用磁気ヘッド(35)で従来の高さ検出用交流磁界
を再生することで従来の磁気ヘッド高さ制御系を閉じる
ことにより狭トラックモード用ヘッド(35)と基準と
なる固定ヘッド(例えばオーディオ用磁気ヘッド)を同
じ高さにし、図1のスペーサ(72)の高さ分だけ広ト
ラックピッチ用ヘッドの制御後の基準高さをずらすこと
ができる。
【0089】このような方法の他にも、高さ検出用の交
流磁界再生ヘッドは、実際にテープ上への磁気記録再生
を行う必要がないため、図2にあるような簡単な構成の
磁界検出器でも良く、図中のギャップやドラム表面から
のつき出し量も厳密に定める必要がない。ただし、磁気
テープをいためたりするほどつき出し量を大きくとって
はならないのは言うまでもない。このような簡単な構成
の磁界検出器(73)を可動ヘッドが制御されなければ
ならない所望の高さに機械的に取付調整を行い、記録再
生時において上記検出器(73)と可動ヘッドの高さが
等しくなるよう従来例の制御方式で制御することによっ
て、可動ヘッドの高さを所望の絶対高さにもってくるこ
とができる。
【0090】以上のような手段でもって精度良く所望絶
対高さに可動ヘッドがきているかどうかを検出すること
が可能となる。
【0091】以上のような交流磁界による絶対高さの検
出は外部の磁界発生コイルに流す電流をVTR内のヘッ
ドアンプ等への電磁的飛び込みによって信号劣化を生じ
させない範囲で大きくすることができる。上記のように
磁界発生コイルの発生磁界を大きくすると、検出する絶
対高さの検出感度を高めることができるため、制御シス
テムの目標値への追従精度が向上する。しかしこの場合
従来からのVTRシステムに内蔵されている信号再生ア
ンプを用いると、再生アンプのダイナミックレンジによ
って信号が飽和してしまう場合が生じる。これは、磁気
テープから再生される微小磁界よりも上記交流磁界発生
コイルからの磁界の方が極めて強いためである。そのた
め図3にあるようにロータリートランスを介して得られ
る高さ検出用交流信号を従来の再生アンプとは別のアン
プで増幅する必要がある。図3は、そのための増幅回路
図で、高さ検出信号は、検出ヘッドが、磁気テープと接
触していないドラムか裏側で得られるため、図中(7
6)のスイッチング用トランジスタを介して取り出すこ
とが可能となる。
【0092】さらに図中4個のスイッチング用トランジ
スタ(76)を図中のモードのように切り換えることに
よって増幅システムを記録再生、検出、非動作とするこ
とができる。
【0093】なお、記録、再生時の上記スイッチング用
トランジスタのモードは、検出ヘッドの回転位置によっ
て図4のように切り換えれば良い。なお、上述した高さ
検出信号のみしか再生しない簡単な検出器(73)の場
合の増幅回路は、図3のような構成にする必要はなく、
単にバンドパスフィルタと位置検出信号アンプの組み合
せで可能となることは当然である。
【0094】また、この時のロータリートランスにおけ
るドラム上の各ヘッド並びに絶対高さ検出用ヘッドのチ
ャンネル配置は、VTRの記録時においてテープと接触
している側の記録ヘッドに記録電流が流れているため、
ロータリートランスのチャンネル間クロストークにより
上述の交流磁界発生コイルによる絶対高さ検出信号が乱
される場合が生じる。このため、記録電流を流している
チャンネルと絶対高さを検出するチャンネルとをロータ
リートランス上で離しておく必要がある。
【0095】例えば、現行VHS、VTRにおいて図2
4のようなヘッド配置を有するシステムの場合例えばロ
ータリートランスのチャンネル配置は図25のようにな
る。この時上述した記録電流を流すチャンネルと高さ検
出のチャンネルとの関係をわかりやすくするため、図2
5のヘッド配置におけるヘッドとテープの摺動区間をヘ
ッド2HRを基準に表したのが図26の模式図である。
図26において、2HR、6HL、ARは、ほぼ同時に
テープと摺動しており、2HL、6HR、ALもほぼ同
時であることがわかる。よって2HR、6HL、ARが
記録中に、2HL、6HR、ALが高さ検出できるよう
(2HL、6HR、ALが記録中は上記の逆)に2H
L、6HR、ALと2HR、6HL、ARとをロータリ
ートランスのチャンネル上で離しておく必要がある。ま
た一般的にオーディオヘッドとビデオヘッドとはクロス
トークの影響をさけて離されるのが普通であるので、通
常再生時においては使わないフライングイレーズヘッド
のチャンネルや高さ検出専用の2HS、6HSのチャン
ネルとを間にはさみ、再生時はこのチャンネルのロータ
リートランス端子をショートさせることにより、現行V
TRで用いられているロータリートランスチャンネル間
クロストーク防止用のショートリングの代りとして用い
ることが可能となる。なお、ここにおいて2HSは、可
動ヘッド2Hの基準高さに調整された検出器で6HSは
可動ヘッド6Hの基準高さに調整された検出器である。
【0096】従来のシステムにおいては、可動ヘッドの
高さを検出する箇所がドラム1回転中1箇所しかないた
め、ドラム1回転につき1回の制御しかかけられない。
例えば、装置全体が外部振動にさらされるように車載の
システムや、携帯用のシステムにおいては、ドラム1回
転内に可動ヘッドが振動したりずれたりしてテープフォ
ーマット通りの記録ができなくなる場合も考えられる。
【0097】特にこれは、今後磁気記録の記録密度が向
上しトラックピッチが極めて狭くなった場合に特に問題
となってくる。そこでドラム1回転に1回の絶対高さ制
御以外に通常の可動ヘッド高さを固定し、振動等の影響
を受けにくい構成とする必要が生じる。このためには、
ドラム1回転に1回ではなく、常に可動ヘッドの高さが
検出できる手段が必要である。しかしこの場合、上述し
たドラム1回転に1回の絶対高さ検出手段をも有してい
れば特に上記常に高さが検出できるセンサの絶対値が正
確でなくてもよい。すなわち、絶対的な高さは、上記の
交流磁界発生コイルからの磁界再生によって行い1回の
絶対高さ検出から次の絶対高さ検出までの間上記常に可
動ヘッドの高さが検出できるセンサの出力が一定となる
ようにコントロールすれば、ドラム回転中の振動等に起
因するヘッドの高さずれを防ぐことが可能となるのであ
る。
【0098】上述のようなドラム1回転内の位置制御系
可動ヘッドのポジションを検出するためのポジションセ
ンサが不可欠である。図5はその一例で、可動ヘッド
(112)の動きを検出するため、可動部(203b)
にマグネット(502)を接続し、ホールセンサ(50
3)にて、可動部(203b)におけるマグネット(5
02)が近づいたり遠ざかったりすることによる磁束密
度の値を検出し、増幅器(504)の出力として取り出
すことにより、可動部の位置を検出することができる。
この際、マグネット(502)は、透磁率の高い部材で
構成されたマグネットホルダー(501)にて囲われ、
漏れ磁束が磁気ヘッド(112)へ影響しないような構
成としている。さらに、図6は図5の変形例で、アクチ
ュエータの可動部のうち磁気ヘッドがついていない側の
ジンバルバネ(203a)にマグネット(505)を固
定し、ヨーク(202)にあけた穴からアクチュエータ
外部に漏れてくるマグネット(505)の磁束を、基板
(507)上に固定したホールセンサ(506)により
検出する構成としている。ここにおいて、マグネット
(505)からの磁束の強さが可動部の位置を表すこと
になり、これは図5の場合と同じである。この変形例で
は磁気ヘッド(112)へのマグネット(505)の漏
れ磁束の影響は考えなくても良い。
【0099】以上のような磁気的な位置検出手段以外に
も、光学的な位置検出手段による方法もある。例えば、
図7はその一例で、アクチュエータの固定側に取り付け
られた発光部(601)からの光(この場合は、レンズ
により平行光になっている)を、可動部に取り付けられ
た2分割フォトダイオードなどによる受光部(602)
により検出している。可動部が動くと2分割のフォトダ
イオード(602)の片側に当たる光量がもう一方より
多くなることから、それぞれのフォトダイオード(60
2)の光電流の差を取ることにより可動部の位置を検出
することが可能である。さらに、図7を変形した例が図
8で、可動部には光を反射するミラー(606)が取り
付けられているだけで、発光部(601)とフォトダイ
オードなどによる受光部(602)は、固定側に付いて
いる。この場合もLEDあるいは半導体レーザ等により
構成される発光素子(605)からの光はレンズ(60
3)により平行光になされる。この時、平行光を得るた
めには発光素子(605)はレンズ(603)の後方焦
点位置に配置する必要がある。図8の光学式センサは図
9のような原理で位置検出がなされる。
【0100】図9において、可動部と一体となっている
ミラー(606)が平行に移動すると(この場合、ジン
バルバネ等により一軸方向のみしか動かないように規制
されているため)、出射される平行光は受光部(60
2)上を可動部の移動と共に平行移動するため、図7と
同様に例えば2分割フォトダイオード(602)のそれ
ぞれの光電流量に差が生じ、差動増幅器(607)の出
力として位置検出信号が得られる。光学的位置検出手段
は、上述のような方法以外にも、発光部を可動部に取り
着け、受光側が固定部にあっても同様の効果が得られる
ことは言うまでもない。
【0101】また、上述のような磁気的あるいは光学的
位置検出手段の他にも、可動ヘッドアクチュエータの板
バネ、あるいはジンバルバネに、歪むと磁気抵抗が変化
する。一般的に歪ゲージと呼ばれる素子を貼り付けるこ
とによって、板バネもしくはジンバルバネの変形を抵抗
値の変化として検出し、例えば、上述の歪ゲージに一定
電流を流した時の電圧の変化を読むか、一定電圧を加え
た時に歪ゲージと直列に挿入した電流検出用抵抗の両端
の電圧を読むなどして、可動部の位置を検出する方法も
可能である。また、可動部付近に容量を検出するセンサ
を用意し、さらに上記容量センサと可動部との距離が、
可動部の移動に伴い変化するように配置し、容量センサ
の容量を電気的に検出することにより可動部の位置を検
出することも可能である。また、従来のバイモルフ型ア
クチュエータを用いる場合においては、従来例で示すよ
うにバイモルフの一部を切ることによりバイモルフ変位
量における直流成分以外の量を取り出すことが可能であ
ることも言うまでもない。この場合、変位出力に直流成
分は含まれないが、ドラム1回転内の可動ヘッドの位置
制御において必ずしも直流成分を必要としないため、位
置制御に用いる位置検出信号として入力することが可能
である。
【0102】また、上記のような可動ヘッドの高さを常
に検出できる位置センサの出力を利用し、以下のような
電気的な速度推定手段によりダンピングループを構成
し、アクチュエータの有する機械共振を抑圧し、可動ヘ
ッドの高さを制御する時の制御性を向上させ外部振動に
対して振動しにくくすることも可能である。特に、上述
した常に検出できる位置センサの出力に基づいて構成し
た位置制御ループにおいて、可動ヘッドアクチュエータ
の機械共振により位置ループの制御帯域が低く制限され
てしまうのを防ぐ効果がある。
【0103】さらにドラム内で磁気ヘッドを動かすに
は、1軸方向、すなわちドラムの回転軸と平行な方向に
のみ動かしてやることが必要で、従来例で示したバイモ
ルフ型や電磁駆動型にみられるような片持ち部材もしく
は板バネ形状のような構成とし、駆動部と磁気ヘッドを
離したり、もしくは、板状の先端にヘッドを取り付ける
必要があった。
【0104】このため、従来例のバイモルフ型アクチュ
エータの場合や電磁駆動型アクチュエータの場合におけ
るアクチュエータの伝達特性(変位−駆動電圧もしくは
電流特性)に見られるように、板バネ構成特有の大きな
機械共振が存在していた。
【0105】この大きな機械共振は、共振周波数付近に
おいて位相を180°回すため、例えば位相遅れ補償を
施した位置制御システムを構成する場合、1次共振周波
数より十分低い周波数、一般的には1次共振周波数の1
/10〜1/数10程度までしか制御帯域が取れなかっ
た。何故ならば、第1には、上記共振付近の位相回りの
影響によって制御系の位相余裕が十分に確保できず、第
2に共振ピークゲインが大きいと、制御帯域周波数以降
におけるゲイン余裕量(一般的には、制御帯域周波数よ
り高い周波数領域における位相が−180°となる周波
数での制御系オープンループゲインが−10〜−20d
Bになる必要がある)が共振ピークゲインにより小さく
なり、これらにより制御システムが不安定となるからで
ある。また、位相進み補償を施して1次共振と2次との
間に制御帯域を持ってくる場合は、1次機械共振周波数
と2次共振もしくは***振周波数が十分に離れている必
要があり、VTRの可動磁気ヘッドのアクチュエータに
見られるような板バネ形状の可動部を有するシステムで
は、1次共振と2次以降との周波数差が取れず、上記進
み補償はあまり用いられない。そこで、VTRの可動磁
気ヘッドアクチュエータ特有の大きな機械共振特性を電
気的にダンピングして制御性の良いアクチュエータに変
える必要が生じる。しかし、従来例にみられるように微
分回路で構成したのでは、位置センサのノイズを増幅
し、却ってトラッキング制御性能が劣化してしまってい
た。そこで、図10にみられるように、積分回路を用い
た状態推定器(以下オブザーバと略す)によってアクチ
ュエータ速度を推定すれば、ノイズを増幅することもな
く、また、後述する理由で、高次機械共振の影響も取り
除くことができる。図10の伝達関数表現されたオブザ
ーバは、現代制御理論における同一次元オブザーバの構
成の一例で、オブザーバ回路内においては、ドライブア
ンプ(303)〜アクチュエータ機構部(301)まで
の特性を模擬する等価回路(305)〜(307)が挿
入されている。図において、実際のドライブアンプ(3
03)に入力する駆動電圧は、オブザーバ内の上記等価
回路にも入力され、等価回路出力として図中a点にアク
チュエータの位置を等価回路入力から推定した信号が出
力される。一方、実際のアクチュエータの変位を、後述
するセンサ等で実測した信号が図中b点に出力され、そ
の差、すなわちb−aが推定誤差として取り出される。
オブザーバ内で等価回路を形成している回路の伝達特性
は、この場合2次の積分特性を有しており、初期状態ま
でも実際のアクチュエータにおける積分特性を模擬して
いないことや、実際のアクチュエータには積分特性の手
前に外乱が入力されるにも拘らず、等価回路では外乱ま
で模擬できない等の理由から、周波数特性に関しては、
実際のアクチュエータ特性と等価回路が同じでも、動特
性(等価回路の出力値における各時間経過毎の値)は同
じにならない。このため、上記推定誤差が収束してゼロ
になるよう、F1とF2のゲイン(308),(30
9)によりフィードバックがかけられている。従って、
ある時間経過後は、オブザーバ内フィードバックゲイン
の作用により推定誤差がゼロに収束するため等価回路出
力である推定位置aと実測位置bは等しくなり、この
時、積分器(307)の手前、すなわち1/(C+Ms
)のブロック(306)の出力であるアクチュエータ
速度に相当する部分(回路上、位置の微分となっている
ため速度に相当する)は、実際のアクチュエータ速度に
等しくなっている。
【0106】上述のような原理で推定したアクチュエー
タ速度を、F3のゲイン(310)で元の制御ループに
フィードバックすると、速度フィードバックループが新
たに構成されたこととなり(現代制御理論におけるレギ
ュレータの構成と同じ)、アクチュエータの機械共振特
性にダンピングがかかる。図11は、上記のことを証明
するアクチュエータ周波数特性の実測図で、オブザーバ
を構成し、速度フィードバックを施した場合の特性は、
ダンピングがかかり、共振ピークゲインが小さくなる。
以上の速度推定オブザーバは、現代制御理論の同一次元
オブザーバで構成した場合について説明したが、最小次
元オブザーバで構成しても同様の効果が得られることは
言うまでもない。この場合、上述したような等価回路と
いったものは存在せず、アクチュエータ特性を状態方程
式で表現した式を、一般的な最小次元オブザーバ構成ア
ルゴリズム(例えばゴピナスの最小次元オブザーバ)に
よって解いた結果をそのまま回路で実現する。また、こ
こにおいて、同一次元オブザーバにおけるF1ゲイン
(308)、F2ゲイン(309)の設定は、 M:アクチュエータ可動部 k:アクチュエータ質量 C:アクチュエータ粘性 (x1 〜):アクチュエータ推定位置 (x2 〜):アクチュエータ推定位置 u:入力 Ce :推定誤差 (y〜):オブザーバ出力 とすると、アクチュエータ状態方程式は
【0107】
【数1】
【0108】となり、現代制御理論における任意極配置
の定義によりオブザーバの極を−α1 、−α2 とする
と、F1,F2の値は
【0109】
【数2】
【0110】を満たすF1,F2を求めれば良いことに
なる。
【0111】しかし、オブザーバ内におけるF1ゲイン
(308)を含むループとF2ゲイン(309)を含む
ループの収束は、トラッキング制御系全体の収束よりも
十分速い必要があるため、式2におけるα1 とα2 の値
は、図23の極位置(制御理論においてシステムの応答
を表現する図)において、レギュレータシステムの極
(トラッキング制御システムの極)よりも十分左側(負
の実数値が大きい側=収束が速い側)に設定する必要が
ある。
【0112】実際のオブザーバ回路は、例えば、アナロ
グ回路で構成した場合、図12のように実現される。ア
ナログ差動増幅器等では温度ドリフト等によりオフセッ
トが発生しやすいため、アナログ回路で構成する場合、
オブザーバ回路へのアクチュエータ駆動電圧入力や、位
置センサからの位置情報入力において直流成分を除去す
るコンデンサ(801),(807)を挿入した方が望
ましい。何故なら、トラッキング制御システムにおいて
主にダンピングをかける必要がある周波数領域は、機械
共振が存在する周波数付近であるため、直流分は必要な
いからである。図12の回路は、図10のオブザーバ伝
達特性をそのまま模擬したもので、図10中のR、K
d、Kt、k、F1、F2は、そのままオペアンプの増
幅ゲインとして図12中に存在し、1/(C+Ms )の
ブロック(306)はオペアンプ(804)のアクティ
ブフィルタで構成され、積分器(307)はオペアンプ
(805)の積分器として構成されている。また、図1
0中のa−bの減算部分はオペアンプ(806)にて構
成され、オペアンプ(806)の出力がそれぞれ図10
のF1、F2に相当するゲインを有し、オブザーバ等価
回路のオペアンプ(802)〜(805)にフィードバ
ックされる構成となっている。また、図12の構成にお
いては、オペアンプ(803),(804)を1つのア
クティブフィルタとして構成し、オペアンプを1つ省略
することも可能である。
【0113】上記の構成はアナログ回路でオブザーバを
構成した一例について示したが、後述するようにマイク
ロコントローラ等におけるソフトウェアにて図10の伝
達関数表現をソフトウェアで記述しても同様の効果が得
られる。
【0114】以上のようにして可動ヘッドの高さを検出
するセンサと交流磁界発生コイルを用いた絶対高さ検出
センサの両方を用いて構成される可動ヘッドの高さ制御
方式のブロック図は、図13のように表される。図中速
度推定オブザーバ(103)によるダンピングループに
よりアクチュエータ(107)の制御性が向上され、こ
れに位置制御補償器を有する位置制御ループが構成され
る。さらに位置制御ループの直流成分である絶対高さ
は、交流磁界発生コイル等で構成される絶対高さ補正ル
ープにより補正される。
【0115】当然ながら、図13のシステムにおいて、
位置制御ループとダンピング制御ループがない場合、ド
ラム1回転毎の絶対値高さ制御のみとなり1回転中の高
さずれが生じやすくなる。また、ダンピングループのみ
がない場合位置制御ループの帯域が上げられず、1回転
中の高さずれ抑圧率が弱まり、振動しやすくなる。ま
た、位置制御ループのみがない場合は振動はしにくいが
1回転中の高さずれ抑圧率はほとんどなくなる。しかし
上述したように絶対高さ補正ループに対し、上記2つの
マイナーループが各々削除されても、アクチュエータ可
動部の器械的特性が、剛性が高かったり、粘性が大きか
ったりした場合は、問題がなく、上記したような図13
における各々のマイナーループが削除された場合でも実
現できる。図13のシステムにおいては、絶対高さの補
正ループと、ダンピングループ込みの位置制御ループの
オープンループのゲイン特性を、低周波側で絶対高さ補
正ループの方を大きく、高周波側で任意ループ系を大き
くすることにより、可動ヘッドがドラム回転中常に絶対
高さに制御されるシステムが実現できる。
【0116】この場合、図14(a)のように絶対高さ
制御ループのゲインを2次遅れ形として低域補償する方
法と図14(b)のように位置制御ループの直流成分を
カットし、低域側でゲインを下げる方法とがある。
【0117】例えば図14(a)のようなオープンルー
プ特性を実現するためには図13の低域補償回路におい
て例えば図15のような周波数特性を有するフィルタを
挿入する必要がある。
【0118】これは各々の(a)ラグリードフィルタ (b)ローパスフィルタ(1次) (c)ローパスフィルタ(2次) であり、一般的に良く知られているものである。また位
置制御補償器においても例えば図16のように構成する
必要があり図中 (a)ローパスフィルタ (b)ハイパスフィルタ として良く知られているものである。これらはコンデン
サと抵抗によるアナログ回路や、ディジタルフィルタに
よって容易に実現できることは言うまでもない。また各
々の補償器においては、ゲイン補償用のアンプゲインを
記入していないか、図14を実現するためには所望のゲ
イン補償が各々必要であることは言うまでもない。
【0119】図13のシステムはアナログ回路でもって
構成できることは勿論であるが、高速なディジタル演算
器例えばマイクロプロセッサ等を用いてソフトウェア上
で制御系を実現することも可能である。例えば図17
は、図13の位置制御システムをソフトウェアで構成し
た場合のブロック図のメインフローで計算の周期を指令
するクロック毎に速度推定オブザーバの計算サブルーチ
ン、位置制御系特に位置制御補償器の計算サブルーチ
ン、絶対高さ補正系特に絶対高さ検出及び低域補償の計
算サブルーチンを順次計算し、最初の2つのサブルーチ
ンの計算結果を絶対高さ補正指令より減算することで、
アクチュエータドライブ指令値を得る構成となってい
る。
【0120】各々のサブルーチンについては以下のよう
に計算される。まずオブザーバの計算が図18に表わさ
れるようにK1 〜K5 に定数(Kd・KA )/R、K、
1 、F2 ,F3 を設定し順次変数A〜Bを計算する手
順となっている。変数A〜Bは図10のオブザーバブロ
ック図における各信号ライン上の表示値A〜Bに相当す
る。
【0121】図19は位置制御補償部(102)のサブ
ルーチンで、アクチュエータ高さ情報を2つのディジタ
ルフィルタを通して計算して出力する構成となってい
る。
【0122】図20は絶対高さ補正のサブルーチンでカ
ウンタ値Pを用いて絶対高さを情報Z1 −Z2 の値をP
回平均した後ディジタルフィルタにより低域補償し、出
力する構成となっている。
【0123】ここにおいて上記のZ1 、Z2 は、従来例
の2つの交流磁界発生コイル出力を、実施例の絶対高さ
検出用ヘッド(73)及び可動ヘッド等で拾い、図3の
増幅回路で増幅後検波し、ピークホールドもしくはサン
プルホールドしたものを上記2つの交流磁界発生コイル
の各々につきZ1 及びZ2 として上記マイクロプロセッ
サにA/D変換して入力したものである。
【0124】以上のような可動ヘッドの位置制御システ
ムは、例えば図21のようなハードウェアで構成するこ
とが可能である。可動ヘッドのポジションをポジション
センサで検出する場合、ポジションの検出信号が、ロー
タリートランスのチャンネル数の制限や、スリップリン
グ(411)に介在する摺動ノイズの影響を考えてドラ
ム外に取り出すことができない場合がある。この場合、
図21のようにドラム内蔵の回路基板内にアクチュエー
タのドライバ(401)と、上述の速度推定オブザーバ
(402)を構成し、電気的ダンピング込みのアクチュ
エータをスリップリング(411)を介してドラム外か
ら制御する形として実現することができる。
【0125】一方、位置検出信号を回転ドラム外に取り
出し、位置制御回路及びドライバをドラム外で構成する
ことも可能である。例えば、図22がその一例で、光セ
ンサの発光素子(605)であるLEDもしくはレーザ
を図中の駆動信号により点滅駆動させる。この際、点滅
の周波数は、オブザーバ帯域よりも十分高く、また、ロ
ータリートランス(412)の通過可能周波数範囲とす
る。図では、スリップリング(411)により発光素子
(605)の駆動信号を送っているが、容量の大きなロ
タリートランスにて駆動信号を伝送するか、電源のみ別
の手段(容量の大きいロータリートランスもしくはスリ
ップリング)にて供給し、指令信号のみを送る方法でも
同様に点滅駆動させることができる。
【0126】このようにして点滅駆動された光は、ミラ
ー(606)を介して受光素子(602)にて交流の光
電流に変換される。この光電流はロータリートランス通
過可能な周波数領域における光電流信号であるため、容
易にロータリートランス(412)を通過し、回転ドラ
ム外の検波回路(608)にて受光素子(602)の受
光光量に変換され、差動アンプ(607)にてアクチュ
エータ可動部の変位量として取り出すことができる。
【0127】また、図22のような光センサの場合でな
くても、上述した容量式センサの場合は、センサの持つ
容量とコイルを用意し、LC発振回路となるような構成
とし、上記発振回路からの交流信号をロータリートラン
ス外に取り出した後、周波数−電圧変換(F/V変換)
を行い、可動部位置信号を取り出してもよい。また、こ
のような方法以外にも、ドラム内に用意した電圧−周波
数変換(FM変調)回路、もしくは電圧−パルス幅変換
(PWM変調)回路、もしくは電圧−交流振幅変換(A
M変調)回路等により、ロータリートランス(412)
を介してドラム外に取り出しても同様の効果が得られる
ことは言うまでもない。
【0128】以上のように可動部の位置信号が常にロー
タリートランスの外部に取り出される場合は、上述した
ソフトウェアのアルゴリズムでも実現できるしアナログ
回路による構成も可能である。しかし、回転ドラム上に
配置したオブザーバ回路と位置制御回路で実現する場合
は、回路規模の制約からアナログ回路で構成しなければ
ならない場合が生じ、この時オブザーバアナログ演算値
にドリフト等が生じないようオブザーバの位置信号入力
の直流成分をカットする必要がある。
【0129】ただし、この時、オブザーバの駆動電圧入
力においても同様に直流分をカットしておかないと、推
定誤差に直流的な予測誤差が生じて、オブザーバが動作
しなくなることは言うまでもない。
【0130】このような構成にしても、上記オブザーバ
は位置制御システムの高周波域を受け持っているため何
ら問題が生じない。これは、図23の極配置がほとんど
変わらないのと等価である。
【0131】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、可動ヘ
ッドの高さを所望の絶対高さに制御することができ、絶
対高さ検出用の交流磁界の電磁誘導信号も、ロータリー
トランス上において記録信号電流からのクロストークに
疎外されることなく、また高さ検出信号増幅器のアンプ
ゲインを、情報信号増幅器のゲインと別々にすることが
できるため正確な高さ検出が可能となる。同時に、ドラ
ム回転中は、アクチュエータに内蔵された位置センサに
より構成された位置制御により固定され、速度推定オブ
ザーバによりダンピング制御されるため、装置振動等に
よる可動ヘッドの振動や位置ずれをも防ぐことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘッド位置制御装置の要部を示す
回転ドラムの一実施例とそのジンバルバネに設けられた
2個のヘッド構造を拡大して示す本発明の好適な実施例
の断面図及び拡大図である。
【図2】本発明における絶対高さ検出素子の好適な実施
例を示す拡大平面図である。
【図3】本発明における絶対位置検出回路の検出信号増
幅部の回路図である。
【図4】図3におけるスイッチング用トランジスタの動
作モードをドラム一回転に付き表した説明図である。
【図5】本発明に用いられる絶対高さ検出器が設けられ
たヘッドアクチュエータの好適な実施例を示す断面図で
ある。
【図6】図5の変形例であって、ホールセンサの要部拡
大断面図である。
【図7】本発明における絶対高さ検出器を光センサを構
成した場合のヘッドアクチュエータを示す断面図であ
る。
【図8】光センサを用いた絶対高さ検出器の他の実施例
を示す要部拡大断面図である。
【図9】光センサの可動部変位量の検出原理を示す説明
図である。
【図10】本発明においてヘッドアクチュエータを駆動
するためのオブザーバの伝達関数ブロック図である。
【図11】本発明におけるオブザーバによるダンピング
ループの有無におけるアクチュエータ伝達特性の比較図
である。
【図12】オブザーバの回路構成の一例を示す回路図で
ある。
【図13】本発明におけるアクチュエータ制御回路の一
例を示すブロック図である。
【図14】図13のブロック図におけるオープンループ
特性を表した特性図であり、図45(a)及び図45
(b)はそれぞれ他の補償方式を持ったオープンループ
特性図である。
【図15】図13のブロック図における低域補償回路の
ブロック図及びゲイン伝達特性図である。
【図16】図13のブロック図における位置制御補償器
の補償フィルタ伝達特性図である。
【図17】図13における本発明の実施例の制御系をソ
フトウエアによって実現した場合のメインプログラムの
フローチャートである。
【図18】図13のブロック図における速度推定オブザ
ーバのサブルーチンプログラムのフローチャートであ
る。
【図19】図13のブロック図における位置制御補償器
のサブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図20】図13における絶対高さ補正サブルーチンプ
ログラムのフローチャートである。
【図21】本発明におけるホールセンサを用いた位置検
出によってオブザーバを構成した制御システムの一例を
示す回転ドラム及び制御部の説明図である。
【図22】本発明の実施例である光センサを用いたアク
チュエータ位置検出器の全体構成図である。
【図23】アクチュエータ及びトラッキング制御システ
ム及びオブザーバの極配置を表した説明図である。
【図24】本発明における磁気ヘッド及び絶対高さ検出
ヘッドのヘッド配置を示す説明図である。
【図25】本発明における回転ドラム内の信号伝送平板
形ロータリトランスのチャンネル配置を示す説明図であ
る。
【図26】図24におけるヘッド及び絶対高さ検出素子
のテープとの接触期間を示す説明図である。
【図27】従来における回転ドラムの可動ヘッド及びヘ
ッドアクチュエータを示す要部断面図である。
【図28】図27において台座を除去した回転ドラム及
び回転ドラムに設けられたアクチュエータを示す図27
の28−28矢視図である。
【図29】図28におけるアクチュエータの底面図であ
る。
【図30】図29の30−30断面図である。
【図31】図29の31−31線に沿った側面図であ
る。
【図32】従来における回転ドラムに内蔵された複数の
ヘッドの配置を示す説明図である。
【図33】従来において可動ヘッド高さを調整するため
の交流磁界発生装置と可動ヘッドがこれらの交流磁界を
検出してアクチュエータを駆動するための制御部を示す
説明図である。
【図34】従来における交流磁界発生装置と回転ドラム
の関係を示す配置説明図である。
【図35】従来におけるヘッド高さ調整装置のブロック
回路を示す説明図とアクチュエータへの制御信号を示す
特性図である。
【図36】従来における交流磁界発生装置の一例を示す
説明図である。
【図37】図36における磁束説明図である。
【図38】従来における前述した図33の第1従来例及
び図35の第2従来例と異なる従来における第3従来例
のブロック回路図である。
【図39】従来におけるアクチュエータのヒステリシス
特性図である。
【図40】図39のヒステリシス特性によって従来生じ
ていたトラックエラーを示す説明図である。
【図41】従来におけるヘッド高さ位置と交流信号を検
出した信号の特性図である。
【図42】従来における交流磁界発生装置の磁束を更に
詳細に示す説明図である。
【図43】従来における高さ制御部の第4の例を示す説
明図である。
【図44】図43におけるヘッドの高さ位置の違いによ
る再生出力を示す説明図である。
【図45】従来における第5の制御回路を示す説明図で
ある。
【図46】従来におけるヘッド段差と同期検波出力の特
性図である。
【図47】従来における回転ヘッドに設けられた各ヘッ
ドの配置説明図である。
【図48】従来における更に他の第6番目の制御回路を
示す説明図である。
【図49】従来における第7番目の制御回路を示す説明
図である。
【図50】従来における交流磁界発生装置と回転ドラム
との関係を示す説明図である。
【図51】図50における磁束と回転ドラムとの関係を
更に詳細に示す説明図である。
【図52】図51の更に詳細な説明図である。
【図53】従来における図51,図52における各面で
の再生出力波形を示す説明図である。
【図54】従来における交流磁界発生コイルの斜視図で
ある。
【図55】図54における55−55方向から見た要部
断面図である。
【図56】従来における交流磁界発生コイルの他の例を
示す説明図である。
【図57】従来における交流磁界発生コイルの更に他の
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 固定ドラム 3 回転軸 5 回転ドラム 7,7a,7b ボイスコイル型アクチュエータ 16 可動ヘッド 20 磁気テープ 37 固定ヘッド(オーディオヘッド) 40 交流磁界発生装置 42,43,51,52,52a,53,53a バン
ドパスフィルタ 44 減算器 45,45a 交流磁界発生コイル 45U,45L コイル 45c 磁心 45s シールド 46,46a,58,58a,60,60a ドライバ 47,47a 発振回路 50,51 記録・再生アンプ 54,54a,55,55a サンプルホールド回路 56,56a,66 差動アンプ 57,57a 補償回路 59,60 割算器 61 スイッチ回路 62 タイミングコントロール回路 65,65a 可変ゲインコントロールアンプ 72 スペーサ 73 絶対高さ検出素子 74 検出コイル 75 バンドパスフィルタ 76 スイッチングトランジスタ 101 低域補償器 102 位置制御補償器 103 速度推定オブザーバ 104 ドライブアンプ 105 絶対高さ検出回路 106 絶対高さ検出センサ 107 アクチュエータ 108 可動部の位置検出手段 201 マグネット 202 ヨーク 203a ジンバルバネ 203b 板バネ 204 コイルボビン 205 アクチュエータコイル 206 アクチュエータ 207,406 ヘッドアンプ 208 ウォブリングサーボ回路 209,401,717 ドライバ 301 アクチュエータ機構部 302 アクチュエータコイル抵抗 303 ドライブアンプゲイン 304,305,306,307 アクチュエータ等価
回路 308,309 オブザーバフィードバックゲイン 310 速度フィードバックゲイン 402 オブザーバ(速度推定手段) 403 ドラム回転制御回路 404 パイロット信号生成回路 405 変調回路 407 トラッキングエラー生成回路 408 トラッキング制御補償回路 409 キャプスタン制御回路 410 回転ドラム 411 スリップリング 412 ロータリートランス 413 ポジションセンサ(位置検出手段) 501 マグネットホルダー 502,505 マグネット 503,506 ホールセンサ 504,607 差動増幅器(センサアンプ) 507 基板 508 ドラム搭載基板 601 発光部 602 受光部 603 レンズ 604 出射まど(しぼり) 605 発光素子 606 反射ミラー 608 検波回路 701 バンドパスフィルタ 702 同期検波回路 703 位相器 704 反転アンプ 705 発振器 707 減算器 708,713,714 ローパスフィルタ 709 固定ヘッド 710 フェイズロックドループ(PLL)回路 711 ヘッドアンプ 712 オートゲインコントロール(AGC)回路 715 キャプスタン位相制御回路 718 キャプスタンモータ 719 リニアトラックヘッド 720 磁気テープ 801,807,808,911,913 コンデンサ 802,803,804,805,806,904,9
07,908,909差動増幅器 901 等価コイル 902,903 電流検出抵抗 910,912 フィルタ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転ドラム内に設けられたアクチュエー
    タにより上記回転ドラムの回転軸に平行な方向に変位可
    能で、テープへ記録再生する信号録再用可動ヘッドと、
    上記アクチュエータに内蔵され上記アクチュエータの高
    さ方向の位置を検出する位置検出器とを備え、上記アク
    チュエータの駆動電圧もしくは駆動電流と、上記位置検
    出器の検出変位量が入力され、上記アクチュエータの機
    械特性である2次積分特性を模擬するための2つの積分
    フィルタおよび2つのフィードバックループを含む演算
    回路にて構成され、可動ヘッドの速度についての速度推
    定信号を出力する速度推定手段と、上記速度推定信号の
    直流成分を除去するための直流成分除去手段と、によ
    り、上記アクチュエータに対し速度フィードバックルー
    プを構成したことを特徴とする、磁気記録再生装置にお
    ける可動ヘッドの位置制御装置。
  2. 【請求項2】 上記位置検出器が上記アクチュエータの
    高さ方向の位置を検出するために、発光部と受光部とを
    有する光学的位置検出器を備え、上記光学的位置検出器
    の発光部をロータリートランスを介した交流電流によっ
    て点滅駆動し、受光部での点滅光検知電流を上記ロータ
    リートランスを介して電送することにより、上記可動ヘ
    ッドの高さ検出情報を回転ドラム外部に取り出し、かつ
    上記速度推定手段を構成する電気回路が、上記回転ドラ
    ム内に構成されていることを特徴とする、請求項1に
    載の磁気記録再生装置における可動ヘッドの位置制御装
    置。
  3. 【請求項3】 回転ドラム内に設けられアクチュエータ
    により上記回転ドラムの回転軸に平行な方向に変位可能
    で、テープへ記録再生する信号録再用可動ヘッドと、上
    記アクチュエータの高さ方向の位置を検出するための位
    置検出器とを備え、上記アクチュエータの速度を上記位
    置検出出力から推定することにより、上記アクチュエー
    タに対し速度フィードバックループを構成すると共に、
    上記速度フィードバックループの他に上記可動ヘッドに
    おける回転ドラムの回転軸と平行な高さ方向に位置制御
    するための位置フィードバックループを構成した磁気テ
    ープ装置において、上記位置フィードバックループの制
    御帯域よりも速度フィードバックループの制御帯域が高
    く、上記位置フィードバックループの制御帯域よりも十
    分に低い周波数領域において、上記速度フィードバック
    ループよりも位置フィードバックの制御ゲインが大きく
    なるように、上記2つのフィードバック手段の補償回路
    を設けたことを特徴とする、磁気記録再生装置における
    可動ヘッドの位置制御装置。
  4. 【請求項4】 上記速度フィードバックループの演算と
    上記位置フィードバックループの両方の演算をディジタ
    ル演算回路を備え、このディジタル演算回路の1回の巡
    回サイクル内において、上記速度フィードバックループ
    の演算と、上記位置制御ループの演算の両方を行うこと
    を特徴とする、請求項3に記載の磁気記録再生装置にお
    ける可動ヘッドの位置制御装置。
  5. 【請求項5】 上記位置フィードバックループにおける
    低周波領域のループゲインを確保するため、この位置フ
    ィードバックループに積分特性を有する低域補償手段を
    備えたことを特徴とする、請求項3に記載の磁気記録再
    生装置における可動ヘッドの位置制御装置。
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