JP2636164B2 - パラメトリック増幅型進行波アンテナ - Google Patents

パラメトリック増幅型進行波アンテナ

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JP2636164B2 JP6066148A JP6614894A JP2636164B2 JP 2636164 B2 JP2636164 B2 JP 2636164B2 JP 6066148 A JP6066148 A JP 6066148A JP 6614894 A JP6614894 A JP 6614894A JP 2636164 B2 JP2636164 B2 JP 2636164B2
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q11/00Electrically-long antennas having dimensions more than twice the shortest operating wavelength and consisting of conductive active radiating elements
    • H01Q11/02Non-resonant antennas, e.g. travelling-wave antenna

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  • Details Of Aerials (AREA)
  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Aerials With Secondary Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線条導体上に生じる誘
起波を到来波と強結合させてパラメトリック増幅させる
パラメトリック増幅型進行波アンテナに関するもので、
特に、放送波、レーダ波、国際通信、船舶通信、近距離
通信、地・水平線外通信ほか、広い周波数に亙り殆どあ
らゆる無線通信に適用でき、到来波に対し高指向性高利
得受信系を構成するのに好適ならしめるものである。
【0002】
【従来の技術】従来のアンテナは、導電率が無限大の完
全導体に近い金属、例えば導電率σ=5.8×107
/mの銅等を使用した準完全導体系アンテナが大部分で
あるが、線条導体の水平部が垂直部に比べて多く、実効
高が大である水平型アンテナとしては、マイクロ波スト
リップアンテナ、長・中波用マルコニー・ベントアンテ
ナ、短波用水平タブレット、特に導電率が金属に比べて
遥かに低く、例えばσ≒10〜10-5S/m程度の導電
性が悪く損失のある大地を利用した長波用ウェーブ(Be
verage)アンテナ等とがある。
【0003】このうち、マイクロストリップアンテナ
は、金属基板上方に金属ストリップを配置したもので、
本発明が対象とするてアンテナと構造上類似している
が、本発明では基板が金属でなく、動作・受信法も全く
異なる。従って、構造・原理・動作上、本発明に最も近
い従来例として、ウェーブ(Beverage)アンテナについ
て以下説明する。
【0004】図6は従来のウェーブアンテナの概略図を
示すもので、例えば“H.H.Beverage, C.W.Rice, and E.
W.Kellogg, Wave Antenna : A New Type of Highly Dir
ective Antenna, Transactions A.I.E.E.Vol.42, Feb.
1923, pp.215-216”「文献1」に記載されているもので
ある。図において、9は受信すべき波長の波長程度の長
さを持つ地上高数mの線条導体(水平架空線)で、到来
波の投射面内に架設される。10は帰路となる大地、3
は送信局に近い入力端、4は受信機側の受信端、5は受
信機である。
【0005】従来のウェーブアンテナは、到来波が線条
導体9に沿って進行するとき、線条導体9の各部分に誘
起される誘起波の電流が順次累加され、受信端4におい
てこれら累計されたものを受信機5に導くもので、図3
の曲線bに示す如く、線条導体9上の一点で最大となる
理を利用したものである(例えば、中上・小野著“無線
電信電話、III.電波の輻射”、電気日本社、pp.152-15
4「文献2」参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したウェーブアン
テナでは、汎用周波数は長波帯(100kHz以下、波
長3km以上)で使用され、後述するように、線条導体
9に誘起される進行波の位相速度は光速より低い遅波
で、到来空間波(平面波)が線条導体9に沿って進行す
る速さは光速より大である速波となるため、実際は線条
導体9内の電流分布は図3の曲線bのようになり、受信
端4に近づくに従い、電流は最初は増加するが、ある点
において最大となり、この点を過ぎると反って減少す
る。
【0007】これは、到来波と線条導体9に沿う誘起波
との間に、速度差のため位相差を生じ、ある点を越える
と互いに打ち消すように動作するためである(例えば
「文献2」pp.152-154参照)。言い換えれば、ウェーブ
アンテナにおいて、到来波と誘起波とは、後述するよう
に、強結合(共振)条件を満足しない弱結合であるた
め、誘起波の電流自体に増幅作用も起こらず、その減衰
定数は、線路固有波(姿態)の減衰定数α0 はα0 >0
となり、従って、利得も小さい。
【0008】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、到来波と線条導体に沿う進行波と
なる誘起波との強結合現象の発見に基づいた新しいパラ
メトリック増幅作用を利用し、従来のアンテナに比して
遥かに広い応用と格段の高指向性高利得受信を得ること
ができるパラメトリック増幅型進行波アンテナを得るこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
パラメトリック増幅型進行波アンテナは、基板上方に架
設される線条導体の両端をそれぞれ一括無反射終端させ
ると共に、上記基板として、その電気定数が使用周波数
に応じて下式を満足する値を有する半導体ないし損失誘
電体を使用することにより
【数2】 上記線条導体上に生じる誘起波をその位相速度が光速よ
り早い速波とし、該誘起波を到来波と強結合させてパラ
メトリック増幅させることを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に係るパラメトリック増幅
型進行波アンテナは、上記線条導体を埋め込む強誘電体
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】さらに、請求項3に係るパラメトリック増
幅型進行波アンテナは、上記線条導体を誘電体でなる箱
体内に収納すると共に、この箱体内に高誘電率で、かつ
低導電率の絶縁油を充填させたことを特徴とするもので
ある。
【0012】
【作用】本発明の請求項1に係るパラメトリック増幅型
進行波アンテナにおいては、到来波が水平に近いある投
射角で入射すると、線条導体に起電力が誘起されて電流
が流れ、帰路となる基板の作用で線条導体に沿う進行波
となる誘起波は、ある周波数帯で位相速度が光速より僅
かに速い速波となり、到来波の水平方向位相速度に合致
して、到来波と誘起波との間に強結合が生じ、到来波の
パラメトリックな作用により線条導体内電流は増幅され
て受信端において最大となり、大きな利得が得られる。
【0013】また、請求項2に係るパラメトリック増幅
型進行波アンテナにおいては、上記線条導体を埋め込む
強誘電体を備えたことにより、アンテナ環境を空気の代
わりに強誘電体を用い屈折率を高めてアンテナ系を小型
化することを可能にする。
【0014】さらに、請求項3に係るパラメトリック増
幅型進行波アンテナにおいては、上記線条導体を誘電体
でなる箱体内に収納すると共に、この箱体内に高誘電率
で、かつ低導電率の絶縁油を充填させることにより、ア
ンテナ環境を液体の絶縁油で覆わせることができ、屈折
率を高めてアンテナ系を小型化すると共に、その製造を
容易にする。
【0015】
【実施例】実施例1.図1はこの発明の実施例1を示す
概略図である。図において、1は従来の単一或いは二線
条導体よりは寧ろ多線条導体(3〜7本)、2は線条導
体1の帰路を成す半導体ないし損失性誘電体基板で、そ
の電気定数(導電率及び誘電率)は、後述するようにし
て、使用周波数に応じて決定される。ここで、基板2に
使用される「半導体」と「損失誘電体」との相違は、半
導体中では到来波によって誘起される変位電流がおおよ
そ伝導電流に同程度(σ〜ωε)で、損失誘電体中では
変位電流が伝導電流を遥かに凌駕する(σ《ωε)こと
を意味し、例えば天然大地では、通常、1〜100MH
zの周波数帯では半導体、100MHz以上の周波数帯
では損失誘電体と見なせる。各線条導体1の長さlは、
│α0l│≪1(α0:固有波減衰定数)、β0l>1或
いはl>λ(λ:空間波の波長)で、この線条導体1は
等間隔で、かつ同一高さの位置に配置され、両端3,4
はそれぞれ図示の如く特性インピーダンスZ0で一括終
端し、受信端4に受信機5を接続する。
【0016】上記線条導体1の材料は銅、その半径a及
び高さhは、使用周波数fの増大と共に何れも減少する
値のものを使用し、例えば、f=5MHz〜50GHz
に対し、a=2.5〜0.5mm程度、h=7.5m〜
1cmの範囲にする。従って、終端インピーダンス(特
性インピーダンス)は以上の諸定数によって決まり、純
抵抗に近い。基板2の大きさは、上記線条導体1よりも
少し長く、幅は数分の1波長から数波長程度である。
【0017】上記のように構成されたパラメトリック進
行波アンテナにおいては、到来波による鎖交磁束により
線条導体1に起電力が誘起され、その誘起される起電力
によって分布誘導電流を生じ、特性インピーダンスZ0
で一括終端された受信端4に吸収されるが、上記誘導電
流による誘起波が受信端4に向かう間、後述するよう
に、線条導体1の傾きが強結合角、つまり到来波が強結
合を起こす投射角に配置されることにより、強結合条件
を満たしてパラメトリック増幅を受け、受信端4におい
て高指向性高利得受信が得られる。このとき、到来波と
逆方向に向かう線条導体1内誘起電流は、一括終端され
た送信側特性インピーダンスZ0 に吸収されて無反射と
なり、受信端電流に無関係であることは言うまでもな
い。また、線条導体1をN線条とすることにより、利得
が単線の場合よりも20log10N[dB]増加する。
例えば、3線条の場合に単線に比べて20log103=
9.54[dB]の利得増加がある。
【0018】図2は上述した本実施例におけるパラメト
リック増幅型進行波アンテナと従来のウェーブアンテナ
を比較して示す到来波と線条導体1に沿う誘起波との関
係を説明するものである。今、基板2に対する到来波の
投射角がθi で、時刻tにおける到来波の波面は面AB
にあり、△t時間経過後には面A′B′になるとする
と、基板2と波面上の交点Aは基板2上に沿ってAから
A′との間、つまりc△t/sinθi 移動することに
なり、従って、見掛け上の水平方向の到来波の位相速度
はc/sinθi となり、光速cより早い速波となる。
【0019】一方、時刻tにおいて波面が線条導体1と
交差する点Pで生じる誘起波Xは、△t時間経過後に到
来波の波面上の点P′に移動し、従って、見掛け上の位
相速度はc/sinθi となり、光速より早い速波とな
って絶えず到来波とともに移動し、従って、図中Xから
aに変化するように、上記到来波による誘起波へのパラ
メトリックな増幅がなされ、振幅が増幅する増幅波とな
る。
【0020】他方、ウエーブアンテナに生じる時刻tに
おける誘起波は、後述する弱結合の場合(i)に相当す
るので、位相速度は光速cより遅く、△t時間経過後
は、波面上の点P″に移動して、図中bに示すように、
減衰波となる。
【0021】上述したように、本実施例に係るパラメト
リック増幅型進行波アンテナの場合に生じる誘起波は、
従来のウェーブアンテナの場合が減衰波になるのに対し
て、増幅波となるが、以下、その原理について図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
【0022】本アンテナに到来波が水平に近いある投射
角θi で入射すると、線条導体1に起電力を誘起し、線
条導体1に電流が流れ、帰路となる基板2の作用で、図
2に示すように、線条導体1に沿う進行波となる誘起波
は、ある周波数帯で位相速度が光速より僅かに速い速波
となり、到来波の水平方向位相速度に合致して、到来波
と誘起波との間に強結合を生じ、到来波のパラメトリッ
クな作用により線条導体1内電流は増幅され、受信端4
において最大となり、大きな利得が得られる(図3符号
a参照)。
【0023】これは、進行波管の増幅作用に似ており、
到来波が電子ビームの役割を、線条導体1に沿う誘起波
が螺線回路に沿うマイクロ波に相当する。本質的な相違
点は、進行波管においては、電子ビームの役割が既存の
遅波を増幅するのみであるのに対し、本アンテナにおい
ては、到来波が速波を誘起すると同時にその誘起波のパ
ラメトリック増幅をも受け持つ二重の役割を果たしてい
ることである。
【0024】数式的には、長さlなる単一線条導体1の
両端とその帰路となる基板2との間を、それぞれ特性イ
ンピーダンスZ0 で終端した本アンテナに、到来波とし
て空間平面波が到来する場合、線条導体1に平行な軸を
z軸とした時、線条導体1上の電流分布I(z)は、式
(1)に示す強制項を持つ分布定数線路(線条導体1を
線路として置き換え説明する)の電信方程式を満足し
(H. Kikuchi, ActiveDistributed Parameter Lines wi
th Ground Return, EMC 84 : Proc. Internaーtional W
roclaw Symp. on Electromagnetic Compatibility, 198
4, pp.153−162[文献3]参照)、その解は、両端にお
ける無反射条件を考慮して、結局、式(2)に示すもの
となる。
【0025】
【数3】
【0026】ここで、j=√−1,Г=α+jβは線路
の伝播定数、α,βはそれぞれ減衰及び位相定数、θi
は投射角(垂直方向となす角)、k1 は媒質1の波数、
Yは線路の並列アドミタンス、E(e) は線路表面におけ
る投射波及び反射波の印加全電界水平成分で、電界が投
射面内にある場合に式(3)となる。
【0027】
【数4】
【0028】ここで、Ei は投射電界、hは線路の高
さ、Rは反射係数である。式(2)から入力端電流I
(0)及び受信端電流I(l)は、式(4)及び(5)に示
すものとなり、アンテナ利得は式(6)となる。なお、
N線条の場合には、利得が20log10N〔dB〕増加
する。
【0029】
【数5】
【0030】ところで、上記関係式において誘起波の伝
播定数を考察すると以下のようになる。 (i) Г≠jk1 sinθi :弱結合の場合 誘起波の線路伝播定数Гは、線路の固有波姿態の伝播定
数Г0 に等しく、Г=Г0 ,α=α0 ,β=β0 とな
り、線路上の誘起波は到来波に弱結合する。従来のウェ
ーブアンテナは、β0 >k1 、誘起波の位相速度がVP0
=ω/β0 <ω/k1=c(:光速度)で遅波となり、
この場合に該当する。
【0031】(ii) Г≒jk1 sinθi :強結合(共
振)の場合 Г−jk1 sinθi =α+j(β−k1 sinθi )
≒0となるので、β≒k1 sinθi 、従って、誘起波
の位相速度VP 及び位相定数βは式(7)ないし(9)
に示す関係のものとなり、誘起波の位相速度は光速cよ
り大で、明らかに速波となる。このとき、受信端電流は
式(5)から式(10)に簡単化され、受信端4に向か
う進行波のみとなる。
【0032】
【数6】
【0033】次に、強結合の場合における誘起波の線路
伝播定数Гを求めるには、到来波と線路上の誘起波が強
結合する場合の線路電流分布式(12)([文献3]、
p.158 参照]を使用する。この式(12)は、到来波の
ある場合の分布定数線路方程式(11)において、強制
項E(e) の空間因子が式(3)と強結合の条件から式
(11a)と置けて、これからVを消去して直ちに得ら
れる。
【0034】
【数7】
【0035】ここで、Г0 は到来波のない場合の線路固
有波の伝播定数で、既知のものであり、(H.Kikuchi、Wa
ve Propagation along Infinite Wire above Ground at
High Frequncies、Electrotech.J.Japan、Vol 2,No、3/4、
1956、pp.73〜78「文献4」;H.Kikuchi、Propagation Co
efficient of the Beverage Aerial,Proc.IEE,Vol.120,
No.6,June,1973,pp.637-638「文献5」;H.Kikuchi、Pow
er Line Transmissionand Radiation、in Power Line Ra
diation and Its Coupling to the Ionosphere and Mag
netosphere、edited by H.Kikuchi,Reidel,Dordrecht,19
83,pp.59-80「文献6」)によって与えられている。
【0036】式(10)及び式(12)から、誘起波の
線路伝播定数Г=α+jβは、式(13)及び(14)
の関係によって決定され、誘起波の線路減衰定数は、α
<0、すなわち、線路固有波の減衰定数α0 >0を負に
変えて増幅波となる。
【0037】
【数8】
【0038】これは、正に、到来波と線路上の誘起波と
の強結合により、到来波が誘起波の発生と、誘起波のパ
ラメトリック増幅作用との二重の役割を演じていること
になる。強結合による減衰より増幅へのカタストロフ
(激変)に比して、誘起波の位相定数及び位相速度の変
化は僅少で、誘起波の位相速度VP と線路固有波の位相
速度VP0の間には、式(15)なる関係があり、誘起波
が速波であることは言う迄もないが、到来波と線路上の
誘起波の強結合によって、誘起波の位相速度は線路固有
波の位相速度よりも僅かに遅くなる。
【0039】
【数9】
【0040】このとき、強結合角、すなわち、到来波が
強結合を起す投射角[θiResは式(16)によって与
えられる。また、θi =(π/2)−φと置けば、式
(16)は式(17)に置き換えることができる。ここ
で、δ0、εは線路によって決まる既知の量である。
【0041】
【数10】
【0042】また、線路固有波の位相定数β0 従って位
相速度は、式(12a)、(12b)、(12c)から
[δc /4a、Q、Q'、P、P']《ln{(2h−
a)/a}を考慮してTaylor展開の一次項のみを残し、
Γ0 の虚数部を取り、式(15)を参照して式(18)
の形で求められる[文献6、p.66参照]。
【0043】
【数11】
【0044】ここに、δc =√[2/(ωσcμc)]は
表皮の深さ(ω=2πf、σc、μc:線条導体の導電率
及び透磁率)で、Q及びQ’は[文献4〜6]から、例
えば[文献6、p.65参照]から式(19)及び式
(20)と書ける。また、Q及びQ’は[文献6、p.
70参照]に見られるように、数値計算によりあらかじ
め図表として用意することができる。
【0045】
【数12】
【0046】ここで、Reは実数部、k2 2=ω2ε2μ2
−jωσ2μ2,k1 2=ω2ε1μ1,μ1=μ2=μ0,添字
1,2はそれぞれ媒質1、媒質2(基板)を表す。
【0047】ここで、与えられた周波数に対して基板2
の材料を決定するには、その周波数で式(21)を満足
するように、数値計算または予め用意された一連の図表
(例えば[文献6]p.70参照)から、基板の電気定
数である導電率σ2 及び誘電率ε2 を選ぶ。
【0048】
【数13】
【0049】例えば、テレビ周波数f≒100MHzに
対しては、σ2 ≒10-1〜1S/m,ε2≒5ε
0(ε0:空気誘電率)ならば、式(21)を満足し、式
(18)から線路の固有波は速波となる。このような半
導体基板を使用する場合の強結合角を予測するには、線
条導体の半径及び高さを決めた上で、式(19)及び式
(20)を用いてQ及びQ’を数値計算または図表を用
いて求め、式(18)から線路固有波の位相定数VP0
求めた後、式(14)、(15)からそれぞれδ0 及び
εを求めることにより、従って、式(16)から強結合
角[θiResが求まり、到来波の方向が理論的に予測で
きる。しかしながら、実際には基板2の傾きを可変に
し、実験的に最大感度が得られる方向に設置すればよ
い。
【0050】また、使用周波数に対して、本アンテナの
固有波が速波(位相速度が光速より大)になるような基
板の電気定数(導電率及び誘電率)を得るには、[文献
4〜6]に基づいた理論式及び図表を使用して決定す
る。
【0051】上述したように、上記実施例1に係るパラ
メトリック増幅型進行波アンテナによれば、基板2上方
に架設される単線または多線条導体1の両端をそれぞれ
一括無反射終端させると共に、上記基板2として、その
電気定数が使用周波数に応じて式(19)ないし式(2
1)を満足する値を有する半導体ないし損失誘電体を使
用し、上記線条導体1上に生じる誘起波を到来波と強結
合させてパラメトリック増幅させるので、到来波が水平
に近いある投射角で入射すると、線条導体1に起電力が
誘起されて電流が流れ、帰路となる基板2の作用で線条
導体1に沿う進行波となる誘起波は、ある周波数帯で位
相速度が光速より僅かに速い速波となり、到来波の水平
方向位相速度に合致して、到来波と誘起波との間に強結
合を生じ、到来波のパラメトリックな作用により線条導
体1内電流は増幅されて受信端4において最大となり、
大きな利得が得られる。
【0052】また、本アンテナの強結合角(到来波と誘
起波の線条導体方向の進行速度が一致する角度)を到来
方向に合わせることにより、現用のアンテナ(例えばテ
レビ或いは衛星放送受信アンテナ)よりも遥かに高い利
得が得られる。さらに、使用周波数に応じて、所定の電
気定数(導電率及び誘電率)を持つ半導体乃至損失性誘
電体材料が、到来波による誘起波のパラメトリック増幅
効果を生じさせることができ、所定の電気定数を持つ半
導体ないし損失性誘電体材料(或種のコンクリートの
類)の製造法を確立することにより、量産が容易であ
る。
【0053】実施例2.上記実施例1では、多線条導体
1の帰路基板2として、所定の半導体ないし損失性誘電
体材料を使用しているが、本実施例2では、この材質を
飛翔体(例えば航空機)上に薄膜として貼り付けまたは
塗布するもので、特に、飛翔体進行方向に鋭い指向性を
持たせることができる。
【0054】実施例3.上記実施例1、2において、使
用周波数に対するアンテナ系を小型化するか、またはそ
のアンテナ系をより低い周波数帯で使用するためには、
屈折率nの媒質においては波長が1/nに短縮する(空
気中の波長に比べて)という相似則を適用する。実際に
は、図4に示すように、基板2を除いたアンテナを高誘
電率で、かつ低導電率の誘電体である強誘電体6中に埋
め込む。一例として、比誘電率εs =100、すなわち
屈折率n=10の強誘電体を使用すると、アンテナの大
きさは、周囲の媒質1が空気の場合に比べて1/10に
短縮される。
【0055】実施例4.また、上記実施例3と同様な小
型化は、図5に示すように、アンテナを誘電体薄膜壁8
の空箱内に収納すると共に、この箱体内に、高誘電率
で、かつ低導電率の誘電体として機能する絶縁油7を充
填させることによっても実現できる。この場合、周囲の
媒質1として、上記実施例3のように、アンテナを強誘
電体6内に埋め込むよりは、箱体内に絶縁油7を充填さ
せれば良いから製造が遥かに容易となる。
【0056】実施例5.上記実施例1ないし4では、多
線条導体1の帰路基板2として、所定の半導体ないし損
失性誘電体材料を使用しており、周波数も超短波・マイ
クロ波帯であるが、本実施例5では、それらの帰路基板
2の代わりに天然の大地を利用する。このとき、強結合
の周波数は、大地の電気定数(導電率及び誘電率)に支
配されるため低くなり、通常1〜100MHz帯とな
る。アンテナを従来のウェーブアンテナと同様に、天然
の大地を帰路として動作するには、使用周波数を、大地
の電気定数(導電率及び誘電率)に応じて、従来の長波
帯(100kHz以下、波長3km以上)より、中短波
帯(1.5〜6MHz、波長200〜50m)ないし短
波帯(6〜30MHz、波長50〜10m)に上げて使
用することができる。
【0057】実施例6.本実施例6は、実施例5におけ
る大地帰路の代わりに、海洋帰路としたもので、強結合
周波数帯は、大地帰路の場合より上昇して、通常10〜
500MHz帯を使用に供する。多線条導体1の帰路と
して、大地の代わりに海洋を利用する場合、船舶・艦船
に本アンテナを設置することができ、また、本アンテナ
を、海洋を帰路として動作するには、使用周波数を超短
波帯(30MHz以上、波長10m以下)とすることに
より使用することができる。
【0058】このように、帰路として、天然の大地のみ
ならず、所定の半導体ないし損失性誘電体材料を使用す
ることによって、使用周波数を、利得の少ない長波帯で
なく、中短波、短波、超短波、さらにマイクロ波帯に上
げ、それぞれの周波数に適応した大きさ(寸法)と電気
定数(導電率及び誘電率)を有する半導体ないし損失性
誘電体材料を基板として使用することができる。また、
アンテナ系を強誘電体中に埋め込みまたは絶縁油中に浸
すようにして、アンテナ環境を空気の代わりに、強誘電
体または絶縁油とすることによってアンテナの小型化が
可能となり、さらに、所要周波数及び使用目的に応じ
て、中短波、短波、超短波帯においては、帰路基盤とし
て天然の大地あるいは海洋を、超短波、マイクロ波帯に
おいては所定の半導体ないし損失性誘電体基板を使用す
ることができる。
【0059】ところで、上記各実施例の説明では、主と
して、テレビ、衛星放送、レーダまたは国際通信受信用
アンテナに利用する場合であるが、高指向性送信アンテ
ナ・レーダ等にも利用または共用できる。このとき、送
信端に送信機または信号発生機を接続し、放射端は開放
すればよい。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1によれ
ば、基板上に架設される線条導体の両端をそれぞれ一括
無反射終端させると共に、上記基板として、その電気定
数が使用周波数に応じて所定の式を満足する値を有する
半導体ないし損失誘電体を使用し、上記線条導体上に生
じる誘起波を到来波と強結合させてパラメトリック増幅
させるので、到来波が水平に近いある投射角で入射する
と、線条導体に起電力が誘起されて電流が流れ、帰路と
なる基板の作用で線条導体に沿う進行波となる誘起波
は、ある周波数帯で位相速度が光速より僅かに速い速波
となり、到来波の水平方向位相速度に合致して、到来波
と誘起波との間に強結合を生じ、到来波のパラメトリッ
クな作用により線条導体内電流は増幅されて受信端にお
いて最大となり、大きな利得が得られる。
【0061】また、請求項2によれば、上記線条導体を
埋め込む強誘電体を備えたことにより、アンテナ環境を
空気の代わりに強誘電体を用い屈折率を高めてアンテナ
系を小型化することができる。
【0062】さらに、請求項3によれば、上記線条導体
を誘電体でなる箱体内に収納すると共に、この箱体内に
高誘電率で、かつ低導電率の絶縁油を充填させることに
より、アンテナ環境を液体の絶縁油で覆わせて、屈折率
を高めてアンテナ系を小型化すると共に、その製造を容
易にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す全体構成図である。
【図2】本発明のアンテナと従来のウェーブアンテナを
比較して示す到来波と誘起波との強結合によるパラメト
リック増幅作用の説明図である。
【図3】本発明のアンテナと従来のウェーブアンテナの
線条導体上電流分布の比較を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例3を示す全体構成図である。
【図5】本発明の実施例4を示す全体構成図である。
【図6】従来のウェーブアンテナの全体構成図である。
【符号の説明】
1 線条導体 2 半導体ないし損失性誘電体基板 3 送信局に近い入力端(特性インピーダンス終端) 4 受信端(特性インピーダンス終端) 5 受信機 6 強誘電体 7 絶縁油 8 誘電体薄膜壁 9 単一或いは二線条導体 10 大地(帰路)
フロントページの続き (56)参考文献 米国特許2945227(US,A) 電子通信学会大学講座18「アンテナ・ 電波伝搬」、虫明康人著、昭和32年2月 28日初版、コロナ社、P.132−135「Z enneckの表面波」(国立国会図書 館昭和36年3月6日受入) 電気学会雑誌、昭和32年6月号P. 721−733 WELCH「WAVE PROPAG ATION AND ANTENNA S」D.VAN NOSTRAND C OMPANY,INC.LONDON, 1958年,P.174−175「9.7.Tra veling Wave Antenn as.」

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上方に架設される線条導体の両端を
    それぞれ一括無反射終端させると共に、上記基板とし
    て、その電気定数が使用周波数に応じて下式を満足する
    値を有する半導体ないし損失誘電体を使用することによ
    、 【数1】 上記線条導体上に生じる誘起波をその位相速度が光速よ
    り早い速波とし、該誘起波を到来波と強結合させてパラ
    メトリック増幅させることを特徴とするパラメトリック
    増幅型進行波アンテナ。
  2. 【請求項2】 上記線条導体を埋め込む強誘電体を備え
    たことを特徴とする請求項1記載のパラメトリック増幅
    型進行波アンテナ。
  3. 【請求項3】 上記線条導体を誘電体でなる箱体内に収
    納すると共に、この箱体内に高誘電率で、かつ低導電率
    の絶縁油を充填させたことを特徴とする請求項1記載の
    パラメトリック増幅型進行波アンテナ。
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FR2703837B1 (fr) 1997-01-17
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