JP2654529B2 - 健康飲料組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は健康飲料組成物に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】現代人は、往々にして不規則な食生活を
強いられ、また種々のストレスを被むり、ガンを初めと
する各種疾病の危機にさらされており、健康指向より、
飲食品に対する要求は益々強まりつつある。特に、独身
者、単身赴任者、ＯＬ、管理職、共稼ぎ者等は、食事が
不規則となりがちで、出張や旅行等を含め外食する機会
が多く、栄養バランスの偏りや摂取カロリーのとりすぎ
による健康阻害、肥満、成人病発症等の種々の病的状態
に陥りやすい。また最近、野菜ぎらいの人、肉類の好き
な人、偏食がちの子供、加工食品やファーストフードを
よく利用する人等が増えつつあり、之等の人々も野菜類
を摂取する機会が少なくなっている。しかるに、上記野
菜、特に緑黄色野菜の摂取不足は、大腸ガンの一因とな
る旨の報告もあり、かかる緑黄色野菜の摂取不足を補う
ための飲食品の開発が要望されている。

【０００３】しかして、従来よりカロチンの一種である
β−カロチンが、上記ガンの予防に寄与すること、即ち
該カロチンはその構造式より明らかなように多くの共役
二重結合を有しており、生体内でラジカルが発生した場
合、該ラジカルと結合してこれを安定化し、生体内にお
けるラジカル連鎖反応を停止させて（ラジカルスカベン
ジャー作用）、生体構成蛋白質等の異化を防止し（酸化
防止作用）、もって発ガンを予防する作用（抗ガン作
用）を奏することや、ビタミンＡの前駆体であり、プロ
ビタミンＡ作用、紫外線による日焼け防止作用や免疫賦
活作用を有することは報告されているが、これを実際に
添加配合した飲食品及びその摂取による上記作用の発現
については、従来報告がない。

【０００４】また従来より、前記緑黄色野菜の摂取不足
を補うための飲食品として、食物繊維、殊に水可溶性の
ポリデキストロースを添加配合した飲料が研究開発され
ており、これは宿便、便秘の改善作用を奏することが知
られているが、一般に食物繊維物質は、これを配合した
組成物の保存安定性を低下させ、また同時に配合される
他の物質の消化吸収性を低下させるといわれており、こ
れを含む飲食品の配合処方にはかなりの注意が必要であ
り、また他の配合成分の選択には厳しい制約があり、特
に前記カロチン等の油溶性物質との併用は、得られる組
成物の安定性、吸収性等の面を考慮すれば、困難である
と考えられてきた。従って、かかる食物繊維と上記カロ
チンと組み合わせた飲食物に関する研究は、従来皆無で
あり、斯界の要望に合致する之等を同時に摂取できる飲
食品の開発は、今だなされていない現状にある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記斯
界の要望に鑑みて、カロチンと食物繊維との配合剤を提
供することを目的として研究を重ねた結果、カロチンと
ポリデキストロースとの所定量を同一製品中に含有させ
た新しい健康飲料組成物によれば、之等が同時に摂取で
きることは勿論のこと、実に驚くべきことに、併用され
るポリデキストロースがカロチンの消化・吸収性を実質
的に阻害しないばかりかむしろ向上させ、また得られる
組成物の保存安定性、乳化安定性も優れており、更にそ
の味覚、臭、飲食感等も飲料製品として充分に満足でき
るものとなるという新しい事実を見出だした。本発明は
かかる新しい知見に基づいて完成されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリデ
キストロース３〜１０ｇ／１００ｍｌ、カロチン０．５
〜３０ｍｇ／１００ｍｌ、ビタミンＥ ０．５〜２０ｍ
ｇ／１００ｍｌ、ビタミンＣ １０〜１０００ｍｇ／１
００ｍｌ及び糖質１〜１５ｇ／１００ｍｌを含有するこ
とを特徴とする健康飲料組成物に係わる。

【０００７】本発明の健康飲料組成物は、斯界の要望に
合致してカロチンとポリデキストロースとを同時に摂取
でき、しかもそれらの消化、吸収性も優れたものであ
り、これによって不規則な食生活の改善、健康状態の改
善、肥満、成人病発症等の予防、発ガンの危険の回避、
免疫賦活、紫外線防止、便秘の改善等を有効に行ない得
る。また、本発明組成物は飲料形態でその保存安定性、
乳化安定性に優れており、更に味覚、臭、飲食感等も充
分に満足できるものである。

【０００８】従って、本発明飲料組成物は、例えば外食
をする機会の多い人、野菜を食べる機会の少ない人、健
康指向の人、便秘がちな人等の現代人の健康保持飲料と
して非常に好適であり、手軽に摂取でき、またお年寄り
や成人病患者等の闘病生活を送っている人の栄養補給飲
料としても好適である。

【０００９】本発明飲料組成物において用いられるカロ
チンとしては、従来より食品乃至医薬品分野で知られて
いる各種のもののいずれでもよく、之等は天然物（パー
ムカロチン、ディナリエラ等）起源の精製品でも、合成
品でもよく、また精製品に限らず、α−、β−及びγ−
カロチンを混合して又は単体で含む各種動植物等の粉末
やエキス等をそのまま用いることもできる。之等の内で
は特にβ−カロチンが好ましい。かかるカロチンは、通
常本発明飲料組成物１００ｍｌ中に、０．５〜３０ｍ
ｇ、好ましくは１〜１０ｍｇの範囲で添加配合すること
ができる。

【００１０】上記カロチンは油溶性であるため、これを
配合して調製される本発明組成物には、該カロチンの溶
解させるための油剤（可食性油性材料）及びこれを乳化
させるための乳化剤の利用が必要である。之等の油剤及
び乳化剤としては、特に制限はなく、従来より食品乃至
飲料分野で慣用されている各種のものをいずれも利用す
ることができる。上記乳化剤の具体例としては、例えば
ポリグリセリン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エ
ステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、蔗
糖脂肪酸エステル類、大豆リン脂質等を例示できる。

【００１１】また本発明組成物において、ポリデキスト
ロースとしては、ファイザー（Ｐｆｉｚｅｒ Ｃｅｎｔ
ｒａｌ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｌａｂｏｒａｔｏｒｉｅ
ｓ）にて見出だされた一連のポリサッカライドをいずれ
も利用できる。之等は例えば酸及び可塑剤としてのポリ
オールの存在下にグルコースを熱重合させることにより
製造され、その製品は既に市販されている。該ポリデキ
ストロースは、通常本発明飲料組成物１００ｍｌ中に、
３〜１０ｇの範囲で添加配合することができる。

【００１２】 本発明の健康飲料組成物は、上記カロ
チンとポリデキストロースとの所定量を必須成分として
含有する液状形態を有する限り、他の組成等には特に限
定はなく、一般的な飲料製品と同様に、各種の甘味剤乃
至糖質等を添加存在させることができる。糖質として
は、例えばグルコース、果糖等の単糖類、麦芽糖、蔗糖
等の二糖類等の通常の各種の糖類や、例えばデキストリ
ン、シクロデキストリン等の多糖類、キシリトール、ソ
ルビトール、エリスリトール等の糖アルコール類、フラ
クトオリゴ糖、ラクトオリゴ糖、ガラクトシルラクトー
ス、ラクトスクロース等のオリゴ糖等を例示できる。特
に上記ラクトスクロースの添加配合によれば、得られる
本発明健康飲料組成物は、該ラクトスクロースの配合に
基づいて、体内ビフィズス菌の増加、腐敗産物の低下を
可能とし、これにより、発ガン予防及び免疫系の増強を
より一層著しいものとすることができる。また、上記以
外の甘味料としては、天然甘味剤（ソーマチン、ステビ
ア抽出物（レバウディオサイドＡ等）、グリチルリチン
等）、合成甘味剤（サッカリン、アスパルテーム等）を
有利に用いることができる。上記糖質の配合量は、一般
に、本発明組成物１００ｍｌ中に約１〜１５ｇ程度、好
ましくは５〜１２ｇ程度とされるのが適当である。また
上記オリゴ糖の配合量は、０．５〜１０ｇ程度、好まし
くは１〜３ｇの範囲とされるのが好ましい。

【００１３】本発明組成物には、上記以外にも更に各種
の栄養素、ビタミン類、ミネラル類（電解質類）、合成
香料及び天然香料等の香料、着色料等や風味物質（チー
ズ、チョコレート等）、ペクチン酸及びその塩類、アル
ギン酸及びその塩類等、有機酸類、保護コロイド物質と
しての増粘剤、ｐＨ調節剤、安定化剤、保存料、グリセ
リン類、アルコール類、炭酸飲料用発泡性成分等を添加
配合することができる。加えて本発明組成物は、これを
果汁飲料や野菜飲料等とするための天然果汁や果肉等を
添加存在させることもできる。之等は１種単独でもまた
２種以上組み合わせても利用できる。之等添加剤の配合
割合は、特に限定されるものではないが、通常本発明組
成物１００重量部に対して０〜２０重量部程度の範囲か
ら選択されるのが一般的である。

【００１４】 特に本発明では、上記ビタミン類とし
て、ビタミンＥ０．５〜２０ｍｇ／１００ｍｌ及びビタ
ミンＣ １０〜１０００ｍｇ／１００ｍｌを含有する。
之等の添加によれば抗酸化作用による抗ガン作用が期待
できる。

【００１５】電解質（ミネラル）類乃至微量元素として
も、通常のもの、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウ
ム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、グリセ
ロリン酸カルシウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、
硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化ナトリウム、
ソルビン酸カリウム、亜鉛、マンガン、銅、ヨウ素、コ
バルト等をそれぞれ挙げることができる。之等の配合量
は必要に応じて適宜決定することができる。

【００１６】本発明組成物は、上記各成分を混合して調
製され、その調製方法は特に制限されるものではなく、
全ての成分を同時に混合してもよいが、より好ましくは
β−カロチンを予め油剤に溶解し、これと、ポリデキス
トロース及びその他の添加剤の水溶液とを、乳化剤を用
いて乳化させる方法を採用するのがよく、かくして本発
明組成物を調製できる。上記方法はより詳しくは予め水
と適当な乳化剤との混合液に、カロチン溶液もしくは結
晶を加えて乳化後、得られる乳化液にポリデキストロー
スその他の成分の水溶液を添加して混合する方法を例示
できる。上記各成分の混合操作は、常温下に実施しても
よいが、若干の加温操作を採用して実施するのが好適で
ある。上記乳化は、通常の方法に従い、それぞれ適当な
乳化機、例えばホモミキサー、高圧ホモジナイザー等を
用いて、完全通過方式でもまた循環方式でも実施するこ
とができる。上記乳化後の乳化液は、これを常法に従い
濾過し、適当な容器に充填し、滅菌することにより、所
望の飲料製品とすることができ、上記滅菌は加熱滅菌又
は無菌濾過等により実施できる。また本発明組成物を炭
酸飲料とする場合には、上記乳化液に炭酸ガスを常法に
従って圧入する方法を採用すればよい。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、カロチンとポリデキス
トロースとの所定量を同一製品中に含有させた新しい健
康飲料組成物が提供される。これは両者を同時に摂取可
能とし、両者の消化、吸収性が良好で、製品の保存安定
性、乳化安定性も優れており、更に飲料としての好まし
くない苦みや他の異味臭を有さず、味、臭、飲食感等も
飲料製品として充分に満足できる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、本
発明健康飲料組成物の調製例を実施例として挙げる。

【００１９】

【実施例１〜１１】β−カロチン、抽出カロチン、ポリ
デキストロース、乳化剤（蔗糖脂肪酸エステル）、油剤
（柑橘類精油）、糖質（異性化糖、精製白糖、果糖及び
ブドウ糖）、有機酸類（クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、
乳酸）、ビタミン類（アスコルビン酸及びビタミン
Ｅ）、オリゴ糖（フラクトオリゴ糖）並びに香料、甘味
料を第１表に示すそれぞれの配合量で用いて、本発明の
健康飲料組成物を調製した。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【実施例１２〜１７】β−カロチン、抽出カロチン、ポ
リデキストロース、オリゴ糖（フラクトオリゴ糖）、糖
質（異性化糖、精製白糖、果糖及びブドウ糖）、レバウ
ディオサイドＡ及び各種陰イオン及び陽イオンを第２表
に示すそれぞれの配合量で用いて、前記各実施例と同様
にして本発明の健康飲料組成物を調製した。

【００２２】

【表２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−99472（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−190166（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−220169（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−91769（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリデキストロース３〜１０ｇ／１００
   ｍｌ、カロチン０．５〜３０ｍｇ／１００ｍｌ、ビタミ
   ンＥ ０．５〜２０ｍｇ／１００ｍｌ、ビタミンＣ １
   ０〜１０００ｍｇ／１００ｍｌ及び糖質１〜１５ｇ／１
   ００ｍｌを含有することを特徴とする健康飲料組成物。