JP2646485B2 - キャブレタの冷却装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、エンジンからの熱害を防ぐキャブレタの
冷却装置に関する。

（従来の技術） エンジン吸気口に接続されるキャブレタは、一般的に
エンジンに近く、エンジンからの伝導熱や輻射熱によ
り、パーコレーションなどの熱害を受けやすい。これを
防ぐためには、エンジンとの接続通路にインシュレータ
を介在させて伝導熱を遮断し、またシールド板を介在さ
せて輻射熱を遮断するなどの方法を採るものがある。ま
た外気や走行風に触れやすい配置にして放熱を促すよう
に図っている。

ところが、吸気通路をシリンダ軸心とほぼ平行に直線
的に導入したトップフィールドインテーク方式を採る４
サイクルエンジンでは、上記のような対策を採りにく
く、熱害の影響を大きくなる不都合がある。

すなわち吸気通路がヘッドカバー上面に開口し、キャ
ブレタはこのヘッドカバー上面上に装着され、エアクリ
ーナケースはキャブレタ上端に接続されるので、ヘッド
カバーとエアクリーナケースで上下に挟まれた狭い空間
内にキャブレタが隠蔽され、効率よく外気に触れにく
く、熱気が籠りやすい形になる。またエアクリーナケー
スをヘッドカバー上面に被せてキャブレタを収容し、内
部雰囲気から直接吸入するようにすると、ケース内に吸
入された空気がキャブレタに触れるようにはなるが、従
来型に比べて熱害を受けやすい状況にあることに変りは
ない。

（発明が解決しようとする課題） 上記のように、ヘッドカバー上面上にキャブレタを装
着し、その上方にエアクリーナケースを接続した自動２
輪車などのエンジンにおいては、キャブレタがエンジン
からの熱害を受けやすいという問題があり、この発明
は、キャブレタ部の放熱を促進することによって熱害を
防ぐようにしたキャブレタの冷却装置を提供することを
目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的をもって、この発明のキャブレタの冷却装
置では、エンジンヘッドカバー上面上にキャブレタを装
着してその上方にエアクリーナケースを接続した自動２
輪車などのエンジンにおいて、ヘッドカバー上面とエア
クリーナケース底面よりなる上下壁面と、ヘッドカバー
あるいはエアクリーナケースから延設された周壁面とに
よって囲まれた独立のキャブレタ室を形成し、このキャ
ブレタ室内にキャブレッタ本体を収容して、インレット
のみをエアクリーナケース底面に開口すると共に、上記
キャブレタ室の前壁に導風口、後壁に排風口を開設し
て、走行風が室内を通過するようにした構成にする。

（作用） 以上の通りの構成にしたもので、車の走行により走行
風がキャブレタ室内を通過し、キャブレタに接触してこ
れを冷却する。キャブレタ室は独立の室に形成されてい
るので、複数のキャブレタが林立している状態のもので
も、内央部まで外気が侵入し、広くキャブレタに触れて
冷却効果を高める。

こうして常時キャブレタは冷却されるので、エンジン
側からの熱伝導や輻射熱による熱害を防ぐ。したがって
従来に用いられたインシュレータやシールド板を省略で
きる。

またキャブレタ室が１つの断熱層となってエアクリー
ナケース内の空気がエンジンの熱で加温されることな
く、かつ間接的に冷却されるので、吸入空気の密度上す
なわち出力上有利に作用する。

（実施例） 以下この発明の実施例を示す図に就いて説明する。

第４図において、この自動２輪車は、車体中央に配置
されたエンジンユニット１がフレームの中核をなし、前
後に前輪２、後輪３が配備されたものである。

後輪３を支持するスイングアーム４の前端は、エンジ
ンユニット１の後縁部に枢支され、同じくエンジンユニ
ット１の後縁部に装着されたリヤクッションユニット５
により緩衝懸架される。シート６を載せるシートレール
７およびこれを支えるシートピラー８はエンジンユニッ
ト１の後上縁部に取着けられる。９はシート６前方に配
置した燃料タンクである。

次に前輪２を緩衝懸架するフロントフォーク10は、エ
ンジンユニット前上部に接続されたボックス型とフレー
ム11の前部にステアリングヘッド12を介して操舵可能に
支持される。13はそのフロントクッションユニット、14
はハンドルを示す。

上記フレーム11は、第１図、第２図、第３図に示すよ
うに、上面および下面に開口15,16を有するボックス型
で、前面に上記ステアリングヘッド12が締着ボルト17に
より分解可能に固定される。さらに下面両側に取着脚18
が延設される。

またフレーム11内壁中段部に内フランジ19が突設さ
れ、隔板20が張設される。内フランジ19下方のフレーム
11前壁には導風口21があき、後壁には排風口22があく。

エンジンユニット１は、エンジン部分が前上方へ延
び、シリンダヘッド1aに被着されたヘッドカバー1bの上
面周縁部にリブ22が囲繞して備えられる。また第４図に
示すように、シリンダヘッド1aの燃焼室23に開口する吸
気通路24はシリンダ25の軸心に沿って直上方へ延び、ヘ
ッドカバー1bを貫通してその上面に開口する。そして吸
気通路24に接続されたキャブレタ26がヘッドカバー1b上
面に並ぶ。

前記ボックス型のフレーム11は、取着脚18を締着ボル
ト27でシリンダヘッド1aの両側面に締着することによ
り、エンジンユニット１に接続される。このとき、開口
16部の内フランジ28と上記リブ22がシール材29を介して
接合し、開口16はヘッドカバー1bで閉塞され、前記隔板
20との間で独立したキャブレタ室30が形成され、上記キ
ャブレタ26が収納される。そして、キャブレタ26のイン
レットが隔板20を貫通してエアファンネル31を介してフ
レーム11内に開口する。

フレーム11上面の開口15には、エアクリーナエレメン
ト32が被せられ、さらにキャップ33が被着される。キャ
ップ33にはインレット34が開口する。前記燃料タンク９
はこのキャップ33の後方に連続して接続される。

こうしてフレーム11内はキャップ33と共に、エアクリ
ーナケースとして形成される。インレット34から吸入さ
れた空気はエアクリーナエレメント32を通り浄化されて
フレーム11内に入り、内部で開口するエアファンネル31
からキャブレタ26に吸入される。

一方、フレーム11内下部の前記キャブレタ室30内に
は、車の走行により導風口21から導入されて排風口22へ
抜ける走行風が通過する。この走行風はキャブレタ26の
外面に広く接触し、キャブレタ26を冷却する。キャブレ
タ26はエンジンの熱を受けやすい状況にあるが、この冷
却効果によって、パーコレーションなどの熱害が有効に
防がれる。

また、キャブレタ室30で遮断されたフレーム11内の空
気はエンジンの熱で加温されることがないので、キャブ
レタ26へ吸入される空気温度は安定し、キャブレタのセ
ッティングが容易であると同時に、空気密度の関係上出
力特性に好影響がある。

なお図中35は排気口22に接続された導管で、その先端
を負圧効果のある部位に開口させると、導風量の増大が
期待できる。また場合によっては、ファンを併用するこ
とができる。

〔発明の効果〕

上記の通りこの発明に係るキャブレタの冷却装置は、
ヘッドカバー上面に装着したキャブレタを、ヘッドカバ
ー上面とエアクリーナケース底面との間に形成した独立
のキャブレタ室に収めて、インレットのみをエアクリー
ナケース内に開口し、このキャブレタ室内に走行風を通
過させるようにしたもので、キャブレタの放熱による冷
却が促進されることによってエンジンより受ける熱害が
防護され、エンジン出力性能が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例になるキャブレタ冷却装置を
示すエンジン要部の側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視
によるフレームの横断平面図、第３図は第１図Ｂ−Ｂ矢
視によるキャブレタ室の縦断後面図、第４図は第１図の
エンジンを搭載した自動２輪車の側面図、第５図は第１
図のエンジンのシリンダヘッド部を示す縦断側面図であ
る。 １……エンジンユニット、1a……シリンダヘッド、1b…
…ヘッドカバー、21……導風口、22……排風口、26……
キャブレタ、30……キャブレタ室。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンヘッドカバー上面上にキャブレタ
   を装着してその上方にエアクリーナケースを接続した自
   動２輪車などのエンジンにおいて、ヘッドカバー上面と
   エアクリーナケース底面よりなる上下壁面と、ヘッドカ
   バーあるいはエアクリーナケースから延設された周壁面
   とによって囲まれた独立のキャブレタ室を形成し、この
   キャブレタ室内にキャブレタ本体を収容して、インレッ
   トのみをエアクリーナケース底面に開口すると共に、上
   記キャブレタ室の前壁に導風口、後壁に排風口を開設し
   て、走行風が室内を通過するようにしたことを特徴とす
   るキャブレタの冷却装置。