JP2618094B2 - マルチパス伝送路の遅延時間の測定方法及び測定システム - Google Patents

マルチパス伝送路の遅延時間の測定方法及び測定システム

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JP2618094B2
JP2618094B2 JP3003258A JP325891A JP2618094B2 JP 2618094 B2 JP2618094 B2 JP 2618094B2 JP 3003258 A JP3003258 A JP 3003258A JP 325891 A JP325891 A JP 325891A JP 2618094 B2 JP2618094 B2 JP 2618094B2
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武嗣 真鍋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばデジタル無線通
信において問題となるマルチパス伝送路における、マル
チパス遅延時間特性を測定するための方法及び測定シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高速デジタル無線通信回線のマル
チパス伝送路の解析においては、一般に、マルチパス伝
送路のインパルス応答に相当するマルチパス遅延プロフ
ィールが測定され、このマルチパス遅延プロフィールを
測定する方法として、(1)無変調の搬送波信号の周波
数を掃引することによって伝送路の周波数特性を直接に
測定する方法(以下、第1の従来の方法という。)、
(2)鋭いインパルス状の波形を有する信号で変調され
た広帯域信号を送受信することによって、時間領域で直
接に当該伝送路のインパルス応答を測定する方法(以
下、第2の従来の方法という。)、(3)送信側で搬送
波信号を疑似雑音符号系列信号(以下、PN系列信号と
いう。)で直接に変調して拡散することによって得られ
る信号を送信し、受信側で受信された信号と、送信側と
同様に受信側で発生されたPN系列信号との相関をと
り、これによって当該PN系列信号の鋭い自己相関特性
を利用して逆拡散することによって当該伝送路の遅延プ
ロフィールを測定する方法(以下、第3の従来の方法と
いう。)などが用いられている。
【0003】例えば、屋内のような複雑な伝搬環境の解
析に必要な高い遅延時間分解能と、所望の耐雑音性を得
るためには、上記第1の従来の方法では広い周波数範囲
にわたって搬送波信号の周波数を掃引する必要があり、
また、上記第2の従来の方法では、非常に高いピーク電
力を有しかつ非常に短いパルス幅を有するパルスの信号
で変調された広帯域信号を用いる必要があり、いずれの
場合においても、電波法上の制約を受けるという問題点
があった。さらに、上記第1と第2の従来の方法では、
測定周波数帯域内で運用されている他の無線局からの干
渉を受けやすいという問題点があった。
【0004】これに対して上記第3の従来の方法では、
PN系列信号を用いる周波数の拡散によってより微弱な
送信電力密度で遅延プロフィールを測定することがで
き、また、他の無線局からの送信される電波による干渉
の影響を受けにくいという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
3の従来の方法においては、直接に得られる遅延プロフ
ィールの遅延時間の分解能は、PN系列信号のチップレ
ートにより制限される。すなわち、PN系列信号のチッ
プ時間長よりも短い時間間隔で到来する複数のマルチパ
ス波の遅延時間を分離して測定することができないとい
う問題点があった。
【0006】本発明の第1の目的は以上の問題点を解決
し、上述の従来の方法に比較して高い遅延時間分解能
で、特に上記PN系列信号のチップ時間長よりも高い遅
延時間分解能で、マルチパス伝送路の遅延時間の測定を
行なうことができる測定方法を提供することにある。
【0007】また、本発明の第2の目的は以上の問題点
を解決し、上述の従来の方法を用いた測定システムに比
較して高い遅延時間分解能で、特に上記PN系列信号の
チップ時間長よりも高い遅延時間分解能で、マルチパス
伝送路の遅延時間の測定を行なうことができる測定シス
テムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明に係る
マルチパス伝送路の遅延時間の測定方法は、送信側にお
いて搬送波を送信疑似雑音符号系列信号で変調した送信
信号を送信し、受信側において上記送信信号を受信して
受信信号とし、上記搬送波の周波数と同一の周波数を有
する局部発振信号を、上記送信疑似雑音符号系列信号の
系列と同一の系列を有する受信疑似雑音符号系列信号で
変調した信号で変調した信号と、上記受信された受信信
号との相互相関関数値を計算することによって送受信間
のマルチパス伝送路における各パスの遅延時間を測定す
る測定方法において、上記搬送波及び上記局部発振信号
の周波数を同一に保持しかつ所定の周波数範囲で掃引さ
せ、上記計算された相互相関関数値を所定の時間間隔で
サンプリングして離散的な遅延時間に対する相互相関関
数値を計算し、上記計算された離散的な遅延時間に対す
る相互相関関数値を所定の複数の遅延時間を離散化して
並べることによって第1のデータベクトルを求め、上記
第1のデータベクトルが存在する第1の部分空間と上記
第1のデータベクトルが存在しない第2の部分空間とが
直交することを利用して上記マルチパス伝送路の経路数
を計算し、上記送受信間を直結して予め計算される上記
相互相関関数値を上記各パスの所定の複数の遅延時間を
離散化して並べることによって第2のデータベクトルを
求め、上記第2のデータベクトルが存在する第3の部分
空間と上記第2のデータベクトルが存在しない第4の部
分空間とが直交することを利用しかつ上記計算された経
路数に基づいて上記各パスの遅延時間を計算することを
特徴とする。
【0009】また、本願の第2の発明に係るマルチパス
伝送路の遅延時間の測定システムは、送信側において搬
送波を送信疑似雑音符号系列信号で変調した送信信号を
送信し、受信側において上記送信信号を受信して受信信
号とし、上記搬送波の周波数と同一の周波数を有する局
部発振信号を、上記送信疑似雑音符号系列信号の系列と
同一の系列を有する受信疑似雑音符号系列信号で変調し
た信号で変調した信号と、上記受信された受信信号との
相互相関関数値を計算することによって送受信間のマル
チパス伝送路における各パスの遅延時間を測定する測定
システムにおいて、上記搬送波及び上記局部発振信号の
周波数を同一に保持しかつ所定の周波数範囲で掃引させ
る周波数掃引手段と、上記計算された相互相関関数値を
所定の時間間隔でサンプリングして離散的な遅延時間に
対する相互相関関数値を計算し、上記計算された離散的
な遅延時間に対する相互相関関数値を所定の複数の遅延
時間を離散化して並べることによって第1のデータベク
トルを求め、上記第1のデータベクトルが存在する第1
の部分空間と上記第1のデータベクトルが存在しない第
2の部分空間とが直交することを利用して上記マルチパ
ス伝送路の経路数を計算し、上記送受信間を直結して予
め計算される上記相互相関関数値を上記各パスの所定の
複数の遅延時間を離散化して並べることによって第2の
データベクトルを求め、上記第2のデータベクトルが存
在する第3の部分空間と上記第2のデータベクトルが存
在しない第4の部分空間とが直交することを利用しかつ
上記計算された経路数に基づいて上記各パスの遅延時間
を計算する計算手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
【作用】以上のように構成することにより、従来の測定
方法又は測定システムにおいて、上記搬送波及び上記局
部発振信号の周波数を同一に保持しかつ所定の周波数範
囲で掃引させる。一方、上記計算された相互相関関数値
を所定の時間間隔でサンプリングして離散的な遅延時間
に対する相互相関関数値を計算し、上記計算された離散
的な遅延時間に対する相互相関関数値を所定の複数の遅
延時間を離散化して並べることによって第1のデータベ
クトルを求め、上記第1のデータベクトルが存在する第
1の部分空間と上記第1のデータベクトルが存在しない
第2の部分空間とが直交することを利用して上記マルチ
パス伝送路の経路数を計算する。次いで、上記送受信間
を直結して予め計算される上記相関関数値を上記各パス
の所定の複数の遅延時間を離散化して並べることによっ
て第2のデータベクトルを求め、上記第2のデータベク
トルが存在する第3の部分空間と上記第2のデータベク
トルが存在しない第4の部分空間とが直交することを利
用しかつ上記計算された経路数に基づいて上記各パスの
遅延時間を計算する。
【0011】従って、上述の従来の方法に比較して高い
遅延時間分解能で、特に上記PN系列信号のチップ時間
長よりも高い遅延時間分解能で、上記マルチパス伝送路
の各パスの遅延時間の測定を行なうことができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による実施例に
ついて説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施例であるデジタル
無線通信回線のマルチパス伝送路の遅延プロフィールを
測定するための測定システムのブロック図である。
【0014】本実施例の測定システムは、送信機1と受
信機2とから構成され、上記第3の従来の方法を用いる
測定システムに比較し、(1)送信機1の搬送波信号発
生器12で発生される搬送波信号の周波数と、受信機2
の局部発振信号発生器25で発生される局部発振信号の
周波数とを同一に保持しかつ所定の周波数範囲で掃引
し、また、(2)送信機1においては、搬送波をPN系
列信号で平衡変調した平衡変調信号を送信信号として送
信し、一方、受信機2においては、送信機1において発
生される平衡変調信号と同様の平衡変調信号を発生し、
送信機1から受信される送信信号と上記発生された平衡
変調信号との相互相関関数値を相関器23において計算
し、次いで、遅延プロフィール計算部27において、上
記相互相関関数値をサンプリングして種々の遅延時間に
対する相互相関関数値、すなわち上記マルチパスの無線
伝送路のインパルス応答に相当する遅延プロフィールを
計算し、さらに、高分解能遅延プロフィール計算部28
において、上記計算された遅延プロフィールに基づい
て、詳細後述するように、高分解能の遅延プロフィール
のデータを計算し、計算された高分解能の遅延プロフィ
ールのデータをディスプレイ29に出力して当該高分解
能の遅延プロフィールを表示させることを特徴としてい
る。
【0015】図1の送信機1において、搬送波信号発生
器12は、所定の無線周波数を有する正弦波信号である
搬送波を発生しかつその無線周波数を所定の周波数範囲
で離散的に掃引した搬送波信号を平衡変調器13に出力
する。PN系列信号発生器11は、正のピークレベルと
負のピークレベルの絶対値が同一であるバイポーラのP
N系列信号を発生し、平衡変調器13に出力する。平衡
変調器13は、搬送波信号発生器12によって発生され
る搬送波信号を、PN系列信号発生器11によって発生
されるPN系列信号で平衡変調して、2相PSK波の平
衡変調信号を発生し、当該平衡変調信号を帯域通過フィ
ルタ14を介して送信アンテナ15から受信アンテナ2
1に向けて送信する。なお、帯域通過フィルタ14は、
上記平衡変調信号のメインローブ及びほとんどのサイド
ローブを通過させるが、搬送波の周波数から十分に離れ
たスプリアス周波数成分を除去するために設けられてい
る。
【0016】一方、受信機2において、受信アンテナ2
1は、送信アンテナ15から送信された後互いに遅延時
間の異なる複数の無線伝送路からなるマルチパスの無線
伝送路を介して伝搬する送信信号を受信し、当該受信さ
れた送信信号(以下、受信信号という。)を、帯域通過
フィルタ14と同様の信号通過周波数特性を有する帯域
通過フィルタ22を介して相関器23の第1の入力端子
に出力する。
【0017】PN系列信号発生器24は、PN系列信号
発生器11によって発生されるPN系列信号と同一のP
N系列信号を発生し、平衡変調器26に出力する。な
お、詳細後述するように、種々の遅延時間τk(k=
1,2,…,K)に対する相互相関関数値を成分とする
データベクトルZを測定するために、PN系列信号発生
器24によって発生されるPN系列信号のクロック周波
数fc+Δfを、PN系列信号発生器11によって発生
されるPN系列信号のクロック周波数fcに比較し、そ
れらの差Δf≪fcの条件のもとで、わずかに異ならせ
ている。また、局部発振信号発生器25は、搬送波信号
発生器12によって発生される搬送波信号と同一の無線
周波数を有しかつ上記搬送波信号と同期して同一の周波
数範囲でその周波数が離散的に掃引された、正弦波信号
である局部発振信号を発生し、当該局部発振信号を平衡
変調器26に出力する。なお、搬送波信号発生器12と
局部発振信号発生器25はそれぞれPLL回路を備えて
構成される。平衡変調器26は、局部発振信号をPN系
列信号で平衡変調して、上記平衡変調器13から出力さ
れる平衡変調信号と同様の平衡変調信号を相関器23の
第2の入力端子に出力する。
【0018】さらに、相関器23は、それぞれ第1と第
2の入力端子に入力される受信信号と平衡変調信号に基
づいて相互相関関数値を計算し、計算された相互相関関
数値のデータを遅延プロフィール計算部27に出力す
る。遅延プロフィール計算部27(以下、単に計算部2
7と略す。)は、公知の通り、入力される相互相関関数
値のデータをサンプリングして種々の遅延時間に対する
相互相関関数値、すなわち上記マルチパスの無線伝送路
のインパルス応答に相当する遅延プロフィールを計算
し、当該遅延プロフィールのデータを、本発明に係る高
分解能遅延プロフィール計算部28(以下、単に計算部
28と略す。)に出力する。計算部28は、入力される
遅延プロフィールのデータに基づいて、詳細後述するよ
うに、高分解能の遅延プロフィールのデータを計算し、
計算された高分解能の遅延プロフィールのデータをディ
スプレイ29に出力して当該高分解能の遅延プロフィー
ルを表示させる。
【0019】さらに、以下、上記計算部27と計算部2
8の動作について詳細に説明にする。なお、本実施例に
おいて、搬送波信号及び局部発振信号の周波数flを、
1からfLまで離散的に掃引させるものとし、ここで、
Lは2以上の自然数である。
【0020】離散的に掃引される各周波数flにおい
て、上記相関器23から出力される相互相関関数値は、
送信機1のPN系列信号発生器11が発生するPN系列
信号と、受信機2のPN系列信号発生器24が発生する
PN系列信号との時間的なシフト量τの種々の値に対し
て測定される。ここで、シフト量τは、送信機1で発生
されるPN系列信号を基準として定義され、詳細後述す
るように、マルチパス無線伝送路における遅延時間に対
応している。また、上述のように、PN系列信号発生器
24によって発生されるPN系列信号のクロック周波数
fc+Δfを、PN系列信号発生器11によって発生さ
れるPN系列信号のクロック周波数fcに比較し、Δf
≪fcの条件のもとで、わずかに異ならせているので、
両PN系列信号のクロック周波数の差Δfによって上記
シフト量τが観測時刻tの経過とともに変化し、上記相
関器23から出力される相互相関関数値は上記遅延プロ
フィールz(τ)として測定される。すなわち、観測時
刻t=0において、上記シフト量を0とすると、次の
「数1」の関係が成立する。
【0021】
【数1】
【0022】従って、観測時刻tの経過に伴って、相関
器23の出力から、遅延プロフィールz(t・Δf/f
c)が測定される。
【0023】計算部27は、入力される相互相関関数値
のデータを離散的な観測時刻tk(k=1,2,…,
K)においてサンプリングする。このサンプリングによ
って、次の「数2」によって表される離散的なシフト量
τk(k=1,2,…,K)に対する遅延プロフィール
z(τk)を計算することができ、当該遅延プロフィー
ルz(τk)のデータを計算部28に出力する。
【0024】
【数2】
【0025】次いで、計算部28は、計算部27から入
力される遅延プロフィールz(τk)のデータに基づい
て、これらの自然数K個の遅延プロフィールz(τk
のデータを、遅延時間τを離散化して並べて得られるデ
ータベクトルZ=[z(τ1),z(τ2),…,z(τ
K)]tから、まず、次の「数3」で表される、データベ
クトルZについての平均的な共分散行列Rを計算する。
【0026】
【数3】
【0027】ここで、Z(fl)は搬送波信号及び局部
発振信号の周波数flにおいて計算部27の出力から得
られる遅延プロフィールのデータベクトルであり、ま
た、†は当該ベクトルに対して複素共役の転置を行なう
こと、すなわち当該ベクトルのエルミート共役を行うこ
とを示す。
【0028】いま、当該測定システムにおいて、測定誤
差及び増幅器等の熱雑音を無視すると、そのようにして
得られたデータベクトルZの自由度はマルチパスの伝送
路の経路の数M(<K)に等しい。すなわち、データベ
クトルが存在するのは、K次元空間中のM次元の部分空
間内に限られる。従って、以下、このM次元部分空間を
信号部分空間と呼び、これに直交する信号部分空間の補
空間、すなわち(K−M)次元の部分空間を雑音部分空
間と呼ぶ。これら2つの直交する部分空間は、上記共分
散行列Rの固有値解析によって次のように決定すること
ができる。
【0029】すなわち、上記共分散行列Rの一般化固有
値方程式は次の「数4」で与えられ、計算部28は、
「数4」における自然数K個の一般化固有値λiと固有
ベクトルei(i=1,2,…,K)を計算する。
【0030】
【数4】
【0031】ここで、行列R0は、送信機1と受信機2
とを直結して予め得られる共分散行列である。
【0032】次いで、計算部28は、上記計算されたK
個の一般化固有値λiを小さいものから順に並べた後、
上記計算された一般化固有値λiが1よりも十分に大き
い、当該一般化固有値λiの数Mを求める。ここで、当
該測定システムの信号対雑音比が十分に高い場合、上記
計算されたK個の一般化固有値λiを小さいものから順
に並べると、最初の自然数(K−M)個の一般化固有値
λiの値はほぼ1となり、一方、残りの自然数M個の一
般化固有値λiの値は1よりも十分に大きくなる。すな
わち、一般化固有値λiの値は次の「数5」及び「数
6」で表され、上記自然数Mは、マルチパスの伝送路の
経路の数に対応する。
【0033】
【数5】
【0034】
【数6】
【0035】このとき、λi≫1なる自然数M個の一般
化固有値に対応するM個の固有値ベクトルei(i=K
−M+1,K−M+2,…,K)によって形成される空
間が上述の信号部分空間であり、λi≒1なる残りの
(K−M)個の一般化固有値に対応する固有値ベクトル
i(i=1,2,…,K−M)によって形成される空
間が上述の雑音部分空間である。
【0036】さらに、計算部28は、上記雑音部分空間
を形成する(K−M)個の固有ベクトルei(i=1,
2,…,K−M)を用いて、次の「数7」を用いて高分
解能の遅延プロフィールの相対電力S(τ)を計算し、
上記計算された高分解能の遅延プロフィールの相対電力
S(τ)のデータをディスプレイ29に出力して、遅延
プロフィールを表示させるとともに、上記計算された高
分解能の遅延プロフィールの相対電力S(τ)のデータ
のうち所定の相対電力以上の鋭いピークを求め、各ピー
クの相対遅延時間τの差を計算することによって、各パ
スの遅延時間差τpを計算し、当該計算された遅延時間
差τpのデータを上記ディスプレイ29に出力して表示
させる。
【0037】
【数7】
【0038】ここで、Rd(τ)は送信機1と受信機2
とを直結して予め得られる上記遅延プロフィール計算部
27の出力r(τ)から、次の「数8」で与えられるベ
クトルである。
【0039】
【数8】
【0040】当該測定システムにおいて、信号対雑音比
が十分に大きい場合は、「数7」で計算される高分解能
の遅延プロフィールの相対電力S(τ)は自然数M個の
鋭いピークを持ち、各ピークを与える相対遅延時間τか
ら各パスの遅延時間を計算することができる。これは以
下の理由による。
【0041】各パスの相対的な遅延時間をT1,T2
…,TMとしたとき、上記データベクトルZは、上述の
ように測定誤差及び増幅器等の熱雑音を無視すると、ベ
クトルRd(T1),Rd(T2),…,Rd(TM)の
M個のベクトルの線形結合で次の「数9」で表される。
【0042】
【数9】
【0043】ここで、αj(j=1,2,…,M)はマ
ルチパス伝送路の各パスの伝送路特性に依存した複素係
数である。従って、各ベクトルRd(Tj)は上記信号
部分空間に属するベクトルとなり、上記雑音部分空間と
直交する。すなわち、各ベクトルRd(Tj)は上記雑
音部分空間を形成する固有ベクトルei(i=1,2,
…,K−M)と直交する。従って、上記「数7」の分母
中の内積Rd(τ)t・eiは、遅延時間τが各パスの経
路の遅延時間Tjと一致するときのみ、ほぼ0となり、
上記「数7」で計算される高分解能の遅延プロフィール
の相対電力S(τ)において鋭いピークとなって現れ
る。
【0044】以上の実施例において、説明の便宜上、相
関器23と計算部27と計算部28とを異なるブロック
で図示しかつそれらの動作を説明しているが、実際上、
これらのブロックは、マイクロコンピュータなどの中央
演算処理装置などで構成される。
【0045】図2は、図1に図示した本実施例の測定シ
ステムで測定され実線で図示された遅延プロフィール特
性100と、上記第3の従来の方法で測定され点線で図
示された遅延プロフィール特性110とを相対電力表示
で示すグラフである。なお、この実験例において、搬送
波信号及び局部発振信号の中心周波数を2.335GH
zとし、この中心周波数を中心として±20MHzの周
波数範囲において離散的に設定した等間隔5点の周波数
について掃引し、また、PN系列信号として、チップレ
ートが30Mchips/sec.すなわちチップ時間
長Tcが33.3nsec.のm系列のPN系列信号を
用い、さらに、電気長差が5.6mの2本の同軸ケーブ
ルを並列に接続して形成されたマルチパスの疑似伝送路
を用いた。
【0046】この場合において遅延時間差は18.7n
sec.(=0.56Tc)であるため、図2から明ら
かなように上記第3の従来の方法では上記マルチパスの
疑似伝送路の各同軸ケーブルを伝搬した2波を分離する
ことができなかった。しかしながら、本実施例の測定シ
ステムを用いて高分解能の遅延プロフィールを測定する
ことによって、上記2波の遅延時間が当該遅延プロフィ
ール特性上で2つの鋭いピークとなって現れ、この2つ
のピークの遅延時間差は実際の遅延時間差18.7ns
ec.(=0.56Tc)と良く一致している。
【0047】以上述べたように本発明に係る本実施例の
測定システムを用いることによって、上述の従来の方法
に比較して高い遅延時間分解能で、特に上記PN系列信
号のチップ時間長よりも高い遅延時間分解能で、マルチ
パス伝送路の各パスの遅延時間の測定を行なうことがで
きる。
【0048】以上の実施例においては、マルチパスの無
線伝送路の遅延時間の測定システムについて述べている
が、本発明はこれに限らず、有線伝送路の遅延時間の測
定、アンテナや電磁波回路の測定、及びパルス圧縮レー
ダなどに広く適用することができる。なお、本発明を上
記パルス圧縮レーダに適用したときは、本実施例におけ
る送信機1と受信機2とが同一の場所に設置される。
【0049】以上の実施例において、送信機1の搬送波
信号発生器12は、送信信号の無線周波数を有する搬送
波信号を発生しているが、本発明はこれに限らず、公知
の通り、送信信号の無線周波数よりも低い所定の中間周
波数の信号を発生し、この中間周波数の信号をPN系列
信号で平衡変調した後、当該平衡変調信号を無線周波数
に周波数変換し、上記周波数変換した信号を増幅し又は
増幅しないで送信信号として送信アンテナ15から送信
するようにしてもよい。また、同様に、受信機2におい
て受信信号を上記無線周波数よりも低い所定の中間周波
数に周波数変換した後、相関器23によって相互相関関
数値を計算するようにしてもよい。この場合、平衡変調
器26から出力される平衡変調信号の周波数を上記中間
周波数に合致させる必要がある。
【0050】以上の実施例において、平衡変調器13,
26はそれぞれ、搬送波信号発生器12,局部発振信号
発生器25によって発生される搬送波信号,局部発振信
号を、PN系列信号発生器11,24によって発生され
るPN系列信号で平衡変調して、2相PSK波の平衡変
調信号を発生させているが、本発明はこれに限らず、多
相PSKなどの他の位相変調方式又は周波数変調方式を
用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、搬
送波を疑似雑音符号系列信号で変調した信号を用いてマ
ルチパス伝送路の各パスの遅延時間を測定する従来の方
法において、搬送波及び局部発振信号の周波数を同一に
保持しかつ周波数掃引させ、計算された相互相関関数値
を時間間隔でサンプリングして離散的な遅延時間に対す
る相互相関関数値を計算し、当該相互相関関数値を複数
の遅延時間を離散化して並べて求めた第1のデータベク
トルに基づいてマルチパス伝送路の経路数を計算し、送
受信間を直結して予め計算される相互相関関数値を各パ
スの複数の遅延時間を離散化して並べて求めた第2のデ
ータベクトルと上記計算された経路数に基づいて各パス
の遅延時間を計算するので、上述の従来の方法に比較し
て高い遅延時間分解能で、特に上記PN系列信号のチッ
プ時間長よりも高い遅延時間分解能で、上記マルチパス
伝送路の各パスの遅延時間の測定を行なうことができる
という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるデジタル無線通信回
線のマルチパス伝送路の遅延プロフィールを測定するた
めの測定システムのブロック図である。
【図2】 図1の測定システムで測定された遅延プロフ
ィール特性と、上記第3の従来の方法で測定された遅延
プロフィール特性とを示すグラフである。
【符号の説明】
1…送信機、2…受信機、11…PN系列信号発生器、
12…搬送波信号発生器、13…平衡変調器、15…送
信アンテナ21…受信アンテナ、23…相関器、24…
PN系列信号発生器、25…局部発振信号発生器、26
…平衡変調器、27…遅延プロフィール計算部、28…
高分解能遅延プロフィール計算部。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側において搬送波を送信疑似雑音符
    号系列信号で変調した送信信号を送信し、受信側におい
    て上記送信信号を受信して受信信号とし、上記搬送波の
    周波数と同一の周波数を有する局部発振信号を、上記送
    信疑似雑音符号系列信号の系列と同一の系列を有する受
    信疑似雑音符号系列信号で変調した信号と、上記受信さ
    れた受信信号との相互相関関数値を計算することによっ
    て送受信間のマルチパス伝送路における各パスの遅延時
    間を測定する測定方法において、上記搬送波及び上記局
    部発振信号の周波数を同一に保持しかつ所定の周波数範
    囲で掃引させ、上記計算された相互相関関数値を所定の
    時間間隔でサンプリングして離散的な遅延時間に対する
    相互相関関数値を計算し、上記計算された離散的な遅延
    時間に対する相互相関関数値を所定の複数の遅延時間を
    離散化して並べることによって第1のデータベクトルを
    求め、上記第1のデータベクトルが存在する第1の部分
    空間と上記第1のデータベクトルが存在しない第2の部
    分空間とが直交することを利用して上記マルチパス伝送
    路の経路数を計算し、上記送受信間を直結して予め計算
    される上記相互相関関数値を上記各パスの所定の複数の
    遅延時間を離散化して並べることによって第2のデータ
    ベクトルを求め、上記第2のデータベクトルが存在する
    第3の部分空間と上記第2のデータベクトルが存在しな
    い第4の部分空間とが直交することを利用しかつ上記計
    算された経路数に基づいて上記各パスの遅延時間を計算
    することを特徴とするマルチパス伝送路の遅延時間の測
    定方法。
  2. 【請求項2】 送信側において搬送波を送信疑似雑音符
    号系列信号で変調した送信信号を送信し、受信側におい
    て上記送信信号を受信して受信信号とし、上記搬送波の
    周波数と同一の周波数を有する局部発振信号を、上記送
    信疑似雑音符号系列信号の系列と同一の系列を有する受
    信疑似雑音符号系列信号で変調した信号と、上記受信さ
    れた受信信号との相互相関関数値を計算することによっ
    て送受信間のマルチパス伝送路における各パスの遅延時
    間を測定する測定システムにおいて、上記搬送波及び上
    記局部発振信号の周波数を同一に保持しかつ所定の周波
    数範囲で掃引させる周波数掃引手段と、上記計算された
    相互相関関数値を所定の時間間隔でサンプリングして離
    散的な遅延時間に対する相互相関関数値を計算し、上記
    計算された離散的な遅延時間に対する相互相関関数値を
    所定の複数の遅延時間を離散化して並べることによって
    第1のデータベクトルを求め、上記第1のデータベクト
    ルが存在する第1の部分空間と上記第1のデータベクト
    ルが存在しない第2の部分空間とが直交することを利用
    して上記マルチパス伝送路の経路数を計算し、上記送受
    信間を直結して予め計算される上記相互相関関数値を上
    記各パスの所定の複数の遅延時間を離散化して並べるこ
    とによって第2のデータベクトルを求め、上記第2のデ
    ータベクトルが存在する第3の部分空間と上記第2のデ
    ータベクトルが存在しない第4の部分空間とが直交する
    ことを利用しかつ上記計算された経路数に基づいて上記
    各パスの遅延時間を計算する計算手段とを備えたことを
    特徴とするマルチパス伝送路の遅延時間の測定システ
    ム。
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