JP2650932B2 - 体内の腫瘍治療用カテーテル装置 - Google Patents

体内の腫瘍治療用カテーテル装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、疾患又は免疫欠乏を治療する為の装置に関
し、特に患者の体内に存在する腫瘍を処置する器具に関
するものである。
(技術背景) 充実性腫瘍の処置に於て、動脈の中に化学療法剤を注
入することが従来より行なわれている。これは単一の経
路から成る一方向性のプロセスであって、薬剤は、人体
の動脈側を経て腫瘍を通過するのである。この方法の第
1の欠点は、毒性要素が全身の組織、器官を循環してい
くため、投薬効果を得るのに必要とされる薬剤の投薬量
及び/又は薬剤の作用時間を確保することが出来ないこ
とにある。即ち、現在の化学療法剤を用いた充実性腫瘍
の処置方法では、人体の他の部分に有害な化学療法剤が
漏れる為に、その効果が減殺されていたのである。
通常の血流は心臓に源を発し、動脈内を流れ、毛細血
管から静脈へと流れていく。後毛細管の細静脈、毛細血
管、及びジヌソイド(sinusoids)の壁は、交換用の管
(exchange vessels)となるもので、血液と細胞を浸す
組織液との間の交換場所として働くものである。前記血
管よりも大きな細静脈及び静脈は、血液をプールするリ
ザーバの系を含んでいる。これらは、大容積、低圧力の
血管であり、血流はこれらを通じて心臓の右側部に戻さ
れるのである。
通常の条件の下では、血管網の内層を形成する内皮細
胞は、それ自身で極めて遅い速度で脱落、再生(rene
w)する。Folkmanは、「腫瘍の血管新生」(Scientific
American,June,1976(p.71))と題された書物の中
で、「創傷を癒したり或は免疫性効果を付与するのに必
要な時、血管系の一部が短時間、爆発的に増殖すること
がしばしばある。しかし、新しい血管は常に短時間の後
に復帰し、再生活動(regenerative activity)はその
以前の低い状態に沈静化する。」と述べている。細胞
は、創傷を癒す免疫を得る為に必要とされ、急速に増殖
する。しかし、その様な増殖は必要な限りに於いてのみ
維持される。その後、再生活動はその以前の状態に戻る
ものと思われる。
充実性腫瘍への血液循環は同じ様に行なわれ、動脈か
ら毛細血管を経て静脈へと流れる。しかし、交換血管と
大きな細静脈との間の局所的な領域に於いて、流れの方
向は急に変化する。Folkmanは、何が起こっているかを
次の様に説明している。「悪性の腫瘍が化学的なメッセ
ージを放出したとき、内皮細胞の増殖は、腫瘍の付近に
於いて急速に行なわれる。毛細血管は細静脈の側壁から
出て、薄い管の中へ長く伸びており、全方向から腫瘍上
の一点に集まる。」 腫瘍血管はこの様な特性を有するから、静脈と静脈と
を結ぶ側路(V−V側路)が多数形成され、これらの側
路(shunts)は逆行灌流(retrograde perfusion)のプ
ロセスの基礎となる物理的な要素である。腫瘍の処置に
於けるV−V側路の意義について以下に説明する。
腫瘍血管系に於ける通常の運動圧力は、毛細血管から
静脈系へ流れる血液の速度変化に基づくものであり、こ
の速度変化は断面積と関係づけられる(V1×A1=V2×
A2:ここで添字1、2は夫々毛細血管及び静脈を表わ
す)。即ち、これらV−V経路での圧力低下は、血液が
毛細血管から流出するときの流速変化によって引き起こ
されるのである。腫瘍血管流はこの様にして弱められ、
周囲の組織の血流の2乃至15パーセントとなる。この様
にして弱められた循環は、癌の血管系と識別される。血
液がV−V経路を通過する可能性(プロバビリティ)
は、通常の血管系を通過する場合に比べて遥かに低い。
従って、腫瘍に化学療法剤を加えようとしても、薬剤が
人体の他の部分に広がっていく可能性は、薬剤が腫瘍に
達する場合に比べて遥かに大きい。
化学療法によって系の中を毒性要素が循環するという
問題は、癌の治療処置を施す上で障害となったままであ
る。1961年にStehlin等は、化学療法剤が漏れて系の中
を循環することは、「人体のある領域に効果的な灌流を
施す上で最も重大な制限の一つになっている。」と考え
た。最近では1981年3月に、アメリカ医学協会誌(Jour
nal of the American Medical Association)は、Kato
等による論説及びChuangによる関連の論説を掲載してい
る。これらの論説は、化学的栓塞(chemoembolizatio
n)に関するもので、「化学療法剤を動脈に注入するこ
とと、動脈を詰まらせることによって腫瘍へ供給される
血流を塞ぐこととを組み合わせる方法」について述べて
いる。この方法は、生存時間(survival rate)は長く
なるが、全身への毒性効果によって投薬量に制限を受け
る。同じ様に、Fewer、Wilson及びLewisも、「静脈系へ
戻される量に変化はないから、毒性要素が体内を移動
し、薬剤を作用させるのに必要な時間を維持出来ない結
果となる」ことを述べている。投薬量は、癌の化学療法
に於けるもう一つの重大な因子である。腫瘍治療剤の投
与量を増やし続けることによって、反応速度(response
rate)が大きくなることを示す証拠が幾つかある。こ
れは、骨髄の組織移植、分離注入或は局所的灌流の研究
に於いて認識され得るものである。それにも拘わらず、
動脈灌流及び注入により、動脈を第1の経路として充実
性腫瘍へ薬剤を送ることが、静脈内注入(IV注入)より
も唯一優っていることが明らかにされた。その後の毒性
の問題は残された侭である。
(問題点を解決する為の手段) 組織、器官の毒性と投薬量は、充実性腫瘍の処置に於
いて重要な因子である。しかし、以前の技術では次の二
つの要素を考慮していなかった為に、成果が得られなか
ったのである。その一つは代表的には腫瘍血管系のV−
V側路であり、他の一つは腫瘍から出る流出量である。
効果的に灌流を行なう重要なポイントは、腫瘍血管系を
一体的に利用することと、その流出量を制御することに
ある。本発明に係る逆行灌流はこれら二つの目的を達成
するための機構を提供するものである。
本発明を例示的に述べると、広範囲に亙る操縦性を有
する、同軸上に配された2本のカテーテルの他、ポン
プ、フィルター、分析装置、及び腫瘍から出る流出量を
調節しモニターするためのその他の適当な手段を具えて
いる。第1段階は動脈撮影像をとることであり、動脈撮
影像から、血流内の内部ループのグラフィック表示が得
られ、どの血管が優先的に腫瘍へ進入していくか、即ち
腫瘍から伸びる最も太い静脈を決定する際の助力が得ら
れる。灌流プロセスは、外部静脈を経て、充実性腫瘍の
優先ドレナージ(drainage)中へ、2本の同軸カテーテ
ルを逆行挿入することによって始まる。一方のカテーテ
ルは化学療法剤の入口位置に配備され、V−V側路への
通路を形成する。第2の、即ち吸引カテーテルは端部、
即ち末梢側に設けられ、該カテーテルは、治療剤、動脈
血流、静脈及びリンパ管のドレナージ、及び前記優先ド
レナージを収容するのに必要な吸入容量を有している。
次に、両カテーテルを所定位置に配置し、逆行エンボラ
イ(retrograde emboli)を血管系の重要な領域におい
て、漏れを抑制する。治療に当たる医師は、断面積の変
化、循環の減少、及び腫瘍血管系に特有なその他のファ
クター等によって、治療中に必要な修正あるいは調整を
施すことが出来る。
上述の如く腫瘍の優先ドレナージ内に置かれた同軸カ
テーテルは、第1(細胞)のインビボ空間及び第2(細
胞周囲の細隙空間)のインビボ空間に加えて、第3のイ
ンビボ空間を形成する。これが、従来の方法と異なる点
である。灌流を施す為に選ばれた器官の中の所定領域内
には、外部のモニターシステムへ通ずる連絡口が形成さ
れ、これによってフィードバックループが形成される。
前記モニターシステムは、圧力、濃度、温度、時間の
他、系の毒性化が避けられることを保証する可変要素、
適切な投薬量が維持されていることを保証する可変要
素、器官の完全性が犯されないことを保証する可変要素
等をモニターする。薬剤が動脈によって送られ、充実性
腫瘍を通過したとき、薬剤は、人体、腫瘍、及び消費さ
れた薬剤自体の3つの内、少なくとも1つ、或は望まし
くは3つの全てに反応して、生物的に変質する。次に、
薬剤は吸引カテーテルを経て体外へ導かれて、適当なフ
ィルター手段によってろ過され、分析装置によって分析
される。このプロセスは、所定の安定状態に達するのに
必要な回数だけ繰り返される。この様に、本発明の治療
技術によって、臨床医は逆行灌流を腫瘍血管系の1要素
として利用することが出来るのである。臨床医は、薬剤
と腫瘍とを相互作用させることが出来、どの様な相互作
用が起こり得るかを知ることが出来る。即ち、腫瘍成長
のモニターとなって、腫瘍のホメオスタシス慣性(home
ostatic inertia)を中断させることができ、事実上無
制限の相互作用を可能にしたフィードバックシステムを
作り出すことが出来る。
本発明は、従来の治療方法に共通して欠けている3つ
の特徴を有している。第1に、従来の方法では腫瘍中の
血流の基本パターンを変えることが出来ない。第2に、
従来の方法では形成された癌細胞が存続し、腫瘍のホメ
オスタス慣性を阻止出来ない。最後に、従来の方法では
腫瘍と相互作用させることが出来なかったから、流れの
パターンを制御することが出来ず、従って、癌の効果的
治療法に於いて極めて重大な事項である、薬剤の作用時
間、投薬量、優先ドレナージ、漏れ要素、及び毒性レベ
ルを制御することが出来なかった。
本方法の一つの利点は、静脈と静脈を結ぶ分流、即ち
V−V側路を設けることにあり、V−V側路を通過する
血管流を最早、基質制限プロセスとしては取り扱わない
ことである。腫瘍血管系の物理的構造は、化学療法剤を
送る際の一つの制限因子である。それらは前毛細血管の
括約筋及び毛細血管床を越える位置にある為、V−V側
路は本方法によって専らランダムに灌流させることが出
来、濃度、薬剤作用期間、要するに化学療法の生物学的
有効性はランダムである。逆行灌流の場合、腫瘍を通過
する循環量の減少は最早考慮に入れる必要はない。その
理由は、この新しい方法では、臨床医は腫瘍血管系内に
作り出されたループを通じて、流れを後方へ押しやるの
に必要な圧力で化学治療剤を送ることが出来るからであ
る。ループが作りだされると、漏れ部位は封鎖されるか
ら、系中に毒素が流れることは避けられ、更に適当なレ
ベルにある化学療法剤が確実に腫瘍に達するのである。
逆行灌流の第2の利点は、需要な腫瘍の進行状況を認
識出来ることであり、血管腫瘍の中で悪性の特質のもの
は一定の割合で大きくなるからである。Folkmanによれ
ば、腫瘍の進行は血管新生によって引き起こされる細胞
***が急速に増加する為と考えられる。細胞が一定期間
以上増殖すると、先ず転位(metastasize)して周辺組
織に侵入し、最終的に、腹部キャビティの中で腹水症細
胞として現れる。本発明の方法によれば、腫瘍の進行段
階に違いを認識出来るから、臨床医は適当な時に選択的
に介入し、投薬量、濃度、圧力、薬剤作用時間、及び血
管腫の発生を抑え結果的に腫瘍の成長を抑制するその他
のファクターを適当に組み合わせて治療することが出来
る。
化学療法剤の投薬量の反応曲線は、よく知られてお
り、薬剤量が多くなればなる程、曲線は急勾配になる。
現在では、投薬に対する反応は3つの判定基準、即ち、
腫瘍塊の縮小、生存数の増加又は生物検査法によって判
断される。逆行灌流の第3の利点は、生物検査法を用い
て、急勾配の投薬反応曲線の最適条件を評価出来ること
にある。反応曲線を正確に追跡することによって、腫瘍
の成長と患者の生存数の減少を表わす偏差点を無くす為
にありとあらゆる手段を講じることが出来る。
本発明の方法のもう一つの利点は、人体から腫瘍を実
質的に分離出来ることにある。腫瘍を人体から分離する
ことにより、幾つかの点において、次の様な好都合なこ
とがもたらされる。免疫系が高められる。化学療法剤の
通過は例えば動脈の灌流だけの様に単一経路ではなくな
る。化学療法剤は、血管腫の中で一定の状態にて接触
し、これは放射線増感剤を用いる場合に特に有用であ
る。放射性スラリーをカテーテル装置からより簡単に送
り込むことが出来る。化学療法剤の投与量は、組織、器
官の系に及ぼす毒性の影響によってと言うよりはむし
ろ、腫瘍の程度に応じて計算することが出来る。又、軸
心を共通にしたカテーテルを、ハイパーアリメンテーシ
ョン即ち経静脈高カロリー輸液の手段として用いること
が出来、これによって患者を良好な状態に導くことが出
来る。
本発明による逆行灌流に於いて最も利点とするところ
は、化学療法剤を送り込むことだけでなく、その他種々
の処置に出来ることである。
(実施例) 本発明によれば、2つのバルーンを具えて軸心を同じ
くしたカテーテル装置C(第1図及び第6図)を用いて
人体の治療を行なうことが出来る。カテーテルCは人体
の逆行灌流を行なう為に使用されるもので、薬剤が通常
の血液流とは逆の方向に患者の静脈系へ注入される。注
入された薬剤は、静脈系を経て、治療を受けている人体
のある部分を灌流する。
実施例では、カテーテル装置Cは、治療薬剤、例えば
化学療法剤を注入し、充実性腫瘍へ逆行灌流するのに用
いられる。このとき、濃度、薬剤の作用時間、系の毒性
の様な可変要素が制御される。下記の如く、カテーテル
装置Cを用いて、活性剤、例えば酵素、触媒、或は免疫
学上の薬剤を逆行灌流させることが出来る。
本発明による治療中に於いて、患者からの応答或は反
応は、2つの同軸バルーンカテーテル(14)(16)を用
いて、CAT(Computerized axial tomography)スキャナ
ー(10)(第1図)及びビデオモニター(12)によって
観察され、モニターされる。本発明に係るダブルバルー
ンの同軸カテーテル(14)(16)は、内筒即ち注入カテ
ーテル(18)(第6図)を具え、該カテーテルの端部
(20)の近傍が膨張可能なバルーン(22)によって包囲
されており、該バルーンは、カテーテル(18)の配置さ
れた部位に於ける患者の静脈を封止する為に用いられ
る。カテーテル(14)(16)の構造を第6図に示すが、
その特徴をより一層明確にする為に、多少簡略化して示
している。注入カテーテル(18)は、治療剤が血管を通
じて治療を受けている人体の部分へ流れていく様にする
為に挿入される。通常為される様に、カテーテル(18)
の端部(20)にはガイドワイヤー(24)が設けられてお
り、これは、患者の静脈系内の所望の場所への挿入及び
移動を補助する為のものである。ガイドワイヤー(24)
は、カテーテル(18)が適切な位置に設置された後、回
収される。
注入カテーテル(18)への原動力は、カテーテル(1
8)を挿入及び回収する為の押出し及び引戻し容量を有
する手動ポンプインジェクター(26)によって与えられ
る。カテーテル(18)は、腫瘍血管から人体の外部へ至
る流れのフィードバックループを形成することに寄与
し、投入した治療薬剤の濃度、圧力、温度、及び時間を
制御することを可能にする。この様にして、系の毒性は
避けられ、適切な投薬量が維持され、そして器官の完全
性が犯されることはない。注入カテーテル(18)は更に
その端部(20)に開放通路(25)を具え、該通路は、手
動ポンプ(26)から患者の血管へ送られる治療薬液の入
口を形成する。注入カテーテル(18)は、注入或は吸引
の何れかの目的に使用される第2の通路即ち管孔(30)
を具えている。膨張可能なバルーン(22)によって包囲
された領域内にはポート(33)が設けられ、静脈を封止
し化学療法剤の流れを方向づける為、必要に応じてバル
ーン(22)を膨張させることが出来る様にしている。カ
テーテル(18)の内部には、膨張可能なバルーン(22)
の後部の管孔(30)への入口となるポート(31)が形成
され、手動ポンプインジェクター(32)のプッシュ/プ
ル操作によって、静脈からの液体を注入或は抽出出来る
様にしている。
吸引カテーテル(35)に形成されたポート(34)は、
後述の様に、化学療法剤が逆行して送られた後、部分的
に或は完全に消費された薬剤を収集用手動ポンプ(36)
内に集める様にする為のものである。注入カテーテル
(18)は吸引カテーテル(35)の内部に同軸に配備さ
れ、吸引カテーテル(35)は、集められた薬剤を人体外
部の収集用手動ポンプ(36)に輸送するためのものであ
り、該手動ポンプ(36)内の液体は適当なフィルターへ
送られ、ろ過される。ろ過され毒性の無くなった化学療
法剤は必要に応じて、ポート(25)を経て静脈内へ再注
入され、これによって上記の可変要素の制御に欠くこと
が出来ない、流れの継続的なフィードバックループを維
持することが出来るのである。
本発明の第2のカテーテル(35)も又、バルーン(3
8)を具えており、該バルーンはポート(40)を通じて
患者の静脈内で膨張することが可能であり、これによっ
て静脈を封止し、患者の他の人体部分へ化学療法剤が流
れるのをブロックすることが出来る。ポート(42)はカ
テーテル(35)の中に形成され、管孔即ち通路(44)へ
の入口となって手動ポンプインジェクター(46)との液
体連絡を図っている。手動ポンプインジェクター(46)
は、ろ過されて毒性の無くなった流体を含んでおり、そ
の流体はポート(42)を経て循環し、静脈系及び心臓の
右側部分に戻される。
カテーテル(18)及び(35)はT字継手即ちサイドア
ーム(47)にて接合され軸心を共通にしている。同様
に、手動ポンプ(26)(32)へ通じる液体通路は分岐し
ており、液体どうしがサイドアーム(48a)にて混ざり
合わない様に分離している。一方、手動ポンプ(36)及
び(46)への液体通路はサイドアーム(48b)にて分岐
しており、各液体は分離して区別される。前記手動ポン
プ(26)及び(36)には夫々、レバー(49b)によって
制御され且つサンプルポート(49c)を具えたティー部
材(49a)が設けられている。
本発明に係る逆行灌流のプロセスは次の様に行なわれ
る。先ず、腫瘍血管系は、従来の動脈撮影像を基にし
て、染料等を用い、例えば腎臓(54)内の腫瘍(52)中
に符号(50)(第3図)の様にして腫瘍血管系をマーク
し、選択された部位のマップを作成する。この動脈撮影
像では、腫瘍を淡紅色としてマークし、これを目安とし
て腫瘍血管(52)と優先的なドレナージ経路(56)の位
置を知ることが出来る。スキャナー(10)を用いること
によって、腫瘍血管(52)及び優先ドレナージ(56)の
像がビデオモニター(12)に映し出される。上述の予備
的処置が済むと、カテーテル(18)(35)が血管系に設
置される。
同軸カテーテル(18)(35)は、臓器例えば左腎臓
(54)(第2図)へ接近させる為、左大腿静脈(58)を
経て左腎静脈(60)(第3図)へ進入させる。同軸カテ
ーテル(18)(35)が適当な位置で保持される様にこれ
らを操縦する為、ビデオスクリーン(12)上の映像とガ
イドワイヤー(24)が用いられる。ガイドワイヤー(2
4)は、カテーテル(18)を、左大腿静脈(58)を経て
左腎静脈(60)内の適当な位置へと案内する。この位置
で優先ドレナージが行なわれ、吸引カテーテル(35)は
腫瘍からの流出物を集めることが出来る。吸入カテーテ
ル(35)が適当な位置に置かれるとガイドワイヤー(2
4)は吸入カテーテル(35)の内部から抜き出され、カ
テーテル(35)がその場所に残ることになる。同じ過程
を経て、第2のカテーテル即ち注入カテーテル(18)が
腎臓への灌流を行なう為、選定された位置に配置され
る。
第4図は、大肺静脈(66)へ流れ込む多数の支流(6
4)を有する右肺(62)を示している。カテーテル(1
8)(35)は、広範囲な操縦性を具えているから、必要
な回数だけ、そして肺或はその他の器官の血管系内の必
要な場所へ、再配置される。カテーテルを適所に配置し
たとき、必要に応じて、ある特定の静脈流の経路を分離
する為に、選定された血管に逆行して進入させることが
出来る。この過程を成し遂げる為に、マイクロカプセル
化した薬剤を、灌流プロセスから除外されるべき血管の
支流の内部に選択的に投入することが出来る。尚、マイ
クロカプセル化した薬剤は自然劣化するものでも可い
し、回収出来るものでも可い。マイクロカプセル化した
薬剤は第3のインビボ空間を形成し、処置すべき腫瘍よ
り先にあるV−V側路を分離する。この様に、静脈中へ
薬品を入れることにより、化学療法剤が人体の他の部分
へ漏れることを阻止し、薬剤の流れの方向付けを助け
る。カテーテル(18)(35)のバルーン(22)(38)が
膨張し(第5図)、エンボライ(塞栓)が適所に置かれ
た後、化学療法剤を用いて実際の灌流を行なう前に、系
に漏れ部分その他の問題がないかどうか調べる為に、灌
流のシミュレーションが行なわれる。全ての要素が考慮
に入れられ、必要な調整が行なわれた後、逆行灌流が開
始される。これは、手動ポンプインジェクター(26)に
よって化学療法剤を静脈(50)の上流に向って強制的に
注入することによって行なわれ、V−V側路を経て、カ
テーテル(18)(35)の膨張したバルーン(22)(38)
及びエンボライによって形成された経路に沿って押し進
められる。
ここで逆行灌流は、治療すべき患者の人体部分の器官
又は部位に跨る実質的な距離範囲に生じることは注目さ
れるべきである。本発明で使用されているバルーンにつ
いて符号を使い分けたのは、薬剤が腫瘍血管系を通過し
て確実に流れていく様にする為、バルーン(22)とバル
ーン(38)が互いに一定の距離をおいて配置されている
ことを明らかにしたい為である。
インジェクター(26)による腫瘍血管系への化学療法
剤の注入量及びインジェクター(36)による吸引量は、
いかなる液体も動脈流へ逆流することがない様、等しい
値に維持される(第5図)。一般的には多数の平行V−
V側路が選択的に形成され、腫瘍を通過する薬剤の通路
を形成している。注入量及び吸引量を等しくしている
為、エンボライを存在させる必要性はない。しかしなが
ら、エンボライは必要があれば有効である。
第3のインビボ空間を通る第1のフィードバックルー
プ即ち治療剤の通路は、化学療法剤が手動ポンプインジ
ェクター(36)によってポート(34)から吸引カテーテ
ル(35)の内部へ引き戻されることによって形成され
る。化学療法剤は更にろ過され、その後、インジェクタ
ー(26)及びポート(25)を経て腫瘍血管へ繰り返し再
注入される。これによって薬剤は、腫瘍に対しては最大
の作用を為し、人体に対しては最小の作用を為す。上述
の如きフィードバックループは、必要な流れのバランス
と所定の定常性が得られるまで、必要な回数だけ繰り返
される。
第2のフィードバックループの形成は、手動ポンプイ
ンジェクター(26)によって化学療法剤等の薬剤を上流
へ向けて、静脈(50)の中へ強制的に注入し、V−V側
路を経て、カテーテル(18)(35)の膨張したバルーン
(22)(38)によって形成される経路に沿って、手動ポ
ンプインジェクター(36)の方へ押し進めることによっ
て行なわれる。インジェクター(36)は、分析及びろ過
を行なう為、薬剤をポート(34)から引き出す作用をす
る。その後、ろ過された流体は、手動ポンプ(46)によ
って、管孔(44)及びポート(42)を経て静脈系及び心
臓の右側部分へ送られる。第2のフィードバックループ
はろ過された流体を人体の他の部分へ再循環させること
が出来るから、ハイパーアリメンテーションの素晴しい
手段として人体に刺激を与える。一方、他のフィードバ
ックループは腫瘍に作用する。
この様にして腫瘍の負荷を人体と分離することによっ
て第3のインビボ空間が作り出され、臨床医は思い通り
に腫瘍に働きかけて相互作用を行なわしめることが出来
る。本発明はこの様にしてコントロールを行なうことが
出来るから、2つのフィードバックループを同時に実行
し、両ループが所定の安定状態に達するまで限りなく繰
り返すことが出来る。ここで述べた灌流を行なう為、フ
ィードバックループ系を2つにしたが、これは充実性腫
瘍の治療に限らず、患者を健康にする為のハイパーアリ
メンテーションの手段として、そして免疫性が欠乏した
人体に免疫又は活性化薬剤を供給する手段としても適用
されるものである。
又、状態によって、単一のカテーテルを逆行灌流に使
用出来ることも認識されるべきである。これらの場合、
ポート(25)がバルーン(22)前方の注入点として供さ
れ、一方、ポート(31)は吸引或は抽出ポートとして供
される。前述の如く、注入量と抽出量は等しくなる様に
維持される。
本発明の前述した記載は、例示的に説明したものであ
り、サイズ、形状、材料の他、図示した構造の詳細につ
いて、本発明の精神から逸脱することなく種々の変更が
可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は患者が治療を受けている状況を示す図、第2図
は本発明による腎臓治療方法の概略を示す図、第3図は
第2図に表された腎臓の拡大図、第4図は本発明による
治療を受けている肺の拡大図、第5図は曲がりくねった
腫瘍血管系に配置された本発明のカテーテルを示す図、
第6図は本発明に係るダブルバルーン同軸カテーテルを
示す斜面図である。 (10)……CATスキャナー、(12)……ビデオモニター (14)(16)……ダブルバルーン同軸カテーテル (18)……注入カテーテル、(35)……吸引カテーテル (22)(38)……バルーン、(30)……管孔 (26)(32)(36)(46)……手動ポンプインジェクタ
ー (31)(33)(34)(40)(42)……ポート

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学療法剤を用いて患者の体内の腫瘍を治
    療する為のカテーテル装置であって、 (a)(1)先部にポート(34)を有する吸引用の管孔
    (44)を具えた吸引カテーテル(35)と、 (2)該吸引管孔(44)を越えて伸び、先部にポート
    (25)を有する注入用の管孔(30)を具えた注入カテー
    テル(18) とを具え、患者の静脈内の腫瘍部近傍に設置する為のカ
    テーテル手段(14)(16)と、 (b)前記カテーテル手段の吸引カテーテル(35)と注
    入カテーテル(18)との間に設けられた膨脹可能な注入
    シール手段(38)と、 (c)前記吸引カテーテル(35)を通り過ぎた位置に
    て、患者の静脈内の流れを封止する為に、前記カテーテ
    ル手段に設けられた膨脹可能な吸引シール手段(22)
    と、 (d)化学療法剤が腫瘍まで送られる様に、注入カテー
    テル(18)の一端に取り付けられ、化学療法剤を前記注
    入用の管孔(30)から患者の静脈内に注入する為の手段
    (26)と、 (e)吸引カテーテル(35)の一端に取り付けられ、化
    学療法剤が腫瘍を通過した後に前記吸引用の管孔(44)
    から化学療法剤を収集する為の手段(36)と、 (f)前記注入シール手段(38)に対して前記ポート
    (34)とは反対側の位置にて吸引用の管孔(44)に形成
    したポート(42)へ、管孔(44)を介して連通し、収集
    する為の手段(36)によって引き出され必要な処理がな
    された液体を静脈系へ供給する手段(46)、 とから構成されることを特徴とする体内の腫瘍治療用カ
    テーテル装置。
  2. 【請求項2】収集した化学療法剤を分析する為の手段を
    具えている特許請求の範囲第1項に記載のカテーテル装
    置。
  3. 【請求項3】収集した化学療法剤をろ過する為の手段を
    具えている特許請求の範囲第1項に記載のカテーテル装
    置。
  4. 【請求項4】ろ過された化学療法剤を患者の静脈内へ再
    注入する為の手段を具えている特許請求の範囲第3項に
    記載のカテーテル装置。
  5. 【請求項5】吸引用の管孔での収集量を、前記注入用の
    カテーテル手段での注入量と略等しく維持する為の手段
    を具えている特許請求の範囲第1項に記載のカテーテル
    装置。
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