JP2608741B2 - 自動車に設置された複数の型式の電子制御システムの異常または故障を診断する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内燃機関を持つ自動車に設置された複数の
型式の電子制御システムの異常または故障を診断するシ
ステムであって、各型式の制御システムはエンジンの操
作状態を感知する複数のセンサおよび電子制御および操
作ユニットへ接続された電子的に制御される作動手段を
含み、前記ユニットは各型式の制御システム毎に通常異
なり、また前記ユニットは少なくとも１つの出力を有
し、制御されるシステムの異常または故障の自動診断を
行ないかつ制御システムの操作状態についての情報を含
むシリアルな電気的自動診断信号をその出力に与えるよ
うにプログラムされるシステムに関する。

近代の自動車には、各種の装置および機能、例えば、
点火、燃料噴射、ブレーキ制御、空気調節など、を制御
するための複雑な制御システムが益々適用されている。
制御される機能または装置により、これらのシステムは
異なる特性を有する。しかし、一般に、その構造は、電
子制御ユニット（コントローラ）、複数のセンサ、およ
び複数の作動器と制御ユニットへの接続のための関連配
線を含む。

電子制御ユニットの採用により、自動車の性能と快適
性を実質的に向上できる。かかるシステム、または少な
くともその一部は高価な車や有名な車だけでなく、一般
の安価な車にも益々適用されている。

電子制御ユニットを自動車に採用した結果、診断の問
題、即ち、欠陥または破損部品を迅速に取り替え又は修
理するために、操作時の故障および異常を認識する問題
が生じている。これらの問題は、製造者による自動車の
運転試験時に、またはアフターサービスセンタで生じて
いる。

これらの問題は複雑であり、また各種自動車に用いら
れる電子制御システムは同じ製造者のものでも異なるか
ら、問題の解決は容易ではない。更に、サービスセンタ
は伝統的に、電子的な問題よりも機械的な性質の問題に
直面し解決するよう心構えができている。

いずれにしても、電子システムの欠陥または故障を迅
速に識別するには、診断を行う人はかかるシステムにつ
いて深い知識が必要とされる。

かかる問題の診断を容易ならしめるために、特定の装
置が採用され、各装置は特定の電子装置の欠陥または故
障の識別（診断）に専ら適用される。かかる装置は一般
に非常に高価であり、また正しく用いるために従業員に
適正な準備が要求される。

現状では、アフターサービスセンタは修理すると予想
される総ての電子システムについての深い知識を備えた
高度の専門知識を持つ人員を持つ必要がある。更に、こ
れらのセンタはこれらのシステムの故障を診断できる特
定の試験装置を備える必要がある。

この問題は、所謂『間欠的故障』、即ち自動車の特定
の使用条件下で生じ、自動車がサービスセンタで静止し
ているときには生じない故障について特に感じられる。

本発明の目的は、自動車に設けた複数の異なる型式の
電子制御システムの異常または故障を簡単かつ迅速に診
断できるシステムを提供することである。

この目的は本発明によれば上記型式のシステムにより
達成され、このシステムの主な特徴は下記の点にある： 一、自動車に設けた種々の制御システムはそれぞれの
電子制御ユニットの出力へ接続された標準の電気コネク
タを各々備える； 一、各システムの電子ユニットは作動される毎にユニ
ットに属する型の制御システムのシリアルコードの識別
メッセージをその出力側に出力する； 一、このシステムは標準コネクタへ結合できる電気コ
ネクタを有する試験装置（テスタ）を含み、この試験装
置は視覚表示装置と、記憶手段を有するマイクロプロセ
ッサ制御ユニットへ接続された操作キーボードとを含
み、記憶手段には複数の診断プログラムが保持され、各
プログラムは対応する型の制御システムに関連し、マイ
クロプロセッサユニットは各種の制御ユニットにより出
力された識別メッセージをデコードし、識別メッセージ
に示された型のシステムに対応する診断プログラムを操
作するように構成されている。

本発明の他の特徴及び利点は非限定例としての添付図
面に関する以下の記載から明らかになろう。図におい
て： 第１図は自動車に設置した電子制御システムの一般構
造を示すブロック図である； 第２図は本発明による診断システムを備えた自動車の
助手席の部分斜面図である； 第３図は本発明の診断システムに用いるテスタを示
す； 第４図は第３図のテスタの回路構造を示すブロック図
である。

第１図は自動車に設置された電子制御システムＳ、例
えば、点火、燃料噴射などを制御するシステムの一般ブ
ロック模式構造を示す。一般に、この型の電子制御シス
テムＳは、例えば、マイクロプロセッサを用いて形成さ
れた電子制御ユニット１を含み、この電子制御ユニット
には、監視されるマグニチュードまたはパラメータの取
る値を示す電気信号を出力する複数のセンサ２が接続さ
れている。制御ユニット１は、例えばオン−オフソレノ
イド弁などの電気的に制御される作動器３へ接続されて
いる。

電気制御ユニット１は、例えば点火始動スイッチなど
により操作できる作動スイッチ４を閉じた後に自動車の
電池から電流を供給される。

制御ユニット１は、制御システムＳの異常または故障
を診断するようプログラムされる。これはユニットのマ
イクロプロセッサの適当なプログラムを通じて周知の態
様で達成される。マイクロプロセッサにより与えられる
高処理速度はシステムＳの特定の機能試験を可能にする
のみならず、これらのセンサにより与えられる信号の範
囲の制御とチェックとを実施するのを可能にし、試験中
および／または修理中に不正機能または故障の診断を行
う。

電子制御ユニットのマイクロプロセッサは、適当にプ
ログラムされると、例えば、センサ２からの信号を許容
限度の所定の記憶された値と比較し、メモリの操作、お
よび演算論理ユニット、センサからの信号の論理コンシ
ステンシ、および作動器の操作を、例えば、センサから
来る情報に基づいてその操作効率を評価することにより
一部チェックできる。

本発明の診断システムにおいて、自動車に設置された
電子制御システムは、その型式を問わずあるいは制御し
ようとする機能または機能グループを問わず、上記の態
様で自動診断プログラムを遂行し、ユニット１の属する
型の制御システムを識別するコード化されたメッセージ
ならびにセンサにより検出される値、作動器の状態の如
き制御システムＳの操作状態についての情報、およびユ
ニット１の内部操作状態に関する情報を含む電気シリア
ル信号を外部（第１図に５で示した出力）へ伝送するよ
うそれぞれの電子制御ユニット１が構成されている。

一般的制御システムの制御ユニット１の出力５は標準
の電気コネクタ６、即ち総ての制御システムに対して同
じ特性を有するコネクタへ接続される。コネクタ６は第
２図に示す如く、容易に接近できる場所、例えば自動車
の計器盤に装着される。

本発明の診断システムは、複数の型の制御システムＳ
の異常操作または故障を診断するための単一の試験装置
またはテスタを用いる。この装置またはテスタは第２図
に一般的に７で示され、第３図に最もよく見られる。

図示の実施例において、テスタ７は実質的に平行六面
体のケーシング８、例えば４行で各行16文字の液晶型に
できる可視化装置またはディスプレイ９、および操作キ
ーボード10を含む。

テスタ７のケーシング８はモジュール12の挿入、除去
のための穴11（第３図）を一端に有する。このモジュー
ルは例えばEPROM型の集積電子記憶装置を内部に装着し
た体13を含む。これらの記憶装置は、モジュールの上部
に担持された多極コネクタ14を介してテスタ７内の回路
へ接続され、多極コネクタ14はテスタの体８内に装着さ
れた対応多極コネクタへ結合される。後者の多極コネク
タは第３図には見えないが第４図に15で示されている。

テスタ７は、体８の一端へ固定されかつテスタ内の回
路へ接続された多極コネクタ16を含む。このコネクタは
コネクタ17へ結合でき、コネクタ17からそれぞれ電源用
と信号伝送用の２本の多極ケーブル18、19が分岐する。
電源用ケーブル18は、使用時に、自動車に設けうるシガ
レットライタソケット21（第２図）に挿入可能な例えば
プラグ20を介して自動車の電池へ接続される。

当然ながら、テスタ７には内部供給電池を設けて、自
動車の電池への接続部を余計なものとすることができ
る。

ケーブル19は標準コネクタ６へ結合するための端部コ
ネクタ27を有する。

第４図に示す如く、テスタ７内の回路は、データバス
24とアドレスバス25とへ接続された中央マイクロプロセ
ッサユニット23を含む。またこれらのバス24、25は、デ
ィスプレイ９、キーボード10、モジュール12の記憶装
置、およびインターフェース回路26へ接続されている。
インターフェース回路は、操作異常を診断されるシステ
ムＳの制御ユニット１へ、コネクタ16、17、多極ケーブ
ル19および標準コネクタ６を介して接続される。

図示の実施例において、テスタ７は入力コネクタ16へ
接続された安定化された電源28を含む。

テスタのモジュール12の記憶装置は、それぞれ対応す
る型の制御システムＳに関連する複数のプログラムまた
は診断手順を記憶する。

上述の如く、各種制御システムＳの制御ユニット１
は、ユニット１が電源スイッチ４の閉鎖により作動され
る毎に、ユニットの属する型の制御システムを識別する
シリアルコードのメッセージを、標準コード６へ接続さ
れた出力５に発生し、出力する。

使用に当たり、テスタ７はケーブル18、19を介して自
動車の電池および操作異常または故障を診断される電子
制御システムＳの制御ユニット１へ接続される。試験中
の制御ユニット１は次いで、例えば、点火始動スイッチ
のキーを回すことにより停止位置から走行位置へ作動さ
れる。制御ユニット１は適当なシリアルコードの識別メ
ッセージを出力５に出力し、このメッセージは信号ケー
ブル19を通じてテスタ７の処理および制御回路へ送られ
る。中央マイクロプロセッサユニット23は制御システム
の型式を識別し、モジュール12の記憶装置におけるこの
型の制御システムに関する診断プログラムを選択する。

最も簡単な場合、制御システムＳは、テスタ７との情
報の相互作用交換のための設備なしにセンサの読取およ
び作動器の状態に関するシリアル情報信号をその出力に
単に周期的に反復するように構成された電子制御ユニッ
トを含むことができる。この型の制御システムのため
に、テスタはそのマイクロプロセッサユニット23が試験
中のシステムＳの制御ユニットにより出力された信号と
同期し、このユニットにより出力された情報を得てデコ
ードできるようにプログラムされる。

自動車に設置される他の型の制御システムにおいて、
電子ユニット１はそれぞれ入力と出力の２本の線の信号
をチェックするようにできる。第１図において、これら
の線はL₁、L₂で示されている。この型の制御ユニットは
テスタ７との情報の相互作用交換を便利に行うようにプ
ログラムできる。テスタ７は試験中の制御システムのユ
ニット１の問合わせを可能にし、特定の操作モード、例
えば修理者によるチェックを可能にする所定の態様でシ
ステムの１つ以上の作動器の個別作動を開始する信号を
このユニットに送るように構成できる。

しかし、他の型の制御システムは２方向信号線を案内
できる電子ユニット１を含むことができる。この場合に
も、試験中の制御システムＳとテスタとの間の相互作用
情報交換を達成でき、またテスタを経て試験中のシステ
ムの制御ユニット１へ指令を送ることができる。

既述の如く、テスタを接続した型式のシステムＳは本
発明により作られた制御システムＳの制御ユニットによ
り作動毎に自動的に発生されるシリアルコードの情報メ
ッセージにより識別される。この識別に用いられるコー
ドは、例えば、NRZコード（非ゼロ戻り）、即ち、２つ
の相次ぐビットが同じ論理レベルで伝送されるとき信号
のレベルに変化がないことを特徴とする２進表現にでき
る。

便利には、テスタ７は、効率をチェックすることが望
まれる試験中の制御システムＳのセンサをシミュレート
する一連の適当な部品サンプル（図示せず）、例えば、
サンプル抵抗器を備える。而して、例えば、熱抵抗によ
り構成される温度センサの効率をチェックするために、
テスタ７は物理的に温度センサの代わりになるサンプル
抵抗器を備えることができる。試験中のシミュレートの
制御ユニットにより読まれるこの抵抗器の抵抗値は所定
の記憶された値と比較される。

部品サンプルの使用により、テスタ７は、異常操作が
センサまたは作動器の故障によるか、ケーブルの切断ま
たは制御ユニット１の故障によるかを順次除外すること
により決めることができる。

テスタ７は新しい型の制御システムの不正機能または
故障を診断できる。この目的で、新しい型の制御システ
ムの診断を含む診断プログラムを記憶した新しいモジュ
ールを記憶モジュール12の代わりに用いれば十分であ
る。

周知の態様で、テスタのマイクロプロセッサユニット
23はセンサにより読まれた値または作動器の状態を表示
し、また診断手順中にディスプレイ９により使用者に提
示された引き続く操作を表示するようにプログラムでき
る。

当然ながら、テスタ７のプログラムは、ディスプレイ
９に現れる総ての書かれた結果が所定の一群の言語から
選択（キーボードのキーの操作による）された言語で表
されるように構成できる。

便利には、テスタ７は故障を識別するために遂行され
る操作をよりよく理解するのに有用な情報を診断手順の
任意の段階で要求により表示するようにプログラムでき
る。この目的でキーボードの適当なキー（ヘルプキー）
を設けることができる。

診断プログラムは、試験されたシステムが効果的に当
をえたものであるか否かのチェックとして、修理が一旦
行われると、操作員をして診断手順を反復させる命令を
表示するように構成できる。

本発明による診断システムは多くの利点を有する。

まず第１に、自動車における複数の型式の電子制御シ
ステムの故障の診断を単一の試験装置またはテスタの使
用により遂行できる。

而してサービスステーションに必要な試験装置は非常
に簡単化される。

搭載された電子システムの診断はテスタに記憶された
誘導診断手順により非常に簡単化される。

しかも、テスタは自動車の移動中にシステムの故障を
診断でき、これにより『間欠的』故障を診断する問題を
解決できる。

便利には、テスタ７内の回路はバス24、25および外部
プリンタまたはパーソナルコンピュータへ接続された汎
用非同期受信−送信装置（第４図に30で示す如きもの）
を備えることができる。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内燃機関を持つ自動車に設置された複数の
   型式の電子制御システム（Ｓ）の異常または故障を診断
   するシステムであって、各型式の制御システム（Ｓ）は
   エンジンの操作状態を感知する複数のセンサ（２）およ
   び電子制御および操作ユニット（１）へ接続された電子
   的に制御される作動手段（３）を含み、前記ユニットは
   各型式の制御システム（Ｓ）毎に通常異なり、また前記
   ユニットは少なくとも１つの出力（５）を有し、制御シ
   ステム（Ｓ）の異常または故障の自動診断を行ないかつ
   制御システムの操作状態についての情報を含むシリアル
   な電気的自動診断信号をその出力に与えるようにプログ
   ラムされる異常または故障を診断するシステムにおい
   て、 一、種々の制御システム（Ｓ）はそれぞれの制御ユニッ
   ト（１）の出力（５）へ接続された標準の電気コネクタ
   （６）を各々備え、 一、各システムの電子ユニット（１）は作動される毎に
   ユニット（１）が属する型の制御システム（Ｓ）のシリ
   アルコードの識別メッセージをその出力側（５）に出力
   するように構成されており、 一、このシステムは標準コネクタ（６）へ結合できる電
   気コネクタ（27）を有する試験装置またはテスタ（７）
   を含み、この試験装置またはテスタは視覚表示装置
   （９）と、記憶手段（12）を有するマイクロプロセッサ
   制御ユニット（23）へ接続された操作キーボード（10）
   とを含み、記憶手段には複数の診断プログラムが保持さ
   れ、各プログラムは対応する型の制御システム（Ｓ）に
   関連し、マイクロプロセッサユニット（23）は各種の制
   御ユニット（１）により出力された識別メッセージをデ
   コードし、そのとき識別メッセージに示された型のシス
   テム（Ｓ）に対応する診断プログラムを操作するように
   構成されており、 前記試験装置（７）の前記記憶手段は試験装置（７）か
   ら分離できる取替可能モジュール（12）に装着されてい
   る ことを特徴とする異常または故障を診断するシステム。
2. 【請求項２】ソケット（21）を介して自動車の電池によ
   り電気を供給される電子シガレットライタを有する自動
   車に特に用いるシステムであって、試験装置（７）はソ
   ケット（21）を介する電気の供給を可能にする手段（1
   8、20）を有することを特徴とする請求項１記載のシス
   テム。
3. 【請求項３】試験装置（７）は少なくとも１つの電池を
   有する請求項１記載のシステム。
4. 【請求項４】各制御システム（Ｓ）の電子ユニット
   （１）はNRZコード（非ゼロ戻り）によりシリアル識別
   メッセージを発生するように構成されたことを特徴とす
   る請求項１乃至３のいずれか１つに記載のシステム。
5. 【請求項５】センサまたは作動器の効率をチェックする
   ために試験中の制御システムのセンサまたは作動器の代
   わりに使用できる所定の電気特性の１組の部品サンプル
   を更に含むことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか
   １つに記載のシステム。