JP2628825B2 - タイヤ成形機における材料継目調整片除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイヤ成形機におい
て、タイヤ構成用帯状材料（以下単に材料という）を定
寸切断して、タイヤ成形ドラムに貼付けて円筒状に成形
するに際し、材料継目（例えばバイアスジョイント）の
位置調整のために切断した調整片を自動的に除去する装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】タイヤ成形工程においては、タイヤ成形
ドラムに近接して設置した材料供給装置（以下サービサ
ーという）のコンベヤ上で、下部から繰り出された長尺
の材料（例えばバイアスコードプライ）を、予め前記ド
ラム１周分以上の長さに定寸切断した後、この定寸材料
を成形ドラムの周速と移動速度を同期化させた供給コン
ベヤにより、成形ドラムにその軸線と直交する方向から
供給して貼付ける成形方法が一般に採用されている。

【０００３】前記材料特にバイアスコードプライは、広
幅の原反シートを所定幅、角度に切断したプライを、切
断断面で互いに継ぎ合わせて長尺の帯状にしたものであ
り、ライナーを介してロール状に巻取ってストックロー
ルとされている。したがって、材料をカッターにより定
寸切断したとき、定寸材料の端部に継目（バイアスジョ
イント）が位置する場合がある。

【０００４】従来、定寸材料の端部に継目が位置する
と、これをタイヤ成形ドラムに貼付けたとき、重ねジョ
イント部分が異様に突出して、タイヤ膨張時に膨れ個所
が偏り変形して偏摩耗等を生じるなどの好ましくない現
象を惹起するため、材料の定寸切断時に継目部分を検出
して、これが定寸材料の端部に位置するときは、継目等
を一部切断除去して調整している（例えば特開昭56−11
1660号公報参照) 。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術では、材料継目の位置調整のために切断した短尺の調
整片を、タイヤ成形ドラムへの供給コンベヤにより、タ
イヤ成形ドラム下方に送り捨て去るようにしているた
め、もしくは、材料をある長さだけ長くし貼付けた後に
人手により取り除くことをしていたため、前記調整片を
送り捨て去るまで次の動作に移れず作業性に問題があっ
た。

【０００６】本発明は、上述のような実状に鑑みてなさ
れたもので、その目的とするところは、切断された短尺
の材料継目調整片を、カッター台上から即刻コンベヤに
よることなく移送コンベヤ路外に搬出し、定寸切断の作
業性及び能率向上を図ることができるタイヤ成形機にお
ける材料継目調整片除去装置を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発
明は、ロール状に巻かれたタイヤ構成用帯状材料を、移
送コンベヤ上に繰り出して定寸カッターにより所定長さ
に切断しておき、該定寸材料をタイヤ成形ドラムにその
軸線と直交する方向から供給コンベヤにより供給して自
動的に貼付成形するようにし、前記カッター前段に材料
継目検出手段を配設し、材料継目が定寸材料端部に位置
するとき、材料先端を所定長切除して材料継目の位置調
整をするようにしたタイヤ成形機において、前記定寸カ
ッターの近傍に移送コンベヤを跨ぐように設けられた支
持フレームと、該フレームに上下動可能に設けられた昇
降体と、該昇降体に前記コンベヤ上面と略平行に移動自
在に設けられた材料継目調整片保持部材とからなり、定
寸カッターにより切断された材料継目調整片をカッター
台上から移送コンベヤ路外に搬出するようにしたことを
特徴としている。

【０００８】

【作用】本発明によれば、定寸カッターにより切断され
たカッター台上の短尺の材料継目調整片は、その直上に
進入した前記保持部材により保持され、そのまゝカッタ
ー台上から搬出されると共に、昇降体の上昇により移送
コンベヤ路外に即刻搬出されて、所定場所において前記
保持部材から離されて投下除去される。したがって、待
機時間が短かく、速やかに次の測長・定寸切断動作を開
始することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は、本発明を採用したタイヤ成形機の概略側面
図を示しており、１は材料供給装置 (以下サービサーと
いう）で、タイヤ成形ドラム2 の後側に設置され、上部
に材料移送コンベヤ3,4,5 が上中下三段に設けられると
共に、各コンベヤ3〜5 と前記ドラム2 との間に共通の
供給コンベヤ6 が設けられ、下部にロール支持手段7,8,
9 に回転自在に装架されたロール状の材料10,11,12が配
置されている。

【００１０】前記移送コンベヤ3,4 は、第１コンベヤ3
A,4A と第２コンベヤ3B,4B から成り、第２コンベヤ3B,
4B に駆動手段 (図示省略) が設けられて単独運転可能
とされ、第１及び第２コンベヤ3A,3B,4A,4B は、係脱自
在なクラッチ付連動手段 (図示省略) により連結されて
おり、第１、第２両コンベヤ3A,3B,4A,4B 間にカッター
台13,14 が配設され、各々上部に材料切断手段である定
寸カッター15,16 が配設されている。

【００１１】前記移送コンベヤ5 と供給コンベヤ6 は、
同一平面上に直列的に配設され、夫々個別の駆動手段
(図示省略) により単独運転可能とされ、両コンベヤ5,6
間にカッター台17が配設され、該カッター台17上方に
定寸カッター18が配設されている。なお、カッター台1
3,14,17及び定寸カッター15,16,18は、従来のものを採
用しているので、説明を省略する。

【００１２】各第１コンベヤ3A,4A 及び移送コンベヤ5
上には、各材料測長手段であるメジヤリングロール19,2
0,21 (例えばウレタン製ロールを使用) が上下動可能に
配設されると共に、材料継目検出手段（例えば、リミッ
トスイッチ、厚さ検出用ダイアルゲージ等のセンサー）
22が配設されている。なお、中下段の移送コンベヤ4A,5
については、材料継目検出手段22を図示省略してある。

【００１３】そして、前記メジャリングロール19〜21及
び材料継目検出手段22は、各材料10〜12に当接・分離自
在とされており、各材料10〜12の移動量即ち長さ及び材
料継目 (イ)(図２参照）を、正確に計測及び検出でき、
かつ連係制御されて継目位置が材料定寸設定値即ち定寸
切断位置及び調整片切除位置を確実に把握できるように
なっている。

【００１４】即ち、材料継目（イ）が、図２（ａ）
（ｂ）に示すように、材料10〜12の定寸切断位置 (Ａ)
の前後所定範囲 (例えば50mm以内) にある場合、材料10
〜12の先端部を所定量 (例えば60mm) 切断し、切断され
た定寸材料の前後両端から所定範囲 (少なくとも50mm以
内) に材料継目 (イ) が存在しないように制御される。
また、カッター台13,14,17の近傍には、第２コンベヤ3
B,4B 側に位置して、切断された材料継目調整片 (ロ)
を除去する本発明装置23が配設されている。

【００１５】前記供給コンベヤ6 は、前記ドラム2 の軸
線と直交状で、かつその先端が該ドラム2 上方に近接可
能なように配設され、前端部には材料をドラム2 に押付
ける前部ローラ24及び材料を供給コンベヤ6 前端上面に
押付ける後部ローラ25が設けられ、さらに、センタリン
グ用センサー26等が設けられている。本発明の実施例装
置23は、図３〜図５に示すように、前記定寸カッター1
5,16,18の近傍に移送コンベヤ3,4,5 を跨ぐように設け
られた支持フレーム27と、該フレーム27に昇降シリンダ
28を介して上下動可能に設けられた昇降体29と、該昇降
体29に２本の水平シリンダ30を介して前記コンベヤ移動
方向に往復移動自在に設けられた材料継目調整片保持部
材31とから成っている。

【００１６】前記支持フレーム27は、移送コンベヤ3 〜
5 上に跨設されたビーム32と、該ビーム32上にベースプ
レート33を介して定寸カッター15,16 と反対の側に突出
して立設された門形フレーム体34とから成り、該フレー
ム体34の横部材34A には、中央に前記昇降シリンダ28が
下向きに取付けられると共にその両側にガイドバー35が
摺動案内筒36を介して上下動自在に貫通されている。

【００１７】そして、昇降シリンダ28のピストンロッド
28A 下端に、連結部材37A,37B を介して前記昇降体29の
水平片29A 中央が連結されており、昇降体29の水平片29
A 両端部に前記ガイドバー35の下端が固着され、昇降体
29が前記支持フレーム27のビーム32に干渉することなく
昇降させうるようになっている。前記昇降体29は、断面
形状がＬ形で前記水平片29A 端から下方に垂直片29B が
設けられ、該垂直片29B の中央には、前記水平シリンダ
30がそのピストンロッド30A が前記カッター15に向けて
取付けられ、その両側端部にピストンロッド30Aと平行
に延びるガイドバー38が、摺動案内筒39を介して貫通さ
れている。

【００１８】前記材料継目調整片保持部材31は、前記ビ
ームと平行でかつ前記ピストンロッド30A 外端及びガイ
ドバー35端が固着された断面Ｌ形の取付体40と、該取付
体40にカッター15側に突出するように固着された４枚の
板状アーム41と、該アーム41の先端下面に夫々２個取付
けられた前記調整片（ロ）を吸着保持する吸着パッド42
とからなり、該吸着パッド42はコンベヤ幅方向に略等間
隔で配設されている。なお、吸着パッド42には、図外の
真空装置が接続されており、前記調整片 (ロ)を吸着、
離脱自在となっている。

【００１９】前記材料10〜12は、夫々ライナーシート4
3,44,45を介してロール状に巻かれており、夫々ライナ
ーシート43〜45を分離して巻き取りながら、各移送コン
ベヤ3,4,5 上に繰り出される。次に、材料をタイヤ成形
ドラム2 に貼付し円筒状に成形する作業について述べ
る。なお、各材料10〜12の貼付成形動作は、夫々同じで
あるから、材料10についてのみ説明する。

【００２０】まず、第１コンベヤ3A上に繰り出された材
料10 (バイアスコードプライ) は、材料継目検出手段22
及びメジャリングロール19の動作のもとに、先端がカッ
ター台13上に位置せられ、定寸カッター15により切断さ
れ除去される。この切断端片は、前記調整片除去装置23
により吸着して、コンベヤ路外に除去することができ
る。

【００２１】そこで、材料10の切断端をカッター台13か
ら切り離すために、第１コンベヤ3Aを後進させて材料10
を所定距離 (例えば約30mm) 後退させる（このとき、メ
ジャリングロール19は上昇させて材料10に接触させず、
後退完了後に下降させて測定可能な状態にする) 。続い
て、第１及び第２コンベヤ3A,3B を連動させた状態で前
進駆動し、材料10を前進させると共に材料継目 (イ) を
検出しながら、メジャリングロール19のカウント値が、
前記後退距離＋ (プラス) 材料設定長さになったとき、
移送コンベヤ3 を停止させ、材料継目 (イ) がその定寸
切断位置の前後所定範囲 (約50mm以内) にない場合は、
そのまゝの位置で材料10を切断し、定寸材料を得る。

【００２２】そこで、材料継目 (イ) がその定寸切断位
置の前後所定範囲内に存在するときは、図２に示すよう
に、材料10の先端を所定長さ (例えば60mm) 前進させて
コンベヤ3 を停止し、定寸カッター15により切断する。
所定長さの材料継目調整片 (ロ) の切断が完了すると同
時に、図５に２点鎖線131 で示す位置に待機していた前
記保持部材31が、昇降シリンダ28により下降して図５に
２点鎖線231 で示す位置に至ると共に、水平シリンダ30
により図５に実線で示すカッター台13上に移動する。

【００２３】カッター台13上に吸着パッド42が位置する
と、真空装置の作動により材料継目調整片 (ロ) が吸着
パッドに吸着され、次いで、水平シリンダ30の作動によ
り前記保持部材31が、図５に２点鎖線231 で示す位置に
前進した後、昇降シリンダ28により上昇して図５に２点
鎖線131 で示す待機位置に至り、水平シリンダ30により
保持部材31を調整材受46上に移動して、吸着パッド42の
吸着力を解放して材料継目調整片 (ロ) を前記受46に投
下し、待機位置に戻る。

【００２４】他方、切除された材料継目調整片 (ロ) が
カッター台13上から搬出されると同時に、移送コンベヤ
3 が所定距離後退した後、再度前進して材料10が前進さ
れかつ測長され、定寸切断位置に達すると移送コンベヤ
3 が停止し、定寸カッター15により材料10が定寸に切断
される。なお、材料継目調整片 (ロ) の吸着が確実に行
われたか否かを、負圧センサー等の検知手段により判断
し、吸着ミスがないように制御される。

【００２５】続いて、第１コンベヤ3Aと第２コンベヤ3B
の連動を解き、第２コンベヤ3B及び供給コンベヤ6 を駆
動して、切断された定寸材料を供給コンベヤ6 上に移
し、定寸材料の先端を供給コンベヤ6 先端の待機位置ま
で移動させて両コンベヤ3,6 を停止し、待機させる。次
いで、タイヤ成形ドラム2 と供給コンベヤ6 を同時に駆
動し、定寸材料の先端を前記ドラム2 上に移載する。一
旦、ドラム2 及び供給コンベヤ6 が停止し、この間に、
センサー26により定寸材料の幅方向両端縁が検出され、
供給コンベヤ6 が左右 (ドラム軸方向) に揺動して定寸
材料のセンタリングが行われ、センタリングが終了する
と、前後部ローラ24,25 が下降して、材料先端がドラム
2 上に押付けられると共に定寸材料が供給コンベヤ6 前
端部上面に押付けられる。

【００２６】そこで、前記ドラム2 と供給コンベヤ6 を
同時に駆動させ、定寸材料を両ローラ24,25 間で一定の
テンションを付与 (前記ドラム2 の周速を１とし、コン
ベヤ6 の移動速度を0.98〜0.999 として速度差をつけ
る）させながら、前記ドラム2に巻き付けて貼付し、円
筒状に成形する。このように、両ローラ24,25 により押
付けた状態で定寸材料を供給すると、材料がスリップす
ることなく一定のテンションで貼付されるので、定寸材
料両端重ね量即ちジョイント量の精度が確保され、バラ
ツキがなくなり、前記ジョイント部に材料継目 (イ) が
ないため、ジョイント部が異様に膨れ上がることもな
く、品質が安定化する。

【００２７】定寸材料のタイヤ成形ドラム2 への貼付成
形が終了すると、前部ローラ24及び後部ローラ25が上昇
し、同時に、供給コンベヤ6 が自体の中心 (原点) に復
帰する。他方、定寸材料がタイヤ成形ドラム2 に貼付さ
れている間に、材料10〜12の定寸切断はもとより、材料
継目調整片 (ロ) の切断及び本発明の除去装置23による
コンベヤ路外への搬出が行われる。

【００２８】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、適宜設計変更することができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は、上述のように、ロール状に巻
かれたタイヤ構成用帯状材料を、移送コンベヤ上に繰り
出して定寸カッターにより所定長さに切断しておき、該
定寸材料をタイヤ成形ドラムにその軸線と直交する方向
から供給コンベヤにより供給して自動的に貼付成形する
ようにし、前記カッター前段に材料継目検出手段を配設
し、材料継目が定寸材料端部に位置するとき、材料先端
を所定長切除して材料継目の位置調整をするようにした
タイヤ成形機において、前記定寸カッターの近傍に移送
コンベヤを跨ぐように設けられた支持フレームと、該フ
レームに上下動可能に設けられた昇降体と、該昇降体に
前記コンベヤ上面と略平行に移動自在に設けられた材料
継目調整片保持部材とからなり、定寸カッターにより切
断された材料継目調整片をカッター台上から移送コンベ
ヤ路外に搬出するようにしたことを特徴とするものであ
るから、材料定寸切断の待機時間を短縮して、作業性及
び作業能率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置を装備したタイヤ成形機の概略側面
図である。

【図２】材料継目位置調整方法の説明図である。

【図３】本発明の実施例を示す一部破断正面図である。

【図４】同実施例の一部破断平面図である。

【図５】図３の一部破断右側面図である。

【符号の説明】

２ タイヤ成形ドラム ３ 移送コンベヤ ４ 移送コンベヤ ５ 移送コンベヤ ６ 供給コンベヤ 10 タイヤ構成用帯状材料 11 タイヤ構成用帯状材料 12 タイヤ構成用帯状材料 13 カッター台 14 カッター台 15 定寸カッター 16 定寸カッター 17 カッター台 18 定寸カッター 19 メジャリングロール 20 メジャリングロール 21 メジャリングロール 22 材料継目検出手段 23 材料継目調整片除去装置 27 支持フレーム 29 昇降体 31 材料継目調整片保持部材 イ 材料継目 ロ 材料継目調整片

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール状に巻かれたタイヤ構成用帯状材
   料を、移送コンベヤ上に繰り出して定寸カッターにより
   所定長さに切断しておき、該定寸材料をタイヤ成形ドラ
   ムにその軸線と直交する方向から供給コンベヤにより供
   給して自動的に貼付成形するようにし、前記カッター前
   段に材料継目検出手段を配設し、材料継目が定寸材料端
   部に位置するとき、材料先端を所定長切除して材料継目
   の位置調整をするようにしたタイヤ成形機において、前
   記定寸カッターの近傍に移送コンベヤを跨ぐように設け
   られた支持フレームと、該フレームに上下動可能に設け
   られた昇降体と、該昇降体に前記コンベヤ上面と略平行
   に移動自在に設けられた材料継目調整片保持部材とから
   なり、定寸カッターにより切断された材料継目調整片を
   カッター台上から移送コンベヤ路外に搬出するようにし
   たことを特徴とするタイヤ成形機における材料継目調整
   片除去装置。