JP2613357B2 - 給湯器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、給湯器に関し、特に、
熱交換器の上流と下流との間を接続するバイパス流路を
備えた給湯器に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の給湯器においては、熱交換器の
コンパクト化が望まれており、熱交換器からの流出量が
小であっても、できるだけ多くの出湯量を得るために、
熱交換器の上流と下流との間にバイパス流路を設けるこ
とが知られている。該バイパス流路は、入水の一部を熱
交換器を通さずに出湯側に送り、熱交換器からの流出に
混入させることによって十分な出湯量を確保するもので
ある。

【０００３】しかし、バイパス流路の流出量が多過ぎる
と、所望する出湯温度を得るために熱交換器中の水が沸
騰する等の加熱異常が生じるおそれがある。バイパスの
流出量が少な過ぎると、バイパスとしての働きが無くな
り熱交換器を大きくしない限り十分な出湯量が得られな
い不都合がある。

【０００４】そこで、熱交換器中の水が異常加熱となる
ことを防止して、しかも、十分な出湯量を得るために
は、熱交換器からの流出量とバイパス流路からの流出量
とのバイパス比（熱交換器からの流出量を１としたとき
のバイパスの流出量の比）を０．２を上限としてその近
傍にすることが好ましい。

【０００５】しかし、入水温度が低過ぎる場合には、バ
イパス流路からの水温も低いためにそのぶん熱交換器中
の水への加熱が更に必要となる。これによって、高い出
湯温度を得ようとした場合には熱交換器中の水が異常に
加熱されて沸騰してしまう不都合がある。具体的には、
例えば、バイパス比０．２のバイパス流路を設けたもの
で、入水温度が０℃であるときに７５℃の出湯温度を得
ようとすると、熱交換器中の湯温は９０℃に達し、この
とき熱交換器中の水は部分的に沸騰してしまう。入水温
度が比較的高い温暖地においては、入水温度も比較的高
く、７５℃といった高温の給湯を行うことは稀である
が、特に、入水温度が比較的低い寒冷地では、風呂の差
し湯等のためにこのような高温の給湯が必要となる場合
がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】かかる不都合を解消し
て、本発明は、十分な出湯量が得られるバイパス流路を
設けると共に熱交換器における水の異常加熱を防止し
て、寒冷地での使用にも確実に対応することがきる給湯
器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、熱交換器の上流と下流との間に接続さ
れたバイパス流路が設けられ、該熱交換器からの流出量
と該バイパス流路からの流出量とのバイパス比が一定で
ある給湯器において、前記熱交換器に流入する水の温度
を検出する入水温度検出手段と、該熱交換器から流出す
る被加熱水と該バイパス流路から流出する水とから得ら
れる出湯の温度を設定する出湯温度設定手段と、該出湯
温度設定手段で設定された温度の出湯が得られるよう
に、該熱交換器への加熱量を制御する加熱量制御手段
と、前記出湯温度設定手段によって設定された温度が該
熱交換器中の水が異常加熱される温度であるとき、下記
の式に従って設定出湯温度を変更して前記加熱量制御手
段に指示し、加熱量を制限する加熱量制限手段とを設け
たことを特徴とする。 Ｔｓ：変更設定出湯温度，Ｔｘ：熱交換器中の水の異常
加熱発生温度， Ｔｉ：入水温度，ａ：バイパス比

【０００８】

【０００９】

【００１０】

【００１１】

【作用】本発明の給湯器は、前記出湯温度設定手段によ
って熱交換器とバイパス流路とから得られる出湯温度を
設定し、前記加熱量制御手段によって出湯温度が前記設
定温度となるように熱交換器への加熱量を制御する。

【００１２】そして、前記設定温度が、熱交換器中の水
が異常加熱される温度であるときには、前記加熱量制限
手段が、前記加熱量制御手段による加熱量を制限する。
ここで、熱交換器中の水が異常加熱されるような設定温
度とは、通常、この温度に設定したときに熱交換器中の
水が沸騰してしまうほどの高い温度であり、例えば、寒
冷地における風呂の差し湯のような、比較的高い温度の
出湯を要するときに設定される温度である。前記加熱量
制限手段は、このように設定温度が高過ぎたときに、熱
交換器中の水の沸騰を防止する。

【００１３】該加熱量制限手段は、設定温度が高過ぎて
熱交換器中の水が沸騰するおそれのあるとき、その設定
温度を変更する。これにより、前記加熱量制御手段は、
出湯温度が変更された設定温度となるように熱交換器へ
の加熱量を制御する。

【００１４】また、熱交換器中の湯温と入水温度とバイ
パス比との関係は次式によって示される。

【００１５】 Ｔｘ＋ａ×Ｔｉ＝（１＋ａ）×Ｔｓ ……（１） ここで、Ｔｘは熱交換器中の湯温、ａはバイパス比、Ｔ
ｉは入水温度、Ｔｓは設定温度である。バイパス比が一
定であるのでＴｘはＴｓとＴｉとによって定められる。

【００１６】 従って、入水温度Ｔｉにおいて熱交換器中の湯温Ｔｘが
異常加熱温度とならないように設定温度Ｔｓを変更す
る。

【００１７】即ち、前記出湯温度設定手段の設定温度が
熱交換器中の水が異常加熱される温度となる場合に、前
記加熱量制限手段は（２）式によって求めた設定温度Ｔ
ｓを変更後の設定温度として加熱量制御手段に指示す
る。これによって、設定温度が高過ぎたときに、前記出
湯温度設定手段が設定温度を下げて、熱交換器中の水の
沸騰を防止する。

【００１８】

【実施例】本発明の給湯器の一例を図１乃至図３を参照
して説明する。図１は本実施例の給湯器の説明的システ
ム構成図、図２は該給湯器の要部のブロック構成図、図
３は加熱量制限部の演算における入水温度と設定温度と
の関係を示す線図である。

【００１９】図１において、１は熱交換器２及びこれを
加熱する加熱源であるバーナ３を内蔵した給湯器本体、
４は熱交換器２を通って形成された流水管、５は流水管
４を通って熱交換器２及び後述するバイパス流路１５に
流入する水の流量を検出する流量センサ、６は熱交換器
２及びバイパス流路１５から流出した水（湯）の出湯温
度を検出する温度センサ、７はバーナ３にガスを供給す
るガス供給管、８はガス供給管７の途中に介装されたガ
バナ比例弁、９はバーナ３に燃焼用空気を送風する送風
ファン、１０は送風ファン９の回転速度を検出すべく該
ファン９に装着された回転速度センサ、１１はバーナ３
の燃焼制御等を行うコントローラ、１２はコントローラ
７に対して前記出湯温度を所定のスイッチ操作等により
設定する温度設定器（出湯温度設定手段）、１３はコン
トローラ１１により着火制御されるイグナイタ、１４は
バーナ３の燃焼状態を監視するフレームロッド、１５は
熱交換器２の上流と下流との流水管４を接続するバイパ
ス比０．２のバイパス流路である。

【００２０】流水管４の上流側は水道管（図示しない）
に接続され、下流側は台所や浴室の給湯栓（図示しな
い）に接続されている。そして、流量センサ５は流水路
４におけるバイパス流路１５の分岐点より上流側に設け
られ、温度センサ６は流水管４におけるバイパス流路１
５の合流点より下流側に設けられている。これらのセン
サ５，６及び前記回転速度センサ１０の検出信号はコン
トローラ１１に入力され、コントローラ１１は、これら
の検出信号並びに前記温度設定器１２により設定された
出湯温度（設定温度）に基づいて、後述するように送風
ファン９とガバナ比例弁８とを制御する。

【００２１】尚、本実施例の給湯器においては、流水管
４の下流端部の給湯栓（図示しない）の開閉に連動して
自動的にバーナ３の着火・消火が行われるようになって
いる。

【００２２】図２において、コントローラ１１は、ＣＰ
ＵやＲＡＭ、ＲＯＭ等を含む電子回路により構成された
ものであり、その機能的構成として、所定の単位時間
（例えば１秒）毎に前記流量センサ５を介して検出され
る流量を時系列的に記憶保持する流量記憶部１６と、該
単位時間毎にバーナ３による熱交換器２の加熱量を求め
る加熱量演算部１７（加熱量制御手段）と、求められた
加熱量を時系列的に記憶保持する加熱量記憶部１８と、
流量記憶部１６に記憶保持されたデータを基に熱交換器
２から流出した水（湯）の加熱時間（熱交換器２におけ
る通過時間）を前記単位時間毎に求める加熱時間演算部
１９と、求められた加熱時間と加熱量記憶部１８に記憶
保持されたデータとを基に熱交換器２から流出した水の
上昇温度を求める上昇温度演算部２０と、該上昇温度と
前記温度センサ６を介して検出される出湯温度とから該
出湯温度が検出された水の熱交換器２への入水温度を求
める入水温度演算部２１（入水温度検出手段）と、加熱
量演算部１７により求められた加熱量に応じて前記送風
ファン９を駆動するファン駆動部２２と、前記回転速度
センサ１０を介して検出される送風ファン９の回転速度
に応じて前記ガバナ比例弁８の開度を調整する弁駆動部
２３と、温度設定器１２で設定される温度が熱交換器２
中の水が異常加熱される温度であるときに加熱量を制限
する加熱量制限部２４（加熱温度制限手段）とを備えて
いる。

【００２３】次に、かかる給湯器の作動を説明する。

【００２４】給湯が開始されると、コントローラ１１
は、温度センサ６を介して検出される出湯温度が温度設
定器１２により設定された設定温度に一致するように熱
交換器２の加熱量を制御する。

【００２５】即ち、まず、熱交換器２に流入する水の流
量Ｗと熱交換器２から流出した水（湯）の出湯温度Ｔｏ
をそれぞれ流量センサ５及び温度センサ６を介して検出
し、検出した流量Ｗを流量記憶部１６に記憶保持する。

【００２６】次いで、コントローラ１１は、加熱時間演
算部１９により、流量記憶部１６に記憶保持されている
流量Ｗのデータを基に、現時点で熱交換器２から流出し
た水（出湯温度Ｔｏが検出された水）の熱交換器２にお
ける加熱時間ｔを求める。

【００２７】このように加熱時間ｔを求めた後に、コン
トローラ１１は、上昇温度演算部２０により、前記加熱
量記憶部１８に記憶保持されている加熱量Ｑのデータを
基に、現在、出湯温度Ｔｏが検出された水の熱交換器２
における総加熱量Ｑｔを求める。

【００２８】次いで、コントローラ１１の上昇温度演算
部２０は、上記のように求めた総加熱量Ｑｔを基に、現
在、出湯温度Ｔｏが検出された水の上昇温度ΔＴを次式
により求める。

【００２９】ΔＴ＝Ｑｔ／Ｗｎ ……（３） ここで、Ｗｎは出湯温度Ｔｏが検出された水に対応する
流量である。尚、（３）式において、水の比熱や熱効率
は基本的には定数と考えられるので省略してある。

【００３０】そして、コントローラ１１は、前記入水温
度演算部２１により、上記のように求めた上昇温度ΔＴ
と検出された出湯温度Ｔｏとから次式により入水温度Ｔ
ｉを求める。

【００３１】Ｔｉ＝Ｔｏ−ΔＴ ……（４） 次いで、コントローラ１１は、前記加熱量演算部１７に
より、上記入水温度Ｔｉと前記温度設定器１２により設
定された設定温度Ｔｓとから次式により熱交換器２の新
たな加熱量Ｑを設定する。

【００３２】Ｑ＝Ｗ（Ｔｓ−Ｔｉ） ……（５） そして、コントローラ１１は、このように求めた新たな
加熱量Ｑを前記加熱量記憶部１８に記憶保持すると共
に、この加熱量Ｑに応じて前記ファン駆動部２２（図２
参照）を介して送風ファン９を駆動し（送風ファン９の
回転速度を調整する）、更に、この時、前記回転速度セ
ンサ１０を介して検出される送風ファン９の回転速度に
応じて、前記弁駆動部２３（図２参照）を介してガバナ
比例弁８の開度を調整する。これにより、熱交換器２の
加熱量が（５）式により求められる加熱量Ｑに比例した
加熱量になるように、前記バーナ３の火力が調整され
る。

【００３３】ところで、本実施例の給湯器はバイパス比
が０．２のバイパス流路１５を備えるので、熱交換器２
から流出する湯量にバイパス流路１５から流出される水
量が加わって十分な出湯量を得ることができる。しか
も、本実施例の給湯器は入水温度が比較的低い寒冷地に
おける風呂の差し湯等の比較的高温の給湯が可能となっ
ている。

【００３４】即ち、本発明者は、熱交換器２内の湯温が
８５．８℃以上となったとき熱交換器２内における水が
沸騰することを知見している。そこで、熱交換器２内の
湯温が８５．８℃以上となるような設定温度が設定され
た場合には、前記加熱量制限部２４によって当初の設定
温度を変更することによって、沸騰を確実に防止するこ
とができる。即ち、熱交換器２内の湯温が８５．８℃と
なるような設定温度Ｔｓは、バイパス比が０．２である
から、上記作用の欄において説明した（２）式から求め
ることができる。

【００３５】 Ｔｓ ＝ Ｔｉ／６ ＋ ７１．５ ……（６） 但し、Ｔｓ≦７５ 前記温度設定器１２による設定温度の上限が７５℃であ
る場合に、使用者が７５℃に出湯温度を設定しても、入
水温度Ｔｉが０℃であったとき、前記加熱量制限部２４
は（６）式から設定温度を７１．５℃に変更して熱交換
器２内の水の沸騰を確実に防止する。このとき、出湯温
度は７１．５℃とされて使用者による設定温度である７
５℃に対して３．５℃程度の温度差が生じるが、このよ
うな高温度に設定される場合は主に風呂の差し湯等であ
るので、使用者にとって支障のない温度差である。しか
も、使用者による設定温度である７５℃に最も近い設定
温度に変更して熱交換器２内の水の沸騰を防止すること
ができる。

【００３６】ここで図３により、使用者が７５℃に出湯
温度を設定した場合の、入水温度Ｔｉと変更した設定温
度Ｔｓとの関係を示す。図３に示すように、使用者が７
５℃に出湯温度を設定したとき、入水温度Ｔｉが２１℃
以上であるときには前記加熱量制限部２４による設定温
度の変更はなく、使用者による設定温度に基づいて加熱
量演算部１７が演算を行う。

【００３７】尚、上記の実施例においては、入水温度を
熱交換器２から流出した水の上昇温度と前記温度センサ
６が検出した出湯温度とから求めているが、例えば、図
示しないが、流水路４における熱交換器２への入口側に
入水温度検出センサを設けて、該入水温度検出センサに
よって入水温度を検出してもよい。

【００３８】また、上記の実施例では、設定温度を変更
して加熱量を制限するようにしたが、出湯温度を検出す
る温度センサ６の出力を変更して加熱量を制限してもよ
い。

【００３９】

【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
の給湯器は、前記設定温度が、熱交換器中の水が異常加
熱される温度であるときには、前記加熱量制限手段が、
設定温度を変更することで前記加熱量制御手段による加
熱量を制限するので、例えば、寒冷地における風呂の差
し湯のような、比較的高い温度の出湯を要するために設
定温度が高過ぎたときに、熱交換器中の水の沸騰を防止
することができる。しかも、加熱量制限手段は前記の式
に基づいて変更する設定温度を求めるので、熱交換器中
の水の沸騰を防止するだけなく、使用者が設定した設定
温度に最も近い温度に設定温度を変更することができ
る。

【００４０】

【００４１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の給湯器の説明的システム構
成図。

【図２】実施例の給湯器の要部のブロック構成図。

【図３】加熱量制限部の演算における入水温度と設定温
度との関係を示す線図。

【符号の説明】

２…熱交換器、１２…出湯温度設定手段、１５…バイパ
ス流路、１７…加熱量制御手段、２４…加熱量制限手
段。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器の上流と下流との間に接続された
   バイパス流路が設けられ、該熱交換器からの流出量と該
   バイパス流路からの流出量とのバイパス比が一定である
   給湯器において、前記熱交換器に流入する水の温度を検
   出する入水温度検出手段と、該熱交換器から流出する被
   加熱水と該バイパス流路から流出する水とから得られる
   出湯の温度を設定する出湯温度設定手段と、該出湯温度
   設定手段で設定された温度の出湯が得られるように、該
   熱交換器への加熱量を制御する加熱量制御手段と、前記
   出湯温度設定手段によって設定された温度が該熱交換器
   中の水が異常加熱される温度であるとき、下記の式に従
   って設定出湯温度を変更して前記加熱量制御手段に指示
   し、加熱量を制限する加熱量制限手段とを設けたことを
   特徴とする給湯器。 Ｔｓ：変更設定出湯温度，Ｔｘ：熱交換器中の水の異常
   加熱発生温度， Ｔｉ：入水温度，ａ：バイパス比