JP2603364B2 - 竪型焼却炉及びその焼却方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物などのごみを焼却
する焼却炉に関する。

（従来の技術） 従来、焼却炉本体にこの焼却炉本体を上下に複数段の
部屋に仕切る複数の火格子が開閉自在に設けられてなる
竪型焼却炉が本出願人により出願されており、焼却炉本
体の上部に投入されたごみは、前記火格子上に堆積して
十分な厚みを有するごみ層を形成し、最上段から順次下
方に燃焼しながら移送されて焼却灰となり、焼却炉の下
方から順次排出するようになされていた。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、ごみには、水分が多く通気性の悪い物
や砕け難い大きな塊などからなる難燃物が含まれている
ため、必ずしも上部の燃焼室で主燃焼が完結せずにこの
燃焼室よりも下部の燃焼室で燃焼を継続したり、プラス
チック等が溶融滴下して下部で発火することがあり、こ
れにより上部の燃焼室のごみを支持する火格子は背面か
ら高熱にさらされる。このため、火格子に冷却空気を吹
付けることでこの火格子を冷却しても冷却不足となり熱
歪や焼損を起こすという問題があった。

また、火格子に形成された通気孔に焼却灰や異物が詰
まって燃焼ガスや燃焼空気の通過を妨害したり、通気孔
にクリンカが融着して開閉動作を阻害するおそれがあっ
た。

本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、焼却炉本
体の下部に堆積する焼却灰層で火格子の役割をになうよ
うにすることで、火格子を不要にし、簡単な構成の焼却
炉を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明の竪型焼却炉は、一般廃棄物や産業廃棄物など
のごみを焼却する竪型焼却炉であって、焼却炉本体の底
部には燃焼により底部に堆積される焼却灰を排出する排
出装置が開閉自在に設けられるとともに、焼却炉本体の
下部にはごみ支持板が該焼却炉本体に出没自在に設けら
れ、上記排出装置上に堆積形成される焼却灰の下層に燃
焼用空気が供給され、一方、上記ごみ支持板は、上記排
出装置による焼却灰の排出時において、この排出装置で
支持されて堆積している焼却灰層の上層内に突出配置さ
れ、該ごみ支持板で上部の焼却灰及びごみを支持するよ
うに構成されるとともに、前記焼却炉本体内から退避し
たごみ支持板を冷却する冷却空気供給手段が設けられた
ものである。

本発明の竪型焼却炉の焼却方法は、焼却炉本体の上部
から投入したごみを燃焼させながらごみの自重により下
方に送り、焼却炉本体内の底部に設けた排出装置により
焼却灰層を堆積形成させ、該焼却灰の下層に供給される
燃焼用空気により上記焼却灰層上で燃焼を継続させて焼
却灰となした後、上記排出装置から焼却灰を排出する焼
却方法であって、増大した焼却灰層の上層内に、冷却空
気供給手段により冷却されたごみ支持板を突出させ、こ
のごみ支持板によって上部の焼却灰及びごみを支持する
工程、上記排出装置を開放してごみ支持板よりも下方の
焼却灰を排出する工程、上記排出装置を再び閉塞した後
ごみ支持板を焼却炉本体内から没し、ごみ支持板に支持
されていた焼却灰及びごみを排出装置上に落下させると
ともに、該排出装置により支持する工程、により焼却灰
を順次排出する。

（作用） 焼却炉本体内にごみを順次投入しながら燃焼させてい
くと、燃焼された焼却灰は自重により下方に送られて焼
却炉本体内の下部に堆積し焼却灰層を形成する。そし
て、この焼却灰層にごみ支持板を突出させ、このごみ支
持板で上部のごみ及び焼却灰を支持し、次に焼却炉本体
の底部の排出装置を開放してごみ支持板よりも下方の焼
却灰を排出する。この後、排出装置を閉じ、ごみ支持板
を焼却炉本体内から没してごみ支持板の上部の焼却灰及
びごみを下方に落とす。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は本発明に係る焼却炉の概略構成を示してい
る。

図において、１はホッパで、ごみピット（図示省略）
に貯留されたごみが均質化のため撹拌され、ある程度破
袋された後、クレーン（図示省略）でこのホッパ１に投
入される。ホッパ１はフィーダ２を介して焼却炉本体３
内の上部に形成されたごみ供給口3aに連通されており、
ホッパ１に投入されたごみはフィーダ２により焼却炉本
体３内に一定量ずつ送り込まれる。

焼却炉本体３には、ごみ支持板4,4及び焼却灰排出板
（排出装置）5,5が上下に設けられている。

ごみ支持板4,4は、焼却炉本体３内に出没自在に設け
られており、通常は図に示すように焼却炉本体３内から
没した状態に配置され、焼却灰排出板5,5が開放して焼
却灰を排出する時にのみ図において１点鎖線で示すよう
に焼却炉本体３内の灰層15dの上層に突出し、このごみ
支持板4,4よりも上部にあるごみ及び燃焼した焼却灰の
荷重を支持する。

ごみ支持板4,4が位置する焼却炉本体３の両側には、
ごみ支持板4,4が焼却炉本体３内から没した時に、この
ごみ支持板4,4を収納する収納室6,6が設けられている。
これら収納室6,6には常温の空気源（冷却空気供給手
段）７から分岐された冷却空気7aが供給されている。こ
の冷却空気7aは焼却炉本体３と収納室６との間に形成さ
れた隙間8,8から焼却炉本体３内に吹き出し、ごみ支持
板4,4の冷却を行うとともに、この隙間8,8から焼却炉本
体３内の焼却灰が収納室6,6側に侵入しないように防止
している。

焼却灰排出板5,5は焼却炉本体３の底部において、水
平位置から１点鎖線に示す垂直位置まで回動自在に設け
られている。そしてごみ支持板4,4によって焼却炉本体
３内下部の灰層15dの上層から上部を支持した後、焼却
灰排出板5,5を下方に回動することによって、焼却灰を
焼却炉本体３の下方に設けられた灰搬出装置９に排出す
ることができる。つまり、前記ごみ支持板4,4は、焼却
灰排出板5,5による焼却灰の排出を補助するために設け
られている。

また、焼却炉本体３の上部、中部、下部にはそれぞれ
温度調節された燃焼用空気10a,10b,10cがダンパ11a,11
b,11cを介して供給されている。これら燃焼用空気10a,1
0b,10cはごみ質に応じて最適の温度に調節されている。

焼却炉本体３のごみ供給口3aの反対側には着火用バー
ナ12が設置され、始業時のごみ着火または炉内温度低下
時の助燃用に利用される。また焼却炉本体３の頂部には
燃焼ガス排出口13が設けられている。

次に、このように構成された焼却炉によるごみの焼却
方法について説明する。

ここで、平常操業時における焼却炉本体３内は、ごみ
の燃焼状態により上から火炎層15a、ごみ層15b、おき燃
焼層15c、灰層15dに区分されることになる。

まず、ホッパ１に貯留されたごみは、フィーダ２によ
りごみ供給口3aを介して焼却炉本体３に一定量ずつ送り
込まれる。そして、ごみは、始業時においては焼却炉本
体３の底部にある灰層15d上に堆積され、着火用バーナ1
2により加熱され、燃焼用空気10a,10bによって燃焼を始
め、燃え易いごみから焼却されて灰となり、難燃性のご
みとともに火種を保有しながらおき燃焼層15cに堆積す
る。

その状態でフィーダ２からごみを供給すれば、ごみは
ごみ層15bに堆積され、おき燃焼層15cの熱と燃焼空気11
aにより着火され、徐々に燃焼がごみ層15b全体に拡がり
平常操業状態に移行する。

この燃焼時においておき燃焼層15c及びごみ層15bの下
層で発生した燃焼ガスはごみ層15b内を通過して上昇す
る。この上昇時に燃焼ガスはその熱で上部のごみの着火
及びガス化を促進するとともに、生ごみの乾燥を行う。

さらに、火炎層15aまで上昇した燃焼ガスは、この上
部に供給されている常温の空気源７から分岐された２次
空気7bによって再燃焼した当度、燃焼ガス排出口13から
次工程に排出される。この燃焼時の放射熱によってごみ
層15bに投入されたごみの予備乾燥を行うとともに、発
火点の低い紙やプラスチックを燃して火種になるのを促
進する。

このようにごみ層15bでごみが上方から下方に順次送
られて燃焼するとともに、このごみのうち難燃物と一部
残留する未燃物が、おき燃焼層15cで完全燃焼して灰と
なり、灰層15dに貯留される。

そして、灰層15dでは供給される燃焼用空気10cにより
灰層15dの上層に残る未燃物のおき燃焼を完結させると
ともに、燃焼を完了した焼却灰や低融点金属を下方から
冷却する。この時、灰層15dから上昇する空気及び燃焼
ガスは、おき燃焼層15cを通過してごみ層15bを上昇する
ため、上方のごみのおき燃焼を容易にするとともに、生
ごみの乾燥、着火及びガス化を更に促進させることにな
る。

つまり、灰層15dが従来の火格子のような役割をにな
っており、前記焼却灰排出板５、５上に堆積形成された
灰層15dの下層に供給されている燃焼用空気10cが、従来
における火格子の下方から供給されている燃焼用空気に
相当する。

焼却灰の燃焼が完結すると、この段階でごみ支持板4,
4を焼却炉本体３内の灰層15dの上層に突出させ、ごみ支
持板4,4よりも上部に位置するごみ層15b、おき燃焼層15
c及び灰層15dの上層の焼却灰及びごみの荷重を支持す
る。この突出時において、ごみ支持板4,4の位置ではご
みの燃焼が完了しているため、ごみ支持板4,4に火格子
のような通気孔が不要でシンプルな構造とする事が可能
であり、また、ごみによる抵抗が少ないため、ごみ支持
板4,4はスムースに突出することができる。

このようにごみ支持板4,4を突出させた後、焼却灰排
出板5,5を下方に回動させ、ごみ支持板4,4よりも下方の
焼却灰を灰搬出装置９に落下させる。

焼却灰排出後は焼却灰排出板5,5を上方に復帰させた
後、ごみ支持板4,4を焼却炉本体３内から没し、ごみ支
持板4,4の上部にある残余の焼却灰及びおき燃焼層15cの
焼却残渣を底部に落下させるとともに、ごみ層15bも順
次落下させる。

この落下時のショックにより灰層15dの通気性が良く
なるのみでなく、おき燃焼層15c及びごみ層15bにおける
未燃物の塊が崩壊されるため層全体の通気性が良くなる
とともに、塊の内部まで空気が通るようになる。このた
め、高温の燃焼用空気10b,10cを供給すると残留してい
た火種により焼却灰中の未燃物が容易に燃焼する。

また、燃焼用空気10b,10cの供給圧力はおき燃焼層15
c、灰層15dの通気性が良いので高くする必要がなく、乾
燥効率が良いので供給空気の過剰率を低くすることがで
きる。

このように構成された焼却炉により、ごみを高温で略
均一に燃焼させることができるとともに、上述したよう
に供給空気の過剰率が低くなることから排ガス量の減少
を図って燃焼時における排ガスの滞留時間を長くするこ
とができる。これは滅菌やダイオキシン分解に有効であ
り、特に滅菌は医療廃棄物の燃焼に有効である。

さらに、ごみ支持板4,4が焼却炉本体３内に突出する
時期は灰層15dの温度が低下した時であり、時間も短い
ため、高温による熱歪や焼損を起こす虞はない。また、
焼却灰排出板5,5の上面は燃焼用空気10cにより冷却され
た焼却灰に接し、下面は外気で冷却されているので同様
に高温の影響を受けることはない。

なお、ごみ支持板4,4及び焼却灰排出板5,5の開閉機構
は本例に限らず、例えば、ごみ支持板を上下に回動可能
な板または格子構造にしてもよく、焼却灰排出板として
傾斜反転火格子を用いてもよい。

（発明の効果） 以上述べたように、本発明によれば、焼却灰層が従来
の火格子の役割をになうことになり、従来のように焼却
炉本体内に火格子を設置する必要がなく、設備が簡単で
機器の焼損や熱歪及びトラブルの心配がなく燃焼エネル
ギーの有効利用ができ、運転経費が安価となる。また、
通常の燃焼作業中においては、焼却炉本体内から退避し
ているごみ支持板に冷却空気供給手段により冷却空気を
供給することで、高温によるごみ支持板の焼損を防止す
るとともに、該冷却空気の供給によって焼却灰等がごみ
支持板の退避側に侵入するのを防ぎ、ごみ支持板を円滑
に出没させることができる。

また、ごみ支持板の出没により焼却灰層等を下方の排
出装置に落下させながら燃焼及び排出を行っているた
め、ごみ支持板から排出装置への落下時に生じる衝撃に
より灰層の通気性が良くなるとともに、おき燃焼層及び
ごみ層の未燃物の塊が崩壊して塊の内部まで空気が通る
ようになり、この結果燃焼状態を向上させることがで
き、さらに、ごみ支持板の突出動作により高質ごみの焼
却炉時にこのごみ支持板の上部付近で発生しやすいクリ
ンカ塊の破壊が可能になるため、ごみの完全焼却ととも
に焼却灰の排出が容易になる。

さらに、ごみ支持板及び排出装置は、従来の火格子の
ように燃焼空気及び燃焼ガスを通過させるための複雑な
機構が不要で、シンプルな構造でその機能を発揮するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る焼却炉の概略構成を示す縦断側面
図である。 ３……焼却炉本体 4,4……ごみ支持板 5,5……焼却灰排出板（排出装置）

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一般廃棄物や産業廃棄物などのごみを焼却
   する竪型焼却炉であって 焼却炉本体の底部には燃焼により底部に堆積される焼却
   灰を排出する排出装置が開閉自在に設けられるととも
   に、焼却炉本体の下部にはごみ支持板が該焼却炉本体内
   に出没自在に設けられ、上記排出装置上に堆積形成され
   る焼却灰の下層に燃焼用空気が供給され、一方、上記ご
   み支持板は、上記排出装置による焼却灰の排出時におい
   て、この排出装置で支持されて堆積している焼却灰層の
   上層内に突出配置され、該ごみ支持板で上部の焼却灰及
   びごみを支持するように構成されるとともに、前記焼却
   炉本体内から退避したごみ支持板を冷却する冷却空気供
   給手段が設けられたことを特徴とする竪型焼却炉。
2. 【請求項２】焼却炉本体の上部から投入したごみを燃焼
   させながらごみの自重により下方に送り、焼却炉本体内
   の底部に設けた排出装置により焼却灰層を堆積形成さ
   せ、該焼却灰の下層に供給される燃焼用空気により上記
   焼却灰層上で燃焼を継続させて焼却灰となした後、上記
   排出装置から焼却灰を排出する焼却方法であって、 増大した焼却灰層の上層内に、冷却空気供給手段により
   冷却されたごみ支持板を突出させ、このごみ支持板によ
   って上部の焼却灰及びごみを支持する工程、 上記排出装置を開放してごみ支持板よりも下方の焼却灰
   を排出する工程、 上記排出装置を再び閉塞した後にごみ支持板を焼却炉本
   体内から没し、ごみ支持板に支持されていた焼却灰及び
   ごみを排出装置上に落下させるとともに、該排出装置に
   より支持する工程、 により焼却灰を順次排出することを特徴とする竪型焼却
   炉の焼却方法。