JP2613966B2 - 接点材料の製造方法 - Google Patents

接点材料の製造方法

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JP2613966B2 JP2270788A JP27078890A JP2613966B2 JP 2613966 B2 JP2613966 B2 JP 2613966B2 JP 2270788 A JP2270788 A JP 2270788A JP 27078890 A JP27078890 A JP 27078890A JP 2613966 B2 JP2613966 B2 JP 2613966B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えば、リレー、マグネットスイッチ、
ブレーカ等の開閉機器の電気接点に用いる接点材料の製
造方法に関する。
〔従来の技術および問題点〕
Ag素地接点材料であるAg−Ni系接点材料は、耐消耗性
および加工性に優れている。しかしながら、Ag−Ni系接
点材料は、同じAg素地接点材料であるAg−CdO系接点材
料やAg−SnO2系接点材料に比べ、耐溶着性が十分でない
ことから、利用が低負荷用〜中負荷用に限られる傾向が
あり、耐溶着性の改善が望まれている。
従来、上記Ag−Ni系接点材料は、つぎのようにして製
造されている。
それぞれ別々に製造したAg粒子にNi粒子を添加混合
し、圧縮成形して成形体を得て、ついで、成形体に対し
〔焼成→熱間圧縮〕を2〜3回繰り返し施すという焼結
工程を経て、焼結後、通常、引き伸ばし工程で引き伸ば
すようにする。引き伸ばし工程では、普通、焼結体を熱
間押し出しした後、さらに伸線する。Ni粒子は引き伸ば
し工程で伸線方向に引き延ばされており、接点材料中に
伸線方向に長手方向を向けた約5μm程度の平均径の繊
維状になっている。伸線した後、短く切断し、伸線方向
に対し直角の方向の断面(横断面)を接点面として使
う。すなわち、NiはAg素地中に平均径5μmの繊維状で
接点面に対し交差する方向に配向分散しているのであ
る。
耐溶着性を向上させるには、Niを接点面へ微細に満偏
無く分散させる必要がある。例えば、Ag粒子とNi粒子の
両方共に粒径1μm以下の微粒子にすれば、接点面に微
細なNi粒子が局在化せず満偏なく分散するはずである
が、実際はそうならない。微粒子を混合する段階で微粒
子が凝集して大きな2次粒子になり、結局、大きなNi粒
子として分散することになるからである。
また、配合するAg、Ni全量を一緒に溶かした融液を噴
霧して、Ni含有Ag粒子およびNi粒子を同時に得て、これ
を成形・焼結することが考えられる。この場合には、Ag
粒子中には微細なNi粒子が存在するが、得た粒子の中に
非常に粒径の大きい粗大Ni粒子が混在する。Ag−Ni溶湯
中の未固溶Niが粗大Ni粒子となって混在するのである。
この粗大Ni粒子は、成形性・焼結性を低下させ耐溶着性
劣化を招く原因となる。上記溶湯中でのAg中へのNiの固
溶限は約6wt%であるから、溶湯中のNi量が6wt%以下で
あれば粗大Ni粒子の混在は解消されるが、しかしなが
ら、この場合、Ag−Ni系接点材料として十分なNi量の確
保は難しい。
〔発明が解決しようとする課題〕
この発明は、上記事情に鑑み、耐溶着性に富む優れた
Ag−Ni系接点材料を容易に製造する方法を提供すること
を課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するため、請求項1〜5記載の接点材
料の製造方法では、回転可能なドラム内周面に臨む曲面
を有する固定部材を収容したドラム内にAg粒子とNi粒子
とを投入して、次いでドラムを回転させて、両粒子に対
し固定部材の曲面にて圧縮及び剪断を施すことでもって
複合化した複合粒子を焼結するようにしており、接合化
には、例えば、請求項2のように、Ni層がAg粒子の表面
を被覆している形態が挙げられる。
Ag粒子としては、純Ag粒子に限らず、請求項3のよう
に、Ni微粒子が分散したAg粒子を用いるようにしてもよ
い。Ni微粒子の量は1乃至6wt%(同粒子全体を100wt%
とする)であり、かつNi微粒子の平均粒径は1μm未満
である。さらに、請求項4のように、Ag粒子は内部に結
晶粒界を有するものであって、複合粒子はNi粒子が結晶
粒界に存在しているものであってもよい。複合粒子は、
請求項5のように、総Ni量が、通常、6乃至20wt%であ
るものである。
以下、この発明を、製造の段階から順を追って具体的
に説明する。
この発明の接点材料の製造法では、まず、機械的複合
化処理によりAg粒子とNi粒子とを複合化したAg・Ni複合
粒子を用いて成形体を作る。
複合粒子作成用のAg粒子には、純Agの粒子、あるい
は、Ni微粒子がAg中に分散した粒子を使う。このAg粒子
の平均粒径は、通常、0.01〜500μm程度である。複合
粒子作製用のNi粒子の平均粒径は、通常、0.01〜10μm
程度であり、この範囲を外れると適切な複合化は難かし
くなる。普通、Ni粒子はAg粒子より小さいものを使う。
Ni粒子の粒径は、Ag粒子の粒径の1/2以下(より好まし
くは1/10以下)程度である。
Ni微粒子分散のAg粒子の場合、Ni微粒子の平均粒径が
1μm以上であったり、Ni含有量が1wt%未満である場
合、十分なAg素地面強化効果は期待し難く、Ni含有量が
6wt%を超えると粒子構造が困難になる。このNi微粒子
分散のAg粒子は、NiとAgの溶湯を超急冷することで得ら
れるが、6wt%以上のNiを固溶することは困難なのであ
る。
複合粒子におけるAg・Niの複合化の適切な形態は、以
下の二つである。
第1の形態は、第1図(a)、(b)にみるように、
複合化Ni3が、純Ag粒子1あるいはNi微粒子2分散のAg
粒子1′の表面を覆うNi層を形成するという形態であ
る。
第2の形態は、第2図にみるように、Ni微粒子2分散
のAg粒子1′が結晶粒界を有しており、複合化Ni3′が
結晶粒界に存在するという形態である。結晶粒界を覆っ
てしまうほどにNiが存在することが望ましい。
つぎに、Ag粒子とNi粒子の機械的複合化処理を行う処
理装置の説明を行う。処理装置として、第3図に示すよ
うな高速・高剪断型ミル(例えば、(株)ホウカワミク
ロン製のメカノフュージョンシステム用オングミル)が
用いられる。
第3図の処理装置20は、モータ(図示省略)により高
速回転可能なドラム(円筒容器)21を備え、同ドラム21
内側に固定アーム22で支持されたれたセラミック(例え
ば、硬質アルミナ)製半円柱状固定部材23が設けられた
構成である。固定部材23は半円柱周曲面(曲面)23aを
ドラム内面21aに臨ませた状態で固定されており、ドラ
ム21の回転中、不動の半円柱周曲面23aの前をドラム21a
内面が移動してゆく。この半円柱周曲面23aの曲率半径
はドラム内面21の曲率半径よりも小さい。
複合化処理を行う場合、ドラム21内にAg粒子およびNi
粒子を(必要に応じて加えられる媒体剤用ビーズと一緒
に)投入するとともにドラム21内を不活性ガス雰囲気と
しドラム21を高速回転させる。そうすると、第4図にみ
るように、Ag粒子およびNi粒子が遠心力でドラム内面21
aに押し付けられ、ドラム21と一緒に回転して、半円柱
周曲面23aの前側領域(A−B間)でAg粒子およびNi粒
子が強い圧縮力、剪断力を受け発生する熱も伴って複合
化される。媒体用ビーズ(例えば、粒径1mm前後のジル
コニアビーズ)を併用する場合、Ni粒子はまずビーズに
付着してからAg粒子に付着することになる。このよう
に、市販の処理装置で容易に複合粒子を作ることができ
る。
ドラムの回転速度は500〜2000回/分程度である。半
円柱周曲面23aとドラム内面21aの間隔dは、通常、1〜
5mm程度である。
処理開始当初、第5図(a)にみるように、弱い凝集
状態にあったNi粒子30は、ドラム21回転に伴い1次粒子
化され、その後、第5図(b)にみるように、Ag粒子1
(1′)表面にNi粒子が付着し、処理が進むと、第5図
(c)にみるように、Ni粒子30が規則正しく配列したオ
ーダードミクスチャー状態となる。さらに、処理が進む
と、強い圧縮力と剪断力および発生する熱の作用で、第
5図(d)にみるように、複合化Ni3がAg粒子1
(1′)表面を覆うNi層を形成する。Ni層が形成される
までの処理時間は、通常、15〜70分程度である。
そして、発明者らは、Ag粒子1′(Ni微粒子分散のAg
粒子)の場合、適当な結晶粒界を有しておれば、処理を
さらに続けると複合化Niが結晶粒界に入ってゆくことを
見出している。すなわち、第6図(a)にみるように、
Ag粒子1′の表面を覆った複合化Ni3は、結晶粒界のす
べり・回転に伴い、第6図(b)にみるように、結晶粒
界に侵入し、処理が進行するにつれて、第6図(c)に
みるように、粒界に沿って均一に分散し結晶粒界に複合
化Ni3′が存在した状態になる。この状態となるまでの
処理時間は、通常、60〜120分程度である。なお、Ag粒
子1′表面に複合化Niが一部まだ残留しており、複合化
NiがAg粒子1′表面および結晶粒界の両方に存在した状
態で処理を終えてもよい。Ag粒子の結晶粒の適当な平均
粒径は、2〜50μm程度である。前述のNiを1〜6wt%
の量含むAg溶湯を超急冷(例えば、水によるアトマイ
ズ)して得たAg粒子1′だと平均粒径5〜30μmの結晶
粒が出来ている。
一方、純Ag粒子1の場合、第7図(a)〜(d)にみ
るように、純Ag粒子1の表面にNi粒子30が付着し、その
後、さらに機械的複合化処理が進むと、第7図(e)に
みるように、複数の純Ag粒子1同士がくっつき、さら
に、第7図(f)にみるように、Ni粒子30を内に取り込
んだ融合体10になり、最終的に十分な量の微細なNi粒子
30が分散した複合粒子1″が造粒される。この複合粒子
1″の場合、普通、平均粒径0.01〜5μm以下のNi粒子
30を使うようにする。
従来、成形前にAg粒子およびNi粒子はV状ミルで混合
するが、粒子は撹拌混合されるだけで複合化されるわけ
ではなく、混合状態を微細にみるとAg粒子とNi粒子は個
々に分離した状態である。
上記のようにして得た複合粒子を加圧成形して成形体
を得る。
つぎに、成形体の焼結工程に入る。この焼結工程で
は、通常、成形体に対し〔焼成→熱間圧縮〕を施す処理
を2〜3回繰り返すことにより焼結体化する。
焼結した後、引き伸ばし工程に入る。この引き伸ばし
工程では、焼結体を熱間押し出しした後さらに伸線す
る。
引き伸ばし工程を経た接点材料は、第1図(a)の複
合粒子を用いた場合だと、第8図にみるように、Ag素地
40中のNi41は伸線方向に細長く引き伸ばされた状態で存
在する。第1図(b)の複合粒子を用いた場合も、第11
図にみるように、Ag素地40中にNi41が伸線方向に細長く
引き伸ばされた状態で存在し、その間にNi微粒子42が分
散することになる。
引き伸ばしは、普通、〔引き伸ばし前の断面積〕/
〔引き伸ばし後の断面積〕が150以上となるように行
う。
伸線した後、伸線方向と直角の方向に寸断し、その切
断面を接点面にする。普通、切断してから、第9図また
は第12図にみるように、リベット加工を施し電気接点5
0、50′にする。
第8図の接点材料の場合、Ag素地40中にNiが繊維状な
いし帯状で接点面(切断面)に対し交差する方向に配向
分散しており、接点面では、第10図にみるように、繊維
状のNiはドット状Ni41′として露出しており、帯状のNi
は線状Ni41″として露出している。
第11図の接点材料の場合、Ag素地40中にNiが繊維状な
いし帯状で接点面(切断面)に対し交差する方向に配向
分散するとともにその間にNi微粒子が分散しており、接
点面では、第13図にみるように、繊維状Niはドット状Ni
41′として露出しており、帯状のNiは線状Ni41″として
露出するとともにその間にNi微粒子42が顔を出してい
る。ドット状Ni41′および線状Ni41″は元々Ag粒子表面
のNi層を形成しており、そのためにミクロには分断され
たりしているが、マクロには環状に繋がっていて、第1
0、13図にみるように、接点面に網目様のNi部分を現出
させている。このように接点面に網目様にNi部分が現出
している場合は、耐溶着性・耐消耗性等の面で有利であ
ると考えられる。これは、Ag素地の損傷を各環状Ni内側
で留められ接点面の劣化進行が抑えられると推察される
からである。
Ag粒子表面を覆っていたNi層の細く裂けた部分は、引
き延ばされて繊維状となり、裂けなかった部分は引き延
ばされて帯状となるのである。繊維状ないし帯状のNiの
径・幅はNi層の厚み・引き伸ばしの程度で決まるが、1
μm未満の平均径あるいは1μm未満の平均幅であるこ
とが好ましい。また、Ni微粒子42は平均粒径0.5μm以
下であることが好ましい。このNi微粒子42は、Ag粒子
1′内に平均粒径1μm未満のNi微粒子として予め分散
しているものである。繊維状、帯状の両方が存在してい
る必要はなく、いずれか一方だけがある状態でもよい。
この発明の製造方法で得られる接点材料は、第10図、
第13図に示す構成に限らないことは言うまでもない。例
えば、複合粒子1″を使う場合はNiは殆ど繊維状で分散
することになる。
〔作用〕
請求項1記載の接点材料の製造方法によれば、固定部
材がドラム内で固定されているので、固定部材の曲面は
ドラム内周面に対して一定の間隔を保つようになってい
る。ドラム内周面を回転させると、ドラム内のAg粒子と
Ni粒子は、遠心力でドラム内周面に押し付けられて一緒
に回転し、固定部材の曲面上を通過する。この通過時
に、両粒子は、固定部材の曲面とドラム内周面とで挟ま
れる。このとき、固定部材の曲面とドラム内周面との間
隔は自由に広がらず、両粒子に強い圧縮力と剪断とが作
用する。このため、複合化を短時間に行うことができ
る。こうして得られた複合粒子では、十分な量のNiが個
々のAg粒子に予め分かち与えられている。この複合粒子
を焼結させて得られる接点材料では、十分な量のNiが局
在せずに微細な状態で満遍なく存在し、内部に空隙がほ
とんどあるいは全く存在しないため、耐溶着性が向上す
る。
請求項2の場合、個々のAg粒子表面のNi層が十分な量
と偏りのないNi分散状態を作り出す。
請求項3の場合、Ag粒子に予め分散しているNi微粒子
がAg素地をさらに強化する。特に、Ni微粒子の量が1〜
6wt%であって、同Ni微粒子の平均粒径が1μm未満で
ある場合、Ni微粒子による強化効果が顕著である。
請求項4の場合、Ag粒子が内部に結晶粒界を有してお
り、複合粒子はNi粒子が結晶粒界に存在しているため、
よりNiが満遍なく分散するようになり、耐溶着性が一層
向上することが期待できる。
請求項5のように、複合粒子の総Ni量が6〜20wt%で
ある場合、Ni量が適切であり、顕著なNi添加効果が確実
にあらわれる。
〔実 施 例〕
以下、この発明の実施例を説明する。この発明は下記
の実施例に限らない。
−実施例1− まず、Ni微粒子分散のAg粒子を、以下のようにして得
た。AgおよびNiを高周波炉で一緒に溶解し1650℃の溶湯
を吊り、これをノズルより噴出させ高圧水により水アト
マイズした。得られたAg粒子は、平均粒径が40μm、Ni
含有量が5.2wt%である。
このAg粒子と平均粒径1μmのNi粒子をNi総含有量が
10wt%となるように秤量し、前述の高速・高剪断ミルを
用い、ドラム内をArガス雰囲気とし媒体剤として平均粒
径約1mmのジルコニアビーズを使い、3000秒処理し、複
合粒子を得た。
複合粒子の外観(粒子構造)を第14図に、粒子断面
(金属組織)を第15、16図に示す。第14〜16図は、走査
型電子顕微鏡による写真であって、第14、15図は2次電
子線(SEM像)写真、第16図は特性X線(NiKα像)写真
である。特に、第16図をみると、Ag粒子は、内部に平均
粒径1μm未満のNi微粒子が分散しており、表面に複合
化NiによるNi層が出来ていることがよく分かる。
つぎに、複合粒子を加圧成形(30kgf/mm)し成形体を
得た。
ついで、850℃・2時間の焼成→420℃・90kgf/mmの熱
間圧縮を3回繰り返し焼結体を得た。なお、1回目の焼
成は真空雰囲気、2・3回目の焼成は窒素雰囲気で行っ
た。
続いて、焼結体予熱温度800℃、金型温度420℃で熱間
押し出しして直径8mmまで延ばした後、さらに伸線し直
径2mmにした。伸線した接点材料の長手方向に沿った断
面状態を、第17、18図に示す。第17、18図は、走査型電
子顕微鏡による写真であって、第17図は2次電子線(SE
M像)写真、第18図は特性X線(NiKα像)写真である。
第17、18図より、Ag粒子表面のNi層部分が伸線方向に細
長く引き延ばされて薄くなっており、その間に多数のNi
微粒子が分散していることがよく分かる。伸線の後、伸
線方向と直角の方向に寸断してからリベット加工を施
し、接点性能評価用のリベット接点を得た。
−実施例2− Ag粒子の平均粒径が380μmであり、Ni粒子の平均粒
径が0.02μmである他は、実施例1と同様にして接点材
料を得た。
なお、複合粒子の外観(粒子構造)を第19図に、断面
(金属組織)を第20、21図に示す。第19〜21図は、走査
型電子顕微鏡による写真であって、第19、20図は2次電
子線(SEM像)写真、第21図は特性X線(NiKα像)写真
である。特に、第21図をみると、Ag粒子は、内部にNi微
粒子が分散しており、表面に複合化NiによるNi層が形成
されていることがよく分かる。
−実施例3− Ag粒子の平均粒径が10μm、Ni含有量が3.1wt%であ
り、Ni粒子の平均粒径が0.02μmであり、Ni総含有量が
20wt%となるようにした他は、実施例1と同様にして接
点材料を得た。
−実施例4− Ag粒子の平均粒径が200μm、結晶粒平均粒径が10μ
m、Ni含有量が3.1wt%であって、Ni粒子に平均粒径0.2
μmのものを使い、Ni総含有量が15wt%となるようにす
るとともに、複合化処理時間を6200秒とし結晶粒界を複
合化Niで覆うようにした他は、実施例1と同様にして接
点材料を得た。
−実施例5− Ag粒子にNi微粒子を含まない平均粒径1μmの純Ag粒
子を使い、Ni粒子に平均粒径0.02μmのものを使って、
Ni総含有量が6wt%となるようにした他は、実施例1と
同様にして接点材料を得た。
−比較例1− 実施例1のAg粒子をNiを複合化させずそのまま使って
成形体を作った後は、実施例1と同様にして接点材料を
得た。
−比較例2− 平均粒径45μmの電解Ag粒子と平均粒径5μmのカル
ボニールNi粒子(粉)とを混合し成形体を得た後は、実
施例1と同様にして接点材料を得た。なお、Ni含有量は
10wt%である。
実施例1〜5および比較例1、2のリベット接点につ
いて、ASTM試験により耐溶着特性、消耗特性を調べた
(サンプル数N=3)。試験条件は下記の通りである。
試験結果を、第1表に示す。
負荷: 抵抗負荷 電圧: 100V 電流: 40A 開閉回数: 5万回 実施例1、比較例1の接点材料について、高温硬度の
測定を行った。測定結果を、第22図に示す。また、実施
例1〜5および比較例2の接点材料の接点面における繊
維状ないし帯状のNiの平均粒径ないし平均幅を調べ、実
施例1、3、4については、Ni微粒子の平均粒径も調べ
た。
第1表にみるように、実施例の接点材料は、良好な耐
消耗性を持ちながら比較例のものよりも耐溶着性に優れ
るものになっている。
第22図にみるように、実施例1の接点材料は比較例1
のものに比べ高温硬度が高くなっており、耐溶着性の向
上を裏付ける測定結果である。
接点面での繊維状ないし帯状のNiの平均粒径あるいは
平均幅は、実施例1、3、4、5の接点材料では1μm
未満、実施例2の接点材料では3μmであった。一方、
比較例2の接点材料では5μmであった。実施例の接点
材料の方がNiが微細な状態で分散しており、耐溶着性の
向上を裏付ける測定結果である。なお、実施例1、3、
4の接点材料のNi微粒子の平均粒径は0.5μm以下であ
った。
〔発明の効果〕
請求項1から5までに記載の接点材料の製造方法によ
れば、複合化により個々のAg粒子に十分な量のNiが予め
分かち与えられている複合粒子が得られ、この複合粒子
を焼結してなる接点材料では、十分な量のNiが微細に満
遍なくAg素地中に分散することとなる。このため、この
方法によれば、耐溶着性に富む優れたAg−Ni接点材料を
容易に得ることができる。
請求項2記載の方法の場合は、複合化NiがAg粒子表面
のNi層として分かち与えられ、これにより、十分な量の
Niが微細に満遍なくAg素地中に確実に分散してくれる。
請求項3記載の方法の場合は、Ag粒子の内部に予め分
散しているNi微粒子がAg素地を余すところなく強化する
ため、より耐溶着性が向上するようになる。しかも、Ni
微粒子の粒径および含有量が適切であるため、同Ni微粒
子による強化作用が顕著で確実である。
請求項4記載の方法の場合は、複合化NiがAg粒子の結
晶粒界に存在しているため、よりNiが満遍なく分散し、
耐溶着性の一層の向上が期待できる。
請求項5記載の方法の場合は、総Ni量が適切であるた
め、Ni添加効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の方法で使う複合粒子の一例をあら
わす概略断面図、第2図は、この発明の方法で使う複合
粒子の一例の内部状態をあらわす説明図、第3図は、こ
の発明の方法で使う複合粒子を作る装置の要部構成をあ
らわす概略断面図、第4図は、同装置の機械的複合化処
理中の状態をあらわす説明図、第5〜7図は、複合化処
理の進行に伴う粒子変化を進行順にあらわす説明図、第
8図および第11図は、この発明の接点材料の伸線方向に
沿う断面でのNiの分散状態をあらわす説明図、第9図お
よび第12図は、この発明の接点材料を用いたリベット接
点をあらわす平面図、第10図および第13図は、上記リベ
ット接点の接点面におけるNiの露出状態をあらわす説明
図、第14図は、実施例1の複合粒子の粒子構造をあらわ
す電子顕微鏡写真、第15図および第16図は、同複合粒子
断面の金属組織をあらわす電子顕微鏡写真、第17図およ
び第18図は、実施例1の接点材料の断面の金属組織をあ
らわす電子顕微鏡写真、第19図は、実施例2の複合粒子
の粒子構造をあらわす電子顕微鏡写真、第20図および第
21図は、同複合粒子断面の金属組織をあらわす電子顕微
鏡写真、第22図は、実施例1および比較例1の接点材料
の高温硬度特性をあらわすグラフである。 1、1′……Ag粒子、1″……複合粒子、20……Ni微粒
子、3……Ni層(複合化Ni)、20……機械的複合化処理
装置、21……ドラム、21a……ドラム内面、23……固定
部材、23a……半円柱周曲面(曲面)、30……Ni粒子、4
0……Ag素地、41……(分散)Ni、42……Ni微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮南 啓 大阪府堺市百舌鳥西之町1―98―2 (72)発明者 谷村 眞治 大阪府河内長野市南青葉台27―10 (56)参考文献 特開 昭63−238230(JP,A) 特開 昭61−279644(JP,A) 特開 昭60−251236(JP,A) 特開 平1−180901(JP,A) 特開 平3−277763(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転可能なドラム内周面に臨む曲面を有す
    る固定部材を収容したドラム内にAg粒子とNi粒子とを投
    入して、次いでドラムを回転させて、両粒子に対し固定
    部材の曲面にて圧縮及び剪断を施すことでもって複合化
    した複合粒子を焼結する、接点材料の製造方法。
  2. 【請求項2】前記複合粒子は、Ni層が前記Ag粒子の表面
    を被覆しているものである、請求項1記載の接点材料の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記Ag粒子はNi微粒子が分散したものであ
    って、Ni微粒子の量が1乃至6wt%であってかつNi微粒
    子の平均粒径が1μm未満である、請求項1または2記
    載の接点材料の製造方法。
  4. 【請求項4】前記Ag粒子は内部に結晶粒界を有するもの
    であって、前記複合粒子は前記Ni粒子が結晶粒界に存在
    しているものである、請求項1から3までのいずれかに
    記載の接点材料の製造方法。
  5. 【請求項5】前記複合粒子は、総Ni量が6乃至20wt%で
    あるものである、請求項1から4までのいずれかに記載
    の接点材料の製造方法。
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