JP2632688B2 - チタン部材の表面処理方法及びその表面処理方法を適用したコイルスプリング - Google Patents
チタン部材の表面処理方法及びその表面処理方法を適用したコイルスプリングInfo
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、チタン部材の耐摩耗性と疲れ強度を高める
表面処理方法に関する。
表面処理方法に関する。
従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 チタンは、軽く、錆を生じ難く、しかも、比強度が高
いことから、近年、様々な分野で使用されるようになつ
たが、相互に、あるいは相手部材と摺動したり、衝突し
たりする部分における摩耗が大きいという欠点があるた
め、イオン窒化をはじめとして、種々のPVD(Physical
Vapor Depo−sition)処理、または、CVD(Chemical Va
por Deposition)処理により、表面に耐摩耗性に優れた
被覆層を形成する方法が試みられているが、部品形状が
複雑な場合には均一な厚さに被覆することができないば
かりでなく、特に、ばねのように、耐摩耗性とともに疲
れ強度が要求される部材においては、シヨツトピーニン
グの実施が不可欠であるにもかかわらず、従来の、PVD
またはCVD処理により形成した被覆層は母材への結合力
が弱く、シヨツトピーニングによつて簡単に剥離してし
まうという欠点があつた。
いことから、近年、様々な分野で使用されるようになつ
たが、相互に、あるいは相手部材と摺動したり、衝突し
たりする部分における摩耗が大きいという欠点があるた
め、イオン窒化をはじめとして、種々のPVD(Physical
Vapor Depo−sition)処理、または、CVD(Chemical Va
por Deposition)処理により、表面に耐摩耗性に優れた
被覆層を形成する方法が試みられているが、部品形状が
複雑な場合には均一な厚さに被覆することができないば
かりでなく、特に、ばねのように、耐摩耗性とともに疲
れ強度が要求される部材においては、シヨツトピーニン
グの実施が不可欠であるにもかかわらず、従来の、PVD
またはCVD処理により形成した被覆層は母材への結合力
が弱く、シヨツトピーニングによつて簡単に剥離してし
まうという欠点があつた。
問題点を解決するための手段 本発明はこのような問題点を解決するための手段とし
て、チタン部材の表面に無電解Niメツキを施し、250〜4
50℃で焼鈍した後、シヨツトピーニングを施す構成とし
た。
て、チタン部材の表面に無電解Niメツキを施し、250〜4
50℃で焼鈍した後、シヨツトピーニングを施す構成とし
た。
発明の作用及び効果 本発明は上記構成になり、チタン部材の表面に無電解
Niメツキを施したから、電解メツキを施した場合のよう
に水素脆性を生ずるおそれがなく、また、従来のPVD、C
VD処理に比べて複雑な形状の部材にも、均一に、かつ、
強固にNi被覆層を形成することができ、しかも、PVD処
理のように高価な真空装置を必要とせず、安価にNi被覆
を形成することが可能であり、次いで、250〜450℃で焼
鈍することによりNi被覆層中からPやBがNi3P、Ni3B等
の化合物として析出してHv1000程度まで高度が高められ
て耐摩耗性が向上するとともに、さらに、その硬度及び
耐摩性が高められたNi被覆層にシヨツトピーニングを施
すことにより圧縮残留応力が付与され、あたかも、チタ
ン部材の周りに硬い殻でタガをはめたように作用して、
チタン部材表面の硬度を高め、かつ、疲労クラツクの発
生及び、その成長を抑えることによつて疲れ強度が向上
する効果がある。
Niメツキを施したから、電解メツキを施した場合のよう
に水素脆性を生ずるおそれがなく、また、従来のPVD、C
VD処理に比べて複雑な形状の部材にも、均一に、かつ、
強固にNi被覆層を形成することができ、しかも、PVD処
理のように高価な真空装置を必要とせず、安価にNi被覆
を形成することが可能であり、次いで、250〜450℃で焼
鈍することによりNi被覆層中からPやBがNi3P、Ni3B等
の化合物として析出してHv1000程度まで高度が高められ
て耐摩耗性が向上するとともに、さらに、その硬度及び
耐摩性が高められたNi被覆層にシヨツトピーニングを施
すことにより圧縮残留応力が付与され、あたかも、チタ
ン部材の周りに硬い殻でタガをはめたように作用して、
チタン部材表面の硬度を高め、かつ、疲労クラツクの発
生及び、その成長を抑えることによつて疲れ強度が向上
する効果がある。
なお、無電解Niメツキ用の水溶液中にAl2O3等の硬質
の微粒化を混入して複合分散メツキを行なうことによ
り、耐摩耗性がより向上する効果がある。
の微粒化を混入して複合分散メツキを行なうことによ
り、耐摩耗性がより向上する効果がある。
また、これらの処理方法を施したコイルスプリングは
線間接触による摩耗減量が少なく、疲れ寿命が長い効果
がある。
線間接触による摩耗減量が少なく、疲れ寿命が長い効果
がある。
実施例1 まず、テストピースとして、一般に、Ti−6A1−4Vと
して知られるα−β型Ti合金の丸棒(φ20×5mm)を研
掃後、脱脂、アルカリ洗浄、フツ酸・硝酸液で処理した
後、Ni−4%P(Al2O3分散)、Ni−8%P及びNi−1
%Bの液で、夫々、膜厚20μmの無電解メツキを施し、
その後、200〜500℃で1時間加熱して焼鈍し、φ0.7m
m、Hv600の硬さのカツトワイヤシヨツトを68m/sのスピ
ードで投射してシヨツトピーニングを行なつたものにつ
いて、硬さ、残留応力及び硬鋼片と擦り合わせた場合の
摩耗減量を測定した結果を、夫々、表1、表2、表3に
示す。また、膜厚20μmのNi−8%P無電解メツキを施
したテストピースの断面の顕微鏡写真を第1図に、ま
た、そのテストピースのメツキ層の焼鈍温度の変化によ
る結晶化の進行状況を示すX線回折試験結果を第2図に
示す。
して知られるα−β型Ti合金の丸棒(φ20×5mm)を研
掃後、脱脂、アルカリ洗浄、フツ酸・硝酸液で処理した
後、Ni−4%P(Al2O3分散)、Ni−8%P及びNi−1
%Bの液で、夫々、膜厚20μmの無電解メツキを施し、
その後、200〜500℃で1時間加熱して焼鈍し、φ0.7m
m、Hv600の硬さのカツトワイヤシヨツトを68m/sのスピ
ードで投射してシヨツトピーニングを行なつたものにつ
いて、硬さ、残留応力及び硬鋼片と擦り合わせた場合の
摩耗減量を測定した結果を、夫々、表1、表2、表3に
示す。また、膜厚20μmのNi−8%P無電解メツキを施
したテストピースの断面の顕微鏡写真を第1図に、ま
た、そのテストピースのメツキ層の焼鈍温度の変化によ
る結晶化の進行状況を示すX線回折試験結果を第2図に
示す。
上記実施例1の結果から、無電解Niメツキ層はチタン
母材への拡散浸透はほとんど見られず、母材の表面を殻
で覆った状態となり、350℃以上の焼鈍により結晶化が
急速に進み、300〜400℃付近で硬さ及び圧縮残留応力が
最大で摩耗減量が最小となることが判明した。
母材への拡散浸透はほとんど見られず、母材の表面を殻
で覆った状態となり、350℃以上の焼鈍により結晶化が
急速に進み、300〜400℃付近で硬さ及び圧縮残留応力が
最大で摩耗減量が最小となることが判明した。
実施例2 Ti−13v−11Cr−3A1の組織を有する析出硬化型のβ型
Ti合金の線材をコイリングし、425℃で20時間の時効処
理して析出硬化させた後、シヨツトピーニングにより表
面を研掃し、さらに脱脂、アルカリ洗浄、フツ酸−硝酸
液処理した後、Ni−8%Pで無電解Niメツキを施して表
4の諸元のコイルばねを製造した。メツキ層の膜厚は10
μm、20μm、30μmの3水準とした。そのあと、300
℃で1時間の硬化処理の続き、φ0.7mmのカツトワイヤ
ーシヨツトで54m/sの投射スピードでシヨツトピーニン
グを施し、供試験材として硬さと、摩耗減量を測定した
結果を表5に示す。ここで摩耗減量とは、1800rpm、50
±25kgf/mm2の低い繰り返し応力で2×107回繰り返し耐
久試験を行なつた際の線間接触による線径の減少量であ
る。
Ti合金の線材をコイリングし、425℃で20時間の時効処
理して析出硬化させた後、シヨツトピーニングにより表
面を研掃し、さらに脱脂、アルカリ洗浄、フツ酸−硝酸
液処理した後、Ni−8%Pで無電解Niメツキを施して表
4の諸元のコイルばねを製造した。メツキ層の膜厚は10
μm、20μm、30μmの3水準とした。そのあと、300
℃で1時間の硬化処理の続き、φ0.7mmのカツトワイヤ
ーシヨツトで54m/sの投射スピードでシヨツトピーニン
グを施し、供試験材として硬さと、摩耗減量を測定した
結果を表5に示す。ここで摩耗減量とは、1800rpm、50
±25kgf/mm2の低い繰り返し応力で2×107回繰り返し耐
久試験を行なつた際の線間接触による線径の減少量であ
る。
次に上記供試ばねのうち膜厚さ20μmのものを用いて
耐久性試験を行なつた結果を表6に示す。この試験は、
星型疲労試験機を用い、応力条件55±40kgf/mm2で実施
し、平均疲れ寿命(M.T.T.F)を求めた。(n=8) 上記実施例2の結果から、無電解Niメツキを施したチ
タン合金製コイルばねは、硬さが著しく向上して線間接
触により摩耗減量が著しく減少するとともに、疲れ寿命
が著しく向上することが判明した。
耐久性試験を行なつた結果を表6に示す。この試験は、
星型疲労試験機を用い、応力条件55±40kgf/mm2で実施
し、平均疲れ寿命(M.T.T.F)を求めた。(n=8) 上記実施例2の結果から、無電解Niメツキを施したチ
タン合金製コイルばねは、硬さが著しく向上して線間接
触により摩耗減量が著しく減少するとともに、疲れ寿命
が著しく向上することが判明した。
第1図は、チタン母材に無電解Niメツキを施したテスト
ピースの断面の金属組織を表わす顕微鏡写真、第2図
は、無電解Niメツキ層の焼鈍温度の変化による結晶化の
進行状況を示すX線回折試験結果である。
ピースの断面の金属組織を表わす顕微鏡写真、第2図
は、無電解Niメツキ層の焼鈍温度の変化による結晶化の
進行状況を示すX線回折試験結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小曽根 敏夫 愛知県西加茂郡三好町大字福田字宮下43 番地の1 中央発條株式会社技術センタ ー内 (72)発明者 五十嵐 貴教 愛知県西加茂郡三好町大字福田字宮下43 番地の1 中央発條株式会社技術センタ ー内 (56)参考文献 SAE Technical Pap er Series 850716 ”Pla ting on Tltanium A lloys”February 18− 21,1985
Claims (3)
- 【請求項1】チタン部材の表面に無電解Niメツキを施
し、250〜450℃で焼鈍した後、シヨツトピーニングを施
すことを特徴とするチタン部材の表面処理方法。 - 【請求項2】無電解Niメツキ用の水溶液中にAl2O3を混
入して複合分散メツキを行うことを特徴とする特許請求
の範囲第1項記載のチタン部材の表面処理方法。 - 【請求項3】特許請求の範囲第1項または第2項記載の
処理方法を適用したコイルスプリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62317056A JP2632688B2 (ja) | 1987-12-15 | 1987-12-15 | チタン部材の表面処理方法及びその表面処理方法を適用したコイルスプリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62317056A JP2632688B2 (ja) | 1987-12-15 | 1987-12-15 | チタン部材の表面処理方法及びその表面処理方法を適用したコイルスプリング |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01159358A JPH01159358A (ja) | 1989-06-22 |
JP2632688B2 true JP2632688B2 (ja) | 1997-07-23 |
Family
ID=18083926
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62317056A Expired - Fee Related JP2632688B2 (ja) | 1987-12-15 | 1987-12-15 | チタン部材の表面処理方法及びその表面処理方法を適用したコイルスプリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2632688B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2690598B2 (ja) * | 1990-05-21 | 1997-12-10 | 日本パーカライジング株式会社 | チタン又はチタン合金に耐熱耐摩耗性、耐摺動性に優れた皮膜を形成させる方法 |
US8065898B2 (en) | 2008-07-29 | 2011-11-29 | Hamilton Sundstrand Corporation | Method and article for improved adhesion of fatigue-prone components |
DE102009025051A1 (de) | 2009-06-10 | 2010-12-16 | Gottwald Port Technology Gmbh | Flurgebundenes Schwerlast-Transportfahrzeug, insbesondere fahrerloses Schwerlast-Transportfahrzeug für ISO-Container |
DE102009025052A1 (de) | 2009-06-10 | 2011-04-28 | Gottwald Port Technology Gmbh | System zum Wechseln einer Batterie eines flurgebundenen Tranportfahrzeuges, insbesondere eines fahrerlosen Schwerlast-Transportfahrzeuges für ISO-Container |
EP3863881A1 (en) * | 2018-10-12 | 2021-08-18 | Volvo Truck Corporation | A battery pack arrangement for a vehicle |
-
1987
- 1987-12-15 JP JP62317056A patent/JP2632688B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
SAE Technical Paper Series 850716 "Plating on Tltanium Alloys"February 18−21,1985 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01159358A (ja) | 1989-06-22 |
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