JP2617075B2 - 湿式摩擦材の製造方法 - Google Patents
湿式摩擦材の製造方法Info
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Description
の潤滑油中で相手材と圧接して使用される湿式摩擦材の
製造方法に関するもので、特に、相手材との不均一な滑
りによるジャダー現象の発生を抑制した湿式摩擦材の製
造方法に関するものである。
式摩擦材が使用され、潤滑油として使用されるATF
(オートマチックトランスミッションフルード)の中
で、回転する相手材に対して停止している湿式摩擦材を
押圧して回転を停止させる、或いは、停止している相手
材に対して回転している湿式摩擦材を押圧して相手材と
湿式摩擦材とを同一回転させることにより、原動機の駆
動力を伝達或いは遮断するようにしている。また、近年
になって、自動変速機制御法の発展により、湿式摩擦材
と相手材との間に差回転を発生させつつ、駆動力を伝達
しようとするスリップ制御法が開発された。この方法に
よれば、湿式摩擦材と相手材とが滑りながら駆動力を伝
達するため、ちょうど半クラッチと同様の状態が生じ、
滑らかに伝達させることができる。
には、リングプレート状の芯金の表面に接着して湿式摩
擦プレートとして使用され、同様にリングプレート状に
形成された相手材と摩擦係合される。また、湿式ドラム
ブレーキの場合には、帯状の芯金に接着してブレーキバ
ンドとし、ドラムを相手材として使用される。
金系或いは炭素コンポジット系等の湿式摩擦材も知られ
てはいるが、一般には、ペーパー系の湿式摩擦材、即
ち、パルプ、アラミド繊維等の基材繊維と、カシューダ
スト等の摩擦調整剤、珪藻土等の充填剤等の添加剤との
混合材料を抄造した抄紙体に、フェノール樹脂等の結合
樹脂を含浸し、加熱硬化させることによって得られた湿
式摩擦材が使用されている。「ペーパー摩擦材」とも呼
ばれるこの湿式摩擦材は、軽量で、安価であるだけでな
く、材質が多孔質で比較的弾性にも富むため油吸収性が
高く、しかも耐久性にも比較的優れているからである。
例えば、特開昭61−85443号公報、特開平1−1
69134号公報、特開平1−288639号公報、特
公平2−61661号公報に掲載の技術を挙げることが
できる。
ーパー系の湿式摩擦材は、相手材と片寄りして当接し易
く、特に、大型化した場合ではその現象が顕著であっ
た。そして、この片寄り現象は、特に、前述のスリップ
制御時には、相手材との間の滑りの不均一(トルク変
動)を引き起こし、それによってジャダー現象が発生
し、振動、鳴き等の不具合が生じる傾向があった。その
ため、この種の湿式摩擦材については、相手材との滑り
をなめらかにし、かつ、均一にすることが要望されてい
た。
にし、かつ、均一化して、ジャダー現象を抑制すること
ができる湿式摩擦材の製造方法の提供を課題とするもの
である。
擦材の製造方法は、基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤と
の混合材料の抄造完了直前に硬質のカーボンの粉体また
は繊維を添加し、これによって得られた前記カーボンの
粉体または繊維が表層部に着床した抄紙体に、結合樹脂
を含浸し、加熱硬化することからなる。
加剤との混合材料の抄造は、その混合材料を水に分散し
てスラリーを調成し、そして、このスラリーを抄網で濾
過してその混合材料の濾滓からなる湿紙抄紙体(湿潤シ
ート)を形成し、次いで、最終的にこれを圧搾し、乾燥
することによって完了するが、上記の「抄造完了直前」
とはその最終的な圧搾、乾燥がなされる直前段階のこと
であり、基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤との混合材料
の濾滓からなる湿紙抄紙体が十分に水を含んで濡れた状
態にあり、それによって、カーボンの粉体または繊維が
その表層部に付着し、着床することができる状態にある
ときのことである。つまり、カーボンの粉体または繊維
を添加する時点である「抄造完了直前」とは、そのカー
ボンの粉体または繊維の添加により、結果としてそれが
表層部に着床した抄紙体が形成され得る段階のことであ
る。
ば、基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤との混合材料から
なる本体としての抄紙体の摺動表面部に、硬質のカーボ
ンの粉体または繊維からなるカーボン層が形成され、全
体が結合樹脂によって結合されたペーパー系の湿式摩擦
材を得ることができる。
粉体または繊維としては、黒鉛やコークス等の軟質なも
のではなく、実質的に黒鉛化されていない硬質のもの、
好ましくは、モース硬度において6〜8のものが使用さ
れる。そして、このような硬質のカーボンの粉体は、例
えば、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物或いは
石油・石炭系ピッチを非酸化性雰囲気下で炭化焼成し、
更に、この炭化焼成体を所定の粒径に微粉砕して得るこ
とができる。この場合、その焼成温度は600℃〜20
00℃が好ましく、また、最も硬質化する800〜14
00℃がより好ましい。600℃以下では、有機成分が
残存する傾向が生じ、硬度が小さく、弾性率も小さいた
め、好ましくない。他方、2000℃以上ではカーボン
の黒鉛化、即ち、結晶化が進行するため、硬度、弾性率
とも低下し、好ましくない。そして、この硬質カーボン
の粉体の粒径は、一般に0.1〜50μm、好ましくは
5〜15μmがよく、更に、カーボン純度は90%以上
が好ましい。また、同様な硬質カーボンの繊維は、例え
ば、石油系ピッチから合成したカーボン繊維を粉状の短
繊維に切断(破砕)することによって得ることができ、
その平均繊維長は0.1mm程度が好ましい。
は、従来と同様である。即ち、基材繊維としては、パル
プ、或いは、アラミド繊維、ノボロイド繊維等の有機繊
維、ガラス繊維、ロックウール、シリケート繊維、アル
ミナ繊維等の無機繊維及びスチール繊維、ステンレスス
チール繊維等の金属繊維などを挙げることができる。そ
して、これらの基材繊維は、それぞれ単独で、または2
種以上を適宜組合せて使用することができる。
剤としては、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、或
いは、カシューダスト、ゴムダスト等の有機配合剤、酸
化鉄、酸化珪素、酸化マグネシウム等の無機配合剤等を
挙げることができ、これらを適宜に使用し、添加するこ
とができる。更に、その他にも、珪藻土等の体質充填剤
等を適宜配合することができる。
脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂等を挙げることができる。しか
し、結合性、耐熱性等に優れ、また取扱いも簡易である
点において、これらの中でも特にフェノール系樹脂を好
適に用いることができる。
の硬質のカーボンの粉体または繊維は基材繊維と摩擦調
整剤等の添加剤との混合材料の抄造完了直前に添加さ
れ、それによって、そのカーボンの粉体または繊維が表
層部に着床した抄紙体を形成する。具体的には、基材繊
維と摩擦調整剤等の添加剤との混合材料を含むスラリー
を抄網で抄き、次いで、得られた湿紙抄紙体を圧搾、乾
燥することによって抄紙体を形成することは従来と同様
であるが、その最終的な圧搾、乾燥がなされる直前に、
例えば、ホッパーからカーボンの粉体または繊維を散布
することによって、湿紙抄紙体の表面に付着させ、着床
させることができる。その後は従来と同様であり、得ら
れた抄紙体に結合樹脂(溶液)を浸漬等により塗布して
含浸し、次いで、その結合樹脂の硬化温度で加熱硬化す
る。
芯金に接着して、湿式摩擦プレート等として、自動変速
機等における湿式摩擦係合装置に使用される。
に、硬質のカーボンの粉体または繊維からなるカーボン
層が形成されるので、そのカーボンの自己潤滑性効果に
より、相手材との間の滑りが円滑化され、均一化され
る。そのため、トルク変動を少なくし、ジャダー現象を
抑制することができる湿式摩擦材を得ることができる。
なおこの場合、そのカーボンは硬質のカーボンからなる
ので、良好な摩擦特性と耐摩耗性等を維持することがで
きる。また、湿式摩擦材の摺動表面部にカーボン層が形
成され、その本体部は従来と同一材質で形成されるの
で、耐熱性、耐剥離性等が低下することはなく、従来と
同等の一般性能が確保される。
繊維は基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤との混合材料の
抄造と合せて、その完了直前に添加されるので、従来と
実質的に同じ工程によって簡単に、また容易に、上記の
湿式摩擦材を製造することができる。
の湿式摩擦材を以下のように製造した。
%、有機繊維(アラミド繊維)10重量%、摩擦調整剤
(カシューダスト)10重量%を混合した混合材料を抄
造し、抄紙体を得た。その一方、別途に、フェノール樹
脂硬化体を非酸化性雰囲気下に800℃で炭化焼成し、
更に、この炭化焼成体を平均粒径10μmに微粉砕する
ことによって硬質のカーボン粉体を作成し、フェノール
樹脂ワニスにこの微粉砕したカーボン粉体を5重量%混
合分散しておいた。なお、この硬質カーボン粉体の比重
は1.4〜1.6であり、モース硬度は約6.5であっ
た。次に、この硬質カーボン粉体を混合分散したフェノ
ール樹脂ワニスを前記抄紙体に塗布し、含浸させた。次
いで、これを取出し、自然乾燥させた後、200℃の炉
内にて10分間処理し、フェノール樹脂分を加熱硬化し
た。この際、抄紙体の表層部には、硬質カーボン粉体が
均一に被着し、着床していた。そして、この加熱硬化体
を200℃の熱プレスにて型成形し、更に、機械加工を
行なって湿式摩擦材を製造した。これによって、摺動表
面部に硬質カーボンの粉体が着床し、カーボン層が形成
された湿式摩擦材を得た。
て、スリップ評価(連続滑り摩擦評価試験)を実施し
た。具体的には、このスリップ評価は、図1に示すよう
に行なった。
を示す概略図である。
て作製した湿式摩擦材1をリングプレート状の芯金2の
両面に接着して供試体とした。そして、テスターケース
3に回転不能に組付けられた相手材としての鉄板4で挾
持し、ピストン5を介して面圧20kg/cm2 となる荷重
で加圧した。次いで、供試体をハブ6により差回転速度
と想定した10rpm で回転させ、このときに発生する不
均一滑り量をトルク振幅(トルク変動量)として検出
し、評価の対象とした。なお、これらの操作は、ATF
の中に浸漬した状態で行なった。
た。
からなるカーボン層を有しない湿式摩擦材を比較例1と
して作製し、参考例1と同一の方法でスリップ評価を行
なった。なお、この比較例1の湿式摩擦材は、そのカー
ボン粉体をフェノール樹脂ワニスに混合しないで製造し
た点以外は、参考例1と同じ材料を使用し、同一の製造
工程によって作製した。
ルク振幅は15kg・m であった。
ーボンの粉体からなるカーボン層が摺動表面部に形成さ
れている実施例1の湿式摩擦材は、これを有しない比較
例1の湿式摩擦材に比べてトルク振幅が顕著に小さく、
したがって、不均一滑り量(トルク変動)が少ないこと
が分る。
は、基材繊維であるパルプ及び有機繊維と添加剤である
摩擦調整剤及び珪藻土との混合材料を抄造してなる抄紙
体に、フェノール樹脂硬化体を炭化焼成して微粉砕した
硬質のカーボンの粉体を混合分散した結合樹脂であるフ
ェノール樹脂を塗布して含浸し、次いで加熱硬化してな
るものである。
式摩擦材本体の摺動表面部に硬質のカーボン粉体からな
るカーボン層が形成されているので、カーボンの自己潤
滑性効果により相手材との間に円滑な滑りが得られ、伝
達トルクが均一化する。この結果、ジャダー現象が抑制
されるため、振動、鳴きの発生を防止することができ
る。
紙材料中に配合しておくことも考えられるが、それによ
ってスリップ性能の改善は達成し得るものの、そのよう
にカーボン粉体を多量に配合した湿式摩擦材では紙力が
低下するばかりか、本来の湿式摩擦材としての性能まで
が大きく変化してしまう恐れがある。それに対し、本参
考実施例の湿式摩擦材では、実質的に表層部のみにカー
ボン層が形成されているので、湿式摩擦材の本体部は従
来と同一材質で形成されることとなり、上記不具合がな
く、耐熱性(油吸収性)、耐剥離性等が低下せずに従来
と同等の一般性能を確保できる。
硬化体を800℃で炭化焼成して得られた硬質のもの
(モース硬度6.5)を使用しているので、良好な摩擦
特性と耐摩耗性等を確保することができる。更に、本参
考実施例では、抄紙体に硬質カーボン粉体を混合分散し
た結合樹脂を塗布し、次いで加熱硬化させるので、簡単
に湿式摩擦材の表面部にカーボン層を形成することがで
きる。
の湿式摩擦材を以下のようにして製造した。
ワニスとを使用し、更に、石油ピッチから合成された高
硬度(モース硬度約7)、高弾性の炭素繊維を、平均繊
維長0.1mmに切断して粉状のカーボン繊維を用意し、
このカーボン繊維を5重量%となるよう前記フェノール
樹脂ワニスに混合分散した後、このフェノール樹脂ワニ
スを参考例1と同様にして前記抄紙体に塗布して含浸
し、次いで風乾、熱硬化、熱成形、機械加工し、湿式摩
擦材を得た。得られた湿式摩擦材は、その表面部に、硬
質カーボンの短繊維がフェノール樹脂にて強固に結合さ
れて着床したカーボン層が形成されたものであった。
考実施例の場合と同様にスリップ評価を実施したとこ
ろ、トルク振幅は3kg・m であった。
維に代えて、同様の粉状のガラス繊維を使用して比較例
2の湿式摩擦材を作製し、同様にスリップ評価を行なっ
た。なお、この比較例2の湿式摩擦材は、カーボン繊維
に代えてガラス繊維を用いた以外は、参考例2と同一の
条件、製造工程により作製した。
繊維層を有する比較例2の湿式摩擦材は、そのトルク振
幅が9kg・m であった。
の繊維からなるカーボン層を有する参考例2の湿式摩擦
材は、比較例1及び比較例2に比べてトルク振幅が顕著
に小さく、したがって、不均一滑り量が小さいことが分
る。
は、基材繊維であるパルプ及び有機繊維と摩擦調整剤等
の添加剤との混合材料を抄造してなる抄紙体に、硬質の
カーボン繊維を混合分散した結合樹脂であるフェノール
樹脂を塗布して含浸し、加熱硬化してなるものである。
したがって、これによれば、摺動表面部に硬質のカーボ
ン繊維からなるカーボン層が形成されているので、ジャ
ダー現象が抑制される等、第一参考実施例の場合と同じ
効果を得ることができる。
方法に使用する抄造装置を示す概略図である。
に製造した。
%、有機繊維(アラミド繊維)10重量%、摩擦調整剤
(カシューダスト)10重量%、及び参考例1で用いた
硬質カーボンの粉体10重量%の原料からなる抄紙体を
形成した。
造装置を用いて行った。即ち、図2のように、送給ポン
プ等の送給手段30から、抄紙体の本体を形成する原料
であるパルプ、珪藻土、有機繊維及び摩擦調整剤を上記
の配合割合で水中に分散し、また硫酸バンドの定着剤を
加えて調成したスラリー12を、抄造槽11内に送給す
る。また、抄造槽11内に供給されたスラリー12は電
動機31aで回転される攪拌手段31で攪拌され、抄造
槽11内の上部に抄造に適した濃度のスラリー層を形成
する。そして、この抄造槽11内のスラリー12中を、
抄網ローラ13,14を介して無端状の抄網15が斜め
上方に移動して液面上に現われる間に、スラリー12中
の水分を濾水16として濾過し、上記の繊維基材及び添
加剤からなる濾滓17(紙層)を抄網15上に徐々に形
成させる。
出管路32を介してスラリー供給手段33に吸引され、
そこで材料タンク34に用意されていた濃いスラリー1
2を混合し、適性濃度のスラリー12として送給手段3
0から再度抄造槽11内に供給される。
なる濾滓17の形成が完了し、抄網15が液面より露出
する直前に、ホッパー35から硬質のカーボン粉体18
を分配し散布して、上記の割合になるようにその濾滓1
7の表面に添加した。次いで、この濾滓17の表層部に
カーボン粉体18が付着し着床した湿紙抄造体19を、
抄網15が斜め上方に移動する間に水切りした後、ピッ
クアップローラ20によって抄網15から離し取り、図
示しない圧搾手段、乾燥手段によって圧搾、乾燥して所
定厚さの抄紙体を形成した。
所、即ち、カーボン粉体18を添加する時点は、抄網1
5上での濾滓17の形成が実質的に完了した後であっ
て、また、その濾滓17またはそれの湿紙抄紙体が、そ
の表面にカーボン粉体18が付着できる程度に十分に水
で濡らされた状態である間であればよい。具体的には、
そのホッパー35は、斜め上方に移動する抄網15がス
ラリー12の液面より露出する直前の位置から、湿紙抄
紙体19が圧搾、乾燥される直前の位置、即ち、ローラ
20が設けられた位置までの間に配置することができ
る。しかし、上記のように、抄網15が液面より露出す
る直前の位置にホッパー35を配置することによって、
濾滓17は最も多くの水を含む状態にあるため、カーボ
ン粉体18をその表面に最も効率的に付着させ、着床さ
せることができる。
料の抄造過程において、カーボン粉体を添加するタイミ
ングを他の原料より遅らせてその完了直前とし、抄紙体
の表層部に着床するようにした。その後は、この抄紙体
に結合樹脂としてのフェノール樹脂(ワニス)を塗布し
て含浸し、第一参考実施例の場合と同様にして、風乾、
熱硬化、熱成形、機械加工し、湿式摩擦材を得た。得ら
れた湿式摩擦材の表層部にはカーボン粉体が強固に着床
していた。つまり、得られた湿式摩擦材は、参考例1と
実質的に同じであり、摺動表面部に硬質のカーボン粉体
からなるカーボン層が被着形成されたものである。
いて、第一参考実施例の場合と同様にスリップ評価を実
施したところ、そのトルク振幅は3kg・m であった。こ
のトルク振幅の値は、前述の参考例1及び参考例2と同
様に、カーボン層を有しない比較例1及びカーボン層で
はなくガラス繊維層である比較例2に比べて、顕著に小
さいものである。
量割合の原料からなるが、カーボン粉体が抄紙体全体に
均一に分散され、混合された比較例3の湿式摩擦材を作
製した。即ち、抄紙体の製造に際し、カーボン粉体を他
の原料と合せてスラリー中に分散させて抄造を行ない、
そのカーボン粉体が抄紙体全体に均一に分散するように
した。そして、このようにして得られた抄紙体に、実施
例と同じく、フェノール樹脂を含浸し、次いで風乾、熱
硬化、熱成形、機械加工して湿式摩擦材を作製した。
て、同様にスリップ評価を行なったところ、トルク振幅
は8kg・m であった。これは、湿式摩擦材の配合成分と
して自己潤滑性のあるカーボンを混合しているものの、
摺動面である表面部においてカーボンの露出量が少な
く、効果が小さいためと考えられる。そして、この結果
から、参考例1及び参考例2を含めて、摺動表面部にカ
ーボン層が形成された実施例の湿式摩擦材によれば、よ
り効果的にトルク振幅を小さくすることができ、不均一
滑り量を少なくすることができることが分る。
方法は、基材繊維であるパルプ及び有機繊維と添加剤で
ある摩擦調整剤及び珪藻土との混合材料の抄造完了直前
に硬質のカーボンの粉体を添加し、これによって得られ
た抄紙体、即ち、カーボンの粉体が表層部に着床した抄
紙体に、結合樹脂であるフェノール樹脂を含浸し、加熱
硬化することからなるものである。したがって、これに
よれば、摺動表面部に硬質のカーボンの粉体からなるカ
ーボン層が形成された湿式摩擦材が得られるので、その
カーボン層の自己潤滑作用によって、相手材との滑りを
円滑にし、かつ、均一化して、ジャダー現象を抑制でき
る等、参考例1の場合と同じ効果を得ることができる。
また、カーボンの粉体を抄造完了直前に添加するだけで
あるため、そのような湿式摩擦材を簡単に、また容易に
製造することができる。
ーボンを使用したが、これに代えて、参考例2で使用し
たような繊維の形態の(ただし、粉状の)カーボンを用
いることもできる。そして、それによっても、参考例2
と実質的に同一の湿式摩擦材を得ることができ、本実施
例と同じ効果を得ることができる。
ボンの粉体または繊維を、基材繊維と摩擦調整剤等の添
加剤との混合材料の抄造完了直前に添加することによ
り、湿式摩擦材の表面部にカーボン層を形成している
が、第一及び第二参考実施例のように、その硬質のカー
ボンの粉体または繊維を、抄紙体に塗布含浸する結合樹
脂に混合することによって、或いは、予め抄造して形成
した湿式摩擦材本体の表面に後から水分散液等の形態で
コーティングして付着させることによっても、同様にカ
ーボン層を形成することができる。しかし、上記の実施
例の方法によれば、具体的には図2のように、抄造装置
における抄網15が液面上に現れる直前の個所に適当な
ホッパー35を設けて、そのホッパー35からカーボン
を散布するだけでよく、抄造装置を特別に改造する必要
がなく、また、結合樹脂(溶液)の調製とそれの塗布含
浸処理は従前のとおりに行うことができるので、より簡
単に、かつ、容易に実施できる効果がある。
擦材の製造方法は、基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤と
の混合材料の抄造完了直前に硬質のカーボンの粉体また
は繊維を添加し、これによって得られた前記カーボンの
粉体または繊維が表層部に着床した抄紙体に、結合樹脂
を含浸し、加熱硬化することからなるものである。
維と摩擦調整剤等の添加剤との混合材料の抄造完了直前
に硬質のカーボンの粉体または繊維を添加しているの
で、摺動表面部にその硬質のカーボンの粉体または繊維
からなるカーボン層が形成された湿式摩擦材を、簡単に
得ることができる。そして、この湿式摩擦材によれば、
そのカーボンの自己潤滑性効果により相手材との間の滑
りが円滑化され、均一化されるため、ジャダー現象を抑
制でき、振動、鳴きの発生を防止することができる。ま
た、湿式摩擦材の表面部にカーボン層が形成され、湿式
摩擦材の本体部分は従来と同一材質で形成されるので、
耐熱性、耐剥離性等の他の一般性能の低下を防止するこ
とができる。更に、カーボンの粉体または繊維は硬質で
あるため、良好な摩擦特性と耐摩耗性等を維持すること
ができる。
ば、他の諸性能を損なうことなく、ジャダー現象を抑制
できる湿式摩擦材を、簡単に製造できるという効果があ
る。
概略図である。
使用する抄造装置を示す概略図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 基材繊維と摩擦調整剤等の添加剤との混
合材料の抄造完了直前に硬質のカーボンの粉体または繊
維を添加し、これによって得られた前記カーボンの粉体
または繊維が表層部に着床した抄紙体に、結合樹脂を含
浸し、加熱硬化することを特徴とする湿式摩擦材の製造
方法。
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