JP2607492B2 - ヒト癌胎児性抗原 - Google Patents

ヒト癌胎児性抗原

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はヒトの癌胎児性抗原(carcinoembryonic ant
igen;以下ヒトCEAと略す)蛋白質および該蛋白質をコー
ドする遺伝子に関する。
(従来技術) 癌胎児性抗原(CEA)は1965年,ゴールド(Gold)お
よびフリードマン(Freedman)により、ヒト結腸癌と2
〜6ケ月齢胎児消化器に共通に存在する抗原として発見
され(Gold,P.およびFreedman,S.O.:J.Exp.Med.,121,43
9,1965;Gold,P.およびFreedman,S.O.:J.Exp.Med.,122,4
67,1965)、当初は大腸癌に特異的な抗原として注目さ
れた。その後の研究により、血中のCEAは大腸癌患者で
高率に出現する傾向は有るが、他の癌でも陽性になり、
また、良性疾患でも時に陽性となり、正常人でもごく微
量検出されることが知られている。現在ではCEAは広く
癌に随伴して出現する物質と考えらえ、腫瘍の早期発見
などのために、臨床検査で最も広く用いられる腫瘍マー
カーである。
しかしながら、CEAを腫瘍マーカーとして用いるさい
の重大な問題として、正常組織にも存在するCEA関連抗
原の存在がある。CEA関連抗原とは、蛋白化学的にCEAに
きわめて類似しており,免疫学的にも通常の抗CEA抗体
ではCEAと区別出来ないように共通な抗原決定基を有し
ていると考えられる抗原の総称である。代表的なCEA関
連抗原としては、正常人の肺や脾臓中に見出されている
分子量約9万の糖蛋白質である非特異的交差抗原(nons
pecific cross−reacting antigen:以下、NCAと略す)
が知られている(von Kleist,S、ら,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,69,2492,1972)。NCAのアミノ酸組成はCEAのそれ
に類似しているが、CEAには少ないメチオニンをNCAでは
比較的多く含んでいる。N末端アミノ酸配列の比較によ
れば、21番目のバリンがアラニンに置換されていること
以外は、24番目までCEAと同一である(Engvall,E.ら,Pr
oc.Natl.Acad.Sci、USA,69,2492,1972)。その他にも、
胎児の便中に見出されたNCA−2(Burtin,P.ら,J.Immun
ol.,111,1926,1973)、正常成人便中に発見されたNFA
(normal fecal antigen)(Matsuoka,Y.ら,Gann,64,20
3,1973)などがある。NFAは3つの分子種からなり、そ
れぞれNFA−1、NFA−2およびNFCA(normal fecal cro
ss−reacting antigen)と名付けられているが、いずれ
もその構造や物理化学的性質などは明らかにされていな
い(Kuroki,M.ら,Cancer Res.,41,713,1981)。従っ
て、現在CEAの測定のため、ラジオイムノアッセイ(RI
A)またはエンザイムイムノアッセイ(EIA)などの種々
の測定キットが報告され、市販もされているが、これら
のキットはCEAだでけなく、CEA関連抗原とも反応を示す
という問題がある。つまり、現在CEA測定に使用される
抗体は、CEAとCEA関連抗原の共通の抗原部分を認識する
ものであるため、両者を区別して測定出来ないという欠
点がある。さらに、従来のキットで同一CEA検体を測定
した場合、キット間でその測定値が異なるという問題も
提起されている(Kuroki,M.ら,J.Immunol.Methods,60,2
21,1983)。
上記の問題を解消し、CEAのみを特異的に測定する方
法を開発するためには、CEAの構造を解明し、特異性の
高い抗体を製造することが要望される。しかしながら、
CEAは分子量18万〜20万の糖蛋白質で、重量あたり40〜6
0%の糖を含むとされている。そのため、その糖含量の
高さがCEAの構造解析を困難にしており、アミノ酸配列
はN末端から24番目までが明らかにされているにすぎな
い(Glasman,J.N.S.ら,B.B.R.C.,85,209,1978およびTer
ry,W.D.ら,J.Exp.Med.,136,200,1972)。また、その糖
鎖構造に関しては、殆ど解明されていない。
(発明が解決しようとする問題点) CEAにのみ特異的に反応する抗体を得るためには、CEA
およびCEA関連抗原の構造(アミノ酸配列)を明らかに
し、それらの一次構造の差異を見出す必要がある。そこ
で、本発明者らはヒトCEA遺伝子をクローニングし、そ
のDNA塩基配列を決定することにより、ヒトCEAの全アミ
ノ酸配列を明らかにするため、鋭意研究を行った。
(問題点を解決する具体的手段) 本発明者らはヒトCEA遺伝子をクローニングするた
め、大腸癌患者の大腸組織より抽出したmRNAを用いてcD
NAライブラリーを作製し、そこからCEAの遺伝子を単離
・同定し、さらにその塩基配列を解析・決定した。この
解明された塩基配列をもとに、ヒトCEAの全構造を明ら
かにし、本発明を完成するにいたった。
本発明のヒトCEA蛋白質をコードする遺伝子は次のよ
うにして得ることが出来る。先ず、癌患者の組織細胞、
好ましくはヒト大腸癌患者の大腸組織が産生するmRNAを
用いて、cDNAライブラリーを調製する。cDNAライブラリ
ーの調製は、公知の適当な方法で行ってよいが、例えば
λgt11ファージベクターを用いたヤングらの方法(Youn
g,R.A.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80,1194,1983)によ
って行うことが出来る。その概要を第1図に示す。こう
して調製されたcDNAライブラリー(大腸菌)からの目的
とするクローン(ヒトCEA蛋白質を発現するクローン)
のスクリーニングは、既存(例えば市販品)の抗CEA抗
体を用いて行うことができる。即ち、調製されたcDNAラ
イブラリーの発現する蛋白質と該抗CEA抗体との反応の
有無を調べればよい。上記大腸菌でのヒトCEA蛋白質の
発現は、CEA蛋白質そのものを発現させてもよいが、CEA
蛋白質と他の蛋白質、好ましくは大腸菌β−ガラクトシ
ダーゼとの融合蛋白質として発現させてもよい。この場
合、β−ガラクトシダーゼの活性を一つの指標として用
いることができる。
次に、上記のようにしてスクリーニングされた陽性ク
ローン(大腸菌)から、ファージDNAを常法により分離
し、制限酵素解析により、目的とするcDNA(ヒトCEAのc
DNA)が該ファージDNA中に挿入されているかどうかを確
認し、その挿入cDNAの塩基配列を常法により決定する。
もし、充分な大きさのcDNAが挿入された陽性クローンが
得られない場合は、別々の陽性クローンから得られるcD
NAを結合して、目的とする大きさのcDNAを作製するか、
あるいは新たにcDNAライブラリーを作製し、上記で得ら
れた不充分な大きさのcDNAをプローブとして、前記の方
法で目的とするクローンをスクリーニングする。後者の
場合のcDNAライブラリーの調製は、公知の適当な方法で
行なってよいが、例えばヒトの癌患者の組織細胞(好ま
しくは大腸菌患者の組織細胞)より抽出したmRANを蔗糖
密度勾配遠心で調製した約2kb〜5kb相当のmRNAから岡山
−バーク法を用いて作製することが出来る。
次に、上記のようにして得られたcDNAの塩基配列を、
サンガー(Sanger)らの方法で決定し、既に報告されて
いるCEAのN末端から24番目のアミノ酸配列に相当する
翻訳可能領域(オープンリーディング領域)を、その塩
基配列から求めることによりヒトCEA遺伝子ならびにヒ
トCEA蛋白質の構造(アミノ酸配列)を知ることができ
る。こうして塩基配列が判明したヒトCEA遺伝子は、化
学的に合成することによっても得ることができる。
さらに上記のようにして得られるヒトCEA遺伝子を用
いて、大腸菌や酵母のような微生物あるいは動物細胞で
ヒトCEA蛋白質を製造することが可能である。即ち、上
で得られたヒトCEAの構造遺伝子の5′側に適当なプロ
モーター領域を付加し、これを適当なプラスミドにに挿
入したのち、これを大腸菌や酵母のような微生物あるい
は動物細胞に導入して、培養すればよい。このような操
作は公知の技術を用いて行うことができる。
また、上記のCEA遺伝子の断片(化学的に合成しても
よい)を用いることにより、不要なペプチド領域、例え
ばCEA関連抗原と共通するペプチドを除いた、特異的な
抗原ペプチドを微生物や動物細胞で製造することも可能
である。そして、これらのペプチドを抗原として、ヒト
CEAにのみ特異的に反応するポリクローナルもしくはモ
ノクローナル抗体を常法により作ることができる。
以下、本発明を実施例をもってさらに詳しく説明す
る。
実施例 (1) λgt11ベクターによるcDNAライブラリーの作製 大腸癌患者の大腸組織1.3gから、シャーグウィン(Ch
irgwin,J.M.ら,Biochemistry,18,5294,1979)に従い、4
Mグアニジウムチオシアネートを用いて、1.37mgのRNAを
抽出した。次に860μgの全RNAより0.5M LiCl、10mM E
DTA、0.5%SDSを含む10mMトリス塩酸(pH7.2)を結合バ
ッフアーとして用いオリゴdTセルロースに結合したポリ
(A)+RNA(mRNA)72μgを分離した(Nakazato,H.
ら,Meth.Enzym.,29,431,1974)。続いて、ポリ(A)+
RNA10μgと0.25μgのオリゴ(dT)12-18をプライマー
として用いて作製したcDNAをλgt11ベクターに組み込
み、cDNAライブラリーを作製した(Young,R.A.ら,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,80,1194,1983)。ポリ(A)+RNA1
μgあたり、約48,500個の組み換えファージプラーク
(cDNAライブラリー)が得られた。尚、上記λgt11ベク
ターによるcDNAライブラリーの調製法の概略を第1図に
示す。
(2) 抗体スクリーニングによる陽性クローンの分離
と解析 抗体スクリーニングは、バイオラッド社から市販され
ているキット(Express−BlotTM Assay Kit)を用い
て、次の方法で行った。
前記(1)で得られた約30万個のファージプラークの
プレート上に、10mM IPTGをしみこませ、風乾したニト
ロセルロースフィルターをのせ、挿入されたcDNAからの
遺伝子産物(即ちβ−ガラクトシダーゼとの融合蛋白
質)を誘導した。約2時間後にフィルターをプレートか
らはがし、TBS溶液(20mMトリス塩酸,pH7.5,500mM NaC
l)中で5分間緩やかに振とうした。次にフィルターを
ブロッキング溶液(3%ゼラチンを含むTBS溶液)中で2
0〜30分間緩やかに振とうした。次に2回T−TBS溶液
(0.05%Tween−20を含むTBS溶液)中で5分間緩やかに
振とうすることによりフィルターを洗浄した。
このフィルターをひき続いて一次抗体溶液にひたし、
終夜ゆるやかに振とうした。なお、一次抗体溶液とは、
抗CEA抗体(一次抗体)を1/500容、1%大腸菌抽出液
(バイオラッド社、カタログNo.170−3205)を1/200容
および1%ゼラチン(バイオラッド社、カタログNo.170
−6537)を含むT−TBS溶液をいう。一次抗体として
は、ダコ社のウサジ抗CEA抗体(DAKOPATTS、デンマー
ク、コード A115)を用いた。
次にフィルターを2回、T−TBS溶液中で5分間緩や
かに振とうしたのち、二次抗体溶液にひたし、2時間緩
やかに振とうした。二次抗体溶液は、ペルオキシダーゼ
標識ヤギ抗ウサギIg抗体(バイオラッド社、カタログN
o.170−6513)を1/3000容および1%ゼラチンを含むT
−TBS溶液を使用した。
続いて、フィルターを2回T−TBS溶液中で5分間緩
やかに振とうしたのち、発色溶液にひたし、10分間緩や
かに振とうした。発色溶液とは、50mgのHRP発色試薬
(バイオラッド社、カタロクNo.170−3201)を16.5mlの
冷メタノールに溶かした液と、30%H2O2(過酸化水素)
50μを含む83.5mlのTBS溶液を使用直前に混合した溶
液である。
上記の操作で紫色に発色した陽性クローンが1個得ら
れた。λKr40と名づけたこのファージDNAを常法に従い
分離し、挿入DNAの両端に付された制限酵素EcoR1部位で
切断して得られるcDNA断片(約2.4kb)をpBR322にサブ
クローニングした。得られたプラスミドpBRCEA5につい
て、挿入されたcDNAの全塩基配列を決定した。
挿入DNA領域の塩基配列決定に用いた制限酵素切断部
位と塩基配列決定のストラテジーを第2図に示す。図
中、PvはPvu II、PsはPst I、SはSac I、BはBamH I、
HcはHinc IIの各制限酵素を示し、上段の数字は5′末
端からの塩基数を示す。空白の長方形部分は翻訳可能領
域のうち成熟ヒトCEAをコードする領域、その左の横線
を施した長方形部分は先導ペプチド(シグナルペプチ
ド)をコードする領域を示す。図中、塩基配列の決定の
方向は矢印で示される。塩基配列決定のストラテージ
は、デイルらの方法(R.M.K.Daleら,Plasmids,13,31,19
85)およびサンガーらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,74,5463,1977)を用いた。λKr40では実線はデイルら
の方法、点線は制限酵素断片をM13に挿入したのちサン
ガーの方法により塩基配列を決定した事を示し、後述す
るpCEA55−2とpCEA80−11では、縦線からの矢印線(|
→)は制限酵素断片をpUC9に挿入した後サンガーの方法
で、四角形からの矢印(□→)は四角形で示される各位
置に対応する合成オリゴヌクレオチドをプライマーとし
たサンガーの方法により各々塩基配列を決定したことを
示す。
λKr40の挿入DNAは2356塩基よりなり、そのDNA配列に
は531個のアミノ酸をコードしうる長い翻訳可能配列
(オープンリーディングフレーム)が存在していた(第
3図の塩基配列第501番から第2856番)。しかし、N末
端アミノ酸であるメチオニンのコドンであるATGが見ら
れず、N末端側のアミノ酸がいくつか欠失していること
が判明した。
(3) 種々の抗CEA抗体を用いた解析 前記で得られたcDNAが、CEAの遺伝子の主要部分を含
むことを確認するため、該cDNAを含むファージλKr40を
使って、上記(2)と同じ方法で、種々の市販の抗CEA
抗体(一次抗体)との反応性を検討した。使用した抗CE
A抗体は、スクリーニングに使用したDAKOPATTS社のウサ
ギ抗CEA抗体(コードA115)の他に、マイルズ社ヒツジ
抗CEA抗体(NCA II吸収、コードNo.64−733−1)、セ
ロテック社ヒツジ抗CEA抗体(コードNo.AHP105A)およ
びセロテック社ヒツジ抗CEA抗体(NCA吸収、コードNo.A
HP105B)である。なお、二次抗体としてはKPL社(Kirke
gaard & Perry Laboratories Inc.)のペルオキシダー
ゼ標識ウサギ抗ヒツジ抗体(カタログNo.04−23−06)
を用いた。これらの一次抗体および二次抗体は、いずれ
も1/500希釈して使用した。コントロールには非免疫ヒ
ツジ抗体(Non Immune Serum)を用いた。
この抗CEA抗体を用いた解析結果を第4図に示す。図
中、1はλKr40クローン、2はcDNAが挿入されていない
λgt11を含むクローン(コントロール)の各抗体との反
応結果を示し、AはDAKOPATTS社のウサギ抗CEA抗体、B
はマイルズ社のヒツジ抗CEA抗体、CおよびDはセロテ
ック社のヒツジ抗CEA抗体、Eは非免疫ヒツジ抗体との
反応性を各々示す。図中、黒く大きな斑点のあるものは
反応が陽性であったことを意味する。図から明らかなと
おり、λKr40は抗CEA抗体のいずれとも反応を示し、非
免疫ヒツジ抗体とは反応しなかった。cDNAが挿入されて
いないファージクローンλgt11は抗CEA抗体とは全く反
応しなかった。このように、λKr40がNCA IIで吸収した
マイルズ社の抗CEA抗体およびNCAで吸収したセロテック
社の抗CEA抗体のいずれとも反応することは、λKr40がC
EA蛋白質を発現していることを示すものである。しか
し、前記のとおりλKr40には完全な大きさのヒトCEAcDN
A挿入されていないと考えられたので、下記(4)およ
び(5)に示すように、完全なcDNAを得るための検討を
行った。
(4) 岡山−バーク法によるcDNAライブラリーの作製 前記(1)と同じ大腸菌患者の大腸組織より抽出して
得られた、ポリ(A)+RNA20μgに、キャリアーとし
てマウスリボソームRNA50μgを加え、15%−30%の蔗
糖密度勾配遠心にかけ、サイズ分画した。続いて、岡山
−バーク法(Mol.Cell.Biol.,,161,1982)に従い、分
画した2〜5kbのポリ(A)+RNA(mRNA)8.25μmと0.
51μgのベクタープライマーDNAを用いることにより、c
DNAライブラリー(プラスミド)を作製し、大腸菌DH1株
を形質転換した。形質転換株は、50γ/mlのアンピシリ
ンを含むLB−寒天培地にプレーティングし、約7,000個
のアンピシリン耐性を示す形質転換株を得た。
(5) CEAcDNAクローンの同定 前記(4)で得られた約7,000個のコロニーをニトロ
セルロースフィルターにレプリカし、フィルター上に移
されたコロニーを0.5N NaOHで溶菌した後、pH7.0に中和
し、フィルターを1.5M NaClを含む0.5Mトリス塩酸バッ
ファー(pH7.0)と3×SSC(0.15M NaCl,0.015Mクエン
酸ナトリウム)に各々5分間浸した。最後にペーパータ
オルで菌の破片を除き、風乾した後、80℃で2時間ベー
キングした。
続いて先に取得したλKr40クローンのPvu II534bpフ
ラグメント(第3図の566番から1099番までのフラグメ
ントと1100番目から1633番目までのフラグメントの混合
物)をα−32P−dCTPを用いてラベルし、これをプロー
ブとして上記フィルターに固定化されたDNA分子とのハ
イブリダイゼーションを行った(William,I.ら,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,82,1585,1985)。用いたプローブの比
活性は2.3×108cpm/μgDNAであり、5×105cpm/mlの濃
度でハイブリダイゼーションに用いた。ハイブリダイゼ
ーションは、1×デンハーツ(Denhardt's)溶液(0.2
%BSA(アーマー社)、0.2%フィコール(シグマ社)お
よび0.2%ポリビニルピロリドン(和光純薬社)からな
る)、0.1%SDSおよび50γ/mlのサケ精巣DNA(ファルマ
シアPL社)を含む3×SSC中で、65℃で16時間行った。
次にフィルターを0.1%SDSを含む3×SSCにより、65℃
洗浄し、風乾したのちX線フィルムに感光させた。この
操作で8個の陽性クローンを得た。8クローンのプラス
ミドDNAを常法に従い分離し、制限酵素切断によるDNA断
片の解析を行った。その結果4クローン(pCEA52、pCEA
55−11、pCEA55−2、pCEA80−11)が先に取得したλKr
40よりも5′側に伸長したクローンであることが判明し
た。また、はじめの3クローン(pCEA52、pCEA55−11、
pCEA55−2)は制限酵素解析の結果同一クローンである
と考えられたので、pCEA55−2とpCEA80−11の二つのク
ローンについて、挿入されたcDNAの5′側伸長領域の塩
基配列を決定した。
塩基配列決定に利用した制限酵素切断部位と塩基配列
決定のストラテジーを第2図に示し、第3図にヒトCEA
の遺伝子の全配列を含むpCEA80−11に挿入されたDNAの
塩基配列およびその塩基配列に対応するアミノ酸配列を
示す。第2図中、塩基配列決定の方向は矢印で示され
る。塩基配列はサンガーらの方法(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,74,5463,1977)を用いて決定した。上記塩基配列
決定の結果、両者の5′側伸長領域の塩基配列は5′末
側の長さが異なること以外完全に一致した(pCEA55−2
はpCEA80−11より5′末側が8塩基短い)。また、先に
取得したクローンλKr40とは、塩基配列を決定した領域
(120塩基)についてはその塩基配列が完全に一致した
(第3図の500番目から620番目まで)。なお、pCEA80−
11クローン(DH1/pCEA80−11)はSBM289と命名され、微
工研にFERM P−9119の寄託番号で寄託されている。
決定されたDNAの配列には開始コドンATGは見られない
が、5′末端から開始してTAG(第3図の2096−2098)
で終わる長い翻訳可能配列(オープンリーディングフレ
ーム)が存在し、698個のアミノ酸をコードできる配列
であることが明らかになった。
第3図において、Ser(−30)から始まり、Ala(−
1)で終わる−30→−1のアミノ酸配列はその構造から
シグナルペプチドの一部に相当すると考えられる。従っ
て、ヒトCEAの構造遺伝子はLys(1)から開始する。事
実、Lysから24番目のLeu迄の1−24のアミノ酸配列は既
に報告されているCEAのN末端のアミノ酸配列(J.N.S.G
lassmanら,B.B.R.C.,85,209,1978)と完全に一致した。
但し、同著者らが報告している25番目から30番目までの
アミノ酸配列はcDNAから予想されるアミノ酸配列と全く
一致していない。また、CEAのトリプシン分解ペプチド
のアミノ酸配列を示した文献(Cancer Research,38,219
9,1978)には、当該cDNAから予想されるアミノ酸配列に
該当する配列は見当たらない。
以上の解析結果、特にλKr40クローンが4種類の抗CE
A抗体と反応することを考慮して、得られたcDNAはヒトC
EAをコードするcDNAであると判断した。
これらの結果から、ヒトCEAは少なくとも698個のアミ
ノ酸からなる前駆体として生合成され、小胞体膜を通過
するさい、少なくとも30個のアミノ酸からなるシグナル
ペプチドが除かれて668個のアミノ酸からなる成熟蛋白
質としてCEAが生成されると考えられる。また、C末端
の26個のアミノ酸は疎水性に富んでおり、この領域が細
胞膜に埋もれていて、N末端側の642個のアミノ酸は細
胞外に出ていると考えられる。従って、C末端部分のア
ミノ酸配列を除去したヒトCEAを使用して、臨床試験に
役立つヒトCEA特異抗体を製造することも可能であろ
う。
(発明の効果) (1) 本発明の遺伝子を使用してヒトCEAまたは種々
のCEAフラグメントを細胞(大腸菌、酵母、動物細胞
等)で発現させ、それらに対する抗体を作製することが
出来る。それにより、ヒトCEAにのみ反応し、CEA関連抗
原とは反応しない抗体を見つけることが可能である。あ
るいは、本発明で解明されたヒトCEAのペプチド配列か
ら、合成法で種々のCEAフラグメントを作製して、同様
にヒトCEA特異的抗体を得ることも可能である。こうし
て得られる抗体を使用すれば、従来よりも信頼度の高い
ヒトCEA測定キットを作製できる。
(2) 本発明で得られたヒトCEA遺伝子を用いれば、
従来の抗体を用いた免疫組織化学的手段に代えて、ヒト
CEAを産生する腫瘍等の組織を、インスイトゥー(in s
itu)ハイブリダイゼーションによって、検出すること
も可能と考えられる。
(3) 本発明のヒトCEA遺伝子をプローブとして、CEA
関連抗原の遺伝子をクローニングすることも可能であ
る。それらの遺伝子がクローニングされ、その結果アミ
ノ酸配列が明らかになれば、CEAとCEA関連抗原との差異
もより明確になると思われる。
(4) 前記のとおり、本発明によりヒトCEA特異抗体
の作製が可能となったため、癌診断、例えば癌のスクリ
ーニング、確定診断、癌進行度判定、治療のモニタリン
グ、標識抗CEA抗体による癌の局在診断が可能となり、
加えてミサイル療法などの治療にも利用することが期待
される。
以上のように本発明の利用分野は多岐にわたり、その
利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、λgt11ファージベクターを用いたcDNAライブ
ラリー作製法の概略を示す図であり、 第2図は、cDNAの塩基配列決定のストラテジーを示す図
であり、 第3図(1)ないし(3)は、ヒトCEAのcDNAの塩基配
列および翻訳可能領域のアミノ酸配列を示す一連の配列
図であり、 第4図は、抗CEA抗体を用いたλKr40クローンおよびコ
ントロールのCEA蛋白質産生能の解析結果を示す写真で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−119681(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.73,No.6, P.2123−2127(1976) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.75,No.4, P.1670−1674(1978) Cancer Res.,Vol. 38,No.3,P.503−505(1978) Mol.Immunol.,Vol. 22,No.1,P.67−73(1985)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式I: で表されるDAN配列がコードするヒトの癌胎児性抗原(c
    arcinoembryonic antigen)蛋白質の少なくとも特異的
    抗原性部分を含むアミノ酸配列をコードする遺伝子。
  2. 【請求項2】次式I: で表されるDAN配列がコードするヒトの癌胎児性抗原蛋
    白質の少なくとも特異的抗原性部分を含むアミノ酸配列
    をコードする遺伝子を含むプラスミド。
  3. 【請求項3】pCEA55−2またはpCEA80−11である特許請
    求の範囲第2項記載のプラスミド。
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Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.75,No.4,P.1670−1674(1978)

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