JP2650817B2 - 被膜特性及び磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

被膜特性及び磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、トランス等の鉄心に
用いて好適な、(110)<001>方位を主方位とする、磁束密
度の高い一方向性けい素鋼板の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】AlN を主要なインヒビターとし、最終冷
間圧延を80%以上の圧下率で行う一方向性けい素鋼板の
製造方法については、特公昭40-15644号公報に代表され
る、多くの技術が開示されている。このAlN を主要イン
ヒビターとする一方向性けい素鋼板の特徴は、高磁束密
度が得られるところにあるが、一方で2次再結晶粒径が
大きいために、渦電流損が高くなって低鉄損が得られ
ず、また2次再結晶が安定せず磁束密度のばらつきが大
きいという欠点があった。
【0003】これらの欠点のうち、渦電流損の低減につ
いては、特公昭57-2252 号公報に開示されたレーザービ
ームを鋼板に照射する方法、また特公昭61-39395号公報
に開示された熱膨張係数の異なる領域を形成する方法等
の、人工的に磁区を細分化する技術により改善されつつ
ある。一方、2次再結晶は同一条件で製造を行っても変
動する、いわば確率現象であるため、その安定化のため
の制御は困難を伴い、特に0.23mm厚以下の薄板の場合で
は、AlN 等のインヒビターは仕上焼鈍中に分解し勝ち
で、その抑制力が不安定になりやすく、したがって2次
再結晶はますます不安定になる。ここに2次再結晶を安
定化させる技術として、特公昭57-9419 号公報及び特開
昭58-217630 号公報には、Sn及び/又はCuを添加する方
法が、また特開昭61-157632 号公報には、SbとCuとを添
加する方法がそれぞれ開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、AlN を主要イ
ンヒビターとし、さらにSbを含有する成分系において
は、sol.AlとSbの両者が脱炭焼鈍において表面濃化し、
表面の酸化を抑制することから、引き続いて行われる最
終仕上焼鈍過程における表面のフォルステライト被膜形
成が不均一になって、密着性の脆弱な被膜となりやすい
傾向があった。
【0005】このように被膜が劣悪であると、表面の絶
縁抵抗が劣化するばかりでなく、せん断加工や巻トラン
スの製造時に被膜がはく離し、実機特性を大きく損なう
ことになる。また被膜の引張応力が低下することから、
鉄損(渦電流損)特性が劣化するとともに、磁気歪みも
増大して、トランス騒音が大きくなるなど、製品品質に
多大な悪影響を及ぼす。さらに、被膜形成が正常に行わ
れない場合は、表層のインヒビターの挙動に悪影響を及
ぼし、2次再結晶も正常に行われなくなる確率が増え
る。
【0006】この発明は、特にAl−Sbを含有する成分系
の一方向性けい素鋼板の製造において憂慮されていた上
記の問題を有利に解決し、安定して被膜特性及び磁気特
性に優れた製品を得ることのできる製造方法を提案する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、AlN とSbを
インヒビターの必須成分として含有する一方向性けい素
鋼板の製造方法に関し、フォルステライト被膜特性を向
上し、ひいては磁気特性の向上及び安定化を図るべく種
々の検討を行ったところ、特定の性状を有するMgO を、
焼鈍分離剤の主成分として用いることにより前記目的を
達成できることを見出した。この発明は、上記の知見に
由来するものである。
【0008】すなわちこの発明は、Si:2.5 〜4.0 wt
%、酸可溶性Al:0.01〜0.05wt%及びSb:0.01〜0.20wt
%を含有するけい素鋼スラブを熱間圧延し、次いで熱延
板焼鈍及び1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施
して最終板厚とした後、脱炭・1次再結晶焼鈍を施し、
次いでMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕
上焼鈍を施す一連の製造工程からなる一方向性けい素鋼
板の製造方法において、焼鈍分離剤成分のMgO は、くえ
ん酸活性度が、最終反応率40%の条件で100 〜400 秒、
最終反応率80%の条件で1000〜4000秒であり、しかも水
和水分量が、20℃,60分間の条件で2.5 %以下であり、
さらに平均粒子径が2.5 μm 以下でかつ325 メッシュの
不通過分が5%以下であることを特徴とする被膜特性及
び磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製造方法であ
る。
【0009】
【作用】一方向性けい素鋼板の焼鈍分離剤として用いら
れるMgO に関しては、これまでにも種々の物性のものが
提案されている。例えば、特公昭49-29409号公報には、
かさ重量0.18〜0.30g/ccの重質低活性MgO を、水和量が
1〜4%のスラリーとして塗布することが示されてい
る。また、特公昭52-31296号公報には、SO3 が0.2%以
下、Clが0.04%以下で、かさ重量が0.18〜0.30g/cc、粒
度分布が特定範囲であるMgO について示されている。ま
た、特公昭54-14566号公報には、不純物が特定範囲にあ
りかつ20℃、30分の水和量が8%以下で100 メッシュ通
過325 メッシュ不通過分が1〜20%であるMgO について
示されている。さらに特公昭57-45472号公報には、くえ
ん酸との反応時間で示される、くえん酸活性度が特定範
囲のMgO が提示されている。
【0010】ところで、最終仕上焼鈍によって形成する
フォルステライト被膜は、脱炭・1次再結晶焼鈍の際
に、鋼板表層に生成する酸化物(SiO2、Fe2SiO4 等)
と、焼鈍分離剤として塗布されたMgO との固相反応によ
って生成するものであるから、MgO の物性のみならず、
この鋼板表層の酸化物層の性状の影響を強く受ける。す
なわち、酸化物の量が不足すると、不均一で密着性の悪
い被膜しか生成しない。また、酸化物のうち、鉄酸化物
の量が多すぎると、ピンホール状に地鉄の露出した、極
めて品質の悪い被膜ができてしまう。
【0011】ここにおいて、AlN を主要インヒビターと
し、かつSbを含有する成分系の一方向性けい素鋼の製造
にあたって、前述のようなこれまでに提案されたMgO
は、活性すぎて、安定して良好な被膜を形成することが
困難であった。その理由は、前述したようにAlN を主要
インヒビターとし、かつSbを含有する成分系のけい素鋼
が、脱炭・1次再結晶焼鈍において酸化されにくいこと
に起因する。そこで、酸化量を増加させるべく脱炭焼鈍
の温度や雰囲気の露点を高めると、酸化層中の鉄酸化物
が増加するから、最終仕上焼鈍で形成するフォルステラ
イト被膜は、劣悪にならざるを得なかった。
【0012】これらのことから、発明者らはAl−Sbを含
有する成分系の一方向性けい素鋼板の焼鈍分離剤に供す
るMgO の好適な物性について種々の検討を行い、その結
果、従来知られているものよりも、さらに低活性である
MgO が好適なことを見出した。
【0013】脱炭・1次再結晶焼鈍において酸化し難い
素材に対し、より低活性なMgO が被膜形成に関して好適
であることは、一見、矛盾した現象のようにみえる。し
かしながら、その理由は、以下のとおりと考えられる。
焼鈍分離剤を塗布され、コイル状に巻かれたけい素鋼板
が仕上焼鈍される際、昇温過程の800 ℃付近まではMgO
の水和水分が徐々に放出されるため、コイル層間がウェ
ットな状態に保たれる。このとき、鋼板表面は、H2O に
より、いわゆる追加酸化を受けるわけであるが、その酸
化量は、脱炭・1次再結晶焼鈍により生成した酸化層の
性状に左右される。Al−Sbを含有する成分系の一方向性
けい素鋼では、表層に生成している酸化量が少ないため
に、この追加酸化の際は鉄酸化物を多く生成する。ここ
に生成した鉄酸化物のうち、FeO は、MgO と固溶してx
FeO ・yMgO をつくり、高温でのフォルステライト被膜
形成に悪影響を及ぼす。またFe2SiO4 もMgO と固溶して
フォルステライト(Mg2SiO4 )に移行しつつ、FeOを遊
離するため、同様な悪影響をもたらす。また、脱炭・1
次再結晶焼鈍のときから表層へのAlやSbの濃化が不均一
に起こること、コイル層間のH2O 分圧も不均一であるこ
と等の理由のため、この追加酸化自体も不均一になる傾
向があり、この点でも被膜の均一性に悪影響があった。
【0014】このように、フォルステライト被膜へ悪影
響を及ぼす原因は、MgO の水和水分に由来する追加酸化
とその不均一さである。そこで、この発明に従い、より
低活性のMgO を用いることにより、この追加酸化を抑制
することが可能になるから、Al−Sbを含有する成分系の
一方向性けい素鋼でも均一、良好な被膜を形成し得るも
のと考えられる。
【0015】またAlN を主要インヒビターとする一方向
性けい素鋼の2次再結晶温度は、インヒビターの抑制力
が強いために900 〜1000℃付近であり、MnS やMnSeを主
要インヒビターとするけい素鋼の2次再結晶温度800 〜
900 ℃に比べて高い。このため、仕上焼鈍中の表面酸化
は、インヒビターの分解や粗大化を左右し、2次再結晶
挙動にも強く影響する。したがって、追加酸化が多い
と、表面被膜のみならず、磁気特性も著しく劣化させる
ことが多い。それ故に、Al−Sbを含有する成分系の一方
向性けい素鋼の製造においては、低活性MgO の使用が磁
気特性の安定化の観点からも重要である。
【0016】以上の知見をもとに、種々の実験を行った
ところ、MgO の好適な活性度は、くえん酸活性度及び水
和水分量によって示し得ることが分かった。まずくえん
酸活性度の評価法について述べる。 1) 0.4規定のくえん酸水溶液100cm3をビーカーにとり、
30℃に保つ。ビーカ内には磁気回転子を入れておく。 2) 秤量したMgO をビーカー内に投入する。MgO の投入
量は、所望の最終反応率によって変え、最終反応率が40
%の場合は、2.00 g、80%の場合は1.00 gとする。(
0.4規定のくえん酸水溶液100cm3は、0.8 g のMgO と反
応する。) 3)MgO をビーカー内に投入した時から正確に10秒後にス
ターラーのスイッチを入れ、磁気回転子を回転させる。
この間、液温は30℃±1℃に保つ。 4)スラリーのpHが8.0 になった時点を反応終了とし、Mg
O を投入した時からの時間を計り、その秒数をくえん酸
活性度とする。
【0017】このようにして評価するくえん酸活性度に
おいて、従来、一方向性けい素鋼の焼鈍分離剤として用
いられていたMgO は、例えば前掲特公昭57-45472号公報
に示されたMgO では、低活性と雖もくえん酸活性度が最
終反応率40%の場合に約40〜80秒であって、この発明の
MgO よりも活性度が高いものであった。なお、特公平4
-25349号公報には、焼鈍分離剤として、MgO にCaO とB
とを添加し、くえん酸活性度が60〜250 秒であるもの
が、一方向性電磁鋼板の優れたグラス被膜や磁気特性に
有効である旨、述べられているが、この発明のMgO は、
最終反応率40%でのくえん酸活性度だけでなく、80%で
のくえん酸活性度も考慮する点が特徴である。すなわ
ち、MgO の調製条件次第で活性度分布は変化し、くえん
酸最終反応率40%での活性度が同一であっても、活性度
分布が狭いものは80%でのくえん酸活性度の値の増加割
合が小さいことは、前掲特公昭57-45472号公報に記載さ
れたとおりであり、ここにおいて、この発明で用いるMg
O は、最終反応率80%におけるくえん酸活性度が1000〜
4000秒と広い活性度分布を有するものである。
【0018】以上のようなくえん酸活性度が、最終反応
率40%の条件で100 秒未満、最終反応率80%の条件で10
00秒未満の活性度分布の場合には、活性すぎて不均一で
欠陥の多い被膜しか生成しない。また、最終反応率40%
の条件で400 秒を超え、最終反応率80%の条件で4000秒
を超える活性度分布の場合には、MgO の反応性が低すぎ
て、薄く、粗雑な、密着性の悪い被膜しか生成しない。
より好適な活性度分布は、最終反応率40%の条件で150
〜350 秒、最終反応率80%の条件で1500〜3500秒であ
る。
【0019】この発明に従うくえん酸活性度のMgO の製
造にあたっては、原料物質(例えば水酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等)の
焼成において、950 ℃以上の高温で焼成した、異なる活
性度のものを混合する方法や、バッチ炉焼成によって、
焼成炉内の温度分布を調整することにより、目的とする
活性度分布のMgO を得ることができる。
【0020】さらにMgO の活性度に関しては、20℃、60
分間の条件における水和水分量が2.5 %以下である必要
がある。2.5 %を超える水和水分量では、最終仕上焼鈍
中の追加酸化が多くなって、被膜、磁気特性ともに不良
となる。
【0021】さらに均一な被膜を得るために、MgO 粒
は、平均粒子径が2.5 μm 以下であることを必要とす
る。フォルステライト被膜形成反応は、鋼板表面の酸化
物(SiO2、Fe2SiO4 )とMgO との固相反応であるため、
MgO の粒子径の影響を強く受ける。平均粒子径が2.5 μ
m を超えると、この固相反応が不均一となって良好な被
膜が得られない。また同様な理由から、MgO の粒度分布
に関し、325 メッシュの不通過分が5%以下であること
が、所期した製品品質を得るために必要であり、不通過
分が5%を超えると、被膜が不均一となる。
【0022】この発明の焼鈍分離剤としては、分離剤に
通常添加される成分、例えば、TiO2やチタン酸塩、ほう
酸又はほう酸塩、Sr化合物、Mn化合物等を添加すること
は何ら差し支えない。
【0023】次にこの発明の製造方法を適用するけい素
鋼素材の成分組成範囲を限定理由は次のとおりである。 Si:2.5 〜4.0 wt% Si量が2.5 wt%に満たないと、良好な鉄損が得られず、
一方4.0 wt%を超えると冷間圧延性が著しく劣化するた
め、2.5 〜4.0 wt%の範囲とした。 酸可溶性Al:0.01〜0.05wt% 酸可溶性Alは、インヒビターとしてのAlN を形成するた
めに必要であり、含有量を0.01〜0.05wt%の範囲とす
る。酸可溶性Alの含有量が、0.01wt%に満たないと、イ
ンヒビターとしての作用が低下して、製品の磁束密度の
低下を招き、一方0.05wt%を超えると、2次再結晶が不
安定になる。 Sb:0.01〜0.20wt% Sbは、1次再結晶集合組織を改善し、(110)<001>方位結
晶粒の成長性を良好にし、磁気特性を安定して向上させ
るために必要であり、Sb量が0.01wt%未満では、その効
果が乏しく、一方0.20wt%を超えると、脱炭性やフォル
ステライト被膜形成性を損なうため、0.01〜0.20wt%の
範囲とする。
【0024】鋼成分としては、この他、Cを0.02〜0.12
wt%程度と、インヒビター構成成分としてNを通常の範
囲(0.004 〜0.01wt%程度)で含有するものであり、さ
らに必要に応じて、Mn、S、Se等を含有してもよい。そ
の含有量は、それぞれ、Mn:0.03〜0.15wt%程度、Sお
よび/又はSeを合計で0.01〜0.05wt%程度ある。さら
に、2次再結晶を、磁気特性上、より有利なものとする
ために、CuやSnなどを、それぞれ0.02〜0.20 wt%程
度、0.02〜0.20wt%程度含有させることも可能である。
【0025】次に製造工程については、上記の成分組成
に調整したけい素鋼素材を、通常1400℃以上の高温に加
熱したのち、公知の方法によって、板厚2〜3mm程度の
熱延母板とする。次いで900 〜1200℃の温度範囲で熱延
板焼鈍を施し、酸洗したのち、1回の冷間圧延、または
900 〜1200℃の温度範囲で焼鈍を挟む2回以上の冷間圧
延によって、最終板厚0.15〜0.35mm程度の冷延板に仕上
げるが、この冷間圧延で最終板厚に仕上げる際の冷延率
は80〜95%の範囲が望ましい。この最終冷延板は脱脂し
たのち、湿水素雰囲気中で800 〜900 ℃の温度範囲で脱
炭焼鈍してC量を0.003 wt%以下にする。その後MgO を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、ドライH2雰囲気
1100〜1250℃の高温で、仕上焼鈍を行う。そして最後に
絶縁コーティングを施して一方向性けい素鋼板製品とす
る。
【0026】
【実施例】
実施例1 C:0.060 wt%、Si:3.12wt%、Mn:0.075 wt%、Se:
0.023 wt%、酸可溶性Al:0.024 wt%、N:0.0084wt
%、Sb:0.032 wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成
からなるけい素鋼スラブを1420℃で20分間加熱後、熱間
圧延により2.3 mm厚の熱延板とした。この熱延板を、10
50℃で2分間加熱したあと、ミスト噴射により急冷し、
次いで冷間圧延を施して0.30mmに仕上げた。この冷間圧
延後は、H245%−N255%,露点63℃の雰囲気中で840
℃、4分間の脱炭・1次再結晶焼鈍を行った。この板か
ら、多数のテストピースを切り出し、焼鈍分離剤をスラ
リー状態で塗布後乾燥させた。この時の焼鈍分離剤とし
て、MgO は表1に示す種々の特性を有するものを用い、
さらに添加物としてTiO22%をそれぞれに添加した。な
お、MgO の物性は、MgO 製造時の焼成条件と粉砕条件と
を変更して変化させた。焼鈍分離剤を塗布した鋼板は、
H2雰囲気で1200℃、20時間の仕上焼鈍に供した。
【0027】
【表1】
【0028】かくして得られた製品の被膜外観、被膜密
着性及び磁気特性を表1に併記する。ここに平均粒子径
は、光透過法により測定したものであり、また被膜密着
性は、被膜がはく離しない最小曲げ直径で示す。表1か
ら明らかなように、適合例においては、外観、密着性と
も良好で、磁気特性も優れた製品が得られている。
【0029】実施例2 C:0.062 wt%、Si:3.09wt%、Mn:0.076 wt%、Se:
0.021 wt%、S:0.004 wt%、酸可溶性Al:0.025 wt
%、N:0.0080wt%、Sb:0.030 wt%、Mo:0.02wt%、
Cu:0.01wt%、Sn:0.10wt%を含有し、残部は実質的に
Feの組成からなるけい素鋼スラブを1420℃で20分間加熱
後、熱間圧延により2.0 mm厚の熱延板とした。この熱延
板を、1050℃で2分間加熱したあと、ミスト噴射により
急冷し、次いで冷間圧延を施して0.23mmに仕上げた。こ
の冷間圧延後は、H255%−N245%,露点65℃の雰囲気中
で830 ℃、3分間の脱炭・1次再結晶焼鈍を行った。こ
の板から、多数のテストピースを切り出し、焼鈍分離剤
をスラリー状態で塗布後乾燥させた。この時の焼鈍分離
剤として、MgO は表2に示す種々の特性を有するものを
用い、さらに添加物としてSrSO4 :1%、MnO2:1.5 %
を、それぞれに添加した。焼鈍分離剤を塗布した鋼板
は、H2雰囲気で1200℃、10時間の仕上焼鈍に供した。
【0030】
【表2】
【0031】かくして得られた製品の被膜外観、被膜密
着性及び磁気特性を表2に併記する。平均粒子径及び被
膜密着性の測定は、実施例1と同様である。表2から明
らかなように、適合例においては、外観、密着性とも良
好で、磁気特性も優れた製品が得られている。
【0032】
【発明の効果】この発明の一方向性けい素鋼板の製造方
法は、焼鈍分離剤の成分としてのMgOとして、くえん酸
活性度が、最終反応率40%の条件で100 〜400 秒、最終
反応率80%の条件で1000〜4000秒であり、しかも水和水
分量が、20℃,60分間の条件で2.5 %以下であり、さら
に平均粒子径が2.5 μm 以下でかつ325 メッシュの不通
過分が5%以下であるものを用いることにより、Al及び
Sbを含有する成分系の鋼板の製造において均一で密着性
の優れた被膜を有し、かつ磁気特性の優れた製品を安定
して得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.5 〜4.0 wt%、酸可溶性Al:0.01
    〜0.05wt%及びSb:0.01〜0.20wt%を含有するけい素鋼
    スラブを熱間圧延し、次いで熱延板焼鈍及び1回又は中
    間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚とした
    後、脱炭・1次再結晶焼鈍を施し、次いでMgO を主成分
    とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施す一連の
    製造工程からなる一方向性けい素鋼板の製造方法におい
    て、 焼鈍分離剤成分のMgO は、くえん酸活性度が、最終反応
    率40%の条件で100 〜400 秒、最終反応率80%の条件で
    1000〜4000秒であり、しかも水和水分量が、20℃,60分
    間の条件で2.5 %以下であり、さらに平均粒子径が2.5
    μm 以下でかつ325 メッシュの不通過分が5%以下であ
    ることを特徴とする被膜特性及び磁気特性に優れた一方
    向性けい素鋼板の製造方法。
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