JP2646748B2 - ディスク型記憶装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 セクタサーボ方式のディスク型記憶装置に関し、 ヘッド切換え直後のオントラックへの収束性の向上を
目的とし、 複数のデータ領域と円周上に点在して配置したサーボ
情報領域からなる記録トラックを有する複数の記録面で
構成した磁気ディスクと、前記記録面に対向して配置し
た複数の記録／再生ヘッドを備え、該複数の記録／再生
ヘッドから１つのヘッドを選択し、該選択したヘッドに
対向するディスクのトラック上のサーボ信号で該ヘッド
の位置決め制御を行う位置サーボ回路を備えたディスク
型記憶装置において、各記録／再生ヘッド間のトラック
横断方向のオフセット値を記憶しておき、要求に応じて
現在選択されている現在ヘッドと次に選択する目的ヘッ
ドとの間のオフセット値を出力するオフセット値出力手
段と、該オフセット値出力手段の出力したオフセット値
をアナログ量に変換し、前記位置サーボ回路に印加する
オフセット印加手段とを備え、同一シリンダーに於ける
ヘッド切り換えの際、現在ヘッドと次に選択する目的ヘ
ッドとの間のオフセット値を位置サーボ回路に印加さ
せ、前記位置サーボ回路が現在ヘッドからのサーボ信号
と前記オフセット値により、現在ヘッドを前記オフセッ
ト値だけオフセットさせて目的ヘッドをオントラックさ
せた後、前記位置サーボ回路に入力されるサーボ信号が
現在ヘッドから目的ヘッドに切り換えられるように構成
する。

〔産業上の利用分野〕

本発明はディスク型記憶装置に係り、特にセクタサー
ボ方式のディスク型記憶装置における同一シリンダ上で
のヘッド切換え直後のオントラックへの収束性の向上に
関する。

〔従来の技術〕

複数枚のディスク媒体を有する記憶装置、例えば磁気
ディスク装置においては、同一シリンダ（各ディスクの
同一番号のトラックに外接する円筒）上の他の磁気ヘッ
ドへの切換え（これをヘッドチェンジと呼ぶ）がしばし
ば行われる。

第６図は、磁気ディスク装置の構成の一例を示す図で
ある。

ベース107に取りつけられた直流モータ104のハブ上
に、磁気ディスク102がスペーサ105を介して、一枚、ま
たは複数枚積層されて、ディスククランプ106によって
固定されている。磁気ディスク102の各面に対向するよ
うに、磁気ヘッド101が設けられ、磁気ヘッド101は、ス
プリングアーム103を介して、図示されていないヘッド
アームにより支持され、図示されてないアクチュエータ
（ボイスコイルモータ）により磁気ディスク102上をデ
ィスク回転方向と垂直な方向に可動自在となっている。

磁気ヘッドをトラック上に位置づけするためのサーボ
方式として、サーボ面サーボ方式とセクタサーボ方式な
どがある。サーボ面サーボ方式は、磁気ディスク媒体の
中一面をサーボ面としてサーボ信号を書き込み、サーボ
面に設けられたサーボヘッドの読み出すサーボ信号によ
ってシリンダの位置決めを行うものである。これに対し
てセクタサーボ方式は、特定のサーボ面を設けず、全て
のディスク面の各セクタ毎に、第７図（ａ）に示すよう
なサーボ情報を書き込んで置くもので、サーボ情報は、
トラック番号コード（グレーコード）とサーボ信号から
成る。通常の読出し／書き込みを行うヘッドによってサ
ーボ信号を読み出し、同図（ｂ）に示すように、サーボ
信号のＡとＢの読み出し振幅が等しくなるように制御す
ることによってヘッドの位置決めを行うものである。セ
クタサーボ方式は、全てのディスク媒体面をデータ用と
して使用できるから媒体面の使用効率が高い。

サーボ面サーボ方式では、ヘッド位置決め制御は常に
サーボヘッドの読出し信号によって行われ、読出し／書
込みヘッドの切換えはヘッド位置決め制御に何ら影響は
ない。

セクタサーボ方式においては、ヘッド切換えの際に、
トラック追尾動作が一瞬無制御状態となる。現在トラッ
ク追尾を行っているヘッド（現在ヘッド）から、別のヘ
ッド（目的ヘッド）にヘッド切換えが行われたとき、目
的ヘッドが完全にオントラックしていれば問題ないが、
数ミクロンのオフトラックを問題とする昨今の磁気ディ
スク装置においては、目的ヘッドがヘッド切換え後オン
トラックしていることはまれであり、大抵の場合、各ヘ
ッド間で数ミクロンのずれが生じている。

第８図は、従来のヘッドチェンジ時の動作を示す図で
ある。

第８図（ａ）に示す状態で、ヘッド1Aがトラック108
上にオントラックしているとき、ヘッド1Bはトラック10
8上から通常数ミクロン、オフセットしている。

上記の状態でヘッド1Bへヘッドチェンジされたとき
は、同図（ｂ）に示す状態になるのであるが、ヘッドチ
ェンジ中は一瞬無制御状態となり、その後のヘッド1Bの
動きは、前記オフセットのために、同図（ｃ）に示すよ
うな軌跡をたどる。

第８図では、説明上、現在ヘッド1Aと目的ヘッド2Bは
同一ディスクの両面に対向するヘッドとしたが、目的ヘ
ッドは装置内のどのヘッドでもよい。図において、斜線
を施して示したヘッドは、読出し／書込みが可能となっ
ている（選択されている）ヘッドを示す。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記の説明のように、ヘッド切換えを行うと、目的ヘ
ッドに移った瞬間オフトラックを生じているため、オン
トラックさせるためにボイスコイルモータ（VCM）に比
較的大きな電流が流れ、第８図（ｃ）に示すように、オ
ントラックへの収束性が悪く、オントラックに静定する
までに時間がかかっていた。

本発明が解決しようとする課題は、このような従来の
問題点を解消したディスク型記憶装置を提供しようとす
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

第１図は、本発明の構成を示すブロック図である。

図において、１は読出し／書込みヘッドである。

1Aは現在選択されている現在ヘッドであり、1Bは次に
選択する目的ヘッドである。

２は位置サーボ回路であり、現在ヘッド1Aの読み出し
たセクタサーボ信号から位置誤差を算出し位置制御信号
を作成し出力する。

３はオフセット値出力手段であり、各記録／再生ヘッ
ド１間のトラック横断方向のオフセット値を検出し記憶
しておき要求に応じて現在選択されている現在ヘッド1A
と次に選択する目的ヘッド1Bとの間のオフセット値を出
力する。

４はオフセット印加手段であり、オフセット検出手段
３の出力したオフセット値をアナログ量に変換し位置サ
ーボ回路２に印加する。

５はシーク制御回路であり、現在トラック（シリン
ダ）から目的トラック（シリンダ）への移動時の制御信
号を作成し出力する。

６は電力増幅器であり、位置サーボ回路２（オントラ
ック時）またはシーク制御回路５の出力を電力増幅す
る。

７はボイスコイルモータ（VCM）であり、電力増幅器
６の出力により駆動され記録／再生ヘッド群１を位置決
めする。

８はヘッド選択回路であり、複数の記録／再生ヘッド
１から指令された一つを選択接続する。

〔作用〕

本発明では、オフセット値出力手段３と、オフセット
印加手段４とを設けて、現在ヘッド1Aから目的ヘッド1B
への切換えの際、現在ヘッド1Aのままで、オフセット印
加手段４から位置サーボ回路２に、現在ヘッド1Aと目的
ヘッド1B間のオフセット値を印加させ、オントラックさ
せた後、目的ヘッド1Bに切り換えるようにする。

VCM7を駆動する電力増幅器６の入力は、シーク時には
シーク制御回路５の出力が加えられるが、オントラック
時には位置サーボ回路２側に切り換えられている。

オフセット値出力手段３は、電源投入時および一定時
間ごとに各ヘッド間のオフセットを測定し、これを記憶
しておき、ヘッド切り換え時、現在ヘッド番号と目的ヘ
ッド番号を入力されたとき、それらのヘッド間のオフセ
ットを読み出し出力する。

オフセット印加手段４は、入力されたオフセット値を
D/A変換（ディジタル／アナログ変換）し、位置サーボ
回路２に印加する。

位置サーボ回路２では、オフセット値を加えられる前
までは、第２図（ａ）に示すように、現在ヘッド1Aをオ
ントラックさせるよう制御し、目的ヘッド1Bはヘッド1A
-1B間オフセット値Ｘに相当するずれ量だけトラックか
らずれている。この状態で、オフセット値Ｘを加えられ
ると、位置サーボ回路２は、第２図（ｂ）に示すよう
に、現在ヘッド1AがＸだけオフセットするよう制御し、
目的ヘッド1Bは正しくトラック上にあるようになる。

オフセットを加えられた状態でオントラックしたなら
ば、ヘッド切換えを行い、オフセット印加を止める。そ
のときの状態は第２図（ｃ）に示すとおりである。第２
図において、ハッチングを施してあるヘッドが選択さ
れ、読出し／書込み可能なヘッドを示す。

このように、ヘッド切換え後、目的ヘッド1Bは殆どオ
ントラックの状態にあるので、切換え時にVCM7に加えら
れる電流は非常に小さく、直ちに静定するようになる。
ヘッドの軌跡は第２図（ｄ）に示すようになり、オント
ラックへの収束は非常に速くなる。第２図（ｄ）におい
て、位置Ｑと位置Ｐの差がオフセットＸに相当する。

〔実施例〕

第３図は、本発明の一実施例の構成を示す図である。

図において、１はヘッドであり、６は電力増幅器であ
り、７はVCM7であり、８はヘッド選択回路であって、第
１図に示したと同一である。

２はオントラック制御器であり、ヘッドの読み出した
セクタサーボ信号から位置誤差を算出し、位置誤差に比
例する成分と積分成分と微分成分との合成で位置制御信
号を作成する位置サーボ回路である。

３はオフセット検出器であり、電源投入時および一定
時間ごとに各ヘッド間のオフセットを測定し記憶してお
き、ヘッド切換え時現在ヘッド番号と目的ヘッド番号の
入力により両ヘッド間オフセットを出力する。

各ヘッド間のオフセットは、一つのヘッドａを基準と
してヘッドａでのオントラック時に他のヘッド例えばｂ
に切り換え、オントラック制御を行わず、セクタサーボ
信号の読出しデータからオフセットを算出する。測定結
果は、第４図に示すように基準ヘッドａに対するその他
のヘッドb,c,…,nのオフセット値O_ab,O_ac，…，O_anを記
載したテーブルとしてメモリに記憶させる。ヘッド切換
え時、現在ヘッド番号（例えば、ｃ）と目的ヘッド番号
（例えば、ｆ）が入力されれば、ヘッドｃに対するヘッ
ドｆのオフセット値O_cfを、O_cf＝O_af-O_acから計算し、
出力する。

４はオフセット印加器であり、オフセット検出器３か
ら出力されたオフセット値をD/A変換してオントラック
制御器２に印加する。

51,52,53,54,55はシーク制御器を構成し、シーク命令
に応じてヘッドを目標トラック（シリンダ）に位置決め
する 残りシーク量計算器51は、入力されるトラッククロッ
シングパルスから常に現在トラック番号を保持し、シー
ク命令の指示するトラック番号までの残りシーク量を計
算する。

目標速度発生器52は、算出された残りシーク量に対応
する目標速度を読み出し出力する。

速度発生器53は、ヘッドの読み出したセクタマーク信
号中のトラック番号（グレイコード）を一定サンプリン
グ時刻ごとに読みヘッドの現在速度を算出する。

速度誤差発生器54は、入力された目標速度と現在速度
から速度誤差を算出し出力する。

FF発生器55は、減速時に予め定めた一定パターンで減
速させるための制御信号を発生する。

９はヘッド切換え制御器であり、ヘッド切換え命令に
応じて現在ヘッドから命令の指示する目標ヘッドへの切
換えを制御する。

21はオントラック完了検出器であり、オフセット印加
後オントラック制御器２において誤差信号が０に静定し
たことによりオントラック完了を検出し、オントラック
完了信号をヘッド選択回路８およびオフセット印加器４
に送出する。

第５図は、本発明の一実施例の動作を示すフローチャ
ートである。

以下、フローチャートの処理ステップに従ってその動
作を説明する。

ヘッド切換え制御器９は、オントラック制御状態にお
いてヘッド切換え命令を受けたときは、これに応じて、
まずオフセット検出器３に現在ヘッドと目標ヘッドの番
号を指示し、次いでヘッド選択回路８に目標ヘッド番号
を指示してヘッド切換え準備命令を出す。オフセット検
出器３は入力された現在ヘッドと目標ヘッドの番号から
両ヘッド間のオフセット値を算出し出力する。

オフセット印加器４では、入力されたオフセット値を
予め定めた閾値と比較し、閾値以下ならばオフセット値
≒０としてステップへ飛び、閾値以上であればステッ
プへ進む。

オフセット印加器４では、オフセット値をD/A変換し
て、これをオントラック制御器２に印加する。

オントラック制御器２では、サーボ信号と印加された
オフセットに基づいてオントラック制御を行う。オント
ラック完了検出器21は、オントラック制御器２において
誤差信号が０に静定したことによりオントラックを完了
したことを検出し、オントラック完了信号をヘッド選択
回路８およびオフセット印加器４に送出する。

オフセット印加器４は、オントラック完了信号を受け
取ったならばオフセットの印加を停止する。

ヘッド選択回路８では、オントラック完了信号を受け
取ってヘッド切換え準備命令により指示された目標ヘッ
ドへの切換えを実行する。オントラック制御器２では、
切り換わったヘッドの読み出したサーボ信号によりオン
トラック制御を行いヘッド切換え動作を終わる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように本発明によれば、現在
ヘッドと目的ヘッドの間にオフセットがあっても円滑で
素早いヘッド切換え動作が可能となり、磁気ディスク装
置等のデータ処理能力を向上するという著しい工業的効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示すブロック図、 第２図は本発明によるヘッド切換え動作を示す図、 第３図は本発明の一実施例の構成を示す図、 第４図はオフセット値の格納例とオフセット計算例を示
す図、 第５図は本発明の一実施例の動作を示すフローチャー
ト、 第６図は磁気ディスク装置の要部構成例を示す図、 第７図はセクタサーボ信号を示す図、 第８図は従来例によるヘッド切換え時の動作を示す図で
ある。 図において、 1,1A,1B,101は記録／再生ヘッド、２は位置サーボ回路
（オントラック制御器）、３はオフセット値出力手段
（器）、４はオフセット印加手段（器）、５はシーク制
御回路、６は電力増幅器、７はVCM、８はヘッド選択回
路、９はヘッド切換え制御器、21はオントラック完了検
出器、51は残りのシーク量計算器、52は目標速度発生
器、53は速度発生器、54は速度誤差発生器、55はFF発生
器、102は磁気ディスク、103はスプリングアーム、104
はモータ、105はスペーサ、106はディスククランプ、10
7はベース、108はトラック、 を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のデータ領域と円周上に点在して配置
   したサーボ情報領域からなる記録トラックを有する複数
   の記録面で構成した磁気ディスクと、前記記録面に対向
   して配置した複数の記録／再生ヘッドを備え、該複数の
   記録／再生ヘッドから１つのヘッドを選択し、該選択し
   たヘッドに対向するディスクのトラック上のサーボ信号
   で該ヘッドの位置決め制御を行う位置サーボ回路を備え
   たディスク型記憶装置において、 各記録／再生ヘッド間のトラック横断方向のオフセット
   値を記憶しておき、要求に応じて現在選択されている現
   在ヘッドと次に選択する目的ヘッドとの間のオフセット
   値を出力するオフセット値出力手段と、 該オフセット値出力手段の出力したオフセット値をアナ
   ログ量に変換し、前記位置サーボ回路に印加するオフセ
   ット印加手段と、 を備え、同一シリンダーに於けるヘッド切り換えの際、
   現在ヘッドと次に選択する目的ヘッドとの間のオフセッ
   ト値を位置サーボ回路に印加させ、前記位置サーボ回路
   が現在ヘッドからのサーボ信号と前記オフセット値によ
   り、現在ヘッドを前記オフセット値だけオフセットさせ
   て目的ヘッドをオントラックさせた後、前記位置サーボ
   回路に入力されるサーボ信号が現在ヘッドから目的ヘッ
   ドに切り換えられるよう構成したことを特徴とするディ
   スク型記憶装置。