JP2625399B2 - ネイルに用いる化粧品組成物 - Google Patents

ネイルに用いる化粧品組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膜形成剤として、ポ
リマーの水性分散液を含有し、爪に用いる化粧品組成物
に関する。
【０００２】
【従来の技術】皮膜形成剤として、ポリウレタンポリマ
ーまたはポリウレタン／アクリル／スチレンのコポリマ
ーの水性分散液を含有するネイルラッカーの化粧品組成
物は、欧州特許第３９１３２２号によって知られてい
る。しかしながら、この特許出願に述べられている全て
の水性分散液が、必ずしも適切な皮膜形成特性を有する
とは限らず、したがって、爪の上に広げた後に、良質の
適切な皮膜とならないものと認められる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、爪に容易に
適用でき、剥離の可能な良質のガラス状の皮膜を形成す
るラッカーを得ることを可能にする水性分散液を提供す
るものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】ゆえに、本発明の主題
は、皮膜形成剤として、少なくともポリウレタンと、少
なくともカルボキシル基を含有するラジカル重合ポリマ
ーの粒子の水性分散液を含有する、爪に適用するための
化粧品組成物である。ポリウレタンは、ガラス転移温度
（Ｔｇ）が３０℃以下であり、ポリウレタンのガラス転
移温度が０℃を越える場合、ラジカル重合ポリマーまた
はラジカル重合ポリマー類の混合物は、３０℃以下の最
低皮膜形成温度（ＭＦＴ）を有するか、および／または
５〜６０％の割合で存在し、ポリウレタンのガラス転移
温度が０℃より低い場合、ラジカル重合ポリマーまたは
ラジカル重合ポリマー類の混合物は、５〜７０％の割合
で存在する。
【０００５】本発明の利点の一つは、爪によく付着し、
爪を完全に被覆し、剥離可能な、硬くて、ガラス状の均
質な皮膜を得ることができることである。
【０００６】本発明の他の利点は、可塑剤または癒着剤
を少量のみ含むか、または全く含まないネイルラッカー
（エナメル）を得ることを可能にすることである。
【０００７】Ｔｇは、以下の記載において、ポリウレタ
ンのガラス転移温度を意味する。
【０００８】ＭＦＴは、以下の記載において、ラジカル
重合ポリマーまたはラジカル重合ポリマー類の混合物の
最低皮膜形成温度を意味する。
【０００９】パーセンテージは、別の方法で示される以
外は、重量によって与えられる。
【００１０】本発明の組成物は、少なくともポリウレタ
ンと、少なくともカルボキシル基を含有するラジカル重
合ポリマーの粒子の混合物の水性分散液を含有すること
を特徴とし、前記ポリウレタンとラジカル重合ポリマー
類は、爪の上に前記分散液の適切な皮膜を得るような、
所定の物理化学の条件を満たしていることが必要とされ
ている。
【００１１】実際、用いたポリウレタンおよび／または
ラジカル重合ポリマーの種類によっては、剥離可能な適
切な皮膜を得ることができたりできなかったりすること
が知見される。
【００１２】本発明の組成物のみが、爪の上に、必要と
される品質を満足に示す皮膜を形成することを可能にす
る。
【００１３】本発明の組成物を調製するためには、例え
ば、ポリウレタンの水性分散液とラジカル重合ポリマー
の水性分散液を単に混合するか、あるいは、ポリウレタ
ンとラジカル重合ポリマーの粒子の混合物の分散液を直
接調製することによって、ポリウレタンおよびカルボキ
シル基を含有したラジカル重合ポリマーの粒子を含有す
る水性分散液を調製する。
【００１４】ポリウレタンの水性分散液は、例えば、ア
ニオンポリウレタンの水性分散液、ポリエステル＝ポリ
ウレタンの水性分散液および／またはポリエーテル＝ポ
リウレタンの水性分散液を単独または混合してもよく、
２０−４０％の乾燥物質含有量を有することができる。
【００１５】しかしながら、使用されるポリウレタンま
たはポリウレタン混合物は、ガラス転移温度（Ｔｇ）が
約３０℃以下でなければならない。
【００１６】ラジカル重合ポリマーの水性分散液は、ア
クリル、アクリル／スチレンおよびビニルのポリマーお
よび／またはコポリマーの水性分散液から選ばれたもの
であってもよく、好ましくは３０−５０％の乾燥物質含
有量を有する。
【００１７】使用されるポリウレタンのＴｇが約０℃と
３０℃の間、好ましくは１５℃と２５℃の間にある場
合、ＭＦＴが約３０℃以下のラジカル重合ポリマーまた
はラジカル重合ポリマーの混合物が選ばれる。この場
合、ポリウレタンの分散液を５−９５％とラジカル重合
ポリマーの分散液を５−９５％含有する本発明の組成物
が調製できる。
【００１８】もし、ＭＦＴが約３０℃以下のラジカル重
合ポリマーまたはラジカル重合ポリマーの混合物を使用
することが望ましくない場合は、組成物中における、ラ
ジカル重合ポリマーの分散液の含有量が６０％を越えな
いことが必要である。この含有量は、好ましくは３５％
と６０％の間である。
【００１９】ポリウレタンのＴｇが０℃より低い場合、
好ましくは−１５℃と−５℃の間である場合、組成物中
において、ラジカル重合ポリマーの分散液の含有量が７
０％を越えないことが必要である。この含有量は、好ま
しくは５０％と７０％の間である。
【００２０】分散状態で、１０−６０％のポリマー粒子
を含有する化粧品組成物を調製することが好ましい。
【００２１】増粘剤、例えば、ヒドロキシエチル＝セル
ロースまたはセルロース誘導体、クレイ、シリカート、
シリカ誘導体、ラジカル重合ポリマーまたはポリウレタ
ン型の結合ポリマーのような合成ポリマー、またはキサ
ンタンガムのような天然ゴムを０．０１−５％の割合で
化粧品組成物に添加してもよい。
【００２２】また、展着剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、
防腐剤、紫外線遮蔽剤、活性剤、保湿剤、アルコール
類、無機または有機顔料のような標準的な添加剤を単独
または混合して、組成物に添加してもよい。
【００２３】このようにして、好ましくは、１０−６０
％の乾燥物質含有量を有する組成物であって、約１−４
０％の乾燥物質のポリウレタンと、１−５０％の乾燥物
質のラジカル重合ポリマーを含有する爪の上に広げられ
る化粧品組成物を得ることができる。
【００２４】このようにして得られた化粧品組成物は、
たやすく爪の上に広がり、乾燥後、爪の上に、硬くてガ
ラス状の皮膜が得られ、たやすく単一の剥片として剥が
れる。
【００２５】この化粧品組成物は、溶解液を使用するこ
となく簡単に剥がすことによって、爪からメーキャップ
を除去できるため、溶剤ラッカーに対するベースとし
て、用いることができる。また、顔料を含有する場合
は、剥離可能な着色ラッカーとして使用することもでき
る。
【００２６】活性剤を含有する場合は、組成物は、爪用
のトリートメントベースとして用いることができる。用
いられる活性剤としては、ビタミン類、ケラチンとその
加水分解物、メラニン、微量元素、グリセロール、およ
び当業者によって考えられる他の活性剤を挙げることが
できる。
【００２７】本発明を、以下の実施例にて詳細に例証す
る。
【００２８】
【実施例】実施例１ 様々なＴｇ値を有するポリウレタンと、様々なＭＦＴ値
を有するラジカル重合ポリマーの粒子の様々な割合の水
性分散液を数種、ポリウレタンの分散液とラジカル重合
ポリマーの分散液を単に混合し、ついで、室温で約３０
分間攪拌することによって調製した。
【００２９】その方法によって得られた分散液を爪に適
用し、皮膜の形成を観察した。
【００３０】使用されたポリマー： ・Tgが-10℃のポリウレタン: 35％の乾燥物質を
含有する脂肪族アニオンポリウレタン（UCBのIW/010.
1）の分散液 ・Tgが21℃のポリウレタン: 35％の乾燥物質を
含有する脂肪族アニオンポリウレタン（UCBのIW/019.
1）の分散液 ・Tgが36℃のポリウレタン: 35％の乾燥物質を
含有する脂肪族アニオンポリウレタン（UCBのIW/028.
1）の分散液 ・MFTが12℃のラジカル重合ポリマー:46％の乾燥物質を
含有するアクリル／スチレン（JohnsonのJoncryl 77）
の分散液 ・MFTが35℃のラジカル重合ポリマー:45％の乾燥物質を
含有するアクリル（BASFのLuhydran A848S）の分散液 ・MFTが53℃のラジカル重合ポリマー:44％の乾燥物質を
含有するアクリル／スチレン（ICIのNeocryl XK 63）の
分散液 ・MFTが86℃のラジカル重合ポリマー:44％の乾燥物質を
含有するアクリル／スチレン（JohnsonのJoncryl 90）
の分散液
【００３１】以下の表に示す結果が得られた。ここで、
乾燥抽出物は、適用前の分散液の乾燥物質含有量であ
り、％は、混合液中のポリウレタンの分散液またはラジ
カル重合ポリマーの分散液の％である。
【００３２】
【表１】
【００３３】表１を参照すると、使用したポリウレタン
のＴｇによって、適切な皮膜を得ることができる場合
と、全く皮膜が形成されない場合とがある。
【００３４】Ｔｇが約３０℃より高い場合、爪の上に、
もはや良好な皮膜は形成されない。
【００３５】Ｔｇが３０℃より低くて０℃より高い場
合、ラジカル重合ポリマーのＭＦＴが約３０℃以下のと
き、またはポリウレタンの分散液の含有量が少なくても
４０％の場合は、満足のいく皮膜が得られた。さらに、
ポリウレタンのＴｇが、約０℃より低い場合、ラジカル
重合ポリマーの水性分散液の含有量は、７０％より多く
あってはならない。
【００３６】この実施例は、ポリウレタンの分散液とラ
ジカル重合ポリマーの分散液の混合物の全てにより、必
ずしも適切な皮膜が得られるとは限らず、本発明で定義
された混合液だけが、完全な皮膜の形成を可能にし、適
切なラッカーを得ることができるという事実を証明して
いる。
【００３７】実施例２ 以下の組成を有するネイルラッカーが調製された。 ・脂肪族アニオンポリウレタン「IW/019.1」(UCB)の水性分散液 56g Tg＜30℃、活性物質は35.8％ ・アニオンアクリルポリマー NEOCRYL XK 90(ICI)の水性分散液 19g MFT:18℃、乾燥物質:44.3％ ・ポリウレタン結合増粘剤 Ser AD FX 1100(Servo) 0.8g ・展着剤 KF 355A(Shin Etsu) 0.5g ・顔料 1.5g ・プロピレングリコール 0.2g ・水 22.2g
【００３８】全ての成分は、室温で混合され、該混合物
を、均質な組成物とするために、約３０分間攪拌した。
【００３９】２８％の乾燥物質含有量を有するラッカー
が得られ、このものは、爪の上に容易に広げることがで
き、乾燥後、満足できる硬さと外観を持つガラス状の皮
膜が得られた。
【００４０】この皮膜は、たやすく単一の剥片として剥
離された。
【００４１】実施例３ 以下の組成を有するネイルラッカーを実施例２の方法に
よって調製した。 ・脂肪族ポリエステル＝ポリウレタン Neorez R 981 59.4g (Zeneca Resins)の水性分散液 Tg＜30℃、乾燥物質：33％ ・スチレン／アニオンアクリルコポリマー Neocryl XK 62(ICI) 20.0g の水性分散液 MFT:30℃、乾燥物質:42％ ・ポリウレタン結合増粘剤 Ser AD FX 1010(Servo) 1.25g ・展着剤 KF 355A(Shin Etsu) 0.5g ・顔料 1.5g ・水 17.45g
【００４２】この方法によって、２８％の乾燥物質含有
量を有するラッカーが得られ、このものは、爪の上に容
易に広げることができ、乾燥後、十分に硬いガラス状の
外観をした皮膜が得られ、この皮膜は、たやすく剥離さ
れた。
【００４３】実施例４ 顔料を入れない他は、実施例３と同様にしてラッカーを
調製した。この方法によって無色のベースが得られ、こ
のものは容易に爪に適用された。
【００４４】乾燥後、このベースを、通常の溶剤ラッカ
ーで覆い、このラッカーを２、３分で乾燥した。
【００４５】ついで、メーキャップは、無色のベースの
層を剥離することによって、爪から除去することがで
き、溶剤ラッカーが除去され、きれいな爪を得ることが
できた。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 皮膜形成剤として、少なくともポリウレ
    タンの粒子と、少なくともカルボキシル基を含有するラ
    ジカル重合ポリマーの水性分散液を含有する爪用の化粧
    品組成物であって、 ポリウレタンが、ガラス転移温度（Ｔｇ）が３０℃以下
    であり、 ポリウレタンのガラス転移温度が０℃を越える場合、ラ
    ジカル重合ポリマーまたはラジカル重合ポリマー類の混
    合物は、３０℃以下の最低皮膜形成温度（ＭＦＴ）を有
    し、および／または５〜６０％の割合で存在し、 ポリウレタンのガラス転移温度が０℃より低い場合、ラ
    ジカル重合ポリマーまたはラジカル重合ポリマー類の混
    合物は、５〜７０％の割合で存在することを特徴とする
    化粧品組成物。
  2. 【請求項２】 ポリウレタンのＴｇが１５℃と２５℃の
    間にある場合、ラジカル重合ポリマーまたはラジカル重
    合ポリマー類の混合物は、３０℃以下のＭＦＴを有し、
    および／または３５〜６０％の割合で存在することを特
    徴とする請求項１に記載の組成物。
  3. 【請求項３】 ポリウレタンのＴｇが−１５℃と−５℃
    の間にある場合、ラジカル重合ポリマーまたはラジカル
    重合ポリマー類の混合物は、５０〜７０％の割合で存在
    することを特徴とする請求項１に記載の組成物。
  4. 【請求項４】 カルボキシル基を含有するラジカル重合
    ポリマー類の水性分散液が、アクリル、ビニル、アクリ
    ル／スチレンのポリマーおよび／またはコポリマーの水
    性分散液から選ばれたものであることを特徴とする請求
    項１に記載の組成物。
  5. 【請求項５】 ポリウレタンの水性分散液が、アニオン
    ポリウレタンの水性分散液、ポリエステル＝ポリウレタ
    ンの水性分散液、ポリエーテル＝ポリウレタンの水性分
    散液から選ばれたものであることを特徴とする請求項１
    に記載の組成物。
  6. 【請求項６】 請求項１ないし５のいずれか１項に記載
    の組成物を爪に適用することを特徴とする爪の美容方
    法。
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