JP2651181B2 - 三次元映像表示用複合レンズ板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、眼鏡不要型三次元映像表示装置において、
例えばブラウン管等の保護ガラス裏面に描画された細密
線像群から、水平視差を持つ三次元映像を表示するため
に使用される三次元映像表示用複合レンズ板に関するも
のである。

＜従来の技術とその問題点＞ 眼鏡不要型三次元映像の表示において、多数の方向か
ら視た視差画像群を細密点像あるいは細密線像の形式と
なるように平面上に編集描画し、周期的な曲率を持った
レンズ板、即ち円柱レンズの一次元配列，あるいは球面
レンズの二次元配列と等価な曲率を持ち、焦点面と裏面
と一致するような透明物質で製作されたレンズ板を用い
て三次元映像を再生表示する方法が知られている。

上記二種類のレンズ板において、前者の円柱レンズの
一次元配列はレンティキュラーシートと呼ばれ，後者の
球面レンズの二次元配列は蝿の眼レンズと呼ばれてい
る。

そして、水平方向視差のみを持つ三次元映像表示にお
いては、水平方向に、周期的な視差を持つ視差像群を垂
直方向を向いた細密線像形式に編集描画し、レンティキ
ュラーシートをレンズ板として使用し、その裏面に該細
密線像群を描画する方法が知られている。

細密線像群が高速で自由に描画されるためには、描画
装置としてブラウン管、液晶パネル、プラズマ・パネ
ル、エレクトロルミネセンス・パネル、発光ダイオード
・パネル、蛍光表示管などの高速描画装置を使わなけれ
ばならない。

しかし、このような高速描画装置では、描画面は保護
ガラスで保護されており、描画面は保護ガラス裏面に存
在する。保護ガラス表面に保護ガラスの厚さを考慮して
製作した三次元映像再生レンズ板を配置した場合、保護
ガラスの厚さが厚いときには三次元映像再生レンズ板の
焦点距離が長くなるため、再生された三次元映像の水平
方向視域は著しく狭いものとなる。

したがって広い視域を得るためには、保護ガラス裏面
に描出された細密線像を光学的に取り出し，三次元映像
再生レンズ板の裏面に位置合せして結像させなければな
らない。

細密線像を保護ガラスの前方に取り出す従来の方法は
次の三つに大別される。

第一の方法は、大口径を持ち且つ収差が極めて小さい
リレーレンズを用いて結像せしめる方法、第二の方法
は、保護ガラス自体をガラス・ファイバー・プレートで
置き替え、保護ガラス裏面に描出された線像の一点一点
をそれぞれ一本のガラス・ファイバーで三次元映像再生
レンズ板裏面に伝送する方法、 第三の方法は、保護ガラス表面に、細密線像と位置合
せされた多数の微小球面レンズを配置し、且つ、近隣微
小レンズを通過し三次元映像再生レンズ板の裏面に到来
する方向を持った光線を遮断する如く多数の上下左右に
位置合せされた縦横格子型の遮蔽板群を配置する方法で
ある。

第三の方法において、多数の微小レンズの集合は蝿の
眼レンズあるいはそれと等価なレンズ板と置き変えても
よい。

これらの従来の方法において、第一の方法について
は、大口径で収差が極めて小さなリレー・レンズの製作
は困難であり、且つ、大きな投射空間を必要とすること
が欠点である。

第二の方法については、大面積を有し且つ機械的強度
と気密性を保持する構造のものを製作することが極めて
困難であることが欠点である。

第三の方法については、上下左右の位置合せと縦横格
子型の遮蔽板群を必要とするために、構造が複雑となる
のみならず遮蔽板による光量損失が大きく、上下方向の
遮蔽が加わるために、垂直方向視域の制限が大きく、且
つ微小球面レンズにより像の上下反転を生ずることによ
って垂直方向分解能劣化が起こることが欠点であった。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、以上の如くの現況に鑑みてなされたもので
あり、従来の第三の方法において、 多数の方向から視た水平方向の視差画像を細密線像群
として平面上に編集描画する描画装置の描画面側に配置
され、該細密線像群を立体的映像として得るための三次
元映像表示用複合レンズ板であって、 水平方向に周期的な曲率を持つ水平方向結像レンズ板
と、 水平面内でこの結像レンズ板とほぼ同一周期を持つ遮
蔽格子と、 水平方向に周期的な曲率を持つ三次元映像再生レンズ
板とが組み合わされ、 該結像レンズ板により、該細密線像群が該三次元映像
再生レンズ板の焦点面としての裏面である水平面内に実
像として、ほぼ等倍率で結像され、 所定数を１組とする上記細密線像群からの光線が、上
記結像レンズ板のうちの１つの素レンズを通過し、上記
遮蔽格子により遮光されることにより、上記細密線像群
の正面に配置された上記三次元映像再生レンズ板の１つ
の素レンズにのみ入射する如く結像レンズ板と遮蔽格子
と三次元映像再生レンズ板との形状と位置と寸法とが定
められた構造とすることで、垂直方向についての光量損
失と視域制限とを軽減し、且つ再生三次元映像の垂直方
向についての分解能を向上することを特徴とした新しい
複合レンズ板に関するものである。

＜実施例＞ 以下本発明について具体的に実施例により図面を参照
しながら説明する。

第１図は複合レンズ板の水平断面の説明図であり，一
点から発した光線群の光路も示されている。第１図にお
いて、１は保護ガラス板である。この保護ガラス板１の
裏面にピッチｐでＮ枚の視差像から編集された細密線像
群が描出されている。即ち、ピッチｐの中にＮ本の垂直
方向を向いた線像が周期的に描かれており、各ピッチの
中に描かれた線像の中の第Ｎ′番目の線像のみを取り出
して、これらを連ねて画像とするならば第Ｎ′番目の視
差像が得られる。

したがって、全体としては視点を水平方向に周期的に
変化して得られたＮ枚の視差像が描かれている。

保護ガラス板１が厚く、その表面に三次元映像再生レ
ンズ板を直接密着したとき三次元映像の観察視域の広さ
が不充分となる場合には、このような密着方法を用いる
ことはできない。

４は三次元映像再生用レンズ板である。このレンズ板
はレンティキュラーシートであり、そのピッチｐ′はｐ
と殆ど同一であるか僅かに小さい。

三次元映像再生用レンズ板４の裏面に、保護ガラス板
１の裏面に描出された細密線像群と同じ線像群が再生さ
れるならば、レンズ板三次元映像再生の原理に従って観
察者は眼鏡なしで三次元映像を観察できる。

本発明の特徴は、水平方向結像レンズ板として用いら
れるレンティキュラーシート２と，三次元映像再生レン
ズ板として用いられるレンティキュラーシート４と，位
置合せ可能な遮蔽格子３とを使用することにより、垂直
方向視域が広く、解像度が優れ、且つ明るい三次元映像
の観察を可能ならしめる点にある。

該遮蔽格子３のピッチおよび該水平方向結像レンズ板
２のピッチは保護ガラス板１の裏面に描出された所のＮ
本を一組とする細密線像群のピッチｐとほぼ同一であ
る。

該水平方向結像レンズ板２は水平方向にのみ曲率を持
ち，その焦点距離及び、三次元映像再生用レンズ板４の
裏面との距離Ｄは、保護ガラス板１の裏面の線像群がほ
ぼ等倍率で三次元映像再生レンズ板４の裏面に水平方向
について結像する如くに選ばれている。

水平方向結像レンズ板２の面上に到来した光線の垂直
面内の方向拡がりについては、水平方向結像レンズ板２
は集束作用を持っていない。

該遮蔽格子３は、保護ガラス板１の裏面に描出された
所のＮ本を一組とする垂直方向を向いた細密線像群を対
象とするとき、その線像群から発した光線が、その線像
群の正面に存在する所の三次元映像再生レンズ板４の一
つの素レンズの裏面にのみ到来せしめる如くに位置と形
状と寸法とが定められている。

同図には代表的画素から発した光線群の光路が描か
れ、遮蔽格子３によって遮光される様子が示されてい
る。遮蔽格子３は、不透明材料で造られた厚みのある垂
直格子であってもよいし、また、複数枚の薄い板状の垂
直格子を複数枚の適切な間隔で配置したものであっても
よい。

このようにして本発明にかかる複合レンズ板は、水平
方向結像レンズ板２、遮蔽格子３、三次元映像再生レン
ズ板４を複合した構造を持つものである。

次に、本発明にかかる複合レンズ板による三次元映像
再生の原理について説明する。

水平方向結像レンズ板２、および三次元映像再生レン
ズ板４は水平方向についてのみ曲率を持っているので、
三次元像点を再生した場合、その像点の水平方向の拡が
りが最小となる位置は、レンズ板三次元映像再生の原理
に従って、左眼用と右眼用の細密線像のそれぞれが属す
る二つの群が三次元映像再生レンズ板４の裏面において
左右に並んでいるかその逆に並んでいるかに従って、三
次元映像再生レンズ板４の後方あるいは三次元映像再生
レンズ板４の前方のある距離に出現する。この距離は上
記の二つの群の相互距離と視距離により定まる。

水平方向結像レンズ板２と三次元映像再生レンズ板４
は垂直方向については曲率を持たないので、垂直方向の
拡がりが最小となる位置は、保護ガラス板１の裏面であ
る。即ち、本発明にかかる複合レンズ板で再生される三
次元像点は非点収差を持つものである。

しかし、人間の視覚に関する標準視力特性によれば、
非点収差を補正するために必要な眼鏡の度数が1.5ジオ
プター以内であれば、眼鏡なしでも人間は殆ど視力の低
下なく像を視ることができることが知られている。

。更にまた、前後方向の距離は水平方向視差のみによ
って決定されることが知られている。

したがって、本発明にかかる複合レンズ板により再生
された三次元映像を人間が観察するとき、観察者は眼鏡
なしで正常に見ることができる。

ただし再生三次元像点が三次元映像再生用レンズ板４
の前に著しく飛び出して見えるような像は除外しなけれ
ばならない。

更にまた、保護ガラス板１の裏面に描出すべき垂直方
向を向いた線像について、この線像を微細に水平方向に
分解し、赤緑青の三原色が垂直方向に連なった一組とな
って発色する如くに画素を配置し、それらを表示すべき
色調に従って発色せしめるならば、天然色彩色の三次元
映像を裸眼で観察せしめることができる。

即ち、ブラウン管の場合であれば赤緑青を一組とし垂
直方向に周期的な細い水平方向の蛍光体帯群を保護ガラ
ス板１の裏面に塗布する。また，液晶パネル，プラズマ
パネル，エレクトロルミルセンス・パネル・発光ダイオ
ードパネル，蛍光表示管等の発色素子が位置的に作りつ
けになっていることを特徴とする所の画素マトリックス
型画像表示装置の場合であれば、赤緑青を一組とし垂直
方向に周期的な細い水平方向の色フィルターまたはそれ
と等価な色フィルター・マトリックスを用いる。

これらの方法によって彩色の三次元映像を裸眼で観察
せしめることができる。

水平方向結像レンズ板２は水平方向曲率を持った中継
レンズの配列と見做せるので、保護ガラス板１の裏面の
一つの細密線像群の中での線像の配置順序は、水平方向
結像レンズ板２の作用により三次元映像再生レンズ板４
の裏面では逆転している。

したがって、本発明の複合レンズ板を用いる場合に
は、保護ガラス板１の裏面に細密線像群を描出する際
に、一群内のＮ本の線像配置順序をあらかじめ逆転して
おくことが必要である。このような逆転は細密線像群を
電子回路によって編集する際に同時に実行することがで
きる。

次に第２図は本発明による複合レンズ板をブラウン管
表面に設けた所を示す全体の概略を示す説明図である。

画像表示装置としてビーム・インデックス付の高解像
力ブラウン管装置を用いている。ブラウン管表面ガラス
５の表示面積は横290mm縦220mmであり、その厚さは14mm
である。ビーム・インデックスのピッチｐは1mm、幅0.0
5mm、電子ビームのスポット・サイズは0.1mm以下であ
る。ビーム・インデックスの利用により、表面ガラスの
裏面には１ミリ当り８画素が正確に表示されている。即
ちＮ＝８の視差画素が編集表示されている。

６はピッチ1mm、焦点距離4.9mmの水平方向結像レンズ
板として用いるレンティキュラー・シートであり、７は
ピッチ1mmの薄板状垂直格子７枚を適切に配置すること
により構成された遮蔽格子である。この薄板状垂直格子
の厚さは0.15mm、遮光部分の幅は0.3mmである。

また８はピッチ0.996mm、焦点距離2.25mmの三次元映
像再生レンズ板として用いるレンティキュラー・シート
である。レンティキュラー・シート８は、ブラウン管表
面ガラス５の裏面に描出された像がレンティキュラー・
シート８の裏面において水平方向についてほぼ等倍率で
結像する如き位置に配置されている。

７を構成する遮蔽格子は、ブラウン管表面ガラス５の
裏面の８画素を一組とした画像から発した光線がレンテ
ィキュラーシート８の一つの円柱レンズの裏面にのみ結
像し、他の円柱レンズを通過した光線は全て遮光される
如くに配置されている。

本例においてレンティキュラーシート６、８と遮蔽７
の組合せが本発明にかかる複合レンズ板の構成である。

該実施例を用いて本発明の原理の確認実験を行った
所、レンティキュラーシート８の前方1mにおいての視域
の広さは、横方向30cm、縦方向100cmであり、再生像の
明るさ及び解像力共に、従来方法と比較して、格段に優
れた結果が得られた。

ブラウン管表面ガラス５の裏面に描出された画素が垂
直方向に赤緑青の三原色を一組とした周期的なものであ
り、それらを表示すべき色調に従って発色せしめるなら
ば彩色の三次元映像を裸眼で観察せしめることができ
る。

具体的には、R,G,Bで表示されている垂直方向に並ん
だ画素列が、それぞれ赤色，青色，緑色に発光する蛍光
体である場合、彩色の三次元映像を裸眼で観察せしめる
ことができる。

＜効果＞ 本発明の複合レンズ板の使用により，ブラウン管のよ
うな保護ガラスが厚い場合でも十分に広い視域から高質
の立体画像が裸眼で観察されるものとなる。

そして人間の視力特性において、非点収差については
相当な許容範囲が存在する事を利用することにより、再
生三次元映像の明るさと解像力を向上し、眼鏡なしで再
生三次元映像を観察可能とする範囲を拡張したものであ
る。

更にまた、本発明の複合レンズ板は、従来のものと比
較して、構造が簡単で且つ調整も容易であることを特色
とする。

即ち、本発明の複合レンズ板では、水平方向結像レン
ズ板２の曲率が水平方向に限られ、また遮蔽格子３は垂
直格子群であるため、構造が単純であるのみならず光量
損失が著しく軽減され、且つ垂直方向の視域が著しく拡
張されている。

更にまた、垂直方向非点収差は許容範囲にとどめるこ
とができ、従来方法の複合レンズ板による垂直方向の像
反転による解像度劣化が存在しないので、三次元映像全
体の解像度も向上するものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のよる複合レンズ板の構造を示す断面の
説明図、第２図は本発明による複合レンズ板をブラウン
管に設けた所を示す全体の概略を示す説明図。 １……保護ガラス板 2,6,……水平方向結像レンズ板（レンティキュラー・シ
ート） 4,8……三次元映像再生レンズ板（レンティキュラー・
シート） 3.7……遮蔽格子 5.……ブラウン管表面ガラス

フロントページの続き 審査官 瀧本 十良三 (56)参考文献 特開 昭48−3267（ＪＰ，Ａ)

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数の方向から視た水平方向の視差画像を
   細密線像群として平面上に編集描画する描画装置の描画
   面側に配置され、該細密線像群を立体的映像として得る
   ための三次元映像表示用複合レンズ板であって、 水平方向に周期的な曲率を持つ水平方向結像レンズ板
   と、 水平面内でこの結像レンズ板とほぼ同一周期を持つ遮蔽
   格子と、 水平方向に周期的な曲率を持つ三次元映像再生レンズ板
   とが組み合わされ、 該結像レンズ板により、該細密線像群が該三次元映像再
   生レンズ板の焦点面としての裏面である水平面内に実像
   として、ほぼ等倍率で結像され、 所定数を１組とする上記細密線像群からの光線が、上記
   結像レンズ板のうちの１つの素レンズを通過し、上記遮
   蔽格子により遮光されることにより、上記細密線像群の
   正面に配置された上記三次元映像再生レンズ板の１つの
   素レンズにのみ入射する如く結像レンズ板と遮蔽格子と
   三次元映像再生レンズ板との形状と位置と寸法とが定め
   られた構造となっていることを特徴とする三次元映像表
   示用複合レンズ板。
2. 【請求項２】ブラウン管を用いた上記描画装置を利用
   し、ブラウン管の保護ガラス表面に適用することによ
   り、立体的ブラウン管映像を得るために使用される第１
   項記載の三次元映像表示用複合レンズ板。
3. 【請求項３】垂直方向に延びる各細密線像を微細に分解
   して、分解成分毎に所望の色調で発色せしめられるよ
   う、赤青緑を１組として周期的に繰り返す蛍光体群が形
   成されたブラウン管を用いた上記描画装置を利用し、ブ
   ラウン管の保護ガラス表面に適用することにより、立体
   的カラーブラウン管映像を得るために使用される第１項
   記載の三次元映像表示用複合レンズ板。
4. 【請求項４】画素マトリクス型画像表示装置からなる上
   記描画装置を利用し、前記装置の保護ガラス表面に適用
   することにより、立体的映像を得るために使用される第
   １項記載の三次元映像表示用複合レンズ板。
5. 【請求項５】垂直方向に連なる画素の集まりよりなる各
   細密線像を構成する各画素を、所望の色調で発色せしめ
   られるよう、赤青緑を１組として周期的に繰り返す色フ
   ィルターが設けられた画マトリクス型画像表示装置から
   なる上記描画装置を利用し、前記装置の保護ガラス表面
   に適用することにより、立体的カラー映像を得るために
   使用される第１項記載の三次元映像表示用複合レンズ
   板。