JP2651472B2 - 新規な接触分解用触媒組成物ならびにそれを用いる接触分解法 - Google Patents

新規な接触分解用触媒組成物ならびにそれを用いる接触分解法

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JP2651472B2
JP2651472B2 JP9478691A JP9478691A JP2651472B2 JP 2651472 B2 JP2651472 B2 JP 2651472B2 JP 9478691 A JP9478691 A JP 9478691A JP 9478691 A JP9478691 A JP 9478691A JP 2651472 B2 JP2651472 B2 JP 2651472B2
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満 大井
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SEKYU SANGYO KATSUSEIKA SENTAA
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素油の接触分解
用触媒組成物及びそれを用いる炭化水素油の接触分解法
に関し、詳しくは残油分解性に優れ、かつオクタン価の
高いガソリンを製造することのできる接触分解用触媒組
成物と、該組成物を使用して炭化水素油を接触分解する
方法とに関する。
【0002】
【技術背景】一般に、石油精製技術においては、オクタ
ン価の高い接触分解ガソリンを収率よく製造することが
最も重要な課題であるが、最近は、原油事情や石油製品
の市場動向から、常圧蒸留残渣油や減圧蒸留残渣油(以
下、残渣油という)を分解する白油化技術としての利用
が重要な役割を担っている。オクタン価の高い接触分解
ガソリンを得ることを目的とした触媒としては、USY
ゼオライト(超安定Yゼオライト)のような安定化Yゼ
オライトと無機酸化物マトリックスとからなる触媒を用
いる方法が提案されている(特開昭51−107294
号,同54−161593号公報参照)。しかし、安定
化Yゼオライトを含有する触媒を用いて、炭化水素油を
接触分解する場合、ガソリン留分中にオレフィン分が多
量に含まれてしまう等の問題がある。一方、残渣油の分
解性を向上させることを目的とした触媒としては、無機
酸化物マトリックスとしてシリカ−アルミナやベーマイ
ト等を使用し、Yあるいは安定化Yゼオライトとこれら
の酸化物マトリックスとを混合し、無機酸化物マトリッ
クスに活性を持たせる技術が提案されている(特開昭5
8−163439号公報参照)。しかし、この場合に
も、ガソリン留分中のオレフィン分の増加を招くと共
に、コークや水素の生成もが増加してしまうという問題
が生じる。いずれの場合にも、オレフィン分が多くな
り、ガソリン品質上好ましくない。この対策として、従
来は、ゼオライトを希土類元素でイオン交換した触媒を
用いることによりオレフィン分の低下を図っているが、
この触媒を使用するとオクタン価の低下が余儀無くされ
る。
【0003】
【発明の目的】本発明は、炭化水素油、特に残渣油の接
触分解において、オレフィン分が少ないにもかかわらず
オクタン価が高く、更に水素,コークの生成が抑制でき
る接触分解用触媒組成物と、該触媒組成物を用いる炭化
水素油の接触分解方法とを提供することを目的とする。
【0004】
【発明の概要】本発明者らは、上記の目的を達成するた
めに鋭意検討を行った結果、特願平2−172500号
明細書に開示した安定化Yゼオライトに一定の条件下で
熱的負荷をかけた結晶性アルミノケイ酸塩をもとに、こ
れに希土類元素,Mg及びCaからなる群から選ばれた
1種の活性金属でイオン交換、もしくは該金属を担持さ
せた金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩と無機酸化物マ
トリックスとからなる混合物を用いればよいとの知見を
得、本発明を完成するに至った。
【0005】本発明の触媒組成物は、(A)結晶性アル
ミノケイ酸塩が (a)化学組成分析によるバルクのSiO/Al
モル比が5〜15、 (b)ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比が
0.3〜0.6、 (c)単位格子寸法が24.45Å未満、 (d)アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02重量
%以上1重量%未満、 (e)細孔分布において50Å付近及び180Å付近に
特徴的なピークを示し、かつ100Å以上の細孔容積が
全細孔容積の10〜40%を有し、 (B)上記(A)の結晶性アルミノケイ酸塩を希土類元
素,Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1
種の金属でイオン交換、もしくは該金属を担持し、その
金属は金属修飾型アルミノケイ酸塩を基準にして酸化物
として0.2重量%〜15重量%を含有し、かつ (C)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有する
ことで特徴づけられる金属修飾型結晶性アルミノケイ酸
塩を不可欠の構成成分として含むことを特徴とする。ま
た、本発明の触媒組成物は、上記の触媒組成物と無機酸
化物マトリックスとの混合であることをも特徴とする。
そして、本発明の接触分解法は、この混合触媒を使用し
て、ガソリン範囲以上で沸騰する炭化水素混合物を接触
分解することを特徴とする。
【0006】本発明の触媒組成物における上記(A)の
結晶性アルミノケイ酸塩(以下、ヒートショック結晶性
アルミノケイ酸塩という)の製造において、出発原料と
して使用する安定化Yゼオライトは、いわゆるYゼオラ
イトを高温、水蒸気処理を少なくとも1回行うか、ある
いは化学処理を行うことにより得られ、結晶度の劣化に
対して耐性を示すものである。
【0007】安定化Yゼオライトは、SiO/Al
モル比が5〜15で、単位格子寸法が約24.50
Å以上24.70Å未満、好ましくは約24.50Å以
上24.60Å未満であり、アルカリ金属含有量が酸化
物換算で約0.02重量%以上1重量%未満、好ましく
は約0.05重量%以上0.8重量%未満のYゼオライ
トを指す。安定化Yゼオライトは、天然のホージャサイ
トと基本的には同一の結晶構造を有し、酸化物として表
して組成式: 0.01〜1.0R2/mO・Al・5〜15S
iO・5〜8HO (式中、RはNa,K又はその他のアルカリ金属イオン
又はアルカリ土類金属イオンであり、mはその原子価で
ある)を有する。ここで使用する原料の安定化Yゼオラ
イトは、その中でもR2/mOの含有率が低いもので、
上記係数が0.01〜0.1相当のものである。
【0008】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩
は、上記安定化Yゼオライトを一定の熱的負荷をかける
ことにより得ることができる。熱的負荷は、約600〜
1200℃、好ましくは約600〜1000℃で、約5
〜300分間、好ましくは約5〜100分間の範囲内
で,かつ上記安定化Yゼオライトの結晶化度低下率が約
20%、好ましくは約15%以下となる条件で焼成すれ
ばよい。温度が低過ぎると所望のものが得られず、逆に
高過ぎたり、焼成時間が長過ぎるとゼオライトの結晶構
造が崩壊する。通常、電気炉又は焼成炉内で空気又は窒
素雰囲気下で常圧で焼成を行うが、水蒸気分圧約0〜
0.5気圧の空気又は窒素雰囲気下の電気炉中に放置し
て焼成してもよい。適度な湿度は、脱アルミを起こし易
く、低温度でもヒートショックを生じさせることができ
る。ヒートショック条件下では、ゼオライトの結晶構造
をできるだけ崩壊しないよにすることが望ましく、上記
安定化Yゼオライトの結晶化度低下率が約20%以下、
好ましくは約15%以下である条件下で行う。
【0009】安定化Yゼオライトの結晶化度は、AST
M D−3906(Standard Test Me
thod for Relative Zeolite
Diffraction Intensities)
法に従って求められる。標準試料は、Y型ゼオライト
(Si/Al比5.0、単位格子寸法24.58Å、N
O量0.3重量%)とし、試験試料と標準試料との
相対的X線回折の強度比として求められる。ヒートショ
ックによる安定化Yゼオライトの結晶化度低下率は、次
式から求められる。
【数1】 ヒートショックを与えるに際し、試料は上記温度到達
後、焼成炉内に入れてもよいし、あるいは試料を焼成炉
内に置いた後、室温から徐々に昇温し、所定温度に到達
させてもよく、昇温速度は特に規定されない。
【0010】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩
は、安定化Yゼオライトを熱処理して得られるが、Yゼ
オライトの熱処理でヒートショック結晶性アルミノケイ
酸塩を直接製造しようとすると、結晶構造が崩壊してし
まい、目的を達成することができない。その理由は、必
ずしも明らかではないが、Yゼオライトを熱処理して先
ず安定化Yゼオライトを作製し、その状態で結晶構造が
落ち着く、すなわち安定化する、のを待ってから改めて
熱処理を行うことが必要なためと考えられる。
【0011】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩
は、化学組成分析によるバルク(全体として)のSiO
/Alモル比が約5〜15、好ましくは約5〜
12である。単位格子寸法は、約24.45Å未満、好
ましくは24.42Å未満である。単位格子寸法の測定
は、ASTM D−3942/85に準拠して、X線回
折のピークを用いて計算することができる。この値が大
き過ぎると耐水熱性が悪くなる。
【0012】全Alモル比に対するゼオライト骨格内の
Alの割合は、約0.3〜0.6、好ましくは約0.3
5〜0.6である。この値は、上記化学組成分析による
SiO/Alモル比及び単位格子寸法から次式
(1)〜(3)によって算出される(H.K.Beye
r et al.,J.Chem.Soc.,Fraa
day Trans.1,1985,81,2899
頁)。
【数2】 NAl=(a−2.425)/0.000868 (1) a :単位格子寸法〔nm〕 NAl:単位格子当たりのAl原子の数 (Si/Al)計算式=(192−NAl)/NAl (2) ゼオライト骨格内Al/全Al= (Si/Al)化学組成分析/(Si/Al)計算式 (3)
【0013】なお、(2)式は、Yゼオライトの単位格
子寸法当たりの(Si/Al)の原子数が192個であ
ることから求められる。バルクのSiO/Al
モル比が同一の場合、全Alに対するゼオライト骨格内
Alのモル比が小さ過ぎると、接触分解に必要な触媒活
性が失われる。一般には、安定化ゼオライトの場合、骨
格外AlすなわちアモルファスのAl比率が高くなるこ
とから、選択性もアモルファス触媒に近い挙動を示し、
水素の発生、コークの生成量及びガソリン中のオレフィ
ン量が増加する。一方、ヒートッショク結晶性アルミノ
ケイ酸塩の場合は、骨格外Alの比率が高くなると、逆
に水素の発生、コークの生成量及びガソリン中のオレフ
ィン量が低下する。その理由は定かではないが、触媒調
製時にシリカゲルと骨格外Alの反応により新たな活性
点が生じるためと考えられる。そして、上記の全Alに
対するゼオライト骨格内Alモル比が大き過ぎると、ガ
ソリン中のオレフィン量は減少するが、触媒の耐水熱性
は低下し、またコーク生成量も増加する。
【0014】アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属酸
化物の含有量は、約0.02重量%以上約1.0重量%
未満、好ましくは約0.05重量%以上約0.8重量%
未満である。結晶性アルミノケイ酸塩中にアルカリ金属
あるいはアルカリ土類金属が多量に存在すると、触媒の
分解活性が低下すると共に、原料油、特に重質油原料油
中に多く含まれている重金属であるニッケル、バナジウ
ム等が付着した場合、活性劣化を引き起こし易いという
問題が生じる。アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属
酸化物の含有量が0.02重量%を下回ると、結晶構造
の崩壊が起き易く好ましくない。
【0015】全細孔容積に対する100Å以上の細孔容
積の割合は、約10〜40%、好ましくは約10〜35
%である。この割合が少な過ぎると、小さい細孔の比率
が大きくなり、分子径の大きなものの反応性が悪くな
り、ボトム分解能(重質分分解能)1が低下し、また分
解後の生成物が活性点より速やかに離脱し難くなるた
め、コーク生成量の増大を招く。逆に、多過ぎると、大
きい細孔の比率が大きくなり、表面積が減少して、反応
性が悪くなる。また、ヒートショック結晶性アルミノケ
イ酸塩は、細孔分布において、約50Å付近及び約18
0Å付近に特徴的なピークを示し、かつYゼオライトの
主要なX線回折パターンを有する。細孔分布及び細孔容
積は、BET表面積測定法と毛細管凝縮法を適用するこ
とにより求めることができる。
【0016】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩
は、安定化Yゼオライトに一定の熱的負荷をかけること
により得られるが、その大きな特徴は、単位格子寸法が
約24.45Å未満であり、安定化Yゼオライトの約2
4.50Å以上24.70Å未満と比べて小さくなって
いることと、細孔分布において約50Å付近と約180
Å付近に特徴的なピークを示す点である。更に、もう1
つの特徴として、27Al−MAS(Magic An
gleSpinning)NMRスペクトルによれば、
安定化Yゼオライトが2つのピークを示すのに対し(図
2参照)ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩は3つ
の特徴的なピークを示す(図1参照)点が挙げられる。
なお、図1及び図2の横軸は標準物質であるAl(NO
のピークからのシフト値(ppm)を示し、縦軸
はスペクトル強度である。図1及び図2において、ピー
クは4配位のAlすなわち結晶格子内のAlによるピ
ークを示し、ピークは5配位のAlのピークを示し,
ピークは6配位のAlすなわち結晶格子外のAlによ
るピークを示す。このピークに表れる5配位のAl
は、例えばJ.Am.Chem.Soc.,1986,
108,6158〜6162に記載されているように結
晶格子内の4配位のAlから格子外の6配位のAlに移
る途中の不安定な状態のAlの形態と思われる。しか
し、ヒートショック後、長時間経過しても触媒に5配位
のAlのピークは存在するが、水和状態になるとと
のピークに隠れ、5配位のピークは検出されなくなる。
ここでいう水和状態とは、空気中、常温で放置して約1
週間低度で達する状態をいう。
【0017】本発明の金属修飾型結晶性アルミノケイ酸
塩は、上記(A)の結晶性アルミノケイ酸塩を希土類元
素,Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1
種の金属でイオン交換され、もしくは該金属を担持した
(以下、簡略化のため、イオン交換もしくは担持と略記
する)ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩(以下、
各々、ヒートショック金属イオン交換結晶性アルミノケ
イ酸塩、ヒートショック金属担持結晶性アルミノケイ酸
塩といい、総称してヒートショック金属修飾型結晶性ア
ルミノケイ酸塩という)である。希土類元素としては、
スカンジウム,イットリウム,ランタン,セリウム,ア
クチニウム等であり、これらの混合物でもよく、好まし
くはランタンである。このような金属でのイオン交換又
は担持により、高オクタン価のガソリンを製造すること
ができる。
【0018】イオン交換は、ヒートショック結晶性アル
ミノケイ酸塩を従来公知の方法を用いて行うことができ
る。また、担持も、従来公知の方法で行うことができ
る。例えば、ランタン,マグネシウム,カルシウム等の
塩化物,硝酸塩,硫酸塩,酢酸塩等が上述の金属の化合
物として使用され、これらの金属化合物の1種又は2種
以上を含有する水溶液を、上記乾燥物に含浸させ、ある
いはこれら水溶液中に浸漬し、更に必要に応じて加熱す
ることにより行われ得る。イオン交換又は担持する金属
は、ヒートショック金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩
を基準にして酸化物として0.2〜15重量%であり、
好ましくは0.5〜8.0重量%である。金属量は少な
過ぎると効果が現れず、多過ぎても効果はそれ程伸びな
い。
【0019】また、ヒートショック金属修飾型結晶性ア
ルミノケイ酸塩は、実質上、図3に示すX線回折パター
ンを有する。図3中、1,2及び3は、最も強い回折を
示す格子面間隔(d)のピークで、各々14.1±0.
2Å,5.61±0.1Å及び3.72±0.1Åであ
る。そして、図3のX線回折図は、代表例としては表1
のような値を有する。
【0020】
【表1】
【0021】また、本発明の触媒組成物は、上述のヒー
トショック金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩と無機酸
化物マトリックスとを混合したものをも含む。この無機
酸化物マトリックスとしては、例えば、シリカ,アルミ
ナ,ボリア,クロミア,マグネシア,ジルコニア,チタ
ニア,シリカ−アルミナ,シリカ−マグネシア,シリカ
−ジルコニア,クロミア−アルミナ,チタニア−アルミ
ナ,チタニア−シリカ,チタニア−ジルコニア,アルミ
ナ−ジルコニア等、あるいはこれらの混合物であり、モ
ンモリロナイト,カオリン,ハロイサイト,ベントナイ
ト,アタパルガイト,ボーキサイト等の少なくとも1種
の粘土鉱物を含有することもできる。これら無機酸化物
マトリックスと上述のヒートショック金属修飾型結晶性
アルミノケイ酸塩との混合物の製造方法は,通常の方法
によることができ、代表的には適当な無機酸化物マトリ
ックスとして、例えば、シリカ−アルミナヒドロゲル,
シリカゾル又はアルミナゾルの水性スラリーを用い、そ
れに上述のヒートショック金属修飾型結晶性アルミノケ
イ酸塩を加え、よく混合攪拌した後、噴霧乾燥し、触媒
微粒子として得ることができる。この場合において、混
合した触媒組成物中のヒートショック金属修飾型結晶性
アルミノケイ酸塩が約5〜60重量%、好ましくは約1
0〜50重量%、無機酸化物マトリックスが約40〜9
5重量%、好ましくは約50〜90重量%の割合となる
ように添加して使用することができる。従って、混合後
の活性金属量は、混合触媒基準で酸化物として約0.0
1〜9.0重量%を含む。
【0022】更に、本発明の接触分解法は、上述のヒー
トショック金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩と無機酸
化物マトリックスとの混合物を用いて、ガソリン範囲以
上で沸騰する炭化水素混合物を接触分解する方法であ
る。このガソリン範囲以上で沸騰する炭化水素混合物と
は、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や
常圧蒸留残油及び減圧蒸留残油を意味し、勿論コーカー
軽油,溶剤脱瀝油,溶剤脱瀝アスファルト,タールサン
ド油、シェールオイル油,石炭液化油をも包含するもの
である。
【0023】商業的規模での接触分解は、通常、垂直に
据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との2
種の容器に、上記の触媒組成物を連続的に循環させて行
われる。触媒再生器から出てくる熱い再生触媒は、分解
される油と混合されて、クラッキング反応器内を上向の
方向に導かれる。その結果、一般にコークと呼ばれる炭
素質が触媒上に分析することにより失活した触媒が分解
生成物から分離され、ストリッピング後、触媒再生器に
移される。分解生成物は、ドライガス,LPG,ガソリ
ン留分、及び例えば軽質サイクル油(LCO),重質サ
イクル油(HCO)あるいはスラリー油のような1種又
は2種以上の重質留分に分離される。勿論、これら重質
留分をクラッキング反応器に再循環させることにより分
解反応をより進めることも可能である。触媒再生器に移
された使用済み触媒は、該触媒上のコークが空気焼成に
より除去されて再生され、再びクラッキング反応器に循
環される。運転条件としては、圧力が常圧〜5Kg/c
、好ましくは常圧〜3Kg/cm、温度が400
〜600℃、好ましくは450〜550℃、触媒/原料
の重量比は2〜20、好ましくは5〜15とすることが
適している。
【0024】
【実施例】実施例1 (ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩の製造)Si
/Alモル比が7、アルカリ金属含有量が酸
化物換算で0.2wt%、単位格子寸法が約24.58
Åの安定化Yゼオライトを、電気炉で、空気雰囲気下、
常圧、800℃で10分間焼成して水熱安定性に優れた
結晶性アルミノケイ酸塩を得た。この生成物を分析した
ところ、表2の物性値を有していた。また、結晶性は原
料の安定化Yゼオライト116%(基準となるYゼオラ
イトを100%として)に対し、ヒートショック後では
112%であった(結晶性低下率3.5%)。細孔分布
は、図4に示す通りであった。この触媒をHZ−1とす
る。
【0025】
【表2】
【0026】(イオン交換によるヒートショックランタ
ン結晶性アルミノケイ酸塩の製造)上記触媒HZ−1を
10倍量の0.2N塩化ランタン水溶液で90℃、0.
5時間イオン交換し、その後ロ過水洗し、次いで115
℃で16時間乾燥後、550℃で3時間焼成した。この
ゼオライトは、Yゼオライトの主要なX線回折パターン
を示した。
【0027】(触媒組成物の調製)次に、水46.3g
と濃度30重量%のシリカゲル46.7gを攪拌混合
し、所定のpHに調整後、カオリンを乾燥基準で31.
5g、上記のランタン結晶性アルミノケイ酸塩を乾燥基
準で24.5g、及び水74gを更に加え攪拌混合し
た。得られた混合物をスプレードライヤーで乾燥微粒化
し、2000mlの蒸留水で5回洗浄した。次いで、1
15℃、16時間乾燥し、本発明の触媒組成物(以下、
触媒A)を得た。この触媒Aのランタンの量は、酸化物
として混合触媒基準で1.3重量%であった。
【0028】実施例2 (ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩の製造)実施
例1で得られたHZ−1を用いた。 (イオン交換によるマグネシウム結晶性アルミノケイ酸
塩の製造)0.2N塩化ランタン水溶液に代えて0.1
2N硝酸マグネシウム水溶液を用いた以外は、実施例1
と同様の方法で、マグネシウム結晶性アルミノケイ酸塩
を得た。 (触媒組成物の調製)ランタン結晶性アルミノケイ酸塩
に代えてマグネシウム結晶性アルミノケイ酸塩を用いた
以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の触媒組成物
(以下、触媒B)を得た。この触媒Bのマグネシウムの
量は、酸化物として混合触媒基準で0.2重量%であっ
た。
【0029】実施例3 (イオン交換によるカルシウム結晶性アルミノケイ酸塩
の製造)0.2N塩化ランタン水溶液に代えて0.17
N硝酸カルシウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同
様の方法で、カルシウム結晶性アルミノケイ酸塩を得
た。 (触媒組成物の調製)ランタン結晶性アルミノケイ酸塩
に代えてカルシウム結晶性アルミノケイ酸塩を用いた以
外は、実施例1と同様の方法で、本発明の触媒組成物
(以下、触媒C)を得た。この触媒Cのカルシウムの量
は、酸化物として混合触媒基準で0.4重量%であっ
た。
【0030】比較例1 触媒HZ−1に代えて実施例1で用いた安定化Yゼオラ
イトを用いた以外は、実施例1と同じ方法で比較触媒組
成物(以下、触媒D)を調製した。この触媒Dのランタ
ンの量は、酸化物として混合触媒基準で1.3重量%で
あった。 比較例2 触媒HZ−1に代えて実施例1で用いた安定化Yゼオラ
イトを用いた以外は、実施例2と同じ方法で比較触媒組
成物(以下、触媒E)を調製した。この触媒Eのマグネ
シウムの量は、酸化物として混合触媒基準で0.2重量
%であった。 比較例3 触媒HZ−1に代えて実施例1で用いた安定化Yゼオラ
イトを用いた以外は、実施例3と同じ方法で比較触媒組
成物(以下、触媒F)を調製した。この触媒Fのカルシ
ウムの量は、酸化物として混合触媒基準で0.4重量%
であった。
【0031】〔ベンチスケールプラント活性試験〕商業
的規模の接触分解装置をスケールダウンした装置であっ
て、クラッキング反応器と触媒再生器とを備えた循環式
流動床反応装置であるベンチスケールプラントを使用
し、上記の触媒A〜Gを用いて、炭化水素油の接触分解
特性を試験した。試験に先立ち、各供試触媒は、模擬平
衡化のため785℃、6時間、100%スチーム雰囲気
下で処理した。原料油は脱硫減圧軽油を使用し、試験条
件は反応温度500℃、触媒循環量60g/分とし、試
験は触媒A〜Gにつき触媒/原料油=4,7,9.5,
12.5の条件でそれぞれ行い、得られた4種の結果の
中から転化率66%を基準にした結果を選択し、この選
択された結果について比較を行った。この比較を表3,
表4に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、安定化Yゼオライ
トに特定の熱的負荷をかけた後、活性金属を導入したヒ
ートショック金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩を含む
本発明の触媒組成物によれば、炭化水素油、特に残油の
接触分解性に優れ、オレフィン分の少ない高オクタン価
のガソリンを提供することができる。また、ヒートショ
ック結晶性アルミノケイ酸塩と無機酸化物マトリックス
との混合物による本発明の触媒組成物によれば、上記の
効果、すなわち残渣油分解能が更に向上し、灯・軽油に
相当する中間留分(LCO)の収率が高く、水素やコー
クの生成を抑制することができる。しかも、上記混合物
による本発明の触媒組成物は、水熱安定性に優れるた
め、触媒寿命が延び、メイクアップの減少をも図ること
ができる。そして、上記の触媒組成物を用いる本発明の
接触分解法によれば、ガソリン範囲以上で沸騰する炭化
水素油を高効率で接触分解し、オレフィン分の少ない高
オクタン価のガソリンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩の27
Al−MAS NMRのスペクトルを示す図である。
【図2】安定化Yゼオライトの27Al−MAS NM
Rのスペクトルを示す図である。
【図3】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩(HZ
−1)の銅K−α線でのX線回折パターンを示す図であ
る。
【図4】ヒートショック結晶性アルミノケイ酸塩の細孔
分布を示す図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)結晶性アルミノケイ酸塩が (a)化学組成分析によるバルクのSiO/Al
    モル比が5〜15、 (b)ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比が
    0.3〜0.6、 (c)単位格子寸法が24.45Å未満、 (d)アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02重量
    %以上1重量%未満、 (e)細孔分布において50Å付近及び180Å付近に
    特徴的なピークを示し、かつ100Å以上の細孔容積が
    全細孔容積の10〜40%を有し、 (B)上記(A)の結晶性アルミノケイ酸塩を希土類元
    素,Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1
    種の金属でイオン交換、もしくは該金属を担持し、その
    金属は金属修飾型アルミノケイ酸塩を基準にして酸化物
    として0.2重量%〜15重量%を含有し、かつ (C)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有する
    ことで特徴づけられる金属修飾型結晶性アルミノケイ酸
    塩を不可欠の構成成分として含むことを特徴とする炭化
    水素油の接触分解用触媒組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の触媒組成物と無機酸化物
    マトリックスとの混合であることを特徴とする炭化水素
    油の接触分解用触媒組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の触媒組成物を使用して、
    ガソリン範囲以上で沸騰する炭化水素混合物を接触分解
    することを特徴とする接触分解法。
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