JP2637778B2 - 釣竿等の竿杵の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は釣竿等の中空竿杆の製造方法に係り、詳しく
はマンドレルを使用し、これにプリプレグを巻回して中
空竿杆を製造する方法の改良に関する。

（従来の技術） 釣竿等の中空竿杆の製造方法としてマンドレルを使用
した方法が採用されており、そのマンドレルに巻回され
るプリプレグの繊維基材も高強度高弾性繊維の開発に伴
って変化し、釣竿は肉薄く軽量化の方向の進んでいる。

そして、竿杆の軽量化に合わせて当然竿杆の強度及び
捩れ防止が要求されるが、特に後者の捩れ防止手段とし
てはカーボンテープ，カーボンヤーン，セラミックヤー
ン，シリコンカーバイトヤーン，アモルファスヤーン等
をFW法によって成形素材の内側、或いは素材の外側に巻
装されるものである。

（発明が解決しようとする課題） 上記従来の技術にあっては、捩れ防止の素材は竿杆の
面に対して面で対応するものではなく、帯や線で対応す
るもので、竿杆に対し部分的に位置し、その結果、捩れ
防止効果は均一でなく、又応力集中を生じ易いといった
問題点を有する。

又、上記の捩れ防止の素材は積層される各層で角度
（軸芯に対する傾斜角度）を互い違いとしているが、捩
れ防止の効果は竿杆の外表面に位置する方が大で、径方
向の距離が異なるこによりバラ付きを生じるといった問
題点を有する。

更に、上述した製法にあっては捩れ防止素材は外表面
に単一の角度で傾斜しているだけであるため、外観模様
として単調な外観しか得られず、商品価値を高めるとい
うことにおいても満足し得るものではない。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するために本発明が講じた技術的手段
は、高強度高弾性繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
をマンドレルに巻回して下巻きを行ない、その上に高強
度高弾性繊維のバイアスシートを巻回する。

上記バイアスシートは高強度高弾性繊維のプリプレグ
からなるベース上に、帯状のバイアスシートをその角度
方向が互い違いとなるように配置貼付して形成し、その
バイアスシート面が最外層に現出する如くなして下巻き
の上に巻回し、以下セロファンテープ巻きによる緊締を
行ない、加熱硬化して中空竿杆を得るものである。

又、ベースに貼着する高強度高弾性繊維からなるバイ
アスシートの幅は全て一定の幅に限られるものではな
く、竿杆の外径や、竿杆の長さ方向の位置（例えば左右
側部）に応じて幅に大小変化をつけても良いものであ
る。

更に、上記バイアスシートの巻回は一層に限らず、複
数層としてもよく、その場合は積層毎に角度方向が互い
違いとなるようにすると効果的である。

（作用） 上記手段によれば、捩れ防止の効果を発揮するバイア
スシートを作業性良く巻回することが出来る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、
高強度高弾性繊維、例えば炭素繊維の一方向引揃えシー
トにエポキシ樹脂を含浸したプリプレグ1,2を梯形状に
裁断し、その両プリプレグ1,2を重合してマンドレル３
に巻回して下巻きＡを形成する。

マンドレル３に巻回するプリプレグ1,2の配置は、マ
ンドレル３と接触するプリプレグ１の繊維方向を該マン
ドレル３の軸芯と平行となる方向に配置し、プリプレグ
１の外側に配置されるプリプレグ２の繊維方向はマンド
レル３の軸芯と直交する方向とする。尚、下巻きＡを形
成するプリプレグ1,2の形態は図示した引揃えシートに
限らず、炭素繊維からなる織布、或いは炭素繊維に対し
適宜幅毎にガラス繊維を平織状に織り込んだものを使用
してもよいものである。

上記プリプレグ1,2はマンドレル３にその一側縁をア
イロンなどによって貼着され、しかる後、ローリング装
置にかけてプリプレグ1,2をマンドレル３に加圧して捲
き付け、プリプレグ1,2のシート相互の密着性を良くす
ると共に樹脂中の気泡を除去する。

以上の如くして、マンドレル３に下巻きＡを行なった
後、バイアスシートＢの巻回を行なう。

バイアスシートＢは、高強度高弾性繊維、例えば炭素
繊維の一方向引揃えシートにエポキシ樹脂を含浸したプ
リプレグからなるベース４と、そのベース４上に貼着さ
れる帯状シート5,6とで構成されている。

上記帯状シート５及び６は炭素繊維の一方向引揃えシ
ートにエポキシ樹脂を含浸したプリプレグをその繊維方
向が左45°、右45°に傾くように裁断したシート5',6'
を所定幅の帯状に裁断して形成する。

所定幅の帯状に裁断した帯状シート5,6はベース４上
にその角度方向が互い違い状となるように配置して貼着
し、それをマンドレル３の下巻きＡ上に巻回し得る梯形
状に裁断してバイアスシートＢが形成される。

このバイアスシートＢは帯状シート5,6が最外側に現
出するようにして下巻きＡの外側に巻回する。

マンドレル３にプリプレグ1,2及びバイアスシートＢ
を捲き付けた後は、その上にセロファンテープを螺旋状
に捲き付けて下巻きＡ及びバイアスシートＢの捲き付け
を緊密にする。

セロファンテープを捲き締めた後は焼成炉に入れて焼
成，硬化させ、硬化後、成形管体Ｃをマンドレル３より
引き抜き、次いでテープを剥離すると共に、テープの捲
き付け跡を均すバフ加工を行ない、最後にクリアー塗装
を行なって完成する。

以上の如き方法により竿の捩れ防止を発揮するバイア
スシートを同一面内において交互に配置形成することが
出来る。

上述した実施例はバイアスシートＢを一層だけ形成し
た形態を示したが、上記バイアスシートＢは複数枚積層
してもよく、その場合は径方向の同一線上に位置する帯
状シートはその繊維方向が互い違い状となるようにし、
立体的にマトリックスを設け、捩れ方向に対しての力の
分散を平均化し、捩れ防止効果が一層効果的に発揮され
ることになる。

そして、上記帯状シート5,6は光の反射によって帯状
シート５と６との部分が市松模様状に現出し、特異な外
観を呈するものである。

（発明の効果） 本発明に係る竿杆の製造方法は高強度高弾性繊維に合
成樹脂を含浸したプリプレグをマンドレルに巻回して下
巻きを行ない、その上に、高強度高弾性繊維のプリプレ
グからなるベース上に帯状のバイアスシートをその角度
方向が互い違いとなるように配置貼付したものを該バイ
アスシートを最外側に現出する如く巻回し、以下常法に
より加熱硬化したものであるから、竿杆の捩れ防止を行
なうバイアスシートを同一面内に交互に配置させて能率
良く成形することが出来る。

しかも、バイアスシートはベースに帯状のバイアスシ
ートを貼付した状態で下巻き上に巻回するため、帯状シ
ート相互間に隙間が生じるといったことがなく、きれい
な仕上りを期待できるものである。

依って、捩れ防止の機能を十分に備え、特異な外観を
呈した竿杆を容易に成形することが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は下巻きをする状
態を斜視図、第２図は下巻き上に巻回するバイアスシー
トの平面図、第３図（ａ），（ｂ）はバイアスシートを
構成する帯状シートの裁断形態を示す平面図、第４図は
バイアスシートの巻回状態を示す一部切欠斜視図、第５
図は成形竿杆を示す斜視図、第６図は成形竿杆の拡大断
面図、第７図は第６図の（７）−（７）線に沿える断面
図である。 図中、1,2:下巻きを構成するプリプレグ 3:マンドレル 4:ベース 5,6:帯状シート A:下巻き B:バイアスシート C:成形竿杆

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高強度高弾性繊維に合成樹脂を含浸したプ
   リプレグをマンドレルに巻回して下巻きを行ない、その
   上に、高強度高弾性繊維のプリプレグからなるベース上
   に帯状のバイアスシートをその角度方向が互い違いとな
   るように配置貼付したものを該バイアスシートを最外側
   に現出する如く巻回し、以下常法により加熱硬化するこ
   とを特徴とする釣竿等の竿杆の製造方法。