JP2613457B2 - 射出成形用バインダーの除去方法 - Google Patents

射出成形用バインダーの除去方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属部品を射出成形法で製造する技術に関
するものであり、比較的に酸素含有量の高い金属粉末を
使用しても、焼結体密度が高く機械的特性に優れ、さら
に、均質な組織を持つ金属部品を製造できる方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
従来、金属粉末原料に数種類の有機バインダーを配合
・混練することにより、金属粉末に粘弾性を付与した金
属組成物を調製し、これを通常の射出成形により所定の
形状に成形し、得られたグリーン成形体を脱脂すること
により有機バインダーを除去した後に焼結して金属製品
を製造することは良く知られている。この金属射出成形
法は、他の金属加工法、例えば機械加工法、粉末プレス
法、ロストワックス法、プレス加工法等と比較すると、
複雑形状の部品を精度良く多量に生産することができ、
しかも、仕上げ機械加工がほとんど必要としないのでコ
スト的にも有利な方法である。また、使用する金属粉末
が比較的に微細であることから焼結性がよく、そのた
め、プレス成形品と比較すると焼結体密度や機械的特性
が優れているので非常に有利な方法である。
金属粉末にレオロジー性を付与するための射出成形用
バインダーとしてはポリエチレン,ポリプロピレン,ア
タックティックポリプロピレン,ポリスチレン,エチレ
ン,酢酸ビニル共重合体,エチレン・エチルアクリレー
ト共重合体,メタクリル酸エステル共重合体等の熱可塑
性樹脂を主成分とするもの、あるいはパラフィンワック
ス,マイクロクリスタリンワックス,モンタンワック
ス,カルナバワックス等のワックス類を主成分にするも
の、あるいは、上記の熱可塑性樹脂とワックスとを組合
わせて使用するのが一般的である。これらの主バインダ
ーは結合材として使用され、この他に可塑剤、潤滑剤、
界面活性剤、あるいは昇華物質等の脱脂促進剤等を任意
に組合わせて使用される。可塑剤としては、ジブチルフ
タレート等のフタル酸エステル類、あるいはステアリン
酸アミド等の脂肪酸エステル類が使用され、潤滑剤とし
ては、オレイン酸等の脂肪族、あるいはワックス類等が
使用され、界面活性材としては、イオン系・非イオン系
界面活性材、あるいはカップリング剤が使用され、脱脂
促進剤としては、樟脳等の昇華物質、あるいは軽質油等
の低揮発成分が使用されるのが一般的である。
上記のバインダー類を任意に組合わせ、金属粉末と配
合・混練した後、射出成形して得られたグリーン成形体
中のバインダーは脱脂工程で除去されるが、通常、加熱
によりバインダーを蒸発、熱分解、あるいは雰囲気ガス
と反応させて除去される。例えば、金属粉末としてステ
ンレスを使用した場合、常圧または加圧状態で雰囲気を
不活性にすることにより、金属粉末の酸化を防ぎながら
徐々に加熱して、バインダーを蒸発、あるいは熱分解さ
せることにより脱脂し、最終的に少量のバインダーを残
すことにより脱脂体の保形成をもたせるようになされて
いた。得られた脱脂体は通常の粉末冶金における焼結方
法、例えば真空焼結、あるいは水素雰囲気下焼結等を使
用して焼結されていた。
しかしながら、金属射出成形に使用される金属粉末
は、通常平均粒子径が20μm以下の微粉末を使用するこ
とから、水アトマイズ法によって得られた金属粉末を使
用することが多い。これらの金属粉末は、金属粉末の製
造工程中において酸素と反応するため酸素含有量が多
く、金属粉末表面が酸化され金属酸化物の被膜が形成さ
れている。
したがって、真空雰囲気下での焼結ではピンホールが
生じたり、酸化物がそのまま残留したりするので、焼結
体密度が低く、機械的特性に劣るという欠点があった。
また、水素雰囲気下で焼結を行っても、鉄、ニッケル等
とその合金中の酸化物は容易に還元されるが、クロム酸
化物等の難還元性物質を含む鉄系合金、例えばステンレ
ス中の酸化物の還元には、露点の非常に低い高純度の水
素を使用しても、完全に還元できないという欠点があっ
た。したがって、金属射出成形において、出来るだけ金
属粉末を酸化させないように各工程を管理しなければな
らず、特に、加熱を必要とする脱脂工程では出来るだけ
酸素が存在しない雰囲気にする必要がある。特に、クロ
ム等の難還元性物質を含む鉄系合金の場合は、大気雰囲
気下での脱脂は難しいとされていた。したがって、この
ような場合、雰囲気調整ができる高価な脱脂炉が必要に
なり、また不活性雰囲気中で90%以上の脱脂率を得るた
めには脱脂温度を高くしなければならず、そのために脱
脂のサイクルタイムが長くなりコスト面で問題があっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従来の金属粉末射出成形法における脱脂方
法では良好な特性を持つ焼結体が得られない点に鑑みて
なされたものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、金属射出成形に使用される金属粉末が酸素
を多量に含有することから、その含有する酸素量を分析
し、その酸素を MeO+C→Me+CO の反応を利用して除去するのに十分な炭素を射出成形用
バインダーの熱分解等の反応から生成する炭素から得、
さらに得られた炭素を脱脂体中に均質に分散できるよう
に、主バインダーより残炭素率の高い樹脂を適切に配合
・混練し、さらに、射出成形後のグリーン成形体からバ
インダーを大気雰囲気下で除去するに当たって、残炭率
の高い樹脂の蒸発・分解・酸化開始温度以下で主バイン
ダーを脱脂し、昇温速度、脱脂保持温度、脱脂保持時間
等の脱脂条件を最適化することを特徴とし、しかる後に
焼結することにより酸素を除去し、ピンホールが少なく
機械的特性に優れた金属焼結体が得られるようにしたも
のである。
本発明の脱脂方法について以下に詳述する。
金属射出成形に使用される金属粉末は平均粒子径が20
μm以下のものが使用されているが、5〜10μmの微粉
末を使用することが通常多い。したがって、アトマイズ
法によって製造された粉末を使用する場合が多く、特
に、粒子径及びコストの面で水アトマイズ法によるもの
が多く使用される。この方法は、溶融金属に高圧の水を
吹き付けることにより、溶融金属を微粒化して金属粉末
を得る方法であるが、溶融金属と水が反応を起こし、主
に、金属粉末表面に酸化被膜が形成する。上記のように
これらの微粉末は、通常のプレス成形に使用される金属
粉末よりかなり細かく比表面積が大きくなるので含有酸
素量も多くなる。例えば、通常のプレス用のSUS−316L
粉末中の酸素含有量は、0.1〜0.2%程度であるのに対
し、水アトマイズ法による3社のSUS−316L粉末の場合
は各々0.333%,0.614%,1.34%であった。
これらの金属粉末を使用して焼結した場合、通常の真
空焼結、あるいは水素雰囲気焼結では酸化被膜の還元が
不十分であるため焼結体特性が劣る。しかしながら、前
述の反応は熱力学的に水素還元より有利であるので、金
属粉末中に炭素が存在すれば酸化被膜の還元は十分に可
能である。酸化被膜を還元除去するために必要とされる
炭素量は、化学当量的には重量で酸素重量の75%あれば
よいことになるが、実際の還元では計算量より過剰の炭
素が必要である。ステンレスの場合、焼結体中に含有さ
れる炭素量が多くなると金属の炭化物を生成し耐食性を
損なうので、脱脂体中に含有される炭素量は必要最小量
にすることが望ましいが、焼結雰囲気を水素とした場合
には、炭素をハイドロカーボンの形で除去出来るので、
ある程度過剰でもよい。しかし、炭素量が多くなると状
態図から見てステンレスの融点が下がり、焼結温度の制
御が難しくし、また、焼結体特性も劣ることから、脱脂
体中の炭素量は還元に必要な化学当量より20〜40%程度
多くなるように制御することが望ましい。上記のように
水アトマイズ法による金属粉末中には、通常、0.1〜1.5
%程度の酸素が含有されており、時には3%以上も含有
されている金属粉末もある。したがって、酸素を還元除
去するために必要とされる炭素量は4%程度まで自由に
制御しなければならない。
脱脂体中に炭素を残す方法はいくつかあり、例えば、
金属粉末に人造黒鉛を添加したり、あるいは、金属粉末
中に予め炭素を固溶させる方法等がある。しかしなが
ら、炭素の分散、還元性あるいはコスト等の点で一長一
短がある。本発明の方法は、金属粉末中に混合・混練す
る有機バインダーが脱脂工程に伴う熱処理によって蒸
発、熱分解、あるいは雰囲気ガスと反応する際に、残留
炭素が生じるような脱脂条件により炭素量を制御するも
のである。脱脂体中の残留炭素量は、昇温速度脱脂保持
温度及び脱脂保持時間等の脱脂条件で制御できるが、脱
脂体中の炭素の分布状態、脱脂雰囲気によって異なり、
その制御も難しい場合が多い。例えば、平均粒子径10μ
m,酸素含有量0.614%のSUS−316L粉末とエチレン・酢酸
ビニル共重合体とメタクリル酸エステル共重合体を主成
分とするバインダーを使用し7×7×70mmの試験片を射
出成形し、脱脂後の残留炭素が0.6〜0.65%程度になる
ような条件脱脂した場合の大気雰囲気と常圧窒素雰囲気
における脱脂体中の酸素、炭素の分散状態を第2図に示
す。この図から分かるように、窒素雰囲気下では還元に
必要とされる炭素が脱脂体全体に分散しているが、大気
雰囲気では、酸素、炭素とも分布を持っており、特に、
表面付近では炭素が少なくなっている。したがって、表
面付近では十分に還元が進まないので酸化物やピンホー
ルが焼結体中に残る。また、外周部と中心部との間で焼
結温度に差が生じるため焼結体の寸法精度を悪くする原
因にもなる。
以上のことから、本発明では混練時に主バインダーの
他に残炭率の高い樹脂を添加し、射出成形によって得ら
れたグリーン成形体を大気雰囲気下で脱脂する工程にお
いて、残炭率の高い樹脂の蒸発・分解・酸化開始温度以
下で主バインダーを脱脂することを特徴としている。こ
の方法によれば酸素の還元に必要な炭素が均質に分散し
た状態の脱脂体が得られる。例えば、上記のステンレス
粉末とバインダーにフェノール・ホルムアルデヒド樹脂
を添加した場合の脱脂体中の酸素、炭素の分散状態は、
第1図に示すように、酸素の還元に十分な炭素が均質に
分散していることが分かる。
大気中の脱脂処理は、従来の脱脂処理技術、例えば、
常圧不活性雰囲気、あるいは加圧不活性雰囲気と比較す
ると、脱脂温度を150〜250℃低くすることができる。こ
れはバインダーが蒸発・分解する以外に酸化反応が生じ
ているためである。したがって、通常使用されているバ
インダーより蒸発・分解・酸化開始温度が高く、また残
炭率の高い樹脂を使用することが出来る。このような樹
脂としては、熱硬化性樹脂が適当であるが、残炭率が高
い樹脂、例えばノボラック型のフェノール樹脂でもよ
い。熱硬化性樹脂としては、フェノールホルムアルデヒ
ド樹脂等のフェノール樹脂,ポリフェニレンエーテル等
のポリフェニレン樹脂,フリフリルアルコール樹脂等の
フラン樹脂、不飽和ポリエステル,エポキシ樹脂,フェ
ノール・フルフラール樹脂等のフルフラール樹脂,メラ
ミン樹脂等のアミノ系樹脂等が代表的である。これらの
樹脂は、第3図及び第4図に示すように、メチロール基
を含むフェノール・ホロムアルデヒド系樹脂,3−メチル
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂,ジメチルフェニレ
ン樹脂,ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェレン
樹脂等の熱硬化性樹脂は、パラフィンワックス,エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体及びメタクリル酸エステル共重
合体等の熱可塑性樹脂より大気雰囲気下における蒸発・
分解・酸化開始温度が高い。したがって、これらの樹脂
を蒸発・分解・酸化せずに主バインダーを脱脂すること
が可能である。例えば、第1図に示した例では、脱脂等
の昇温速度15℃/Hr,脱脂保持温度280℃にした場合の脱
脂保持時間と残留炭素量の関係を求めると第5図のよう
になり、脱脂保持時間を4Hrにすることにより、残留炭
素量を0.64%にすることが出来る。このようにして得た
脱脂体を焼結すると、酸素の還元が十分に進み、ピンホ
ールが少ない均質な組織を持ち、機械的特性等優れる焼
結体を得ることが出来る。
残炭率の高い樹脂の添加量は、使用する金属粉末中の
酸素量によって異なるが、基本的には実際の還元に必要
とされる炭素量の50%以上を残炭率の高い樹脂から供給
されるように添加することが望ましい。例えば、酸素含
有量1.34%のSUS−316L粉末を使用した場合、還元に必
要な炭素量を1.3%とし、このうち70%を不活性雰囲気9
00℃における残炭率が60%のフェノール・ホルムアルデ
ヒド樹脂から得るとすると、その添加量は1.5%とな
る。この条件で脱脂体中の残留炭素量が1.3%になるよ
うな条件で脱脂すると均質な炭素分布を持つ脱脂体が得
られる。しかし、還元に必要な炭素量の30%を上記の樹
脂から得ようとすると、その添加量ば0.65%であり、こ
の場合の脱脂体中の炭素量は、還元に必要とされる量が
確保されているが、炭素の分布は大きかった。
熱硬化性樹脂は、加熱、照射等のエネルギーを与える
ことにより、ポリマー中にある未反応官能基を反応させ
てポリマー間の橋かけによる分子構造の三次元化を行
い、ポリマーを不溶性にする性質がある。したがって、
熱硬化性樹脂を使用する場合、硬化開始温度以下で混練
や射出成形出来るようなバインダー配合を行う方が成形
上のトラブルが少ない。一方、ノボラック型のフェノー
ル樹脂は、パラトルエンスルホン酸やメチレンテトラア
ミン等の硬化剤を添加しなければ、多少残炭率が低下す
るが、熱可塑性樹脂として使用できるので、成形上のト
ラブルは少ない。
〔作用〕
以上述べたように本発明は、比較的酸素含有量が高い
金属粉末を使用した射出成形における混練工程において
残炭率が高い樹脂を添加し、さらに大気雰囲気下の脱脂
工程において、残炭率が高い樹脂の蒸発・分割・酸化開
始温度以下で主バインダー脱脂し、昇温速度、脱脂保持
温度及び脱脂保持時間を制御することにより、酸素の還
元に必要な炭素を脱脂体中に均質に分散させることが出
来るので、酸化物やピンホールが少ない良好な組織を持
つ高密度焼結体を得ることができ、機械的特性や電磁気
的特性の優れた複雑形状金属焼結部品を得ることが出来
る。
〔実施例〕
(実施例1) 平均粒子径が10μmで酸素含有量が0.614%の水アト
マイズ法で製造されたSUS−316L粉末と有機バインダー
として、エチレン・酢酸ビニル共重合体とメタクリル酸
エステルを主成分とするバインダーと、残炭率が高い樹
脂としてレゾールタイプのメチロール基を含むフェノー
ル・ホルムアルデヒド樹脂とをニーダーにて120℃,30分
間混練し、その後ペレット化して射出成形材料とした。
使用したフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の900℃,
不活性雰囲気下における残炭率は70%であり、酸素の還
元に必要とされる炭素量の70%を上記の樹脂から得るた
めに、その添加量を0.6%とした。また、この樹脂はメ
チロール基に含有しているために主バインダーとの相溶
性が良好であり流動性に優れる射出成形材料を得ること
が出来る。バインダー全体の添加量は上記の樹脂を含め
て10.5部とした。射出成形機はスクリュー式のものを使
用し、射出温度120℃,射出圧力1000Kg/cm2,射出時間0.
4〜0.6秒の条件下で概略寸法(35mmФ−20mmФ)×6mm
tの輪状複雑部品と7mm×7mm×70mmの試験片とを射出成
形した。
脱脂処理は、大気雰囲気下で280℃まで15℃/Hrの昇温
速度で加熱し、その後、一定時間280℃に保った。この
脱脂保持時間と脱脂体中の残留炭素量の関係を求めた。
その結果から、酸素の還元に必要な炭素量を化学当量の
1.3倍に当たる0.6%になる脱脂保持時間は、輪状複雑部
品で3.5時間,試験片で4.5時間であった。脱脂後、得ら
れた脱脂体を最高焼結温度1330℃,その時の雰囲気を水
素として焼結した。
得られた焼結体中の酸素量は、輪状複雑部品、試験片
とも0.03〜0.05%であることから、残留炭素により酸素
の還元が十分進んでいた。また、炭素量も0.01%であ
り、JIS規格以内であった。焼結体の組織は、ピンホー
ルの少ない均質な組織であり、焼結体密度も7.83〜7.88
g/cm3と高密度であり、機械的特性も引張り強度53〜55k
g/mm2,伸び55〜60%と高い値を示した。輪状複雑部品の
X−Y軸方向の寸法精度は、サンプル数30個の場合、平
均値が29.330mm,標準偏差0.0365で3×(標準偏差)/
(平均値)の値が0.4%以下であった。
(実施例2) 平均粒子径が9μmで酸素含有量が0.91%のSUS−304
Lの水アトマイズ法によって製造された粉末と、実施例
1と同様のバインダーとヘキサメチレンテトラアミン等
の硬化剤を添加していないノボラック型のフェノール・
ホルムアルデヒド樹脂とを、ニーダーで135℃,30分間混
練し、その後ペレット化して射出成形材料とした。使用
したフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の900℃不活性
雰囲気下での残炭率は55%であり、酸素の還元に必要と
される炭素量の70%を上記樹脂から得るために、その添
加量を1.1%とした。バインダー全体の添加量は、上記
の樹脂を含めて11部として射出温度140℃で実施例1と
同様の条件下で射出成形を行った。脱脂条件と脱脂体中
の残留炭素量の関係を求めた後、脱脂体中の炭素量が化
学当量の1.4倍に相当する0.96%となるように脱脂条件
を設定して大気雰囲気下で脱脂した。しかる後、最高13
00℃,水素雰囲気下で焼結を行った。得られた焼結体中
の酸素量は、0.06%であり炭素量も0.015%であった。
焼結体密度は、7.82〜7.86g/cm3と高密度でありピンホ
ールの少ない良好な組織であった。機械的特性も引張り
強度54〜55kg/mm2,伸び60〜70%であった。また、塩水
噴霧テスト及び孔触発生電位等の耐食試験の結果、圧延
材と同程度の耐食性を示し、耐食性にも優れていること
が分かった。
(実施例3) 平均粒子径が8μmで酸素含有量1.5%のSUS−440Cの
水アトマイズ法によって製造された粉末と、実施例1と
同様のバインダーとポリフェニレンエーテル樹脂とを混
練し、実施例1と同様に射出成形した。ポリフェニレン
エーテル樹脂900℃,不活性雰囲気下の残炭率は80%で
あり、還元に必要とされる炭素量の70%を上記樹脂から
得るために添加量を1.58%とした。バインダー全体の添
加量は上記樹脂を含めて11.5部である。次に、脱脂条件
と脱脂体中の残留炭素量との関係を求めた後、脱脂体中
の残留炭素量が化学当量の1.5倍に相当する1.8%となる
脱脂条件下で脱脂を行った後、最高温度1230℃,水素雰
囲気下で焼結を行った。得られた焼結体中の酸素量は0.
09%となり、一方、炭素量は1.07%と、JIS基準以内で
あり、焼結体密度は7.52g/cm3であった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、比較的酸素量の多い金属粉末を使用
しても、最も廉価な方法である大気雰囲気下での脱脂が
でき、優れた組織と機械的特性を持つ金属焼結部品が得
られるため非常に有効である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明によるもので大気雰囲気下で脱脂した時
の酸素と炭素の分布状態を第2図にならって示したもの
である。第2図は従来技術の窒素常圧脱脂及び大気雰囲
気下で脱脂した場合の脱脂体断面の酸素と炭素の分布状
態を外周、中心とその中間部に分け示したものであり、
第3図及び第4図は金属射出成形で一般的に使用される
熱可塑性樹脂と本発明で使用可能な残留炭素量の高い樹
脂の大気雰囲気下における熱重量曲線を示したものであ
る。第5図は本発明によるもので、主バインダーにフェ
ール・ホルムアルデヒド樹脂を添加した時の脱脂体中の
残留炭素と脱脂保持時間の関係を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片桐 義雄 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイ コー電子工業株式会社内 (72)発明者 藤田 勝幸 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイ コー電子工業株式会社内 (72)発明者 荒井 英樹 東京都千代田区神田美土代町1番地 住 友セメント株式会社内 (72)発明者 木原 宏 東京都千代田区神田美土代町1番地 住 友セメント株式会社内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属粉末の射出成形法によ部品を製造する
    工程において、金属粉末と射出成形用有機バインダーと
    を混練する際、主バインダーの樹脂より残留炭素量が高
    い樹脂を添加して混練し射出成形を行い、得られた成形
    体を大気雰囲気下で脱脂する際に、残留炭素量の高い樹
    脂の酸化・分解開始温度下で主バインダーを脱脂し、脱
    脂保持温度、脱脂保持時間を変えることにより、上記金
    属粉末中に含有される酸素の還元に必要な量より多くの
    炭素を均質に残留させることを特徴とする射出成形用バ
    インダーの除去方法。
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